JP2004191238A - エンジンのバルブクリアランス評価方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価できるバルブクリアランス評価方法及び装置を提供する。
【解決手段】エンジンの振動を振動検出手段2で検出して信号処理手段6により各バルブの順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク時のクランク角度を、クランク角度算出手段12で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握手段13で把握し、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定手段15において順次組合せながら、データベース14に予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生時のクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジンの振動を振動検出手段2で検出して信号処理手段6により各バルブの順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク時のクランク角度を、クランク角度算出手段12で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握手段13で把握し、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定手段15において順次組合せながら、データベース14に予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生時のクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの生産過程で、エンジンを回転させてインテークバルブ及びエキゾーストバルブの各バルブのバルブクリアランスを評価するエンジンのバルブクリアランス評価方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの生産過程では、出荷品質を確保するために、生産したエンジンを回転させてインテークバルブ及びエキゾーストバルブの各バルブのバルブクリアランスを評価し、不良の場合には再調整するようにしている。
【0003】
このようなバルブクリアランスの評価装置として、従来、バルブを往復動させるカムを、バルブを小さい閉弁速度で閉弁させる形状の第1閉弁区間と、この第1閉弁区間の閉弁速度よりも大きい閉弁速度で閉弁させる形状の第2閉弁区間とを有し、バルブクリアランスが適正範囲内にあるときバルブが第1閉弁区間で着座し、バルブクリアランスが適正範囲外にあるときバルブが第2閉弁区間で着座するように構成し、バルブの着座音を検出して、その着座音の発生タイミングからバルブクリアランスが適正範囲内にあるか否かを判定するものがある。また、バルブを往復動させるカムを、バルブを小さい開弁速度で開弁させる形状の第1開弁区間と、この第1開弁区間の開弁速度よりも大きい開弁速度で開弁させる形状の第2開弁区間とを有し、バルブクリアランスが適正範囲内にあるときバルブが第1開弁区間で開弁を開始し、バルブクリアランスが適正範囲外にあるときバルブが第2開弁区間で開弁を開始するように構成し、カムとバルブとの衝突音を検出して、その衝突音の発生タイミングからバルブクリアランスが適正範囲内にあるか否かを判定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他のバルブクリアランス評価装置として、エンジンの各バルブの近傍における振動を検出して、その検出されたエンジン振動信号から対応するバルブの駆動に関連するバルブ振動信号を抽出し、さらに、エンジンコントロールユニットからのカム角検出信号及びクランク角検出信号と予め入力されたカムプロフィールデータとに基づいて各バルブに対応するカム開閉ランプ部及びバルブリフト部の範囲を示すカムシャフトタイミングを検出して、これらバルブ振動信号とカムシャフトタイミングとの相関に基づいてバルブクリアランスを判定するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−72208号公報(段落番号0004〜0005)
【特許文献2】
特開2001−21455号公報(段落番号0010、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載のバルブクリアランス評価装置にあっては、バルブの着座音、あるいはカムとバルブとの衝突音の発生タイミングが近い2つのバルブがある場合には、それらの検出信号がバルブクリアランスの組み合わせにより重なって、どのバルブの検出信号なのかを判別することができず、バルブクリアランスを特定できない場合がある。
【0007】
同様に、上記特許文献2に記載のバルブクリアランス評価装置にあっても、バルブ振動信号の発生タイミングが近い2つのバルブがある場合には、それらの振動信号がバルブクリアランスの組み合わせにより重なって、バルブクリアランスを特定できない場合がある。
【0008】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価できるバルブクリアランス評価方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載のエンジンのバルブクリアランス評価方法の発明は、回転中のエンジンからの発生音またはエンジンの振動を検出し、その検出信号から各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出して、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を得、その得られたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組合せながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合することにより、各バルブのバルブクリアランスを特定して評価することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によると、エンジンからの発生音またはエンジンの振動の検出信号に基づいて得た順次のバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度の中から、異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載のエンジンのバルブクリアランス評価装置の発明は、回転中のエンジンの振動を検出する振動検出手段と、上記振動検出手段からのエンジン振動信号を処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出する信号処理手段と、上記エンジンからのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいて上記エンジンのクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、上記信号処理手段で抽出される順次のバルブ振動信号及び上記クランク角度算出手段で算出されるクランク角度を受けて、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を把握する振動ピーク分布把握手段と、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を予め格納するデータベースと、上記振動ピーク分布把握手段で把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、上記データベースに格納されている開閉のクランク角度と照合して各バルブのバルブクリアランスを特定するバルブクリアランス特定手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によると、クランク角度算出手段、振動ピーク分布把握手段、データベース、及びバルブクリアランス特定手段は、例えばパーソナルコンピュータで構成できるので、簡単かつ安価な構成で、請求項1の発明と同様に、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することが可能となる。また、特に、請求項2においては、エンジンの振動からバルブ振動信号を抽出するので、エンジン音からバルブ振動信号を抽出する場合に比べて、インジェクタ音、ベルト擦れ音、ダイナモ回転音、排気音、通風口音等の外乱に影響されることなく、バルブ振動信号をより正確に抽出することが可能となる。従って、バルブクリアランスを正確に特定できるので、より高精度の評価が可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2のエンジンのバルブクリアランス評価装置において、上記バルブクリアランス特定手段で特定された各バルブのバルブクリアランスを表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によると、各バルブのバルブクリアランス特定結果が表示手段に表示されるので、簡単かつ迅速にバルブクリアランスを評価することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるエンジンのバルブクリアランス評価方法および装置の実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明によるエンジンのバルブクリアランス評価装置の概略構成を示すブロック図、図2はバルブクリアランスによるバルブリフト期間を説明するための図、図3は図1に示すエンジンの各バルブのバルブクリアランスに対応する開閉振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を示す図、図4は図1に示すデータベースに格納するデータベース情報を示す図、図5は図1に示す振動ピーク分布把握部に供給されるバルブ振動信号とクランク角度との関係を示す図、図6は本実施の形態の動作を説明するためのフローチャート、図7は本実施の形態によるバルブクリアランスの特定例を説明するための図である。
【0017】
本実施の形態では、図1に示すように、評価対象の例えば4サイクル4気筒8バルブのエンジン1に振動検出手段である振動センサ2を取り付け、エンジン1に燃料を供給してエンジン1を実際に回転させるか、あるいはエンジン1を図示しないモータにより回転させて、エンジン1の所定の複数サイクルにおけるエンジン振動を検出する。
【0018】
振動センサ2から出力される振動検出信号は、増幅器3で増幅した後、高域通過フィルタ(HPF)4及び低域通過フィルタ(LPF)5を有する信号処理手段6に供給して、評価すべきバルブの開閉に関連する周波数帯域の順次のバルブ振動信号を抽出し、その抽出したバルブ振動信号をパーソナルコンピュータ(PC)11に取り込む。
【0019】
また、PC11には、エンジン1から出力されるクランク角検出信号、及びカム角検出信号、点火信号、噴射信号等の気筒判別信号を取り込む。
【0020】
PC11には、クランク角度算出手段であるクランク角度算出部12、振動ピーク分布把握手段である振動ピーク分布把握部13、データベース14、バルブクリアランス特定手段であるバルブクリアランス特定部15、及び表示手段であるバルブクリアランス特定結果表示部16を設ける。
【0021】
エンジン1からのクランク角検出信号及び気筒判別信号は、クランク角度算出部12に供給してクランク角度を算出し、その算出したクランク角度を振動ピーク分布把握部13に供給する。
【0022】
また、信号処理手段6で抽出される順次のバルブ振動信号は、振動ピーク分布把握部13に供給し、ここでバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度算出部12からのクランク角度を把握してバルブクリアランス特定部15へ振動ピーク分布情報として供給する。
【0023】
一方、データベース14には、予め実験やカムプロフィールから得られたデータに基づいて、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を格納しておく。
【0024】
バルブクリアランス特定部15では、振動ピーク分布把握部13で把握された振動ピーク分布情報の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、データベース14に格納されている開閉のクランク角度と照合して各バルブのバルブクリアランスを特定し、その特定結果をバルブクリアランス特定結果表示部16に表示して、エンジン1の各バルブクリアランスを評価する。
【0025】
ここで、図2に示すように、カム1回転のカムリフトによるバルブリフト期間は、バルブクリアランス(V/C)が小さいときは、バルブが早めに開いて遅く閉じるために長くなり、バルブクリアランスが大きいときは、バルブが遅れて開いて早めに閉じるために短くなる。このため、信号処理手段6で抽出される各バルブのバルブ振動信号は、バルブクリアランスに応じて開および閉の両振動ピークの発生タイミングがセットで変化することになる。
【0026】
図3は、上記エンジン1の各バルブのバルブクリアランスに対応する開及び閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度(°CA)を示すもので、図中、#1、#2、#3、#4は気筒番号を示しており、丸印の大小はバルブクリアランスの大小に対応している。
【0027】
図3から明らかなように、上記のエンジン1の場合には、#1気筒の排気バルブと#2気筒の吸気バルブ、#3気筒の排気バルブと#1気筒の吸気バルブ、#4気筒の排気バルブと#3気筒の吸気バルブ、および#2気筒の排気バルブと#4気筒の吸気バルブの開きまたは閉じの振動ピーク発生タイミングが、各バルブのバルブクリアランスによっては重なる場合がある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、上記のように、バルブの開閉によるバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングが、バルブクリアランスに応じてセットで変化するのを利用して、予め実験やカムプロフィールから得られたデータに基づいて、図4に示すように、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開及び閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度(°CA)を求めて、それらのデータベース情報をデータベース14に格納しておく。
【0029】
以下、図1に示したバルブクリアランス評価装置のPC11内での動作を、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0030】
本実施の形態において、振動ピーク分布把握部13に供給される信号処理手段6からの順次のバルブ振動信号と、クランク角度算出部12からのクランク角度との関係は、例えば図5に示すようになる。
【0031】
そこで、図6に示すように、先ず、振動ピーク分布把握部13において、信号処理手段6から供給される順次のバルブ振動信号の振動ピークを検出してそれぞれフラグを立て(ステップS1)、その各フラグに振動ピーク検出時のクランク角度を変数名(P1,P2,・・・,Pn)として割り当てて(ステップS2)、その情報を振動ピーク分布情報としてバルブクリアランス特定部15に供給する。
【0032】
その後、バルブクリアランス特定部15では、全ての変数名の中から2つの変数名の組合せをバルブの[開き,閉じ]として、[P1,P2]、[P1,P3]、・・・のように順番に割り当てながら(ステップS3)、データベース14に格納されている組合せデータと一致するか否かを照合し(ステップS4)、一致したらデータベース情報からその組合せデータに対応するバルブのバルブクリアランスを割り出して(ステップS5)、その結果をバルブクリアランス特定結果表示部16に表示する(ステップS6)。
【0033】
このように、本実施の形態では、評価対象のエンジン1の回転中における振動を振動センサ2で検出し、その検出されたエンジン振動信号を信号処理手段6で処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を、クランク角度算出部12で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握部13で把握する。そして、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定部15において順次組合せながら、データベース14に予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合する。この照合により、各バルブのバルブクリアランスを特定してバルブクリアランス特定結果表示部16に表示するようにしたので、例えば図7に示すように、#3気筒の排気バルブおよび#1気筒の吸気バルブの開き振動ピーク発生タイミングが338°CAで重なっていても、閉じ振動ピーク発生タイミングが594°CAにあれば、データベース情報からその振動ピークは#1気筒の吸気バルブのものと判別できる。また、その開き及び閉じのクランク角度からバルブクリアランスを特定して表示することができる。従って、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定できるので、バルブクリアランスを簡単かつ迅速に、しかも高精度で評価することができる。
【0034】
また、クランク角度算出部12、振動ピーク分布把握部13、データベース14、バルブクリアランス特定部15、及びバルブクリアランス特定結果表示部16は、PC11で構成できるので、装置全体を簡単かつ安価にできる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、振動センサ2でエンジン1の振動を検出してバルブの開閉に関連するバルブ振動信号を抽出するようにしたが、マイクロフォンでエンジン1の発生音を検出し、その検出信号からバルブの開閉に関連するバルブ振動信号を抽出することもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるバルブクリアランス評価方法によれば、エンジンからの発生音またはエンジンの振動の検出信号に基づいて得た順次のバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度の中から、異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組合せながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定できる。また、バルブクリアランスを高精度で評価することができる。
【0037】
また、本発明によるバルブクリアランス評価装置によれば、エンジンの回転中における振動を振動検出手段で検出し、その検出されたエンジン振動信号を信号処理手段で処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を、クランク角度算出手段で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握手段で把握し、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定手段において順次組合せながら、データベースに予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、同様に2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することができる。
【0038】
しかも、クランク角度算出手段、振動ピーク分布把握手段、データベース、およびバルブクリアランス特定手段は、例えば一つのPCで構成できるので、装置全体を簡単かつ安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバルブクリアランス評価装置の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】バルブクリアランスによるバルブリフト期間を説明するための図である。
【図3】図1に示すエンジンの各バルブのバルブクリアランスに対応する開閉振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を示す図である。
【図4】図1に示すデータベースに格納するデータベース情報を示す図である。
【図5】図1に示す振動ピーク分布把握部に供給されるバルブ振動信号とクランク角度との関係を示す図である。
【図6】図1に示すバルブクリアランス評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示すバルブクリアランス評価装置によるバルブクリアランスの特定例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 振動センサ(振動検出手段)
3 増幅器
4 高域通過フィルタ(HPF)
5 低域通過フィルタ(LPF)
6 信号処理手段
11 パーソナルコンピュータ(PC)
12 クランク角度算出部(クランク角度算出手段)
13 振動ピーク分布把握部(振動ピーク分布把握手段)
14 データベース
15 バルブクリアランス特定部(バルブクリアランス特定手段)
16 バルブクリアランス特定結果表示部(表示手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの生産過程で、エンジンを回転させてインテークバルブ及びエキゾーストバルブの各バルブのバルブクリアランスを評価するエンジンのバルブクリアランス評価方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの生産過程では、出荷品質を確保するために、生産したエンジンを回転させてインテークバルブ及びエキゾーストバルブの各バルブのバルブクリアランスを評価し、不良の場合には再調整するようにしている。
【0003】
このようなバルブクリアランスの評価装置として、従来、バルブを往復動させるカムを、バルブを小さい閉弁速度で閉弁させる形状の第1閉弁区間と、この第1閉弁区間の閉弁速度よりも大きい閉弁速度で閉弁させる形状の第2閉弁区間とを有し、バルブクリアランスが適正範囲内にあるときバルブが第1閉弁区間で着座し、バルブクリアランスが適正範囲外にあるときバルブが第2閉弁区間で着座するように構成し、バルブの着座音を検出して、その着座音の発生タイミングからバルブクリアランスが適正範囲内にあるか否かを判定するものがある。また、バルブを往復動させるカムを、バルブを小さい開弁速度で開弁させる形状の第1開弁区間と、この第1開弁区間の開弁速度よりも大きい開弁速度で開弁させる形状の第2開弁区間とを有し、バルブクリアランスが適正範囲内にあるときバルブが第1開弁区間で開弁を開始し、バルブクリアランスが適正範囲外にあるときバルブが第2開弁区間で開弁を開始するように構成し、カムとバルブとの衝突音を検出して、その衝突音の発生タイミングからバルブクリアランスが適正範囲内にあるか否かを判定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他のバルブクリアランス評価装置として、エンジンの各バルブの近傍における振動を検出して、その検出されたエンジン振動信号から対応するバルブの駆動に関連するバルブ振動信号を抽出し、さらに、エンジンコントロールユニットからのカム角検出信号及びクランク角検出信号と予め入力されたカムプロフィールデータとに基づいて各バルブに対応するカム開閉ランプ部及びバルブリフト部の範囲を示すカムシャフトタイミングを検出して、これらバルブ振動信号とカムシャフトタイミングとの相関に基づいてバルブクリアランスを判定するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−72208号公報(段落番号0004〜0005)
【特許文献2】
特開2001−21455号公報(段落番号0010、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載のバルブクリアランス評価装置にあっては、バルブの着座音、あるいはカムとバルブとの衝突音の発生タイミングが近い2つのバルブがある場合には、それらの検出信号がバルブクリアランスの組み合わせにより重なって、どのバルブの検出信号なのかを判別することができず、バルブクリアランスを特定できない場合がある。
【0007】
同様に、上記特許文献2に記載のバルブクリアランス評価装置にあっても、バルブ振動信号の発生タイミングが近い2つのバルブがある場合には、それらの振動信号がバルブクリアランスの組み合わせにより重なって、バルブクリアランスを特定できない場合がある。
【0008】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価できるバルブクリアランス評価方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載のエンジンのバルブクリアランス評価方法の発明は、回転中のエンジンからの発生音またはエンジンの振動を検出し、その検出信号から各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出して、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を得、その得られたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組合せながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合することにより、各バルブのバルブクリアランスを特定して評価することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によると、エンジンからの発生音またはエンジンの振動の検出信号に基づいて得た順次のバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度の中から、異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載のエンジンのバルブクリアランス評価装置の発明は、回転中のエンジンの振動を検出する振動検出手段と、上記振動検出手段からのエンジン振動信号を処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出する信号処理手段と、上記エンジンからのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいて上記エンジンのクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、上記信号処理手段で抽出される順次のバルブ振動信号及び上記クランク角度算出手段で算出されるクランク角度を受けて、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を把握する振動ピーク分布把握手段と、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を予め格納するデータベースと、上記振動ピーク分布把握手段で把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、上記データベースに格納されている開閉のクランク角度と照合して各バルブのバルブクリアランスを特定するバルブクリアランス特定手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によると、クランク角度算出手段、振動ピーク分布把握手段、データベース、及びバルブクリアランス特定手段は、例えばパーソナルコンピュータで構成できるので、簡単かつ安価な構成で、請求項1の発明と同様に、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することが可能となる。また、特に、請求項2においては、エンジンの振動からバルブ振動信号を抽出するので、エンジン音からバルブ振動信号を抽出する場合に比べて、インジェクタ音、ベルト擦れ音、ダイナモ回転音、排気音、通風口音等の外乱に影響されることなく、バルブ振動信号をより正確に抽出することが可能となる。従って、バルブクリアランスを正確に特定できるので、より高精度の評価が可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2のエンジンのバルブクリアランス評価装置において、上記バルブクリアランス特定手段で特定された各バルブのバルブクリアランスを表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によると、各バルブのバルブクリアランス特定結果が表示手段に表示されるので、簡単かつ迅速にバルブクリアランスを評価することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるエンジンのバルブクリアランス評価方法および装置の実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明によるエンジンのバルブクリアランス評価装置の概略構成を示すブロック図、図2はバルブクリアランスによるバルブリフト期間を説明するための図、図3は図1に示すエンジンの各バルブのバルブクリアランスに対応する開閉振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を示す図、図4は図1に示すデータベースに格納するデータベース情報を示す図、図5は図1に示す振動ピーク分布把握部に供給されるバルブ振動信号とクランク角度との関係を示す図、図6は本実施の形態の動作を説明するためのフローチャート、図7は本実施の形態によるバルブクリアランスの特定例を説明するための図である。
【0017】
本実施の形態では、図1に示すように、評価対象の例えば4サイクル4気筒8バルブのエンジン1に振動検出手段である振動センサ2を取り付け、エンジン1に燃料を供給してエンジン1を実際に回転させるか、あるいはエンジン1を図示しないモータにより回転させて、エンジン1の所定の複数サイクルにおけるエンジン振動を検出する。
【0018】
振動センサ2から出力される振動検出信号は、増幅器3で増幅した後、高域通過フィルタ(HPF)4及び低域通過フィルタ(LPF)5を有する信号処理手段6に供給して、評価すべきバルブの開閉に関連する周波数帯域の順次のバルブ振動信号を抽出し、その抽出したバルブ振動信号をパーソナルコンピュータ(PC)11に取り込む。
【0019】
また、PC11には、エンジン1から出力されるクランク角検出信号、及びカム角検出信号、点火信号、噴射信号等の気筒判別信号を取り込む。
【0020】
PC11には、クランク角度算出手段であるクランク角度算出部12、振動ピーク分布把握手段である振動ピーク分布把握部13、データベース14、バルブクリアランス特定手段であるバルブクリアランス特定部15、及び表示手段であるバルブクリアランス特定結果表示部16を設ける。
【0021】
エンジン1からのクランク角検出信号及び気筒判別信号は、クランク角度算出部12に供給してクランク角度を算出し、その算出したクランク角度を振動ピーク分布把握部13に供給する。
【0022】
また、信号処理手段6で抽出される順次のバルブ振動信号は、振動ピーク分布把握部13に供給し、ここでバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度算出部12からのクランク角度を把握してバルブクリアランス特定部15へ振動ピーク分布情報として供給する。
【0023】
一方、データベース14には、予め実験やカムプロフィールから得られたデータに基づいて、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を格納しておく。
【0024】
バルブクリアランス特定部15では、振動ピーク分布把握部13で把握された振動ピーク分布情報の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、データベース14に格納されている開閉のクランク角度と照合して各バルブのバルブクリアランスを特定し、その特定結果をバルブクリアランス特定結果表示部16に表示して、エンジン1の各バルブクリアランスを評価する。
【0025】
ここで、図2に示すように、カム1回転のカムリフトによるバルブリフト期間は、バルブクリアランス(V/C)が小さいときは、バルブが早めに開いて遅く閉じるために長くなり、バルブクリアランスが大きいときは、バルブが遅れて開いて早めに閉じるために短くなる。このため、信号処理手段6で抽出される各バルブのバルブ振動信号は、バルブクリアランスに応じて開および閉の両振動ピークの発生タイミングがセットで変化することになる。
【0026】
図3は、上記エンジン1の各バルブのバルブクリアランスに対応する開及び閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度(°CA)を示すもので、図中、#1、#2、#3、#4は気筒番号を示しており、丸印の大小はバルブクリアランスの大小に対応している。
【0027】
図3から明らかなように、上記のエンジン1の場合には、#1気筒の排気バルブと#2気筒の吸気バルブ、#3気筒の排気バルブと#1気筒の吸気バルブ、#4気筒の排気バルブと#3気筒の吸気バルブ、および#2気筒の排気バルブと#4気筒の吸気バルブの開きまたは閉じの振動ピーク発生タイミングが、各バルブのバルブクリアランスによっては重なる場合がある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、上記のように、バルブの開閉によるバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングが、バルブクリアランスに応じてセットで変化するのを利用して、予め実験やカムプロフィールから得られたデータに基づいて、図4に示すように、各バルブに関するバルブクリアランス毎の開及び閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度(°CA)を求めて、それらのデータベース情報をデータベース14に格納しておく。
【0029】
以下、図1に示したバルブクリアランス評価装置のPC11内での動作を、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0030】
本実施の形態において、振動ピーク分布把握部13に供給される信号処理手段6からの順次のバルブ振動信号と、クランク角度算出部12からのクランク角度との関係は、例えば図5に示すようになる。
【0031】
そこで、図6に示すように、先ず、振動ピーク分布把握部13において、信号処理手段6から供給される順次のバルブ振動信号の振動ピークを検出してそれぞれフラグを立て(ステップS1)、その各フラグに振動ピーク検出時のクランク角度を変数名(P1,P2,・・・,Pn)として割り当てて(ステップS2)、その情報を振動ピーク分布情報としてバルブクリアランス特定部15に供給する。
【0032】
その後、バルブクリアランス特定部15では、全ての変数名の中から2つの変数名の組合せをバルブの[開き,閉じ]として、[P1,P2]、[P1,P3]、・・・のように順番に割り当てながら(ステップS3)、データベース14に格納されている組合せデータと一致するか否かを照合し(ステップS4)、一致したらデータベース情報からその組合せデータに対応するバルブのバルブクリアランスを割り出して(ステップS5)、その結果をバルブクリアランス特定結果表示部16に表示する(ステップS6)。
【0033】
このように、本実施の形態では、評価対象のエンジン1の回転中における振動を振動センサ2で検出し、その検出されたエンジン振動信号を信号処理手段6で処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を、クランク角度算出部12で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握部13で把握する。そして、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定部15において順次組合せながら、データベース14に予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合する。この照合により、各バルブのバルブクリアランスを特定してバルブクリアランス特定結果表示部16に表示するようにしたので、例えば図7に示すように、#3気筒の排気バルブおよび#1気筒の吸気バルブの開き振動ピーク発生タイミングが338°CAで重なっていても、閉じ振動ピーク発生タイミングが594°CAにあれば、データベース情報からその振動ピークは#1気筒の吸気バルブのものと判別できる。また、その開き及び閉じのクランク角度からバルブクリアランスを特定して表示することができる。従って、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定できるので、バルブクリアランスを簡単かつ迅速に、しかも高精度で評価することができる。
【0034】
また、クランク角度算出部12、振動ピーク分布把握部13、データベース14、バルブクリアランス特定部15、及びバルブクリアランス特定結果表示部16は、PC11で構成できるので、装置全体を簡単かつ安価にできる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、振動センサ2でエンジン1の振動を検出してバルブの開閉に関連するバルブ振動信号を抽出するようにしたが、マイクロフォンでエンジン1の発生音を検出し、その検出信号からバルブの開閉に関連するバルブ振動信号を抽出することもできる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるバルブクリアランス評価方法によれば、エンジンからの発生音またはエンジンの振動の検出信号に基づいて得た順次のバルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度の中から、異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組合せながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定できる。また、バルブクリアランスを高精度で評価することができる。
【0037】
また、本発明によるバルブクリアランス評価装置によれば、エンジンの回転中における振動を振動検出手段で検出し、その検出されたエンジン振動信号を信号処理手段で処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出し、その各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を、クランク角度算出手段で算出されるクランク角度を用いて振動ピーク分布把握手段で把握し、これら把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として、バルブクリアランス特定手段において順次組合せながら、データベースに予め格納されている各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合して、各バルブのバルブクリアランスを特定するので、同様に2つのバルブの開閉に関連するバルブ振動信号が重なる場合でも、各バルブのバルブクリアランスを確実に特定でき、バルブクリアランスを高精度で評価することができる。
【0038】
しかも、クランク角度算出手段、振動ピーク分布把握手段、データベース、およびバルブクリアランス特定手段は、例えば一つのPCで構成できるので、装置全体を簡単かつ安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバルブクリアランス評価装置の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】バルブクリアランスによるバルブリフト期間を説明するための図である。
【図3】図1に示すエンジンの各バルブのバルブクリアランスに対応する開閉振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を示す図である。
【図4】図1に示すデータベースに格納するデータベース情報を示す図である。
【図5】図1に示す振動ピーク分布把握部に供給されるバルブ振動信号とクランク角度との関係を示す図である。
【図6】図1に示すバルブクリアランス評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示すバルブクリアランス評価装置によるバルブクリアランスの特定例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 振動センサ(振動検出手段)
3 増幅器
4 高域通過フィルタ(HPF)
5 低域通過フィルタ(LPF)
6 信号処理手段
11 パーソナルコンピュータ(PC)
12 クランク角度算出部(クランク角度算出手段)
13 振動ピーク分布把握部(振動ピーク分布把握手段)
14 データベース
15 バルブクリアランス特定部(バルブクリアランス特定手段)
16 バルブクリアランス特定結果表示部(表示手段)
Claims (3)
- 回転中のエンジンからの発生音またはエンジンの振動を検出し、その検出信号から各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出して、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を得、その得られたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、各バルブについてバルブクリアランス毎に予め求めた開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度と照合することにより、各バルブのバルブクリアランスを特定して評価することを特徴とするエンジンのバルブクリアランス評価方法。
- 回転中のエンジンの振動を検出する振動検出手段と、
上記振動検出手段からのエンジン振動信号を処理して各バルブの開閉に関連する順次のバルブ振動信号を抽出する信号処理手段と、
上記エンジンからのクランク角検出信号及び気筒判別信号に基づいて上記エンジンのクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、
上記信号処理手段で抽出される順次のバルブ振動信号及び上記クランク角度算出手段で算出されるクランク角度を受けて、各バルブ振動信号の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を把握する振動ピーク分布把握手段と、
各バルブに関するバルブクリアランス毎の開閉の振動ピーク発生タイミングにおけるクランク角度を予め格納するデータベースと、
上記振動ピーク分布把握手段で把握されたクランク角度の中から異なる2つのクランク角度をバルブ開閉のクランク角度として順次組み合わせながら、上記データベースに格納されている開閉のクランク角度と照合して各バルブのバルブクリアランスを特定するバルブクリアランス特定手段と、
を有することを特徴とするエンジンのバルブクリアランス評価装置。 - 上記バルブクリアランス特定手段で特定された各バルブのバルブクリアランスを表示する表示手段を有することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのバルブクリアランス評価装置。
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2002
- 2002-12-12 JP JP2002360847A patent/JP2004191238A/ja active Pending
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