JP4014136B2 - ガス化発電システムとガス化発電方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガス化発電システムとガス化発電方法に関し、詳しくは、熱効率の高い乾式ガス精製方式を採用したガス化発電システムとガス化発電方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形燃料や有機系廃棄物を加熱して熱分解し、ガス化して生成されたガスの有する熱エネルギーを発電に利用したり、燃料に変換したりする場合に、生成ガス中に含まれる有害な酸性成分を無害化処理することが必要になる。その方法としては、一般に湿式ガス精製方法が採用されている。
【0003】
湿式ガス精製方法は、MEA(モノエタノールアミン)法などの化学吸収法、セレクゾール法などの物理吸収法、その他に直接酸化法などがあり、夫々一長一短があるが、化学工業ではMEA法などの化学吸収法が多く採用されており、発電用としては物理吸収法が主に採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、湿式ガス精製方法は生成したガスを水処理するため、冷却されて100℃以下程度にまでなり、生成ガスの有する高温の熱エネルギーを利用することができず、熱効率が極めて悪いという問題がある。つまり、ガス化して生成された熱エネルギーは温度が高いほど高効率でガスタービン等に利用することができ、発電効率も高くなるので、できるだけ高い温度のまま有害な酸性成分を除外することが望ましいが、従来の湿式ガス精製方法では、高い熱効率で利用することはできなかった。しかも、湿式ガス精製方法の場合、排水処理を行う必要があり、そのためにも多大なスペースを必要としたり、複雑な設備を必要としている。
【0005】
他方、乾式ガス精製方法は、ガス化された生成ガスの潜熱を除外することなく利用できて高い熱効率を期待できるが、生成ガスの有する高い熱エネルギーを発電システムに利用する場合、生成ガスを高圧ガスにする必要があり、従って、システム全体を耐圧設備とする必要があり、この場合も設備全体が大掛かり、かつ複雑とならざるを得ないとい問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、廃棄物などの被燃焼物を加熱して生成したガスの有する熱エネルギーを可能な限り保存しつつ高い熱効率で利用できると共に、常圧の生成ガスを使用可能なガス化発電システムとガス化発電方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るガス化発電システムの特徴構成は、被燃焼物を加熱してガス化するガス化装置と、このガス化装置の下流側に配置されてガス化装置から発生する生成ガスを除塵するセラミックフィルターと、除塵された前記生成ガスから熱回収する熱回収装置と、この熱回収装置を通過した前記生成ガスに、加熱されて多孔質になるアルカリ性薬剤を投入して反応させる薬剤投入装置と、この薬剤投入装置により前記生成ガス中の反応生成物を除去する集塵手段と、反応生成物を除去された前記生成ガスを加圧・圧縮する圧縮手段と、この圧縮手段により加圧された前記生成ガスを送給して発電する発電装置とを備えることにある。
【0008】
この構成によれば、ガス化装置により生成された生成ガス中に含まれる煤塵をセラミックフィルターで除去され、高い熱エネルギーを有したままボイラー設備などに熱利用でき、更に生成ガス中に含まれる酸性成分は効果的に中和除去されて精製されるので、湿式ガス精製方法のように水中を通す必要がなく、生成ガスの有する熱エネルギーを損なうことなく保存して利用でき、利用に際して高い熱効率を達成することができる。しかも、常圧で生成ガスを精製し、発電装置に送給する直前で生成ガスを加圧・圧縮すればよいため、システム全体の装置構成を耐圧設備にする必要がなく、その製造コストを顕著に低減できる。
【0009】
その結果、被燃焼物を加熱して生成したガスの有する熱エネルギーを可能な限り保存しつつ高い熱効率で利用できると共に、常圧の生成ガスを使用可能なガス化発電システムを提供することができた。
【0010】
前記セラミックフィルターにより除塵された煤塵は、前記ガス化装置に戻されて前記生成ガス中の未燃成分がガス化されるようになっていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、生成ガス中の灰分、未燃成分を再度ガス化装置内に戻して、ガス化効率の向上に寄与できて都合がよい。
【0012】
前記アルカリ性薬剤が炭酸水素ナトリウムであり、前記薬剤投入装置が、前記炭酸水素ナトリウムを微粉砕する粉砕機と、この粉砕機により微粉砕された炭酸水素ナトリウムを不活性ガスと共に送給して前記生成ガスと混合させる混合器とを備えることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、粉砕機により微粉砕され活性度を高められた炭酸水素ナトリウムが、混合器中において生成ガス中の酸性成分と効率よく中和反応し、生成ガス中の酸性成分を一層効果的に除去できる。
【0014】
又、本発明に係るガス化発電方法の特徴構成は、ガス化装置により被燃焼物を加熱してガス化し、この生成ガスをセラミックフィルターにより除塵し、除塵された前記生成ガスから熱回収し、熱回収した前記生成ガスに、加熱されて多孔質になるアルカリ性薬剤を投入して反応させることにより生成ガス中の酸性成分を中和し、中和された反応生成物を集塵除去して生成ガスを精製し、精製されたガスを加圧・圧縮し発電装置に送給して発電することにある。
【0015】
この構成によれば、廃棄物などを加熱して生成したガスの有する熱エネルギーを可能な限り保存しつつ高い熱効率で利用できると共に、常圧の生成ガスを使用可能なガス化発電方法を提供することができた。
【0016】
前記セラミックフィルターにより除塵された生成ガス中の煤塵を、前記ガス化装置に戻すことにより前記生成ガス中の未燃成分をガス化することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、ガス化効率を一層向上できて都合がよい。
【0018】
前記アルカリ性薬剤が炭酸水素ナトリウムであり、この炭酸水素ナトリウムを粉砕機により微粉砕して、これを不活性ガスと共に混合器に送給して前記生成ガスと混合することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、微粉砕され活性度を高められた炭酸水素ナトリウムを、混合器中において生成ガス中の酸性成分と効率よく中和反応させることができて、生成ガス中の酸性成分を一層効果的に除去できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るガス化発電システムの概略全体構造を示す。まず、被燃焼物の一例である有機系廃棄物を含む廃棄物は粉砕機1により所定の大きさに粉砕され、粉砕された廃棄物は所定量以下の水分となるように乾燥機2により乾燥される。乾燥機2は、特に限定されるものではなく、従前の各種乾燥装置を使用することができ、直接過熱によるもの、間接過熱によるもの、あるいはヒータを用いるもの、蒸気を用いるもの等、種々の乾燥装置を適用できる。乾燥された廃棄物は、ガス化装置の1種である循環流動層式ガス化炉3に投入され、加熱・分解されてガス化される。
【0021】
生成されたガスは、セラミックフィルター4により除塵される。この場合、生成ガス中の灰分、未燃成分は再度ガス化炉3内に戻されて、ガス化炉3内を循環して十分な滞留時間を確保され、ガス化効率の向上に寄与されることになる。灰分は、ガス化炉3下方に設置された残渣ガス化炉5にて燃焼・ガス化されて系外に排出される。この残渣ガス化炉5には、燃焼を促進するために空気あるいは酸素が吹き込まれるが、更に後述するボイラー設備から発生する加熱蒸気を投入してもよい。
【0022】
セラミックフィルター4としては、高温での使用に適した窒化珪素、窒化炭素、アルミナ製などのフィルターを使用でき、その孔径としては、ガス中の飛灰を除去できればよく、通常、数十μm程度のものを使用できる。
【0023】
セラミックフィルター4により除塵された生成ガスは、熱回収装置である熱交換器6に送り込まれて熱回収される。その熱エネルギーはボイラー設備9などに送られて有効に利用される。この場合、熱交換器6に給水されて熱交換される条件として、具体的には、ボイラー設備9の規模にもよるが、例えば、120℃程度に加熱された水蒸気を用いて、熱交換器6から排出されるときには200℃程度に加熱されてボイラー設備9に送給される。ボイラー設備9から発生した水蒸気あるいは過熱蒸気は、蒸気タービン14に送給されて利用され、これに接続する発電機15により発電に寄与し得る。ボイラー設備9を通過し、熱利用されたガスは、煙突16から大気に放出される。
【0024】
このシステムの場合、従来技術と異なり生成ガスを低温に冷却して生成ガスの有する熱エネルギーを著しく減殺する必要がなく、しかも生成ガスには煤塵が除去されているので、生成ガスの熱伝達率は向上し、生成ガスの有する高温エネルギーを有効に利用でき、高い熱効率を達成できる。のみならず、生成ガスから煤塵が除かれていることにより、熱交換器6を構成する水管に磨耗や腐食が生じるのを顕著に低減でき、水管の寿命延長と取り出す蒸気の高温化が可能になるという効果が得られる。
【0025】
熱回収された生成ガスは、更に、薬剤投入装置である炭酸水素ナトリウム吹込装置7に送給されて、生成ガス中の酸性成分が中和・除去され精製される。すなわち、炭酸水素ナトリウム吹込装置7は、図2に示すように、炭酸水素ナトリウムを送給するテーブルフィーダーのような供給装置7aと、供給された炭酸水素ナトリウムを微粉砕する粉砕機7bと、粉砕機7bにより微粉砕された炭酸水素ナトリウム粉末を窒素やアルゴンなどの不活性ガスを介して送り込むことにより生成ガスと混合させる、エジェクターのような混合器7cなどとから構成されていて、除塵された生成ガスと吹き込まれた炭酸水素ナトリウム粉末とが混合器7c内で十分に混合され、生成ガスに含まれる酸性成分と炭酸水素ナトリウム粉末とが反応して酸性成分は中和され無害化される。ここに、不活性ガスとは、窒素やアルゴンのみならず、生成ガスを燃焼させないのであれば、水蒸気、空気などであってもよい。
【0026】
炭酸水素ナトリウムと混合された生成ガスは、生成ガスの有する残留熱により多孔質が促進された炭酸水素ナトリウムと効果的に反応し、生成ガス中の酸性成分は中和処理されて、生成ガス中の酸性成分は除去される。すなわち、炭酸水素ナトリウムは、140〜300℃程度の温度域に加熱されることにより、次式のように分解されてガス成分が揮発し、多孔質になって、活性化されたNa2 CO3 となる。
【0027】
2NaHCO3 → Na2 CO3 +CO2 +H2
このようにして生成された多孔質の活性化Na2 CO3 は、生成ガス中の酸性成分と効果的に反応し、湿式処理した場合と同等またはそれ以上の顕著な脱硫、脱塩効果を発揮し、ガスの中和反応が促進されることになる。この場合、炭酸水素ナトリウムは、ガス中の酸性成分の量に対応する量だけ投入されることが好ましい。そのために、ガス中の酸性成分量を混合器7cの上流側でモニターしておき、その結果に基づいて炭酸水素ナトリウムの投入量を自動的あるいは手動的に制御するようにすればよい。ガス中の酸性成分量の測定方法は特に限定されるものではなく、各種ガスセンサーを設けると共に、その測定結果をフィードバックして炭酸水素ナトリウムの投入量を制御する方式の採用などが考えられる。ガス中の酸性成分の測定に、半導体レーザ吸光分光方式のレーザ式ガス分析計を採用してもよく、これを用いる場合は検出速度が早いので、制御がタイミングよくできて特に好ましい。
【0028】
中和処理された生成ガス中の反応生成物は、集塵手段であるバグフィルター、セラミックフィルター(ガスが高温の場合に特に好ましい)等の集塵器8により除去されて、系外に取り出される。
【0029】
集塵器8により反応生成物を除去された精製ガスは、圧縮手段であるコンプレッサー10により加圧・圧縮された後、燃焼器11に送給されて燃焼し、ガスタービン12を駆動して、ガスタービン12に接続されている発電機13により発電に利用される。この場合も、精製ガスの顕熱がガスタービン12の効率向上に寄与できることになる。更に、ガスタービン12を駆動したガスの熱エネルギーは、ボイラー設備14に送給されて蒸気発生に利用される。これら排ガス中には、煤塵が含まれていないため、更に集塵器の設置は不要である。
【0030】
〔別実施の形態〕
(1) 本発明に実施可能な被燃焼物は有機系廃棄物を含む廃棄物に限定されるものではなく、各種固形燃料、産業廃棄物などであってもよく、又、実施可能なガス化装置についても特に限定されるものではなく、ストーカ炉、キルン式やシャフト炉式などの各種ガス化溶融炉、シャフト炉、その他の各種焼却炉など、被燃焼物を加熱・分解してガス化可能な装置であればよい。
【0031】
(2) 上記実施形態では、発電装置がガスタービン12と蒸気タービン14に接続される構成とされていて、高い発電能力を発揮する例を示したが、これらはいずれか単独のみ使用するもの、あるいはガスエンジンを使用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス化発電システムの概略全体構成図
【図2】図1のガス化発電システムを構成する炭酸水素ナトリウム吹込装置の概略構成ブロック図
【符号の説明】
3 ガス化装置
4 セラミックフィルター
6 熱回収装置
7b 粉砕機
7c 混合器
8 集塵手段
10 圧縮手段
13,14 発電装置

Claims (4)

  1. 被燃焼物を加熱してガス化するガス化装置と、
    このガス化装置の下流側に配置されてガス化装置から発生する生成ガスを除塵するセラミックフィルターと、
    除塵された前記生成ガスから熱回収する熱回収装置と、
    この熱回収装置を通過した前記生成ガスに、加熱されて多孔質になる炭酸水素ナトリウムを投入して反応させる薬剤投入装置と、
    この薬剤投入装置によって反応生成された、前記生成ガス中の反応生成物を除去することで、常圧の生成ガスを精製する集塵手段と、
    反応生成物を除去された前記生成ガスを加圧・圧縮する圧縮手段と、
    この圧縮手段により加圧された生成ガスを送給して発電する発電装置とを備え
    前記薬剤投入装置が、前記炭酸水素ナトリウムを微粉砕する粉砕機と、この粉砕機により微粉砕された炭酸水素ナトリウムを不活性ガスと共に送給して前記生成ガスと混合させる混合器とを備えるガス化発電システム。
  2. 前記セラミックフィルターにより除塵された煤塵は、前記ガス化装置に戻されて前記生成ガス中の未燃成分がガス化されるようになっている請求項1のガス化発電システム。
  3. ガス化装置により被燃焼物を加熱してガス化し、
    この生成ガスをセラミックフィルターにより除塵し、
    除塵された前記生成ガスから熱回収し、
    加熱されて多孔質になる炭酸水素ナトリウムを粉砕機により微粉砕して、これを不活性ガスと共に混合器に送給して前記熱回収した生成ガスと混合して反応させることにより生成ガス中の酸性成分を中和し、
    中和された反応生成物を集塵除去して常圧の生成ガスを精製し、
    精製されたガスを加圧・圧縮し発電装置に送給して発電するガス化発電方法。
  4. 前記セラミックフィルターにより除塵された生成ガス中の煤塵を、前記ガス化装置に戻すことにより前記生成ガス中の未燃成分をガス化する請求項3のガス化発電方法。
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