JP4014346B2 - ナチュラルチーズ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チーズ風味が良好で、しかも耐熱性を有する硬質又は超硬質ナチュラルチーズ及びその製造方法に関する。本発明により得られる耐熱性の硬質又は超硬質ナチュラルチーズは、加熱しても溶融せず、型崩れしないという特徴を有するため、オムレツ、リゾット、コロッケ、フライ、カレー等の調理に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
チーズは、大別してナチュラルチーズとプロセスチーズに分類することができる。我が国ではこれまで、プロセスチーズが一般的に普及してきたが、近年のチーズの需要の増加とグルメブームの中で、ナチュラルチーズは人気を高め、その需要は拡大しつつある。
ナチュラルチーズは、そのまま食べてもよいが、調理に用いることもでき、スープ、リゾット類等の調理に用いる場合には、料理にチーズ風味を付与することができる。また、ナチュラルチーズは加熱によって「溶ける」あるいは「溶けて糸を曳く」という性質を有することから、ピザ、グラタン等のトッピングとしても用いられている。
【0003】
一方、プロセスチーズもまた、そのまま食べてもよく、また調理に用いることもできる。プロセスチーズには、加熱により「溶ける」あるいは「溶けて糸を曳く」といったナチュラルチーズと同様の糸曵き性を有するタイプのものと、加熱しても「溶けない」、いわゆる耐熱性を有するタイプのものがある。耐熱性を有するプロセスチーズは、加熱により溶融せず、型崩れもしないことから、オムレツ、リゾット、コロッケ、フライ、カレー等の調理に用いることができる。
耐熱性を有するプロセスチーズについては、これまで種々の検討がなされており、例えば、グリーンチーズにレンネットカゼイン及びラクチックカゼインを添加すること(特開昭59−198938号公報)、チーズにキトサンを酸性下で添加すること(特開平3ー19649号公報)、チーズにポリリジンを添加すること(特開平4−152840号公報)、チーズを高圧処理すること(特開平4−152841号公報)、及びチーズに1種類以上の澱粉を添加すること(特開平6−153791号公報)により耐熱性を付与することが行われてきた。
【0004】
しかしながら、これらはいずれも、耐熱性を有するプロセスチーズあるいはチーズフード、イミテーションチーズに関するものであり、耐熱性を有するナチュラルチーズはあまり知られていない。ナチュラルチーズは、乳の自然な風味と独特の組織や食感を有している。このようなナチュラルチーズを好む消費者にとっては、ナチュラルチーズを加熱乳化して得られる耐熱性を有するプロセスチーズ、チーズフード、イミテーションチーズでは物足りなく、耐熱性を有するナチュラルチーズが求められている。インドに古くから伝わるパニール、キプロスのハロウミといった未熟成のフレッシュタイプのチーズも耐熱性を有することが知られているが、これらは未熟成であるため、フレッシュ感はあるもののチーズ風味に乏しく、加熱調理には適さないものが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、チーズ風味が良好で、加熱調理に適したゴーダチーズ、チェダーチーズ、エメンタールチーズ等の硬質又は超硬質ナチュラルチーズであって、しかも、耐熱性を有するチーズは未だ提供されていないというのが現状である。
そこで、本発明は、チーズ風味が良好で、しかも耐熱性を有する硬質又は超硬質ナチュラルチーズを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、チーズのpHを5.85以上に調整し、熟度を15〜25%とすることにより、耐熱性を有する硬質又は超硬質ナチュラルチーズが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、pHが5.85以上で、熟度(STN/TN値)が15〜25%であり、MD値(チーズを20mm角にカットし、シャーレ上に並べて50℃で2時間放置した後の高さh(mm)を測定した場合、{(20−h)/20}×100(%)として算出)が、50%以下であることを特徴とする硬質又は超硬質硬質又は超硬質ナチュラルチーズである。
本発明はまた、ナチュラルチーズの製造において、乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを45℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする前記硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法である。
本発明はまた、ナチュラルチーズの製造において、乳に酸性化剤及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを38℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする前記硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法である。
本発明はまた、ナチュラルチーズの製造において、乳に高温性乳酸菌及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを38℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする前記硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法である。
(以 上)
【0007】
本発明において「耐熱性」とは、チーズが加熱によって溶融せず、型崩れしないことをいい、具体的には、2×2×2cmのチーズを50℃で2時間静置した後、1cm以上の高さを維持しているものを耐熱性を有するものとする。
本発明において硬質又は超硬質ナチュラルチーズとは、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、エダムチーズ、エメンタールチーズ、プロボローネチーズ、グリュイエールチーズ、パルメザンチーズ、ロマノチーズ、アジアゴチーズ等のことをいい、一般的には、硬質チーズの水分は34〜45%、超硬質チーズの水分は13〜34%である。
【0008】
通常、硬質又は超硬質ナチュラルチーズのpHは、例えば、ゴーダチーズが約5.6、チェダーチーズが約5.5、エダムチーズが約5.7、エメンタールチーズが約5.6、プロボローネチーズが約5.3、グリュイエールチーズが約5.6、パルメザンチーズが約5.5、ロマノチーズが約5.35、アジアゴチーズが約5.31である。
なお、カビで熟成させるタイプの軟質のカマンベールチーズ、ブルーチーズ等、あるいはチーズの表面をリネルス菌等の好気性菌で熟成させるウォッシュタイプのブリック、マンステール等はpH6.0以上である場合もあるが、これらのチーズは、カビ、好気性菌等に由来するプロテアーゼ、ペプチダーゼ等の酵素によって、チーズ中のタンパク質が分解されており構造が壊れているため、pHが5.85以上であっても耐熱性を有するものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の耐熱性を有する硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法について例を挙げて説明する。
最初に、全乳、脂肪調整乳、還元乳、濃縮乳、乳タンパク質濃縮物等の原料を適宜混合し、必要に応じてバターミルク、クリーム等を添加して、脂肪率を1〜4重量%に調整する。次いで、これを63℃で30分間〜75℃で15秒間程度の条件で加熱殺菌し、その後29〜32℃まで冷却する。
次いで、カード形成に適したpHまで乳のpHを下げるために、原料乳に対して、1)Streptococcus cremoris、Streptococcus lactis等の乳酸菌や市販の乳酸菌を0.5〜3重量%、2)乳酸、グルコノデルタラクトン(glucono−δ−lactone、以下「GDL」と略す)等の酸性化剤を0.05〜0.4重量%、または3)高温性乳酸菌を0.5〜3重量%を添加し、約30℃で、約30分間静置させることが好ましい。
【0010】
静置後、これに子牛レンネット、微生物レンネット、遺伝子組み換えレンネット等の凝乳酵素を0.001〜0.003重量%添加して、緩やかに撹拌し、静置してチーズカードを形成させ、得られたチーズカードを5〜10mm角にカッティングする。その後、生じたホエーの一部を排除し、さらに撹拌を続けながら、カードを38℃以上に加温してホエーの全量を排除し、チーズカードをモールドに移し、加重をかけて圧搾し、モールドから外してブライン加塩を行う。加塩後、プラスチック製のフィルムに入れて真空包装し、約10℃で熟度が15〜25%になるまで2カ月以上熟成させ、pHが5.85以上である硬質又は超硬質ナチュラルチーズを得る。
【0011】
なお、最終的にナチュラルチーズのpHを5.85以上とするためには、上記1)のように、乳酸菌を添加してチーズカードを調製する場合には、乳酸菌によりpHが低下し過ぎることもあるので、乳酸菌の活性を下げる目的で、カードの加温温度を通常よりも高い45℃以上とする。
また、上記2)のように酸性化剤を添加する場合には、添加量を調整することによって、最終製品のpHを調整することが好ましい。この場合、カードの加温温度は、約38℃以上であればよい。
さらに、上記3)のように高温性乳酸菌を添加する場合には、高温性乳酸菌の性質上、カードを約38℃以上、好ましくは約38℃で加温する。高温性乳酸菌とは、45℃で生育し、15℃で生育しない乳酸菌(「乳酸菌の科学と技術」乳酸菌研究集談会編、学会出版センター)のことであり、高温性乳酸菌は、通常チーズを製造する際の加温温度である38℃付近において酸生成量が少ないため、pHが低下し過ぎることがない。なお、高温性乳酸菌としては、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus delbrueckii、Streptococcus thermophilus等を例示することができる。加温温度が通常の温度よりも高めのチーズとして、エメンタールチーズがあるが、エメンタールチーズは、製造時にプロピオン酸菌を添加することを特徴とするものであるうえ、pHは5.6であり、本発明とは異なるものである。さらに本発明では、乳酸菌と酸性化剤、又は酸性化剤と高温性乳酸菌を併用してもよい。
【0012】
上述のようにして得られる本発明の硬質又は超硬質ナチュラルチーズは、pHが5.85以上で、熟度が15〜25%であり、耐熱性を有するものである。最終製品のpHが5.85未満であると、チーズのタンパク質構造を支えているカルシウム架橋構造が崩れることがあり、良好な耐熱性を示さないため、好ましくない。また、最終製品の熟度が15%未満であると、チーズ風味が発現されず、熟度が25%を超えると良好な耐熱性を示さなくなるため、好ましくない。
【0013】
本発明において、熟度(STN/TN値)とは、以下に示す式により算出される。
熟度(STN/TN値)(%)=(可溶性窒素/全窒素)×100
ナチュラルチーズの窒素の形態はチーズの熟成度合いに応じて変化し、特に可溶性窒素(STN)は、チーズの熟成が進むにつれて増加の傾向をたどる。この可溶性窒素(STN)の全窒素(TN)に対する割合で表される熟度(%)は、一般にチーズの熟成度合を示す指標として用いられ、この値が大きいほどチーズが熟成していることを示す。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgを5つのチーズバットに20kgずつ分注して、30℃まで冷却した。この乳に対して、GDLをそれぞれ0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%添加し、穏やかに撹拌して30℃に保持しながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカードを得た。得られたチーズカードを7mm角にカッティングし、38℃で45分間加温して生じたホエーの全量を排除し、チーズカードをモールドに移して0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、約2kgの未熟成チーズを5個得た。これらをプラスチック製の袋に入れて真空包装し、10℃で4ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。これらの硬質ナチュラルチーズのpH及び熟度を表1に示す。
【0015】
さらに、得られた硬質ナチュラルチーズの耐熱性の評価及び官能評価を、以下に示す方法で行った。
(1) 耐熱性の評価は、各チーズを20mm角にカットし、シャーレ上に並べて50℃で2時間放置後の高さ(mm)を測定し、以下の式にて、MD値を算出した(式中、高さはhとした)。
MD値(%)={(20−h)/20}×100
本発明において、50℃で2時間放置した後のMD値が50%以下の場合、良好な耐熱性を有するものとした。
【0016】
(2) 官能評価は、訓練されたパネラー10名に各チーズ10gを食してもらい、チーズ風味について、1点;ごくわずかに感じられる、2点;わずかに感じられる、3点;感じられる、4点;やや強く感じられる、5点;強く感じられるの5段階で評価してもらい、その平均点(小数第2位四捨五入)で示し、平均点が3以上であるとき、チーズ風味が感じられ、好ましいものとした。
以上の結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004014346
【0018】
表1に示される結果から明らかなように、GDLの添加率を0.4重量%以下とすることにより、チーズのpHを5.85以上することができ、MD値が50%以下の耐熱保形性の良好な硬質ナチュラルチーズを得ることができた。一方、GDLの添加率が0.45重量%及び0.5重量%の場合は、チーズのpHが5.78及び5.77となり、MD値も64%及び67%と高くなり、加熱により溶融しやすい硬質ナチュラルチーズとなった。
【0019】
(実施例2)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgをチーズバットに移し、30℃まで冷却した。この乳に、乳酸菌スターター(Lactococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus lactisの4種からなる市販の乳酸菌スターター:クリスチャンハンセン社製)を1重量%添加し、穏やかに撹拌して30℃に保ちながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカード得た。得られたチーズカードを7mm角にカッティングし、15分間静置した後、生じたホエーの1/3量を排除し、残りのホエーとチーズカードを5つの小バットに等分した。次いで、ホエーとチーズカードの混合物の温度がそれぞれ39℃、43℃、45℃、50℃、55℃となるように、2分毎に1℃の割合で昇温するように調整しながら加温した。各温度水準を維持しながら撹拌を続け、加温開始から45分経過した時点で、ホエーを全量排除し、チーズカードをモールドに移して0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、それぞれ約2kgの未熟成チーズを得た。これをプラスチック製の袋に入れ真空包装し、10℃で3ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。この硬質ナチュラルチーズのpH及び熟度、並びに実施例1と同様の方法で行った硬質ナチュラルチーズの耐熱性の評価及び官能評価を表2に示す。
【0020】
【表2】
Figure 0004014346
【0021】
表2に示される結果から明らかなように、乳酸菌を添加した場合、加温温度を45℃以上とすることにより、チーズのpHを5.85以上とすることができ、MD値が50%以下の良好な耐熱保形性を有する硬質ナチュラルチーズを得ることができた。一方、加温温度が39℃及び43℃の場合には、チーズのpHが5.57及び5.69となり、MD値も80%及び77%と高くなり、加熱により溶融しやすい硬質ナチュラルチーズとなった。
【0022】
(実施例3)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgをチーズバットに移し、30℃まで冷却した。この乳に、GDLを0.30重量%添加し、穏やかに撹拌して、30℃に保持しながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカードを得た。得られたカードを7mm角にカッティングし、38℃で45分間加温して、生じたホエーの全量を排除し、チーズカードを20等分してモールドに移し0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、それぞれ約500gの未熟成チーズを20個得た。これらをプラスチック製の袋に入れて真空包装し、10℃で6ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。熟成期間中、経時的にpH及び熟度を測定し、さらに実施例1と同様の方法で行った耐熱性の評価及び官能評価を表3に示す。
【0023】
【表3】
Figure 0004014346
【0024】
表3に示される結果から明らかなように、官能評価の結果より、チーズの熟度が15%を超えると、チーズ風味が感じられるとの評価を得た。
【0025】
(実施例4)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgを5つのチーズバットに20kgずつ分注して、30℃まで冷却した。この乳に、GDLをそれぞれ0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%添加し、穏やかに撹拌し、その後直ちに高温性乳酸菌として、Lb.helveticusを1重量%添加し、穏やかに撹拌して、30℃に保持しながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカードを得た。得られたチーズカードを7mm角にカッティングし、38℃で45分間加温し、生じたホエーの全量を排除し、チーズカードをモールドに移して0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、それぞれ約2kgの未熟成チーズを5個得た。これらをプラスチック製の袋に入れて真空包装し、10℃で3ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。この硬質ナチュラルチーズのpH及び熟度、並びに実施例1と同様の方法で行った耐熱性の評価及び官能評価を表4に示す。
【0026】
【表4】
Figure 0004014346
【0027】
表4に示される結果から明らかなように、GDLと高温性乳酸菌を併用して調製されたチーズは、pHを5.85以上とすることにより、MD値が50%以下の耐熱保形性の良好な硬質ナチュラルチーズを調製することができた。また、高温性乳酸菌を用いたため、加温温度は通常チーズの加温温度とほぼ同じ38℃とすることができた。さらに、用いた高温性乳酸菌:Lb.helveticusの性質上、よりチーズ風味の好ましい硬質ナチュラルチーズが得られた。
【0028】
(実施例5)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgを5つのチーズバットに20kgずつ分注して、30℃まで冷却した。この乳に、GDLをそれぞれ0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%添加し、穏やかに撹拌し、その後直ちに乳酸菌として、乳酸菌スターター(Lactococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus lactisの4種からなる市販の乳酸菌スターター:クリスチャンハンセン社製)を1重量%添加し、穏やかに撹拌して、30℃に保持しながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカードを得た。得られたチーズカードを7mm角にカッティングし、38℃で45分間加温し、生じたホエーの全量を排除し、チーズカードをモールドに移して0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、それぞれ約2kgの未熟成チーズを5個得た。これらをプラスチック製の袋に入れて真空包装し、10℃で3ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。この硬質ナチュラルチーズのpH及び熟度、並びに実施例1と同様の方法で行った耐熱性の評価及び官能評価を表5に示す。
【0029】
【表5】
Figure 0004014346
【0030】
表5に示される結果から明らかなように、pHを5.85以上とすることにより、MD値が50%以下の耐熱保形性の良好なチーズが得られた。一方、pHが5.85未満の場合は、MD値が50%を超え、耐熱性が劣ったものとなった。また、乳酸菌を用いることにより、チーズ風味が良好なものとなった。
【0031】
(実施例6)
70℃達温で殺菌した脂肪調整乳(脂肪含有率2.8%)100kgをチーズバットに移し、30℃まで冷却した。高温性乳酸菌として、Lb.helveticusを1重量%添加し、穏やかに撹拌して、30℃に保持しながら30分間静置した。その後、レンネットを0.003重量%添加し、穏やかに撹拌し、静置してチーズカードを得た。得られたチーズカードを7mm角にカッティングし、38℃で45分間加温し、生じたホエーの全量を排除し、チーズカードを20等分してモールドに移し、0.06kg/cmの圧力で2時間圧搾した。圧搾後、チーズカードをモールドから外してブライン加塩を行い、約500gの未熟成チーズを20個得た。これらをプラスチック製の袋に入れて真空包装し、10℃で6ヶ月間熟成させて硬質ナチュラルチーズを調製した。この硬質ナチュラルチーズのpH及び熟度、並びに実施例1と同様の方法で行った耐熱性の評価及び官能評価を表6に示す。
【0032】
【表6】
Figure 0004014346
【0033】
表6に示される結果から明らかなように、高温性乳酸菌を添加して調製したチーズは、pHが5.85以上となり、チーズの熟度が15〜25%で良好な耐熱性を有するものとなった。また、チーズの熟度が15%以上になるとチーズ風味が感じられるとの評価を得た。一方で、チーズの熟度が25%を超えるとMD値が50%を超え、耐熱性が劣ったものとなった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、チーズ風味に優れ、しかも耐熱性を有する硬質又は超硬質ナチュラルチーズ及びその製造方法が提供される。
本発明の硬質又は超硬質ナチュラルチーズは、ナチュラルチーズでありながら、耐熱性を有しているため、加熱により溶融せず、型崩れすることがなく、オムレツ、リゾット、コロッケ、フライ、カレー等の調理に用いることができる。

Claims (4)

  1. pHが5.85以上で、熟度(STN/TN値)が15〜25%であり、MD値(チーズを20mm角にカットし、シャーレ上に並べて50℃で2時間放置した後の高さh(mm)を測定した場合、{(20−h)/20}×100(%)として算出)が、50%以下であることを特徴とする硬質又は超硬質ナチュラルチーズ。
  2. ナチュラルチーズの製造において、乳に乳酸菌及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを45℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法。
  3. ナチュラルチーズの製造において、乳に酸性化剤及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを38℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法。
  4. ナチュラルチーズの製造において、乳に高温性乳酸菌及び凝乳酵素を添加して、形成されたチーズカードを38℃以上で加温する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の硬質又は超硬質ナチュラルチーズの製造方法。
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