JP4011262B2 - 陰極線管の消磁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビ受像機等の陰極線管(以下CRTと称す)の消磁装置に係り、特にCRTの周囲に消磁コイルを取付ける際に、容易に位置決めができるようにし、外部磁界による色の均一性の悪化を防止することができる消磁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラーテレビ受像機に使用されているCRTは、内蔵したシャドウマスク及びインナーシールド金具が地磁気等の外部磁界によつて帯磁することがあり、この帯磁の影響で電子銃からの電子ビームの軌道が乱れ、色純度が劣化し色の均一性が悪化した画面となる。
【0003】
このため、従来からCRTの外周に消磁コイルを取付け、電源を投入するたびに消磁コイルに消磁電流を流し、CRTに帯磁した磁気を消磁するようにしている。前記消磁電流は、自動消磁回路によって生成され、時間の経過とともに徐々に減衰する交番電流が消磁コイルに供給されるようになっている。
【0004】
図3は、従来の消磁コイルの取付構造の一例を示すもので、CRTの背面から見た図である。図3において11はCRTであり、このCRTの4隅には、ラグと呼ばれる取付金具12が設けられており、この取付金具12はCRT11を受像機の前面筐体に取り付けるため、あるいは消磁コイル15、16を取付けるために使用される。またCRT11のネック部には偏向ヨーク13が取付けられるとともに、CRT11のファンネル部外周面には高圧を供給するためのアノード端子14が設けられている。
【0005】
前記消磁コイル15,16はそれぞれ環状に形成され、かつ直列に接続されてCRT11の背面における上下部にそれぞれ取付けられている。消磁コイル15、16はそれぞれ固定バンド17を用いて取付金具12に取付けられるが、消磁コイル15、16が前記偏向ヨーク13及びアノード端子14に触れないように避けて取付ける必要があり、固定バンド17のほかに固定テープ18を用いて消磁コイル15、16をCRT11の背面外周部に固着するようにしている。また、消磁コイル15、16との間を結束バンド19で結ぶようにしている。
【0006】
このため、消磁コイル15、16の取付時には先ず固定バンド17で取付金具12に取付け、そのあとで固定テープ18を用いて最終的に位置決めする必要があり、取付け作業が面倒で、効率が悪いという欠点があった。また作業者により固定テープ18を貼り付ける位置がばらつくため、最適な位置に取付けることが難しいという不都合もあった。
【0007】
さらに、CRT11のコーナー部111、112は磁界と直角に上下方向に消磁作用が働くため、蛍光体がストライプ状に配置されたCRTでは効率的な消磁作用が働かず、CRT全体に均一な消磁効果が得られないという欠点もあった。
【0008】
なお、前述した固定テープ18を用いる代わりに、実開昭60−61882号公報のようにバンド状の支持具を用いて上下の消磁コイルを互いに引っ張りあうように連結する例もあるが、消磁コイルの形状が変形したり、支持具の取付け作業が面倒であるという不都合があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の消磁装置では、消磁コイル15、16の取付け時に固定バンドや固定テープを用いて取付ける必要があり、作業効率が悪くなるとともに取付作業に時間がかかり、またCRTのコーナー部の消磁効果が劣ると問題点があった。
【0010】
本発明は、上記した問題点に鑑み、消磁コイルをCRT背面に正確に位置決めして容易に取り付けることができるとともに、消磁効果がCRT全体にわたって均一になるようにした消磁装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ファンネル部にアノード端子を有しネック部外周に偏向ヨークが取付けられ、コーナー部分に取付金具を有した陰極線管と、
前記陰極線管のファンネル部外周に取付けられる第1、第2の環状コイルにて成る消磁コイルと、
前記第1、第2のコイルを所定間隔をもって連結するとともに、前記第1、第2のコイルのそれぞれの環状の対向辺間を結ぶように前記第1、第2のコイルに取付けられ、前記アノード端子及び前記偏向ヨークを避けた位置にそれぞれ配置された複数のテープ部材と、
前記テープ部材が取付けられた前記消磁コイルを前記陰極線管の取付金具に固定するための固定部材とを具備したことを特徴とする陰極線管の消磁装置である。
【0012】
本発明によれば、消磁コイルを前記陰極線管に取付ける前に前記テープ部材を第1、第2のコイルに取付けておくことにより、陰極線管への取付けが簡単にでき、且つ正確に位置決めすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の消磁装置の全体構造を示すもので、CRTの背面から見た図である。また図2は、消磁コイル部分を示す斜視図であり、図3と同一部分には同一符号を記している。
【0014】
図1、図2において、11はCRTであり、CRT11の4隅には、ラグと呼ばれる取付金具12が設けられている。またCRT11のネック部には偏向ヨーク13が取付けられるとともに、CRT11の外周面には高圧を供給するためのアノード端子14が設けられている。一方、消磁コイルは2つのコイル15、16にてなり、それぞれ環状に形成され、かつ直列に接続されてCRT11のファンネル部外周の上下部にそれぞれ取付けられるものである。なお、20は消磁コイルへ電流を供給するためのコネクタである。
【0015】
消磁コイル15、16はそれぞれ固定バンド17を用いて取付金具12に取付けられるが、その前加工として消磁コイル15、16には図2に示すように帯状のテープ部材21,22,23を取付けるようにしている。テープ部材21は、消磁コイル15と16を連結するようにし、偏向ヨーク13の位置を避けてその両側に取付けられ、消磁コイル15と16が所定の間隔をもって配置されるようにしている。
【0016】
また消磁コイル15の上辺と下辺との間には帯状のテープ部材22を2箇所取付け、上辺と下辺の間隔を保つようにしている。つまりテープ部材22は消磁コイル15の環状の対向辺間を結ぶように配置されている。尚、テープ部材22は、アノード端子14を避けた位置に対称的に取付けられ、消磁コイル15の形状が全体として逆台形状になるようにしている。
【0017】
また、消磁コイル16も同様に、上辺と下辺との間に帯状のテープ部材23を1箇所取付け、上辺と下辺の間隔を保つするようにしており、消磁コイル16の形状が全体として台形状になるようにしている。
【0018】
なお、前記テープ部材21、22、23は、塩化ビニール(PVC)等の接着テープが用いられ、例えば2層の接着テープを消磁コイル15と16の間、または各消磁コイルの上辺と下辺間に接着面を互いに貼り合わせるようにして取付けられている。またテープ部材21、22、23は、多少の弾性を有するため、テープ部材の長さが多少ばらついても消磁コイル15、16の取付け位置を微妙に修正することができる。
【0019】
こうして前加工の施された消磁コイル15,16は、固定バンド17を用いてCRT11の取付金具12に取付けられる。これにより消磁コイル15と16は、テープ部材21,22,23により互いに所定距離をおいてCRT11の背面に取付けられ、かつ消磁コイル15,16の上辺と下辺の間も所定の距離をおいてCRT11の背面に取付けられる。
【0020】
また、偏向ヨーク13やアノード端子14の位置を確実に避けて取付けることができ、しかも消磁コイル15,16はテープ部材21,22,23により所定の形状に保つことができる。
【0021】
さらに、CRT11のコーナー部111、112については、消磁コイル15が斜め(約45度)に取付けられるため、蛍光体がストライプ状に配置されたCRTでも左右方向の消磁作用が働き、消磁効果を向上することができる。
【0022】
なお、テープ部材21,22の取付け位置は図示した例に限らず、左右方向に移動させた位置に設けても良く、またテープ部材23は1個所に限らず2個所に設けても良い。また、各テープ部材の長さや取付け位置、あるいは個数はCRTの大きさに応じて任意に設定することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の消磁装置では、テープ部材21,22,23により前加工された消磁コイル15と16を、固定バンド17を用いてCRT11の取付金具12に取付けるだけで、CRT11の背面に正確に位置決めして取付けることができ、取付け作業が向上する。また取付け後の形状変形も防止することができ、かつ消磁効果をCRT全体にわたって均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消磁装置を示す背面図。
【図2】本発明の消磁装置に使用する消磁コイルの形状を説明する斜視図。
【図3】従来の消磁装置を示す背面図。
【符号の説明】
11…CRT
12…取付金具
13…偏向ヨーク
14…アノード端子
15、16…消磁コイル
17…固定バンド
21、22、23…テープ部材
Claims (6)
- ファンネル部にアノード端子を有しネック部外周に偏向ヨークが取付けられ、コーナー部分に取付金具を有した陰極線管と、
前記陰極線管のファンネル部外周に取付けられる第1、第2の環状コイルにて成る消磁コイルと、
前記第1、第2のコイルを所定間隔をもって連結するとともに、前記第1、第2のコイルのそれぞれの環状の対向辺間を結ぶように前記第1、第2のコイルに取付けられ、前記アノード端子及び前記偏向ヨークを避けた位置にそれぞれ配置された複数のテープ部材と、
前記テープ部材が取付けられた前記消磁コイルを前記陰極線管の取付金具に固定するための固定部材とを具備したことを特徴とする陰極線管の消磁装置。 - 前記第1、第2のコイルの一部が、前記陰極線管のコーナー部において斜めに取付けられたことを特徴とする請求項1記載の陰極線管の消磁装置。
- 前記消磁コイルは、前記陰極線管に取付けられる前に前記テープ部材が前記第1、第2のコイルに取付けられたことを特徴とする請求項1記載の陰極線管の消磁装置。
- 前記第1、第2のコイルは、前記陰極線管のファンネル部外周の上下部にそれぞれに取付けられ、互いに台形状を成すことを特徴とする請求項1記載の陰極線管の消磁装置。
- 前記テープ部材は、弾性を有する材料にて成ることを特徴とする請求項1記載の陰極線管の消磁装置。
- ファンネル部にアノード端子を有しネック部外周に偏向ヨークが取付けられ、コーナー部分に取付金具を有した陰極線管と、
前記陰極線管のファンネル部外周の上下部にそれぞれ取付けられる第1、第2の環状コイルにて成る消磁コイルと、
前記第1、第2のコイルを所定間隔をもって連結するとともに、前記偏向ヨークを避けた位置に対称的に配置された第1のテープ部材と、
前記第1のコイルの環状の対向辺間を結ぶように、前記アノード端子を避けた位置に対称的に配置された第2のテープ部材と、
前記第2のコイルの環状の対向辺間を結ぶように配置された第3のテープ部材と、
前記第1、第2、第3のテープ部材が取付けられた前記消磁コイルを前記陰極線管の取付金具に固定するための固定部材とを具備したことを特徴とする陰極線管の消磁装置。
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