JP4013360B2 - 可変減衰器及び移動体通信機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変減衰器及び移動体通信機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話器等の移動体通信機器では、高周波信号を可変減衰させるために、異なった減衰量を有する複数の減衰器を切換器により切り換える可変減衰器が使用される。
【0003】
図9は、マイクロ波帯において使用される従来の可変減衰器である。可変減衰器70は、入力端子71、出力端子72、入出力間の導通あるいは遮断を切り換える電界効果トランジスタ(以下、FETとする。)731〜733,741〜743、及びそれぞれの減衰量がA(dB),B(dB),C(dB)であるT型抵抗減衰器751〜753を含む。そして、その構成は、入力側の切換器であるFET731〜733のドレイン電極DがそれぞれコンデンサC71を介して入力端子71に接続され、出力側の切換器であるFET741〜743のドレイン電極DがそれぞれコンデンサC72を介して出力端子72に接続される。また、FET731〜733のソース電極SがコンデンサC73〜C753を介してT型抵抗減衰器751〜753の抵抗R71〜R73の一端に、FET741〜743のソース電極SがコンデンサC76〜C78を介してT型抵抗減衰器751〜753の抵抗R74〜R76の一端に接続される。さらに、T型抵抗減衰器751〜753のR71〜R73の他端とR74〜R76の他端とがそれぞれ接続され、それらの接続点が抵抗R77〜R79を介して接地される。さらに、FET731〜733,741〜743のゲート電極GがコンデンサC79〜C84を介して接地されるとともに、高周波阻止用のインダクタL71〜L76を介して制御端子Vc71〜Vc76に接続される。
【0004】
制御端子Vc71〜Vc76からは、例えば、制御すべきFETのピンチオフ電圧と同程度の負電圧あるいは0V電圧を選択的に印加する。すなわち、第1経路に含まれる制御端子Vc71,Vc74に0V、第2及び第3経路に含まれるを制御端子Vc72,Vc75,Vc73,Vc76にそれぞれ制御すべきFET732,742,733,743のピンチオフ電圧と同程度の負電圧を印加すると、FET741,751のドレイン−ソース間のチャネル抵抗は、T型抵抗減衰器751の特性インピーダンスよりも十分に小さくなる。一方、FET732,742,733,743のドレイン−ソース間のチャネル抵抗は、チャネル内に空乏層が拡がるため、極めて大きくなる。その結果、入力端子71から入力するマイクロ波は、T型抵抗減衰器751を含む第1経路のみを通過し、T型抵抗減衰器752,753を含む第2及び第3経路は遮断状態となる。したがって、入力端子71と出力端子72との間の減衰量はA(dB)となる。
【0005】
この入力端子71と出力端子72との間の減衰量をB(dB)に切り換える場合には、第2経路に含まれる制御端子Vc72,Vc75に0V、第1及び第3経路に含まれる制御端子Vc71,Vc74,Vc73,Vc76にそれぞれ制御すべきFET731,741,733,743のピンチオフ電圧と同程度の負電圧を印加してT型抵抗減衰器752を含む第2経路のみを通過状態にする。減衰量をC(dB)に切り換える場合にも同様の操作によって実現できる。以上の動作により、複数の減衰量を不連続的に可変制御することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来の可変減衰器においては、異なった減衰量を有する複数の減衰器を切換器により切り換える構成のため、減衰量を連続的に可変制御することができないという問題があった。
【0007】
また、各経路に含まれる切換器を構成するFETが、可変する減衰量の数の倍数だけ必要となるため、部品点数が多くなり、切換器の構成、さらには可変減衰器そのものの構成が複雑となり、可変減衰器が大型化するとともに、その製造コストが増大するという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、連続的に減衰量を可変制御することができる小型の可変減衰器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
電磁結合した第1及び第2線路からなるコムラインと、該コムラインをなす前記第1及び第2線路に接続される複数のダイオードと、前記第1及び第2線路に接続される制御端子とを備え、前記第1及び第2線路の端部を除くいずれかの箇所とグランドとの間に、アノードが前記第1及び第2線路側となるように前記ダイオードが接続されているとともに、前記制御端子から前記複数のダイオードのアノードに正の電圧が印加されることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1線路の一端が第1端子、前記第2線路の一端が第2端子に接続され、前記第1及び第2線路の他端が開放になることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1線路の一端が第1端子、前記第2線路の他端が第2端子に接続され、前記第1線路の他端及び第2線路の一端が開放になることを特徴とする。
【0012】
また、前記コムラインを複数個用い、該複数のコムラインのうち、隣同士となるコムラインの第1線路の第1端子と第2線路の第2端子とを接続することにより、前記複数のコムラインを縦列接続したことを特徴とする。
【0013】
また、セラミックスからなる複数のシート層を積層してなるセラミック基板を備え、該セラミック基板に前記コムラインをなすストリップ電極を内蔵し、前記セラミック基板に前記ダイオードを搭載することを特徴とする。
【0014】
本発明の移動体通信機器は、上述の可変減衰器を用いたことを特徴とする。
【0015】
本発明の可変減衰器によれば、コムラインをなす第1及び第2線路の端部を除く箇所とグランドとの間にダイオードが接続されるため、それらのダイオードに印加する印加電圧を可変制御することで、それらのダイオードの抵抗を可変制御することができ、その結果、コムラインを構成する第1及び第2線路の損失を可変制御することができる。
【0016】
本発明の移動体通信機器によれば、小型の可変減衰器を用いるため、受信系の受信バランスを保ちながら、小型の移動体通信機器を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る可変減衰器の第1の実施例の構成を示す図である。可変減衰器10は、結合度Mで電磁結合した第1及び第2線路11,12からなるコムライン13と、コムライン13をなす第1及び第2線路11,12に接続されるダイオードD1,D2とを備える。
【0018】
コムライン13をなす第1線路11の一端は、コンデンサC1を介して第1端子131である入力端子Piに接続され、第2線路12の一端は、コンデンサC2を介して第2端子132である出力端子Poに接続される。すなわち、コムライン13の第1端子131と第2端子132とがコムライン13の第1及び第2線路11,12を挟んで対称型になっている。また、コムライン13をなす第1及び第2線路11,12の他端は、それぞれ開放になっている。
【0019】
さらに、コムライン13をなす第1線路11の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1線路11側になるようにダイオードD1が接続され、第1線路11のほぼ中央部は、抵抗R1、インダクタL1及びコンデンサC3を介して接地されるとともに、インダクタL1とコンデンサC3との間に制御端子Vc1が設けられる。
【0020】
また、コムライン13をなす第2線路12の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第2線路12側になるようにダイオードD2が接続され、第2線路12のほぼ中央部は、抵抗R2、インダクタL2及びコンデンサC4を介して接地されるとともに、インダクタL2とコンデンサC4との間に制御端子Vc2が設けられる。
【0021】
上述の回路構成を備えた可変減衰器10の動作を説明する。ダイオードD1,D2に制御端子Vc1,Vc2から印加電圧として正の電圧を印加することにより、ダイオードD1,D2の抵抗は小さくなり、コムライン13を構成する第1及び第2線路11,12の結合度が小さくなる。その結果、コムライン13の入力端子Piから第1及び第2線路11,12を経由して出力端子Poに送られる高周波信号の量が少なくなり、可変減衰器10の減衰量は大きくなる。
【0022】
すなわち、制御端子Vc1,Vc2からダイオードD1,D2に印加する印加電圧としての正の電圧を0Vから徐々に大きくしていくと、ダイオードD1,D2の抵抗が徐々に小さくなる。その結果、コムライン13の入力端子Piから第1及び第2線路11,12を経由して出力端子Poに送られる高周波信号の量が徐々に少なくなり、可変減衰器10の減衰量は徐々に大きくなる。
【0023】
したがって、制御端子Vc1,Vc2から印加する印加電圧を可変制御することにより、ダイオードD1,D2の抵抗を可変制御でき、コムライン13を構成する第1及び第2線路11,12の結合度を可変制御できる。その結果、コムライン13の入力端子Piから第1及び第2線路11,12を経由して出力端子Poへ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器10の減衰量を可変制御することが可能となる。
【0024】
図2は、図1の回路を備えた可変減衰器の分解斜視図である。可変減衰器10は、酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分としたセラミックからなるシート層14a〜14eを積層し、1000℃以下の焼成温度で焼成したセラミック基板14を備える。
【0025】
セラミック基板14の表面には、ダイオードD1,D2、コンデンサC1〜C4、抵抗R1,R2及びインダクタL1,L2が搭載される。また、セラミック基板14の側面には、入力端子Pi、出力端子Po、制御端子Vc1,Vc2及びグランド端子になる外部端子Ta〜Tfがスクリーン印刷などで形成される。
【0026】
そして、セラミック基板14を構成するシート層14a〜14eのうち、シート層14c,14dには、コムライン13の第1及び第2線路11,12を構成する銅からなるストリップ電極S1,S2が、シート層14b,14eには、銅からなるグランド電極G1,G2が、シート層14aには、ダイオードD1,D2、コンデンサC1〜C4、抵抗R1,R2及びインダクタL1,L2を搭載するための銅からなるランドLaがスクリーン印刷などでそれぞれ形成される。
【0027】
また、セラミック基板14を構成するシート層14a〜14eのうち、シート層14a〜14dには、ストリップ電極S1,S2、グランド電極G1,G2及びランドLaをそれぞれ接続するためのビアホール電極VHがそれぞれ形成される。
【0028】
図3は、図1の可変減衰器の減衰量及び反射損失の変化を示す図である。この場合には、制御端子Vc1〜Vc4からダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を5〜0(V)の範囲で変化させ、ダイオードD1〜D4の抵抗値を変化させている。
【0029】
なお、図3の横軸は、これらのダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を示している。また、反射損失は、VSWR(電圧定在波比)が1.5以下のときを示している。
【0030】
以上のことから、図3からも明らかなように、制御端子Vc1〜Vc4からダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を5〜0(V)の範囲で制御して、ダイオードD1〜D4の抵抗値を制御することにより、可変減衰器10の減衰量を−11.6〜−0.5(dB)の範囲で制御できるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にできることが解る。
【0031】
図4は、本発明に係る可変減衰器の第2の実施例の構成を示す図である。可変減衰器20は、結合度Mで電磁結合した第1及び第2線路21,22からなるコムライン23と、コムライン23をなす第1及び第2線路21,22に接続されるダイオードD1,D2とを備える。
【0032】
コムライン23をなす第1線路21の一端は、コンデンサC1を介して第1端子231である入力端子Piに接続され、第2線路22の他端は、コンデンサC2を介して第2端子232である出力端子Poに接続される。すなわち、コムライン23の第1端子231と第2端子232とがコムライン23の第1及び第2線路21,22を挟んで反転対称型になっている。
【0033】
また、コムライン23をなす第1及び第2線路21,22の他端は、それぞれ開放になっている。さらに、コムライン23をなす第1線路21の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1線路21側になるようにダイオードD1が接続され、第1線路21のほぼ中央部は、抵抗R1、インダクタL1及びコンデンサC3を介して接地されるとともに、インダクタL1とコンデンサC3との間に制御端子Vc1が設けられる。
【0034】
また、コムライン23をなす第2線路22の中央部からやや一端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第2線路22側になるようにダイオードD2が接続され、第2線路22のほぼ中央部は、抵抗R2、インダクタL2及びコンデンサC4を介して接地されるとともに、インダクタL2とコンデンサC4との間に制御端子Vc2が設けられる。
【0035】
上述の回路構成を備えた可変減衰器20の動作を説明する。ダイオードD1,D2に制御端子Vc1,Vc2から印加電圧として正の電圧を印加することにより、ダイオードD1,D2の抵抗は小さくなり、コムライン23を構成する第1及び第2線路21,22の結合度が小さくなる。その結果、コムライン23の入力端子Piから第1及び第2線路21,22を経由して出力端子Poに送られる高周波信号の量が少なくなり、可変減衰器20の減衰量は大きくなる。
【0036】
すなわち、制御端子Vc1,Vc2からダイオードD1,D2に印加する印加電圧としての正の電圧を0Vから徐々に大きくしていくと、ダイオードD1,D2の抵抗が徐々に小さくなる。その結果、コムライン23の入力端子Piから第1及び第2線路21,22を経由して出力端子Poに送られる高周波信号の量が徐々に少なくなり、可変減衰器20の減衰量は徐々に大きくなる。
【0037】
したがって、制御端子Vc1,Vc2から印加する印加電圧を可変制御することにより、ダイオードD1,D2の抵抗を可変制御でき、コムライン23を構成する第1及び第2線路21,22の結合度を可変制御できる。その結果、コムライン23の入力端子Piから第1及び第2線路21,22を経由して出力端子Poへ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器20の減衰量を可変制御することが可能となる。
【0038】
図5は、図4の可変減衰器の減衰量及び反射損失の変化を示す図である。この場合には、制御端子Vc1〜Vc4からダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を3.2〜0(V)の範囲で変化させ、ダイオードD1〜D4の抵抗値を変化させている。
【0039】
なお、図5の横軸は、これらのダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を示している。また、反射損失は、VSWR(電圧定在波比)が1.5以下のときを示している。
【0040】
以上のことから、図5からも明らかなように、制御端子Vc1〜Vc4からダイオードD1〜D4に印加する印加電圧を3.2〜0(V)の範囲で制御して、ダイオードD1〜D4の抵抗値を制御することにより、可変減衰器20の減衰量を−15.1〜−0.5(dB)の範囲で制御できるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にできることが解る。
【0041】
上述の第1及び第2の実施例の可変減衰器によれば、コムラインをなす第1及び第2線路の端部を除く箇所とグランドとの間にダイオードが接続されるため、それらのダイオードに印加する印加電圧を可変制御することで、それらのダイオードの抵抗を可変制御することができ、その結果、コムラインを構成する第1及び第2線路の損失を可変制御することができる。したがって、コムラインの入力端子から出力端子へ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器の減衰量を可変制御することが可能となるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にすることができる。
【0042】
また、コムラインをなす第1及び第2線路の端部を除く箇所とグランドとの間にダイオードが接続されるため、ダイオードの接続位置を第1及び第2線路上で制御することによっても、第1及び第2線路の損失を可変制御することができる。したがって、コムラインの入力端子から出力端子へ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器の減衰量を可変制御することが可能となるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にすることができる。
【0043】
さらに、可変減衰器が、コムラインとダイオードとで構成されるため、可変減衰器の構成が簡単となり、その結果、可変減衰器が小型化できるとももに、その製造コストを減少することができる。
【0044】
また、セラミックスからなる複数のシート層を積層してなるセラミック基板を備え、そのセラミック基板にコムラインをなす銅からなるストリップ電極を内蔵しているため、セラミック基板による波長短縮効果、及び銅による損失の低減により1GHz以上の高周波帯域への対応が可能となる。
【0045】
さらに、第1の実施例の可変減衰器によれば、コムラインの第1端子と第2端子とがコムラインの第1及び第2線路を挟んで対称型になっているため、コムラインとダイオードとの配線が容易になり、コムラインの製造工程を簡略化及び低コスト化することとができる。
【0046】
また、第2の実施例の可変減衰器によれば、コムラインの第1端子と第2端子とがコムラインの第1及び第2線路を挟んで反転対称型になっているため、対称型である第1の実施例と比較して、低い印加電圧で同等の減衰量を可変制御できる、すなわち効率良く減衰量を可変制御できるため、可変減衰器の低消費電圧化が実現できる。
【0047】
図6は、本発明に係る可変減衰器の第3の実施例の回路図である。可変減衰器30は、第1の実施例の可変減衰器10(図1)と比較して、2つのコムライン21,22が縦列接続される点で異なる。
【0048】
すなわち、隣同士となるコムライン31の第2線路34の一端にコンデンサC2を介して接続される第2端子312と、コムライン32の第1線路35の一端にコンデンサC5を介して接続される第1端子321とが接続されることにより、コムライン21,22は縦列接続されることになる。
【0049】
そして、コムライン31の第1線路33の一端は、コンデンサC1を介して第1端子311である入力端子Piに接続される。また、コムライン32の第2線路36の一端は、コンデンサC6を介して第2端子322である出力端子Poに接続される。さらに、コムライン31の第1及び第2線路33,34の他端、並びにコムライン32の第1及び第2線路35,36の他端は、それぞれ開放になっている。
【0050】
また、コムライン31の第1及び第2線路33,34の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1及び第2線路33,34側になるようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。
【0051】
さらに、コムライン32の第1及び第2線路35,36の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1及び第2線路35,36側になるようにダイオードD3,D4がそれぞれ接続される。
【0052】
また、コムライン31の第1及び第2線路33,34のほぼ中央部は、それぞれ抵抗R1,R2、インダクタL1,L2及びコンデンサC3,C4を介して接地されるとともに、インダクタL1,L2とコンデンサC3,C4との間には、それぞれ制御端子Vc1,Vc2が設けられる。
【0053】
さらに、コムライン32の第1及び第2線路35,36のほぼ中央部は、抵抗R3,R4、インダクタL3,L4及びコンデンサC7,C8を介して接地されるとともに、インダクタL3,L4とコンデンサC7,C8との間に制御端子Vc3,Vc4が設けられる。
【0054】
図7は、本発明に係る可変減衰器の第4の実施例の回路図である。可変減衰器40は、第2の実施例の可変減衰器20(図4)と比較して、2つのコムライン41,42が縦列接続される点で異なる。
【0055】
すなわち、隣同士となるコムライン41の第2線路44の他端にコンデンサC2を介して接続される第2端子412と、コムライン42の第1線路45の一端にコンデンサC5を介して接続される第1端子421とが接続されることにより、コムライン41,42は縦列接続されることになる。
【0056】
そして、コムライン41の第1線路43の一端は、コンデンサC1を介して第1端子411である入力端子Piに接続される。また、コムライン42の第2線路46の他端は、コンデンサC6を介して第2端子422である出力端子Poに接続される。さらに、コムライン41の第1線路43の他端及び第2線路44の一端、並びにコムライン42の第1線路45の他端及び第2線路46の一端は、それぞれ開放になっている。
【0057】
また、コムライン41の第1線路43の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間、及び第2線路44の中央部からやや一端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1及び第2線路43,44側になるようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。
【0058】
さらに、コムライン42の第1線路45の中央部からやや一端側の箇所とグランドとの間、及び第2線路46の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に、アノードが第1及び第2線路45,46側になるようにダイオードD3,D4がそれぞれ接続される。
【0059】
また、コムライン41の第1及び第2線路43,44のほぼ中央部は、それぞれ抵抗R1,R2、インダクタL1,L2及びコンデンサC3,C4を介して接地されるとともに、インダクタL1,L2とコンデンサC3,C4との間には、それぞれ制御端子Vc1,Vc2が設けられる。
【0060】
さらに、コムライン42の第1及び第2線路45,46のほぼ中央部は、それぞれ抵抗R3,R4、インダクタL3,L4及びコンデンサC7,C8を介して接地されるとともに、インダクタL3,L4とコンデンサC7,C8との間には、それぞれ制御端子Vc3,Vc4が設けられる。
【0061】
上述の第3及び第4の実施例の可変減衰器によれば、複数のコムラインを縦列接続するため、減衰量が可変制御できる範囲を大きくすることができる。したがって、この可変減衰器を搭載する移動体通信機器の部品点数を減らすことができ、その結果、移動体通信機器の小型化が可能となる。
【0062】
図8は、移動体通信機器の1つであるPCS(Personal Cellular System)用携帯電話器のブロック図である。この携帯電話器50は、受信専用アンテナ51、アンテナ51に対応する第1受信系52、送受信用アンテナ53、アンテナ53に接続されるデュプレクサ54、及びアンテナ53に対応する送信系55、第2受信系56を備える。
【0063】
第1及び第2受信系52,56には、低雑音増幅器LNA1,LNA2、帯域通過フィルタBPF1,BPF2、減衰器Att1,Att2及びミキサMIX1,MIX2が含まれ、送信系55には、高出力増幅器PA、帯域通過フィルタBPF3及びミキサMIX3が含まれる。この際、減衰器Att1,Att2は受信バランスを一定にするために用いられている。
【0064】
そして、この構成において、第1及び第2受信系52,56に含まれる減衰器Att1,Att2に、図1、図4、図6及び図7に示した小型の可変減衰器10,20,30,40を用いれば、受信系の受信バランスを一定に保ちながら、小型の携帯電話器を実現することができる。
【0065】
なお、上述の第1乃至第4の実施例では、ダイオードに印加電圧を印加するための制御端子がインダクタを介してコムラインを構成する第1及び第2線路に設けられる場合について説明したが、インダクタを介さずコムラインを構成する第1及び第2線路に設けられていてもよい。
【0066】
また、ダイオードが、コムラインをなす第1及び第2線路の中央部からやや他端側の箇所とグランドとの間に接続される場合について説明したが、ダイオードは第1及び第2線路の端部を除くいずれの箇所とグランドとの間に接続されていてもよい。
【0067】
さらに、ダイオードに印加電圧を印加するための制御端子が、コムラインを構成する第1及び第2線路のほぼ中央部に設けられる場合について説明したが、制御端子は第1及び第2線路のいずれの箇所に設けられていてもよい。
【0068】
また、上述の第3及び第4の実施例では、2つのコムラインを縦列接続する場合について説明したが、3つ以上のコムラインを縦列接続してもよい。この場合には、コムラインの数が増加するにともない、減衰量が可変制御できる範囲を大きくすることができる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1の可変減衰器によれば、コムラインをなす第1及び第2線路の端部を除く箇所とグランドとの間にダイオードが接続されるため、それらのダイオードに印加する印加電圧を可変制御することで、それらのダイオードの抵抗を可変制御することができ、その結果、コムラインを構成する第1及び第2線路の損失を可変制御することができる。したがって、コムラインの入力端子から出力端子へ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器の減衰量を可変制御することが可能となるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にすることができる。
【0070】
また、コムラインをなす第1及び第2線路の端部を除く箇所とグランドとの間にダイオードが接続されるため、ダイオードの接続位置を第1及び第2線路上で制御することによっても、第1及び第2線路の損失を可変制御することができる。したがって、コムラインの入力端子から出力端子へ送られる高周波信号の量を可変制御できるため、可変減衰器の減衰量を可変制御することが可能となるとともに、VSWRが1.5以下のときの反射損失を−13(dB)以下にすることができる。
【0071】
さらに、可変減衰器が、コムラインとダイオードとで構成されるため、可変減衰器の構成が簡単となり、その結果、可変減衰器が小型化できるとももに、その製造コストを減少することができる。
【0072】
請求項2の可変減衰器によれば、コムラインの第1端子と第2端子とがコムラインの第1及び第2線路を挟んで対称型になっているため、コムラインとダイオードとの配線が容易になり、コムラインの製造工程を簡略化及び低コスト化することとができる。
【0073】
請求項3の可変減衰器によれば、コムラインの第1端子と第2端子とがコムラインの第1及び第2線路を挟んで反転対称型になっているため、低い印加電圧で減衰量を可変制御できる。すなわち、効率良く減衰量を可変制御できるため、可変減衰器の低消費電圧化が実現できる。
【0074】
請求項4の可変減衰器によれば、複数のコムラインを縦列接続するため、減衰量が可変制御できる範囲を大きくすることができる。したがって、この可変減衰器を搭載する移動体通信機器の部品点数を減らすことができ、その結果、移動体通信機器の小型化が可能となる。
【0075】
請求項5の可変減衰器によれば、セラミックスからなる複数のシート層を積層してなるセラミック基板を備え、そのセラミック基板にコムラインをなす銅からなるストリップ電極を内蔵している、セラミック基板による波長短縮効果、及び銅による損失の低減により1GHz以上の高周波帯域への対応が可能となる。
【0076】
請求項6の移動体通信機器によれば、小型の可変減衰器を用いるため、受信系の受信バランスを保ちながら、小型の移動体通信機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変減衰器に係る第1の実施例の回路図である。
【図2】図1の可変減衰器の分解斜視図である。
【図3】図1の可変減衰器の減衰量及び反射損失を示す図である。
【図4】本発明の可変減衰器に係る第2の実施例の回路図である。
【図5】図4の可変減衰器の減衰量及び反射損失を示す図である。
【図6】本発明の可変減衰器に係る第3の実施例の回路図である。
【図7】本発明の可変減衰器に係る第4の実施例の回路図である。
【図8】移動体通信機器の1つである携帯電話器のブロック図である。
【図9】従来の可変減衰器を示す回路図である。
【符号の説明】
10,20,30,40 可変減衰器
11,21,33,35,43,45 第1線路
12,22,34,36,44,46 第2線路
13,23,31,32,41,42 コムライン
131,231,311,321,411,421 第1端子
132,232,312,322,412,422 第2端子
D1〜D4 ダイオード

Claims (6)

  1. 電磁結合した第1及び第2線路からなるコムラインと、該コムラインをなす前記第1及び第2線路に接続される複数のダイオードと、前記第1及び第2線路に接続される制御端子とを備え、
    前記第1及び第2線路の端部を除くいずれかの箇所とグランドとの間に、アノードが前記第1及び第2線路側となるように前記ダイオードが接続されているとともに、
    前記制御端子から前記複数のダイオードのアノードに正の電圧が印加されることを特徴とする可変減衰器。
  2. 前記第1線路の一端が第1端子、前記第2線路の一端が第2端子に接続され、前記第1及び第2線路の他端が開放になることを特徴とする請求項1に記載の可変減衰器。
  3. 前記第1線路の一端が第1端子、前記第2線路の他端が第2端子に接続され、前記第1線路の他端及び第2線路の一端が開放になることを特徴とする請求項1に記載の可変減衰器。
  4. 前記コムラインを複数個用い、該複数のコムラインのうち、隣同士となるコムラインの第1線路の第1端子と第2線路の第2端子とを接続することにより、前記複数のコムラインを縦列接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の可変減衰器。
  5. セラミックスからなる複数のシート層を積層してなるセラミック基板を備え、該セラミック基板に前記コムラインをなすストリップ電極を内蔵し、前記セラミック基板に前記ダイオードを搭載することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の可変減衰器。
  6. 請求項1乃至請求項5に記載の可変減衰器を用いたことを特徴とする移動体通信機器。
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