JP4015063B2 - 半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材およびその製造方法 - Google Patents
半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のハロゲンガス、特にフッ素とその化合物を含む環境中で優れた耐食性を発揮する表面処理部材としての耐ハロゲンガス用金属部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体製造プロセスでは各工程で、多種多様なハロゲンガスおよびその化合物が気相状態で、ときにはその一部が液相として存在する環境が構成されるため、製造装置部材が激しい腐食損傷を受ける。半導体製造装置が取り扱う腐食性ガス種としては次のようなものがある。
フッ素及びフッ化物:F、BF3、PF3、PF6、NF3、WF3、CF4、HF塩素及び塩化物:Cl2、BCl4、PCl3、PCl5、AsCl3、SnCl4、TiCl4、SiH2Cl2、SiCl4、HCl
臭素及び臭化物:Br2、HBr
その他:H2S、NH3、など
【0003】
特に、ハロゲン化合物を用いるプロセスでは反応のより一層の活性化を図るため、しばしばプラズマエネルギーが併用されるが、このプラズマ使用環境では、ハロゲン化合物は電離して非常に腐食性の強い原子状のF、Cl、Br、Iなどを発生すると同時に、その環境中にSiO2、Si3N4、Si、Wなどの微粉末状固形物が発生すると、装置に用いられている部材が化学的腐食とともに微粒子によるエロージョン損傷の両方の作用を強く受けるようになる。
【0004】
しかも、プラズマが励起された環境はArガスのように腐食性のない気体でもイオン化し、これが固体面に強く衝突する現象(イオンボンバードメントと呼ばれる)が発生するので、上記装置内に配設されている各種部材はより一層強い損傷を受けることも知られている。
【0005】
一方、半導体は精密な加工が施されるため、製造環境は極めて清浄であることが要求されている。しかし、前記のような各種のハロゲン化合物による装置材料の腐食反応の結果生成する金属のハロゲン化物は、蒸気圧が高いため気相状態の汚染源となり、またプラズマエロージョン作用によって発生する微粉末状固形物とともに、半導体加工工程における主要な環境汚染源となっている。以上のような問題を解決するため、次に示すような技術が提案されている。
【0006】
すなわち、下記特許文献1のように、半導体加工装置の部材表面にAl拡散処理を施してAlを主要元素とする各種の金属間化合物(例えばAl−Fe、Al−Ni、Al−Crなど)とその表面に生成するAl2O3膜の耐ハロゲンガス性を利用したものがある。
【0007】
また、下記特許文献2のように、ハロゲン系腐食ガスまたはハロゲンプラズマに耐える皮膜として、熱膨張係数が7×10-6〜12×10-6、誘電損失が5×10-3以下の非金属焼結体の表面に直接Y2O3、Dy2O3、Er2O3などの希土類系酸化物を50%以上含む酸化物皮膜を形成するものがある。
【0008】
また、下記特許文献3のように、F化物を含む環境における耐プラズマエロージョン性を有する技術として、Ni、W、Mo、Tiおよびこれらの合金をアンダーコートとし、その上にY2O3およびY2O3とAl2O3の混合物をトップコートとした溶射皮膜がある。
【0009】
また、下記特許文献4のように、部材表面にPVD法やCVD法によってSc、Y、La、Ce、Yb、Eu、Dy、などの周期律表第IIIA族元素の酸化物、炭化物、窒化物、フッ化物などの緻密な皮膜を形成したり、Y2O3の単結晶を適用する技術がある。
【0010】
また、下記特許文献5のように、耐食性金属基材の一面を溶射法以外の方法によって、AlまたはAl合金で被覆した後、これを陽極酸化法によって被覆表面にAl2O3層を生成させ、このAl2O3層またはAl2O3層を介せずに耐食性を有する弗化アルミニウム層を形成させて、プラズマ励起されたハロゲンガスによる耐食性材料がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−219456号公報
【特許文献2】
特開2001−031484号公報
【特許文献3】
特開2000−164354号公報
【特許文献4】
特開平10−004083号公報
【特許文献5】
特開平9−10577号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1−5に係るものは、成膜工程において、金属基材、膜組成などに種々の制限があり、現在の半導体加工装置などが抱えているハロゲンガスによる装置部材の腐食損傷およびその腐食生成物の揮散に起因する加工環境の汚染による半導体製品などの不良率の発生を防止するものととして十分なものではないという問題がある。
【0013】
本発明は、ハロゲンガス、特にフッ素(F2)ガスおよびフッ化物ガスと接触する半導体加工装置用等の金属製部材であって、耐ハロゲンガス性に優れた金属製部材及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前掲の問題点を解決するため、本発明では次に示すような手段をとることとした。
【0015】
(1)金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属を金属イオンの状態で注入した金属イオン注入層が設けられ、酸素を含む環境で加熱酸化処理し、前記金属の酸化物を含む又はこれを主とする酸化物層を前記金属イオン注入層の上層部に積層させることによって、保管中に変化しにくく、また耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに優れた耐食性を示す部材を提供する。
【0016】
(2)金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属をイオンの状態で注入した金属イオン注入層が設けられ、その上層部に、さらにAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属の金属イオンを積層注入する金属イオン積層注入層を積層することによって、ランタノイドの露出を少なくして、耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに優れた耐食性を示す部材を提供する。
【0017】
(3)金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属を金属イオンの状態で注入した第1金属イオン注入層を設け、その上層部に、さらにAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の金属イオンを積層注入した第2金属イオン注入層を積層し、酸素を含む環境で加熱酸化処理して、第2金属の酸化物を含む又はこれを主とする酸化物層を形成させることによって、保管中に変化しにくく、ランタノイドの露出を少なくして、また耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに優れた耐食性を示す部材を提供する。
【0018】
(4)金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを同時注入することによって、ランタノイドの露出を少なくして、耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに優れた耐食性を示す部材を提供する。
【0019】
(5)金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを同時注入した同時イオン注入層を設け、酸素を含む環境で加熱酸化処理して、同時イオン注入層の上層部に前記第1金属と前記第2金属の酸化物を含む又はこれらを主とする酸化物層を積層させることによって、保管中に変化しにくく、ランタノイドの露出を少なくして、また耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに優れた耐食性を示す部材を提供する。
【0021】
(6)金属製基材の表面に、基材の形状が三次元構造であっても、その表面を均等に処理できるプラズマイオン注入法によって、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属イオンを、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で、基材表面から500nmの深さにわたって注入した金属イオン注入層を形成した後、酸素を含む環境で200℃〜800℃、0.5〜5時間加熱することによって、前記金属の酸化物を含む又はこれを主とする酸化物層を前記金属イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする耐ハロゲンガス性に優れた部材の製造方法を提供する。
【0022】
(7)金属製基材の表面に、基材の形状が三次元構造であっても、その表面を均等に処理できるプラズマイオン注入法によって、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属をイオンの状態で、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で、基材表面から500nmの深さにわたって注入した後、その注入層の上から、さらにプラズマイオン注入法によって、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属をイオンの状態で、1cm2当たり1×1012〜1×1022、基材表面から500nmの深さにわたって積層注入することを特徴とする耐ハロゲンガス性に優れた部材の製造方法を提供する。
【0023】
(8)金属製基材の表面に、基材の形状が三次元構造であっても、その表面を均等に処理できるプラズマイオン注入法によって、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンを、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で、基材表面から500nmの深さにわたって注入して第1金属イオン注入層を形成した後、さらにAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で、基材表面から500nmの深さにわたって積層注入して前記第1金属イオン注入層の上層部に第2金属イオン注入層を形成した後、酸素を含む環境で200℃〜800℃、0.5〜5時間の加熱酸化処理を行うことによって、前記第2金属の酸化物を含む又はこれを主とする酸化物層を前記第2金属イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする耐ハロゲンガス性に優れた部材の製造方法を提供する。
【0024】
(9)金属製基材の表面に、基材の形状が三次元構造であっても、その表面に均等に処理でき、また一度の操作で複数の金属イオンの注入が可能なプラズマイオン注入法によって、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを同時に、1cm2当たり1×1012〜1×1022、基材表面から500nmの深さにわたって注入することを特徴とする耐ハロゲンガス性に優れた部材の製造方法を提供する。
【0025】
(10)金属製基材の表面に、基材の形状が三次元構造であっても、その表面に均等に処理でき、また一度の操作で複数の金属イオンの注入が可能なプラズマイオン注入法によって、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で、基材表面から500nmの深さにわたって同時に注入して同時イオン注入層を形成した後、酸素を含む環境で200℃〜800℃、0.5〜5時間の加熱酸化処理を行い、前記同時注入層の上層部に前記第1金属と第2金属の酸化物を含む又はこれらを主とする酸化物層を積層させることを特徴とする耐ハロゲンガス性に優れた部材の製造方法を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る耐ハロゲンガス皮膜被覆部材及びその製造方法を説明する。
まず、金属製基材の表面に注入する、元素の周期律表第IIIA族に属するランタノイド(以下、ランタン系列元素ともいう)の概要を述べるとともに、耐ハロゲンガス用として利用するランタン系列元素の物理化学特性およびその金属イオンの注入方法について具体的に説明する。
【0027】
(1)ランタン系列金属元素の概要
ランタン系列元素は原子番号57から71までの、ランタンLa、セリウムCe、プラセオジムPr、ネオジムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユウロビウムEu、ガドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLu、15元素である。
これらの金属は酸化され易いうえ、水分とも容易に反応して水素を発生し、水素、窒素、ハロゲンとも反応する。このため、ランタン系列金属をそのままの状態で金属製基材の表面に皮膜として形成することが困難であり、また皮膜として形成できたとしても、空気中に含まれる水分(湿度)と反応するため、工学的に利用することができない。
しかしランタン系列金属はハロゲンガスと激しく反応はするものの、その結果ランタン系列金属の表面に生成するランタン系列金属のフッ化物は、蒸気圧が非常に低く、このフッ化物が膜状に存在すると、耐ハロゲンガス性が著しく向上することを見出した。特にF2ガスやフッ化物のガスに対する化学的抵抗性が非常に強くなることがわかった。本発明は以上のようなランタン系列金属の性質を利用するものである。
【0028】
(2)ランタン系列金属の利用方法の選択
一般に金属製基材の表面を金属によって被覆する方法(金属表面処理方法)として電気めっき法、無電解めっき法、PVD法、CVD法、拡散処理法、溶融めっき法、溶射法などの方法が知られているが、化学的活性の強いランタン系列金属は、上記のいずれの方法を用いても成膜することができず、また水分を完全に除去した環境でCVD法を利用すれば成膜可能であるが、水分のない環境で使用することは事実上不可能である。
そこで発明者らは、従来の表面処理方法とは全く異なるイオン注入法によるランタン系列金属の利用を考えた。この方法によると、ランタン系列金属は、金属製基材の表面から500nm程度の範囲にイオンとして注入されるので、外気(ハロゲンガス、水分、酸素など)に触れるのは表面部のみに限定される。また外気成分がハロゲンガスの場合には、その部分のみに蒸気圧の低いフッ化物膜が生成して、基材の腐食を防ぐ作用を発揮することとなる。このような知見から発明者らはランタン系列金属をイオンの形で基材の表面に注入し、さらに必要に応じ次に示すような技術的手段を用いて、基材表面に注入したランタン系列金属の安定性と耐ハロゲンガス性を向上させることが可能である。
【0029】
(a)ランタン系列金属が注入された基材表面を酸化させて、注入金属の一部を酸化物として基材表面を被覆させる。ランタン系列金属の酸化物は化学的に安定である。
【0030】
(b)ランタン系列金属が注入された基材の表面に、ランタン系列金属に比較すると化学的に安定であるとともに、ハロゲンガスに対しても強い抵抗性を示すAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを積層注入して、ランタン系列金属が外気に露出させないようにして、注入基材の取り扱いを容易にする。
【0031】
(c)前記(b)の積層注入後、注入処理後の基材表面を酸化させて、注入金属の一部を酸化物として基材表面を被覆させる。積層注入した金属の酸化物も物理化学的に安定である。基材表面の酸化で形成される酸化物層は、注入金属の酸化物を主とすることが好ましい。そのため、基材表面に注入金属の極薄い層を形成し、この層を酸化することにより、実質的に注入金属の酸化物層を形成することができる。
【0032】
(d)基材の表面にランタン系列金属とAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属を同時に注入することによって、ランタン系列金属の外気への露出割合を小さくしたり、また酸化させて、注入したランタン系列金属の安定性を向上する。
【0033】
(3)プラズマイオン注入法(高密度パルスプラズマイオン注入装置)
本発明では、ランタン系列金属およびAl、Baなどの金属の同時注入を可能とするとともに、三次元形状の被処理体の表面に対しても均等に金属を注入するため、プラズマイオン注入法を利用することとした。従来のイオン注入法では注入イオン種を分離した後、加速器で運動エネルギーを増加させ、被処理体表面に直線的に衝突させるプロセスであるため、複雑な形状の被処理体には適用できず、また1回の操作で1種類の金属イオンしか注入できない問題がある。
以下、本発明が適用したプラズマイオン注入装置の概要とその作用効果について説明する。
【0034】
図1は本発明が使用するプラズマイオン注入装置の概略図を示したものである。装置は金属製の処理容器1の中に被処理体2を静置させるとともに、それぞれが電源3に接続され、前者は「+」極、後者は「−」極となるように配設されている。また、金属製の処理容器には、気相イオン(例えば酸素、窒素、アルゴンなど)源4、金属イオン源5などとともに、容器内の環境を制御するための真空ポンプ6(図外)や気圧調整弁7が取り付けられている。
【0035】
処理容器内の空気を真空ポンプを用いて除去した後、金属イオン種を導入し、基材に負パルス電圧(例えばパルス幅2μs〜30μs、印加電圧−1kV〜−50kV、パルス繰返し1000〜数1000pps)を印加すると、被処理体を取りまくプラズマ8中の電子は、マイナスの電荷を持つため、「−」極の被処理体表面から反撥されて飛びのき、プラスの電荷を有する金属イオンのみが残り、負のパルス電位を持つ被処理体の表面に衝突する。この場合にも、印加電圧が高い場合には基材の内部へ注入し、低い場合には表面に通常のイオンプレーティングによる皮膜形成のような薄膜となる。
【0036】
この方法の特徴は、被処理体を負のパルス電圧で印加した際に生成する金属イオンを含むプラズマ8は被処理体の表面に沿って発生するため、三次元的な形状を有する被処理体に対しても、均等に金属イオンを注入することができる。形状や寸法の異なる被処理体を一緒に容器内に入れても、同時に処理することができるので生産性の向上に大きく役立つことができる。また、この方法の特徴は、金属イオン源としてMg−Al合金を用いると両金属イオンを同時に注入することができ、またランタン系列金属とAl、Mgなどの金属イオン類も適宜同時注入が可能である。
【0037】
また、プラズマ環境中にAr、He、N2、O2などの気体分子を共存させておくと、これらの気体もイオンとなって金属イオンと同時に被処理体の表面に注入されることとなるが、このような現象に制約されるものでない。特に酸素は注入された金属を部分的に酸化物へ変化させることがあるが、この現象も注入した金属の化学的安定性に寄与する効果が期待できる。そのため、プラズマ環境中にAr、He、N2、O2などの気体分子の共存は阻害されない。
【0038】
本発明の効果が得られる金属イオンの注入層深さは、表面から500nm程度がよく、500nmより深くても耐ハロゲンガス性の効果に格段の差が認められず、また、イオン注入法では500nm以上の深さの注入層を生成するのは困難である。
【0039】
一方、注入エネルギーを低くして金属イオン注入層の上に形成させる金属薄膜は1〜30μm厚が好適である。1μm厚以下の薄膜の制御は困難であり、また30μm厚以上の厚膜にしても耐ハロゲンガス性に改善の効果が認められないからである。
【0040】
なお、金属イオン注入法では、図1に示したように、「+」に帯電した金属イオンを「−」極の被処理体の表面に衝突させるが、注入した金属イオンは「−」極のエレクトロンによって金属に還元される。このとき金属は体積を膨張させるので注入面を緻密に被覆する特徴を利用することができる。
【0041】
上述したプラズマイオン注入法によって、金属製基材の表面に耐ハロゲンガス性に優れた金属を注入すると、無処理状態の基材においては、ハロゲンガス、特にF2ガスおよびフッ化物ガスと接触する半導体加工装置部材が激しく腐食されるとともに、その腐食生成物としての金属フッ化物の蒸気圧が高く、これが装置環境の汚染原因となっている現象を防ぐため、耐ハロゲンガス性に優れた金属イオン注入層を有する金属製部材を形成することができる。
【0042】
従来技術による耐ハロゲンガス性表面処理技術として提案されているAlおよびAl合金の溶融めっき処理、拡散浸透処理、圧接などの方法では、三次元形状の部材には均等な膜厚で処理できないうえに、被処理体に大きな熱負荷を与えるため、部材が変形したり、材質が劣化したりするなどの影響が顕在化するので精密部材への適用が困難であった。また、イオン注入法では、金属イオンの直進性のため、平坦な金属製基材の表面に対して、ほぼ90°の角度で注入させる必要があるため、三次元形状の被処理体表面への均等な金属イオンの注入は困難であるほか、複数の金属イオンを同時に注入できず、生産性に問題点がある。しかし、上述したプラズマイオン注入装置によると、三次元的な形状有する被処理体に対しても、均等に金属イオンを注入することができる。形状や寸法の異なる被処理体を一緒に容器内に入れても、同時に処理することができるので生産性の向上に大きく役立つことができる。また、この方法の特徴は、金属イオン源としてMg−Al合金を用いると両金属イオンを同時に注入することができ、Ba、Ca、Yなどの金属イオン類も適宜同時注入が可能である。
【0043】
(4)本発明の技術が適用可能な金属製基材質
本実施形態のランタン系列金属などの金属イオンの注入は、アルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、炭素鋼、各種ステンレス鋼、Ni基合金、Co基合金など金属製基材であればあらゆる基材に適用可能である。また、上記の金属製基材の表面に、電気めっき法、溶射法、化学的蒸着法(CVD法)、物理的蒸着法などによって、金属質の皮膜を形成した場合、その表面被覆層に対しても金属イオンを注入することができる。
【0044】
(5)本発明に係るイオン注入層を備えた基材の断面構造例
本発明に係るプラズマイオン注入層を備えた金属基材の断面構造例を図2(a)〜図2(f)に示す。
【0045】
図2(a)は金属製基材21の表面から内部に向かってランタン系列金属のイオン注入層(処理層)22を設けた状況を示す。
【0046】
図2(b)は、金属製基材21の表面に一次イオン注入層としてランタン系列金属の第1金属イオン注入層(処理層)22を設けた後、第1金属イオン注入層22の上層部にAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属イオン注入層23を二次的注入によって積層したものである。第1金属イオン注入層22と第2金属イオン注入層23の境界付近は、第1注入金属と第2注入金属が相互に混合分散している混合注入部分24となっている。
【0047】
図2(c)は、金属製基材21の表面にランタン系列金属の第1金属イオンとAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属の第2金属イオンとを同時に注入した場合の注入層断面を示したものである。第1注入金属と第2注入金属とが相互に混合分散している混合注入部分24として同時金属イオン注入層が存在している。
【0048】
図2(d)は、図1(a)に示したように、金属製基材21の表面にランタン系列金属イオンを注入して金属イオン注入層(処理層)22を形成した後、加熱酸化処理によって、金属イオン注入層22の上層部に注入金属の酸化物を主とする酸化物層25を設けたものである。
【0049】
図2(e)は、図2(b)に示したように、金属製基材21の表面にランタン系列金属イオンを注入して第1金属イオン注入層(処理層)22を形成した後、その上層部にAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属のイオンを積層注入して第2金属イオン注入層23を形成し、さらにその上層部に二次注入金属の酸化物を主とする酸化物層25を形成したものである。
【0050】
図2(f)は、図1(c)の同時金属イオン注入層(処理層)24の表面を酸化して、その上層部に同時注入された両金属の酸化物を主とする酸化物層25を設けたものである。
【0051】
なお、プラズマイオン注入法では、注入層全体が同一金属濃度で構成されず、基材表面から20〜50nmの範囲に高濃度部分が存在することが多い。また一般的に注入電圧を高くすれば金属イオンの注入深さは大きくなるが、電圧を負荷しない場合や印加電圧が小さい場合には、基材の表面に薄膜として形成される。図2の金属イオン注入層の断面構造例は、注入層の金属濃度を均等とし薄膜の生成を削除した状態を示したものであり、薄膜の存在も本発明の範疇に属していることを付記するものである。特に、金属イオン注入層の上に、注入金属の酸化物を主とする酸化物層を形成するためには、前記薄層を形成することが望ましい。
【0052】
(6)金属イオン注入層および薄膜形成後の熱処理
金属イオン注入層を設けた金属製基材は、注入処理時に昇温するので、注入と同時に熱処理的な効果を受けるため、そのままで実用に供することができる。また、金属イオン注入層は、注入された金属の集合体とはいえ、体積的変化は非常に小さく、しかも基材表面から500nmの深さにとどまっているため、工学的には寸法的変化は認められないので、精密加工部材への適用が可能である。
【0053】
しかし、ミクロ的に金属イオンへの注入部を考察すると、正常な結晶構造を有する基材金属の表面近傍へ衝撃的に金属が注入されると、結晶構造が歪んだり、一部の結晶が破壊している。また、注入した金属が必ずしも均等な濃度で分散しているとは限らない。
【0054】
そこで金属イオン注入層を設けた後、またその上に金属薄膜を形成した後、必要に応じて、大気、真空または不活性ガスの雰囲気中で200℃〜800℃、0.5〜5時間の熱処理を行なうことが好ましい。
【0055】
この熱処理によって、金属イオンの注入に起因する残留応力が解放されるとともに、局所的には注入金属と基材金属成分との結合などが行なわれて注入層部が安定化する。
また薄膜は緻密化するとともに、薄膜を構成する金属成分の相互結合力および基材金属との密着性の向上などが期待でき、また、必要に応じて薄膜を化学的に安定な酸化物に変化させることもできる。
【0056】
熱処理温度が200℃より低い場合は前掲の効果に乏しく、また800℃以上の温度では注入した金属が基材の表面にとどまらず、内部へ拡散して耐ハロゲンガス性を低下させるので好ましくない。
【0057】
【実施例】
<実施例1>
この実施例では、SUS304鋼(20mm×30mm×3mm)を基材とし、その表面に対しプラズマイオン注入法を用いて、Dy、Ce、Eu、Laの金属イオンを1cm2当たり1×1018注入した。その後、この試験片の半数を大気中で400℃×30分の加熱処理を行い、次いで600hPaの蒸気圧を有する300℃のF2ガス中に24時間曝露して、試験片表面を目視観察するとともに、オージェ電子分光装置などの物理分析装置を用い、注入した金属の挙動を調査した。
【0058】
また、比較例としてSUS304鋼の無処理および同じ方法、条件で注入したTi、Si、Nb、Ta金属イオンの注入試験片も同条件で曝露試験に供した。表1はこの結果を示したものである。
【0059】
【表1】
【0060】
この結果から明らかなように、比較例のSUS304鋼無処理(No.17、18)では、F2ガスの腐食作用によって前面にわたって赤さびが発生した。また、SUS304鋼にTi、Si、Nb、Ta金属イオンを注入したもの(No.9〜16)では、酸化処理の有無に関係なく微小な腐食痕とともに赤さびの発生が多く、耐F2ガス性に乏しいことが判明したが、腐食痕の発生割合は酸化処理したものが、若干少ない傾向にあった。
【0061】
これに対し、本発明に属する試験片(No.1〜8)は、加熱酸化処理の有無に関係なく赤さびの発生は認められず、優れた耐F2ガス性を発揮していた。優れた耐食性を示す試験片の表面をオージェ電子分光装置で調査したところ、全ての試験片において、フッ化物層(MFx:ここでMは注入金属、X=1〜3)として注入金属の濃化層の存在が認められ、蒸気圧の低いフッ化物層の存在によって、優れた耐F2ガス性を発揮している状態が観察された。なお、試験片表面におけるフッ化物生成は、酸化処理試験片の方が少なく、耐F2ガス性に優れている様子がうかがえた。
【0062】
<実施例2>
この実施例では、SUS304鋼とAl(JISH4000、A1070)の試験片(寸法20mm×30mm×3mm)を用い、その表面にプラズマイオン注入法によって、はじめにランタン系列金属のLa、Ce、Euを1×1012イオン/cm2注入した後、その上にAl、Mg、Yイオンをそれぞれ1×1012イオン/cm2積層注入した。その後、これらの試験片をF2とNF3の100hPaの雰囲気中で、300℃、24時間の曝露試験を行い、金属イオン注入面の腐食状況を調査した。
【0063】
また、この実施例では、比較例として無処理のSUS304鋼、Al(A1070)とともにTi、Si、Taの金属イオン注入試験片を同条件で曝露した。
【0064】
なお、以上の各試験片に対し、曝露試験に先立って大気中で400℃、30分の酸化処理したものの効果についても調査した。表2はこの結果を示したものである。
【0065】
【表2】
【0066】
この結果から、一次注入イオン金属として本発明に係るLa、Ceを注入しても、その上に積層注入する金属に耐F2ガス性がなければ(No.13〜16)、試験片の表面は、F2ガスやNF3ガスによって耐F2ガス性に乏しい金属イオン注入層が腐食される。この傾向は基材がAlに変わっても(No.17、18)同様であった。
【0067】
また、無処理のSUS304鋼(No.19)では赤さびの発生が多く、Al基材(No.20)では赤さびの発生は認められないものの、非常に粗しような反応生成物の生成が認められた。これに対し、本発明の試験片(No.1〜12)はイオン注入後の酸化処理の有無にかかわらず、極めて平滑な状態を維持しており、耐F2ガス性に優れていることが確認された。
【0068】
<実施例3>
この実施例では、SUS304鋼とAl合金(JISH4000、A5052)の試験片(寸法20mm×30mm×3mm)を用い、その表面にプラズマイオン注入法によって、ランタン系列金属のLa、Ce、EuとAl、Ca、Mg、Yなどの金属を同時注入した後、その試験片の半数を350℃×24時間加熱酸化し、100hPaの蒸気圧を有するF2ガス中で、300℃×24時間の曝露試験に供し、同時金属イオン注入層の耐F2ガス性を評価した。
【0069】
この実施例では、比較例としてSi/Ta、Si/Ti、Ti/Nbの同時注入試験片を準備し、同じ条件で耐F2ガス性を評価した。
【0070】
なお、この実施例における同時金属イオン注入量は、1×1019イオン濃度/cm2である。表3はこの結果を示したものである。
【0071】
【表3】
【0072】
この結果から明らかなように、比較例のように耐F2ガス性乏しい金属類の同時注入試験片(No11〜16)は、基材の種類および酸化処理の有無に関係なく、すべて激しく腐食され小さなアバタ状の腐食痕が多数発生した。
【0073】
これに対して、本発明に係る金属イオンの注入層(No.1〜10)は、すべて平滑で腐食痕の発生は認められず、良好な耐F2ガス性を発揮した。特に酸化処理を施した試験片は、F2ガス性の吸着は認められるものの外観上の変化はほとんど認められなかった。
【0074】
<実施例4>
この実施例では、実施例1と同じSUS304鋼試験片を用い、これにプラズマイオン注入法によって、ランタン系列金属単独、ランタン系列金属注入層の上にMgを積層注入したものおよびランタン系列金属とCaを同時注入した試験片(金属イオンの注入濃度は何れも1×1018イオン/cm2)を準備した後、これらの試験片をプラズマで励起された含F2ガス雰囲気中に10時間曝露した。この曝露試験室には、直径8インチのシリコンウエハーを静置し、10時間後にウエハーの表面に付着するパーティクル粒子(環境汚染粒子)の数を拡大鏡を用いて観察記録した。拡大鏡の観察記録可能な粒子径は概ね0.2μmであった。
【0075】
曝露試験環境の構成は以下の通りである。
(1)雰囲気ガス:CF4/Ar/O2の混合割合は、容量比で100/100/10cm3、ガスの圧力100Pa、温度60℃
(2)プラズマ照射出力:高周波電力:1300w×10時間
なお、この試験には、比較例として無処理のSUS304鋼、陽極酸化(アルマイト処理)したAl板に加え、SUS304鋼にプラズマイオン注入法によってTi、Nbの金属イオンを1×1018/cm2注入したものも同条件で曝露試験に供した。表4は以上の試験結果を要約したものである。
【0076】
【表4】
【0077】
この結果から明らかなように、無処理のSUS304鋼(No.13)、Alを陽極酸化した試験片(No.14)をはじめ、比較例の金属イオン注入試験片(No.7〜12)では、多量のパーティクル粒子の付着が認められ、F2ガスによって腐食された粒子の飛散が多いことがわかった。
【0078】
これに対して、本発明に係る金属イオンを注入した試験片(No.1〜6)の場合は、パーティクル発生数は非常に少なく、耐F2ガス性に優れた金属イオン注入層は環境汚染の低減に効果のあることが認められた。
【0079】
なお、この実施例では、金属イオン注入面の酸化処理の効果について、有効な場合と効果が認められないものが混在していたが、いずれの場合でも、比較例よりパーティクル粒子の付着数は少なく、プラズマ励起されたF2ガス雰囲気中においても、耐食性に優れていることが判明した。
【0080】
【発明の効果】
以上、実施例で詳述したように、ランタノイドの金属イオン注入層を有する金属製部材、またランタノイドの金属イオン注入層の上層部にAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属を積層注入した部材、または同時注入した部材、さらに前記の注入層の外気と接触する基材表面に注入金属を含む又は主とする酸化物層を形成した部材は、耐ハロゲンガス性、特にF2ガスやフッ化物ガスに対して優れた耐ハロゲンガス性を発揮する。
【0081】
プラズマイオン注入法は、化学的活性度の高いランタノイドでもイオン化させることによって注入を可能とし、またその注入層は、複雑な形状を有する部材でも均等に注入できるほか、複数の金属イオン種を同時に注入することが容易である。また、金属イオンが注入される層の深さは、基材表面から500nm程度であるため、精密加工部材に対しても寸法変化を与えないなどの効果がある。
【0082】
以上のような結果から、本発明の金属イオン注入層を備えた部材からなる半導体加工装置は、装置部材の腐食による損耗が少なく、腐食反応生成物に起因する半導体加工装置環境の汚染度が低下するため、高精度の半導体加工が容易となるとともに、汚染の都度実施していた装置の洗浄・清掃などの作業回数が少なくなり、生産性の向上にも大きく貢献することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマイオン注入装置の概略図。
【図2】本発明による金属イオン注入処理層を有する金属部材表面近傍の断面構造例図。
【符号の説明】
1 金属製の処理容器
2 被処理体
3 直流電源
4 気相系イオン源
5 金属系イオン源
6 真空ポンプ図外
7 気圧調整弁
8 金属イオンを含むプラズマ
21 金属製基材(被処理基材)
22 ランタノイドの金属イオン注入層(処理層)
23 Al、Ba、Ca、Mg、Yなどの金属イオン注入層
24 ランタノイドとAl、Ba、Ca、Mg、Yなどとの同時金属イオン注入層
25 注入イオン金属を主とする酸化物層
Claims (14)
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属の金属イオンが注入された金属イオン注入層が設けられ、前記金属イオン注入層の上層部を、酸素を含む雰囲気中で200℃〜800℃の温度で酸化させることによって得られた前記ランタノイドから選ばれる1種以上の金属の酸化物を含む緻密な酸化物層が積層されていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材。
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属の金属イオンが注入された金属イオン注入層が設けられ、前記金属イオン注入層の上層部を、酸素を含むプラズマ環境中で酸化させることによって得られた前記ランタノイドから選ばれる1種以上の金属の酸化物を含む緻密な酸化物層が積層されていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材。
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンが注入された第1金属イオン注入層が設けられ、その上層部にAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンが注入された第2金属イオン注入層が積層されていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材。
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンが注入された第1金属イオン注入層が設けられ、その上層部にAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンが注入された第2金属イオン積層注入層が積層され、さらに最上層部に前記第2金属の酸化物を含む酸化物層が形成されていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材。
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイド元素から選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンとが同時に注入された同時イオン注入層が設けられていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性部金属材。
- 金属製基材の表面に、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのまでのランタノイド元素から選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の2金属イオンとが同時に注入された同時金属イオン注入層が設けられ、その上層部に前記第1金属と前記第2金属の酸化物を含む酸化物層が積層されていることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属の金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で注入した金属イオン注入層を形成した後、酸素を含む雰囲気中で200℃〜800℃の温度で0.5〜5時間加熱することによって、前記金属イオン注入層の上層部を前記金属の酸化物層に変質させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の金属の金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm 2 当たり1×10 12 〜1×10 22 イオン濃度で注入した金属イオン注入層を形成した後、酸素を含むプラズマ環境中で酸化させることによって、前記金属イオン注入層の上層部を前記金属の酸化物層に変質させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で注入した後、その注入層の上からAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で積層注入することを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に、1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で注入して第1金属イオン注入層を形成した後、この注入層の上からAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で積層注入して前記第1注入層の上層部に第2金属イオン注入層を形成した後、酸素を含む雰囲気中で200℃〜800℃の温度で0.5〜5時間加熱することによって、前記第2金属の酸化物を含む酸化物層を前記第2金属イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に、1cm 2 当たり1×10 12 〜1×10 22 イオン濃度で注入して第1金属イオン注入層を形成した後、この注入層の上からAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを1cm 2 当たり1×10 12 〜1×10 22 イオン濃度で積層注入して前記第1注入層の上層部に第2金属イオン注入層を形成した後、酸素を含むプラズマ環境中で酸化させることによって、前記第2金属の酸化物を含む酸化物層を前記第2金属イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で同時注入することを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm2当たり1×1012〜1×1022イオン濃度で同時注入して同時イオン注入層を形成した後、酸素を含む雰囲気中で200℃〜800℃の温度で0.5〜5時間加熱することによって、前記第1金属の酸化物と前記第2金属の酸化物を含む酸化物層を前記同時イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
- 金属製基材の表面に、プラズマイオン注入法を用いて、元素の周期律表第IIIA族に属する原子番号57から71までのランタノイドから選ばれる1種以上の第1金属の第1金属イオンと、Al、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の第2金属の第2金属イオンを、基材の表面から500nm深さの範囲内に1cm 2 当たり1×10 12 〜1×10 22 イオン濃度で同時注入して同時イオン注入層を形成した後、酸素を含むプラズマ環境中で酸化させることによって、前記第1金属の酸化物と前記第2金属の酸化物を含む酸化物層を前記同時イオン注入層の上層部に積層させることを特徴とする半導体加工装置に用いる耐ハロゲンガス性金属部材の製造方法。
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