JP4011356B2 - 冷凍固定装置及びこれを用いる機械加工システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの磁性、通気性、剛性などの有無に関係なく、ワークを機械加工するために工作機械に固定する冷凍固定装置と、これを用いる機械加工システムに係り、ステージの変形による加工精度の低下を防止できるとともに加工熱によるワーク固定機能の喪失を防止できる上、加工熱によるワーク固定機能の喪失を確実に防止できるようにした冷凍固定装置と、これを用いる機械加工システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば特許第2719759号公報(特開平8−215966号公報)に記載されているように、ペルチェ素子を用いて冷却されるステージ(取付盤)にワークを冷凍により取付ける冷凍固定装置が開発されている。この冷凍固定装置のペルチェ素子は、ステージを冷却する冷却面の反対側の面から熱を放散し、この放熱面と冷却面との温度差が少ないほど高い冷却機能を発揮することが知られている。
【0003】
このため、従来の冷凍固定装置には前記ペルチェ素子及びステージの他にペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットと、この冷却ジャケットに冷媒を供給するチィラーとが設けられる。なお、この冷媒は、冷媒の浪費をなくすために、チィラーと冷却ジャケットとの間で循環させるようにしている。
【0004】
この冷凍固定装置では、ワークの加工熱により、ワークを固定する氷が解凍し、ワーク固定機能が喪失されることが知られており、このワーク固定機能の喪失を防止するために、前記公報においては、該冷凍固定装置のステージに固定されたワークと加工機のツールとの間に工作液を供給する工作液供給手段と、この工作液を冷却する工作液冷却手段とが設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この冷凍固定装置においては、ペルチェ素子は、ステージ側で例えば−20℃から−30℃の低温になり、冷却ジャケット側では反対に20℃から30℃の高温になるので、中央部が冷却ジャケット側に膨らむように反り、ステージはペルチェ素子側で低温になり、ワーク側ではこれよりも高温になるので、中央部がワーク側に膨らむように反るということになり、ペルチェ素子とステージとの密着性が損なわれ、ペルチェ素子がステージを冷却する効率が低下するという問題がある。
【0006】
又、冷却ジャケットは、ペルチェ素子側よりもその反対側が高温になるので、ペルチェ素子と同じ方向に反るのであるが、冷却ジャケットはペルチェ素子との熱交換率を高めるために、アルミニウム合金、銅合金、鉄合金などペルチェ素子に比べて熱膨張係数が大きい金属で形成されているため、ペルチェ素子よりも大きく反って、ペルチェ素子と冷却ジャケットとの密着性が損なわれ、冷却ジャケットがペルチェ素子の放熱面を冷却する効率が低下するという問題が生じる。
【0007】
これらの事情によって、従来のように冷却した工作液をワークとツールとの間に供給した場合でも、加工熱が工作液の冷却作用によっては十分に除去されず、ワーク固定機能が喪失することがあり、又、ステージの反りによって加工精度が損なわれることがある。
【0008】
この問題を解決するために、ステージ、ペルチェ素子、及び冷却ジャケットを接着することを試みたが、実際にはこれらが互いに剥離して接着の意味がなくなる上、不良になった場合には、これらが一体となった本体ごと交換する必要があり、ランニングコストが著しく高価になるので、実用的ではないことが判明した。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、ステージの変形による加工精度の低下を防止できるとともに加工熱によるワーク固定機能の喪失を防止できるようにした冷凍固定装置と、これを用いることによりステージの変形による加工精度の低下を防止できると共に、加工熱によるワーク固定機能の喪失を確実に防止できるようにした機械加工システムとを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍固定装置(以下、本発明装置という。)は、前記目的を達成するため、ペルチェ素子と、その冷却面側に配置されるステージと、ペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットとを有する本体と、前記冷却ジャケット内に供給する冷媒を冷却するチラーとを備える冷凍固定装置において、該本体の下方を覆う底部と、この底部から立上げられ、断熱材を介して前記ステージの周縁部を底部に支持させる周壁部とを有する1個のハウジングと、該底部から立上げられ、ステージの中央部を支承する1本又は複数本の縦軸の中空ポールとを備え、前記底部、中空ポール及びステージが通しボルトとナットとにより共締めされていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、ステージの周縁部がハウジングの周壁部に支持され、中央部が中空ポールを介してハウジングの底部に支承されるので、ワークを押し下げようとする加工力によりステージが中央部で下に膨らむように湾曲することが防止される。
【0012】
又、ステージの周縁部がハウジングの周壁部に支持され、中央部が前記該中空ポールを貫通する通しボルトを介してハウジングの底部により牽制されるので、熱歪によりステージが中央部で上方に膨らむように湾曲することが防止される。
【0013】
即ち、ステージの反りが防止されるので、これによる加工精度の低下が棒しされる。又、ステージがワーク側に反ることが防止される結果、ペルチェ素子とステージとの密着性が確保され、ペルチェ素子がステージを確実に冷却するので、ワーク固定機能が確保される。
【0014】
以下、本発明装置について更に詳細に説明する。
本発明装置は、工作機械のテーブル上に固定される本体と、この本体に供給する冷媒を冷却するチィラーとを備え、この本体は、ペルチェ素子と、その冷却面側に配置されるステージと、ペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットとを有する。
【0015】
前記ペルチェ素子は、市販されているサイズのものを用いればよく、ステージの広さに対応して適当な個数のペルチェ素子を直列及び/又は並列に接続して用いる。ペルチェ素子は直列に接続すると各素子の冷却機能が均等になる点で好ましいが、駆動電圧が高くなるという問題があり、並列接続するとリード線抵抗などのバラツキから冷却機能にバラツキが生じ易い反面、駆動電圧を低くできるという利点が得られる。したがって、冷却機能の平均化と駆動電圧の低電圧化という相反する要請を調和させるために、適当数のペルチェ素子を直列に接続した素子アレイを並列接続することが好ましい。
【0016】
前記ステージは例えばステンレス鋼、銅、銅合金、チタン合金、セラミックス、ジュラルミンなどの不銹性に優れ、熱伝導性が高く、しかも、剛性の高い材質で形成されていることが好ましく、又、前記ペルチェ素子の冷却面に密接して配置されることが好ましく、例えば付勢手段で冷却ジャケットを介してペルチェ素子をステージの下面に押圧することによりステージをペルチェ素子に密着させることが好ましい。
【0017】
このステージの平面形状は、特に限定されず、例えば、長方形などの工作機械のテーブル平面形状や、円形などのワーク平面形状に相似する形状に形成すればよく、又、その大きさは工作機械のテーブルよりも小さく、ワークよりも大きく形成してあればよい。
【0018】
前記冷却ジャケットは、ステンレス鋼、チタン合金、ジュラルミン、セラミックス、アルミニウム、銅、真鍮などの熱伝導性が高い、好ましくは不銹性の優れた材質を用いて形成すればよい。
【0019】
この冷却ジャケットの平面形状は、特に限定されないが、ペルチェ素子全体を確実に冷却するために、ペルチェ素子が配置される平面の全面を覆う平面形状に形成することが好ましく、又、その上面はペルチェ素子との接触面積を最大にするために、平面であることが好ましい。
【0020】
この冷却ジャケットの内部にはペルチェ素子全体を平均的に冷却できるような冷媒の流路、例えば、ペルチェ素子が列に並べて配置される場合には、その列の一端から他端に延び、他端で反転して一端に戻るような流路を形成することが好ましい。
【0021】
冷却ジャケットの内部にこのような流路を形成する方法は特に限定されず、例えば平板の下面に冷媒を流通させるパイプを溶接する方法や、鋳抜きにより形成する方法などを採用することも可能であるが、熱交換率を高めるために、冷却ジャケットをブロック状のジャケット本体と、このジャケット本体の平面状の上面を全面的に覆う蓋板とで構成し、このジャケット本体の上面に流路を溝状に機械加工し、封止部材を挟んで蓋板で流路の上面を水密状に封止する方法を採用することが好ましい。
【0022】
又、この冷却ジャケットの表面は、ペルチェ素子に対向ないし接する部分を除いて、断熱塗料などの断熱材で被覆し、後述するハウジング等への熱輻射を減衰させ、ハウシング等の熱歪を防止することが好ましい。
【0023】
更に、この冷却ジャケットの上面はペルチェ素子に密接することが好ましく、例えば冷却ジャケットが、ペルチェ素子を挟んでネジでステージに締め付けられたり、付勢手段でペルチェ素子に押圧されたりして密接することが好ましい。
【0024】
前記チィラーは、前記本体の冷却ジャケットに冷媒を供給できるように構成してあれば良いが、冷媒の浪費を避けるために、冷却ジャケットから排出される冷媒を回収して、冷却した後、再度冷却ジャケットに循環させるように構成することが好ましい。
【0025】
ところで、本発明装置は、前記本体及びチィラーの他に、1個のハウジングを備え、このハウジングは、前記本体の下方を覆う底部と、この底部から立上げられ、断熱材を介して前記ステージの周縁部を底部に支持させる周壁部とを有する。
【0026】
このハウジングの底部は、ハウジングの高さを低く抑えるために、厚板で構成され、必要に応じて重量軽減孔を形成してもよいが、ハウジング内に水や工作液が浸入して前記本体内の電気配線がショートすることを防止するため、延板状に形成することが好ましい。
【0027】
この底部は本体の冷却ジャケットに接するように設けてもよいが、底部から冷却ジャケットへの熱伝導を防止するために、底部と冷却ジャケットとの間に適当な断熱空間を設けることが好ましく、この断熱空間における底部から冷却ジャケットへの熱輻射を防止するため、この断熱空間に断熱材を充填したり、底部の上面を断熱塗料などの断熱材で被覆したりすることが更に好ましい。
【0028】
前記ハウジングは、一体鋳造、一体材料からの切削加工などにより底部と一体に形成してもよいが、部品コストを安価にするために、底部と別体に、例えば棒材又は型材を適当な長さに裁断し、裁断された部材を例えば額縁状に溶接し、必要に応じて機械加工により仕上ることが好ましい。
【0029】
このハウジングの周壁部の平面形状は、前記本体のステージの周縁部と平面的に重なり合う形状であればよく、前記ステージの周縁部に沿って断続的に設けても良いが、ハウジングの剛性を高めるとともに、ハウジング内に水や工作液が浸入して前記本体内の電気配線がショートすることを防止するため、その全周にわたって連続する連続壁で構成することが好ましい。
【0030】
この周壁部は、本体のペルチェ素子及び冷却ジャケットに接するように設けてもよいが、ハウジングの熱が冷却ジャケットに伝導することを防止するために、ペルチェ素子及び冷却ジャケットと周壁部との間には適当な断熱空間を設けることが好ましく、この断熱空間におけるハウジングから冷却ジャケットへの熱の輻射を防止するために、この断熱空間に断熱材を充填したり、周壁部の内面を断熱塗料などの断熱材で被覆したりすることが更に好ましい。
【0031】
ところで、このハウジングの周壁部と前記ステージとの間には断熱材が配置され、これによりハウジングからステージに熱が伝導されることが防止される。
【0032】
この断熱材の材質は、断熱性を有するものであって低温に耐えるものであれば特に限定されないが、ステージの振動による加工精度の低下を防止するため、剛性及び表面硬度が高いものを用いることが好ましく、例えばシリコーンゴム等のゴム板、ベークライト板やシリコーン樹脂板等の合成樹脂板、厚紙、アスベスト(石綿)板等が用いられる。
【0033】
なお、必要に応じて、ステージの周縁部とハウジングの周壁部とは、例えば一定以下の間隔を置いてハウジングの底部の下側からハウジングの周壁部及び断熱材を貫通し、ステージの周縁部に螺合される通しボルトにより締結される。
【0034】
又、ステージとハウジングの周壁部との間には、ハウジング内に水や工作液が浸入して前記本体内の配線がショートすることを防止するため、封止部材を用いて水密状にすることが好ましく、例えば前記周壁部の上縁外側部分がステージの周囲に延出され、この延出部分とステージの外周との間に水密性を有する封止部材が配置されることが好ましい。
【0035】
もっとも、前記ハウジングの周壁部とステージの周縁部との間に挿入される断熱材に水密性がある場合には、この断熱材を封止部材に兼用し、特別の封止部材を省略してもよい。
【0036】
ところで、本発明の冷凍固定装置には、上述した本体、チィラー、及びハウジングの他に、前記ハウジングの底部から立ち上げられ、前記ステージの中央部を支承する1本又は複数本の縦軸の中空ポールを備える。
【0037】
この中空ポールは、例えば一体鋳造、一体材料の機械加工などによりハウジングの底部及び周壁部と一体に形成してもよいが、部品コストを安価にするために、これらと別体に、例えばパイプ部材を所定の長さに切断することにより形成し、前記底部の下方から中空ポールを貫通し、ステージに螺合される通しボルトにより、前記底部とステージとの間に共締めされることが好ましい。
【0038】
この中空ポールは、ハウジングの周壁部と共にワークを押し下げる加工力を分担できる程度の剛性を備えることが必要であり、例えばステンレス鋼、チタン合金、ジュラルミンなどで形成される。
【0039】
又、中空ポールを貫通する前記通しボルトは、ステージの中央部が上向きに反ることを防止できる程度以上の張力に耐えるものであればよく、1本だけ設けてもよいが、複数本を設けると、ステージの反りを平均して防止することができる。しかし、中空ポールの本数を多くすると、ステージから通しボルトを経て底部に熱が伝導し易くなるので好ましくない。結局はステージの面積に対して、通しボルトの熱伝導が無視できる程度でステージの反りを防止できる本数を経験的に求めることになる。例えば、340mm×150mm程度のステージの場合には2本の中空ポストを設ければよい。
【0040】
前記ステージから中空ポール及び通しボルトを経てハウジングの底部に伝導される熱は、中空ポールの数が少ない場合には無視することができるが、ステージの面積の割に多数本の中空ポールが設けられ、この熱伝導が無視できなくなる可能性がある。このような場合には、中空ポールとステージとの間に断熱材を挟んで、伝熱面積を通しボルトの断面積に絞ることによりハウジングへの伝導熱量を制限することが好ましい。
【0041】
ところで、上述したように、前記冷却ジャケットは中央部がペルチェ素子と反対側に膨らむように反る傾向があり、このため冷却効率が低下するという問題がある。この問題は、ペルチェ素子表裏の温度差増大につながり、更にペルチェ素子の電子冷却機能の低下につながる。そして、このペルチェ素子の電子冷却機能が低下すると、ワーク固定機能が低下するという問題にまで発展する。
【0042】
そこで、本発明の冷凍固定装置においては、前記底部と冷却ジャケットとの間に断發力を有する少なくとも1個の付勢手段が設けることにより、この付勢手段の断發力で冷却ジャケットをペルチェ素子に押付けて、冷却ジャケットの冷却機能が確実に発揮されるようにすることが好ましい。
【0043】
特に、冷却ジャケットの冷媒通路の上面が封止部材を介してペルチェ素子により水密状に封止されている場合には、付勢手段で冷却ジャケットをペルチェ素子に押圧することにより、水密性を確保することができる。
【0044】
次に、本発明に係る冷凍固定装置を備える機械加工システム(以下、本発明システムという。)は、上記目的を達成するため、工作機械のテーブル上にワークを凍結させて固定する冷凍固定装置を用いる機械加工システムにおいて、上述した本発明装置が用いられることを特徴とする。
【0045】
これによれば、上述したように、冷凍固定装置のステージの反りが防止され、ステージの反りによる加工精度の低下が防止され、又、ワーク固定機能の喪失が防止される。
【0046】
本発明システムにおいて、必要に応じて、該冷凍固定装置のステージに固定されたワークと工作機械のツールとの間に工作液を供給する工作液供給手段と、この工作液を冷却する工作液冷却手段とが設けられると、加工熱を工作液に吸収させて冷却固定装置の本体に伝導される加工熱の熱量を少なくすることができるので、解凍によるワーク固定機能の喪失を一層確実に防止できるようになると共に、加工熱によるステージの熱歪を小さくすることができるので、ステージ及び通しボルトに作用する熱応力を小さくできると共に、ステージの熱歪による加工精度の低下を一層確実に防止できる。
【0047】
特に、前記ワークとツールとの間に供給された工作液を回収する集水枡と、この集水枡に回収された工作液から固形不純物を分離除去する濾過手段とが設けられ、該濾過手段で濾過された工作液を工作液供給手段に循環させると、工作液の浪費をなくすことができ、ランニングコストを安価に抑えることができる。
【0048】
ところで、凍結固定装置ではワークとステージとの間に形成される薄い氷の層によってワークがステージに固定されるが、ツールがステージの表面に接近する加工、例えば切断加工の場合には、その氷の層がツールによって切取られ、又、その周囲の氷が加工熱により部分的に溶け出すことがある。
【0049】
この局部的な解氷は、ステージや工作液が熱を吸収することにより再凍結されて解消されるのであるが、前記工作液供給手段からワークとツールとの間に供給された工作液の一部がワークの加工部、例えば切削溝に滞留し、次第に加熱されて氷点よりも高温になったり氷点近くまで昇温したりして再凍結を遅らせることがあり、このために凍結固定力が低下することがある。
【0050】
加工部の寸法が小さければ小さい程工作液は加工部に溜まり易くなり、例えば半導体ウエハを矩形の半導体チップに切り分ける場合など、加工部、即ち切断溝の幅が狭く、しかも、加工部の間隔が狭い場合には加工部に滞留した工作液が昇温し、氷の再生が遅れるため、一方向への切断加工を終えた後、ステージの方向を90°振り替えて他の方向への切断加工を始めると、既に切断された加工部での再凍結が不充分な状態で切断加工が始められてワークがステージから剥れることがあった。
【0051】
そこで、本発明システムにおいては、このような課題を解決するために、ワークの加工済部に冷却風を供給する冷却風供給手段と、空気を冷却したり、或いは冷却風を冷却する冷却風冷却手段とを備える空冷手段が設けられていることが好ましい。
【0052】
この空冷手段を設けると、加工済部に冷却風が吹付けられることにより、加工液が加工済部から吹き飛ばされると共に、ワークの加工済部及びそこに滞留する加工液が冷却され、再凍結が早められ、凍結固定力が瞬間的に回復される。
【0053】
前記冷却風供給手段は、ワークの加工済部に冷却風を吹付けるように構成されていることが必要であるが、これに加えて加工熱が発生するワークの加工点、即ち、ワークとツールとが接触している点に冷却風を吹付けるようにしてもよく、この場合、加工点におけるワークと加工液の昇温を抑制せきるので有益である。
【0054】
もちろん、ワークの加工部に供給される冷却風の温度は氷点以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましい。しかし、冷却風冷却手段の能力が大きくなると装置が大型で高価になり、ランニングコストも高くなるので、−30℃以下にすることは好ましくない。
【0055】
前記冷却風冷却手段は、空気(大気)を冷却したり、或いは冷却風を所定の温度に冷却するように構成してあればよく、例えば空気(大気)を吸入して冷却するように構成すればよいのであるが、装置を小型で安価にすると共に、ランニングコストを削減するために、ワークの加工部に供給された冷却風を冷却風冷却手段に回収する冷却風回収手段が設けられ、ワークの加工部に供給された冷風を繰返し冷却風冷却手段で冷却してワーク加工部に再供給することが好ましい。
【0056】
この冷却風回収手段は、ワークの加工部に供給された冷却風を冷却風冷却手段に回収できるように構成されていればよく、例えばワークとツールとを取囲み、前記集水枡の上面を全面的に覆うフードと、このフードの内部空間を冷却風冷却手段の吸気口の連通させる還流路とを設ければよく、必要に応じて送風手段を介在させればよいのである。
【0057】
この冷却風回収手段を設ける場合、冷却風冷却手段に回収する冷却風には工作液のミスとなどの液分が含まれている。この液分は冷却風冷却手段内に錆を発生させたり、滞留して冷却風の送風の抵抗になったりするので、この冷却風回収手段には冷却風冷却手段に回収する冷却風から液分を分離して乾燥させる気液分離手段を設けて、冷却水冷却手段に液分が入らないようにすることが好ましい。
【0058】
この気液分離手段は、液分を含んだ気体から液分を分離できるように構成してあれば特に限定されず、例えば液トラップ、サイクロンなどを用いればよい。
【0059】
又、この気液分離手段で分離した液分の主成分は工作液であるので、この液分は例えば前記集水枡に流して回収し、再利用することが好ましい。
【0060】
【作用】
以上に説明したように、本発明の冷凍固定装置は、ペルチェ素子と、その冷却面側に配置されるステージと、ペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットとを有する本体と、前記冷却ジャケット内に供給する冷媒を冷却するチラーとを備える冷凍固定装置において該本体の下方を覆う底部と、この底部から立上げられ、断熱材を介して前記ステージの周縁部を底部に支持させる周壁部とを有する1個のハウジングと、該底部から立上げられ、前記ステージの中央部を支承する1本又は複数本の縦軸の中空ポールとを備え、前記底部、中空ポール及びステージが通しボルトにより共締めされるので、本発明装置によれば、以下のような作用が得られる。
【0061】
先ず、前記ステージの周縁部が剛性の高いハウジングに支持されると共に、その中央部が中空ポールを介して前記底部に支承されるので、ステージの中央部が下側、即ちペルチェ素子側に膨らむように反ることが防止される作用が得られる。
【0062】
又、前記ステージの周縁部が剛性の高いハウジングに支持されると共に、その中央部にハウジングの下方から中空ポールを貫通する通しボルトが螺合されるので、ステージの中央部が上側、即ち、ワーク側に膨らむように反ることが防止される作用が得られる。
【0063】
そして、これらの作用により、ステージの反りによる加工精度の低下が防止されるという作用が得られるのである。
【0064】
又、ステージの下側及び上側への反りが防止されるという作用により、ステージとペルチェ素子との密着性が高められ、ペルチェ素子により確実にステージが冷却され、加工熱によるワーク固定機能の喪失が防止されるという作用が得られるのである。
【0065】
次に、本発明システムは、以上に説明したように、工作機械のテーブル上にワークを凍結させて固定する冷凍固定装置を用いる機械加工システムにおいて、上述した本発明装置が用いられるので、本発明装置で得られる作用と同様の作用を得ることができる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
図1は、本発明装置の一実施例の縦断正面図であり、図2はその平面図であり、図10は本発明装置を用いた機械加工システムの構成図である。
【0067】
この図10に示すように、この冷凍固定装置1は、本体2とチィラー3とを備え、図1に示すように、本体2は、共通の平面に2列に並べて配置される例えば14個のペルチェ素子4と、これらペルチェ素子4の上面に接するように配置されたステージ5と、前記ペルチェ素子4の下面に接するように配置された冷却ジャケット6とを備え、この冷却ジャケット6内に形成された流路と前記チィラー3とにわたって冷媒を循環させている。
【0068】
ところで、図3は前記ステージ5の側面図であり、図4は該ステージの底面図である。これら図3及び図4に示すように、前記ステージ5は、厚さ12mmのステンレス磨き鋼板を所定の大きさの長方形に裁断したステージ本体5aと、これの上面に接着される例えば厚さ6mm程度のステンレス磨き鋼板を所定の大きさの長方形に裁断したライニング材5bとからなり、このライニング材5bは一定以上摩耗すれば交換される。前記ステージ本体5aの周縁部の適当な間隔を置いた複数箇所及び中央部の2箇所に下面からネジ穴8が形成される。又、その外周面には封止部材46を嵌め込む溝9が形成される。
【0069】
なお、このステージ5の下面には、温度センサ取付け用の凹部10及びネジ穴11が設けられる。
【0070】
図5は冷却ジャケット6のジャケット本体6aの平面図、図6は冷却ジャケット6の縦断正面図である。図6に示すように、前記冷却ジャケット6は、例えば銅、ジュラルミンなどの高熱伝導性金属からなり、内部に冷媒の流路7が形成されるジャケット本体6aと、これの上面に固定される蓋板6bとを備えている。
【0071】
図5に示すように、前記流路7はジャケット本体6aの上面に開放され、ペルチェ素子4の各列の一端から他端に向かい、他端で折返して一端に戻るように蛇行する平面形状に機械加工されている。
【0072】
この流路7の一端はジャケット本体6aの一端面を貫通する入口10に接続される断熱ホースを介して前記チィラー3の冷媒供給口に接続され、他端は該ジャケット本体6aの前記一端面を貫通する出口11に接続される断熱ホースを介して前記チィラー2の冷媒戻り口に接続される。
【0073】
前記ジャケット本体6aの上面には流路7の周囲を連続して取囲む封止部材12が埋め込まれ、この封止部材12に密着するように蓋板6bをジャケット本体6aに例えば多数の小ネジで締め付けることにより、流路7の上面が蓋板6bにより水密状に閉塞される。
【0074】
なお、前記冷却ジャケット6の一端部にはペルチェ素子4への配線用の凹部13が形成され、中央部には後述する中空ポールを挿通するポール挿通孔14が形成される。
【0075】
ところで、図1及び図2に示すように、この冷凍固定装置1はハウジング15を備え、このハウジング15は、前記本体2を下方から覆う底部16と、この底部16から立上げられた額縁状の周壁部17とを有する。
【0076】
図1に示すように、この周壁部17の内周部上面に形成した段落部18に絶縁材19を介して前記ステージ5の周縁部が載置され、多数の通しボルト20を用いてステージ5をハウジング15に固定している。即ち、各通しボルト20は、適当な間隔を置いて底部16の下方から挿入され、周壁部17及び断熱材19を貫通し、ステージ5の下面に螺合され、この通しボルト20を締め込むことにより、ステージ5の周縁部が強固にハウジング15に固定される。
【0077】
なお、前記底部17はステンレス鋼板を、例えば工作機械のテーブルに固定された電磁チャックの大きさに合わせて長方形に裁断することにより形成され、必要に応じて、その四隅に後述する集水枡を固定するためのボルト挿通孔21が形成されている。
【0078】
図7は前記周壁部17の縦断正面図であり、図8はその平面図である。この周壁部17はステンレス鋼の角棒材を所定の寸法に裁断し、額縁状に溶接した後、機械加工したものであり、前記底部16の下から挿入されたボルト39(図1に示す。)を外周部に螺合して締め込むことにより、底部16に固定される。このため、周壁部17の底面には適当な間隔を置いて多数のネジ穴22が立てられている。
【0079】
又、前記この周壁部17の内周部には、所定の間隔を置いて前記通しボルト20が挿通される多数の貫通孔23が形成されている。
【0080】
図1に示すように、この周壁部17及びこれで囲まれる底部16の上面と冷却ジャケット6との間には適当な大きさの断熱空間24が設けられ、これによりハウジング15の熱が冷却ジャケット6に伝導されることが防止されている。又、必要に応じて、冷却ジャケット6の周面及び底面、ハウジング15の周壁部17の内面、並びに周壁部17で囲まれた底部16の部分の上面には断熱塗料が塗着され、これによりハウジング15から冷却ジャケット6への熱の輻射が防止されている。
【0081】
なお、前記周壁部17とステージ5との間には前記封止部材46を挟んで、工作液などがハウジング15内に浸入して配線をショートさせることを防止している。又、前記周壁部17とステージ5との間には必要に応じて、コーキング材を用いて更に確実に水密状に封止するようにしている。
【0082】
ところで、図1及び図2に示すように、この冷凍固定装置1は、前記ハウジング15の底部16に立上げられ、断熱材19を介してステージ5の中央部を支承する2本の中空ポール25が設けられる。
【0083】
この中空ポール25はステンレス鋼管を所定の長さに裁断したものであり、底部16の下側から挿入された通しボルト26がこの中空ポル24内を貫通してステージ5の下面に螺合され、この通しボルト26を締め込むことにより、ステージ5の中央部が底部16に対して所定の高さに固定される。
【0084】
なお、図9は前記断熱材19の平面図であり、この図9に示すように、断熱材19は横長の日型の枠状に、合成樹脂、例えばベークライトで形成され、又、その周囲部19aには所定の間隔を置いて通しボルト20が挿通される多数口の孔27が形成され、中央の桟部19bには通しボルト26が挿通される2口の孔28が形成されている。
【0085】
そして、この桟部19bの両側の抜取孔19cにそれぞれ例えば7枚のペルチェ素子4が列をなすように配置されるのである(図2参照)。
【0086】
又、図示はしないが前記底部16には、前記ボルト39、通しボルト20、26を挿通する多数の座刳付き孔が形成される。
【0087】
更に、図1及び図2に示すように、前記周壁部17の一端面にはカバーブロック29が固定され、このカバーブロック29の一端面には冷媒導入用の断熱ホース30を固定するホースクランプ31と、配線を収納するフレキシブルチューブ32を固定するチューブクランプ33と冷媒排出用の断熱ホース34を固定するホースクランプ35とが固定されている。
【0088】
ところで、図1に示すように、前記ハウジング15の底部16と冷却ジャケット6との間には、例えば4本の圧縮コイルバネからなる付勢手段36が挿入され、この付勢手段36の圧力(弾發力)で冷却ジャケット6がペルチェ素子4に押圧されて密着し、ペルチェ素子4がステージ5に押圧されて密着するようにしている。
【0089】
さて、この冷凍固定装置1によれば、前記ステージ5の周縁部がハウジング15の周壁部17に固定され、その中央部の2箇所が通しボルト26及び中空ポール25を介してハウジング15の底部16に固定されている。
【0090】
したがって、このステージ5の上面に凍結固定されたワークを介してステージ5を中央部が下に膨らむように反らせようとする加工力がステージ5に作用しても、この加工力が中空ポール25を介してハウジング15の底部16に受止められるので、ステージ5が下に反ることはない。
【0091】
又、熱応力差によってステージ5をその中央部が上に膨らむように反らせる内部応力が作用しても、ステージ5の中央部の上方への移動が通しボルト26を介してハウジング15の底部16によって牽制されているので、ステージ5が上に反ることはない。
【0092】
そして、このようにステージ5の変形が防止されることにより、ステージ5の変形による加工精度の低下が確実に防止されるのである。
【0093】
因みに、前記ハウジング15は断熱材19、断熱空間24及び断熱塗料により前記本体2から断熱されている上、高剛性に造られているので、その熱歪みや、加工力及び通しボルト26に作用する張力に対する変形は完全に無視することができる。
【0094】
又、前記ハウジング15が本体2から断熱されると共に、前記付勢手段36が冷却ジャケット6をペルチェ素子4に密着させているので、ペルチェ素子4の放熱面が冷却ジャケット6によって効率良く、確実に冷却されるので、ペルチェ素子4の表裏の温度差が小さくなり、ペルチェ素子4の電子冷却機能が高められる。
【0095】
さらに、前記付勢手段36がペルチェ素子4をステージ5に押圧して密着させているので、ステージ5がペルチェ素子によって効率良く、確実に冷却され、ステージ5のワーク側の表面温度を加工熱が加わってもステージ5の上面を確実に氷点下に冷却することができ、解凍によるワーク保持機能が喪失されることはない。
【0096】
特に、後述するように、ワークと工作機械のツールとの間に冷却された工作液や冷却風が供給される場合には、加工熱を工作液や冷却風に吸収させることができるので、解凍によるワーク保持機能の喪失を一層確実に防止することができるのである。
【0097】
図10は本発明システムの一実施例の構成図であり、この図10に示すように、このシステムは、工作機械のテーブル上に例えば電磁チャックを介して固定される前記冷凍固定装置1の本体2及びハウジング15と、本体2の上面に冷凍固定されたワーク37と前記工作機械のツール38との間に工作液を供給する工作液供給手段40と、ワーク37とツール38との間に供給された工作液を回収する集水枡41と、工作液供給手段40の内部に設けた濾過手段42とを備え、集水枡41で回収した工作液を濾過手段42で濾過してから、前記工作液供給手段40の工作液タンク43に還流させるようにしている。
【0098】
又、前記工作液供給手段40は例えば水ポンプからなる工作液ポンプ44と、工作液冷却手段45とを備え、工作液タンク43から水ポンプ44で汲出した工作液を工作液冷却手段45で、例えば−5℃〜−30℃に冷却してからワーク37とツール38との間に吐出するように構成されている。
【0099】
図11は前記集水枡41の平面図であり、図12はその正面図である。これら図11及び図12に示すように、前記集水枡41は、前記ハウジング15の底部16の下面に固定されるベース板41aと、このベース板41aの上面に固定され、前記ハウジング15を取囲む水盤41bとを備え、前記ベース板41aに開設した3口の排出口41cの下側にはそれぞれ排出用ホースを接続する口金41dが設けられる。
【0100】
なお、この水盤41bの周壁の前面には、作業性を高めるために、段落部41eが設けられ、例えば右側面には前記断熱ホース30、34及びフレキシブルチューブ32を通すための段落部が設けられる。そして、この右側面の外側に、前記断熱ホース30、34及びフレキシブルチューブ32を支持する保持金具41fが固定されている。
【0101】
又、前記ベース板41aの下面には、電磁チャックに位置合わせするための定規41g、41hが固定されている。
【0102】
この機械加工システムによれば、前記本発明装置の実施例で説明したように、冷凍固定装置1により、ステージ5の反りによる加工精度の低下を防止でき、又、解凍によるワーク固定機能の喪失を防止できる上、ワーク37とツール38との間に冷却された工作液が供給されるので、解凍によるワーク固定機能の喪失が一層確実に防止されると共に、加工熱をこの工作液に吸収させ、ステージ5の表裏の温度差を小さくして、ステージ5の中央部を上に反らせる内部応力を小さくすることができる。その結果、ステージ5の反りによる加工精度の低下を一層確実に防止できるようになるのである。
【0103】
図13は、本発明システムに係る他の実施例の構成図であり、この図13に示すように、このシステムは前例と同様に工作液供給手段40を備える構成に加えて、ワーク37の加工点及び加工済部を冷却する空冷手段50を備えている。
【0104】
この空冷手段50は、冷却風をワーク37の加工点及び加工済部に冷却風を供給する冷却風供給手段51と、この冷却風を例えば−5℃〜−30℃に冷却する冷却風冷却手段52と、ワーク37の加工点及び加工済部に供給された冷却風を冷却風冷却手段52に回収する冷却風回収手段53とを備える。
【0105】
冷却風供給手段51は冷却風をワーク37の加工点から極わずか離れた加工済部に向けて噴射するノズル51aと、このノズル15aを冷却風冷却手段52の出口に連通させる供給路51bと、この供給路51bに介在させた送風機51cとを備え、冷却風冷却手段52で冷却した冷気を送風機51cで吸引し、ノズル51aから噴射させるように構成している。
【0106】
これにより、加工点におけるワーク37及び加工液の昇温を抑制し、又、加工済部から加工液を吹き飛ばすと共に、加工済部及びそこに残留している加工液を瞬間的に冷却して加工済部から生じる局部的な解凍が瞬間的に解消されて再凍結されるようにしている。
【0107】
冷却風回収手段53は、ツール38及びワーク37を取囲み、前記集水枡41の上面全体を好ましくは気密状に覆う例えば下面が開放された直方形箱型のフード53aと、このフード53aの内部空間を冷却風冷却手段52の入口に連通させる還流路53bとを備える。
【0108】
冷却風回収手段53としてはこの還流路53b内にフード53aから冷却風冷却手段52に向かう気流を形成するための送風機が必要であるが、ここでは空冷手段50の構成を簡単にすると共に、空冷手段50を安価にするために、この冷却風回収手段53の送風機として冷却風供給手段51の送風機51cが兼用されている。
【0109】
このように、冷却風回収手段53を設けると、冷気が残っている空気を冷却風冷却手段52に導入できるので、冷却風冷却手段52の負荷が軽くなり、小型で安価な冷却風冷却手段52を用いることができるから、冷却手段50を小型に、かつ安価にすることができる。
【0110】
この冷却風回収手段53の還流路53bには、例えばサイクロンからなる気液分離手段54を介在させてあり、何ら特別のエネルギーを消費することなく冷却風冷却手段52に回収する冷却風から液分、即ち工作液を分離できるようにしている。
【0111】
これにより、冷却風冷却手段52及び冷却風冷却手段51に流れる気流から液分が分離され、これら冷却風冷却手段52及び冷却風供給手段51内に錆が発生することを防止できると共に、これら冷却風冷却手段52や冷却風供給手段51の内部で液分が凝集して冷却風の通路を狭めたり、詰まらせたりすることを防止できたり、結露水により送風機51cの負荷が増大することを長期間にわたって防止することができるのである。
【0112】
前記気液分離手段54で分離された液分は、工作液を主成分とする液であり、回収管55により集水枡41に流し込み、回収して再使用するようにしている。
【0113】
この実施例のその他の構成、作用ないし効果は前例のそれと同様であるので、重複を避けるためにこれらの詳細な説明は省略する。
【0114】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明装置は、ペルチェ素子と、その冷却面側に配置されるステージと、ペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットとを有する本体と、前記冷却ジャケット内に供給する冷媒を冷却するチラーとを備える冷凍固定装置において、該本体の下方を覆う底部と、この底部から立上げられ、断熱材を介して前記ステージの周縁部を底部に支持させる周壁部とを有する1個のハウジングと、該底部から立上げられ、ステージの中央部を支承する1本又は複数本の縦軸の中空ポールとを備え、前記底部、中空ポール及びステージが通しボルトとナットとにより共締めされることを特徴とする。
【0115】
これにより、前記ステージの周縁部が剛性の高いハウジングに支持されると共に、その中央部が中空ポールを介して前記底部に支承されるので、ステージの中央部が下側、即ちペルチェ素子側に膨らむように反ることが防止される一方、又、前記ステージの周縁部が剛性の高いハウジングに支持されると共に、その中央部にハウジングの下方から中空ポールを貫通する通しボルトが螺合されるので、ステージの中央部が上側、即ち、ワーク側に膨らむように反ることが防止され、ステージの反りによる加工精度の低下が防止されるという効果が得られるのである。
【0116】
又、本発明装置によれば、ステージの下側及び上側への反りが防止されるので、ステージとペルチェ素子との密着性が高められ、ペルチェ素子により確実にステージが冷却され、加工熱によるワーク固定機能の喪失が防止されるという作用が得られるのである。
【0117】
次に、本発明システムは、工作機械のテーブル上にワークを凍結させて固定する冷凍固定装置を用いる機械加工システムにおいて、上述した本発明装置が用いられるので、本発明装置で得られる作用と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明装置の縦断正面図である。
【図2】図2は、本発明装置の平面図である。
【図3】図3は、本発明装置のステージの側面図である。
【図4】図4は、本発明装置のステージの底面図である。
【図5】図5は、本発明装置のジャケット本体の平面図である。
【図6】図6は、本発明装置の冷却ジャケットの縦断正面図である。
【図7】図7は、本発明装置の周壁部の縦断正面図である。
【図8】図8は、本発明装置の周壁部の平面図である。
【図9】図9は、本発明装置の断熱材の平面図である。
【図10】図10は、本発明システムの構成図である。
【図11】図11は、本発明システムの集水枡の平面図。
【図12】図12は、本発明システムの集水枡の正面図である。
【図13】図13は、本発明システムの構成図である。
【符号の説明】
1 凍結固定装置
2 本体
3 チィラー
4 ペルチェ素子
5 ステージ
6 冷却ジャケット
15 ハウジング
16 底部
17 周壁部
19 断熱材
24 断熱空間
25 中空ポール
26 通しボルト
36 付勢手段
40 工作液供給手段
41 集水枡
42 濾過手段
45 工作液冷却手段
46 封止部材
50 空冷手段
51 冷却風供給手段
52 冷却風冷却手段
53 冷却風回収手段

Claims (12)

  1. ペルチェ素子と、その冷却面側に配置されるステージと、ペルチェ素子の放熱面を冷却する冷却ジャケットとを有する本体と、前記冷却ジャケット内に供給する冷媒を冷却するチラーとを備える冷凍固定装置において、
    該本体の下方を覆い、工作機械のテーブル上に固定される底部と、この底部から立上げられ、断熱材を介して前記ステージの周縁部を底部に支持させる周壁部とを有するハウジングと、該底部から立上げられ、前記ステージの中央部を支承する1本又は複数本の縦軸の中空ポールとを備え、前記底部、中空ポール及びステージが通しボルトにより共締めされていることを特徴とする冷凍固定装置。
  2. 周壁部が前記ステージの周縁部を全周に沿って設けられる連続壁からなる請求項1に記載の冷凍固定装置。
  3. 周壁部の上縁外側部分がステージの周囲に延出され、この延出部分とステージの外周との間に水密性を有する封止部材が配置される請求項2に記載の冷凍固定装置。
  4. ハウジングの底部及び周壁部とペルチェ素子及び冷却ジャケットとの間に断熱空間が設けられる請求項1ないし3に記載の冷凍固定装置。
  5. 複数本の中空ポール、通しボルトが設けられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冷凍固定装置。
  6. 中空ポールと前記ステージとの間に断熱材が配置される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の冷凍固定装置。
  7. 底部と冷却ジャケットとの間に弾發力を有する少なくとも1個の付勢手段が設けられ、この付勢手段の弾發力で冷却ジャケットがペルチェ素子に押圧される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冷凍固定装置。
  8. 工作機械のテーブル上にワークを凍結させて固定する冷凍固定装置を用いる機械加工システムにおいて、
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載の冷凍固定装置が用いられることを特徴とする冷凍固定装置を用いる機械加工システム。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の冷凍固定装置のステージに固定されたワークと工作機械のツールとの間に工作液を供給する工作液供給手段と、この工作液を冷却する工作液冷却手段とが設けられる請求項8に記載の冷凍固定装置を用いる機械加工システム。
  10. ワークとツールとの間に供給された工作液を回収する集水枡と、この集水枡に回収された工作液から固形不純物を分離除去する濾過手段とが設けられ、該濾過手段で濾過された工作液を工作液供給手段に循環させる請求項8又は9に記載の機械加工システム。
  11. ワークの加工済部に冷却風を供給する冷却風供給手段と、空気を冷却したり、或いは冷却風を冷却する冷却風冷却手段とを備える空冷手段が設けられる請求項9又は10に記載の冷凍固定装置を用いる機械加工システム。
  12. ワークの加工済部に供給された冷却風を冷却風冷却手段に回収する冷却風回収手段と、冷却風冷却手段に回収する冷却風から液分を分離する気液分離手段とが設けられる請求項11に記載の冷凍固定装置を用いる機械加工システム。
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