JP4011381B2 - 形彫放電加工における加工条件の設定方法および形彫放電加工装置の数値制御電源装置 - Google Patents
形彫放電加工における加工条件の設定方法および形彫放電加工装置の数値制御電源装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業者が入力するいくつかの設定値に基づいて作業者が期待する結果に適する加工条件を設定する加工条件の設定方法および形彫放電加工装置の数値制御電源装置に関し、特に、工具電極の少なくとも加工深さ位置に対する放電面積を基準として加工条件を選定する加工条件の設定方法および形彫放電加工装置の数値制御電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電加工は、工具電極と被加工物とを対向配置させ、工具電極と被加工物とで形成される加工間隙に間欠的に繰返し発生する放電にともなって生じるエネルギを利用して被加工物に所望の形状を形成する加工方法である。このような性質上、放電加工においては、放電電流のピーク電流値、パルス幅、休止時間などの電気的な加工条件によって加工速度、加工面粗度、加工形状精度、工具電極の消耗のような加工特性が大きく左右される。放電エネルギは加工環境の変化による影響を受けやすいのでばらつきが生じやすく、同一の電気的な加工条件において同一の加工結果を得ることが難しいので、放電加工は切削加工のような他の金属加工に比べて加工条件の設定の作業がより困難である。そのため、優れた加工結果を得るためには、作業者は放電加工に精通する高い習熟度が要求される。
【0003】
各放電毎のエネルギの大きさを左右するのは各放電毎の放電電流値であり、単純に言えば、放電痕の大きさと除去される材料の量は、放電加工に寄与している放電電流すなわち加工電流の大きさに密接に関係している。また、放電電流パルスの波形が加工特性に重要な影響を及ぼすことが知られている。また、放電加工を各放電の繰返しによって最終的に所要の材料を除去するものとみなすと、単位時間に放電加工に供されるエネルギの総量は単位時間内の放電電流パルスの数、言い換えれば、繰返し周波数に依存している。それゆえ、加工電流値に関する加工条件が加工特性に最も影響を与えるといえ、加工電流値に関する加工条件を基準にして他の加工条件が設定されるのが一般的である。
【0004】
加工電流値が相対的に大きい値である場合、1回の材料の除去量は比較的多く休止時間が同じであるならば加工速度が速くなり、各放電痕のサイズが大きく加工面粗度は比較的粗い。また、休止時間が相対的に短い場合、繰返し周波数が高く各放電電流パルス毎の加工電流値が同じであるならば加工速度が速くなる。このとき、単発の放電エネルギと放電電流パルスの繰返し周波数が同じでも放電面積や放電電流パルスの波形で加工特性は異なる。もっとも、最終的に期待される加工速度と仕上面粗度は相反する関係にあるとともに要求される加工面粗度は放電加工される製品の用途などによって異なるので、加工速度が速いか遅いか、あるいは加工面粗度が粗いか細かいかは相対的な値であって、適切に電気的な加工条件が設定されているかどうかは、要求される加工特性によって異なる。
【0005】
また、形彫放電加工では、放電加工における特徴の1つとして工具電極が消耗するということを考慮する必要がある。総型の工具電極を用いて被加工物に工具電極の形状を転写する加工形態であるとき、特に、製品に底面が存在する底付き加工あるいは段差が存在する段付き加工のときで比較的複雑な形状の加工をするときは、工具電極が消耗することによって消耗した工具電極の形状が転写されることになり、最終的に所望の加工形状精度が得られないことが多い。
【0006】
そのため、形彫放電加工では、しばしば、1つの放電加工のプロセスを複数の加工工程に分けて放電加工するようにされている。この放電加工方法では、最初は比較的大きいエネルギで加工面粗度は粗いが加工速度が速い放電加工をし、各加工工程におけるエネルギを段階的に小さくしていき、最後は比較的小さいエネルギで加工面粗度が細かいが加工速度が遅い放電加工をする。主に加工速度を重視して比較的大きいエネルギで加工する加工工程は荒加工、仕上面粗度を重視して比較的小さいエネルギで加工する加工工程は仕上加工、最終加工工程で目的の仕上面あらさを得るために加工面粗度を揃えていく加工工程は中加工ないし中仕上加工と呼ばれているが、各加工工程の加工電流や加工面粗度の値の範囲は必ずしも明確ではない。したがって、本発明においては、加工条件の大きさによらず、最初の加工工程を荒加工、最終の加工工程を仕上加工、それ以外の中間の加工工程を全て中加工と呼ぶことにする。
【0007】
このように、いくつかの加工工程に分けて放電加工する場合、放電加工が進行するにつれて加工穴が大きくなり、あるいは工具電極が消耗して加工間隙が拡大する一方で、各加工工程における設定された加工電流値は段階的に小さい値に変更されて放電ギャップが小さくなるから、必要な放電ギャップに対して加工間隙が大きくなるので、工具電極をそのまま加工穴の深さ方向に相対的に移動させるだけでは加工穴の底面に比べて加工穴の側面は加工されにくくなる。そのため、単純に言えば、サイズの異なる同形の工具電極を加工工程の数だけ製作して準備しておく必要がある。そこで、加工穴の深さ方向だけではなく加工穴の側面方向にも工具電極と被加工物とを相対移動させて放電加工する、寄せ加工あるいは揺動加工と呼ばれる加工方法が採用される。この加工方法は、加工屑の排出を促進し加工屑を拡散させるので、加工穴の底面における異常放電や加工穴の側面における2次放電の誘発を防止することに有効である。
【0008】
1つの放電加工のプロセスを各加工工程に分けて放電加工するときは、各加工工程、特に最初の加工工程における加工条件の選定は効率よく所望の加工をする上で最も重要なファクタの1つとなる。最終の加工工程におけるエネルギは、所望の仕上面粗度と加工形状精度を得るために基本的におおよその加工電流値は決定される上に、他の加工工程に比べて最も小さいエネルギで加工するように加工条件が設定されているわけであるから、最終の仕上工程に至るまでの加工条件の設定が誤っていると、仕上加工で加工時間が驚くべきほどかかることになり、全く効率の悪い加工になることが避けられないからである。
【0009】
そこで、形彫放電加工では、加工に先だって、所望の仕上面粗度と加工形状精度とを得るための加工計画を立案する必要がある。具体的には、所望の仕上面粗度と加工形状精度を得ることができる荒加工と仕上加工の加工条件を選定し、これらの加工条件を基準に、予想される加工時間と工具電極の減寸量(以下、単に減寸量という)を考慮しながら放電加工のプロセスを各加工工程に分けて最終的に仕上加工の加工条件で放電加工できるように各加工工程の加工条件を決定する。
【0010】
このような加工計画の立案における作業者の負担を軽減するため、従来から各加工工程における加工条件の設定を容易にすることが考えられてきた。初期の形彫放電加工装置は、ある目的の加工に適するエネルギからその加工に最適な複数の電気的な加工条件の関係を得て、それらの電気的な加工条件の組合せを記憶装置に複数ストアしておき、ボタンを押釦することによって最適な加工条件が選択できるように構成されていた。また、このようにして各加工工程毎に設定された一連の電気的な加工条件の組合せを1つの放電加工のプロセス毎に記憶させておき、同一の放電加工をするときにボタンを押釦することによって記憶された一連のデータを呼び出す構成の形彫放電加工装置があった。しかしながら、このようにして放電条件を設定するシステムは現在殆ど採用されおらず、形彫放電加工装置に数値制御装置(NC,Numerical Controller)が搭載されてから後は、NCプログラムと関連付けて各加工工程の初期の加工条件を設定し修正するシステムに進化している。
【0011】
加工条件の設定システムは多岐にわたっているが、特開昭62−130130号公報、特公平5−49415号公報、特公平7−75815号公報、特開昭63−7231号公報、特開平2−153476号公報、特開平3−136725号公報、特開平6−114637号公報に開示された技術が参照される。
【0012】
ところで、従来の形彫放電加工装置の加工条件の設定システムは、放電面積として加工穴の底面積を用いて加工電流値を計算しているため、実際の放電加工ではあまり適切な加工条件が設定されないことがある。例えば、図12に示される放電加工の例の場合、実際は、工具電極ELが被加工物WPに対して相対移動され、工具電極ELと被加工物WPとが対向する放電面積Sは工具電極ELの加工深さ位置Zで異なっている。しかしながら、上述した加工条件の設定システムでは、各加工工程において1つの加工条件の組合せが設定されるだけである。
【0013】
したがって、このように設定された加工条件は適当であるとは言い難く、加工時間がかかる傾向にある。そもそも、作業者は予測できない加工状態の変化を考慮して加工の失敗の可能性が少ない加工条件を設定する傾向にあるから、結局、比較的加工速度が遅い加工条件が設定されがちである。特に、荒加工工程における除去量が少なかったり、加工面にばらつきがあったりすると、その後の加工工程において加工時間が長くなる。また、工具電極が単純な形状でないときは、部分的に除去しきれない箇所が生じて加工形状精度がよくならず、加工時間も長くなりがちである。
【0014】
特許第2750378号公報、特許第3103675号公報に開示された放電加工装置のように、工具電極の形状によって変化する加工の状況に合わせて予め設定された加工条件を調整するシステムも考えられている。この種の適応制御システムは予め設定されている加工条件を一時的に切り換えるものであるので、柱となる技術思想が本質的に異なっているが、初期の加工条件の設定の誤差を補うことができる。ただし、適応制御システムは、所望の加工面粗度や加工形状精度を得るための初期の加工条件を大きく変更することはできないから、初期の加工条件を可能な限り適切に設定することが重要であることに変わりはない。
【0015】
もっとも、正確な工具電極の三次元形状のデータと加工深さ位置が与えられれば理論的には放電面積を計算することが可能であるから、ある加工深さ位置における放電面積を求めて適する加工電流値を求めて加工条件を設定することは可能である。実際、工具電極または加工形状の三次元形状モデル(以下、ソリッドモデルという)に与えられた属性データから加工をシミュレーションとして放電面積に対応する加工条件を設定する装置が考えられている。このタイプの加工条件の設定システムは、放電面積あるいは除去量に応じて加工条件の設定を変更できる。具体的には、特公昭58−24215号公報、特開昭61−146420号公報、特開昭62−19324号公報、特開平3−149133号公報、特開平9−6424号公報、特開平9−253943号公報に開示された公知の技術が参照される。
【0016】
【発明が解決するべき課題】
このような従来の加工条件の設定システムは、刻一刻と変化する放電面積あるいは除去量に基づいて初期の加工条件を設定することは設定値が無限であり合理的でないから、適当な単位加工深さ位置を基準に加工条件を設定するようにしている。しかしながら、放電加工の進行にともなう放電面積の変化は加工形状によって様々であるから、初期の加工条件を設定するべき適切な加工深さ位置も所望の加工形状に対応して異なるため、単位加工深さ位置を基準に加工条件を設定するシステムでは不十分である。例えば、図12に示される放電加工する例の場合は、図13に示されるように、α,β,γの区間では、設定される初期の加工条件があまり適切になっていないということがわかる。
【0017】
そもそも、高度な加工条件の設定システムを構築しようとすると、作業者がより多くのデータを入力することを要求されるので、単位加工深さ位置毎に、または特定の加工深さ位置毎に放電面積を求めて加工条件を設定するということは、段取りを含めた放電加工のプロセスの全体からみると、かえって能率的でないと考えられる。もっとも、情報処理の能力が高いコンピュータ機器を使用する三次元モデル設計支援システム(CAD,Computer Aided Design System)で作成されたソリッドモデルに与えられた属性データを使って製造支援システム(CAM,Computer Aided Manufacturing)でNCプログラムを作成する場合は、ことさら能率が悪いというわけではない。しかしながら、コンピュータを使用すると言えども放電面積を計算するには相応の時間を必要とするし、再現性に難がある形彫放電加工においては、金型の設計者が作成したNCプログラムを放電加工の作業者が頻繁に数値制御電源装置で修正する機会が多いから、形彫放電加工装置としては、決して十分であるとは言えない。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みて、より適切に加工形状に対応した初期の加工条件を設定することができる形彫放電加工における加工条件の設定方法を提供することを目的とする。また、放電加工の作業者がより容易にかつより適切に加工形状に対応した初期の加工条件を設定することができる形彫放電加工装置の数値制御電源装置を提供することを目的とする。本発明の加工条件の設定方法および数値制御電源装置によって得られる具体的ないくつかの利点については、発明の詳細な説明において具体的な実施の形態とともに言及する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の形彫放電加工における加工条件の設定方法は、上記課題を解決するため、所望の放電加工における工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データを記憶させる工程と、少なくとも所望の仕上面粗度を含む加工特性のデータを記憶させる工程と、属性のデータに基づいて予め定められた単位加工深さ位置における放電面積をそれぞれ計算する工程と、前記単位加工深さ位置における放電面積をサンプリングデータとして記憶装置に記憶させる工程と、サンプリングデータに基づいて反復法によって予め定められた単位放電面積毎に対応する加工深さ位置を加工条件の切換位置としてそれぞれ求める工程と、各切換位置における放電面積に適する加工電流値を計算して、加工電流値に適応する加工条件の組合せを予め記憶された複数の加工条件の組合せの中からそれぞれ選定して設定する工程と、を含む構成とする。
【0020】
また、本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置は、複数の加工条件の組合せのデータと、所望の放電加工における工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データと、少なくとも所望の仕上面粗度を含む加工特性に関するデータとを記憶する記憶装置(50)と、属性のデータに基づいて予め定められた単位加工深さ位置毎の放電面積を計算し放電面積のサンプリングデータとして記憶装置(50)に記憶させる放電面積計算手段(823)と、放電面積のサンプリングデータに基づいて反復法によって予め定められた単位放電面積毎に対応する加工深さ位置を加工条件の切換位置として求める切換位置設定手段(824)と、切換位置における放電面積に適する加工電流値を計算する加工電流計算手段(843)と、加工電流値に適応する加工条件の組合せを記憶装置(50)に記憶された複数の加工条件の組合せの中からそれぞれ選定して設定する加工条件設定手段(842)とを含む演算装置(80)と、を含む構成とする。ただし、符号は説明の便宜上付されたものであり、本発明の数値制御電源装置の構成を実施の形態に限定するものではない。
【0021】
本発明の加工条件の設定方法によれば、放電面積のサンプリングデータを求めて、このサンプリングデータに基づいて所定放電面積毎に加工条件の切換位置を設定するから、比較的時間をかけずに放電面積の変化に適応する加工条件の切換位置を的確に得ることができ、放電加工の進行にともなって放電面積が不特定に変化するような工具電極を使用して形彫放電加工するときでも、より適切な加工深さ位置で加工条件の設定を切り換えることができる。
【0022】
また、本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置によれば、作業者は少なくとも所望の仕上面粗度を入力し、設計者によって提供される工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データに基づいて適する加工条件の切換位置と加工条件を得ることができるから、放電加工の進行にともなって放電面積が不特定に変化するような加工形状を放電加工するときでも、より適切な加工深さ位置で加工条件の設定を切り換えることができるとともに、放電加工の作業者の負担は軽減される。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、形彫放電加工装置の全体の概容を示す正面図である。形彫放電加工装置は、加工機本機1と、数値制御電源装置2と、図示しない加工液槽などの周辺機器とを含んで構成される。加工機本機1は様々な公知の構成が採用され、実施の形態では、リニアモータのようなサーボモータによって、ヘッド11を加工深さ方向(Z軸)、ラム12を前後方向(Y軸)、テーブル13を横方向(X軸)にそれぞれ往復移動させて、工具電極ELと被加工物WPとを少なくとも鉛直1軸方向と水平2軸方向の同時3軸方向に相対移動可能にする。工具電極ELはヘッド11の下端に設けられた取付板に固定され、被加工物WPは加工槽14に囲まれたテーブル13の上に設置された定盤に取り付けられる。数値制御電源装置2は、加工機本機1に隣接して設置され、ケーブルCBを通して電力と制御信号を加工機本機1に供給する。
【0024】
図2は、本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置の実施の形態を示しており、筐体の内部に設置される機器の配置を概略示す立体構成図である。数値制御電源装置2の筐体20の空間内に図示しないフレームもしくはラックにボルト、ピン、ねじのような取付部材を用いて箱体やプリント基板で構成されるユニットが取り付けられる。取り付けられるユニットは、数値制御ユニット21、汎用制御ユニット22、加工用電源ユニット23、加工制御ユニット24、周辺機器制御ユニット25、表示ユニット26、操作パネルユニット27、ディスクドライブユニット28であるが、各ユニットの部品がユニット単位で一体に設けられる必要はない。なお、クーラユニットのようなその他のユニットは省略されている。
【0025】
数値制御ユニット21は、1以上のプリント基板上に配設されたマイクロプロセッサを含む複数の演算装置(CPU,Central Processing Unit)と、データ書込み不可のICメモリチップ(ROM,Read Only Memory)と、データの読書きが自在のICメモリチップ(RAM,Random Access Memory)を含んでおり、NCそれ自体が形彫放電加工に専用のマイクロコンピュータである。この実施の形態の数値制御ユニット21は、NCプログラムを解読する機能、数値制御データに基づいて位置データを出力する機能、数値制御データに基づいて放電制御ユニット24もしくは周辺機器制御ユニット25に指令データを出力する機能とを含む数値制御の主要な機能を担うNCと、位置データに基づいて制御信号をサーボモータに出力するとともにフィードバックされる検出信号に基づいてサーボモータを位置決め制御する相対移動制御の機能を担うモータ制御装置(MC,Motion Controller)に区分される。
【0026】
汎用制御ユニット22は、殆どパーソナルコンピュータと同じ機能を有するマイクロコンピュータである。構造的には、マザーボードと呼ばれる基板に配設された少なくとも1つのCPUとROMを含む演算部品群と冷却機器などの付属部品群、専用のスロットに差し込まれた増設のRAM、拡張スロットに差し込まれたプリント基板に配設された拡張部品群などが1つの箱体に収納されている。また、いくつかのコネクタ、ピンジャック、モジュラジャックを備えている。
【0027】
NCにそのまま汎用のパーソナルコンピュータを搭載したタイプでは、ハードウェアとして数値制御ユニット21と汎用制御ユニット22とが明確に区別され、数値制御ユニット21と汎用制御ユニット22との間は、RS−232C(Recommended Standard 232C)やUSB(Universal Serial Bus)のようなシリアル通信回線を通して接続される。
【0028】
加工用電源ユニット23は、実質的に放電加工回路を形成するものであり、商用交流を整流する整流器を含む1以上の直流電源装置、放電加工回路に挿入される複数の抵抗素子を配設した抵抗板、放電加工回路を切り替えるリレー回路、加工間隙に供給される放電電圧パルスをオンオフする複数のスイッチング素子を配設したプリント基板、その他の放電加工回路中の素子などで構成され、ケーブルCBを通して隣接された加工機本機1に電力を供給し、加工機本機1の工具電極と被加工物とに接続された極間線を通して加工間隙に放電エネルギが供給される。
【0029】
放電制御ユニット24は、数値制御ユニット21から出力されてくる指令データに従って、加工用電源ユニット23の複数のスイッチング素子へのゲート信号、可変素子への切換信号、リレー回路を制御する切換信号、放電加工回路中に設けられたセンサからの信号のような放電加工を制御するための信号を処理する装置が含まれている。
【0030】
周辺機器制御ユニット25は、加工槽14の放電加工液の液面を検出する検出装置、自動電極交換装置(ATC,Auto Tool Changer)、主軸角度割出装置のような周辺機器や付属装置の動作を制御する装置を含んでいる。
【0031】
表示ユニット26は、液晶ディスプレイ(LCD,Liquid Crystal Display)と、汎用制御ユニット22から送られてくるグラフィックデータをLCDの画面上に配置するためのスケーリング機能などを実行する専用のLSI(Large Scale Integration)を搭載している。
【0032】
操作パネルユニット27は、筐体20の前面に嵌め込まれるように配設されている。操作パネルユニット27の前面は、キーボードとボタンが配設され、マウスの電波信号を受信する受信装置と音声を取り込むマイクロフォンのピンジャックが備えられている。また、操作パネルユニット27は、表示ユニット26のLCDの画面を覆うように設けられたタッチパネルを含む。
【0033】
ディスクドライブユニット28は、汎用制御ユニット22のマイクロコンピュータの拡張機器に相当する。ディスクドライブユニット28は、少なくとも2種類のタイプのデータを外部から取り込む手段を有している。1つは、光ディスク(CD,Compact Disc)や高密度光ディスク(DVD,Digital Versatile Disc)のような記憶媒体(以下、メディアという)から汎用制御ユニット22のマイクロコンピュータを制御させるために必要なソフトウェアを取り込む手段である。もう1つは、磁気ディスクドライブ(FDD)、書込み可能な光ディスクドライブ(CD−R,Compact Disc-Recordable)や相変化記録方式の光ディスクドライブ(CD−RW,Compact Disc-ReWritable)のようにメディアにデータを記録する手段である。
【0034】
コンピュータ付数値制御装置(CNC,Computerized Numerical Controller)は、機能的には数値制御と数値制御以外の制御とを明確に区別される必要がなく、実際、殆どのCNCでは、NCを動作させるプログラムが汎用のマイクロコンピュータを動作させるソフトウェアの支配を受けており、汎用のマイクロコンピュータを起動しない限りはNCを動作させることができない構成である。したがって、CNCは、数値制御電源装置全体を1つにまとめてNCとみなすことができる構成が多く、実施の形態では、各ユニットを特に区別せずに数値制御電源装置として説明される。また、図2は、各ユニットに含まれる部品が全て一体で設置されて各取付位置に配設されているように示しているが、実際の数値制御電源装置では、設計的に各ユニットの部品が離れて別々の場所に設けられることがある。
【0035】
図3は、本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置の一部分の詳細を示すブロック構成図である。図3に配置された演算装置、記憶装置、入出力装置などの装置は複数存在することが考えられ、部品の配置は設計上任意に変更される。
【0036】
入出力装置30は、作業者と数値制御電源装置2との間を結ぶ装置である。具体的には、入出力装置30は、操作装置31と、読取装置32と、記録装置33とを含んで構成される。なお、加工機本機1と数値制御電源装置2とを接続する接続装置、あるいは各ユニット間を接続するインターフェース自体も入出力装置であるが、本発明の入出力装置30とは区別される。
【0037】
操作装置31は、図2に示される操作パネルユニット27に配置されるキーボード、マウス、マイクロフォン、表示ユニット26に設けられたタッチパネルを含む入力装置と、汎用制御ユニット22に設けられた入出力バス(I/O Bus)を含む入出力インターフェースと、入出力装置と入出力インターフェースを接続するデータラインとを含んでなる。作業者は、操作装置31を操作して、要求される加工特性に関するデータのうち、少なくとも所望の加工面粗度のデータを入力する。また、作業者は、必要に応じて操作装置31を操作して、工具電極と被加工物の材質と減寸量を入力し、あるいは加工条件のパラメータやNCプログラムの修正値を入力する。
【0038】
読取装置32は、図2に示されるディスクドライブユニット28にあるCDドライブなどのフラットケーブル付きの入力装置とドライブ専用のインターフェース(E−IDE,Enhanced Integrated Drive Electronics)あるいは拡張のスカジーインターフェース(SCSI,Small Computer System Interface)を含んで構成される。読取装置32を通して数値制御電源装置2に取り込まれるデータは、例えば、パーソナルコンピュータのシステムソフトウェア(OS,Operating System Program)と、CADのデータを管理するソフトウェア、数値制御を管理するソフトウェア、NCプログラムの作成を支援するソフトウェアなどのアプリケーションソフトウェア(Application Software Program)、工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データのような所望の放電加工に関する固有のデータ、複数の加工条件の組合せからなる加工条件ファイル、加工条件−減寸量ファイルなどの加工のデータベース、NCプログラム作成ツールファイルなどの演算のための手法のデータベース、である。
【0039】
データベースのデータは製造業者の操作員によって予めインストールされており、所望の放電加工に関する固有のデータであるソリッドモデルの属性データは基本的に作業者がインストールする。CADのソリッドモデルに与えられた属性データは、少なくとも、寸法、名称、定義を含む。定義データは、単位形状要素、境界、領域、座標のようなモデルを定義するために必要なデータを全て含む。本発明では、特にことわりがない限り、属性データは、ソリッドモデルに与えられた上記のデータを示す。
【0040】
記録装置23は、図2に示されるディスクドライブユニット18にあるFDDとFDD専用のインターフェースまたはCD−Rドライブとドライブ専用のインターフェースまたは拡張のインターフェースを含んで構成される。また、記録装置23は、必要に応じてプリンタのような記録用紙にデータを出力する装置を含む。記録装置23は、作成されたNCプログラムあるいは修正された属性データをメディアに記録する。
【0041】
通信装置40は、LANアダプタ(Local Area Network Adopter)のようなコンピュータネットワークに接続させるための装置であり、離れた位置にある他のコンピュータやNCとの間でデータの転送を制御する手段である。例えば、離れた位置にあるパーソナルコンピュータから設計者がCADで作成したソリッドモデルに与えられた属性データを通信装置40を通して数値制御電源装置2に取り込むことができる。
【0042】
記憶装置50は、入出力装置30を通して数値制御電源装置2の外から得られるデータと後述する演算装置80の演算によって得られるデータを記憶し、数値制御電源装置2の電源が落とされた後でも記憶内容を保持する手段である。また、記憶装置50のデータは、基本的に作業者が自由に操作することができる。そのため、記憶装置50は記憶容量が大きい装置が好ましく、具体的には、ハードディスクドライブ(HDD,Hard Disc Drive)と専用のインターフェース(E−IDE,SCSI,USB)を含んだ構成が採用されている。記憶装置50は、複数の加工条件の組合せのデータと、所望の放電加工における工具電極のソリッドモデル与えられた属性データと、少なくとも所望の仕上面粗度を含む加工特性に関するデータとを記憶する。
【0043】
記憶装置60は、数値制御電源装置2が起動している間に限り記憶されていればよいデータを一時的に保存しておく手段であり、最も広く使用されている複数のRAMチップを搭載したメモリモジュール(DIMM,Double Inline Memory Module)が採用されている。記憶装置60は、具体的にはOSやアプリケーションソフトウェアのプログラムの全部または一部や演算装置80で得られたデータなどが一時的に保存され、数値制御電源装置2の電源が落とされた後に記憶内容は基本的に消去される。
【0044】
表示装置70は、少なくとも、図2に示される汎用制御ユニット22のグラフィック専用のバス(AGP,Accelerated Graphics Port Bus)と、グラフィック専用のバススロットと、そのバススロットに取り付けられたグラフィックスボード(ビデオカード)と、表示ユニット26に設けられているLCDを含んで構成されている。グラフィックボードは、専用のLSIと画像処理に適するVRAM(Video RAM)のようなDRAM(Dynamic RAM)を搭載し、描画のための表示データ、例えば、加工形状や工具電極の相対移動経路の三次元のモデルをLCDに表示することができるもので、三次元の画像を動的に表示する本発明の数値制御電源装置に適している。
【0045】
演算装置80は、1以上のCPUと、CPUに並設され特定の基本の演算プロセスのプログラムを記憶するROMと、基本的な設定データを記憶するRAMを含んでなる。数値制御ユニット21に搭載されている複数のCPUは数値制御ユニット21の機能を管理している。一方、汎用制御ユニット22に搭載されている少なくとも1つのCPUは、作業者が数値制御電源装置2を操作するために必要なソフトウェアの動作の殆どを管理している。
【0046】
演算装置80は、具体的には、少なくとも、システム管理手段81、三次元データ管理手段82、数値制御管理手段83、およびNCプログラム作成支援手段84を有する。システム管理手段81はBIOS(Basic Input Output System)とOSによって、三次元データ管理手段82はCADのデータを管理するソフトウェアによって、数値制御管理手段83は数値制御を管理するソフトウェアによって、NCプログラム作成支援手段84はNCプログラムの作成を支援するソフトウェアによってそれぞれ動作が制御される。
【0047】
システム管理手段81は、数値制御電源装置2の汎用制御ユニット12の基本的な動作を支配する公知の手段である。システム管理手段81は数多くの機能を有するが、少なくとも、設定制御手段811、操作制御手段812、互換制御手段813、描画データ作成手段814、通信制御手段815を含む。
【0048】
設定制御手段811は、入出力装置30からOSの設定データが新たに入力されてくるとき、または演算装置80の中の他の手段によって設定データの変更が指令されたときに、記憶装置50に数値制御電源装置2の各装置の設定値を変更しその設定値を記憶装置50に記憶させる。
【0049】
操作制御手段812は、入出力装置30から新たな命令が入力されてきたとき、または演算装置80の他の手段によって命令が出されたときに、数値制御電源装置2の各ユニットを直接または間接的に動作させる。
【0050】
互換制御手段813は、接続されているユニット、複数の手段、離れた位置にあるコンピュータとの間でデータを共有化させ、複数のアプリケーションソフトウェアで同じデータを利用することができるようにする。また、互換制御手段813は、同時に起動している異なるアプリケーションソフトウェアをリンクさせてデータの受渡しを可能にする。
【0051】
描画データ作成手段814は、演算装置80の他の手段から与えられるデータに基づいて描画データを作成し、表示装置70に出力する。例えば、三次元データ管理手段82からソリッドモデルのデータが与えられたときはソリッドモデルの描画データを作成し、数値制御管理手段83から工具の相対移動経路(パス)のデータが与えられたときは、工具のパスの描画データを作成する。
【0052】
通信制御手段815は、演算装置80の他の手段から与えられたデータを予め定められたフォーマットのデータに変換して通信装置40に出力する。また、通信装置40から得られるデータを予め定められたフォーマットのデータに変換して記憶装置50に記憶させる。
【0053】
三次元データ管理手段82は、少なくとも、データ解析手段821、サーフェイスモデル作成手段822、放電面積計算手段823、切換位置設定手段824を含んでなる。データ解析手段821は、他の手段から与えられる命令に従って記憶装置50に記憶された所定の三次元形状に与えられた属性データを読み込んで解析する。また、作業者によって所定の属性データが変更されるときは、所定の属性データを変更して記憶装置50に記憶させるとともに変更された属性データを解析して解析データを描画データ作成手段814に与える。また、サーフェイスモデル作成手段822は、工具電極のソリッドモデルから工具電極の特定の部分のサーフェイスモデルを作成しそのサーフェイスモデルに属性データを与える。
【0054】
放電面積計算手段823は、ソリッドモデルの表面積、体積、質量、重心などを計算する。また、放電面積計算手段823は、ソリッドモデルから得られたサーフェイスモデルに与えられた属性のデータに基づいて予め定められた所定加工深さ位置毎に放電面積を計算し放電面積のサンプリングデータを求める。また、切換位置設定手段824は、サンプリングデータに基づいて予め定められた所定放電面積毎に対応する加工深さ位置を加工条件の切換位置として求める。
【0055】
数値制御管理手段83は、操作装置31または演算装置80の他の手段から要求される数値制御ユニット21とその支配下にあるユニットの動作を管理する手段である。具体的には、例えば、通信制御手段815を通して記憶装置50に記憶されたNCプログラムを数値制御ユニット21に転送し、操作制御手段812を通して数値制御ユニット21にNCプログラムを解読させて位置データなどの制御データを出力させる。また、描画データ作成手段814を通して数値制御に関する設定値や座標値を表示装置70に表示させ、あるいは設定制御手段811を通して機械設定を変更する
【0056】
NCプログラム作成支援手段84は、データ取得手段841、加工条件設定手段842、加工電流計算手段843、推定加工時間計算手段844、相対移動値計算手段846、加工計画表示手段845、NCプログラム作成手段847を含んでなる。
【0057】
データ取得手段841は、NCプログラム作成支援手段84の演算プロセス中で必要なデータのうち、NCプログラム作成支援手段84で得ることができないデータを他の手段に要求する。
【0058】
加工条件設定手段842は、加工電流計算手段843によって得られた加工電流値に適応する加工条件の組合せを記憶装置50に記憶された複数の加工条件の組合せの中から選定して設定する。より具体的には、各切換位置における加工電流値に適応する各加工工程における加工条件の切換方法を加工条件−減寸量ファイルから選定し、加工条件ファイルから加工条件の組合せを選択して設定する。また、必要に応じてソリッドモデルに与えられた属性データから揺動形状、工具電極のジャンプの条件、あるいは加工液噴流の供給方法(液処理方法)を基礎データに従って設定する。
【0059】
加工電流計算手段843は、1以上の加工工程における予め定められた単位放電面積毎の加工電流値を計算する。限定的には、荒加工工程における予め定められた放電面積毎の加工電流値を計算し、必要に応じて各加工工程における加工電流値を計算する。
【0060】
推定加工時間計算手段844は、既に得られている加工電流のパラメータの値から各加工工程における送込量、オフセット、揺動振幅などの寸法値を求め、各加工工程における除去量と加工速度から推定される加工時間を算出する。
【0061】
加工計画表示手段845は、加工条件設定手段842で得られる加工条件の組合せ、あるいは推定加工時間計算手段844で得られる推定加工時間と送込量や揺動振幅などの寸法値を含む1以上の加工計画表のデータを作成し、1以上の加工計画表を描画データ作成手段814を通して表示装置70に表示させる。
【0062】
相対移動値計算手段846は、工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データと推定加工時間844で得られた寸法値から加工深さ方向の相対移動量を求める。また、設定された揺動形状と推定加工時間844で得られた寸法値から側面方向の相対移動量を求める。
【0063】
NCプログラム作成手段847は、記憶装置50からNCプログラムのベースとなるデータに相対移動値計算手段846から得られる相対移動量と加工計画表示手段845で作成され選択された加工条件の数値制御コードなどを割り当ててNCプログラムを作成する。
【0064】
図4は、本発明の形彫放電加工における加工条件の設定方法の実施の形態を示すフローチャートである。図5は、加工条件ファイルの例、図6は、加工条件−減寸量ファイルの例、図7は、加工計画表の例である。また、図8は、ある工具電極の斜視図および工具電極を下側から見た平面図、図9は、図8に示される工具電極における単位加工深さ位置に対応する放電面積を示すグラフ、図10は、図8に示される工具電極における単位放電面積に対応する加工深さ位置を示すグラフ、図11は、工具電極と被加工物における寸法の関係を示す断面図である。以下、図3ないし図11を参照して、本発明の加工条件の設定方法の具体的なプロセスの例を説明する。
【0065】
加工条件の設定システムに必要な基本的なデータは以下のとおりである。
▲1▼要求される仕上面粗度および減寸量
▲2▼工具電極と被加工物の材質の組合せ
▲3▼加工形状または工具電極の形状および寸法
▲4▼複数の加工条件の組合せ
▲5▼複数の減寸量と加工条件との組合せ
【0066】
要求される加工特性のデータとして所望の仕上面粗度は、作業者によって入力される。仕上面粗度は、図11に示されるように、底面と側面における模式的に表された山の高さであり、数値を入力する。加工形状精度は減寸量や液処理方法のような放電ギャップに関わるファクタの影響を受ける。減寸量は、基本的に作業者が入力するが、本発明の方法では、必ずしも作業者によって入力されることを要求されていない。
【0067】
工具電極と被加工物の材質の組合せは、CADを使用して工具電極を設計したときに得られるソリッドモデルに与えられた属性データの中に含まれている場合は、データ取得手段841がデータ解析手段821に要求し、データ解析手段821によって記憶装置50に記憶された属性データから抽出されて得られる。工具電極と被加工物の材質の組合せが属性データに含まれていない場合は、作業者が表示装置70に表示されるいくつかの候補の中から選択して設定する。以上のデータが作業者が入力するデータであり、本発明の数値制御電源装置では、作業者に入力を要求するデータが極めて少ないことが理解される。
【0068】
属性データにはソリッドモデルを復元するために必要な寸法、名称、定義が含まれているから、工具電極のソリッドモデルの属性データを得ることによって工具電極の三次元形状と寸法が得られる。また、工具電極と金型のソリッドモデルがCADによって設計されているときは、工具電極のサイズと加工穴のサイズとの差を求めることによって減寸量が計算される。
【0069】
複数の加工条件の組合せのデータは、一般に加工条件ファイルと呼ばれるものである。加工条件の組合せは加工用電源ユニットの仕様に関係すること、およびノウハウが含まれることから、加工条件ファイルは製造業者の操作員によって作成され、読取装置32を通して記憶装置50に予め記憶されている。加工条件ファイルは、作業者が操作装置31から値を入力することにより、新たな加工条件の組合せを追加し、不要な加工条件の組合せを削除し、あるいはパラメータの値を変更するなど、加工条件ファイルを修正することができる。
【0070】
図5に示される加工条件ファイルのデータは、アルファベットのCに3桁の数字を付した加工条件番号のデータを識別子としてC000からC999までの最大1000種類の加工条件の組合せを記憶させておくことができる。この識別子のデータは、NCプログラムのCコードと一致し、NCプログラムから所定の加工条件の組合せのデータを読み出すことに使われる。また、この識別子のデータによって、例えば、C100からC199までのデータを工具電極が銅、被加工物が鋼のときの低消耗加工の加工条件の組合せと予め決めておくように、加工条件の組合せのデータを加工目的と対応して保存しておくことができる。なお、各加工条件の値は実数値ではなくパラメータの値で示されている。
【0071】
複数の減寸量と加工条件の組合せのデータは、加工条件ファイルと同じ理由により、加工条件−減寸量ファイルとして製造業者の操作員によって作成され、記憶装置50に記憶されている。加工条件−減寸量ファイルは、図6に示されるように、減寸量と各加工工程における加工条件の切換方法を蓄積したデータである。加工条件−減寸量ファイルは、所望の加工面粗度と工具電極と被加工物の材質の組合せ毎にあり、ファイルがいくつか集まって1つのデータベースを構成している。この実施の形態では、加工条件として加工電流のパラメータの値を採用している。
【0072】
作業者がNCプログラム作成支援手段84を起動して少なくとも仕上面粗度を数値で入力し、また、必要に応じて減寸量と工具電極と被加工物の材質の組合せを入力し、操作装置31のタッチパネルによって表示装置70のLCDに表示されたボタンを操作する(S1)。データ取得手段841は、サーフェイスモデル作成手段822を動作させ、サーフェイスモデル作成手段822は、記憶装置50から所定の工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データを読み出して、単位加工深さ位置毎の工具電極のサーフェイスモデルを作成し、得られたサーフェイスモデルに属性データを与える(S2)。
【0073】
ソリッドモデルからサーフェイスモデルを作成して属性を与える場合、いくつかの演算方法がある。基本的には、工具電極の三次元形状の要素と単位加工深さ位置のデータに基づいて工具電極のソリッドモデルを所定の加工深さ位置で分割し、ソリッドモデルの属性データからサーフェイスモデルを再定義するとともに所定の寸法値を得る。単位加工深さは任意であるが、小さいほど正確な放電面積の変化を得ることができるので、0.5μm〜数μmがよいと考えられる。しかしながら、性能の高いマイクロプロセッサが要求されるし、そうであっても演算時間は相当長くなる。したがって、数値制御電源装置の加工条件の設定システムにおける現実的な単位加工深さは、5μm〜1000μm程度であることが好ましい。なお、図9は、説明の便宜上、単位加工深さを5mmとしている。
【0074】
次に、放電面積計算手段823は、サーフェイスモデル作成手段822で得られた各サーフェイスモデルに与えられた属性データに基づき単位加工深さ毎の工具電極の表面積を求める。サーフェイスモデルの表面積は各単位加工深さ位置における放電面積に相当する。これら放電面積はサンプリングデータとして記憶装置50に記憶させる(S3)。サーフェイスモデルの表面積や体積はボクセル(Voxel,Volume Cell)の集合体で形成する考え方で計算することができる。ただし、この計算方法は、放電面積および体積を計算する唯一の方法ではなく、近似法のような他の計算方法を利用できる。
【0075】
次いで、切換位置設定手段824が記憶装置50から放電面積のサンプリングデータを読み出して、単位放電面積に対応する加工深さ位置を得る。例えば、図10に示されるように、放電面積計算手段823で得られた単位加工深さ位置に対する放電面積の値をとって近似法により逆に放電面積の値に対する加工深さ位置を演算する(S4)。実施の形態は、ニュートンラプソン法と反復法とを用いている。この計算方法は、要求される値に徐々に近づけていき、あるところで限定的により正確な近似値を算出するものであるから、1つの近似法による計算に比べて短時間である上、工具電極に段差があるときのように、急激な変化がある場所を見つけることができる。図10は、説明の便宜上、放電面積が50mm2毎に加工深さ位置を得ているように示されているが、所定の放電面積の決め方は任意である。
【0076】
切換位置設定手段824は、上面基準における加工深さ位置Z1と底面基準における加工深さ位置Z11を加工条件の切換位置として必須とし、それ以外の加工条件の切換位置は、計算によって得られた単位放電面積毎の加工深さ位置Z2,Z3,…とする。また、この実施の形態の切換位置設定手段824は、段差があることが判別された加工深さ位置を加工条件の切換位置とする。この演算プロセスによって、基本的に、所定の放電面積の変化に対応した加工深さ位置を加工条件の切換位置とすることができ、工具電極の三次元形状が複雑で放電面積が複雑に変化する場合でも適切に加工条件を切り換えることができる。このことは、図9と図10を比較することにより理解できる。
【0077】
また、単位加工深さ位置に対する放電面積のサンプリングデータによって所定の放電面積に対応する加工深さ位置を計算し加工条件の切換位置とする方法は、サンプリングする所定の加工深さ位置に対応する放電面積のデータの数を少なくすることができる。サーフェイスモデルを生成して放電面積を計算するプロセスは、サーフェイスモデル毎のデータ量とサーフェイスモデルの数から考えて演算装置80の負担が大きいから、適切な加工条件の切換位置を設定する演算プロセスに要する時間を現実的に実施可能な時間に短縮する利益がある。
【0078】
もっとも、より綿密に所定の放電面積に対応する加工深さ位置を求めることが要求される場合は、サンプリングするデータの数を多くする、言い換えれば、任意の単位加工深さ位置の値を小さくする必要があるのではないかという懸念がある。しかしながら、初期設定された加工条件の切換えは、形彫放電加工装置自体が有する能力に依存しているから、僅かな誤差はあまり問題はない。特に、形彫放電加工装置の主流であるスイッチングトランジスタによる非蓄勢式の放電加工回路を採用した加工用電源装置で放電加工をする場合は、形彫放電加工装置が可能な加工間隙に供給し得る加工電流のパラメータの値に対する実数値はある程度の幅を有しているから、僅かな誤差に対応するように初期の加工条件を切り換える位置を設定することに利益は少ない。
【0079】
次に、加工電流計算手段843によって底面基準における切換位置Z11から順番に各切換位置Znの荒加工工程に適する加工電流の加工条件のパラメータの値を最大平均電流密度に基づいて設定する。最大平均電流密度は、工具電極と被加工物の材質の組合せと加工用電源回路の仕様によって異なるため、いくつかの設定プロセスを定義したプログラムに基づいて計算される。最大平均電流密度(A)は、放電面積(mm2)に単位面積当りの電流密度(A/mm2)を乗じた値であり、例えば、工具電極が銅で被加工物が鋼のときの矩形波の放電電流パルスのときで単位面積当りの電流密度は0.1〜0.15A/mm2である。形彫放電加工装置は、所定の加工電流のパラメータの値(IP)に対応する実際に加工間隙に供給される加工電流の値が測定され計算されているから、求められた最大平均電流密度から、荒加工工程における各切換位置に適する加工電流の加工条件のパラメータの値が得られる。このパラメータの値は、最大平均電流密度とともに記憶装置60に記憶される(S5)。
【0080】
加工条件設定手段842は、既に、減寸量が与えられている場合は、特定の工具電極と被加工物の材質に対応する加工条件−減寸量ファイルの中から、与えられている減寸量、所望の加工面粗度、および加工電流計算手段843によって得られた荒加工工程の底面基準における加工深さ位置の加工電流のパラメータの値に基づいて複数の加工工程における加工電流のパラメータの値の組合せのデータを記憶装置50から抽出する。加工条件−減寸量ファイルの中に減寸量と完全に一致するデータが存在しないときは、単に最も近い値を取り出すことでよい。また、減寸量が与えられていない場合は、加工条件−減寸量ファイルの中から取り得る減寸量の範囲で所望の加工面粗度と加工電流計算手段843によって得られた加工電流のパラメータの値に基づいて対応する1以上のデータを抽出する(S6)。
【0081】
推定加工時間計算手段844は、加工条件設定手段842で得られた各加工工程における加工電流のパラメータの値から推定加工時間を計算する。計算によって予想される推定加工時間は、各加工工程において除去量(mm3)を体積加工速度(mm3/min)で除算して加工効率(min)を乗じて得られる時間の総和である。なお、加工効率は経験によって既に得られている補正値であり、機械によって実際に放電加工に要する加工時間にばらつきがあるために考慮されたものである。図11を参照すれば、荒加工工程における除去量はほぼ工具電極の体積に加工間隙に相当する体積を加算した値に相当し、それ以降の加工工程における除去量は各加工工程によって除去されるべき面粗度に相当するので、除去量は、ソリッドモデルに与えられた属性データから得られる寸法値から各加工工程のオーバカット、送込量、面粗度、揺動振幅、残し代のデータを算出して計算される。計算されたオーバカット、送込量、面粗度、揺動振幅、残し代のデータと推定加工時間は、記憶装置60に一時的に記憶させておく(S8)。
【0082】
加工条件設定手段842は、加工電流のパラメータの値に適する加工条件の組合せのデータを加工条件ファイルから検索して取得する。加工条件ファイルの中に完全に一致するデータが存在しないときは、単に最も近い値を取り出すことでよい。また、ファジィ理論やニューラルネットワーク理論に基づく演算手法で値を決定するなど公知の近似する値を検索して取得する方法を採用することができる(S9)。
【0083】
加工条件設定手段842は、NCプログラム作成ツールファイルの中から、属性データから得られる工具電極の形状に見合う揺動形状を作成するか、基礎形状の中から選択的に設定する。また、加工条件設定手段842は、工具電極の形状に見合うジャンプ条件と方法および液処理方法を記憶装置50に記憶された基礎データの中から選択的に設定する。
【0084】
加工計画表示手段845は、加工条件設定手段842、推定加工時間計算手段844、相対移動値計算手段846で得られたデータに基づき、図7に示されるような1以上の加工計画表を作成して、加工計画表のデータを描画データ作成手段824に与え、表示装置70に表示させる。作業者は、加工計画表が複数表示されたときは、何れかの加工計画表を選択するが、基本的には、推定加工時間が短いものが選択される(S10)。
【0085】
作業者が表示装置70に表示されている加工計画表を見て、必要に応じて操作装置31を操作して値を入力すると、加工条件設定手段842によって、既に作成されている加工計画表の値が変更される。このように、作業者が、加工条件、揺動形状、工具電極のジャンプなどのパラメータの値などを適宜修正したときは、アルファベットのCと3桁の数字でなる加工条件番号を新たに与えると、記憶装置60に記憶されている加工条件ファイルにこの加工条件の組合せのデータが追加されて記憶される。以上の作業により加工条件の設定は終了する。
【0086】
さらに、作業者が加工計画表に基づいてNCプログラムの作成を希望するときは、操作装置31のタッチパネルを用いて表示装置70に表示されたボタンを操作する。相対移動値計算手段846は、既に記憶装置50に記憶されている加工計画表のデータから送込量のような寸法に関するデータと割り当てられた揺動形状のような相対移動に関係するデータを得て、工具電極の加工深さ方向と側面方向の相対移動量を計算する(S11)。
【0087】
そして、NCプログラム作成手段847は、記憶装置50に記憶されているNCプログラム作成ツールファイルから形彫放電加工のNCプログラムのベースのデータと必要なNCコードのデータを取り出して、相対移動値計算手段846で得られた相対移動量を割り当てるとともに加工条件番号を割り当てて、NCプログラムを作成する。作成されたNCプログラムのデータは、描画データ作成手段814に与えられ表示装置70に表示される(S12)。作業者は、操作装置31を操作してこのNCプログラムを修正することができるとともに、データファイル名を付して保存を選択することにより記憶装置50に記憶させることができ、または記録装置33を通してメディアに記録することができる。
【0088】
この実施の形態の加工条件の設定システムは、荒加工工程の加工条件について放電面積の変化に適応した加工条件を設定している。しかしながら、本発明の加工条件の設定システムは、他の加工工程においても放電面積に適応した加工条件を設定することができ、荒加工工程ほど顕著な効果が得られるものではないが、なお有益である。
【0089】
例えば、工具電極が段差のある形状である場合は、段差のないところで放電加工しているときと段差があるところで放電加工しているときとで、加工に適する加工条件が異なっている。そのため、1つの加工工程を1つの安全値である加工条件で放電加工したときには、特に段差があるところに取残しが形成され、加工時間が長くなるとともに望むべき加工形状精度が得られないことがある。このような場合は、放電面積の変化に対応して加工条件を切り換えるように、本発明の加工条件の設定方法を適用することにより、加工時間を短縮し、もしくは加工形状精度を向上させることが期待される。ただし、比較的小さい加工条件で放電加工をする加工工程では、初期設定できる加工電流のパラメータの範囲は比較的狭いから、工具電極のソリッドモデルの形状に対応して選択的に採用されることが好ましい。また、加工深さ位置に対応して平均加工電流値を適応制御するシステムを採用することができる。
【0090】
工具電極のソリッドモデルに対応して選択的に放電面積に適合する加工条件の初期設定を切り換えるプロセスを自動で行なえるように構成するには、例えば、予め記憶装置50に特定の基礎ソリッドモデルを登録しておき、与えられたソリッドモデルと基礎ソリッドモデルを近似演算によって比較するシステムが考えられる。この場合は、演算装置80のNCプログラム作成支援手段84に、この演算プロセスを有する三次元形状比較手段を設ける。
【0091】
また、加工深さ位置に対応して平均加工電流値を適応制御するシステムを行えるように構成するには、例えば、加工用電源ユニットにおける加工用電源回路中に放電加工回路中の電流値を無段階で調整できる装置あるいはスイッチング素子のベース電流値を調整できる装置を設ける。同時に、演算装置80のNCプログラム作成支援手段84に、放電加工制御ユニット24のRAMに記憶されている設定値を変更する電流値調整手段を設ける。なお、加工電流値は、加工電流計算手段843によって計算され、記憶装置60に記憶されているデータを使用する。このような構成は、所定の加工深さ位置に対応して計算された加工電流値が供給されるように初期設定された加工条件を僅かずつ計算された放電面積のデータに基づく平均加工電流値に従って調整することを可能にする。
【0092】
実施の形態の加工条件の設定システムは、また、サンプリングする放電面積を工具電極のサーフェイスモデルの表面積を計算して求めているが、この計算プロセスは、放電面積を工具電極のソリッドモデルから投影面積を計算して求めることによって置き換えることができる。この置き換えられた計算プロセスは、放電面積それ自体を正確に計算するという点において、放電面積をサーフェイスモデルの表面積を計算して求めるプロセスに比べて適切であるとは言えないが、放電面積の変化に対応した適切な初期設定の加工条件を切り換える本発明の加工条件の設定システムにあって、実用上は、なお利益を有している。
【0093】
サンプリングする放電面積を投影面積で計算するプロセスは、例えば、次の計算方法によって実現することができる。図8に、ある工具電極を下側から見た平面図が示されている。まず、工具電極のソリッドモデルに与えられた属性データから、最も面積が大きい工具電極の断面形状と寸法を得ることができる。この最も面積が大きい断面形状の寸法に従って0.4mm〜0.8mm毎にプロットを設け、プロット毎に垂線(Ray)を下ろして断面が切れる水平面との交点を計算する。プロットから交点までの垂線の長さをそれぞれ計算して垂線を集積する。そして、所定の加工深さ位置において存在する垂線の数によって、所定の加工深さ位置における投影面積がおよそ計算される。プロットの間隔は任意であるが、演算に要する時間と求めるべき投影面積の精度によって適当な値が判断される。この計算プロセスは、演算装置80の三次元データ管理手段82の放電面積計算手段824において、表面積の計算と選択的に実行するように構成することで達成される。
【0094】
以上に説明された本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、変更、組合せ、追加が可能である。実施の形態における変更、組合せ、追加の例は、既に説明されている。また、本発明の形彫放電加工における加工条件の設定システムは、工具電極のソリッドモデルの形状によって選択的に公知の加工条件の設定システムと組み合わせて選択的に採用することができる。このときでも、作業者は、所望の工具電極のデータを入力する必要はないから、なお有益である。
【0095】
【発明の効果】
以上に説明されるように、本発明の形彫放電加工における加工条件の設定方法によれば、所定の複数の放電面積に対応する加工深さ位置を求めて加工条件の切換位置を設定するので、工具電極の形状が複雑であっても、加工深さ位置における放電面積に適した加工条件が設定される。その結果、荒加工工程において加工速度が速く仕上面粗度がより均一になることが期待され、もしくは各加工工程における加工時間を短縮し加工形状精度を安定させることができ、全体の放電加工のプロセスの効率を向上させるという効果を奏する。
【0096】
また、本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置によれば、放電面積に適した加工条件の切換位置が設定され、全体の放電加工のプロセスの効率を向上させるという効果を奏する。また、設計者が設計した工具電極または加工形状のソリッドモデルに与えられた属性データを利用するため、作業者が多数の加工深さ位置に対応する放電面積のサンプリングデータを計算し放電面積から適切な加工条件の切換位置を設定するという困難な作業を行なう必要はなく、しかも計算のための工具電極のデータを入力する必要もないから、作業者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】形彫放電加工装置の全体の概容を示す正面図である。
【図2】本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置の実施の形態を示す立体構成図である。
【図3】本発明の形彫放電加工装置の数値制御電源装置の一部分の詳細を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の形彫放電加工における加工条件の設定方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【図5】加工条件ファイルの例を示す図である。
【図6】加工条件−減寸量ファイルの例を示す図である。
【図7】加工計画表の例を示す図である。
【図8】図11に示される加工例における工具電極の斜視図および工具電極を下側から見た平面図である。
【図9】図8に示す工具電極における単位加工深さ位置に対応する放電面積を示すグラフである。
【図10】図8に示す工具電極における単位放電面積に対応する加工深さ位置を示すグラフおよび近似法による放電面積の計算例を示す図である。
【図11】工具電極と被加工物における寸法の関係を示す断面図である。
【図12】ある加工例を示す工具電極と被加工物の断面図である。
【図13】図12に示される加工例の単位加工深さ位置に対応する放電面積を示すグラフである。
【符号の説明】
30,入出力装置
31,操作装置
32,読取装置
33,記録装置
40,通信装置
50,記憶装置
60,記憶装置
70,表示装置
80,演算装置
81,システム管理手段
82,三次元データ管理手段
821,データ解析手段
822,サーフェイスモデル作成手段
823,放電面積計算手段
824,切換位置設定手段
83,数値制御管理手段
84,NCプログラム作成支援手段
841,データ取得手段
842,加工条件設定手段
843,加工電流計算手段
844,推定加工時間計算手段
845,加工計画表示手段
846,相対移動値計算手段
847,NCプログラム作成手段
Claims (2)
- 要求される加工特性に適する加工条件の組合せを設定する形彫放電加工における加工条件の設定方法において、所望の放電加工における工具電極の三次元形状モデルに与えられた属性データを記憶させる工程と、少なくとも所望の仕上面粗度を含む加工特性のデータを記憶させる工程と、前記属性のデータに基づいて予め定められた複数の所定加工深さ位置における放電面積をそれぞれ計算する工程と、前記単位深さ位置における放電面積をサンプリングデータとして記憶装置に記憶させる工程と、前記サンプリングデータに基づいて反復法によって予め定められた複数の所定放電面積に対応する加工深さ位置を加工条件の切換位置としてそれぞれ求める工程と、前記切換位置における前記放電面積に適する加工電流値を計算して、前記加工電流値に適応する加工条件の組合せを予め記憶された複数の加工条件の組合せの中からそれぞれ選定して設定する工程と、を含んでなる形彫放電加工の加工条件の設定方法。
- 要求される加工特性に適する加工条件の組合せを設定する形彫放電加工装置の数値制御電源装置において、複数の加工条件の組合せのデータと、所望の放電加工における工具電極の三次元形状モデル与えられた属性データと、少なくとも所望の仕上面粗度を含む加工特性に関するデータとを記憶する記憶装置と、前記属性のデータに基づいて予め定められた単位加工深さ位置毎に放電面積を計算し放電面積のサンプリングデータとして記憶装置に記憶させる放電面積計算手段と、前記サンプリングデータに基づいて反復法によって予め定められた所定放電面積毎に対応する加工深さ位置を加工条件の切換位置として求める切換位置設定手段と、前記切換位置における前記放電面積に適する加工電流値を計算する加工電流計算手段と、前記加工電流値に適応する加工条件の組合せを前記記憶装置に記憶された複数の加工条件の組合せの中からそれぞれ選定して設定する加工条件設定手段と、を含む演算装置と、を含んでなる形彫放電加工装置の数値制御電源装置。
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