JP4014139B2 - エンジン評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばエンジンの生産過程で、エンジンを回転して得られるエンジンの音源を特定してエンジンを評価するエンジン評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの生産過程では、出荷品質を確保するために生産したエンジンの評価試験が行なわれている。このエンジンの評価試験として、例えば特開平11−37898号公報には、評価すべきエンジンをモータにより回転させながら、マイクによりエンジン音を検出すると共に、カム角センサ及びクランク角センサの出力に基づいてクランクシャフトの回転角度(クランク角度)を検出し、エンジン音検出信号からウェーブレット変換によりエンジンのタペット音を抽出して、そのタペット音を抽出したときのクランク角度から異常が発生した気筒の弁を検出することが開示されている。
【0003】
また、上記公報には、マイクによるエンジン音の検出に代えて、振動検出器によりエンジンの振動を検出し、そのエンジン振動検出信号からウェーブレット変換によりエンジンのタペット音の発生を抽出して、そのタペット音の発生を抽出したときのクランク角度から異常が発生した気筒の弁を検出することも開示されている。
【0004】
更に、特開2001−221683号公報には、マイクによりエンジン音を検出し、そのエンジン音検出信号とエンジンの回転に伴うタイミングパルスとに基づいて動弁音、ピストンリング音、ピストンスラップ音等を評価することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の振動検出器によるエンジン振動検出信号のみによる評価では、実際に発生している微少な音のレベルの振動を把握できないため、エンジンを正確に評価することが困難である。
【0006】
また、マイクによるエンジン音検出信号のみによる評価では、音源からマイクまでの距離や信号伝達系の応答差によって、マイクで検出される音が音源の振動に対して時間的な遅れを生じるため、音の発生タイミングで音源を特定する場合には、音が発生するタイミング(クランク角度)を正確に把握できず、音源の特定精度が低下することが懸念される。
【0007】
また、特開平11−37898号公報に開示されているように、エンジン振動検出信号或いはエンジン音検出信号をウェーブレット変換する場合には、高価な解析装置が必要となるためコストアップを招くことが懸念される。
【0008】
これに対し、特開2001−221683号公報の場合には、高価な解析装置は不要となるものの、工場騒音や周辺の騒音等の影響を受けるため、レベル評価、音源特定の精度が低下することが懸念され、また、1サイクルのクランクシャフト回転分についてのみ解析するようにしているため、エンジン回転の複数サイクルに1回しか出ない現象、例えばピストン打音のように失火すると打音が出ない現象は検出できない場合がある。
【0009】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、安価な構成でエンジンの各種打音・振動のレベル評価及び音源特定を高精度で行なうことができ、異常音や異常振動を発生する音源を容易に認識できるエンジン評価装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載のエンジン評価装置の発明は、評価対象のエンジンの回転による振動を検出する振動検出手段と、上記エンジンの近傍に配置されて該エンジンから発生する打音を検出する打音検出手段と、上記エンジンからのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいて上記エンジンのクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、上記振動検出手段からの振動検出信号と上記打音検出手段からの音検出信号とが、上記クランク角度算出手段で算出されるクランク角度の評価すべき音源に関するクランク角度範囲で同期するように上記音検出信号の時間遅れを補正する時間遅れ補正手段と、上記時間遅れ補正手段で補正され、上記評価すべき音源に関するクランク角度範囲で同期する上記振動検出信号及び上記音検出信号の少なくとも一方のレベルを解析して評価すると共に、両検出信号の相関を算出するレベル評価・相関検証手段と、異常音・異常振動情報を含む打音情報を格納する打音情報データベースと、上記レベル評価・相関検証手段でのレベル評価・相関結果と上記打音情報データベースに格納された打音情報との比較に基づいて音源を特定する音源特定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明によると、エンジンの回転による振動及び打音を検出し、これら振動検出信号及び音検出信号が評価すべき音源に関するクランク角度範囲において同期するように音検出信号の時間遅れを補正して、振動検出信号及び音検出信号の少なくとも一方のレベルを解析して評価すると共に、両検出信号の相関を検証し、これらレベル評価・相関結果と打音情報データベースに格納された打音情報との比較に基づいて音源を特定するので、安価な構成で評価対象エンジンの各種打音・振動のレベル評価及び音源特定精度の向上がもたらされ、異常音や異常振動の発生音源を容易に認識することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1のエンジン評価装置において、上記音源の特定結果を次のエンジン評価の参考データとして上記打音情報データベースに格納することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明によると、打音情報データベースが拡充されてエンジン評価のノウハウを共有でき、作業者の経験に依存することなくエンジンを常に正確に評価することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のエンジン評価装置において、上記振動検出手段及び上記打音検出手段により、上記エンジンの複数サイクルの回転における振動及び打音を各々検出し、これら複数サイクル分の振動検出信号及び音検出信号に基づいて上記音源特定手段により音源を特定するよう構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明によると、エンジンの複数サイクル分の振動検出信号及び音検出信号に基づいて音源を特定するので、突発的に発生する打音でも確実に検出することができ、エンジンの評価精度の向上がもたらされる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかのエンジン評価装置において、上記振動検出手段に接続して通過帯域が可変のフィルタ手段を設け、上記打音情報データベースには各種音源に対応する振動周波数帯域情報を格納し、評価すべき音源に応じて上記打音情報データベースに格納されている対応する振動周波数帯域情報に基づいて上記フィルタ手段の通過帯域を設定して、上記振動検出手段の出力から評価すべき音源に対応する周波数帯域の振動検出信号を抽出することを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明によると、評価すべき音源に応じて打音情報データベースの振動周波数帯域情報に基づいてフィルタ手段の通過帯域が設定されて、評価すべき音源に対応する周波数帯域の振動検出信号が抽出されるので、より高精度の音源特定が可能となり、エンジンをより高精度で評価することが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかのエンジン評価装置において、上記音源特定手段による音源の特定結果を表示する表示手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明によると、音源特定結果が表示手段に表示されるので、分解や調整等の処理に迅速に対処することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるエンジン評価装置の一実施の形態について、図1乃至図15を参照して説明する。
【0021】
図1は本実施の形態によるエンジン評価装置の概略構成を示すブロック図であり、図2及び図3は図1に示す打音情報データベースに格納する各種音源に対応する打音解析設定情報及び過去解析結果の一例を示す図、図4は本実施の形態による音源特定処理の概要を示すフローチャート、図5乃至図8は音検出信号の時間遅れ補正に関する説明図、図9及び図10はピストン打音に関する振動検出信号及び音検出信号の時間遅れ補正前後の信号状態を示す図、図11及び図12は同じく動弁音に関する振動検出信号及び音検出信号の時間遅れ補正前後の信号状態を示す図、図13乃至図15はそれぞれ本実施の形態によるエンジン評価の具体例を説明するための図である。
【0022】
本実施の形態では、図1に示すように、評価対象の例えば4サイクル4気筒のエンジン1に振動検出手段として振動センサ2を取り付けると共に、エンジン1の近傍に打音検出手段としてマイク3を配置し、エンジン1に燃料を供給してエンジン1を実際に回転させるか、或いはエンジン1を図示しないモータにより回転させて、エンジン1の複数サイクルにおけるエンジン振動を振動センサ2で検出すると共に、エンジン音をマイク3で検出する。
【0023】
振動センサ2から出力される振動検出信号は、増幅器5で増幅した後、フィルタ手段としての高域通過フィルタ(HPF)6及び低域通過フィルタ(LPF)7を通過させて評価すべき音源の周波数帯域のみを抽出し、その抽出した周波数帯域の振動検出信号をコンピュータ11に取り込む。
【0024】
また、コンピュータ11には、マイク3から出力される音検出信号を取り込むと共に、エンジン1から出力されるクランク角検出信号、及びカム角検出信号、点火信号、噴射信号等の気筒判別信号を取り込む。
【0025】
コンピュータ11には、レベル評価・相関検証部12、時間遅れ補正部13、クランク角度算出部14、打音情報データベース15、解析パラメータ指令部16、音源特定部17、及び表示手段としてのレベル評価・音源特定結果表示部18を設け、LPF7からの振動検出信号をレベル評価・相関検証部12に供給し、マイク3からの音検出信号を評価すべき音源の振動検出信号と同期するように時間遅れ補正部13で時間遅れを補正してレベル評価・相関検証部12に供給する。
【0026】
また、エンジン1からのクランク角検出信号及び気筒判別信号は、クランク角度算出部14に供給してクランク角度を算出し、その算出したクランク角度をレベル評価・相関検証部12に供給する。
【0027】
なお、図1では説明の便宜上、マイク3からの音検出信号を時間遅れ補正部13に供給して、評価すべき音源の振動検出信号と同期するように時間遅れを補正するようにしているが、実際には振動検出信号及び音検出信号がクランク角度算出部14で算出されるクランク角度の評価すべき音源に関するクランク角度範囲において同期するように、振動検出信号に対する音検出信号の時間遅れに応じて、振動検出信号を遅延させると共に、算出されるクランク角度をずらす、即ちクランク角検出信号及び気筒判別信号を遅延させる。
【0028】
一方、打音情報データベース15には、図2に示すような各種音源に対応するクランク角度範囲及び振動周波数帯域の打音解析設定情報を格納すると共に、図3に示すような過去の解析における異常音・異常振動の不具合情報を含む過去解析結果を格納しておく。なお、図2及び図3では気筒番号を#1、#2、#3、#4で示している。
【0029】
レベル評価・相関検証部12では、振動検出信号、音検出信号及びクランク角度に基づいて複数サイクルにおける評価すべき音源の打音・振動レベルのいずれか一方または双方を解析して、その音源に関する打音・振動レベルの複数サイクルにおけるピーク値の平均値、最大値、最小値、または標準偏差等の統計値を演算してレベルを評価すると共に、音検出信号と振動検出信号との相関を検証して打音と振動との相関係数を算出する。
【0030】
この際、解析パラメータ指令部16は、打音情報データベース15から評価すべき音源に対応する打音解析設定情報を取り出し、そのクランク角度範囲情報をレベル評価・相関検証部12に供給して打音・振動レベルの解析評価に反映させ、振動周波数帯域情報はHPF6及びLPF7に供給して各々のカットオフ周波数を調整することにより、評価すべき音源に対応する振動検出信号を取り出す周波数帯域を設定する。
【0031】
レベル評価・相関検証部12において解析評価した各種打音・振動レベルの評価結果、及び算出した打音と振動との相関係数は音源特定部17に供給する。
【0032】
音源特定部17では、レベル評価・相関検証部12からの複数サイクルにおける各種打音・振動レベルの評価結果と打音情報データベース15からの過去解析結果における判定値とを比較して、打音と振動との相関係数及び過去解析結果(例えば、クランク角度10度で90dB発生したケースでは、分解確認の結果#3ピストンに異常があった等)を踏まえて音源を特定する。
【0033】
レベル評価・相関検証部12での各種打音・振動レベルの評価結果、及び音源特定部17での音源特定結果は、判定結果としてレベル評価・音源特定結果表示部18に表示すると共に、次の解析の参考データとして打音情報データベース15に格納して、該打音情報データベース15を拡充する。
【0034】
図4は、コンピュータ11による上述した音源特定処理の概要を示すフローチャートである。本実施の形態では、先ず評価対象のエンジン型式を認識する(ステップS1)。このエンジン型式は、例えば図示しないキーボード等の入力手段からオペレータにより入力するようにし、これにより解析パラメータ指令部16において打音情報データベース15からエンジン型式に応じた打音解析設定情報を取り出して、その評価すべき音源に対応するクランク角度範囲情報をレベル評価・相関検証部12に、振動周波数帯域情報をHPF6及びLPF7に各々供給すると共に、打音情報データベース15からエンジン型式に応じた過去解析結果を音源特定部17に供給する。
【0035】
その後、コンピュータ11では、クランク角度算出部14においてエンジン1からのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいてクランク角度を算出する(ステップS2)と共に、時間遅れ補正部13においてマイク3で検出される音検出信号の時間遅れを補正して(ステップS3)、レベル評価・相関検証部12において打音と振動との相関を算出する(ステップS4)と共に、各打音のデータベース情報に基づいて対照データを解析する(ステップS5)。
【0036】
次に、音源特定部17において、レベル評価・相関検証部12での対照データの複数サイクルにおける解析結果とデータベース15からの過去解析結果とを比較して(ステップS6)、解析結果のレベルで過去の不具合があるか否かを判定し(ステップS7)、ある場合(YES)にはその特定結果及び過去不良(NG)回数を出力し(ステップS8)、ない場合(NO)にはその特定結果及び過去NG回数を出力して(ステップS9)、その対照データの判定結果をレベル評価・音源特定結果表示部18に表示すると共に、打音情報データベース15に保存する(ステップS15)。
【0037】
ここで、時間遅れ補正部13による音検出信号の時間遅れ量は、マイク3から評価すべき音源までの距離や、音と振動の伝達経路の応答性の差等の測定条件により変化するので、例えば評価すべき音源毎に予め検証実験を行なって補正量を設定するか、或いはコンピュータ11により振動検出信号と音検出信号とのパターンを認識して補正する。
【0038】
検証実験により補正量を設定する場合には、例えば図5に検証装置の概略構成を示すように、エンジン1の評価すべき音源位置に加振器21を取り付けて、該加振器21を発振器22によりパワーアンプ23を介して間欠的に駆動し、その加振器21によるエンジン1の振動を振動センサ2により検出して、その出力をチャージアンプ24で増幅することにより図6(a)に示すような振動検出信号を得てコンピュータ11に取り込むと共に、加振器21の振動による打音をマイク3で検出して図6(b)に示すような音検出信号を得て、その音検出信号をコンピュータ11に取り込む。
【0039】
コンピュータ11では、図6(a)に示す振動検出信号と図6(b)に示す音検出信号とを比較して振動検出信号に対する音検出信号の時間遅れを測定し、その時間遅れを補正量として設定する。
【0040】
また、コンピュータ11により振動検出信号と音検出信号とのパターンを認識して補正する場合には、振動センサ2で検出される図7(a)に示すような振動検出信号と、マイク3で検出される図7(b)に示すような音検出信号とをコンピュータ11に取り込み、コンピュータ11において両信号のピークの有り及び無しのパターン認識して、振動検出信号と音検出信号とのパターンが最も一致する量を求めて補正する。
【0041】
即ち、図7(a)及び(b)に示す振動検出信号及び音検出信号の場合には、振動検出信号に対して音検出信号が右にずれているので、図8(a)及び(b)に示すように振動検出信号に対して音検出信号を少しずつ左にずらして、両信号パターンが最も一致する量を求めて補正する。
【0042】
このように、マイク3で検出される評価すべき音源の音検出信号が、クランク角度算出部14で算出されるクランク角度の上記音源に関するクランク角度範囲に入るように音検出信号の時間遅れを補正することにより、例えば算出されるクランク角度に対して振動センサ2から図9(a)に示すようなピストン打音の振動検出信号が得られ、マイク3から図9(b)に示すようなピストン打音の音検出信号が得られる場合に、これらのピストン打音の振動検出信号及び音検出信号を図10(a)及び(b)に示すように同期させることができる。
【0043】
同様に、算出されるクランク角度に対して振動センサ2から図11(a)に示すような動弁音の振動検出信号が得られ、マイク3から図11(b)に示すような動弁音の音検出信号が得られる場合には、これらの動弁音の振動検出信号及び音検出信号を図12(a)及び(b)に示すように同期させることができる。
【0044】
従って、レベル評価・相関検証部12において、同期した振動検出信号と音検出信号との相関を検証することで、音源を高精度で特定することができる。
【0045】
次に、図13乃至図15を参照して本実施の形態によるエンジン評価の具体例について説明する。
【0046】
図13は5サイクル分におけるピストン打音の評価例を説明するための図で、図13(a)はピストン打音に関する振動検出信号を示し、図13(b)は同じく音検出信号を示している。これら図13(a)及び(b)から、#4気筒にピストン打音が発生していることが検出される。
【0047】
図14は4サイクル分の動弁の評価例を説明するための図で、図14(a)は動弁に関する振動検出信号を示し、図14(b)は動弁音の音検出信号を示している。これら図14(a)及び(b)から、吸気・排気バルブの開閉で振動及び音が発生していることが検出される。
【0048】
図13及び図14において、特定のクランク角度で発生している振動検出信号及び音検出信号の各々のピーク値は、各サイクルによって若干のバラツキがあるが、このような場合には同じクランク角度範囲のピーク値を数サイクル分評価してその平均値や最大値または最小値等の統計量を求めれば安定した評価が可能となり、また、ピーク値の標準偏差等の統計量を計算すれば、ピーク値のバラツキが得られるので、特定現象が突発的に発生したのか、安定して発生しているのかを評価することができる。なお、このような解析は、振動検出信号または音検出信号の一方のみを用いて解析することも可能である。
【0049】
図15は4サイクル分のピストン打音における振動検出信号の評価例を説明するための図である。図15では、1サイクル及び3サイクルの解析で#4気筒にピストン打音の発生が検出され、2サイクル及び4サイクルの解析ではピストン打音の発生は検出されていない。このピストン打音の発生無しはエンジン1の失火が原因であり、失火と正常燃焼とが繰り返されているため、打音の発生の有無が繰り返されている。
【0050】
このような場合、従来のように1サイクル分のみの解析では、打音の無いサイクルを解析してしまうと、打音の発生を検出できないことになるが、この評価例では4サイクル分を解析するので、打音の発生を確実に検出することができる。なお、この場合、複数サイクル分の振動検出信号のピーク値の平均値を取ると、打音発生有りの値と無しの値とが平均化されて打音の発生の有無を確実に検出されないおそれがあるので、好ましくは4サイクル分のピーク値の最大値や標準偏差等の統計量を併用して打音の発生の有無を検出する。
【0051】
本実施の形態によると、エンジン1の複数サイクルの回転における振動を振動センサ2で検出すると共に、マイク3でエンジン1から発生する打音を検出し、振動センサ2からの振動検出信号とマイク3からの音検出信号とが、評価すべき音源に関するクランク角度範囲において同期するように音検出信号の時間遅れを補正して、レベル評価・相関検証部12で両検出信号を解析して打音・振動レベルを評価すると共に、両検出信号の相関を検証し、これらレベル評価・相関結果と打音情報データベース15からの過去解析結果との比較に基づいて音源特定部17において音源を特定するようにしたので、ウェーブレット変換等の高価な解析装置を用いることなく、また音検出のみでは問題となる周辺騒音(工場内の騒音)の影響を受けることなく、安価な構成でエンジン1の各種打音・振動のレベル評価及び音源特定を、突発的に発生する場合でも確実に、しかも高精度で行なうことができ、異常音や異常振動を発生する音源を容易かつ的確に認識することができる。
【0052】
また、音源特定において過去の解析結果を利用すると同時に、それによる音源の特定結果をレベル評価結果と共に次の解析の参考データとして打音情報データベース15に格納してデータベースを拡充するようにしたので、エンジン評価のノウハウを共有でき、作業者の経験に依存することなくエンジンを常に正確に評価することができる。
【0053】
更に、評価すべき音源に応じて、解析パラメータ指令部16により打音情報データベース15に格納されている振動周波数帯域情報に基づいてHPF6及びLPF7による振動検出信号の通過帯域を設定して、評価すべき音源に対応する周波数帯域の振動検出信号のみを通過させるようにしたので、音源特定精度をより向上でき、エンジンの評価精度をより高めることができる。
【0054】
また、打音・振動レベルの評価結果及び音源の特定結果をレベル評価・音源特定結果表示部18に表示するようにしたので、その表示結果を見ることで、異常音・異常振動のエンジンの対応する部分の分解や調整等に迅速に対処することができ、エンジンの生産効率を向上することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明のエンジン評価装置によれば、エンジンの回転による振動及び打音を検出し、これら振動検出信号及び音検出信号が評価すべき音源に関するクランク角度範囲において同期するように音検出信号の時間遅れを補正して、振動検出信号及び音検出信号の少なくとも一方のレベルを解析して評価すると共に、両検出信号の相関を検証し、これらレベル評価・相関結果と打音情報データベースに格納された打音情報との比較に基づいて音源を特定するようにしたので、安価な構成で評価対象エンジンの各種打音・振動のレベル評価及び音源特定を高精度で行なうことができ、異常音や異常振動の発生音源を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンジン評価装置の一実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す打音情報データベースに格納する各種音源に対応するクランク角度範囲及び振動周波数帯域の打音解析設定情報を示す図である。
【図3】同じく、打音情報データベースに格納する過去の解析における不具合情報を含む過去解析結果を示す図である。
【図4】本実施の形態による音源特定処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】検証実験により音検出信号の時間遅れ補正量を設定する際の検証装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す検証装置による音検出信号の時間遅れ補正量の設定方法を説明するための振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図7】パターン認識による時間遅れ補正を説明するための補正前の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図8】同じく、補正後の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図9】ピストン打音に関する時間遅れ補正前の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図10】同じく、ピストン打音に関する時間遅れ補正後の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図11】動弁音に関する時間遅れ補正前の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図12】同じく、動弁音に関する時間遅れ補正後の振動検出信号及び音検出信号の状態を示す波形図である。
【図13】本実施の形態によるエンジン評価の具体例としてのピストン打音の評価例を説明するための5サイクル分の振動検出信号及び音検出信号の波形図である。
【図14】同じく、動弁の評価例を説明するための4サイクル分の振動検出信号及び音検出信号の波形図である。
【図15】同じく、ピストン打音の評価例を説明するための4サイクル分の振動検出信号の波形図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 振動センサ
3 マイク
5 増幅器
6 高域通過フィルタ(HPF)
7 低域通過フィルタ(LPF)
11 コンピュータ
12 レベル評価・相関検証部
13 時間遅れ補正部
14 クランク角度算出部
15 打音情報データベース
16 解析パラメータ指令部
17 音源特定部
18 レベル評価・音源特定結果表示部
21 加振器
22 発振器
23 パワーアンプ
24 チャージアンプ

Claims (5)

  1. 評価対象のエンジンの回転による振動を検出する振動検出手段と、
    上記エンジンの近傍に配置されて該エンジンから発生する打音を検出する打音検出手段と、
    上記エンジンからのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいて上記エンジンのクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、
    上記振動検出手段からの振動検出信号と上記打音検出手段からの音検出信号とが、上記クランク角度算出手段で算出されるクランク角度の評価すべき音源に関するクランク角度範囲で同期するように上記音検出信号の時間遅れを補正する時間遅れ補正手段と、
    上記時間遅れ補正手段で補正され、上記評価すべき音源に関するクランク角度範囲で同期する上記振動検出信号及び上記音検出信号の少なくとも一方のレベルを解析して評価すると共に、両検出信号の相関を算出するレベル評価・相関検証手段と、
    異常音・異常振動情報を含む打音情報を格納する打音情報データベースと、
    上記レベル評価・相関検証手段でのレベル評価・相関結果と上記打音情報データベースに格納された打音情報との比較に基づいて音源を特定する音源特定手段とを有することを特徴とするエンジン評価装置。
  2. 上記音源の特定結果を次のエンジン評価の参考データとして上記打音情報データベースに格納することを特徴とする請求項1に記載のエンジン評価装置。
  3. 上記振動検出手段及び上記打音検出手段により、上記エンジンの複数サイクルの回転における振動及び打音を各々検出し、これら複数サイクル分の振動検出信号及び音検出信号に基づいて上記音源特定手段により音源を特定することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン評価装置。
  4. 上記振動検出手段に接続して通過帯域が可変のフィルタ手段を設け、上記打音情報データベースには各種音源に対応する振動周波数帯域情報を格納し、評価すべき音源に応じて上記打音情報データベースに格納されている対応する振動周波数帯域情報に基づいて上記フィルタ手段の通過帯域を設定して、上記振動検出手段の出力から評価すべき音源に対応する周波数帯域の振動検出信号を抽出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンジン評価装置。
  5. 上記音源特定手段による音源の特定結果を表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジン評価装置。
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