JP4012134B2 - 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法 - Google Patents

水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4012134B2
JP4012134B2 JP2003350312A JP2003350312A JP4012134B2 JP 4012134 B2 JP4012134 B2 JP 4012134B2 JP 2003350312 A JP2003350312 A JP 2003350312A JP 2003350312 A JP2003350312 A JP 2003350312A JP 4012134 B2 JP4012134 B2 JP 4012134B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous
abrasive
aqueous cutting
group
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003350312A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005113039A (ja
Inventor
岩峰 王
広司 寺本
学士 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kohjin Holdings Co Ltd
Original Assignee
Kohjin Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kohjin Holdings Co Ltd filed Critical Kohjin Holdings Co Ltd
Priority to JP2003350312A priority Critical patent/JP4012134B2/ja
Publication of JP2005113039A publication Critical patent/JP2005113039A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4012134B2 publication Critical patent/JP4012134B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、ワイヤソー又はバンドソーを用いて、シリコン単結晶やシリコン多結晶のインゴット、化合物半導体、水晶、石英、硬質ガラス、セラミック等の硬脆性材料のブロックを精密に切断する際に、優れた性能と加工精度を有し、且つ有機成分含有量の少ない水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法に関する。
従来より、シリコン、化合物半導体、水晶、石英、硬質ガラス、セラミックス等の硬脆性材料、鋳鉄、銅、アルミニウム合金などの金属材料などのインゴット又はブロック切断用の加工機具には、外周刃砥石、内周刃砥石、固定砥粒バンドソーが、また、シリコンインゴットの切断にはIDブレード及び遊離砥粒を用いたバンドソーあるいはワイヤソーが使用されてきた。外周刃砥石、内周刃砥石、及びIDブレードによる切断方法では、被加工材料の大型化への対応が難しくなったため、遊離砥粒を用いたワイヤソーやバンドソーによる切断加工が多用されるようになっている。それは、他の加工具に比べて、より均一な厚さでインゴットをスライスすることができ、切削屑の発生量が少なくて済むだけでなく、一度に多枚数のウェハーを取得できるようになり、加工効率が優れているからである。
従来より、遊離砥粒を用いたワイヤソーあるいはバンドソーによる被加工材の切断には、様々な加工液が使用されている。これらの加工液は、主に鉱物油、植物油、合成油などの基油を主成分とする非水溶性切削油(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)、あるいはこれに乳化剤を加えて見掛け上でオイルと水を分散可溶化したものが用いられており、この切削油にSiCなどの砥粒を混合分散させた油性スラリーを切断部に送液しながら、材料のスライス加工が行われている。油性スラリーの場合は、砥粒を安定して分散させることができ、比較的良い切削性能を発揮できるという長所がある。しかし、鉱物油、植物油又は合成油を主成分とした切削油は、引火又は発火の危険性があり、消防法により貯蔵数量が制限され、製造及び運転管理上においても危険を伴うため、自動化・無人化運転に不向きである(例えば、特許文献4は、引火の危険性を抑制するために、鉱物系又は合成系基油に1〜20重量%の水分を含有させてなる非水溶性分散媒組成物を開示している。)ばかりでなく、臭気の発散により作業環境を悪化させ、環境並びに作業員の健康に悪影響及び危害を及ぼしている問題も発生している。
また、非水溶性切削油では、切断後のスライス品に付着している油膜成分などを除去するために、洗浄工程でフロン113、塩化メチレン、ジクロロメタン、トリクロロエタンなど塩素系有機溶剤の使用を回避できない。これら塩素系有機溶剤は、発ガン性を有し、オゾン層の破壊や大気と水質汚染の主原因になるため、最近その使用が厳しく規制されており、使用後の洗浄廃液並びに排出ガスに何らかの処理を施さなければ放出できないというのも現状となっており、今後全廃に向けて使用禁止されつつある。
更に、前記油性スラリーは、切断加工に供される後そのオイルと砥粒を再使用するのは困難であると共に、これを行うのは技術的に複雑である。従って、通常ある程度固液分離処理を行い、オイル廃棄物として焼却処分されている。この焼却に際しては、油の燃焼に起因する二酸化炭素が大量に放出され、地球温暖化の一因になり、環境保全の観点から好ましくない。
上記した背景で、近年では、安全性の問題や作業環境の保全、加工後の洗浄工程の簡略化及び廃棄物処理負荷の低減などの点から、加工液の水系化が積極的に進められており、非水溶性切削油、有機成分含有量の高い油性スラリーの代替品として、水溶性切削液、更に有機成分含有量の低い水性スラリーの開発が強く望まれている。
通常、水性スラリーは、油性スラリーに比べて分散性が低く、砥粒の沈降堆積乃至凝結固化する傾向が強いという欠点を有している。これを防止するためには、スラリーの常時攪拌が必要とされる。また、一旦凝結固化した砥粒を再び完全に解砕・最分散させることが難しく、結果としてスラリー中の砥粒懸濁量が減少し、粘度の変動により切削特性を低下させる。従って、水性スラリーにあっては、砥粒の分散性及び凝結固化防止性が、重要視される特性である。特に、被加工材の大口径化に伴って研削加工時間が長くなる傾向を考慮すると、砥粒の分散性及び凝結固化防止性が長時間にわたって高位に保つことが求められる。また、水溶性高分子を添加したスラリーの場合は、機械剪断力の作用により、粘度を安定に保持できないという致命的な欠点を有している。
非水溶性切削油の代替品として水溶性の砥粒分散媒が種々提案されている。例えば、特許文献5は、低分子量の多価アルコール系化合物を分散媒の主体とした水性組成物を提案している。該公報は、水性切削液を非引火性とならしめるために一定量の水分を含有させており、さらに切削液の性能を発揮させるために、多価アルコール系有機成分を50〜95重量%添加する必要があった。また、該公報は、低分子量の多価アルコールが高い安全性及び生分解性を有することを主張しているが、有機成分の含有量は多い限り、結局は使用後の廃棄処理にコストかかり、環境への負荷も大である。特許文献6は、低分子系多価アルコール及び/又は多価アルコール誘導体を主成分とした水性研削液を提案している。しかし、有機成分の含有量が70重量%以上と多く、使用後廃棄処理の負荷並びに環境への悪影響は依然として大きいものである。
有機成分含有量の少ない水溶性ポリマー添加系の切削加工液も公知であるが、添加された水溶性ポリマーは、ワイヤーの切削部位における剪断力及びスラリーの攪拌循環送液過程における剪断力の2重作用を受けて、主鎖の断裂劣化が起こり、スラリーの粘度が加工時間の経過と共に低下し続け、場合によって殆ど粘性を失うほどに低下してしまうことが問題とされている。特許文献7には、種々の水溶性ポリマーを増粘剤とした切削用懸濁液を開示しているが、砥粒に対する懸濁液の分散性及び加工中の粘度安定性について全く言及しておらず、必ずしも加工性能を満足できるものとは言い難い。また、特許文献8には、加工液の粘度低下を抑止するために、分子量の異なる水溶性ポリマーを一定比例で配合添加した水溶性加工液を提案している。しかしながら、該公報は、砥粒の分散安定性及び凝結固化防止性に全く言及しておらず、粘度安定性も十分とは言い難く、加工性能も必ずしも満足できるものとは言い難い。
特開平4−88097号公報 特開平6−264087号公報 特開平10−130635号公報 特開平11−100590号公報 特開平11−302681号公報 特開2000−327838号公報 特開平7−331229号公報 特開2003−55684号公報
本発明の目的は、上述した従来の非水溶性切削油を用いる際の引火の危険性や、被切断品洗浄工程における塩素系有機溶剤の使用に伴う毒性や環境保全などの諸問題、及び有機成分多量含有水性切削液の様々な問題点を解決し、切削加工性能が優れると共に、粘度安定性の達成と、有機成分配合量の低減とを両立できる新規な水性切削液、水性スラリー、及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法を提供することである。
本発明者は、遊離砥粒を用いるワイヤソーやバンドソーによる硬脆性難削材料の切断加工に使用される水性切削液について鋭意研究を重ねた結果、アミド結合を有する水溶性ポリマーと活性化水素を持つポリマーを主体とした水溶液を用いることにより、スラリーの粘度安定性、砥粒の分散性、砥粒の凝結固化防止性など切削加工性能が長時間に亘って高位に保ち、且つ有機成分の含有量をも大きく低減できる水性切削液を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(1)(式中、R は水素原子、メチル基又はエチル基を、R はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を、R 、R は水素原子又はメチル基を表し、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、mは正数、nは0又は正数であり、m/(m+n)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
(2)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構成単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(2)(式中、R 、R は水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
(3)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの分子量が、5,000〜5,000,000である、上記(1)又は(2)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(4)アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの配合量が、水性切削液の総量に対して0.05〜20重量%である、上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(5)添加助剤として、分散剤、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤を含むことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(6)添加助剤の配合量が、水性切削液の総量に対して0.2〜10重量%である、上記(5)記載の砥粒分散用水性切削液。
(7)分散剤が、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(8)防錆剤が、燐酸塩、タングステン酸塩、モリブテン酸塩、安息香酸塩からなる無機酸塩又は有機酸塩の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(9)防錆剤が、アミン化合物、アルカノールアミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物からなる有機化合物群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(10)潤滑剤が、アルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステル化合物からなる流体用潤滑剤の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)記載の砥粒分散用水性切削液。
(11)潤滑剤が、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、有機金属系極圧剤、硫黄・燐・金属複合系極圧剤の群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(12)消泡剤が、末端に水酸基又はアルキル鎖を持つポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型2元共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのブロック型3元共重合体又はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型3元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上である、上記(5)又は(6)に記載の砥粒分散用水性切削液。
(13)砥粒分散用水性切削液の粘度が、30〜100mPa・sである、上記(1)〜(12)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(14)砥粒分散用水性切削液のpHが6〜12.5の範囲内に調整されたものである、上記(1)〜(13)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液。
(15)上記(1)〜(14)のいずれか一に記載の砥粒分散用水性切削液に砥粒を分散させることを特徴とする水性スラリー。
(16)砥粒の添加量が、砥粒分散用水性切削液に対して、70〜120重量%である、上記(15)記載の水性スラリー。
(17)水性スラリーの粘度が、50〜450mPa・sである、上記(15)又は(16)に記載の水性スラリー。
(18)水性スラリーのpHが、6〜12.5の範囲内に制御されたものである、上記(15)〜(17)のいずれか一に記載の水性スラリー。
(19)上記(15)〜(18)のいずれか一に記載の水性スラリーを用い、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーにより硬脆性難削材料をスライスすることを特徴とする、硬脆性難削材料の切断方法、
を提供するものである。
Figure 0004012134
Figure 0004012134
本発明による砥粒分散用水性切削液は、従来の水性スラリーに期待できない、非水溶性油性スラリーに匹敵する研削性能を呈し、無臭で且つ有機成分の含有量が少ないのみならず、加工後塩素系有機溶剤によるウェハーの洗浄が不要となり、作業環境や地球環境へのインパクトを与えないという特徴を有している。
また、本発明の水性スラリーによれば、加工時の粘度安定性が優れると共に、切削屑の混入による粘度変化も少なく、切削液として長寿命であり、水性スラリーの交換頻度を下げながらも安定した加工品質を達成でき、切削加工の経済性、信頼性、運転管理性、環境保全性を改善することができ、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーによる硬脆性難削材料インゴット又はブロックの切断加工に好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマー(以下、アミド系水溶性ポリマーをいう)と、活性化水素を持つポリマーを主体とし、砥粒の分散剤を配合し、更に必要に応じて、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤などを複合添加してなる砥粒分散用水性切削液である。
本発明に使用されるアミド系水溶性ポリマーと活性化水素を持つポリマーと各種添加助剤の組成、配合量並びにそれぞれの効能について説明する。
本発明に使用されるアミド系水溶性ポリマーは、水性切削液の有機成分含有量を低減させるための増粘剤であり、切削加工液の経時粘度安定性を達成すると共に、砥粒の凝結固化防止に効果を発揮する一成分であり、アルキル置換アクリルアミドのホモポリマー、これらのモノマーとアニオン性ビニルモノマーとのコポリマーの群から選択される少なくとも1種以上のホモポリマー及び/又は1種以上のコポリマーで構成される。
用いられるアルキル置換アクリルアミドモノマーとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン等を例示することができる。これらのビニルモノマーは、単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
これらのビニルモノマーの割合は、ポリマー中の構成ビニルモノマーの総量に対して、50モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、95モル%以上が更に好ましい。これらのビニルモノマーの割合が50モル%未満の場合には、加工中切削液の粘度安定性が著しく低下し、砥粒の凝結固化を防止できなくなり、安定した加工性能を発揮できない。
また、アニオン性ビニルモノマーは、アミド系水溶性ポリマーとその他成分との相溶性を改善すると共に、アミド系水溶性ポリマー自体の分散効果を向上させるための成分であり、具体的には、(メタ)アクリル酸塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、アクリルアミドエチルスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、メタアリルスルホン酸塩、ビニルホスホン酸塩などのアニオン性ビニルモノマー、アミノ酸塩を含むアクリルアミド誘導体などが挙げられる。これらのイオン性ビニルモノマーは、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
これらのアニオン性ビニルモノマーのうち、特に性能と安価性を考慮すると、アクリル酸塩とスルホン酸塩型のビニルモノマーが好ましく、アクリル酸塩型のビニルモノマーがより好ましい。
アミド系水溶性ポリマーとしては、一般式(1)(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を、Rはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を、R、Rは水素原子又はメチル基を表し、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、mは正数、nは0又は正数であり、m/(m+n)=0.5〜1の値である。)、
あるいは一般式(2)(式中、R、Rは水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表されるポリマーを用いる
Figure 0004012134
Figure 0004012134
アミド系水溶性ポリマーは、その重量平均分子量が5,000〜5,000,000を有することが好ましく、10,000〜2,500,000を有することがより好ましく、50,000〜1,000,000を有することが更に好ましい。重量平均分子量が5,000未満の場合は、十分な増粘効果を発揮できず、所要粘度に調製するために、アミド系水溶性ポリマーの添加量が多くなり、有機成分含有量の少ない水性切削液を達成できない。逆に、重量平均分子量が5,000,000を超えると、加工時水性切削液の粘度安定性が著しく低下してしまい、極端な場合は加工を継続できなくなることもある。
アミド系水溶性ポリマーの添加量は、その共重合組成、重量平均分子量の大小、添加助剤の種類と配合量、並びに水性切削液の所要粘度によって異なるが、主として水性切削液に対して、0.05〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、1.0〜10重量%が更に好ましい。添加量が0.05重量%未満の場合は、所要粘度に合わせるために、高分子量のポリマーの添加が必要となり、加工時剪断力によるポリマー主鎖の断裂に起因する水溶性切削剤の粘度が著しく低下し、加工初期と加工後期の切削性能を異ならせ、シリコンインゴットから切り出したウェハーの厚み、反り、面状態(面粗度、平面度)等に悪影響を与えてしまう。逆に、20重量%を超えると、加工液中に有機成分含有量が増え、ひいては使用後その廃棄処分に伴って環境負荷が大きくなるばかりでなく、経済的な観点からも望ましくないことである。
上記ホモポリマー又はコポリマーは、通常ラジカル重合によって容易に製造できる。ビニルモノマーの重合を開始する方法としては、ラジカル重合開始剤を用いた熱又は光によるラジカル重合法、放射線重合法、電子線重合法、紫外線重合法等が挙げられ、また、重合方法としては、溶液重合法、沈殿重合法、逆相懸濁重合法、逆相エマルション重合法等が挙げられるが、通常、熱によるラジカル重合法のうち溶液重合法を使用することが好ましい。更に、重合は、攪拌しながら行ってもよく、静置状態で行ってもよい。
重合開始剤としてはラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−041)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−044)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩(VA−046B)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−058)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩(VA−060)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(VA−50)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン](VA−057)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(VA−080)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}(VA−085)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086)等の水溶性アゾ系化合物(熱分解型ラジカル重合開始剤)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
また、これらのラジカル重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合せることによりレドックス型開始剤(酸化還元型ラジカル重合開始剤)とすることもできる。還元剤としては、具体的には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)等の複合型還元性化合物、ハイドロサルファイトナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなど還元性化合物、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。更に、これらのレドックス型重合開始剤とアゾ系重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
本発明に使用される活性化水素を持つポリマーは、アミド系水溶性ポリマーとの間に水素結合を形成でき、この水素結合の相互作用により、砥粒の表面並びに水性切削液中でミクロン状のゲル微粒子を形成させ、たとえ陰電荷二重層の排斥力を上回る荷重が発生しても、砥粒の粒子間にミクロン状のゲル微粒子が介在される形で堆積が進行するため、砥粒同士が密に接触することなく、凝結固化状態を防止できるものである。
活性化水素を持つポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物の群から選択される少なくとも1種以上のものであり、具体的には、ポリエチレンイミン系のものとしては、エポミンSP−003、SP−006、SP−012、SP−018、SP−200、SP−103、SP−110、P−1000(いずれも日本触媒社製)などが、ポリビニルアルコール系のものとしては、完全鹸化品、準完全鹸化品、部分鹸化品、カルボキシル基変性品、スルホン酸変性品、グリコール変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
これらの活性化水素を持つポリマーは、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
これらの活性化水素を持つポリマーのうち、安定性と安価性を考慮すると、ポリビニルアルコール及びその変性物が好ましく、更に溶解性と相溶性を考慮すると、アニオン変性品のうち、カルボキシ変性品、スルホン酸変性品がより好ましい。
上記活性化水素を持つポリマーの添加量は、砥粒分散用水性切削液の全体に対して、0.1〜3重量%が好ましく、0.2〜2重量%がより好ましく、0.4〜1重量%が更に好ましい。添加量が0.1重量%未満では、ミクロン状のゲル微粒子を形成せず、凝結固化防止効果が不十分となる場合があり、添加量が3重量%を超えると、これらの活性化水素を持つポリマーとその他の成分との相溶性が著しく悪化し、析出物が発生するといった問題が生ずる。
本発明の水性切削液は、必要に応じて従来公知の分散剤、潤滑剤、防錆剤、消泡剤、pH緩衝剤など各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、水性切削液の全体に対する合計使用量が0.05〜5%となる範囲で使用することが好ましい。以下にこれらの添加剤について説明する。
本発明の水性切削液に使用される分散剤は、固体粒子即ち砥粒の表面に吸着して各粒子間に陰電荷二重層を形成し、その排斥力の働きにより、個々の砥粒の沈降や凝集を防止し、安定なサスペンション状態を形成させるための薬剤であり、ポリ(メタ)アクリル酸塩(アンモニウム塩、アルカノールアミン中和塩等)、ポリスルホン酸塩、又はアニオン変性ポリビニルアルコールが好適に使用できる。これらのアニオン性分散剤は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これらのアニオン性分散剤のうち、特に性能と安価性を考慮すると、ポリアクリル酸塩が好ましい。
上記分散剤の添加量は、水性切削液の全体に対して、0.05〜2重量%が好ましく、0.1〜1.5重量%がより好ましく、0.2〜1重量%が更に好ましい。添加量が0.05重量%未満の場合は、十分な分散効果を発揮できず、添加量が2重量%を超えると、分散性の向上効果が見られず、原料コストが増大するため好ましくない。
上記分散剤の添加によって、砥粒の沈降速度は確かに遅いが、一般に、長時間静置中砥粒の堆積過程では、互いに密に接触して陰電荷二重層の排斥力を上回る荷重で圧縮され、凝結固化状態を形成してしまう。凝結固化状態が一旦形成されると、元と同じ状態に再分散させることは極めて困難である。このような沈殿物を生じた切削液を長時間攪拌しても、砥粒濃度が低い状態のままであり、切削性能の低下を来たす。また、スラリーの供給系統において、配管詰まりを起こしたり、機械異常摩耗を生じるなどの問題もある。
本発明においては、上述した活性化水素を持つポリマーを併用することにより、分散剤の利点を生かしつつ、凝結固化を防止することができる。
本発明で用いられる潤滑剤は、インゴットやブロックを円滑に切断できるように、摩擦力を低減させ、加工効率を高める目的で含有させるものであり、吸着膜形成型潤滑剤及び化学反応誘起型潤滑剤に大別することができる。
1)吸着膜形成型潤滑剤は、具体的に例えばアルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステルなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。これらの潤滑剤のうち、高級アルコール、高級脂肪酸塩が好ましく、高級脂肪酸塩がより好ましい。好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜0.5重量%である。添加量が0.01重量%未満では、潤滑効果が不十分となる場合があり、添加量が0.5重量%を超えると、切削液を循環使用する際に泡が発生しやすくなり、場合によって加工を継続できないこともある。
2)化学反応誘起型潤滑剤は、具体的に例えば、トリブチルフォスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイトなどの亜燐酸エステル類化合物、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、ジラウリルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート(JP−504)、ブトキシエチルアシッドホスフェート(JP−506H)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP−508)、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート(LB−58)、エチレングリコールアシッドホスフェート(EGAP)などの燐酸エステル類化合物、亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート、モリブデンジアルキルジチオフォスフェート、亜鉛ジアルキルジチオカルバメート、モリブデンジアルキルジチオカルバメートなどの複合系化合物、エチルジエチルホスホノアセテート、ジベンジルサルファイト、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、硫化脂肪酸、ジアルキルポリスルフィド、二硫化モリブデン、グラファイトなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの潤滑剤は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を併用してもよい。水溶性並びに安定性を考慮すると、これらの潤滑剤のうち、燐酸エステル類化合物、硫化脂肪酸が好ましい。これらの化学反応誘起型潤滑剤は、上記1)の吸着膜形成型潤滑剤と併用してもよい。
好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜2重量%である。添加量が0.01重量%未満では、潤滑効果が不十分となる場合があり、添加量が2重量%を超えても、潤滑性の効果向上が見られないのみならず、原料コストが増大するため好ましくない。
防錆剤は、本発明の水性切削液をワイヤソー又はバンドソーによるインゴットやブロックの切断に用いる場合において、ワイヤソー機械又はバンドソー機械の鉄製部分及びワイヤー又はバンドの鍍金金属を防錆する目的で使用される。具体的に、例えば燐酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜硝酸塩、安息香酸塩、p−t−ブチル安息香酸塩、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン化合物、アルキルアミン化合物、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、1,2,3−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの防錆剤のうち、アルカノールアミン化合物、1,2,3−ベンゾトリアゾールが好ましい。好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜1重量%である。
消泡剤は、ワイヤソー又はバンドソーによるインゴットやブロックの切断加工中における泡の発生を抑止するための添加剤である。本発明の水性切削液に使用される消泡剤は、曇点を有することを特徴とし、曇点以下において冷水可溶なものである。具体的に、例えば、末端水酸基を有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−エチレンオキサイドのブロック型オリゴマー、末端水酸基を有するプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック型オリゴマー、エチレンジアミンをベースとしたプロピレンオキサイド−エチレンオキサイドのブロック型オリゴマー、末端アルキル鎖を持つエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加型オリゴマーなどが挙げられる。これらの消泡剤の選定について、曇点が加工温度より3〜15℃低いものが好ましく、5〜10℃低いものがより好ましい。好ましい使用量は、水性切削液の全体に対して0.01〜0.5重量%である。添加量が0.01重量%未満では、十分な消泡効果を発揮できない恐れがあり、添加量が0.5重量%を超えると、消泡効果の向上が見られず、溶解性が悪くなるばかりでなく、原料コストも増大するため好ましくない。
本発明の砥粒分散用水性切削液の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば脱イオン水に、アミド系水溶性ポリマー、活性水素を有するポリマー、必要に応じて、防錆剤、pH緩衝剤、潤滑剤、分散剤、消泡剤を順次それぞれを所定量加えて混合することにより得られる。また、本発明の水性切削液には、上記以外の添加剤を更に加えることもできる。
本発明の水性切削液は、アミド系水溶性ポリマーの配合量を調整することにより、30〜100mPa・sの粘度範囲に制御することが好ましい。
本発明の水性切削液は、pHが6〜12.5の範囲に調整することが望ましい。pH調整は、pH緩衝剤を添加することにより実施される。
用いられるpH緩衝剤としては、具体的に、例えば、従来公知のpH緩衝剤、四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム/水酸化ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム/クエン酸、硼酸/クエン酸/燐酸三ナトリウムなどを配合することができる。上記pH緩衝剤のうち、四硼酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム/メタ珪酸ナトリウムが好ましく、四硼酸ナトリウム/メタ珪酸ナトリウムがより好ましい。好ましい添加量は、水性切削液の全体に対して0.01〜1重量%である。添加量が0.01重量%未満では、十分な緩衝効果を発揮できない場合があり、添加量が1重量%を超えると、その他の添加剤が析出しやすくなる。
pH緩衝剤は、水性切削液のpHを安定化させるとともに、加工性能の安定性を高め、特にpH10以上のアルカリ性領域においては、防錆剤の一助となるものである。
本発明では、水性切削剤に、例えばSiCなどからなる砥粒を所定量添加混合して均一に分散させた、水性スラリーが提供される。
本発明の水性スラリーに使用される砥粒は、好適には、金属又は半金属の無機硬質物質が使用される。具体的に、例えば、ダイヤモンド、炭化珪素、炭化硼素、炭化チタン、窒化チタン、窒化珪素、二酸化珪素酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化鉄などが挙げられるが、特に限定されるものではない。シリコンインゴットの切断加工には、炭化珪素が特に好ましい。
砥粒の平均粒子径は通常40μm以下であり、好ましくは、5〜30μmである。
これらの砥粒の配合量は、加工条件に合わせて主に70〜120重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましい。砥粒の添加量は、70重量%未満の場合、加工速度が遅く、加工効率が低下してしまう。一方、砥粒の添加量は、120重量%を超えると、水性スラリーの粘度が高くなりすぎて、ポンプによる送液が不能になったり、ノズルから加工部位への供給が困難である。
本発明の水性スラリーは、水性切削液の初期粘度及び砥粒の配合量を変えることにより、50〜450mPa・sの粘度範囲に制御することが好ましい。
ワイヤソーを用いたシリコンインゴットの切断には、80〜300mPa・sが好ましく、100〜230mPa・sがより好ましい。
本発明の水性スラリーは、砥粒の沈降や堆積による凝結固化の発生がなく、加工中スラリーの粘度や密度が安定に保持され、従来の油性スラリーに匹敵する切削特性を呈し、加工後ウェハーの洗浄も水洗のみで良いため、有機系洗浄廃液は一切発生しない。更に、有機成分含有量が少ないため、環境に与える影響も少ない。
本発明では、更に、上記水性スラリーを用いた、ワイヤソー又はバンドソーにより硬脆性難削材料をスライスする、硬脆性難削材料の切断方法が提供される。
用いられる被削材料としては、全ての硬脆性難削材料が対象となるが、シリコン単結晶や多結晶のインゴット、水晶、硬質ガラス、セラミックス、化合物半導体などが挙げられ、特に好ましいのは、シリコンインゴットである。
また、本発明の硬脆性材料の切断方法において使用される切断装置としては、通常の切断装置が使用可能であるが、好ましい切断装置としては例えば、ワイヤソーやバンドソー、これらを多重化したマルチワイヤソーやマルチバンドソーが挙げられる。シリコンインゴットの切断加工には、特に口径が200mm以上の場合、マルチワイヤソーがより好ましい。
以下、アミド系水溶性ポリマーの合成例、水性切削液並びに水性スラリーの製造例、及び切削加工実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
合成例1:アミド系水溶性ポリマー1−1の合成
1L容量のセパラブルフラスコにN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、0℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を1.566g、ロンガリットの5重量%水溶液を0.746g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を0.436g順次投入し、0℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む透明ゲル状のポリマー1−1を得た。
合成例2:アミド系水溶性ポリマー1−2の合成
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を3.914g、ロンガリットの10重量%水溶液を2.798g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を3.273g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む水あめ状のポリマー1−2を得た。
合成例3:アミド系水溶性ポリマー1−3の合成
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を3.914g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を3.779g、tert−ブチルヒドロペルオキシド(t−BHPO)の5重量%水溶液を3.273g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー1−3の水溶液を得た。
合成例4:アミド系水溶性ポリマー2−1の合成
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、アクリル酸(AAc)8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を0℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を1.722g、ロンガリットの5重量%水溶液を0.821g、t−BHPOの5重量%水溶液を0.480g順次投入し、0℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む透明ゲル状のポリマー2−1を得た。
合成例5:アミド系水溶性ポリマー2−2の合成
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、AAc8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を4.305g、ロンガリットの10重量%水溶液を3.078g、t−BHPOの5重量%水溶液を3.600g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、85重量%の水を含む水あめ状のポリマー2−2を得た。
合成例6:アミド系水溶性ポリマー2−3の合成
1L容量のセパラブルフラスコにDMAA120g、AAc8.723g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を4.305g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を4.157g、t−BHPOの5重量%水溶液を3.600g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー2−3の水溶液を得た。
合成例7:アミド系水溶性ポリマー3−1の合成
1L容量のセパラブルフラスコにN−アクリロイルモルホリン(ACMO)120g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の硫酸水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補填した。そして、モノマー調製液を、20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、重合開始剤としてVA−044の5重量%水溶液を2.748g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を2.654g、t−BHPOの5重量%水溶液を2.298g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー3−1の水溶液を得た。
合成例8:アミド系水溶性ポリマー3−2の合成
1L容量のセパラブルフラスコにACMO120g、AAc6.125g、脱イオン水600gを加えて、攪拌しながら5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、溶液のpHを7.30に合わせ、中和操作を行った後、モノマー水溶液の濃度が15重量%になるように、脱イオン水を補充した。モノマー調製液を20℃の恒温槽に入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら窒素ガスをバブリングし、1時間通気した。そこで、VA−044の5重量%水溶液を3.023g、亜硫酸水素ナトリウムの5重量%水溶液を2.919g、t−BHPOの5重量%水溶液を2.528g順次投入し、20℃にて重合反応を開始させた。5分後、攪拌並びに窒素ガスの通気を止め、密閉状態で室温下16時間重合反応を続けた後、流動性のあるポリマー3−2の水溶液を得た。
前記アミド系水溶性ポリマー1−1〜3−2の組成、重合開始温度及び重量平均分子量を表1に纏めた。
Figure 0004012134
実施例1:水性切削液の製造
脱イオン水99.54重量部に、2.11重量部のアミド系水溶性ポリマー1−2を添加して攪拌溶解させた後、防錆剤としてジエタノールアミン0.2重量部、1,2,3−ベンゾトリアゾール0.02重量部、及び安息香酸ナトリウム0.1重量部を添加溶解した。次に、pH緩衝剤並びに防錆助剤として四硼酸ナトリウム0.25重量部及びメタ珪酸ナトリウム0.28重量部を加え、十分に攪拌混合し、透明な水溶液を得た。これに潤滑剤としてオレイン酸トリエタノールアミン中和塩0.2重量部及びエチレングリコールアシッドホスフェートEGAP(城北化学工業社製)のトリエタノールアミン中和塩1重量部を添加して攪拌溶解させ、分散剤としてポリアクリル酸塩のジュリマーAC−10N(日本純薬社製)1.2重量部を、活性化水素を持つポリマーとしてスルホン酸変性ポリビニルアルコールのゴーセランL−3266(日本合成化学社製)1.0重量部を、それぞれ添加溶解した。次いで、消泡剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック型オリゴマー0.1重量部(第一工業製薬社製のエパン720と旭電化工業社製のアデカプルロニックL−62、各0.05重量部)を添加し、混合して本発明の水性切削液A1を製造した。
得られた水性切削液A1は、25℃における粘度が44.8mPa・s、25℃におけるpHが10.87であった。
これらの結果を表2に纏めた。
実施例2〜8:水性切削液の製造
表2に示す組成と割合に変更した以外は、実施例1と同様に実施することにより、水性切削液A2〜A8を製造した。
得られた水性切削液A2〜A8の粘度、pH、及び溶解性を水性切削液A1と同様に測定した。
それらの結果を表2に纏めた。
Figure 0004012134
比較例1〜2
油系非水溶性切削液の市販品X及びグリコール系水性切削液の市販品Yの主な組成並びに物性を表3に記す。
Figure 0004012134
上記結果から明らかなように本発明の水性切削液は、従来油系切削液及びグリコール系切削液に比べて、有機成分が驚くほど少ないものである。また、水溶性も優れており、引火の危険性がないことが分かる。
実施例9〜14
実施例1〜6に記載の水性切削液A1〜A6に対し、一定量の砥粒(炭化珪素SiC、商品名GC#1000、平均粒子径11.5μm、フジミインコーポレーテッド社製)を添加混合して攪拌分散させ、本発明の水性スラリーB1〜B6を製造した。それぞれの組成及び物性を表4に纏めた。
Figure 0004012134
比較例3〜6
上記水性スラリーと同様にして、実施例7、8に記載の水性切削液A7、A8及び比較例1、2に記載の切削液X、Yを用いて、スラリーB7〜B10を調製した。それぞれの組成及び物性を表4に纏めた。
なお、表4に記載した評価は、以下の方法により行った。
(1)分散性試験:本試験は、砥粒の分散安定性を評価したものである。
実験条件
1)前記調合したスラリーB1〜B10を23±0.5℃に調整する。
2)スラリーB1〜B10各100mLを100mLのメスシリンダーに正確に取る。
3)23±0.5℃の恒温室に放置する。
4)初期全量に対して、6時間目における砥粒(GC#1000)含有層の体積割合を算出し、分散性を評価する。
分散性の評価は下記に示す基準に従って行った。
分散性 ◎ 体積割合85%以上
○ 体積割合80%以上〜85%未満
△ 体積割合75%以上〜80%未満
× 体積割合75%未満
(2)砥粒堆積硬化試験:本試験は、砥粒の凝結固化防止効果を評価したものである。
前記分散性試験で、砥粒GC#1000が完全に沈降した後、メスシリンダーの底部に硬い堆積物の形成有無を確認する。即ち、先端半球状、直径8mm、重さ25gの硝子棒を用いて、スラリーの上部端面から自由落下させ、硝子棒がスラリーを通過する時間を計測し、砥粒の凝結固化防止効果を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
◎ 5秒未満
○ 5秒以上〜30秒未満
△ 30秒以上〜60秒未満
× 60秒以上
(3)再分散性試験:本試験は、沈降後の砥粒の再分散性を評価したものである。
実験条件:
1)23±0.5℃に調整したスラリーB1〜B10各300mLを300mL容量のトールビーカーに正確に取る。
2)23±0.5℃の恒温室に放置する。
3)砥粒が完全に沈降した後、スラリーの上部端面より5cm離れた高さにを直径4cmの4枚攪拌羽根を用いて、100rpmの回転速度で攪拌し、トールビーカー底部の堆積スラリーがなくなるまでの時間を読み取り、再分散性を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
◎ 5分未満
○ 5分以上〜10分未満
△ 10分以上〜30分未満
× 30分以上
(4)粘度安定性試験(1):本試験は、剪断力によるスラリーの粘度安定性を評価したものである。
実験条件:
1)23±0.5℃に調整したスラリーB1〜B10各300gを300mL容量のトールビーカーに正確に取る。
2)23±0.5℃の循環型恒温槽に設置する。
3)ホモミキサー(特殊機化工業社製、MARK IIf型)を用いて10000rpmの回転数にて2時間攪拌し、23℃における攪拌前後の粘度変化率を求め、剪断力に対するスラリーの粘度安定性を評価した。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。なお、数値は粘度変化率を示す。
◎ 10%未満
○ 10%以上〜20%未満
△ 20%以上〜30%未満
× 30%以上
(5)ウェハー加工精度試験:本試験は、マルチワイヤソー装置(機械名:MWM454、日平トヤマ社製)により下記表5に示す条件でシリコン単結晶インゴットの切断加工を行い、切断されたウェハーの加工精度を評価したものである。
Figure 0004012134
評価項目:
1)WARP:反り量(凹凸状に変形したウェハーの中央部と外周部の高低差の最大値)
2)TTV:平坦度(厚さの最大値と最小値との差)
測定は、ウェハー1枚につき9点(中心部1点、ウェハーを同孤度で8分割した時、外縁より1cm離れた位置8点)、10枚で行い、その平均値を結果とした。
(6)粘度安定性試験(2):本試験は、マルチワイヤソーによる切削加工時の粘度安定性を評価するために、前記のウェハー加工精度試験における切削前後のスラリーの粘度(23℃)を測定したものである。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。なお、数値は粘度変化幅を示す。
◎ 5mPa・s未満
○ 5mPa・s以上〜10mPa・s未満
△ 10mPa・s以上〜30mPa・s未満
× 30mPa・s以上
(7)pH安定性試験:本試験は、マルチワイヤソーによる切削加工時のpH安定性を評価するために、前記のウェハー加工精度試験における切削前後のスラリーのpH(23℃)を測定したものである。
(8)腐食性試験:本試験は、各々のスラリーの防錆性を評価するために、前記のウェハー加工精度試験を行った後、マルチワイヤソー装置の金属製部位に於ける錆の発生有無を観察したものである。
それぞれの評価は下記に示す基準に従って行った。
○ 錆発生無
× 錆発生有
以上の結果より、明らかなように、本発明の砥粒分散用水性切削液は、砥粒の分散性に優れ、砥粒の沈降が抑止され、水性切削液中に砥粒を安定に保持させることができる。また、砥粒が沈降しても凝結固化せず、沈殿後の砥粒の再分散も容易であり、機械運転停止時間の長い場合に好適であると共に、加工中粘度安定性が極めて優れており、また、従来の水性切削液を用いてシリコン単結晶等の硬脆性材料を切断した場合に生じやすいスライス品の反りやTTVを改善することができ、従来の不水溶性油系切削剤に匹敵する加工精度を実現することができる。
従って、硬脆性難削材料、シリコン単結晶や多結晶のインゴット、水晶、硬質ガラス、セラミックス、化合物半導体など、の、マルチワイヤソー又はバンドソーによる切断加工、特に連続加工又はシリコンウェハー等被加工材の大口径化に伴う長時間の切削加工に、好適に使用することができる。

Claims (19)

  1. アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(1)(式中、R は水素原子、メチル基又はエチル基を、R はメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を、R 、R は水素原子又はメチル基を表し、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、mは正数、nは0又は正数であり、m/(m+n)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
    Figure 0004012134
  2. アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーと、活性化水素を持つポリマーとを添加して得られる水性切削液であって、前記アミド結合の構成単位を有する水溶性ポリマーが、一般式(2)(式中、R 、R は水素原子又はメチル基を、Zはカルボン酸残基、スルホン酸残基、メチレンスルホン酸残基、燐酸残基、アミドアルキルスルホン酸残基又はアミドアルキルアンモニウム残基を表す。また、pは正数、qは0又は正数で、p/(p+q)=0.5〜1の値である。)で表わされるポリマーであり、前記活性化水素を持つポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、砥粒の分散性ならびに凝結固化防止性の優れた、砥粒分散用水性切削液。
    Figure 0004012134
  3. アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの分子量が、5,000〜5,000,000である、請求項1又は2に記載の砥粒分散用水性切削液。
  4. アミド結合の構造単位を有する水溶性ポリマーの配合量が、水性切削液の総量に対して0.05〜20重量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の砥粒分散用水性切削液。
  5. 添加助剤として、分散剤、防錆剤、潤滑剤、消泡剤、pH緩衝剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
  6. 添加助剤の配合量が、水性切削液の総量に対して0.2〜10重量%である、請求項5記載の砥粒分散用水性切削液。
  7. 分散剤が、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  8. 防錆剤が、燐酸塩、タングステン酸塩、モリブテン酸塩、安息香酸塩からなる無機酸塩又は有機酸塩の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  9. 防錆剤が、アミン化合物、アルカノールアミン化合物、ベンゾトリアゾール化合物からなる有機化合物群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  10. 潤滑剤が、アルキル鎖の炭素数が12以上の高級アルコール化合物、高級脂肪酸化合物、高級脂肪酸塩化合物、高級脂肪酸エステル化合物からなる流体用潤滑剤の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  11. 潤滑剤が、硫黄系極圧剤、燐系極圧剤、有機金属系極圧剤、硫黄・燐・金属複合系極圧剤の群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  12. 消泡剤が、末端に水酸基又はアルキル鎖を持つポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型2元共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのブロック型3元共重合体又はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのブロック型3元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上である、請求項5又は6記載の砥粒分散用水性切削液。
  13. 砥粒分散用水性切削液の粘度が、30〜100mPa・sである、請求項1乃至12のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
  14. 砥粒分散用水性切削液のpHが6〜12.5の範囲内に調整されたものである、請求項1乃至13のいずれか1項記載の砥粒分散用水性切削液。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の砥粒分散用水性切削液に砥粒を分散させることを特徴とする水性スラリー。
  16. 砥粒の添加量が、砥粒分散用水性切削液に対して、70〜120重量%である、請求項15記載の水性スラリー。
  17. 水性スラリーの粘度が、50〜450mPa・sである、請求項15又は16記載の水性スラリー。
  18. 水性スラリーのpHが、6〜12.5の範囲内に制御されたものである、請求項15乃至17のいずれか1項記載の水性スラリー。
  19. 請求項15乃至18のいずれか1項に記載の水性スラリーを用い、遊離砥粒を用いるワイヤソー又はバンドソーにより硬脆性難削材料をスライスすることを特徴とする、硬脆性難削材料の切断方法。
JP2003350312A 2003-10-09 2003-10-09 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法 Expired - Fee Related JP4012134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003350312A JP4012134B2 (ja) 2003-10-09 2003-10-09 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003350312A JP4012134B2 (ja) 2003-10-09 2003-10-09 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005113039A JP2005113039A (ja) 2005-04-28
JP4012134B2 true JP4012134B2 (ja) 2007-11-21

Family

ID=34541904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003350312A Expired - Fee Related JP4012134B2 (ja) 2003-10-09 2003-10-09 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4012134B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007152858A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Disco Abrasive Syst Ltd 高脆性材料の切削又は研削加工方法及び切り屑付着抑制剤
JP5378034B2 (ja) * 2008-05-19 2013-12-25 興人ホールディングス株式会社 水溶性加工油剤
JP5350839B2 (ja) * 2009-03-05 2013-11-27 出光興産株式会社 脆性材料用加工油および加工油組成物
US20120186571A1 (en) * 2009-10-16 2012-07-26 Linda Yi-Ping Zhu Aqueous Cutting Fluid for Use with a Diamond Wiresaw
CN102146315B (zh) * 2011-02-28 2013-01-09 上海通快实业有限公司 环保型准干切削液及其制备方法
CN106753733A (zh) * 2016-12-21 2017-05-31 河南易成新能源股份有限公司 纳米复合金刚石线锯切割液
CN107057802B (zh) * 2017-04-28 2020-12-25 泰伦特生物工程股份有限公司 一种含有bola型表面活性剂的玻璃磨削液及制备方法和使用方法
US20200318030A1 (en) * 2017-10-10 2020-10-08 Hydrant International Trading Co., Ltd. Fabrication fluids
CN108277077A (zh) * 2017-12-06 2018-07-13 清华大学天津高端装备研究院 一种高硬水防锈型水基全合成黑色金属加工液
CN109022109B (zh) * 2018-07-31 2021-05-28 东莞市凯盟表面处理技术开发有限公司 一种铜材防锈油、其制备方法及其应用
CN109097179A (zh) * 2018-09-21 2018-12-28 嘉兴顺诚精细化工有限公司 一种抗硬水型不溶油全合成水溶性金属加工切削液
CN111763558B (zh) * 2019-04-01 2022-09-06 江西中昱新材料科技有限公司 一种金刚线切割液及其制备方法和应用
CN111100748A (zh) * 2019-12-30 2020-05-05 安徽瑞泰汽车零部件有限责任公司 一种汽车零部件用抗腐蚀切削液及其制备方法
CN111267256A (zh) * 2020-02-20 2020-06-12 天津中环领先材料技术有限公司 一种改善大直径硅圆片表面纳米形貌的切割工艺
CN112198186A (zh) * 2020-07-28 2021-01-08 重庆安美新材料有限公司 一种切削液高温稳定性测试方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005113039A (ja) 2005-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4012134B2 (ja) 水性切削液、水性スラリー及びこれを用いる硬脆性難削材料の切断方法
EP2488619B1 (en) Aqueous cutting fluid for use with diamond wiresaw
EP2415853B1 (en) Working fluid for brittle and hard materials
JP5464055B2 (ja) 水性切削液及び水性切削剤
JP5539321B2 (ja) 安定な水性スラリー懸濁物
JP6283552B2 (ja) 水溶性金属加工油および金属加工用クーラント
JP5679642B2 (ja) 固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液
TWI521057B (zh) 固定研磨粒細線切割器用水溶性加工液
JP2022024064A (ja) 金属加工液
KR102548443B1 (ko) 수계 현탁액 및 이를 포함하는 절삭유제
TWI439542B (zh) Water-soluble cutting fluid composition for silicon cutting, water-soluble cutting fluid for silicon cutting, and cutting method using water-soluble cutting fluid for silicon cutting
KR100525973B1 (ko) 금속가공액
KR20120036796A (ko) 수성 절삭액 및 수성 절삭제
JP3947664B2 (ja) 水系潤滑剤
JP2015199840A (ja) 研磨用組成物
WO2015146909A1 (ja) 水溶性金属加工油および金属加工用クーラント
JP6744611B2 (ja) 研磨液
JPH11106778A (ja) 難燃性潤滑油組成物ならびにこれを用いた切削液および切断方法
JP6408236B2 (ja) 研磨組成物、及び該研磨組成物を用いた基板の研磨方法
CN105713714A (zh) 一种用于金刚砂线切割硅片的水性切割液
JP4915736B2 (ja) 加工速度向上剤及び該加工速度向上剤を含有した水溶性研磨・研削加工液
JP7038794B2 (ja) 潤滑剤組成物
EP1444313A2 (fr) Procede de travail ou mise en forme des metaux en presence de lubrifiants aqueux a base d'acide methanesulfonique (ams)
JP2005126730A (ja) 高性能水溶性金属加工油剤を用いた金属製品の製造方法
JP5408639B2 (ja) 含水性スライシング用加工液組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070906

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees