JP4012944B2 - ロールアイロナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯し脱水した被洗物をプレスしながら乾燥させるロールアイロナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
洗濯をしたシーツ、テーブルクロス、ピローカバー等の被洗物を脱水した後に、プレスしながら乾燥させるものとして、ロールアイロナが一般に知られている。図8はそのロールアイロナの構成を示すものである。
【0003】
同図に示すように、複数、例えば2組の円筒状の回転ローラ11a,11bが適宜間隔をあけて並列に敷設される。この回転ローラ11a,11bは、周面部がフェルト状のパッド等通気性のある弾性体で構成され、さらに通気性の小孔が多数形成される。この回転ローラ11a,11bは駆動モータ12により同一方向に駆動される。
【0004】
回転ローラ11a,11bの下部に、加熱装置13が設けられる。この加熱装置13は、上記回転ローラ11a,11bと一定の間隙を持つように曲面で構成され、その一端に、導入コンベア14が配設される。加熱装置13の回転ローラ11a,11bと対向する曲面には、それぞれ曲板状の発熱体16a,16bが埋設されている。回転ローラ11a,11bは、自重あるいはエアシリンダ等で、この発熱体16a,16bに圧接されながら回転する。
【0005】
従って、脱水を行った後の、まだ水分を多量に含んだ被洗物17を上記導入コンベア14上に置くと、被洗物17が回転ローラ11aと加熱装置13との間隙に投入され、その後、回転ローラ11a,11bの回転に伴って、加熱装置13に沿って進み、この際に被洗物17は、上記発熱体16a,16bに圧接され、乾燥及びプレスが行われる。
【0006】
回転ローラ11a,11bの軸部には、それぞれ排気用のダクト18a,18bが設けられ、被洗物17が乾燥する際に発する水蒸気は、ローラ11a,11b外周面を透過して回転ローラ内部に吸い込まれ、ダクト18a,18bを通って排気される。
【0007】
被洗物17が回転ローラ11a,11bに巻き付くことを防止するために、以前は、回転ローラ11a,11bと被洗物17との間に、被洗物17の通過路を規制するエンドレステープが配置されたものが採用されていた。このエンドレステープは回転ローラの幅に対して十数本必要であり、各テープの張力を加減するそれぞれのテンションプーリが備えられ、回転ローラの回転に従って周回する構成である。
【0008】
しかしながら上記のようなロールアイロナにあっては、被洗物が常にテープに押さえられた状態で乾燥、プレスされるため、被洗物にテープの跡がついてしまい、仕上がりの品質が低いものとなってしまう。
この傾向は、特に被洗物かテーブルクロスや敷布などのような生地の厚い物の場合に顕著に表れる。また、テープは、エアシリンダ等を備えた回転ローラにより発熱体に圧接されて150℃〜250℃に加熱されつつ摺動されるため、数時間から数日間使用すると切断してしまう。
【0009】
このようなときには、その都度ロールアイロナ本体の運転を中断し、テープを新たに交換しなければならず、その間の被洗物の乾燥及びプレス作業は停止しなければならなかった。
これらの欠点を解消するため、被洗物の通過路を規制するものとして、テープを用いる代わりに、図8及び図9に示すように、回転ローラ11aと回転ローラ11bの間に吸引ベルトユニット51が設けられたものがある(特願平6‐243770号)。
【0010】
吸引ベルトユニット51は、図9に示すように、リネン17を回転ローラ11aより受け取り、次の回転ローラ11bに受け渡すものである。
即ち、吸引ベルトユニット51においては、断面が半円形状のボックス55が設けられると共にその表面には多数のパンチング孔55aが形成され、その上面に通気性のある材質又は多数のパンチング孔が明けてある吸引ベルト59aを走行させる。
【0011】
ボックス55の下部の多数の軸支え板55cは、4本の細長軸58を支える。細長軸58によって多数の小ローラ57が回転自在に支えられる。
吸引ベルトユニット51の上面を走行する吸引ベルト59aは、駆動モータ12によりプーリ27、Vベルト64a、減速機61aを経て駆動プーリ63aによって駆動され、回転ローラ11aの周速度と略同じ速度で回動走行する。62aは駆動プーリ63aの軸を支える軸受けユニットである。
【0012】
また、回転ローラ11bのリネン17の出口と導出コンベア33の間にも、吸引ベルトユニット51と同様な構造の吸引ベルトユニット52が置かれ、このユニット52の吸引ベルト59bも、駆動モータ12によりVベルト64b、減速機61bを経て回される駆動プーリ63bに駆動され、回転ローラ11bの周速度と略同じ速度で回動走行し、導出コンベア33にリネン17を受け渡す。53a,53bは、各吸引ベルトユニット51,52からエアを吸い出す吸気管であり、図示略の吸引用ブロワーにつながれている。
【0013】
従って、吸引ベルト59aは駆動プーリ63aによって駆動され、小ローラ57に導かれて半円形状のボックス55の上面を通り、ここで半円形状のボックス55から図示略の吸引ブロアにより吸引した状態で、吸引ベルト59aをリネン17の送り方向に回転させる。第1回転ローラ11aの出口部と半円形状ボックス55は、各々を形成する円周がほぼ接するように位置している。
【0014】
そのため、第1回転ローラ11aにてアイロン掛けされたリネン17は、ここから排出されるとき、吸引ベルト59aの有するエアの吸引力により、ロール11aから剥離され、ベルト59aによって第2回転ローラ11bへ送られ、第2回転ローラ11bの出口においても同様の構成の吸引ベルト59bによりリネン17が導出コンベア33に受け渡され、次の折り畳み機などへの工程に送られる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロールアイロナでは、薄い被洗物を処理するとき、回転ロールからサクションボックスユニットのサクションベルトに乗り移る際に、サクションベルト上でリネンがめくれることがあり、被洗物の條や皺となって、被洗物の仕上がり品質の低下となる場合があった。
【0016】
また、エンドレスのサクションベルトが傷んだり、切断したりしたとき、サクションベルトの駆動プーリがサクションベルトの内側に設置されているため、サクションボックスが移動できず、サクションベルト交換が困難であった。
さらに、サクションベルトの継ぎ目にレーシングを使用した場合には、このレーシングと駆動プーリとの間でスリップして駆動力が減少し、サクションベルトをサクションボックス上を滑らせて駆動するための充分な駆動力が得られず、サクションベルトが止まることがあった。また、継ぎ目のレーシングが駆動プーリとの接触で削られて比較的短期間に破断する虞れがあった、
【0017】
本発明は、前記従来の欠点を解消しようとするもので、薄い被洗物であっても皺やスジが入ることなく、サクションベルトの保守が容易で、駆動力の低下が無く、製作コストも安い被洗物受け渡し装置を備えたロールアイロナを提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成する本発明の請求項1に係るロールアイロナは、発熱体を収納した曲面を有する複数の加熱装置と、この加熱装置の曲面に被洗物を圧接しながら回転送りする回転ローラとを適宜間隔をあけて複数組設置し、これら加熱装置と回転ローラ間に被洗物を投入し圧接しながら回転送りすることにより該被洗物を乾燥、プレスするロールアイロナにおいて、各回転ローラからの被洗物受け渡し部の上部に設けられ、エアの吹き出しにより被洗物を前記回転ローラから剥がすエアノズルと、前記加熱装置間に設置され、エアの吸引力により前記回転ローラより被洗物を受け取り次の前記回転ローラに受け渡すサクションベルトを有する吸引ベルトユニットとを具備し、前記エアノズルは、前記回転ローラから前記吸引ベルトユニットへの被洗物乗り移り部において前記回転ローラのロール面に接する接線方向に向けてエアを吹き出すように配置されていることを特徴とする。
上記目的を達成する本発明の請求項2に係るロールアイロナは、発熱体を収納した曲面を有する複数の加熱装置と、この加熱装置の曲面に被洗物を圧接しながら回転送りする回転ローラとを適宜間隔をあけて複数組設置し、これら加熱装置と回転ローラ間に被洗物を投入し圧接しながら回転送りすることにより該被洗物を乾燥、プレスするロールアイロナにおいて、各回転ローラからの被洗物受け渡し部の上部に設けられ、エアの吹き出しにより被洗物を前記回転ローラから剥がすエアノズルと、前記加熱装置間に設置され、エアの吸引力により前記回転ローラより被洗物を受け取り次の前記回転ローラに受け渡すサクションベルトを有する吸引ベルトユニットとを具備し、前記エアノズルは、前記回転ローラから前記吸引ベルトユニットへの被洗物乗り移り部において前記回転ローラのロール面に上方から下方に向けてエアを吹き出すように配置されていることを特徴とする。
上記目的を達成する本発明の請求項3に係るロールアイロナは、請求項1又は2記載のロールアイロナにおいて、前記エアノズルから吹き出されるエアを前記回転ローラと当該回転ローラ上の被洗物との間へと導く導風板を有することを特徴とする。
上記目的を達成する本発明の請求項に係るロールアイロナは、請求項1又は2記載のロールアイロナにおいて、前記吸引ベルトユニットは、上面部に多数の小孔を形成したサクションボックス、同サクションボックス上面を前記回転ローラの周速と略同速度で走行する多孔サクションベルト、サクションボックス内の空気を排気する排気手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成する本発明の請求項に係るロールアイロナは、請求項4記載のロールアイロナにおいて、更に、前記サクションベルト上の被洗物送り方向に斜めにエアを吹き出すエアノズルを具備することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成する本発明の請求項に係るロールアイロナは、請求項4記載のロールアイロナにおいて、前記吸引ベルトユニットは、外部の固定部材に固設されている軸に回転可能に軸支され前記サクションボックスを両側で固設するアームと、前記サクションボックスと固定部材の間にピンジョイントにより取付けられたアクチュエータと、前記サクションボックスの下側に位置を固定して置かれサクションベルトを外面において駆動する駆動プーリとによりなり、アクチュエータ作動により、吸引ベルトユニットを前記駆動プーリから適当な距離に離すことにより、点検、ベルト交換作業を容易としたことを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成する本発明の請求項7に係るロールアイロナは、請求項乃至の何れかに記載のロールアイロナにおいて、前記サクションボックス上面の曲面の形状を半円筒状に形成してなることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成する本発明の請求項8に係るロールアイロナは、請求項乃至の何れかに記載のロールアイロナにおいて、前記サクションボックスの上面に形成される小孔の分布を、入口側を密、出口側を疎に形成してなることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、洗濯し脱水した被洗物をプレスしながら乾燥させるロールアイロナの回転ロール間、回転ロールと排出コンベア間の被洗物受け波し部に設置された吸引ベルトユニットの改良に関し、受け渡し部の上部に設けられた被洗物の表面のめくれ防止のためのエアノズルと、傷んだサクションベルトの交換を容易にする機構と、滑り防止取り付け容易なサクションベルトの構成において実施される。
【0024】
【実施例】
本発明の実施例を、加熱装置と回転ローラが2組備えられたものについて、図面に基づいて説明する。
図1はロールアイロナの全体の構成を示す側面図、図2は図1の回転ローラ間の受け渡し用吸引ベルトユニットの詳細断面図、図3は図1の回転ローラと導出コンベア間の受け渡し用吸引ベルトユニットの詳細断面図、図4は図2の吸引ベルトユニットの構造を示す斜視図である。
【0025】
また、図5は図2のエアノズルをC矢印方向から見た平面図、図6は図1のロールアイロナの吸引ベルトユニット移動機構を示す側面図、図7は図1のロールアイロナのサクションベルトの結合部を示す側面図である。
同図に示すように、間隔をあけて直列に設置された回転ローラ11a,11bは、周面部がフェルト状のパッド等通気性のある弾性体で構成され、さらに通気性の小孔が多数形成される。この回転ローラ11a,11bは駆動モータ12により、幾つかの伝動機構を経て同一方向に駆動される。
【0026】
回転ローラ11a,11bの下部に、加熱装置13が設けられる。この加熱装置13は、上記回転ローラ11a,11bと一定の間隙を持つように回転ローラ11a,11bの形状に対応した曲面で構成されるものである。
回転ローラ11a,11bの前後に回転ローラ11a,11bの軸部と略同じ高さで、導入コンベア14と排出コンベア33がそれぞれ配設される。
加熱装置13の回転ローラ11a,11bと対向する曲面には、それぞれ曲板状の発熱体16a,16bが埋設されている。
【0027】
回転ローラ11a,11bは、自重で(あるいはエアシリンダ等で)この発熱体16a,16bに圧接されながら回転する。
従って、脱水を行った後の、まだ水分を多量に含んだ被洗物17を、導入コンベア14上に置くと、被洗物17は回転ローラ11aと加熱装置13との間隙に投入され、その後、回転ローラ11a〜11bの回転に伴って、加熱装置13に沿って進む。この際に被洗物17は、上記発熱体16a,16bに圧接され、乾燥及びプレスが行われる。
【0028】
また、回転ローラ11a,11bの軸部には、それぞれ排気用のダクト18a,18bが設けられ、被洗物17が乾燥する際に発する水蒸気は、ローラ11a,11bの外周面を透過して回転ローラ内部に吸い込まれ、ダクト18a,18bを通って排気される。
図1において被洗物であるリネン17が導入コンベア14から排出コンベア33まで送られる送行工程について説明すると、導入コンベア14によって送り込まれた被洗物17は、回転ローラ11aによって加熱装置16aの加熱面上を加圧されなから送られる。
【0029】
駆動モータ12はプーリ27、Vベルト29a、プーリ28aを介して回転ローラ11aを支える1対のアーム25aの軸26aを駆動回転する。
回転ローラ11aは、図1中2点鎖線で示した11a’のように、軸26aを中心軸として上下に回動可能であり、回転ロール11a自身の重量、あるいは、負荷用シリンダにより、走行中のリネン17を加圧することができる。
【0030】
アーム25aは減速装置を内蔵し(減速装置を内蔵するのは片側のアーム25aのみでよい)、軸26aの回転を減速して回転ローラ11aに伝達し、回転ローラ11aに適当な周速度(リネン17送り速度)を与えるようにしてある。
この回転ローラの支え方、駆動方式は第2回転ローラ11bにおいても全く同様であるので、各部品の付番のaの代わりにbを置き替えれば説明される。
【0031】
本実施例では、更に、回転ローラ11aと11bの間に吸引ベルトユニット31が設けられる。
吸引ベルトユニット31は、図2に示すように、被洗物17を回転ローラ11aより受け取り、次の回転ローラ11bに受け渡すものである。
即ち、吸引ベルトユニット31においては、断面が半円形状で中空なサクションボックス34が設けられると共にその表面に多数のパンチング孔34aが形成され、その上面に通気性のある材質又は多数のパンチング孔が明けてある多数のサクションベルト35aを走行させる。
【0032】
サクションボックス34の下部には、サクションベルト35aが嵌入できる間隔を空けて設置された多数の軸支え板34b,34cが設けてあり、2本の軸によりサクションベルト35aの幅に見合う長さの多数の(ベルトをガイドする)小ローラ41が回転自在に支えられる。
また、軸支え板34bに固設された軸39回りに回転可能に支えられたテンションアーム38の先端に、テンションローラ37が軸支され、このテンションローラ37が圧縮ばねにより付勢されて、各サクションベル卜35a毎に適当なベルトテンションを付与する。
【0033】
吸引ベルトユニット31の上面を走行するサクションベルト35aは、駆動モータ12によりプーリ27、Vベルト64a、プーリ65aを経て駆動される減速機61a,その減速機61aの出力軸に取付けられたプーリ66aとVベルト63a及びプーリ67aとにより駆動される駆動プーリ36aによって、図2に示したように、外周側を駆動される。
サクションベルト35aは、回転ローラ11aの周速度と略同じ速度で走行し、回転ローラ11bの周速度もサクションベルト35aと略同じ速度に調整される。
【0034】
サクションボックス34の上面の半円筒部のパンチング孔34aの分布状態を図4に示す。
回転ローラ11a側の区分Aで示した範囲はパンチング孔34aは密に分布し、区分Bで示した範囲は疎となっている。
すなわち、サクションベルト35aが区分A上を通過するときは、サクションベルト35aは被洗物17に対して強い吸引力を発揮して被洗物17を回転ローラ11aの周面より剥ぎ取り、区分Bにおいてはリネン17を軽く保持する程度の吸引力を呈して、吸引ベルト35aと半円形状のサクションボックス35との摺動摩擦抵抗を減らし、かつ、被洗物17の回転ローラ11bへの受け渡しを容易にする。
【0035】
また、半円形状ボックス34の出口部に接する第2回転ローラ11bの入口部は、固定発熱体16bの端部を開いて、第2ローラ11bの入口部が若干広く空くようにしてあるため、被洗物17が第2ローラ11bの入り口部に入り易くなっている。
【0036】
また、回転ローラ11bの被洗物17の出口と排出コンベア33の間にも、吸引ベルトユニット31と同様な構造の吸引ベルトユニット32が置かれ、このユニット32のサクションベルト35bも、駆動モータ12によりVベルト64b、プーリ65bにより回される減速機61b、その減速機61bの出力軸に取付けられたプーリ66bとVベルト63b及びプーリ67bとにより駆動される駆動プーリ36bによって、図3に示したように、外周側を駆動され、回転ローラ11bの周速度と略同じ速度で回動走行し、排出コンベア33に被洗物17を受け渡す。
【0037】
吸引ベルトユニット32の構成は、サクションボックス43の形状は異なっているが、構成と機能は前述の吸引ベルトユニット31の構成機能と同じであるので説明は省略する。
但し、吸引ベルトユニット32の場合、被洗物17の受け渡し先は排出コンベア33となっているので、サクションベルト35bは後流側を真っすぐに伸ばして、先端を排出コンベア33に被せた形状を採っている。
【0038】
第2回転ローラ11bから出口コンベヤ33への被洗物17の受け波し用の吸引ベルトユニット32のサクションボックス43も図3に示したように、サクションボックス34に準じた構造である。
上述の各回転ローラ11a,11bの周速度及びサクションベルト35a,35bの送り速度は、被洗物17を受け渡すときに、被洗物17に皺が寄らぬように、また滑り過ぎないように相対速度を微妙に加減することが重要で、そのため前述の各々のVベルトプーリは要所に図示略の可変速プーリを利用している。
【0039】
53a,53bは、各サクションボックス34、43のエア取り出し口34d、43dからエアを吸い出す吸気管であり、図示略の吸引用ブロワにつながれている。
【0040】
上述のように、各回転ローラ11a,11bの周速度及びサクションベルト35a,35bの送り速度は、被洗物17の皺や滑りを防ぐために、速度を微妙に加減するようにしているが、さらに、被洗物17の受け渡しを確実にし、めくれや皺が寄ることを防ぐために、回転ローラ11a,11bからの被洗物17の受け渡し部上部にエアノズル44を設けている。
【0041】
エアノズル44は吸引ベルトユニット31,32への乗り移り部の回転ローラ11a,11bの円筒面の接線方向へエアを吹き出すノズル44aと、図5に示したように、サクションベルト上の被洗物送り方向に斜めに吹き出すノズル44cとの両2種類を備えている。44bはノズル44aから吹き出すエアを適当な方向に導く導風板である。
ノズル44aより吹き出すエアは回転ローラ11a,11bより被洗物17を確実に剥がして、吸引ベルトユニット31、32のサクションベルト35a,35bに載せる。
【0042】
また、ノズル44cはサクションベルト35a,35bに載っている枚洗物17の端縁の折れ重なり、めくれ、皺等を吹き均して平らにする。
吸引ベルトユニット31,32は、図6に示す移動(昇降)機構により、図中二点鎖線で示すように移動することができる。
即ち、外部の固定部材にアーム軸49が固設され、このアーム軸49にアーム48a,48bが回転可能に軸支されている。吸引ベルトユニット31,32の主体であるサクションボックス34,43は、このアーム48a,48bに両側で固設されている。
【0043】
図2に示すように、サクションボックス34に取付けられた支持部材45aにおいて、エアシリンダ47の作動ロッドがピンジョイントにより結合されている。同様に、図3に示すように、サクションボックス43はこれに取付けられた支持部材45bにおいて、エアシリンダ47の作動ロッドがピンジョイントにより結合されている。
【0044】
両エアシリンダ47の他端は固定部材とピンジョイントにより結合されているので、エアシリンダ47を作動させることにより、図6の2点鎖線で示したように、吸引ベルトユニット31,32を回転ローラ11aと11bの間と、回転ローラ11bと排出コンベア33の間の位置から上方に移動させることができる。このエアシリンダ47に代えて油圧シリンダ、あるいは、モータにより駆動される親ねじとこれに螺合するナットとの組合わせによるアクチュエータでもよい。
【0045】
前述したように、サクションベルト35a,35bを駆動する駆動プーリ36a,36bは、サクションボックス34,43の下側に位置を固定して置かれベルトを外周面において接触駆動しているので、エアシリンダ47の作動により、吸引ベルトユニット31,32を上方に移動すれば、サクションベルト35a,35bを駆動プーリ36a,36bから充分な距離に離すことができ、点検、ベルト交換作業を容易とすることができる。
【0046】
サクションベルト35a,35bの継ぎ目の構成の1例を図7に示す。
従来のようにサクションベルトの継ぎ目にレーシングを使用せず、この継ぎ目を熱接着性の織り布である熱シール布71により熱接着したものである。例えば、熱シール布71として、アラミド繊維とテフロンの交織したものを用い、超音波によりテフロンを溶融させアラミド繊維同士を接着させることができる。
従って、本実施例では、レーシングのときのような駆動プーリ36a,36bとの間でスリップを生じることなく、また、駆動力が減少する心配は無い。
このような継ぎ目の熱シール布71は駆動プーリ36a,36bとの接触で削られることがないので、サクションベルト35a,35b破断の虞れなく、ベルト表面全体で均一な駆動力で安定した走行が得られ、長時間の運転が可能である。
【0047】
上記構成を有する本実施例のロールアイロナにおいては、次のような作用効果を奏し、被洗物17をプレスしながら乾燥させることができる。
先ず、第1回転ローラ11aにてアイロン掛けされた被洗物17は、ここから排出されるとき、エアノズル44のノズル44aより吹き出すエアは、回転ローラ11a,11bより被洗物17を確実に剥がして、半円形状のサクションボックス34の上面のサクションベルト35aに移し替え、サクションベルト35aの有するエアの吸引力により、被洗物17を吸着したまま送り、第2回転ローラ11bと加熱装置13へ送られる。
【0048】
次に、半円形状ボックス34の出口部においては、第2回転ローラ11bの入口部の方が若千開いた形で位置しているため、被洗物17は容易に第2回転ローラ11b側へ供給され、再度アイロン掛けすることが出来る。第2回転ローラ11b及び加熱装置13の出口においても同様の構成の吸引ベルトユニット32により被洗物17が排出コンベア33に受け渡される。
ノズル44cはサクションベルト35a,35bに載って送られている被洗物17の先端縁の折れ重なり、めくれ、皺等を吹き均して平らにする。
【0049】
なお、吸引ベルト35aは、図4においては複数本で構成されているが、これに代えて回転ローラの全幅に対応した1本で対応することもできる。この場合には軸支え板のガイド部は両端部の2箇所となる。また、回転ローラ及び加熱装置の個数は、3個以上の場合も同様に適用可能である。
サクションベルト35a,35bが傷んだり切断したりしたときには、ロールアイロナの運転を停止し、エアシリンダ47を作動させ、吸引ベルトユニット31,32を上方に移動して、サクションベルト35a,35bの点検、ベルト交換作業が容易にできる。ロールアイロナ運転中はエアシリンダのピストン、ロッドを逆作動し、サクションボックスを固定する。
【0050】
サクションベルト35a,35bを交換するときは、その接着形態の1例を図7に示すように、必要な長さに切断したベルトの端部を、熱シール布71を被せ、超音波等により熱接着する。
このように、ベルトの継ぎ目にレーシングを使用しないので、従来のレーシングのときのような、駆動プーリとの間でスリップを生じることなく、駆動力が減少することも無い。
また、このような継ぎ目に熱シール布71のような織り布を使えば駆動プーリとの接触で削られることなく、サクションベルト35a,35bの破断の虞れはなくなり、駆動プーリ36a,36bの摩擦伝動の変動が少なく、長時間の運転が可能となる。
【0051】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて具体的に説明したように本発明では、各回転ローラからの被洗物受け渡し部の上部に設けられたエアノズルにより、ロール面の接線方向にエアを吹き出して、被洗物を回転ローラ出口部全面から確実に剥離させ、被洗物の受け渡し部の吸引ベルトユニッ卜の半円形状のボックスの吸引孔は、入口側で密に、出口側で疎に、即ち吸引ベルトが回転ローラに接する部分が特に強い吸引力を持つように分布されているので被洗物は確実にサクションユニットに乗り移り、前記エアノズルは被洗物送り方向と被洗物を広げる方向を合成した斜め方向に吹き出して、被洗物をサクションボックスの吸引孔の疎に分布しているサクションベルト上において広げるので、薄い被洗物においてもめくれることが無いので皺やスジが入ることなく、高品質にアイロン仕上げされる。
【0052】
また、エンドレスのサクションベルトが傷んだり切断したりしたときには、サクションベルトの駆動プーリがサクションベルトの外周側に段置されているため、サクションボックスの移動機構を簡単に設置でき、サクションベルトの交換を容易としている。
さらに、サクションベルトの継ぎ目にレーシングを使用せず、この継ぎ目を熱接着性の織り布により熱接着してあるので、前記レーシングのときのような、駆動プーリとの間でスリップを生じることなく、駆動力が減少する心配は無い。また、このような継ぎ目の織り布は駆動プーリとの接触で削られることがないのでベルト破断の虞れなく、ベルト表面全体で均一な駆動力で安定した走行が得られ、長時間の運転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るロールアイロナの全体の構成を示す側面図である。
【図2】図1の回転ローラ間の受け渡し用吸引ベルトユニットの詳細断面図である。
【図3】図1の回転ローラと導出コンベア間の受け渡し用吸引ベルトユニットの詳細断面図である。
【図4】図2の吸引ベルトユニットの構造を示す斜視図である。
【図5】図1のエアノズルをC矢印方向から見た平面図である。
【図6】図1のロールアイロナの吸引ベルトユニット移動機構を示す側面図である。
【図7】図1のロールアイロナのサクションベルトの結合部を示す側面図である。
【図8】従来のロールアイロナの一例の構成を示す側面図である。
【図9】従来のロールアイロナの吸引ベルトユニットの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11a,11b 回転ローラ
12 駆動モータ
13 加熱装置
16a,16b 発熱体
17 被洗物
18a,18b ダクト
31,32 吸引ベルトユニット
34 サクションボックス
34a パンチング孔
35a,35b サクションベルト
36a,36b 駆動プーリ
37 テンションローラ
41 小ローラ
43 サクションボックス
43a パンチング孔
44 エアノズル
47 エアシリンダ
48 アーム
49 アーム軸
53a,53b 吸気管
61a,61b 減速機
71 熱シール布

Claims (8)

  1. 発熱体を収納した曲面を有する複数の加熱装置と、この加熱装置の曲面に被洗物を圧接しながら回転送りする回転ローラとを適宜間隔をあけて複数組設置し、これら加熱装置と回転ローラ間に被洗物を投入し圧接しながら回転送りすることにより該被洗物を乾燥、プレスするロールアイロナにおいて、各回転ローラからの被洗物受け渡し部の上部に設けられ、エアの吹き出しにより被洗物を前記回転ローラから剥がすエアノズルと、前記加熱装置間に設置され、エアの吸引力により前記回転ローラより被洗物を受け取り次の前記回転ローラに受け渡すサクションベルトを有する吸引ベルトユニットとを具備し、前記エアノズルは、前記回転ローラから前記吸引ベルトユニットへの被洗物乗り移り部において前記回転ローラのロール面に接する接線方向に向けてエアを吹き出すように配置されていることを特徴とするロールアイロナ。
  2. 発熱体を収納した曲面を有する複数の加熱装置と、この加熱装置の曲面に被洗物を圧接しながら回転送りする回転ローラとを適宜間隔をあけて複数組設置し、これら加熱装置と回転ローラ間に被洗物を投入し圧接しながら回転送りすることにより該被洗物を乾燥、プレスするロールアイロナにおいて、各回転ローラからの被洗物受け渡し部の上部に設けられ、エアの吹き出しにより被洗物を前記回転ローラから剥がすエアノズルと、前記加熱装置間に設置され、エアの吸引力により前記回転ローラより被洗物を受け取り次の前記回転ローラに受け渡すサクションベルトを有する吸引ベルトユニットとを具備し、前記エアノズルは、前記回転ローラから前記吸引ベルトユニットへの被洗物乗り移り部において前記回転ローラのロール面に上方から下方に向けてエアを吹き出すように配置されていることを特徴とするロールアイロナ。
  3. 請求項1又は2記載のロールアイロナにおいて、前記エアノズルから吹き出されるエアを前記回転ローラと当該回転ローラ上の被洗物との間へと導く導風板を有することを特徴とするロールアイロナ。
  4. 請求項1又は2記載のロールアイロナにおいて、前記吸引ベルトユニットは、上面部に多数の小孔を形成したサクションボックス、同サクションボックス上面を前記回転ローラの周速と略同速度で走行する多孔サクションベルト、サクションボックス内の空気を排気する排気手段とを具備することを特徴とするロールアイロナ。
  5. 請求項4記載のロールアイロナにおいて、更に、前記サクションベルト上の被洗物送り方向に斜めにエアを吹き出すエアノズルを具備することを特徴とするロールアイロナ。
  6. 請求項4記載のロールアイロナにおいて、前記吸引ベルトユニットは、外部の固定部材に固設されている軸に回転可能に軸支され前記サクションボックスを両側で固設するアームと、前記サクションボックスと固定部材の間にピンジョイントにより取付けられたアクチュエータと、前記サクションボックスの下側に位置を固定して置かれサクションベルトを外面において駆動する駆動プーリとによりなり、点検、ベルト交換作業を容易とするためにアクチュエータ作動により、吸引ベルトユニットを前記駆動プーリから適当な距離に離すことにより、点検、ベルト交換作業を容易としたことを特徴とするロールアイロナ。
  7. 請求項乃至の何れかに記載のロールアイロナにおいて、前記サクションボックス上面の曲面の形状を半円筒状に形成してなることを特徴とするロールアイロナ。
  8. 請求項乃至の何れかに記載のロールアイロナにおいて、前記サクションボックスの上面に形成される小孔の分布を、入口側を密、出口側を疎に形成してなることを特徴とするロールアイロナ。
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