JP4013468B2 - 産業車両のサスペンション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーチ型フォークリフトトラック等の産業車両において左右で対を成す駆動輪及び従動輪を互いに逆向きに上下変位可能に支持する産業車両のサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業車両であるリーチ型フォークリフトトラック(以下、単にリーチフォークリフトという)として、本出願人が提案した特開平11−321266号公報のリーチフォークリフトがある。このリーチフォークリフトでは、図8に示すように、その後輪が駆動操舵輪70及びキャスタ71によって構成され、両輪70,71は平行リンク機構72等からなるサスペンション装置73によって互いに逆向きに上下変位可能に作動連結されている。なお、キャスタ71は、平行リンク機構72の構成部材であるロワリンク74の支持点75に支持されるとともにロワリンク74に対し小さい範囲で上下変位可能に連結されたキャスタリンク76に支持されている。
【0003】
このようなサスペンション装置73では、平行リンク機構72を介して駆動操舵輪70を下方に付勢するサスペンションスプリング77を設けることで、車両の重心位置が車両の前後方向に変化しても駆動操舵輪70の輪重がキャスタ71の輪重よりも所定の大きさだけ大きくなるようにしている。また、ロワリンク74とキャスタリンク76との間に、キャスタリンク76を介してキャスタ71を弾性的に支持するキャスタスプリング78を設けることで、キャスタ71の路面に対する追従性を確保している。
【0004】
このような平行リンク機構72からなるサスペンション装置73を備えたリーチフォークリフトでは、旋回時の横加速度や、揚高した積み荷の荷重によるモーメント荷重によって車体79が左右に傾動する虞があるときに、ロックシリンダ80によって平行リンク機構72の作動を規制して車体79の傾動を規制する制御が行なわれている。従って、駆動操舵輪70の輪重を確保しながら、旋回走行時や荷役作業時の左右安定性をも確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロックシリンダ80は、平行リンク機構72の作動を規制するだけであるため、キャスタ71の変位動作はキャスタスプリング78の変位分だけ許容されている。従って、ロックシリンダ80によって平行リンク機構72の作動を規制しても、車体79のキャスタ71側への傾動がある程度までは許容されるため、キャスタ71側に傾動するときの車体79の安定性が駆動操舵輪70側に傾動するときの安定性ほど高くなかった。
【0006】
キャスタ71側への傾動を規制するには、キャスタスプリング78をなくしてキャスタ71を平行リンク機構72に固定すればよいが、キャスタ71の路面に対する追従性が低下する。一方、キャスタリンク76を車体79に対して一時的に固定するロックシリンダを設け、ロックシリンダ80によって平行リンク機構72の作動を規制するときにこのロックシリンダによってキャスタリンク76の作動を規制することはできる。この場合、運転席の床面の下側でキャスタリンク76と車体79との間にロックシリンダを取り付ける必要があるが、床面の下側はロワリンク74、キャスタリンク76等によって占有されロックシリンダの取り付けスペースを確保できなかった。ロックシリンダの取り付けスペースを確保するために運転席の床面を高くすると、作業中に頻繁に行なわれる運転席への乗降性が悪化する。よって、このようにキャスタ71側にロックシリンダを設けることができないことも、キャスタ71側への傾動を規制する対策ができない原因の一つであった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、駆動輪の輪重を確保し、かつ、駆動輪及び従動輪の路面に対する追従性を確保するとともに、車体の従動輪側への傾動を駆動輪側への傾動と同じように規制または速度制限することができる産業車両のサスペンション装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、左右で対を成す駆動輪及び従動輪を互いに上下逆向きに変位可能に車体に対して支持する懸架機構と、前記駆動輪の輪重が前記従動輪の輪重よりも大きくなるように前記懸架機構を車体に対して付勢する付勢手段と、前記懸架機構の作動を規制または速度制限すべく前記懸架機構と車体との間に介装される作動規制手段とを備え、前記懸架機構は、前記作動規制手段により規制または速度制限される該懸架機構の部分に対して前記従動輪を弾性変位可能に支持する弾性支持手段を有し、前記作動規制手段により規制または速度制限される前記懸架機構の部分に対する前記従動輪の弾性変位を規制または速度制限する従動側作動規制手段とを備え、前記懸架機構は、車幅方向に延びる状態で車体に対し回動可能に支持される第1回動軸と、前記第1回動軸に対して結合され、該第1回動軸の正逆回動によって前記駆動輪を備えたドライブユニットを車体に対し車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位させるように支持する駆動輪支持手段と、車幅方向に延びる状態で車体に対し回動可能に支持される第2回動軸と、前記第2回動軸に対し一体回動するように結合され、該第2回動軸の正逆回動によって前記従動輪を車体に対し車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位可能に支持する従動輪支持手段と、複数の伝達部材からなり、前記第1回動軸と第2回動軸とを前記駆動輪及び従動輪が互いに逆向きに上下変位可能に作動連結する作動連結機構とからなり、前記弾性支持手段は、前記作動連結機構を構成する複数の伝達部材の1つであって、前記付勢手段は、前記駆動輪支持手段と車体との間に介装され、前記作動規制手段は、前記駆動輪支持手段と車体との間に介装され、前記従動側作動規制手段は、前記弾性支持手段よりも前記従動輪側にある前記伝達部材を介して、または、前記従動輪支持手段を介して前記従動輪の弾性変位を規制または速度制限することを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、車両重心が車両前後方向で位置変化しても、駆動輪の輪重が従動輪の輪重よりも所定の大きさだけ大きく維持される。また、駆動輪及び従動輪の路面に対する追従性が確保される。さらに、旋回走行時の横加速度や積み荷の偏在によるモーメント荷重等の外力による車体の駆動輪側への傾動と共に、同じ外力による車体の従動輪側への傾動を規制または速度制限することが可能となる。
【0012】
また、駆動輪及び従動輪がそれぞれ車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリーチ型フォークリフトトラックのサスペンション装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0018】
図2,3に示すように、産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック10(以下、フォークリフトという)は、前二輪の後輪一輪駆動タイプである。車体11の前部には左右一対のリーチレグ12が前方へ延出している。車体11の後部右部分には立席タイプの運転席(運転室)13が設けられている。運転席13の前側にあるインストルメントパネル11Aには、アクセルレバー14aと、複数の荷役レバー14bとが設けられている。また、運転席13の左隣に立設された収容ボックス11Bの上面にはハンドル15が設けられている。
【0019】
車体11にはマスト装置16が左右一対のリーチレグ12に沿って前後方向に移動可能に装備されている。マスト装置16には車体11の底部車幅方向中央に配設されたリーチシリンダ17のピストンロッド17aが連結されている。リーチシリンダ17は、荷役レバー14bのうちのリーチレバーによって操作される図示しないオイルコントロールバルブから作動油が給排されることでピストンロッド17aを伸縮させ、マスト装置16を所定ストローク範囲内で前後に移動させる。
【0020】
左右の前輪18は従動輪で左右のリーチレグ12の先端部にそれぞれ取付けられている。後側一輪が操舵輪を兼ねた駆動輪としての駆動操舵輪19となっており、駆動操舵輪19は車幅方向左寄りにオフセットされて位置し、所定距離離れたその右隣には駆動操舵輪19と左右で対をなす従動輪としてのキャスタ20が設けられている。
【0021】
図1,6に示すように、車体11を構成する車体フレーム21は、車体本体前後に配置されたフロントフレーム部22及びリヤフレーム部23と、両フレーム部22,23を車幅方向略中央位置にて前後に連結し、運転席13と収容ボックス11Bとの区画線に沿って延びる支持フレーム部24とを有する。左右のリーチレグ12の下面には両者を連結するボトムプレート25が溶接されている。車体11の側面および後面(背面)は車体フレーム21に組付けられたパネル26により覆われている。
【0022】
車体11の前部下側には、図6に示すように、バッテリ収容室27が前面開口状態で凹設されている。バッテリ収容室27の内部にはバッテリ28が車幅方向ほぼ一杯に配置された状態で収容されている。
【0023】
車体11の後部にはサスペンション装置29が装備されている。サスペンション装置29は、駆動操舵輪19とキャスタ20とを車体フレーム21に対し互いに逆向きに上下変位可能に車体11に対して懸架する懸架機構30を備えている。
【0024】
図1,4,5,6に示すように、懸架機構30は、駆動輪支持手段としてのドライブユニットサポート31、第1回動軸32、伝達部材としての第1伝達アーム33、第2回動軸34、伝達部材としての第2伝達アーム35、弾性支持手段としてのキャスタスプリング36、従動輪支持手段としてのキャスタアーム37からなる。本実施の形態では、第1伝達アーム33、第2伝達アーム35及びキャスタスプリング36が作動連結機構を構成する。
【0025】
第1回動軸32は、図1に示すように、左右両リーチレグ12の後端部間で車幅方向に延びるように設けられている。第1回動軸32は、車体フレーム21に対して4つの軸受38a,38b,38c,38dによって回転可能に支持されている。軸受38aは第1回動軸32の左側端部を支持し、軸受38bは中央部左寄りを支持し、軸受38cは中央部右寄りを支持し、また、軸受38dは右端部を支持する。
【0026】
第2回動軸34は、図1に示すように、右側リーチレグ12の後方で車幅方向に延びるように設けられるとともに、その左側部分が第1回動軸32の右側部分と車幅方向に重なるように設けられている。第2回動軸34は、車体フレーム21に対し、その各端部を支持する一対の軸受39a,39bによって回動可能に支持されている。なお、本例における軸受38a〜38d,39a,39bは、車体フレーム21に支持された図示しない軸受用ブラケットと、その孔に挿着されたブッシュとからなる。
【0027】
ドライブユニットサポート31は、図1,6に示すように、車幅範囲内の左側位置に設けられ、その下端に設けられた基部31aが第1回動軸32に対してスプライン嵌合またはセレーション結合によって結合されている。ドライブユニットサポート31は、図6に示すように、側面視略クランク形状に形成され、基部31aから上方へ延びる腕部31bと、腕部31bの上端から略水平に後方へ延びる支持台部31cを有する。基部31aは、第1回動軸32を支持する複数の軸受38a〜38dのうち、一対の軸受38a,38bの間に配置されている。支持台部31cには、駆動操舵輪19を下部に支持したドライブユニット40が組み付けられている。
【0028】
ドライブユニット40は、図6に示すように、支持台部31cの上面に組付けられたドライブモータ41と、支持台部31cの下面に水平面内で回動可能に支持されたギヤハウジング42とを備える。ギヤハウジング42の下部に駆動操舵輪19が回転可能に支持されている。ドライブユニット40は、駆動操舵輪19の車幅方向での中心が、基部31aを挟む両側2つの軸受38a,38bの間に位置するようにドライブユニットサポート31に支持されている。ギヤハウジング42の上部にはギヤホイール43が設けられ、このギヤホイール43は、図示しないステアリングシャフト等を介してハンドル15に対して作動連結されている。そして、ドライブユニットサポート31は、第1回動軸32の正逆回動によって、駆動操舵輪19を車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位させるように支持する。
【0029】
前記キャスタアーム37は、図1,4に示すように、車幅範囲内で右端寄りの位置に設けられ、その下端に設けられた基部37aが第2回動軸34に対してスプライン嵌合またはセレーション結合によって結合されている。キャスタアーム37は、図1に示すように、基部37aから車幅方向とほぼ直交する方向に後向きに延びるように形成され、その後端部に設けられた支持部37bにはキャスタ20が支持されている。キャスタ20は1組のキャスタ輪20aを備え、ほぼ水平面内で回動可能に支持されている。キャスタ20を支持するキャスタアーム37の支持点(キャスタ20の水平面内での回動点)Pは、第2回動軸34を車体11に支持し、基部37aを挟む両軸受39a,39bの間に位置している。そして、キャスタアーム37は、第2回動軸34の正逆回動によって車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位するようにキャスタ20を支持する。
【0030】
本実施形態では、図1において、フロントフレーム部22の後方で、かつ、支持フレーム部24の右方がほぼ運転席13の床面13a(図3,5)の下側に存在する床面領域となる。この床面領域に配置するキャスタアーム37を、キャスタ20を支持する支持点Pからほぼ真っ直ぐ前方に延ばしてその基端を第2回動軸34に結合している。このことにより、キャスタアーム37を床面領域内において車幅方向外側寄りに配置している。
【0031】
前記第1伝達アーム33は、図1,4に示すように、その円筒状の基部33aが第1回動軸32の右側部分に対しスプライン嵌合またはセレーション結合により結合されている。図4に示すように、基部33aからはその回動半径方向に斜め下側後方へアーム44が延出されている。アーム44の先端部上面には、斜め上方へ延びる左右一対の凸状支持部45が設けられている。
【0032】
前記第2伝達アーム35は、図1,4に示すように、その円筒状の基部35aが第2回動軸34の左側部分に対しスプライン嵌合またはセレーション結合により結合されている。基部35aからはその径方向に斜め上側前方へアーム46が延出されている。アーム46の下面は、前記凸状支持部45の先端面と係合可能に対向している。
【0033】
前記キャスタスプリング36は、図1,4に示すように、第1伝達アーム33のアーム44と、第2伝達アーム35のアーム46との間に介在されている。キャスタスプリング36は、アーム44に設けられた凸状支持部45に外嵌する状態で支持され、アーム46の下面が凸状支持部45の先端面に当接しないように、アーム46を後方に回動させるように付勢する。つまり、キャスタスプリング36は、第1伝達アーム33及び第2伝達アーム35と共に第1回動軸32及び第2回動軸34を作動連結するとともに、第2伝達アーム35を介してキャスタ20を弾性支持する。
【0034】
そして、第1伝達アーム33、第2伝達アーム35及びキャスタスプリング36は、第1回動軸32及び第2回動軸34を、駆動操舵輪19及びキャスタ20が互いに逆向きに上下変位するように作動連結する。
【0035】
また、図1,4,5,6に示すように、サスペンション装置29は、車体フレーム21に対し、ドライブユニットサポート31を介して駆動操舵輪19を下方に変位動作させるように付勢する付勢手段としてのサスペンションスプリング47を備えている。サスペンションスプリング47は、図1,6に示すように、フロントフレーム部22の後面に設けられたブラケット48と、ドライブユニットサポート31の支持台部31cの上面に設けられたブラケット49との間に介装されている。サスペンションスプリング47は、その軸線がドライブユニットサポート31の揺動軌跡の接線方向と平行となる斜めの姿勢で支持されている。
【0036】
また、サスペンション装置29は、ドライブユニットサポート31の上下変位を規制可能なドライブ側ロックシリンダ50を備えている。ドライブ側ロックシリンダ50は、そのシリンダ本体50aの端部が、ドライブユニットサポート31に設けられたブラケット部51(図4,5)に連結され、そのピストンロッド50bの端部が、リヤフレーム部23に設けられたブラケット52(図1,6)に連結されている。
【0037】
ドライブ側ロックシリンダ50は、図4に示すように、シリンダ本体50aに対するピストンロッド50bの出没動作を許容又は規制可能なロック用電磁弁53を備えている。ロック用電磁弁53は、外部から駆動電流を供給されないときにはシリンダ本体50aに対するピストンロッド50bの出没動作を規制し、駆動電流が供給されるときにその出没動作を許容する。つまり、ドライブ側ロックシリンダ50は、懸架機構30においてドライブユニットサポート31を介して駆動操舵輪19の変位動作を規制する。本実施形態では、ドライブ側ロックシリンダ50及びロック用電磁弁53が作動規制手段を構成する。
【0038】
また、図1,4,5に示すように、サスペンション装置29は、第2伝達アーム35の上下変位を規制するキャスタ側ロックシリンダ54を備えている。キャスタ側ロックシリンダ54は、そのシリンダ本体54aの端部が、第2伝達アーム35のアーム46に設けられたブラケット部55に連結され、そのピストンロッド54bの端部が、リヤフレーム部23に設けられたブラケット56に連結されている。
【0039】
キャスタ側ロックシリンダ54は、図1,5に示すように、シリンダ本体54aに対するピストンロッド54bの出没動作を許容又は規制可能なロック用電磁弁57を備えている。ロック用電磁弁57は、外部から駆動電流を供給されないときにはシリンダ本体54aに対するピストンロッド54bの出没動作を規制し、駆動電流が供給されるときにその出没動作を許容する。キャスタ側ロックシリンダ54は、キャスタアーム37が運転席13の床面領域内において車幅方向外側寄りに配置され、かつ、第1回動軸32が運転席13の前側に配置されることによって確保された床面領域内の空間に設けられている。本実施形態では、キャスタ側ロックシリンダ54及びロック用電磁弁57が従動側作動規制手段を構成する。
【0040】
このように構成されたサスペンション装置29では、懸架機構30が駆動操舵輪19及びキャスタ20を互いに逆向きに上下変位するように車体11に支持する。また、懸架機構30は、走行中の加減速状態や積荷の荷重等によって変化する車両後部の重量を、駆動操舵輪19及びキャスタ20にほぼ均等に配分する。このとき、サスペンションスプリング47は、駆動操舵輪19を下方に付勢することで、駆動操舵輪19の輪重がキャスタ20の輪重よりも所定の大きさだけ大きくなるようにする。
【0041】
次に、以上のように構成されたサスペンション装置29の作用について説明する。
このようなサスペンション装置29を備えたフォークリフト10には、2つのロックシリンダ50,54を制御するためのコントローラが設けられている。コントローラは、車体11に取り付けられた各種センサが出力する検出信号に基づき、各電磁弁53,57を励消磁制御することで各ロックシリンダ50,54の規制制御を行う。
【0042】
センサとしては、例えば旋回走行時の横加速度や、積み荷の荷重によるモーメント荷重を検出するものが挙げられ、例えば、横加速度を直接又は間接的に検出する1つ又は複数のセンサや、モーメント荷重を検出するための荷重センサや揚高センサなどが用いられる。
【0043】
コントローラは、センサの検出値から得られた横加速度又は荷重モーメントが許容範囲を外れると、2つのロックシリンダ50,54のうち、車体11の左右安定性を確保するために必要な少なくとも一方のロックシリンダ50(54)を規制状態とする。このとき、ロックシリンダ50,54を共に規制状態としてもよい。
【0044】
従って、走行時の横加速度や積み荷の荷重によるモーメント荷重等によって、車体11を駆動操舵輪19側に傾動させる外力が加わっても、ロック用電磁弁53が制御されドライブ側ロックシリンダ50によって駆動操舵輪19の変位動作が規制されると、車体11の駆動操舵輪19側への傾動が規制される。反対に、車体11をキャスタ20側に傾動させる向きに外力が加わっても、ロック用電磁弁57が制御されキャスタ側ロックシリンダ54によってキャスタ20の変位動作が規制されると、車体11のキャスタ20側への傾動が規制される。
【0045】
以上詳述した本実施の形態には、以下に記載する各効果がある。
(1) 本実施形態では、駆動操舵輪19の上下変位を規制して車体11の駆動操舵輪19側への傾動を規制するドライブ側ロックシリンダ50に加えて、キャスタアーム37の揺動を規制してキャスタ20の上下変位を規制するキャスタ側ロックシリンダ54を設けた。従って、車体11のキャスタ20側への傾動を駆動操舵輪19側への傾動と同じように規制することができる。このことにより、車両の左右安定性を確保することが可能となる。
【0046】
(2) また、本実施形態では、キャスタ20を支持するキャスタアーム37を、キャスタ20の支持点Pから前方へ真っ直ぐ延長して第2回動軸34に結合し、キャスタ20の軸心が車幅方向で第2回動軸34を支持する2つの軸受39a,39b間に挟まれる範囲に位置するようにした。例えば、キャスタ20の軸心がキャスタアーム37の基部37aを挟む2つの軸受39a,39b間から外れていると、キャスタアーム37がキャスタ20からの力を伝えるときに第2回動軸34にこじる力を加えることになるが、キャスタ20の支持点Pを2つの軸受39a,39b間に配置させた本実施形態では、第2回動軸34にこじる力が殆ど加わらない。このため、両軸受39a,39bの一方に他方よりも過大な荷重が加わってその寿命が短くなることがないので、軸受39a,39bの交換期間を長くすることができる。
【0047】
(3) さらに、本実施形態では、キャスタアーム37をキャスタ20の支持点Pからほぼ真っ直ぐ前方へ延びるようにして運転席13の床面領域において車幅方向の右外側寄りに配置した。また、駆動操舵輪19とキャスタ20とを作動連結するために車幅方向に延びる第1回動軸32を、運転席13の前側に配置した。このため、キャスタアーム37の車幅方向での内側に取り付け空間を確保することができ、この取り付け空間にキャスタ側ロックシリンダ54を配置することができる。従って、運転席13の床面13aを従来より高くすることなく、また、高くする必要があったとしても僅かに高くするだけで、キャスタ20側への車体11の傾動を規制できるサスペンション装置29を設けることができる。
【0048】
以下、上記実施形態以外の実施形態を列挙する。
○ 上記実施の形態で、キャスタ側ロックシリンダ54を車体フレーム21との間に介装するための他端の固定先は第2伝達アーム35に限定されるものではなく、その他例えば、キャスタアーム37や第2回動軸34であってもよい。要するに、キャスタスプリング36とキャスタ20との間における運動伝達経路上においてキャスタスプリング36よりもキャスタ20側の伝達部材であればよい。
【0049】
○ 上記実施形態で、第2伝達アーム35とキャスタアーム37との間に、第2回動軸34を支持する第3の軸受を設けてもよい。この場合には、過大な荷重が入力されても第2回動軸34がより撓み難いので、キャスタ20がより左右に振れ難くなる。
【0050】
○ 上記実施形態で、第2伝達アーム35とキャスタアーム37とを一体化してもよい。
○ 駆動輪及び従動輪の変位動作の規制に限らず、これらの変位速度を低く制限するものであってもよい。例えば上記実施形態で、ドライブ側ロックシリンダ50及びロック用電磁弁53を使用する構成に替え、ピストンロッドの作動速度を切換可能な速度制限用ダンパと、ダンパの作動速度の切換を行う速度切換用電磁弁とを用いる構成であってもよい。この場合には、駆動操舵輪19側に傾動させる外力が車体11に加わったときに、車体11の傾動速度を制限して安定性を確保することができる。
【0051】
同様に、キャスタ側ロックシリンダ54及びロック用電磁弁57を、速度制限用ダンパと速度切換用電磁弁としてもよい。この場合には、キャスタ20側に傾動させる外力が車体11に加わったときに、車体11の傾動速度を制限して安定性を確保することができる。
【0052】
○ キャスタアーム37の基部37aを挟む2つの軸受39a,39bの配置の仕方は、上記実施形態に限定されない。例えば図7に示すように、キャスタアーム60の基部60aの外側に設けた軸受39bと、基部60aと第2伝達アーム35との間に設けた軸受39aとによって第2回動軸34を支持する。つまり、キャスタアーム60の基部60aに対し隣接する状態で挟むように一対の軸受39a,39bを設ける。この構成によれば、第2回動軸34がその中央部で支持されるので、駆動操舵輪19側及びキャスタ20側から過大な荷重が入力されても第2回動軸34が撓み難い。従って、例えば積荷の荷重が大きい場合であっても、キャスタアーム37に支持されたキャスタ20が左右に振れることがない。もちろん、支持点Pがキャスタアーム37の基部37aを挟む2つの軸受39a,39bの範囲に位置するので、キャスタアーム37から第2回動軸34にこじる力が加わらず、2つの軸受39a,39bの寿命をより長くすることができる。
【0053】
○ 運転席13の床面領域においてキャスタアーム37の車幅方向内側に設けた空間部の利用方法は、ロックシリンダの取り付け空間に限定されない。上記実施形態で、キャスタ側ロックシリンダ54を設けない場合には、例えば、両前輪18に設けた油圧ブレーキに供給する油圧を制御するブレーキ用油圧制御弁や、ドライブモータあるいは荷役用モータを駆動制御するための制御装置等を設けてもよい。
【0054】
以下、前述した各実施形態から把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
(1) 前記従動輪支持手段は、前記従動輪の支持点から前方へほぼ真っ直ぐ延びる状態で前記第2回動軸に支持されている。このような構成によれば、従動輪の輪重によって従動輪支持手段から第2回動軸にこじる力が加わらないので、2つの軸受の一方に他方より大きな荷重が加わることがなく、両軸受の交換時期をより長くすることができる。
【0055】
(2) 前記第2回動軸は、前記運転席の前側で車幅方向外側に延びる状態に配置されている。このような構成によれば、床面領域において従動輪支持手段の車幅方向での内側に、車両前後方向により大きな空間を設けることができる。
【0056】
(3) 前記産業車両のサスペンション機構を備えたリーチ型フォークリフトトラック。このような構成によれば、車両重心の前後方向での位置変化に伴なう駆動操舵輪の輪重変化を抑制するとともに、走行時の横加速度や、積み荷の偏在によるモーメント荷重等の車体を傾動させようとする外力によって車体が駆動操舵輪側及び従動輪側に傾動しないようにし、左右両側の安定性を確保することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動輪の輪重を確保し、かつ、駆動輪及び従動輪の路面に対する追従性を確保するとともに、車体の従動輪側への傾動を駆動輪側への傾動と同じように規制または速度制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リーチ型フォークリフトトラックのサスペンション装置を示す模式平面図。
【図2】 リーチ型フォークリフトの模式右側面図。
【図3】 リーチ型フォークリフトの模式平面図。
【図4】 サスペンション装置を示す模式右側面図。
【図5】 同じく模式背面図。
【図6】 同じく模式左側面図。
【図7】 他の実施形態のサスペンション装置を示す模式平面図。
【図8】 従来のサスペンション装置を示す模式背面図。
【符号の説明】
10…産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック、11…車体、13…運転席、13a…床面、19…駆動輪としての駆動操舵輪、20…従動輪としてのキャスタ、29…サスペンション装置、30…懸架機構、31…懸架機構を構成する駆動輪支持手段としてのドライブユニットサポート、32…懸架機構を構成する第1回動軸、33…懸架機構及び作動連結機構を構成する伝達部材としての第1伝達アーム、34…懸架機構を構成する第2回動軸、35…懸架機構及び作動連結機構を構成する伝達部材としての第2伝達アーム、36…懸架機構及び伝達部材を構成する弾性支持手段としてのキャスタスプリング、37…懸架機構を構成する従動輪支持手段としてのキャスタアーム、37a…(従動輪支持手段の)基部、39a,39b…軸受(第2回動軸)、47…付勢手段としてのサスペンションスプリング、50…作動規制手段を構成するドライブ側ロックシリンダ、53…同じくロック用電磁弁、54…従動側作動規制手段を構成するキャスタ側ロックシリンダ、57…同じくロック用電磁弁、60…従動輪支持手段としてのキャスタアーム、61…基部、P…支持点。
Claims (1)
- 左右で対を成す駆動輪及び従動輪を互いに上下逆向きに変位可能に車体に対して支持する懸架機構と、
前記駆動輪の輪重が前記従動輪の輪重よりも大きくなるように前記懸架機構を車体に対して付勢する付勢手段と、
前記懸架機構の作動を規制または速度制限すべく前記懸架機構と車体との間に介装される作動規制手段とを備え、
前記懸架機構は、前記作動規制手段により規制または速度制限される該懸架機構の部分に対して前記従動輪を弾性変位可能に支持する弾性支持手段を有し、
前記作動規制手段により規制または速度制限される前記懸架機構の部分に対する前記従動輪の弾性変位を規制または速度制限する従動側作動規制手段と
を備え、
前記懸架機構は、
車幅方向に延びる状態で車体に対し回動可能に支持される第1回動軸と、
前記第1回動軸に対して結合され、該第1回動軸の正逆回動によって前記駆動輪を備えたドライブユニットを車体に対し車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位させるように支持する駆動輪支持手段と、
車幅方向に延びる状態で車体に対し回動可能に支持される第2回動軸と、
前記第2回動軸に対し一体回動するように結合され、該第2回動軸の正逆回動によって前記従動輪を車体に対し車幅方向と直交する平面上の軌道で上下変位可能に支持する従動輪支持手段と、
複数の伝達部材からなり、前記第1回動軸と第2回動軸とを前記駆動輪及び従動輪が互いに逆向きに上下変位可能に作動連結する作動連結機構と
からなり、
前記弾性支持手段は、前記作動連結機構を構成する複数の伝達部材の1つであって、
前記付勢手段は、前記駆動輪支持手段と車体との間に介装され、
前記作動規制手段は、前記駆動輪支持手段と車体との間に介装され、
前記従動側作動規制手段は、前記弾性支持手段よりも前記従動輪側にある前記伝達部材を介して、または、前記従動輪支持手段を介して前記従動輪の弾性変位を規制または速度制限する産業車両のサスペンション装置。
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-
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