JP4012134B2 - 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、
(1)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(1)(式中、R 1 は水素原子、メチル基又はエチル基を、R 2 はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基を表し、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、mは正数、nは0又は正数であり、m/(m+n)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
(2)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構成単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(2)(式中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
(3)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの分子量が、5,000〜5,000,000である、上記(1)又は(2)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(4)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの配合量が、水性切削液の総量に対して0.05〜20重量%である、上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(5)添加助剤として、分散剤、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤を含むことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(6)添加助剤の配合量が、水性切削液の総量に対して0.2〜10重量%である、上記(5)記載の砥粒分散用水性切削液。
(7)分散剤が、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(8)防錆剤が、燐酸塩、タングステン酸塩、モリブテン酸塩、安息香酸塩からなる無機酸塩又は有機酸塩の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(9)防錆剤が、アミン化合物、アルカノールアミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物からなる有機化合物群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(10)潤滑剤が、アルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステル化合物からなる流体用潤滑剤の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)記載の砥粒分散用水性切削液。
(11)潤滑剤が、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、有機金属系極圧剤、硫黄・燐・金属複合系極圧剤の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(12)消泡剤が、末端に水酸基又はアルキル鎖を持つポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型2元共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのブロック型3元共重合体又はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型3元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(13)砥粒分散用水性切削液の粘度が、30〜100mPa・sである、上記(1)〜(12)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(14)砥粒分散用水性切削液のpHが6〜12.5の範囲内に調整されたものである、上記(1)〜(13)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(15)上記(1)〜(14)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液に砥粒を分散させることを特徴とする水性スラリー。
(16)砥粒の添加量が、砥粒分散用水性切削液に対して、70〜120重量%である、上記(15)記載の水性スラリー。
(17)水性スラリーの粘度が、50〜450mPa・sである、上記(15)又は(16)に記載の水性スラリー。
(18)水性スラリーのpHが、6〜12.5の範囲内に制御されたものである、上記(15)〜(17)のいずれか一に記載の水性スラリー。
(19)上記(15)〜(18)のいずれか一に記載の水性スラリーを用い、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーにより硬脆性難削材料をスライスすることを特徴とする、硬脆性難削材料の切断方法、
を提供するものである。
また、本発明の水性スラリーによれば、加工時の粘度安定性が優れると共に、切削屑の混入による粘度変化も少なく、切削液として長寿命であり、水性スラリーの交換頻度を下げながらも安定した加工品質を達成でき、切削加工の経済性、信頼性、運転管理性、環境保全性を改善することができ、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーによる硬脆性難削材料インゴット又はブロックの切断加工に好適に使用できる。
本発明は、アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマー(以下、アミド系水溶性ポリマーをいう)と、活性化水素を持つポリマーを主体とし、砥粒の分散剤を配合し、更に必要に応じて、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤などを複合添加してなる砥粒分散用水性切削液である。
本発明に使用されるアミド系水溶性ポリマーと活性化水素を持つポリマーと各種添加助剤の組成、配合量並びにそれぞれの効能について説明する。
これらのビニルモノマーの割合は、ポリマー中の構成ビニルモノマーの総量に対して、50モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、95モル%以上が更に好ましい。これらのビニルモノマーの割合が50モル%未満の場合には、加工中切削液の粘度安定性が著しく低下し、砥粒の凝結固化を防止できなくなり、安定した加工性能を発揮できない。
これらのアニオン性ビニルモノマーのうち、特に性能と安価性を考慮すると、アクリル酸塩とスルホン酸塩型のビニルモノマーが好ましく、アクリル酸塩型のビニルモノマーがより好ましい。
あるいは一般式(2)(式中、R3、R4は水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表されるポリマーを用いる。
重合開始剤としてはラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−041)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−044)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩(VA−046B)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−058)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩(VA−060)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(VA−50)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン](VA−057)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(VA−080)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}(VA−085)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086)等の水溶性アゾ系化合物(熱分解型ラジカル重合開始剤)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
また、これらのラジカル重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合せることによりレドックス型開始剤(酸化還元型ラジカル重合開始剤)とすることもできる。還元剤としては、具体的には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)等の複合型還元性化合物、ハイドロサルファイトナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなど還元性化合物、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。更に、これらのレドックス型重合開始剤とアゾ系重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
活性化水素を持つポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物の群から選択される少なくとも1種以上のものであり、具体的には、ポリエチレンイミン系のものとしては、エポミンSP−003、SP−006、SP−012、SP−018、SP−200、SP−103、SP−110、P−1000(いずれも日本触媒社製)などが、ポリビニルアルコール系のものとしては、完全鹸化品、準完全鹸化品、部分鹸化品、カルボキシル基変性品、スルホン酸変性品、グリコール変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
これらの活性化水素を持つポリマーは、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
これらの活性化水素を持つポリマーのうち、安定性と安価性を考慮すると、ポリビニルアルコール及びその変性物が好ましく、更に溶解性と相溶性を考慮すると、アニオン変性品のうち、カルボキシ変性品、スルホン酸変性品がより好ましい。
本発明においては、上述した活性化水素を持つポリマーを併用することにより、分散剤の利点を生かしつつ、凝結固化を防止することができる。
1)吸着膜形成型潤滑剤は、具体的に例えばアルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステルなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これらの潤滑剤のうち、高級アルコール、高級脂肪酸塩が好ましく、高級脂肪酸塩がより好ましい。好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜0.5重量%である。添加量が0.01重量%未満では、潤滑効果が不十分となる場合があり、添加量が0.5重量%を超えると、切削液を循環使用する際に泡が発生しやすくなり、場合によって加工を継続できないこともある。
2)化学反応誘起型潤滑剤は、具体的に例えば、トリブチルフォスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイトなどの亜燐酸エステル類化合物、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、ジラウリルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート(JP−504)、ブトキシエチルアシッドホスフェート(JP−506H)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP−508)、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート(LB−58)、エチレングリコールアシッドホスフェート(EGAP)などの燐酸エステル類化合物、亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート、モリブデンジアルキルジチオフォスフェート、亜鉛ジアルキルジチオカルバメート、モリブデンジアルキルジチオカルバメートなどの複合系化合物、エチルジエチルホスホノアセテート、ジベンジルサルファイト、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、硫化脂肪酸、ジアルキルポリスルフィド、二硫化モリブデン、グラファイトなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。水溶性並びに安定性を考慮すると、これらの潤滑剤のうち、燐酸エステル類化合物、硫化脂肪酸が好ましい。これらの化学反応誘起型潤滑剤は、上記1)の吸着膜形成型潤滑剤と併用してもよい。
好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜2重量%である。添加量が0.01重量%未満では、潤滑効果が不十分となる場合があり、添加量が2重量%を超えても、潤滑性の効果向上が見られないのみならず、原料コストが増大するため好ましくない。
用いられるpH緩衝剤としては、具体的に、例えば、従来公知のpH緩衝剤、四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム/水酸化ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム/クエン酸、硼酸/クエン酸/燐酸三ナトリウムなどを配合することができる。上記pH緩衝剤のうち、四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/メタ珪酸ナトリウムが好ましく、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウムがより好ましい。好ましい添加量は、水性切削液の全体に対して0.01〜1重量%である。添加量が0.01重量%未満では、十分な緩衝効果を発揮できない場合があり、添加量が1重量%を超えると、その他の添加剤が析出しやすくなる。
pH緩衝剤は、水性切削液のpHを安定化させるとともに、加工性能の安定性を高め、特にpH10以上のアルカリ性領域においては、防錆剤の一助となるものである。
砥粒の平均粒子径は通常40μm以下であり、好ましくは、5〜30μmである。
これらの砥粒の配合量は、加工条件に合わせて主に70〜120重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましい。砥粒の添加量は、70重量%未満の場合、加工速度が遅く、加工効率が低下してしまう。一方、砥粒の添加量は、120重量%を超えると、水性スラリーの粘度が高くなりすぎて、ポンプによる送液が不能になったり、ノズルから加工部位への供給が困難である。
ワイヤソーを用いたシリコンインゴットの切断には、80〜300mPa・sが好ましく、100〜230mPa・sがより好ましい。
合成例1:アミド系水溶性ポリマー1−1の合成
1L容量のセパラブルフラスコにN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、0℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を1.566g、ロンガリットの5重量%水溶液を0.746g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を0.436g順次投入し、0℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む透明ゲル状のポリマー1−1を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を3.914g、ロンガリットの10重量%水溶液を2.798g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を3.273g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む水あめ状のポリマー1−2を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を3.914g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を3.779g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を3.273g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー1−3の水溶液を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、アクリル酸(AAc)8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を0℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を1.722g、ロンガリットの5重量%水溶液を0.821g、t−BHPOの5重量%水溶液を0.480g順次投入し、0℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む透明ゲル状のポリマー2−1を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、AAc8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を4.305g、ロンガリットの10重量%水溶液を3.078g、t−BHPOの5重量%水溶液を3.600g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む水あめ状のポリマー2−2を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、AAc8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を4.305g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を4.157g、t−BHPOの5重量%水溶液を3.600g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー2−3の水溶液を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにN−アクリロイルモルホリン(ACMO)120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を2.748g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を2.654g、t−BHPOの5重量%水溶液を2.298g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー3−1の水溶液を得た。
1L容量のセパラブルフラスコにACMO120g、AAc6.125g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を3.023g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を2.919g、t−BHPOの5重量%水溶液を2.528g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー3−2の水溶液を得た。
脱イオン水99.54重量部に、2.11重量部のアミド系水溶性ポリマー1−2を添加して攪拌溶解させた後、防錆剤としてジエタノールアミン0.2重量部、1,2,3−ベンゾトリアゾール0.02重量部、及び安息香酸ナトリウム0.1重量部を添加溶解した。次に、pH緩衝剤並びに防錆助剤として四硼酸ナトリウム0.25重量部及びメタ珪酸ナトリウム0.28重量部を加え、十分に攪拌混合し、透明な水溶液を得た。これに潤滑剤としてオレイン酸トリエタノールアミン中和塩0.2重量部及びエチレングリコールアシッドホスフェートEGAP(城北化学工業社製)のトリエタノールアミン中和塩1重量部を添加して攪拌溶解させ、分散剤としてポリアクリル酸塩のジュリマーAC−10N(日本純薬社製)1.2重量部を、活性化水素を持つポリマーとしてスルホン酸変性ポリビニルアルコールのゴーセランL−3266(日本合成化学社製)1.0重量部を、それぞれ添加溶解した。次いで、消泡剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック型オリゴマー0.1重量部(第一工業製薬社製のエパン720と旭電化工業社製のアデカプルロニックL−62、各0.05重量部)を添加し、混合して本発明の水性切削液A1を製造した。
得られた水性切削液A1は、25℃における粘度が44.8mPa・s、25℃におけるpHが10.87であった。
これらの結果を表2に纏めた。
表2に示す組成と割合に変更した以外は、実施例1と同様に実施することにより、水性切削液A2〜A8を製造した。
得られた水性切削液A2〜A8の粘度、pH、及び溶解性を水性切削液A1と同様に測定した。
それらの結果を表2に纏めた。
油系非水溶性切削液の市販品X及びグリコール系水性切削液の市販品Yの主な組成並びに物性を表3に記す。
実施例1〜6に記載の水性切削液A1〜A6に対し、一定量の砥粒(炭化珪素SiC、商品名GC#1000、平均粒子径11.5μm、フジミインコーポレーテッド社製)を添加混合して攪拌分散させ、本発明の水性スラリーB1〜B6を製造した。それぞれの組成及び物性を表4に纏めた。
上記水性スラリーと同様にして、実施例7、8に記載の水性切削液A7、A8及び比較例1、2に記載の切削液X、Yを用いて、スラリーB7〜B10を調製した。それぞれの組成及び物性を表4に纏めた。
(1)分散性試験:本試験は、砥粒の分散安定性を評価したものである。
実験条件
1)前記調合したスラリーB1〜B10を23±0.5℃に調整する。
2)スラリーB1〜B10各100mLを100mLのメスシリンダーに正確に取る。
3)23±0.5℃の恒温室に放置する。
4)初期全量に対して、6時間目における砥粒(GC#1000)含有層の体積割合を算出し、分散性を評価する。
分散性の評価は下記に示す基準に従って行った。
分散性 ◎ 体積割合85%以上
○ 体積割合80%以上〜85%未満
△ 体積割合75%以上〜80%未満
× 体積割合75%未満
前記分散性試験で、砥粒GC#1000が完全に沈降した後、メスシリンダーの底部に硬い堆積物の形成有無を確認する。即ち、先端半球状、直径8mm、重さ25gの硝子棒を用いて、スラリーの上部端面から自由落下させ、硝子棒がスラリーを通過する時間を計測し、砥粒の凝結固化防止効果を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
◎ 5秒未満
○ 5秒以上〜30秒未満
△ 30秒以上〜60秒未満
× 60秒以上
実験条件:
1)23±0.5℃に調整したスラリーB1〜B10各300mLを300mL容量のトールビーカーに正確に取る。
2)23±0.5℃の恒温室に放置する。
3)砥粒が完全に沈降した後、スラリーの上部端面より5cm離れた高さにを直径4cmの4枚攪拌羽根を用いて、100rpmの回転速度で攪拌し、トールビーカー底部の堆積スラリーがなくなるまでの時間を読み取り、再分散性を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
◎ 5分未満
○ 5分以上〜10分未満
△ 10分以上〜30分未満
× 30分以上
実験条件:
1)23±0.5℃に調整したスラリーB1〜B10各300gを300mL容量のトールビーカーに正確に取る。
2)23±0.5℃の循環型恒温槽に設置する。
3)ホモミキサー(特殊機化工業社製、MARK IIf型)を用いて10000rpmの回転数にて2時間攪拌し、23℃における攪拌前後の粘度変化率を求め、剪断力に対するスラリーの粘度安定性を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。なお、数値は粘度変化率を示す。
◎ 10%未満
○ 10%以上〜20%未満
△ 20%以上〜30%未満
× 30%以上
1)WARP:反り量(凹凸状に変形したウェハーの中央部と外周部の高低差の最大値)
2)TTV:平坦度(厚さの最大値と最小値との差)
測定は、ウェハー1枚につき9点(中心部1点、ウェハーを同孤度で8分割した時、外縁より1cm離れた位置8点)、10枚で行い、その平均値を結果とした。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。なお、数値は粘度変化幅を示す。
◎ 5mPa・s未満
○ 5mPa・s以上〜10mPa・s未満
△ 10mPa・s以上〜30mPa・s未満
× 30mPa・s以上
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
○ 錆発生無
× 錆発生有
従って、硬脆性難削材料、シリコン単結晶や多結晶のインゴット、水晶、硬質ガラス、セラミックス、化合物半導体など、の、マルチワイヤソー又はバンドソーによる切断加工、特に連続加工又はシリコンウェハー等被加工材の大口径化に伴う長時間の切削加工に、好適に使用することができる。
Claims (19)
- アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(1)(式中、R 1 は水素原子、メチル基又はエチル基を、R 2 はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基を表し、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、mは正数、nは0又は正数であり、m/(m+n)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
- アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構成単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(2)(式中、R 3 、R 4 は水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
- アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの分子量が、5,000〜5,000,000である、請求項1又は2に記載の砥粒分散用水性切削液。
- アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの配合量が、水性切削液の総量に対して0.05〜20重量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の砥粒分散用水性切削液。
- 添加助剤として、分散剤、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
- 添加助剤の配合量が、水性切削液の総量に対して0.2〜10重量%である、請求項5記載の砥粒分散用水性切削液。
- 分散剤が、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 防錆剤が、燐酸塩、タングステン酸塩、モリブテン酸塩、安息香酸塩からなる無機酸塩又は有機酸塩の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 防錆剤が、アミン化合物、アルカノールアミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物からなる有機化合物群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 潤滑剤が、アルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステル化合物からなる流体用潤滑剤の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 潤滑剤が、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、有機金属系極圧剤、硫黄・燐・金属複合系極圧剤の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 消泡剤が、末端に水酸基又はアルキル鎖を持つポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型2元共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのブロック型3元共重合体又はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型3元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
- 砥粒分散用水性切削液の粘度が、30〜100mPa・sである、請求項1乃至12のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
- 砥粒分散用水性切削液のpHが6〜12.5の範囲内に調整されたものである、請求項1乃至13のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
- 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の砥粒分散用水性切削液に砥粒を分散させることを特徴とする水性スラリー。
- 砥粒の添加量が、砥粒分散用水性切削液に対して、70〜120重量%である、請求項15記載の水性スラリー。
- 水性スラリーの粘度が、50〜450mPa・sである、請求項15又は16記載の水性スラリー。
- 水性スラリーのpHが、6〜12.5の範囲内に制御されたものである、請求項15乃至17のいずれか1項記載の水性スラリー。
- 請求項15乃至18のいずれか1項に記載の水性スラリーを用い、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーにより硬脆性難削材料をスライスすることを特徴とする、硬脆性難削材料の切断方法。
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