JP4014736B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、印刷装置、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【0001】
【従来の技術】
孔版印刷装置では、製版済みのマスタが巻装された版胴に給紙部から所定のタイミングで送られてくる用紙をプレスローラ等で押圧し、この押圧作用により版胴内部から供給されるインキをマスタの穿孔部から滲み出させて用紙上にインキ画像を形成することが行われている。
複写機やプリンタ等では、給紙部から所定のタイミングで送られてくる用紙に像担持体上に形成されたトナー像を転写手段により転写して画像を形成することが行われている。
【0002】
給紙部では、給紙台又は給紙カセットに複数枚の用紙が積載・収容されており、その最上の用紙に給紙コロを接触させて送り出すとともに、給紙コロにより重なった状態で送り出される用紙を分離パッド及び分離コロで一枚づつ分離して送るようになっている。
重なり合った用紙間の摩擦力より分離パッドと用紙間の摩擦力を大きくすることにより、下層の用紙は残されて最上の用紙だけが送り出されるもので、摩擦分離方式と呼ばれている。
【0003】
孔版印刷装置等の画像形成装置においては、多種多様な用紙が使用されている。一般に、薄紙、標準紙、厚紙に分類されており、薄紙としては更紙や上質45kg紙等があり、標準紙としては複写用紙、中質紙、上質55kg紙、再生紙、孔版上質紙等がある。厚紙としては画用紙、ハガキ、封筒、上質135kg紙、上質180kg紙等がある。
用紙の種類やサイズ等が異なると、用紙の表面性状や重さ等が異なるために上記摩擦力等が変化し、分離条件の不適合が生じる。これにより、用紙が重なって送られる「重送」や、用紙が送られない「不送り」といった給紙ミスや、厚紙の紙剥けを起こし易い。
用紙の種類やサイズ等に応じて給紙圧や分離圧等の給紙条件の最適値が異なるからである。
【0004】
上述のように、孔版印刷装置等の画像形成装置に使用される用紙は多種多様であるため、1つの種類の給紙コロや分離パッド等を用いて給紙圧や分離圧等を段階的に調整するだけでは全ての用紙において給紙条件の最適化を確保することが困難であり、給紙トラブルを高精度に抑制することができない。
ところで、同じ給紙圧でも給紙コロの材質の違いや表面性状の違いにより摩擦力が異なり、給紙性能が変化する。分離圧においても同様である。
このため、用紙の種類やサイズ等を分類してそれぞれに最適な分離パッドを実験的に決定して複数種類用意し、用紙の種類やサイズ等に応じて分離パッドの種類を適宜交換することが行われている。
このような分離パッド等の交換部材はその材質や表面性状が給紙条件に影響を及ぼすので、「給紙条件関与部材」と呼ぶことができる。
給紙条件関与部材を交換することによって、すなわち、給紙条件関与部材の材質を変えることによって、用紙の種類やサイズ等に対する給紙条件関与部材の適合性が高まり、給紙条件の最適化精度を高めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、給紙コロや分離パッド等の給紙条件関与部材を交換した場合、交換した給紙条件関与部材に応じた最適な給紙条件が存在するため、交換の都度最適な給紙条件にすべく、マニュアルによる面倒な変更作業が必要であり、オペレータに高度の熟練技能が要求されていた。
給紙条件の変更作業があまりにも面倒でデリケートであるため、用紙の種類やサイズ等に応じて給紙条件関与部材の交換はなされるものの、これに伴う給紙条件の最適化の変更がなされないまま印刷等の作業が行われることがしばしばあり、その結果、給紙トラブルが発生して給紙条件関与部材の交換方式における利点が何ら活かされない場合もあった。
また、給紙条件の変更作業がなされても、オペレータの熟練度の違いにより変更作業の精度にバラツキがあり、給紙条件関与部材の交換方式における利点が十分に活かされない場合もあった。
【0006】
そこで、本発明は、交換に伴う給紙条件の最適化のための変更が容易、確実且つ画一的にでき、給紙条件関与部材の交換方式における利点を十分に活かせる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、給紙条件関与部材の種類に応じた最適な給紙条件データを実験等を介して予め決めておき、給紙条件関与部材の種類が判別されたときにその給紙条件データを自動的に設定することとした。
また、交換された給紙条件関与部材を自動的に判別できるようにし、給紙条件関与部材の交換作業以外の作業を不要にしてオペレータの労力を極力軽減することとした。
具体的には、請求項1記載の発明では、給紙圧や分離圧等の給紙条件に関与する給紙条件関与部材が交換可能に設けられている画像形成装置において、上記給紙条件関与部材が交換された際に、給紙条件関与部材の種類に応じて予め記憶されている給紙条件の中から交換された給紙条件関与部材に対応した給紙条件を抽出して設定する制御手段を有している、という構成を採っている。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の構成において、上記給紙条件関与部材の種類を設定する給紙条件関与部材設定手段を有し、上記制御手段は上記給紙条件関与部材設定手段からの信号に基づいて、交換された給紙条件関与部材の種類を判別する、という構成を採っている。
【0009】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の構成において、交換された給紙条件関与部材の種類を検知する給紙条件関与部材検知手段を有し、上記制御手段は上記給紙条件関与部材検知手段からの信号に基づいて、交換された給紙条件関与部材の種類を判別する、という構成を採っている。
【0010】
請求項4記載の発明では、請求項1,2又は3記載の構成において、異なる種類の上記給紙条件関与部材に対して同一の種類の用紙の設定が可能であり、ある種類の用紙の設定において、交換された又は現在ある給紙条件関与部材より他の給紙条件関与部材の方が耐久性上良好な給紙条件となる場合には、給紙条件関与部材の取り替えを促す表示手段を有している、という構成を採っている。
【0011】
請求項5記載の発明では、請求項1,2,3又は4記載の構成において、上記給紙条件関与部材が分離パッドないし分離コロである、という構成を採っている。
【0012】
請求項6記載の発明では、請求項1,2,3又は4記載の構成において、上記給紙条件関与部材が給紙コロである、という構成を採っている。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて画像形成装置としての孔版印刷装置の概略構成を説明する。
印刷ドラム1の外周の一部にはクランパ2が設けられており、このクランパ2で図示しない製版部から供給される製版済みのマスタ3の先端部が挟持され、印刷ドラム1の矢印方向の回転によってマスタ3が印刷ドラム1に巻き付けられて装着される。
図1における印刷ドラム1の右側には印刷用の用紙6が積載される給紙台4が設けられており、給紙台4の上面には左右一対のサイドフェンス5,5が備えられている。サイドフェンス5,5は左右連動構造となっており、オペレータが用紙6の両端部に合わせて用紙6を位置決めするために用いられる。給紙台4の内部下方には、サイドフェンス5,5間の間隔、すなわち、用紙6の幅サイズを検知するための用紙サイズ検知センサ7と、用紙6の搬送方向の長さを検知するための反射型のフォトセンサからなる用紙サイズ検知センサ8とが備えられており、これらの用紙サイズ検知センサ7,8で用紙6の大きさを検知することができるようになっている。
また、給紙台4には、用紙6の有無を検知するための用紙有無検知センサ100が備えられている。
【0014】
給紙台4は、図示しない案内手段により保持されて昇降可能に設けられており、給紙台昇降モータ9により、その回転軸に固定されたピニオンギヤ11と、給紙台4に固定されたラック10とを介して昇降駆動されるようになっている。
給紙台4の前端側には、積載された用紙6を最上のものから順に送りだす給紙条件関与部材としての給紙コロ12と、給紙コロ12により送り出された用紙6を一枚ずつに分離して搬送する分離コロ13及び給紙条件関与部材としての分離パッド14が設けられている。
分離パッド14は交換可能に設けられており、分離パッド14の下方には、給紙条件関与部材検知手段としての反射型フォトセンサ70が備えられている。分離パッド14と反射型フォトセンサ70との関係等については後述する。
また、本実施例では給紙条件の精度を高めるべく、給紙コロ12も交換可能に設けられている。給紙コロ12の交換と給紙条件との関係については後述する。
【0015】
分離コロ13は、装置本体フレーム60に支持された軸15に設けられており、軸15の近傍には分離コロ13を回転駆動するためのステッピングモータからなる給紙駆動モータ16が配置されている。軸15は、これに設けられた2連の従動プーリと給紙駆動モータ16の出力軸に設けられた駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト17を介して給紙駆動モータ16で回転駆動される。
軸15を回転中心として、給紙アーム18が揺動可能に設けられており、給紙アーム18の他端側には軸19を介して給紙コロ12が回転可能に保持されている。給紙コロ12は、給紙アーム18と一体で軸15の周りに上下方向に揺動する。また、分離コロ13の軸15に設けられた2連の従動プーリと給紙コロ12の軸19に設けられた給紙プーリとの間にはタイミングベルト20が掛け渡されており、給紙コロ12は給紙駆動モータ16により分離コロ13と同時に回転駆動されるようになっている。
【0016】
給紙台4の上方には、給紙台4に積載された用紙6の最上面の上死点位置を検知するための上死点検知センサ21が設けられている。上下方向に揺動する給紙アーム18の上端が上死点検知センサ21の接触子21aに当接することで上死点検知がなされる。給紙台4の下方には、下死点検知センサ44が設けられている。
分離コロ13の近傍上方には、給紙圧を調整するための給紙圧調整機構が設けられている。給紙圧調整機構は、その一端が給紙アーム18に係止された給紙圧源としての給紙圧スプリング22と、ラック部23aを有し図示しない案内手段で上下方向に案内されるスライダ23と、その出力軸にラック部23aと噛み合うピニオンギヤ24が固定され、スライダ23を上下方向に移動させるステッピングモータからなる給紙圧可変モータ25と、スライダ23の移動量を検知するための給紙圧位置検知センサ101(図2)とから構成されている。
【0017】
給紙圧スプリング22の付勢力によって給紙アーム18を介して給紙コロ12に回転モーメントが働き、給紙圧が生じる。給紙圧可変モータ25の回転駆動により、スライダ23が図1において上方向に移動されると、給紙圧スプリング22の引っ張り長さが大きくなることで付勢力が増加し、給紙圧が大きくなる。従って、給紙圧可変モータ25の回転駆動によって給紙圧を段階的に調整することができる。
【0018】
給紙圧位置検知センサ101は、例えば特開平9−235033号公報の図2に示されている給紙圧調整機構22の位置検知基板52と同様のセンサ構成によって、スライダ23の移動量を検知するようになっている。
分離コロ13の下部には、分離パッド14が下方向から押し付けられており、用紙6を1枚ずつ確実に分離する働きをする。分離圧の調整は分離圧調整機構によってなされる。分離圧調整機構は、その一端が分離パッド14に係止された分離圧源としての圧縮スプリング26と、図示しない案内手段で上下方向に案内され、圧縮スプリング26の他端が係止され、ラック部27aを有するスライダ27と、その出力軸にラック部27aと噛み合うピニオンギヤ28が固定され、スライダ27を上下方向に移動させるステッピングモータからなる分離圧可変モータ29と、スライダ27の移動量を検知するための分離圧位置検知センサ102(図2)とから構成されている。
分離圧位置検知センサ102は、例えば特開平9−235033号公報の図3に示されている分離圧調整機構34の位置検知基板80と同様のセンサ構成によって、スライダ27の移動量を検知するようになっている。
【0019】
圧縮スプリング26の付勢力によって、分離パッド14が分離コロ13に押し付けられ、分離圧が生じる。分離圧可変モータ29の回転駆動により、スライダ27が図1において上方向に移動されると、圧縮スプリング26の圧縮長さが小さくなることで圧縮荷重が増加し、分離圧が大きくなる。従って、分離圧可変モータ29の回転駆動によって、分離圧を段階的に調整することができる。
【0020】
印刷ドラム1の下方には、印刷前の用紙6aを印刷ドラム1に押し付けて画像形成を行うためのプレスローラ30が配置されている。プレスローラ30の用紙搬送方向上流側には、印刷ドラム1とプレスローラ30との間に向けて用紙6aを送り込むためのレジストローラ対31,32が設けられている。レジストローラ対31,32は図示しない駆動機構により矢印方向に回転駆動されるようになっており、用紙6aの先端を印刷ドラム1の回転に応じた所定のタイミングで送り出すようになっている。レジストローラ対31,32の上流側近傍には、用紙6aの先端の到達を検知するための反射型のフォトセンサからなる用紙先端検知センサ33が設けられている。
【0021】
印刷画像が形成された用紙6bは、エアーブロア34で印刷ドラム1から剥離され、ローラ間に掛け渡された排紙搬送ベルト35と、この排紙搬送ベルト35上に用紙6bを吸引するための吸引ファン36とで排紙台37へ向けて排出される。排紙台37の上面には、用紙6bの衝突を受け止めてその先後端面を揃えるためのエンドフェンス38と、用紙6bの両側端面部をガイドして揃えるための一対のサイドフェンス39,39が設けられている。
【0022】
用紙6bを排紙台37へ排出するに際し、ジャム防止や揃え向上を図るために、用紙6bを略U字形に湾曲させて排紙腰付けするための左右一対の排紙ジャンプ板40が設けられている。排紙ジャンプ板40の一部には、図示しない案内手段で略上下方向に案内されるラック状のスライダ41の一端が係止されている。
スライダ41の近傍には、スライダ41を略上下方向に移動させるステッピングモータからなる排紙ジャンプ板角度可変モータ43が配置されており、排紙ジャンプ板角度可変モータ43の出力軸にはスライダ41のラック部41aと噛み合うピニオンギヤ42が固定されている。スライダ41の下端部には、スライダ41の移動量を検知するための排紙ジャンプ板角度検知センサ103(図2)が設けられている。排紙ジャンプ板角度検知センサ103は、給紙圧位置検知センサ101や分離圧位置検知センサ102と同様のセンサ構成によって、スライダ41の移動量を検知するようになっている。
【0023】
排紙ジャンプ板角度可変モータ43の回転駆動によって排紙ジャンプ板40の角度を段階的に調整することにより、用紙6bのU字形の湾曲度合い、すなわち排紙腰付け度合いを調整することができる。
図1における装置本体フレーム60の上部には、図示しない原稿読取装置と、この原稿読取装置のさらに上部に配置された操作パネル46(図3)とが配設されている。
操作パネル46には、図3に示すように、製版スタートキー49、印刷スタートキー50等が備えられているとともに、表示手段としての液晶表示部47、用紙6の種類を選択して設定するための用紙種類設定キー48等が備えられている。図3では標準紙が設定されている状態を示しており、用紙種類設定キー48を押すと囲み枠が移動して厚紙や特殊紙を設定できるようになっている。電源投入時には標準紙が設定されるようになっている。
【0024】
本実施例における孔版印刷装置は、図2に示す制御手段45によって制御される。制御手段45は図示しないCPU,ROM,RAM等から構成されているマイクロコンピュータを具備している。ROMには、実験等で予め得られた最適な給紙条件のパターンテーブル及び孔版印刷装置の動作プログラム等が記憶されている。
制御手段45は、用紙先端検知センサ33、操作パネル46の用紙種類設定キー48、給紙条件関与部材検知手段としての反射型フォトセンサ70、給紙圧位置検知センサ101、分離圧位置検知センサ102、排紙ジャンプ板角度検知センサ103等からの出力信号に基づいて、液晶表示部47、給紙台昇降モータ9、給紙圧可変モータ25、分離圧可変モータ29、排紙ジャンプ板角度可変モータ43、給紙駆動モータ16等を適宜駆動制御する。
【0025】
分離パッド14は、図4に示すように、給紙台4の前板4aに図示しない係止手段を介して着脱自在に取り付けられたベース14aと、パッド14bとから構成されており、ベース14aは分離パッド14の種類毎に色分けされている。
色の違いにより、反射型フォトセンサ70の光の反射率が異なるため、反射型フォトセンサ70からの出力信号のレベルによって制御手段45は分離パッド14の種類を判別する。本実施例ではベース14aの表面全体を着色しているが、ベース14aの底面14cのみ、あるいは反射型フォトセンサ70の光照射がなされる部分のみ着色するようにしてもよい。
図3に示すように、操作パネル46の液晶表示部47には、現在取り付けられている分離パッドの種類が囲み枠で表示されるようになっている。
【0026】
本実施例では、表1に示すように、分離パッド14の種類を材質の違いにより標準と特殊の2種類とし、用紙6の種類を標準、厚紙、特殊の3つに分類している。それぞれのパッドと用紙6の種類の組み合わせにおける給紙条件は、表1に示す通りである。これらの給紙条件データは、実験により得られた最適値であり、制御手段45のROMに予め記憶されている。
表1において、「給紙撓み量」とは、レジストローラ対31,32の手前の用紙先端検知センサ33が先端検知してから用紙の送り量を設定することにより、レジストローラ対31,32での用紙の撓みを一定に保つ際の送り量である。
給紙撓み量の数値は、給紙駆動モータ16への送信パルス数を意味している。
また、給紙撓み量は、用紙先端検知センサ33を設けなくても給紙コロ12又は分離コロ13の送り量で設定してもよい。
表1において、「紙クランプ」とは、プレスローラ30に代えて用紙先端クランプ機構を有する版胴と略同径の圧胴を用いる構成の場合の条件である。
【0027】
【表1】
【0028】
上述のように本実施例における分離パッド14は2種類であるので、例えば一方が白色、他方が黒色に色分けされる。分離パッド14が前板4aに取り付けらると、反射型フォトセンサ70の出力信号により制御手段45は分離パッド14の種類を判別する。
例えば、角形の封筒に印刷する場合、オペレータは操作パネル46の用紙種類設定キー48により用紙種類を特殊で設定する。この場合、標準パッドが取り付けられていたときは、制御手段45は、ROMから標準パッドと特殊用紙の組み合わせに対応する給紙条件、すなわち、給紙圧=3、分離圧=1、ジャンプ板=下、紙クランプ=無、給紙撓み量=25を抽出し、設定する。この設定に基づいて制御手段45は給紙圧可変モータ25等を駆動制御する。
【0029】
この給紙条件で印刷が実行されるが、給紙トラブルが発生した場合には、分離パッド14の交換が試みられることになる。オペレータが標準パッドを取り外して特殊パッドを取り付けると、制御手段45は反射型フォトセンサ70の出力信号により、分離パッド14が特殊パッドであることを判別する。
そして、ROMから特殊パッドと特殊用紙の組み合わせに対応する給紙条件、すなわち、給紙圧=1、分離圧=1、ジャンプ板=下、紙クランプ=無、給紙撓み量=21を抽出し、設定する。この設定に基づいて制御手段45は給紙圧可変モータ25等を駆動制御する。
【0030】
本実施例では3種類の用紙に対して標準パッドと特殊パッドのいずれでも対応できるようになっているが、ユーザーが常に特殊用紙だけを使用する場合には、分離パッド14を標準パッドとするよりも特殊パッドとした方が、給紙圧や分離圧が低くなるため、耐久性の観点から望ましい。
このため、本実施例では、用紙種類が特殊で設定され、分離パッド14が標準パッドである場合には、図5に示すように、制御手段45は操作パネル46の液晶表示部47に、例えば「分離パッドを特殊パッドに交換することをお勧めします。」という表示をしてオペレータに注意を促すようになっている。
ここでオペレータが特殊パッドに交換した場合には、制御手段45により特殊パッドと特殊用紙の組み合わせに対応する給紙条件が自動的に設定される。
【0031】
上記実施例では、分離パッド14の種類の判別を色違いによって行う構成としたが、図6に示すように、例えば分離パッド14の底面に透孔72を形成したものを特殊パッド、形成しないものを標準パッドとすることもできる。透孔72がない場合には、反射型フォトセンサ70はオンし、透孔72がある場合にはオフすることで制御手段45は分離パッド14の種類を判別できる。分離パッド14の種類が2つ以上の場合には、透孔72の数を増やして区別し、反射型フォトセンサ70の数は透孔72の最大数とする。透孔72に代えて切り欠きとしてもよい。
【0032】
上記実施例では、給紙条件関与部材検知手段としての反射型フォトセンサ70により、分離パッド14の種類を自動的に検知する構成としたが、オペレータが種類を判別して設定する構成としてもよい。
本実施例では、図7に示すように、操作パネル46に給紙条件関与部材設定手段としてのパッド設定キー74が備えられ、パッド設定キー74を押すことにより囲み枠が移動して標準パッド又は特殊パッドを設定できるようになっている。
この設定情報は制御手段45に入力され、制御手段45はこれに基づいて給紙条件を自動的に設定する。
本実施例においても、分離パッド14の種類を代えた方が耐久性の観点から望ましい場合には、制御手段45は液晶表示部47に、例えば「分離パッドを特殊パッドに交換することをお勧めします。」という表示をしてオペレータに注意を促すようになっている。
【0033】
次に、給紙条件関与部材としての給紙コロ12の交換と給紙条件との関係について説明する。
図8に示すように、給紙コロ12の一方の端面側には反射型フォトセンサ76が対向配置されており、給紙コロ12の該端面には環状の肉取り部12aが形成されて全体として凹凸面12bが形成されている。肉取り部12aを形成したものが特殊パッドで、肉取り部12aを形成しないものが標準パッドである。肉取り部12aがある場合には反射光量が少なく、制御手段45はこの反射光量の差により標準パッドと特殊パッドを判別する。
【0034】
本実施例では、表2に示すように、給紙コロ12の種類を材質の違いにより標準と特殊の2種類とし、用紙6の種類を標準、厚紙、特殊の3つに分類している。それぞれの給紙コロと用紙6の種類の組み合わせにおける給紙条件は、表2に示す通りである。これらの給紙条件データは、実験により得られた最適値であり、制御手段45のROMに予め記憶されている。
表2において、「給紙撓み量」の定義等は分離パッド14の場合と同じであるので説明を省略する。
【0035】
【表2】
【0036】
給紙コロ12が支軸19に取り付けられると、反射型フォトセンサ76の出力信号により制御手段45は給紙コロ12の種類を判別する。
例えば、上質用紙に印刷する場合、オペレータは操作パネル46の用紙種類設定キー48により用紙種類を標準で設定する。この場合、標準コロが取り付けられていたときは、制御手段45は、ROMから標準コロと標準用紙の組み合わせに対応する給紙条件、すなわち、給紙圧=3、分離圧=2、ジャンプ板=上、紙クランプ=有、給紙撓み量=25を抽出し、設定する。この設定に基づいて制御手段45は給紙圧可変モータ25等を駆動制御する。
【0037】
この給紙条件で印刷が実行されるが、給紙トラブルが発生した場合には、給紙コロ12の交換が試みられることになる。オペレータが標準コロを取り外して特殊コロを取り付けると、制御手段45は反射型フォトセンサ76の出力信号により、給紙コロ12が特殊コロであることを判別する。
そして、ROMから特殊コロと標準用紙の組み合わせに対応する給紙条件、すなわち、給紙圧=1、分離圧=2、ジャンプ板=上、紙クランプ=有、給紙撓み量=21を抽出し、設定する。この設定に基づいて制御手段45は給紙圧可変モータ25等を駆動制御する。
【0038】
本実施例においても、給紙コロ12の種類を代えた方が耐久性の観点から望ましい場合には、制御手段45は液晶表示部47に、例えば「給紙コロを特殊コロに交換することをお勧めします。」という表示をしてオペレータに注意を促すようになっている。
なお、上述した実施例では分離パッドと給紙コロとをそれぞれ別々に交換するものとして説明したが、これらを組み合わせた場合においても最適な給紙条件データを実験等を介して予め決めておき、両方の種類を判別した上で対応する給紙条件データを自動的に設定するようにしてもよいことはもちろんである。
【0039】
【発明の効果】
請求項1,2,5又は6記載の発明によれば、給紙条件関与部材が交換された際に、それに対応した給紙条件を自動設定する構成としたので、交換に伴う給紙条件の設定を熟練を要することなく、ワンタッチレベルで迅速且つ画一的に行うことができ、給紙条件関与部材の交換方式におけるメリットを十分に活かすことができる。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、給紙条件関与部材の種類を自動検知する構成としたので、オペレータの労力をさらに軽減できるとともに、種類判断の誤りによる給紙条件の設定ミスを防止することができる。
【0041】
請求項4記載の発明によれば、耐久性上良好な給紙条件となる場合には、表示手段によって給紙条件関与部材の取り替えを促す構成としたので、給紙構成の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置としての孔版印刷装置の概要正面図である。
【図2】制御ブロック図である。
【図3】操作パネルの要部平面図である。
【図4】分離パッドの正面図である。
【図5】分離パッドの交換表示が出た場合の操作パネルの要部平面図である。
【図6】他の実施例における分離パッドの正面図である。
【図7】分離パッドの種類をマニュアル設定する場合の操作パネルの要部平面図である。
【図8】給紙コロの種類の判別構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
12 給紙条件関与部材としての給紙コロ
12b 凹凸面
14 給紙条件関与部材としての分離パッド
45 制御手段
47 表示手段としての液晶表示部
70,76 給紙条件関与部材検知手段としての反射型フォトセンサ
72 透孔
74 給紙条件関与部材設定手段としてのパッド設定キー
Claims (6)
- 給紙圧や分離圧等の給紙条件に関与する給紙条件関与部材が交換可能に設けられている画像形成装置において、
上記給紙条件関与部材が交換された際に、給紙条件関与部材の種類に応じて予め記憶されている給紙条件の中から交換された給紙条件関与部材に対応した給紙条件を抽出して設定する制御手段を有していることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記給紙条件関与部材の種類を設定する給紙条件関与部材設定手段を有し、上記制御手段は上記給紙条件関与部材設定手段からの信号に基づいて、交換された給紙条件関与部材の種類を判別することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
交換された給紙条件関与部材の種類を検知する給紙条件関与部材検知手段を有し、上記制御手段は上記給紙条件関与部材検知手段からの信号に基づいて、交換された給紙条件関与部材の種類を判別することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1,2又は3記載の画像形成装置において、
異なる種類の上記給紙条件関与部材に対して同一の種類の用紙の設定が可能であり、
ある種類の用紙の設定において、交換された又は現在ある給紙条件関与部材より他の給紙条件関与部材の方が耐久性上良好な給紙条件となる場合には、給紙条件関与部材の取り替えを促す表示手段を有していることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1,2,3又は4記載の画像形成装置において、
上記給紙条件関与部材が分離パッドないし分離コロであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1,2,3又は4記載の画像形成装置において、
上記給紙条件関与部材が給紙コロであることを特徴とする画像形成装置。
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