JP4014812B2 - アンテナユニット、アンテナ装置および放送塔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、UHF帯で広帯域特性を有する2N(Nは自然数)個のループを形成するループアンテナ素子からのアンテナ指向性を自在に改善することができるアンテナユニット、アンテナ装置および放送塔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近い将来、地上波ディジタル放送がUHF帯において開始される。現在のアナログ放送におけるUHF帯の送信アンテナは、双ループアンテナが多用され、各周波数に合わせて設計されている。UHF帯のディジタル化は、アナログ放送と違い同じ時間軸上でネットワークの整備が進められていると考えられる。このため、サテライト局では、各社共同でアンテナシステムを建設する傾向がある。したがって、アンテナコストを下げるためには、複数のチャネルをカバーできる広帯域アンテナが有効である。一方、このディジタル放送開始前の過渡期におけるアナログ/アナログ変換を考えると、広帯域アンテナは必須のものと考える。
【0003】
図18は、従来の双ループアンテナの平面図である。双ループアンテナ100は、長手方向に沿う両縁部を略45°に折り曲げて、主面を形成した平板状の反射器106上に、その周長が送信周波数の略波長λとなる円弧状のループアンテナ素子101,102によって形成されるループLP101およびループアンテナ素子103,104によって形成されるループLP102を有した双ループアンテナを、この主面に垂直な方向に、単一指向性を持たせて送信する。
【0004】
ところで、図18に示された双ループアンテナは、放送塔などに多数配置されて使用される。各双ループアンテナの合成指向性にヌル点が存在すると、不感地帯が発生し、この不感地帯に対する改善のために合成指向性を変更設定する必要がある。一般に、複数アンテナの合成指向性は、各アンテナに供給される電力比に差を設けたり、給電位相に位相差を設けることによって変更することができる。
【0005】
たとえば、図19に示すように、給電線400から供給される電力を、一端、電力分配器500に入力し、この電力分配器500によって、各双ループアンテナ200,300に電力を給電する給電線400a,400bへの電力分配比を適切に設定し、この電力分配によって各双ループアンテナ200,300の合成指向性を変更設定するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の双ループアンテナ200,300の合成指向性を変更設定する方式では、電力分配器500を必要とし、アンテナ装置全体の小型軽量化を阻害するとともに、電力分配器500を介するため、給電線の本数が多くなるという問題点があった。
【0007】
また、電力分配のみならず、給電位相に位相差を設けて合成指向性を変更設定する場合では、異なる電気長すなわち異なる長さの給電線を複数設ける必要があり、このための労力と時間がかかるという問題点があった。
【0008】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、簡易な構成で各双ループアンテナからの合成指向性を任意に変更設定することができるアンテナユニット、アンテナ装置および放送塔を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるアンテナユニットは、それぞれ2N(Nは自然数)個のループを形成する2のm乗(mは自然数)個のループアンテナ素子と、前記ループアンテナ素子に対する電力を伝送する第1の同軸線路からなる第1の給電線と、前記各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続する第2の同軸線路からなる第2の給電線と、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたそれぞれのインピーダンスに変換する複数のトランスフォーマと、前記各ループアンテナ素子との間に所定の距離を置いて配置される反射板とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この請求項1の発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、複数のトランスフォーマが、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたそれぞれのインピーダンスに変換して、各ループアンテナ素子に対する電力分配をインピーダンス整合しつつ行い、合成指
向性のヌル点をなくすようにしている。
【0011】
また、請求項2にかかるアンテナユニットは、それぞれ2N(Nは自然数)個のループを形成する2のm乗(mは自然数)個のループアンテナ素子と、前記ループアンテナ素子に対する電力を伝送する第1の同軸線路からなる第1の給電線と、前記各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続する第2の同軸線路からなる第2の給電線と、前記各ループアンテナ素子との間に所定の距離を置いて配置される反射板とを備え、前記2分岐される分岐点は、該分岐点から前記ループアンテナ素子までの間の電気長を異ならせて接続したことを特徴とする。
【0012】
この請求項2の発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、前記2分岐される分岐点を、該分岐点から前記ループアンテナ素子までの間の電気長を異ならせて接続し、各ループアンテナ素子に対して位相差給電を行うことによって、合成指向性のヌル点を変更設定するようにしている。
【0013】
また、請求項3にかかるアンテナユニットは、それぞれ2N(Nは自然数)個のループを形成する2のm乗(mは自然数)個のループアンテナ素子と、前記ループアンテナ素子に対する電力を伝送する第1の同軸線路からなる第1の給電線と、前記各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続する第2の同軸線路からなる第2の給電線と、前記各ループアンテナ素子との間に所定の距離を置いて配置される反射板と、を備え、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置したことを特徴とする。
【0014】
この請求項3の発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置し、合成指向性のヌル点をなくすようにしている。
【0015】
また、請求項4にかかるアンテナユニットは、上記の発明において、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたインピーダンスにそれぞれ変換する複数のトランスフォーマをさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
この請求項4の発明によれば、複数のトランスフォーマによって、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたインピーダンスにそれぞれ変換し、合成指向性のヌル点をなくすようにしている。
【0017】
また、請求項5にかかるアンテナユニットは、上記の発明において、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置したことを特徴とする。
【0018】
この請求項5の発明によれば、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置し、合成指向性のヌル点をなくすようにしている。
【0019】
また、請求項6にかかるアンテナユニットは、上記の発明において、分岐側の中心導体を摺動し、分岐元の中心導体に接合されるリング部材によって分岐接続され、該リング部材は、固定部材によって固定されることを特徴とする。
【0020】
この請求項6の発明によれば、リング部材によって、分岐側の中心導体に摺動可能に接合され、固定部材によって固定されるようにし、分岐点の位置を柔軟に設定できるようにしている。
【0021】
また、請求項7にかかるアンテナ装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の複数のアンテナユニットを円環状に均等に配列し、各アンテナユニットから放射される電波を合成して略無指向の水平放射パターンを得ることを特徴とする。
【0022】
この請求項7の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一つに記載の複数のアンテナユニットを円環状に均等に配列し、各アンテナユニットから放射される電波を合成して略無指向の水平放射パターンを得るようにしている。
【0023】
また、請求項8にかかる放送塔は、請求項7に記載のアンテナ装置を、所定の地上高に設置したことを特徴とする。
【0024】
この請求項8の発明によれば、請求項7に記載のアンテナ装置を、所定の地上高に設置し、これによって、任意の垂直合成指向性に変更設定できるとともに、略無指向の水平指向性が得られる放送塔を実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるアンテナユニット、アンテナ装置および放送塔の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1および図2は、この発明の実施の形態1であるアンテナユニットの概要構成を示す図であり、図1は、このアンテナユニットの正面図を示し、図2は、このアンテナユニットの右側面図を示す。
【0027】
図1および図2において、このアンテナユニットは、2つのアンテナエレメントからなる2Lアンテナ素子1,2を有する。すなわち、4つのアンテナエレメント1a,1b,2a,2bを有する。2Lアンテナ素子1は、2つのアンテナエレメント1a,1bからなり、それぞれが対向して2つのループLP1,LP2を形成する。また、2Lアンテナ素子2は、2つのアンテナエレメント2a,2bからなり、それぞれが対向して2つのループLP3,LP4を形成する。各ループ長は、ほぼ送信信号の波長λにほぼ等しく設定される。各2Lアンテナ素子1,2は、それぞれ長手方向に直列に配置される。また、各2Lアンテナ素子1,2自体のインピーダンスは、略100Ωである。
【0028】
各2Lアンテナ素子1,2の給電点には、それぞれ特性インピーダンスが100Ωの給電線3(3a,3b)が接続され、給電線3の中央(中点)には、特性インピーダンスが50Ωの同軸ケーブル4が接続され、同軸ケーブル4および給電線3を介して各2Lアンテナ素子1,2に対して給電される。給電線3の中点によって分岐された給電線3aは、2Lアンテナ素子1側に延び、給電線3aの内部導体11aが2Lアンテナ素子1の一方のアンテナエレメント1aに直接接続される。また、給電線3の中点によって分岐された給電線3bは、2Lアンテナ素子2側に延び、給電線3bの内部導体11bが2Lアンテナ素子2の他方のアンテナエレメント2bに直接接続される。なお、給電線3a,3bの外部導体は、反射板5を介して各2Lアンテナ素子1,2のアンテナ端部に接続される。
【0029】
なお、同軸ケーブル4には、給電線3a,3bが2分岐して接続され、並列となった給電線3a,3bの合成インピーダンスを考慮すると、100Ωの特性インピーダンスをもつ給電線3a,3bと同軸ケーブル4とは、単純にインピーダンス整合する。また、各2Lアンテナ素子1,2は、インピーダンスが100Ωの各給電線3a,3bとも、容易にインピーダンス整合する。したがって、複雑なインピーダンス整合を行わなくても済む。ただし、後述するように、各2Lアンテナ素子1,2に対する電力分配比を異ならせるために、同軸ケーブル4と給電線3a,3bとの接続点から、各2Lアンテナ素子1,2側にトランスフォーマを設けている。
【0030】
上述したように、2Lアンテナ素子1,2は、長手方向に沿う両縁部を略45°該2Lアンテナ素子1,2側に折り曲げて主面を形成した平板状の反射板5上に、略波長λとなる円弧状のループアンテナ素子を有した双ループアンテナである。2Lアンテナ素子1,2は、反射板5の面に対して高さL5の位置に平行に設置される。ループLP1,LP2間の距離は、「L1」であり、ループLP3,LP4間の距離は、「L2」であり、距離L2は、たとえば距離L1と同じ0.7λである。なお、各2Lアンテナ素子1,2間の距離L3は、たとえば1.4λである。
【0031】
給電線3は、断面が矩形であり、各一端の内部導体11a,11bが各2Lアンテナ素子1,2の中央の一方に直接接続される。給電線3は、中央部において、同軸ケーブル4に接続される。なお、上述したように、給電線3は、特性インピーダンスが100Ωに設定されている。
【0032】
内部導体11aは、2Lアンテナ素子1の中央部分の平行線路間を通り、その先端とアンテナエレメント1aとの間は、L字型に橋渡され、導通される。一方、給電線3aの外部導体は、他方のアンテナエレメント1bに接続される。同様にして、給電線3bと2Lアンテナ素子2とが接続される。
【0033】
ここで、上述したトランスフォーマについて図3を参照して説明する。図3は、図1および図2に示したアンテナユニットのインピーダンス関係を示す模式図である。図3において、同軸ケーブル4の特性インピーダンスZ0は50Ωであり、電力Pが供給される。同軸ケーブル4は、給電線3a,3bに分岐するが、この分岐点には、トランスフォーマ10a,10bが設けられる。この分岐点から2Lアンテナ素子1側をみたインピーダンスをZBとし、分岐点から2Lアンテナ素子2側をみたインピーダンスをZAとし、2Lアンテナ素子1側に供給される電力をP2とし、2Lアンテナ素子2側に供給される電力をP1とすると、
P1:P2=1/ZA:1/ZB
の関係を持たせる必要がある。
【0034】
また、分岐点から先の、給電線3a,3bおよび各2Lアンテナ素子1,2の回路は、並列となっているので、
1/Z0=1/ZA+1/ZB
を満足する必要がある。
【0035】
この結果、各2Lアンテナ素子1,2側に供給される電力をP1:P2とするには、分岐点から各2Lアンテナ素子1,2側をみたインピーダンスZA,ZBを、
ZA=(P1+P2)/P1・Z0
ZB=(P1+P2)/P2・Z0
として設定すればよい。このために、上述したトランスフォーマ10a,10bを設けている。トランスフォーマ10aは、インピーダンスXBを2Lアンテナ素子1のインピーダンスZ1に変換し、トランスフォーマ10bは、インピーダンスXAを2Lアンテナ素子2のインピーダンスZ1に変換し、これによって、分岐点と各2Lアンテナ素子1,2との間のインピーダンス整合がなされる。
【0036】
たとえば、P1:P2=1:2の電力分配に設定したい場合、インピーダンスZAを75Ωに設定し、インピーダンスZBを150Ωに設定すればよいので、トランスフォーマ10aは、75Ω→100Ω変換を実現する1段もしくは多段のトランスフォーマとすればよい。また、トランスフォーマ10bは、150Ω→100Ω変換を実現する1段もしく多段のトランスフォーマとすればよい。
【0037】
図4は、上述したトランスフォーマ10a,10bの挿入による電力分配を行った場合の2Lアンテナ素子1,2の垂直合成指向性を示す図である。図4において、パターンLN1は、トランスフォーマ10a,10bを用いずに、P1:P2=1:1の電力比とした場合を示し、俯角21度でヌル点が生じている。これに対し、パターンLN2は、トランスフォーマ10a,10bを用いて、P1:P2=1:2の電力分配を行った場合を示し、ヌル点がなくした合成指向性を実現している。
【0038】
ここで、図5を参照して、ヌル点が解消される理由について説明する。図5(a)は、電力分配がP1:P2=1:1のときを示し、俯角θ方向、たとえば21度のときに、距離d=(2n+1)λ/2(nは自然数)となった場合、各2Lアンテナ素子1,2から送信される電磁波の位相差は逆相となっているため、各2Lアンテナ素子1,2の合成電磁波の電界強度は「0」となる。
【0039】
一方、図5(b)に示すように、電力分配比を異ならせ、たとえば電力分配比P1:P2=1:2とした場合、たとえ、位相差d=(2n+1)λ/2となる角度が生じても、各2Lアンテナ素子1,2からの各電界強度が異なるため、各2Lアンテナ素子1,2の合成電磁波の電界強度は、「0」とならず、合成指向性にヌル点は生じない。
【0040】
なお、電力分配比については任意であり、単に、電力分配比に対応したインピーダンス変換を行うトランスフォーマ10a,10bを挿入すればよい。また、上述した実施の形態1では、2つの2Lアンテナ素子1,2を、1つの反射板5に設ける場合について説明したが、これに限らず、反射板5上に、2のm乗個の2Lアンテナ素子を配列した場合でも、同様にして適用することができる。この場合、任意の分岐点にトランスフォーマを設ければよい。
【0041】
さらに、上述した実施の形態1では、2Lアンテナ素子1,2を一例として説明したが、これに限らず、ループを4つ有する4Lアンテナ素子など、複数のループを有したアンテナ素子に対しても適用できる。
【0042】
この実施の形態1では、電力分配比に対応したトランスフォーマ10a,10bを分岐点から2Lアンテナ素子1,2側に設け、インピーダンス整合をとり、各2Lアンテナ素子1,2に所望の電力分配を行うようにし、簡易な構成で、合成指向性のヌル点をなくすことができる。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、トランスフォーマを用いて各2Lアンテナ素子に対する電力分配を行って合成指向性のヌル点をなくす合成指向性を得るようにしていたが、この実施の形態2では、給電線3a,3bの電気長を異ならせて、各2Lアンテナ素子1,2に対して位相差給電を行い、これによって合成指向性のヌル点を移動させるようにしている。
【0044】
図6は、この発明の実施の形態2であるアンテナユニットの概要構成を示す模式図である。図6において、2つの2Lアンテナ素子1,2の給電線3a,3bと、同軸ケーブル4との分岐点の位置を変え、各給電線3a,3bとの長さをL10,L11として、電気長を変化させるようにしている。なお、電気長を変化させて位相差給電を行うのであり、各給電線3a,3bの長さが異なっても、同相となる電気長であってはならない。その他の構成は、実施の形態1と同じあり、同一構成部分には同一符号を付している。ただし、トランスフォーマ10a,10bは設けられていない。したがって、各2Lアンテナ素子1,2に対する電力分配比も1:1である。
【0045】
図7は、上述した給電線3a,3bの電気長を代えて位相差給電を行った場合の垂直合成指向性を示す図である。図7において、パターンLN1は、位相差給電を行わない場合を示し、俯角21度でヌル点が生じている。これに対し、パターンLN2は、位相差を45度つけた位相差給電を行った場合を示し、ヌル点が26.5度にシフトした合成指向性に変更設定されている。なお、位相差Δφは、波長をλとすると、
Δφ=2π/λ・|L10−L11|
である。
【0046】
なお、上述した実施の形態2では、同軸ケーブル4と、各給電線3a,3bとの分岐点を固定接続するようにしていたが、図8に示すように分岐点を任意の位置に接続できる構成としてもよい。図8は、図6に示した分岐点近傍Aの詳細構成を示す図である。図8において、摺動部材21は、給電線3の中心導体23を貫通させる貫通孔を有し、給電線3と接続され、中心導体23に沿って摺動自在となっている。
【0047】
摺動部材21の下部は、同軸ケーブル4の中心導体に接続される。同軸ケーブル4の外部導体は、接続平板に接続され、接続平板を介して給電線3の外部導体に接続される。この場合、同軸ケーブル4の外部導体下部には、中心導体23に沿ってガイド22が設けられ、同軸ケーブル4と摺動部材21とが一体になって移動できるようにしている。ここで、各2Lアンテナ素子1,2に対して所望の位相差を与える分岐点の位置が決定されると、この位置において、接続治具25によって接続平板を、給電線3の外部導体下部に締め付け、その位置を固定する。このような構成とすることによって、ヌル点を所望の位置にシフトさせる位相差給電を柔軟に行うことができる。
【0048】
この実施の形態2では、各2Lアンテナ素子1,2に対して任意の位相差を設けた位相差給電を行うようにしているので、ヌル点を任意にシフトした合成指向性を得ることができる。このヌル点のシフトによって、不感帯を解消することができる。また、分岐点の位置を任意に変更できる構成としているので、汎用性のあるアンテナユニットを実現できる。
【0049】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1では、各2Lアンテナ素子1,2に対して電力分配を行ってヌル点をなくした合成指向性に変更設定し、実施の形態2では、各2Lアンテナ素子1,2に対する電気長を代えて位相差給電を行って合成指向性のヌル点をシフトさせるようにしていたが、この実施の形態3では、各2Lアンテナ素子1,2のループ間位置を異ならせることによって、各2Lアンテナ素子の合成指向性のヌル点をなくすようにしている。
【0050】
図9は、この発明の実施の形態3であるアンテナユニットの概要構成を示す模式図である。図9において、2つの2Lアンテナ素子31,32は、上述した実施の形態1,2における2Lアンテナ素子1,2に対応するが、ループLP1,LP2間の距離L1と、ループLP3,LP4間の距離L2とが異なるようにしている。すなわち、距離L1は、0.7λであるが、距離L2は、0.5λと短くしている。なお、各2Lアンテナ素子31,32間の距離L3は、1.4λとしている。このように図9に示したアンテナユニットでは、各距離L1〜L3が異なる距離になるようにしている。その他の構成は、実施の形態1におけるトランスフォーマ10a,10bを設けない構成あるいは実施の形態2における給電線3a,3bの電気長を同じにした構成と同じである。なお、図9に示したアンテナユニットの構成の比較のため、実施の形態1,2と同じループ配置にした場合、すなわち距離L1,L2を0.7λとし、距離L3を1.4λとした構成を図10に示している。また、図11は、距離L1,L2を0.5λとし、距離L3を1.4λとしたアンテナユニットの構成を示している。
【0051】
また、図12は、図10および図11に示したアンテナユニットに対する垂直合成指向性を示している。パターンL12は、図10に示したアンテナユニットに対する垂直合成指向性、すなわち距離L1,L2を0.7λとした場合を示し、角度23度でヌル点が発生している。また、パターンL11は、図11に示したアンテナユニットに対する垂直合成指向性、すなわち距離L1,L2を0.5λとした場合を示し、角度23度および角度52度の2点でヌル点が発生している。
【0052】
これに対し、図13は、図9に示したアンテナユニットに対する垂直合成指向性を示しており、23度近傍で、相対電界強度が落ち込むものの、ヌル点とはなっておらず、角度0度から90度までの間にヌル点は全く発生していない。
【0053】
このループ配置によってヌル点が発生しない理由について、図14を参照して説明する。図14において、各2Lアンテナ素子31,32のループLP1〜LP4は、それぞれ独自のアンテナとして機能し、2つの2Lアンテナ素子31,32は、ループLP1〜LP4による各アンテナが線上に配置された構成となる。ここで、ループLP1,LP2間の距離L1と、ループLP3,LP4間の距離L2とは、上述したように異なる。また、ループLP2,LP3間の距離L4は、
L4=L3−1/2(L1+L2)
である。この距離L4は、距離L1,L2と異なる距離に設定される。これによって、各ループLP1〜LP4間の距離は、すべて異なることになる。
【0054】
この場合、たとえ、2つのループ間の位相差が逆相となる角度θが生じても、他のループとの位相差は逆相とならないため、これらループLP1〜LP4から発生する電磁波の角度θにおける合成電界強度は、「0」とならず、どの角度においてもヌル点は発生しない。すなわち、少なくとも3つのループ間の距離を異ならせることによって、ヌル点は発生しない。図14に示した例では、2Lアンテナ素子31,32がそれぞれループを2つ形成しているため、4つのループ間距離を異ならせていることになる。
【0055】
この実施の形態3によれば、各2Lアンテナ素子31,32を形成するループLP1〜LP4間の距離を異ならせる配置とするという簡易な構成によって、各2Lアンテナ素子31,32の合成指向性にヌル点が発生しないようにすることができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態1〜3は、適宜組み合わせが可能であり、これによって、柔軟な合成指向性に変更設定することができる。
【0057】
また、上述した実施の形態1〜3では、2Lアンテナ素子1,2の各ループLP1〜LP4が鉛直線上に一列に並ぶ構成とし、合成垂直指向性を設定変更できることを示したが、これに限らず、たとえば、2Lアンテナ素子1,2の各ループ対が鉛直線上に並び、各2Lアンテナ素子1,2が水平配置された「H」形状のアンテナユニットである場合にも適用できる。この場合、実施の形態1,2を適用すると合成水平指向性の設定変更が可能となり、実施の形態3を適用すると、垂直、水平の合成指向性に限らず、あらゆる面の合成指向性を設定変更することができる。
【0058】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、上述した実施の形態1〜3で示したアンテナユニットを用いたアンテナ装置および放送塔を実現している。
【0059】
図15は、この発明の実施の形態4であるアンテナ装置を含む放送塔の概要構成を示す図である。図15において、放送塔は、鉄骨材を組み上げたタワー状の骨格フレーム体71と、その上端に垂直に設けたポール部72とを有する。ポール部72、および骨格フレーム体71の比較的断面の小さい円筒部75に、上述した実施の形態1〜3で示したアンテナユニットに対応するアンテナユニット73,74が取り付けられる。
【0060】
このアンテナユニット73,74の取付は、ポール部72あるいは円筒部75の周囲に水平かつ均等に配置することによって実現される。ただし、アンテナユニット73,74の取付数は、ポール部72あるいは円筒部75の断面の大きさ、すなわち円周の長さによって決定され、水平方向に送信利得の落ち込みのある部分を形成しないように密に配置する。したがって、ポール部72には、少ないアンテナユニット73の数で済み、円筒部75には、比較的多くの個数のアンテナユニット74が必要となる。
【0061】
ここで、図16を参照して、放送塔に設置されるアンテナ装置の一例について説明する。図16は、ポール部72に設置されるアンテナ装置の構成を示す図であり、図16(a)は、アンテナ装置の正面図であり、図16(b)は、B−B線断面図である。図16において、4つのアンテナユニット73−1〜73−4は、ポール部72の周縁であって同一周上に設けられ、各アンテナユニット73−1〜73−4は、90°ずつ均等に配置される。なお、各アンテナユニット73−1〜73−4は、図1に示したアンテナユニットである。
【0062】
図17は、図14に示したアンテナ装置の水平指向性を示す図である。なお、アンテナユニット73−4が配置される方向を0度とし、アンテナユニット73−3が配置される方向を90度としている。各アンテナユニット73−1〜73−4の間には、アンテナ指向性の高い部分が形成される。たとえば、アンテナユニット73−3,73−4間には、ピークP71が形成される。このピークP71は、アンテナユニット73−3,73−4のメインローブの裾部分で、左右45度方向が強め合ってできたピークである。各アンテナユニット73−1〜73−4は、2つの2Lアンテナ素子を合成した利得をもち、比較的鋭いアンテナ指向性をもつため、図17に示すように、ピークP71を極端に大きくすることはない。これによって、上述した実施の形態1〜3に示した垂直合成指向性を維持しつつ、90度毎、全周に配置した4つのアンテナユニット73−1〜73−4であっても、比較的無指向の水平指向性を得ることができる。
【0063】
なお、各アンテナユニット73−1〜73−4は、ポール部の内縁部に配置された給電装置76によって一括して給電される。なお、ポール部72の設置されるその他のアンテナ装置および円筒部75に配置されるアンテナ装置も、給電装置76によって、一括して給電するようにしてもよい。
【0064】
なお、各アンテナユニットは、レドームを設け、風雨に対する強度を持たせるようにするのが好ましい。
【0065】
この実施の形態4によれば、上述した実施の形態1〜3に示したヌル点のない、あるいはヌル点がシフトした垂直合成指向性が得られるとともに、水平指向性に関しても、向上したアンテナ指向性を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、複数のトランスフォーマが、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたそれぞれのインピーダンスに変換して、各ループアンテナ素子に対する電力分配をインピーダンス整合しつつ行い、合成指向性のヌル点をなくすようにしているので、電力分配器を独立して設ける必要がないので、簡易な構成のアンテナユニットを実現できるという効果を奏する。
【0067】
また、請求項2にかかる発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、前記2分岐される分岐点を、該分岐点から前記ループアンテナ素子までの間の電気長を異ならせて接続し、各ループアンテナ素子に対して位相差給電を行うことによって、合成指向性のヌル点を変更設定するようにしているので、簡易な構成によって合成指向性のヌル点変更を行うことができるという効果を奏する。
【0068】
また、請求項3にかかる発明によれば、第2の給電線が、反射板上に所定距離を置いて配置される各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続し、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置し、合成指向性のヌル点をなくすようにしているので、簡易な構成によって合成指向性を変更設定することができるという効果を奏する。
【0069】
また、請求項4にかかる発明によれば、複数のトランスフォーマによって、前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたインピーダンスにそれぞれ変換し、合成指向性のヌル点をなくすようにしているので、ヌル点の解消およびシフトを含めた所望のパターンをもつ合成指向性に、柔軟に設定変更することができるという効果を奏する。
【0070】
また、請求項5にかかる発明によれば、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置し、合成指向性のヌル点をなくすようにしているので、ヌル点の解消およびシフトを含めた所望のパターンをもつ合成指向性に、柔軟に設定変更することができるという効果を奏する。
【0071】
また、請求項6にかかる発明によれば、リング部材によって、分岐側の中心導体に摺動可能に接合され、固定部材によって固定されるようにし、分岐点の位置を柔軟に設定できるようにしているので、アンテナユニットが設置される場所に適合した合成指向性を柔軟かつ汎用的に変更設定することができるという効果を奏する。
【0072】
また、請求項7にかかる発明によれば、請求項1〜6のいずれか一つに記載の複数のアンテナユニットを円環状に均等に配列し、各アンテナユニットから放射される電波を合成して略無指向の水平放射パターンを得るようにしているので、任意の垂直合成指向性に変更設定できるとともに、略無指向の水平指向性が得られるアンテナ装置を実現できるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項8にかかる発明によれば、請求項7に記載のアンテナ装置を、所定の地上高に設置し、これによって、任意の垂直合成指向性に変更設定できるとともに、略無指向の水平指向性が得られる放送塔を実現できるので、簡易な構成によって、設置場所に対応した不感帯をなくすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1であるアンテナユニットの正面図である。
【図2】 図1に示したアンテナユニットの右側面図である。
【図3】 図1に示したアンテナユニットに設けられるトランスフォーマおよびインピーダンス関係を示す模式図である。
【図4】 図1に示したアンテナユニットの垂直合成指向性を示す図である。
【図5】 図1に示したアンテナユニットによる垂直合成指向性にヌル点が生じない理由を説明する図である。
【図6】 この発明の実施の形態2であるアンテナユニットの概要構成を示す模式図である。
【図7】 図7に示したアンテナユニットによる垂直合成指向性を示す図である。
【図8】 図7に示したアンテナユニットの分岐点近傍の詳細構成を示す破断図である。
【図9】 この発明の実施の形態3であるアンテナユニットの概要構成を示す模式図である。
【図10】 ループ間距離が等しいアンテナユニットの一例を示す模式図である。
【図11】 ループ間距離が等しいアンテナユニットの他の一例を示す模式図である。
【図12】 図10および図11に示したアンテナユニットの垂直合成指向性を示す図である。
【図13】 図9に示したアンテナユニットの垂直合成指向性を示す図である。
【図14】 図9に示したアンテナユニットによる垂直合成指向性にヌル点が発生しない理由を説明する図である。
【図15】 この発明の実施の形態4であるアンテナ装置を含む放送塔の概要構成を示す図である。
【図16】 図15に示したアンテナ装置の一例を示す図である。
【図17】 図16に示したアンテナ装置の水平指向性を示す図である。
【図18】 従来のアンテナユニットの構成を示す図である。
【図19】 電力分配を行う従来のアンテナユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
1,2,31,32 2Lアンテナ素子
1a,1b,2a,2b アンテナエレメント
3,3a,3b 給電線
4 同軸ケーブル
5 反射板
10a,10b トランスフォーマ
11a,11b 内部導体
21 摺動部材
71 骨格フレーム体
72 ポール部
73,73−1〜73−4,74 アンテナユニット
75 円筒部
76 給電装置
LP1〜LP4 ループ
Claims (8)
- それぞれ2N(Nは自然数)個のループを形成する2のm乗(mは自然数)個のループアンテナ素子と、
前記ループアンテナ素子に対する電力を伝送する第1の同軸線路からなる第1の給電線と、
前記各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続する第2の同軸線路からなる第2の給電線と、
前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたそれぞれのインピーダンスに変換する複数のトランスフォーマと、
前記各ループアンテナ素子との間に所定の距離を置いて配置される反射板と、
を備えたことを特徴とするアンテナユニット。 - それぞれ2N(Nは自然数)個のループを形成する2のm乗(mは自然数)個のループアンテナ素子と、
前記ループアンテナ素子に対する電力を伝送する第1の同軸線路からなる第1の給電線と、
前記各ループアンテナ素子と前記第1の給電線との間に配置され、前記第1の給電線に対して2分岐をm段繰り返し、前記第1の給電線の特性インピーダンスの2のm乗倍の特性インピーダンスであって前記各ループアンテナ素子のインピーダンスに略等しい特性インピーダンスを有する2のm乗個のアンテナ側端点を形成し、各アンテナ側端点が2のm乗個の前記各ループアンテナ素子の給電点に直接接続する第2の同軸線路からなる第2の給電線と、
前記各ループアンテナ素子との間に所定の距離を置いて配置される反射板と、
を備え、前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置したことを特徴とするアンテナユニット。 - 前記2分岐される分岐点は、該分岐点から前記ループアンテナ素子までの間の電気長を異ならせて接続したことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナユニット。
- 前記2分岐される分岐点から前記ループアンテナ素子側をみたそれぞれのインピーダンスを異ならせ、次段の分岐点あるいは前記アンテナ側端点をみたインピーダンスにそれぞれ変換する複数のトランスフォーマをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のアンテナユニット。
- 前記各ループアンテナ素子を形成する2N個のループを形成する2のm乗個のループアンテナ素子内に存在するループのうち、少なくとも3つのループ間距離を異ならせて前記反射板上に配置したことを特徴とする請求項3に記載のアンテナユニット。
- 前記分岐点は、分岐側の中心導体を摺動し、分岐元の中心導体に接合されるリング部材によって分岐接続され、該リング部材は、固定部材によって固定されることを特徴とする請求項3または5に記載のアンテナユニット。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載の複数のアンテナユニットを円環状に均等に配列し、各アンテナユニットから放射される電波を合成して略無指向の水平放射パターンを得ることを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項7に記載のアンテナ装置を、所定の地上高に設置したことを特徴とする放送塔。
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