JP4015816B2 - 発光材料及びel発光層 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル,面発光照明等に使用される発光材料に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
正孔と電子の再結合によって生じる発光現象を利用した有機EL素子は、バックライトを必要とする液晶を用いた表示パネルと異なり面発光によって画像を再生することから、液晶表示パネルに比較して画像が鮮明で、暗所でも容易に識別できる。そのため、液晶に代わる次世代表示デバイスとして注目されている。
有機EL素子の発光層には、8-ヒドロキシキノリン等の有機発光材料や希土類錯体等が使用されている。色素分子等の発光分子自体の発光効率は高いものの、通電によって供給される電気エネルギーを有機EL素子内の発光分子まで届ける過程の伝達効率が低いため、全体としてのエネルギー効率が低くなる。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、ポリシランの励起エネルギーを、当該エネルギーを受容しうる発光性分子に移動させることにより、発光分子への伝達効率を向上させ、エネルギー効率よく駆動できるELデバイス等に適した発光材料を提供することを目的とする。
【0004】
本発明の発光材料は、その目的を達成するため、繰返し単位が下記一般構造式の何れかで表される1種又は2種以上のポリシラン化合物からなることを特徴とする。また、該ポリシラン化合物の発光スペクトルに一致又は近似する吸収・励起スペクトルをもつ発光性分子をポリシラン化合物と混合してEL発光層を作製すると、ポリシラン化合物の励起エネルギー移動が利用され高発光効率のEL発光が可能となる。
Figure 0004015816
ただし、R1,R2は炭素数2〜9のアルキル基を示す。なかでも、炭素数4〜9のアルキル基をもつポリシラン化合物は可溶性のため、容易に成膜できる。しかし、蒸着による成膜を想定するとき、炭素数2〜9のアルキル基をもつポリシラン化合物が使用可能である。nは、2以上の整数を示し、好ましくは8以上に設定される。
【0005】
【作用】
ポリシランは、電気伝導性(特に正孔伝導性)が高く、正孔輸送層として優れた材料であり、電子伝導も可能である。また、紫外発光効率,共鳴エネルギー移動効率の高い一次元鎖状高分子であることから、共鳴エネルギー移動を利用すると紫外光よりエネルギーの低い可視三原色R,G,B全ての発光分子を励起できる。
【0006】
ポリシランは、Si原子が鎖状に連なった一次元高分子であり、具体的には次に掲げるポリジヘキシルシラン(PDHS),ポリ[ビス(p-プロポキシフェニル)-シラン](PBPPS),ポリ[ビス(m-ブトキシフェニル)-シラン](PBBPS),ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン](PmHPPS),ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン](PpHPPS)が挙げられる。
Figure 0004015816
【0007】
ポリシラン化合物の主鎖を形成するSi−Si間のσ結合電子は、非局在化し、少なくとも数十原子程度からなる主鎖領域(セグメント)の全体に広がっている。そのため、主鎖方向に正孔が容易に運ばれ、高分子の中では非常に高い10-4cm2/Vs程度の正孔伝導度を呈する。また、三次元的な格子を組む結晶Siと異なる一次元鎖状高分子であることから、直接遷移型バンド構造の性質をもち、紫外〜可視光の領域で強い光吸収及び励起子発光を示す。しかも、発光ピーク波長等の光学特性は、主鎖に側鎖として結合されるアルキル基,フェニル基等に応じて比較的容易に制御できる。このようなポリシラン化合物(以下、「ポリシラン分子A」と適宜称する)の高電気伝導度,高効率発光特性は、特にELデバイス用の発光材料として適している。
【0008】
また、ポリシラン分子Aの発光スペクトルと一致した吸収・励起スペクトルをもつ発光性分子Bをポリシラン分子Aに混合した発光材料では、共鳴エネルギー移動が生じる。すなわち、励起状態にあるポリシラン分子Aの近傍に基底状態の発光性分子Bが存在する系では、ポリシラン分子Aの発光スペクトルと発光性分子Bの吸収(又は励起)スペクトルのエネルギー重なりに応じて双極子−双極子,双極子−四重極子相互作用等の量子力学的多重極子相互作用が働き、ポリシラン分子Aの励起エネルギーが共鳴的に発光性分子Bに移動し、ポリシラン分子Aが基底状態に、発光性分子Bが励起状態に遷移する。励起状態の発光性分子Bは、次いで発光性分子B固有の発光を伴って基底状態に遷移する。
【0009】
共鳴エネルギー移動が生じるためには、ポリシラン分子A,発光性分子Bの発光性(振動子強度)が強く、ポリシラン分子Aの発光スペクトルと発光性分子Bの吸収(又は励起)スペクトルが重なっていること、ポリシラン分子Aと発光性分子Bが1〜数nmの間隔で近接していることが必要である。
高電気伝導度,高効率紫外発光特性をもつポリシラン化合物Aと、ポリシラン化合物Aの発光スペクトルと一致した吸収(又は励起)スペクトルをもつ発光性分子Bとを混合することによりポリシラン分子Aと発光性高分子Bを近接させた状態では、電流注入によりポリシラン化合物Aを励起するとき、共鳴エネルギー移動過程を利用して励起エネルギーが発光性分子Bに伝達され、発光性分子Bから可視三原色R,G,Bが発光する。
【0010】
可視発光性に優れた発光性分子Bは、電気伝導性を兼ね備えることは少ないので、電気伝導性、可視発光性の機能分離が可能となり、材料・デバイス設計の自由度が飛躍的に拡大する。
正孔伝導物質としてエネルギードナーに使用されるポリシラン化合物Aは、前掲の構造式に示すようにアルキル側鎖基をもつポリジヘキシルシラン,フェニル系側鎖基をもつポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)フェニルシラン]を始め、ポリ[ビス(p-プロポキシフェニル)シラン],ポリ[ (p-ヘキシルオキシフェニル) フェニルシラン], ポリ[ビス(m-ブトキシフェニル)シラン]等が挙げられる。
【0011】
エネルギーアクセプタである発光性分子Bには、クマリン6,ペリレン,4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM),ジンクテトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等の有機色素の他に、前掲のポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)フェニルシラン],ポリ[ビス(p-プロポキシフェニル)シラン]等も使用される。同一の分子であっても、組み合わせる相手に応じてエネルギードナーとして、或いはエネルギーアクセプターとして使用できる。
Figure 0004015816
【0012】
このようにポリシラン化合物Aと発光性分子Bとの混合薄膜として発光層を形成するとき、紫外光よりもエネルギーの低い可視三原色R,G,Bの全てで発光するためフルカラー化が可能となる。実際、本発明者等は、実験によって白色発光を確認した。
また、ポリシラン分子は、Siを主原料とするため低コストであり、環境に対しても悪影響を及ぼさない。しかも、半導体Si結晶基板等に対する整合性が高いため、応用範囲が広く電子回路との複合化も可能である。また、可溶性のポリシランを使用すると、他の分子との均一混合やスピンコート成膜が容易になり、欠陥のない機能薄膜が形成される。
【0013】
【実施例】
ジクロロ(m-ヘキシルオキシフェニル) -フェニルシランの合成
内部をアルゴン雰囲気に維持した300mlの三口フラスコにマグネシウム粉末3.64g(150mモル)及び乾燥エーテル78mlを入れて攪拌した。そして、シリンジから1-ブロモ-3-ヘキシルオキシベンゼン34.8g(135mモル)の乾燥エーテル60ml溶液を滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流することにより、ヘキシルオキシフェニルグリニャール試薬を調製した。
【0014】
同様に内部をアルゴン置換した500mlの三口フラスコにトリクロロフェニルシラン23.7g(112mモル)と乾燥エーテル100mlを入れた。そして、三口フラスコを水浴で冷却して攪拌しながら先に調製したヘキシルオキシフェニルグリニャール試薬を滴下した。滴下終了後に加熱還流を2時間継続し、次いで溶媒を常圧留去した。更に加熱還流を4時間継続した後、反応液を室温まで冷却し、乾燥ヘキサン70mlを加え、冷蔵庫で塩を析出させた。
アルゴン雰囲気下でガラスフィルタを用いて析出物を吸引濾過し、減圧留去することにより、収量18.1g,収率45.6%でジクロロ(m-ヘキシルオキシフェニル) -フェニルシランを得た。
【0015】
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の合成
フッ素樹脂シール攪拌装置,アリーン冷却管及びセラムキャップを装備した200ml三口フラスコの内部をアルゴン置換し、金属ナトリウム2.47g(107mモル)及び乾燥ジグリム25μlを三口フラスコに入れ、高速攪拌しながら加熱還流することによりNaディスパージョンを調製した。
Naディスパージョンを室温まで冷却した後、70℃に保持した状態でシリンジからジクロロ(m-ヘキシルオキシフェニル) -フェニルシラン18.1g(51.2mモル)の乾燥トルエン5ml溶液をNaディスパージョンに滴下した。Naディスパージョンは、滴下中に無色から濃紫色に徐々に変化した。
【0016】
滴下終了後、70℃×2時間反応させ、次いで乾燥2-プロパノール20mlをシリンジで滴下し、20分攪拌することにより未反応のナトリウム及びポリマー末端を失活させた。
反応後の溶液を分液漏斗に移し、水を添加してよく振り混ぜて有機層を分取することによりナトリウム塩を除去した。この操作を2回繰り返した後、飽和食塩水を添加し、同様によく振り混ぜて有機層を分取した。そして、水層をトルエンで2回抽出し、抽出液を有機層と混ぜ、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、綿栓濾過によって無水硫酸ナトリウムを除去し、濾液を溶媒留去した。
【0017】
残留物をトルエン6mlに溶解し、2-プロパノール400ml及びトルエン40mlの混合溶液に中に滴下することによって再沈殿させた。その結果、糸状の白色物質が沈殿した。沈殿物を濾過分離し、メタノールで洗浄した後、デシケータ内で乾燥することによって白色固体のポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]が得られた。
合成されたポリシラン分子は、NMRスペクトルにより構造を決定した。また、GPC分析(ポリスチレン基準)の結果、バイモーダルのパターンを示し、重量平均分子量がそれぞれ420,000及び6,000、分散度が2.10及び1.35であった。吸収スペクトルを解析したところ396nmに吸収があり、330nmの励起光を照射したところ固体状態で421nmに、液体状態で415nmに鋭い発光ピークが観測された。
【0018】
合成されたポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]は、クロロホルム,テトラヒドロフラン,トルエン等の有機溶媒に可溶であり、420nmに強い発光ピークを有する等、ポリジフェニルシランの優れた性質を保存しながらポリジフェニルシランの欠点である溶解性の問題が解消されており、成膜技術を利用した材料として使用できることが判った。
【0019】
発光層1:
前述のように合成したポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]のテトラヒドロフラン(THF)溶液(15g/l)を、ITO(透明電極)付き石英基板上に1500rpmで1分間スピンコートし、24時間真空乾燥して膜厚100nmの薄膜を作製した。ポリシラン薄膜の上に膜厚5nmのLiF(フッ化リチウム)薄膜及び膜厚200nmのAl薄膜(陰極)を連続蒸着によって堆積させ、ELデバイスを作製した。
真空雰囲気中、窒素温度(77K)でAl薄膜とITO薄膜との間に電圧を印加して電流を注入すると、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]のELスペクトルが得られた。このELスペクトルは、フォトルミネッセンススペクトルと同一で、室温においても観測された。このときのI−V特性を図1(a)に、ELスペクトルを図1(b)に示す。
【0020】
発光層2:
ポリジヘキシルシラン(PDHS)の主鎖は、室温(42℃以下)でトランスコンフォメーションとなり、そのトランス発光エネルギーとポリ[ビス(p-プロポキシフェニル)-シラン](PBPPS)の発光励起エネルギー(吸収エネルギーに対応)とほぼ等しい値をとる(図2)ことから、両者間でエネルギー移動が予想される。そこで、成膜例1と同じスピンコート法で石英基板上にポリジヘキシルシランとの混合薄膜を作製し、フォトルミネッセンス測定によってエネルギー移動の様子を確認した。成膜直後の室温でのスペクトルM1ではポリジヘキシルシランのへリックス発光も観測されたが、77Kに冷却した後で室温に戻すとほぼ完全なトランス発光M2になった(図3)。逆に、42℃以上に加熱した後で室温に戻すと、トランス発光が消失しへリックス発光M3が観測された。
【0021】
PBPPSの励起スペクトルをみると、状態M3(図4bの破線)に対して状態M2(図4bの実線)ではPDHSのトランスピーク(図4aの実線)が重なっていることが観測されていることから、エネルギー重なりの大きなトランス発光の状態においてPDHSからPBPPSへのエネルギー移動が生じていることが判る。また、PDHS単体薄膜及びPBPPS/PDHS混合薄膜を波長337nmの窒素レーザ光でパルス励起し、PDHSのトランス発光の応答波形を観測した。その結果、PDHS単体薄膜の減衰寿命1.10nsに対して混合薄膜の減衰寿命が0.93nmと短縮しており、PBPPSへのエネルギー移動が生じていることが確認された(図5)。
【0022】
発光層3:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン](PHPPS)の発光エネルギーとペリレンPeryleneの吸収エネルギーが重なる(図6)ことから、両者の混合薄膜を作製した。混合薄膜及びPHPPS単体薄膜を4.13eVで光励起したところ、混合薄膜ではPHPPSの発光強度が単体薄膜より減少し、ペリレンの顕著な可視発光が観測された(図7)。エネルギー重なりのないPMMAとペリレンの混合膜ではペリレン発光が観測されなかったことから、PHPPS/Perylene混合薄膜でPHPPSからペリレンにエネルギー移動が生じたことが判る。この結果は、励起スペクトル,時分解フォトルミネッセンスでも実証された。
【0023】
発光層4:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光エネルギーとクマリン6の吸収エネルギーが重なる(図8)ことから、両者の混合薄膜を作成し、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の単体薄膜と比較した。4.13eVで光励起したところ、混合薄膜ではポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光強度が単体薄膜より減少し、クマリン6の顕著な可視発光が観測された(図9)。励起スペクトル,時分解フォトルミネッセンスの結果と合わせ、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]からクマリン6にエネルギー移動が生じたことが実証された。
【0024】
発光層5:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光エネルギーとDCMの吸収エネルギーが重なる(図10)ことから、両者の混合薄膜を作成し、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の単体薄膜と比較した。4.13eVで光励起したところ、混合薄膜ではポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光強度が単体薄膜より減少し、DCMの可視発光が観測された(図11)。励起スペクトル,時分解フォトルミネッセンスの結果と合わせ、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]からDCMにエネルギー移動が生じたことが実証された。
【0025】
発光層6:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光エネルギーとZnTPPの吸収エネルギーが重なる(図12)ことから、両者の混合薄膜を作成し、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の単体薄膜と比較した。4.13eVで光励起したところ、混合薄膜ではポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光強度が単体薄膜より減少し、ZnTPPの可視発光が観測された(図13)。励起スペクトル,時分解フォトルミネッセンスの結果と合わせ、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]からZnTPPにエネルギー移動が生じたことが実証された。
【0026】
発光層7:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]から各種可視発光色素へのエネルギー移動を利用し、ペリレン,クマリン,DCMを合計で0.5モル%となるように添加し、複数色素の発光による発光色制御を調査した。ペリレン:クマリン6:DCM=5:1:4の混合薄膜では白色発光W1,ペリレン:クマリン6:DCM=4:2:4の混合薄膜では黄色発光W2,ペリレン:クマリン6:DCM=6:2:2の混合薄膜では青緑色発光W3が観測された(図14)。また、各色素の発光スペクトルから、ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]からのエネルギー移動が実証された。
【0027】
発光層8:
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニルメチル)-フェニルシラン]5mgをポリジヘキシルシラン5mgと配合した混合粉末をヘキサン0.5ml,テトラヒドロフランTHF0.5mlの混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。30mm×30mmのパターンITO基板に溶液を7滴滴下し、1500rpmでスピンコートした後、24時間真空乾燥させることにより膜厚100Åの発光層を形成した。
ITO基板上に形成された発光層の上に、膜厚5ÅのLiF層(正孔ブロック層及び発光層用の保護層)と膜厚1000〜1500ÅのAl層を連続蒸着した。
【0028】
ITO電極(陽極)とAl層(陰極)との間に電圧を印加して発光層に電流を注入し、EL発光特性を観測したところ、ポリジヘキシルシランのトランス発光,ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光が確認された。このELデバイスのI−V特性を図15(a)に、ELスペクトルを図15(b)に示す。また、同じ場所のフォトルミネッセンススペクトル(図15c)と比較すると、ピーク位置に変化がないことが判る。
ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の発光,吸収エネルギー領域はポリ[ビス(p-プロポキシフェニル)-シラン]とほぼ等しい(図16)ことから、発光層2の結果と照らし合わせポリジヘキシルシラン/ポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]間でエネルギー移動が生じていることが理解される。
【0029】
ELデバイスでは、電流によって外部エネルギーが運ばれるが、エネルギードナー,エネルギーアクセプタがフォトルミネッセンススペクトルと同位置でEL発光していることから、以後の発光過程とエネルギー移動過程はフォトルミネッセンスの状況に共通する。従って、ELデバイスにおいても、ポリジヘキシルシランからポリ[(m-ヘキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]にエネルギー移動が生じていることが実証された。
【0030】
発光層9:
ポリ[(m-へキシルオキシフェニル)-フェニルシラン]の濃度10g/lクロロホルム溶液及びクマリン6のクロロホルム溶液を、ポリシラン1ユニット(Si原子1個)当りクマリン6が0.5〜2.0モル%となる割合で混合した。
調製された混合溶液をITO基板上に滴下し、1500rpmで10分間スピンコートした後、室温で真空脱気し、膜厚100nmの発光性薄膜を得た。この発光性薄膜上に膜厚5nmのLiF層及び膜厚100nmのAl層を連続蒸着によって堆積させ、EL発光素子を作製した。
【0031】
ITO薄膜とAl層との間に電圧を印加して電流を供給することにより、発光性分子であるクマリン6を発光させた。発光スペクトルを図17に示す。同様に、ペリレン,DCMもEL発光させたときの発光スペクトルをそれぞれ図18,19に示す。これらの色素自体は直接電流を受けて発光することが困難であり、ポリシランからのエネルギー移動を介した励起エネルギーでEL発光することは、ELデバイスの新たな展開をも可能にする。
【0032】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のELデバイス用発光材料は、ポリシラン分子の共鳴エネルギー移動を利用してEL層内の発光性分子に電気エネルギーが効率よく伝達し、紫外光に比較してエネルギーの低い可視三原色R,G,Bであっても十分に励起させ、発光分子を発色させている。そのため、総合的なエネルギー効率が向上し、フルカラー化も可能なELデバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で作製した発光層1のI−V特性(a)及び77Kにおける発光スペクトル(b)
【図2】 PDHSの発光エネルギーにPBPPSの励起エネルギーが一致することを示すグラフ
【図3】 PDHS/PBPPS混合薄膜の発光スペクトル
【図4】 PDHS/PBPPS混合薄膜の励起スペクトル
【図5】 PDHS/PBPPS混合薄膜の時分解フォトルミネッセンス
【図6】 PHPPSの発光エネルギーにペリレンの吸収エネルギーが一致することを示すグラフ
【図7】 PHPPS/ペリレン混合薄膜の発光スペクトル
【図8】 PHPPSの発光スペクトルにクマリン6の吸収エネルギーが一致することを示すグラフ
【図9】 PHPPS/クマリン6混合薄膜の発光スペクトル
【図10】 PHPPSの発光スペクトルにDCMの吸収エネルギーが一致することを示すグラフ
【図11】 PHPPS/DCM混合薄膜の発光スペクトル
【図12】 PHPPSの発光スペクトルにZnTPPの吸収エネルギーが一致することを示すグラフ
【図13】 PHPPS/ZnTPP混合薄膜の発光スペクトル
【図14】 ペリレン,クマリン,DCMの添加比率が発光スペクトルに及ぼす影響を示したグラフ
【図15】 PDHS/PmHPPS混合薄膜のI−V特性(a),ELスペクトル(b)及び蛍光スペクトル(c)
【図16】 PBPPSとPHPPSの発光,吸収エネルギー領域がほぼ等しいことを示すグラフ
【図17】 PHPPS/クマリン6混合薄膜を発光層とするELデバイスのELスペクトル
【図18】 PHPPS/ペリレン混合薄膜を発光層とするELデバイスのELスペクトル
【図19】 PHPPS/DCM混合薄膜を発光層とするELデバイスのELスペクトル

Claims (3)

  1. 繰返し単位が下記一般構造式の何れかで表される1種又は2種以上の非晶性ポリシラン化合物と、この非晶性ポリシラン化合物の発光スペクトルに一致または近似する吸収・励起スペクトルを有する発光性分子を混合してなるEL発光層であって、
    前記EL発光層は、励起状態の前記ポリシラン化合物から量子力学的多重極子相互作用により励起エネルギーを共鳴的に基底状態の前記発光性分子に移動させることにより、前記ポリシラン化合物を基底状態に遷移させる一方、前記発光性分子を励起状態にして発光させる、
    ことを特徴とするEL発光素子。
    Figure 0004015816
  2. 前記発光性分子がペリレン、クマリン6、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、ジンクテトラフェニルポルフィリンである請求項1記載のEL発光層。
  3. 前記発光性分子がポリジヘキシルシランである請求項1記載のEL発光層。
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