JP4011192B2 - 造粒物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は核を有する造粒物の製造方法に関する。特に、粒度分布のシャープな付加価値の高い造粒物を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒度分布のシャープな造粒物は、様々な優れた性質(商品の外観向上、粒度による組成のバラツキが小さい、粒度による溶解性の振れが少ない、造粒収率が高く生産性に優れる)を有するため、造粒物の製造方法が種々検討されている。その一つとして、核となる粒子の表面に、より小さな粉体を結合剤により付着させて造粒する方法(以下、有核造粒法という)がある。
【0003】
有核造粒法として、特開平6−218266号公報には、円筒状容器の底部に水平回転する回転板を設け(以下、縦型造粒機という)、容器内壁と回転板縁部との間から容器内へ気体を送入しつつ、回転板を回転させ核となる粒子を遠心流動させながら、粉末と結合剤を供給して造粒する方法が開示されている。そして、粒径が均一な造粒物を得るために、容器内へ送入される気体によって、容器内に供給される水と容器外に排出される水との差を求め、それより核となる粒子表面の粉末と結合剤の比が所定値になるように、粉末と結合剤の供給を制御するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような縦型造粒機を用いて有核造粒を行う場合、所望の造粒物を得るためには、送気可能な気体量は微量で生産性に劣り、また上述の如く複雑な制御が必要となる。生産性を向上させるため送気量を増加させると、核粒子に比べ粒径の小さな粉末は気体に同伴され装置上部に飛散し、一方核粒子は回転板上で遠心流動することになり、核粒子と粉末の接触機会が減少し、所望の流動状態での造粒操作が不可能となる。
【0005】
従って、本発明の目的は複雑な制御を必要とせず、所望の造粒物を効率よく製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、造粒物の核となる粒子(以下、核粒子という)、結合剤及び粉体から、水平回転軸を有する攪拌造粒機(以下、横型造粒機という)により、造粒物を製造する方法であって、被攪拌物の分布領域の内部に、水平回転軸の回転方向に沿って気体を導入する造粒物の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
<造粒機>
本発明に用いられる造粒機としては、核粒子、結合剤及び粉体から構成される出発成分を、水平方向に配置された回転軸に設けられた攪拌部材により攪拌転動することにより核粒子に結合剤を介して粉体を付着させ造粒するとともに、上記のように気体を供給できるものであれば、特に限定されない。
【0008】
一例としては、核粒子、結合剤、粉体等の出発成分を入れる容器と、その容器内で軸中心に回転可能な水平方向に設けられる回転軸と、その回転軸と同行回転するように設けられる攪拌部材と、その容器内の被攪拌物の物性調整用の気体を噴出する手段と、核粒子、粉体を供給する手段と結合剤を供給する手段とを備えることが好ましい。その気体の噴出手段は、被攪拌物の分布領域の内部に、回転方向に沿って気体を導入できるものとされる。
【0009】
以下、図面を参照して本発明に好適に用いられる造粒機の具体例を説明する。図1、図2に示す横型造粒機1は、出発成分を入れる容器2を備える。その容器2は、横軸心の円筒形容器本体2aと、出発成分である核粒子及び粉体の投入部2bと、得られた造粒物の排出部2cと、排気部2dとを有する。
【0010】
その容器2内で、その容器本体2aの軸と同心の横軸中心に回転可能に回転軸3が両端支持される。その回転軸3は、モータ等の駆動源(図示省略)により、図1において矢印100方向に回転駆動される。
【0011】
その回転軸3と矢印100方向に同行回転するように6つの撹拌部材4が設けられる。本例では、それら撹拌部材4は、回転軸3の軸方向において互いに離れた6位置において、回転方向において例えば60度毎に配置されている。なお、図では回転軸3の中央側の2つのみ表示し、回転軸3の両端側の4つの図示は省略している。その回転軸3の中央側の2つの撹拌部材4は回転方向において例えば180度離れて配置され、他の撹拌部材の位置関係も同様である。各撹拌部材4は、その回転軸3から突出するアーム5に取り付けられる。なお、その撹拌部材4の数は特に限定されない。
【0012】
図3に示すように、各撹拌部材4は、その回転方向においてアーム5の前方に位置する板状の前壁4aと、その回転軸3の軸方向においてアーム5の両側に位置する一対の板状の側壁4b、4cと、その回転軸3の径方向において側壁4b、4cの外方に位置する板状の底壁4dとを有する。
その前壁4aの表面4a’は、回転軸3の外周部に対して回転径方向の間隔をおいて配置される。なお、その回転径方向とは回転軸3の径方向を意味する。その前壁4aの表面4a’と回転軸3の外周部との距離は、回転方向前方に向かうに従い大きくされている。
【0013】
一方の側壁4bの表面4b’は、回転軸3の外周部に対して回転径方向の間隔をおいて配置される。その側壁4bの表面4b’と回転軸3の外周部との距離は、回転方向前方に向かうに従い大きくされると共に回転軸3の一端に向かうに従い大きくされている。他方の側壁4cは側壁4bと対象形とされている。
回転軸3の軸方向と径方向における各側壁4b、4cの寸法は、回転方向後方に向かうに従い大きくされている。
上述により前壁4aと各側壁4b、4cが、回転軸3の回転により出発成分を回転軸3の外周部に向かって流動させる。
【0014】
図2、図3に示すように、各側壁4b、4cの外端縁に、回転時の負荷軽減のために複数の爪4eが形成される。なお、爪4eは省略してもよい。
【0015】
その容器本体2aの内周部2a’に6つの分散部材6が設けられている。各分散部材6は、容器本体2aの回転径方向に沿う軸中心に回転可能な回転軸6aと、この回転軸6aから回転径方向外方に突出する複数の分散ブレード6bとを有し、モータ等の駆動源(図示省略)により回転駆動される。なお、ここでの回転径方向は、回転軸6aの径方向を意味する。
【0016】
図1、2に示すように、本造粒機には、その回転軸3と同行回転するように6つの流動方向変更部材7を設けることもできる。本例では、各流動方向変更部材7は、上記各撹拌部材4に一対一で対向する。すなわち、各流動方向変更部材7は、各撹拌部材4と回転軸3との間に配置され、上記アーム5に取り付けられ、撹拌部材4で流動される被攪拌物を回転軸3の軸方向の他位置に分散する機能を有する。そのため、流動方向変更部材7を構成する表面形状は、上記被攪拌物を他位置に分散すべき形状、例えば流動方向変更部材7の上方側(回転軸3側)および/又は下方側(容器本体2aの内周部2a’側)の表面形状を回転軸3の軸方向に対して斜面状としたり、分散部材6に集約し得る形状とすること等が好ましい。なお、流動方向変更部材7は容器容積の大きい造粒機の場合より有効となるが、設けなくともよく、設ける場合その数は特に限定されない。
【0017】
図2に示すように、その回転軸3と同行回転するように2つの補助撹拌部材10を、回転軸3の両端近傍の2位置に設けることもできる。この場合、各補助撹拌部材10は、その回転軸3から突出するアーム11に取り付けられる。補助撹拌部材10は設けなくてもよく、設ける場合は同位置に複数設けてもよい。
【0018】
図1、図2に示すように、その容器本体2aの内部に、被混合物の湿分、温度、組成等の物性調整に用いられる気体を噴出するため、3本のパイプ21が設けられている。例えば、被攪拌物の湿分調整のための乾燥した空気や不活性気体、被攪拌物の温度調整のための温度調節された空気や不活性気体等が噴出される。
【0019】
それら気体供給用パイプ21は、本例では、回転軸3の軸方向に離れた3位置に設けられている。すなわち、各パイプ21は、容器本体2a内に挿入され、溶接等の公知の固定方法にて容器本体2aに対して一定位置に配置される。各パイプ21の先端開口により構成される気体噴出口21aは、撹拌転動中の被攪拌物の中から気体を噴出できるように容器本体2aに対して一定位置に配置される。その容器本体2aに収納される被攪拌物の体積は、容器本体2aの容積よりも少なくされる。なお、気体噴出口21aの数は特に限定されない。
【0020】
図1における二点鎖線200は、その撹拌転動中における被攪拌物の分布領域を示す。本発明でいう被攪拌物とは、攪拌造粒機の攪拌力を受ける核粒子、結合剤、粉体等の出発成分である粒子、造粒過程にある粒子、造粒が完了した粒子が混在した粉体(出発成分での粉体とは異なる意味である)である。また、被攪拌物の分布領域とは、攪拌状態にある粉体が形成する領域であり、通常は造粒機の底部近傍が分布領域の始点、上部近傍が分布領域の終点である。本発明では、被攪拌物の分布領域の内部に回転方向に沿って気体を導入する。これにより、回転方向に沿って被攪拌物を貫通する気体流が供給される。気体流は分布領域の始点から終点のほぼ全てを貫通することが好ましい。
【0021】
このため、各気体噴出口21aから噴出される気体は、上記撹拌部材4の回転方向の前方側に向かうものとされる。さらに、各気体噴出口21aは、噴出気体が容器本体2aの下部から容器本体2aの内周部2a’に沿って上方に向かって流動するように、容器本体2aの底部近傍に配置されている。
【0022】
各気体噴出口21aの回転軸3の軸方向における位置と上記各分散部材6の回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致する。すなわち、回転軸3の中央側に位置する気体噴出口21aに対して、回転軸3の中央側に配置された2つの分散部材6は、撹拌転動中の被攪拌物の中において撹拌部材4の回転方向の前方側に配置され、回転軸3の一端側に位置する気体噴出口21aに対して、回転軸3の一端側に配置された2つの分散部材6は、撹拌転動中の被攪拌物の中において撹拌部材4の回転方向の前方側に配置され、回転軸3の他端側に位置する気体噴出口21aに対して、回転軸3の他端側に配置された2つの分散部材6は、撹拌転動中の被攪拌物の中において撹拌部材4の回転方向の前方側に配置される。
【0023】
図1、2に示されるように、容器本体2aの内部に液体を供給するための3本のパイプ31が設けられている。その液体として、例えば、液状の結合剤や粉末状の被混合物を粒状にするための造粒液や、被混合物とを接触することで化学反応を生じる反応液等が供給される。
それら液体供給用パイプ31は、本例では、回転軸3の軸方向に離れた3位置に配置される。すなわち、 各パイプ31は、容器本体2aに取り付けられた筒状の案内体32を介して容器本体2a内に挿入され、その案内体32に固定されることで容器本体2aに対して一定位置に配置される。 本実施形態では、各パイプ31の先端開口により構成される液体吐出口は、攪拌転動中の被攪拌物の中から液体を下向きに吐出できるように容器本体2aに対して一定位置に配置される。各液体供給用パイプ31から下向きに吐出される液体は、本実施形態では、上記攪拌部材4の回転方向の後方側に向かうものとされる。 また、パイプ31は同位置に複数配置してもよい。
【0024】
それら液体供給用パイプ31の液体吐出口の回転軸3の軸方向における位置と上記分散部材6の回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致する。 すなわち、回転軸3の中央側に位置する液体吐出口に、回転軸3の中央側で容器本体2aの略1/2の高さに配置された分散部材6が対向し、回転軸3の一端側に位置する液体吐出口に、回転軸3の一端側で容器本体2aの略1/2の高さに配置された分散部材6が対向し、回転軸3の他端側に位置する液体吐出口に、回転軸3の一端側で容器本体2aの略1/2の高さに配置された分散部材6が対向する。これにより、その容器本体2aの略1/2の高さに配置された各分散部材6は、 各パイプ31から供給される液体を分散する分散部材を兼用する。その分散部材6の回転軸3の軸方向における位置と上記気体噴出口21aの回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致する。
【0025】
また、図1、2に示されるように、容器本体2aの内部に粉体を供給するためのパイプ2bが設けられている。その粉体として、例えば、後述する核粒子や核粒子に付着させる粉体あるいは結合剤として機能する粉体等が供給される。
それら粉体供給用パイプ2bは、本実施形態では、容器本体2aに対して一定位置に配置される。 本実施形態では、各パイプ2bの先端開口により構成される粉体吐出口は、粉体を下向きに吐出できるように容器本体2aに対して一定位置に配置される。図中では、容器中央部に配置されているが、分散効果を高めるために、それら粉体供給用パイプ2bの粉体吐出口の回転軸3の軸方向における位置と上記分散部材6の回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致させてもよい。 すなわち、回転軸3の中央側に位置する粉体吐出口に、回転軸3の中央側で容器本体2aの略1/2の高さに配置された分散部材6が対向する。これにより、その容器本体2aの略1/2の高さに配置された各分散部材6は、 各パイプ2bから供給される粉体を分散する分散部材を兼用する。その分散部材6の回転軸3の軸方向における位置と上記気体噴出口21aの回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致する。また、パイプ2bは同位置に複数配置してもよい。
【0026】
上記造粒機1によれば、撹拌部材4の回転により撹拌転動されることで核粒子、結合剤、粉体等の出発成分の造粒が行われる。また、被攪拌物は分散部材6の回転により造粒機内で均等に分散される。その撹拌部材4により、被攪拌物は回転軸3の外周部に向かい流動させられる。図1における一点鎖線300は、その被攪拌物の流動方向を示す。その被攪拌物の流動方向は、流動方向変更部材7により、回転軸3の外周部に向かう方向から容器本体2aの内周部2a’に向かう方向に変更させられる。これにより、その被攪拌物が容器本体2aの内周部2a’に設けられた分散部材6から離れる方向に流動するのを防止できるので、被攪拌物と分散部材6との接触機会を増大し、被攪拌物の分散効率を向上できる。
【0027】
上記気体噴出口21aは、被攪拌物の分布領域の内部から、撹拌部材4の回転方向の前方側に気体を噴出するので、被攪拌物の分布領域の内部での気体の滞留時間を長くし、被攪拌物の乾燥や冷却等により、粘着性等の物性調整を効率良く行うことができる。なお、気体噴出口21aは気体を被攪拌物の分布領域の内部に導入できれば上記領域の外部に設けてもよい。また、その噴出気体が容器本体2aの下部から容器の内周部に沿って上方に向かって流動するように、その気体噴出口21aは配置されているので、その容器本体2aに収納される被攪拌物の体積が容器本体2aに容積よりも大幅に少なくても、被攪拌物内における気体の滞留時間を可及的に長くし、気体と被攪拌物との接触効率を向上できる。また、各気体噴出口21aの回転軸3の軸方向における位置と上記各分散部材6の回転軸3の軸方向における位置とは互いに一致する。各撹拌部材4は、分散部材6と干渉しないように、分散部材6が配置されている位置を含む容器本体2aの円周方向領域を通過しない。そのため、各気体噴出口21aの回転軸3の軸方向における位置と上記各分散部材6の回転軸3の軸方向における位置とが互いに一致され、各気体噴出口21aから噴出された気体により、各撹拌部材4が通過しない領域で被攪拌物が滞留するのが防止され、被攪拌物が分散部材6に向けて流動され、被攪拌物の分散効率が向上される。さらに、液体供給用パイプ31から液体が集中的に供給される部位に気体を流動させることで、その液体供給部位における気体と被攪拌物との接触効率を向上できる。これにより、その気体による被攪拌物の乾燥や冷却等により、粘着性等の物性調整を効率良く行うことができる。
【0028】
<造粒物の成分>
次に、本発明に用いられる造粒物の成分について説明する。
1)核粒子
本発明に用いられる核粒子は、製造する造粒物の粒度分布の制御を目的として配合する。核粒子の粒度分布は、これを核にして製造する造粒物の粒度分布に応じて決定すればよいが、粒度分布のシャープなものを使用することが収率等の点から好ましい。又、核粒子の粒径は、製造したい造粒物の粒径に応じ決定すればよい。ここで、本発明の造粒を効率よく行うために、核粒子の粒径は、後述する核粒子に付着させる粉体の粒径の2〜3000倍が好ましく、4〜1000倍がより好ましく、5〜600倍が特に好ましい。
【0029】
これらの核粒子は、主成分の効果を阻害しないことが必須であり、さらにその配合により造粒物へ付加機能を付与できれば更に好ましい。
【0030】
核粒子は、市販の核粒子また公知の造粒方法で得た造粒物を使用してもよい。例えば、公知の無機粒子、有機粒子が用いられる。具体的には、塩化ナトリウム、ショ糖、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
所望の比重の造粒物を得たい場合は、核粒子の比重を変化させればよい。例えば、ショ糖と食塩を比較すれば、核粒子にショ糖を用いれば軽質になり、食塩を用いれば重質な造粒物が得られる。
【0032】
2)粉体
本発明に用いられる核粒子に付着させる粉体は、製造したい造粒物の機能に応じ、1種類以上の粉体を使用し、後述する結合剤を介して核粒子上に付着し層を形成し得るものが好ましい。例えば、医薬、農薬、食品、洗剤、化学品等で用いられている粉体が使用できる。層はそれぞれの機能に応じ、1層以上形成すればよい。例えば、個々の層として、主成分層、安定化層、着色層、コート層等が挙げられる。要求性能に応じて、低粉塵化、液体成分の染み出し防止、表面改質、造粒物の強度向上、可塑性付与、溶解・崩壊制御などの機能を各層にもたせることも可能であり、同一層に異種粉体を配合し、その層を多機能化してもよい。
【0033】
3)結合剤
結合剤は、核粒子と核粒子に付着させたい粉体を適切に結合させるものであればよく、核粒子と核粒子に付着させたい粉体の物性に応じ使用することが好ましい。例えば、公知の結合剤が適宜使用される。例えば、糖類、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が使用できる。
【0034】
上述した核粒子/粉体/結合剤の選定は、製造したい造粒物に応じて適宜行えばよい。酵素造粒物を製造する場合、核粒子には、塩化ナトリウムあるいはショ糖を造粒物中10〜90重量%を配合することが好ましく、20〜60重量%配合することが好ましい。粉体成分には、主剤である酵素粉を造粒物中5〜50重量%配合することが好ましく、5〜30重量%配合することがより好ましい。さらに任意成分として、溶解性、分散性を向上させる目的で、芒硝、カオリン、ゼオライトを用いる場合は、造粒物中1〜84重量%配合することが好ましい。保存安定性を向上させる目的で穀物粉、大豆粉を用いる場合は、造粒物中1〜50重量%配合することが好ましく、3〜35重量%配合することがより好ましい。白色化剤として、酸化チタンを用いる場合は、造粒物中1〜15重量%配合することが好ましく、3〜10重量%配合することがより好ましい。また、結合剤としては、糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等の結合剤液を使用することができるが、結合剤は、造粒物中1〜30重量%配合することが好ましく、5〜20重量%配合することがより好ましい。酵素としては、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられ、特に好ましくはセルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、エステラーゼ、ヘミセルラーゼ、パーオキシターゼ、フェノールオキシターゼ、プロトペクチナーゼ及びペクチナーゼ等が挙げられる。
【0035】
<製造方法>
本発明の製造方法は以下の手順で行われる。
本発明の製造方法は、核粒子に対して、粉体を付着させ粒子成長させ造粒物を得る方法であり、上述の原料を用いて行なう。本製造方法は、
▲1▼仕込工程(核粒子仕込)
▲2▼造粒工程 a)結合剤供給
b)粉体供給
の工程から構成され、核粒子に対して結合剤を介して粉体が付着し粒子成長することで造粒物が製造されるため、造粒工程において、a)の結合剤を供給する際は結合剤が核粒子の表面に均一に分散するようにし、b)の粉体を供給する際は、粉体が核粒子の表面に均一に分散し結合剤を介して付着させることが重要である。また、▲1▼の核粒子仕込は、本発明の製造方法では核粒子を核にして粒子成長させるため、結合剤および粉体の供給に先立って行なうことが好ましい。仕込時における原料の充填率は、容器容積中3〜60体積%、3〜50体積%がより好ましく、5〜40体積%が特に好ましい。
【0036】
さらに▲2▼の造粒工程において、本発明の製造方法では結合剤により核粒子上に粉体が付着することで徐々に粒子成長していくため、結合剤と付着させる粉体の供給比が粒度分布をシャープに保つ際に重要な操作因子となり、両者の供給は精度良く行なうことが好ましい。これらの供給比は結合剤と核粒子に付着させる粉体の物性より決定される。粉体と結合剤の付着力の強い場合は、結合剤と粉体の供給比は小さく設定し、粉体と結合剤の付着力の弱い場合は結合剤と粉体の供給比は大きく設定すればよい。また、付着力の高い粉体と付着力の弱い粉体を混合することで、粉体全体の付着力を制御することも併用できる。例えば、供給比としては、粉体100重量部に対して結合剤2〜300重量部、好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは5〜100重量部であればよい。供給比の上限は、結合剤の割合が多いと、造粒物どうしが合一するような過造粒物が形成し、粒度分布のブロード化、収率の低下を抑制するためであり、供給比の下限は、過造粒物を防止するために結合剤の供給量を少なくすると、核粒子に粉体を付着させることができず、甚だ微粉の多い造粒物となるのを防止するためである。
【0037】
なお、上記の工程の順序は上記の結合剤と粉体の供給比が適切であれば、特に制限されないが、原料の物性によらず、所望の造粒物を収率よく得るためには、結合剤→粉体(以下、結合剤→粉体の順で繰返)の順で供給し、核粒子上を適度に結合剤が分散した上に粉体が供給することで、核粒子上に粉体が均等に付着、粒子成長させると同時に粒子表面の結合力を一旦粉体により減少させ、造粒物同士の合一を抑制しながら造粒することが好ましく、さらに、造粒時間を短縮する等の生産性向上の面から、結合剤と粉体を同時に供給し造粒することがより好ましい。
【0038】
後述する物性調整用気体の噴出は、造粒工程と同時に行なえばよいが、原料の物性、造粒時の造粒物の状態に応じ適宜、噴出量等を変更することもできる。
【0039】
物性調整用気体は、造粒機内の造粒物、粉体、結合剤の物性調整を目的として送気され、造粒工程あるいは造粒工程及び乾燥工程において使用することが好ましい。また、物性調整用気体を被攪拌物の分布領域内部に導入することで上記領域内での気体の滞留時間を長くし、被攪拌物の乾燥や冷却等により、粘着性等の物性調整を効率よく行うことができる。物性調整用気体は被攪拌物の分布領域の内部から導入することが好ましく、上記領域を貫通する気体流を供給することがより好ましい。結合剤液を介して粉体と核粒子を付着させる場合、液分を除去するような気体が有効である。例えば、結合剤液として有機溶剤および水を使用する場合、物性調整用気体としては、それらを乾燥できる気体を送気することが好ましい。乾燥気体の温度は結合剤液の物性により、適宜設定すればよいが、例えば、水を使用する場合、物性調整用気体の温度は、40〜250℃が好ましく、50〜200℃がより好ましく、50〜150℃が特に好ましい。
【0040】
物性調整用気体の送気量は、その気体の物性調整効果、使用する原料の物性および横型造粒機の規模に応じ、適宜設定すればよい。物性調整用気体の送気量は造粒機内において核粒子が飛散しない流速以下となるように設定することが好ましい。核粒子の飛散しない流速は核粒子の物性に応じ、粉体工学で用いられる終末沈降速度より求めることができる。
【0041】
本発明の製造法で得られた造粒物は、さらに公知の方法でコーティングしてもよい。例えば、酵素造粒物を製造する場合、コーティングは、安定性の付与、溶解性の制御、粉塵発生の抑制などの目的でなされ、コーティング剤として、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース等を被コーティング物に対し1〜5重量%の配合量で使用することが好ましい。
【0042】
前述した横型造粒機によれば、物性調整用気体を多量に送気できるため、造粒だけでなく、さらにコーティング剤のスプレーコーティング操作も可能となる。そのため、単一の造粒機で造粒、コーティングが可能となり、設備も簡素化すると同時に異物の混入等も防ぐことができる。また、結合剤と粉体の両者で粒子成長させ造粒物を得るだけでなく、コーティング剤のみでコート層を形成しつつ粒子成長させ造粒物を得ることもできる。
【0043】
造粒機内で物性調整用気体により、結合剤液を除去する操作が行なえる。結合剤液に水、有機溶剤を含む場合、物性調整用気体として熱風等を送気することにより同一造粒機内で造粒操作の後、造粒物を乾燥する乾燥工程を行なってもよい。このように同一造粒機内ですべての造粒、乾燥操作を行なえるため、設備が簡素化され、設備費の低減が可能である。そのため、乾燥が必要な場合は同一造粒機内で乾燥も行うことが好ましい。乾燥効率を上げるために、容器に設置したジャケットなどにより被乾燥物を加温することを併用することがより好ましい。物性調整用気体の送気量は任意であり、造粒時と異なる風量で送気を行なってもよい。例えば乾燥工程においては、造粒物が流動化する程度まで風量を上げ、被乾燥物の乾燥効率を上げることもできる。又、 乾燥時の攪拌部材、分散部材の回転速度は適宜調整し、乾燥工程で造粒物の破砕等の不具合が起こらない条件で操作を行えばよい。この工程での攪拌部材の回転数としては、その先端の周速として0.2〜15m/s、さらに好ましくは1〜7m/sの範囲であることが好ましい。周速が0.2m/sより小さい場合は均一混合性が損なわれ、15m/sよりも大きい場合には容器内周部に付着を形成し易いため好ましくない。この工程での分散部材の回転数としては、その先端の周速として0.2〜30m/s、さらに好ましくは1〜15m/sの範囲であることが好ましい。周速が0.2m/sより小さい場合は均一分散性が損なわれ、30m/sよりも大きい場合には造粒物の破砕が生じるため好ましくない。物性調整用気体の温度は、使用する粉体および結合剤の物性に応じ適宜調整できる。例えば、結合剤が水溶液の場合、造粒時の余剰水分を除去するために、物性調整気体の温度は30〜250℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
【0044】
【実施例】
実施例1
図1、2の横型造粒機(容器容積150L)に、核粒子として平均粒子径270μmのグラニュ糖(塩水精糖(株)製、SR−50/60)20kgを仕込み、攪拌部材を回転数110rpm、分散部材を2780rpmで回転させながら、物性調整用気体(130℃の空気、0.4m3 /min)を攪拌転動中の被攪拌物の中からその攪拌部材の回転方向の前方側に向かい噴出させ、スプレーノズルを用いて、液糖50重量%水溶液20kg(後述する粉糖を用いて調整)を結合剤として噴霧し(15g/sec)、粉体供給装置から付着させる粉体である粉糖108kgを供給し、粉糖としての合計量118kgを加えた。核粒子に付着させる粉体100重量部に対し結合剤を25重量部になるように両者を同時に供給し造粒を行った。造粒時間は45分間であった。一方、縦型造粒機における造粒時間は、特開平6−218266号の実施例1に示されており、80分である。本発明の方法では、縦型造粒機を用いる方法と比較して短期間で造粒操作が行なえ、生産性が良いことが明らかとなった。
【0045】
実施例2
図1、2の横型造粒機(容器容積20L;ただし流動方向変更部材7は具備していない)に、核粒子として平均粒径400μmの塩化ナトリウム2.0kgを仕込み、攪拌部材を回転数200rpm、分散部材を5000rpmで回転させながら、物性調整用気体(空気130℃、0.05m3 /min)を攪拌転動中の被攪拌物の中からその攪拌部材の回転方向の前方側に向かい噴出させ、スプレーノズルを用いて、液糖20重量%水溶液(昭和産業(株)製マルトリッチ25を用いて調整)を結合剤として噴霧し(1.38kg/sec)、粉体供給装置から付着させる粉体(アルカリセルラーゼ粉体1.8kg (酵素粉体の酵素活性は13万KU/g)、粉砕脱脂大豆(昭和産業(株)製ハイプロミールの粉砕し平均粒径50μmにしたもの)1.5kgを供給した。核粒子に付着させる粉体100重量部に対し結合剤を25重量部になるように、結合剤→粉体(以下、結合剤→粉体の順で繰返)の順で供給し造粒を行った。
【0046】
なお、アルカリセルラーゼ粉体は、微生物寄託番号が微工研菌寄第1138号のバチルス(Bacillus)属に属する菌より培養採取されたアルカリセルラーゼの水溶液に、塩化カルシウムと硫酸ナトリウムを添加して、並流式噴霧乾燥機で乾燥して得た平均粒子径50μmの粉体を用いた。塩化カルシウムと硫酸ナトリウムの量は、乾燥品に対して各々0.5重量%と48重量%である。
【0047】
本例における製品収率は87重量%であった。ここで、製品収率は、全造粒物に対する355μm以上1000μm未満の粒子の重量%とした(以下同様)。
【0048】
比較例1
実施例2と同様に操作した。ただし、物性調整用気体を容器上部より噴出させた。本例における製品収率は82重量%であった。
【0049】
比較例2
実施例2と同様に操作した。ただし、物性調整用気体を噴出させなかった。本例における製品収率は80重量%であった。
【0050】
実施例3
実施例2と同じ造粒機に、核粒子として平均粒径400μmの塩化ナトリウム2.7kgを仕込み、攪拌部材を回転数200rpm、分散部材を5000rpmで回転させながら、130℃の熱風を攪拌転動中の被攪拌物の中からその攪拌部材の回転方向の前方側に向かい噴出させ、スプレーノズルを用いて、イオン交換水を結合剤として、粉体供給装置から付着させる粉体(アルカリプロテアーゼ粉体1.22kg、粉砕脱脂大豆(昭和産業(株)製ハイプロミールの粉砕し平均粒径50μmにしたもの)1.0kg、硫酸ナトリウム0.8kg、カオリン0.8kgを供給し、第1層目を製造した。核粒子に付着させる粉体100重量部に対し結合剤を25重量部になるように、結合剤→粉体(以下、結合剤→粉体の順で繰返)の順で供給し造粒を行った。さらに、2層目として、スプレーノズルを用いて、液糖20重量%水溶液(昭和産業(株)製マルトリッチ25を用いて調整)を結合剤にして噴霧し(1.13g/sec)、白色化粉体である酸化チタン0.3kgを付着させる造粒操作を行い、造粒終了後、後述する乾燥を経て、アルカリプロテアーゼ酵素造粒物を得た。核粒子に付着させる粉体100重量部に対し結合剤を50重量部になるように、結合剤→粉体(以下、結合剤→粉体の順で繰返)の順で供給し造粒を行った。製品収率は90重量%であった。
【0051】
なお、アルカリプロテアーゼ粉体は、微生物寄託番号が微工研菌寄第11418号のバチルス(Bacillus)属に属する菌より培養採取されたアルカリプロテアーゼの水溶液に、ドデシル硫酸ナトリウムと硫酸ナトリウムを添加して、並流式噴霧乾燥機で乾燥して得た平均粒子径50μmの粉体を用いた。ドデシル硫酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの量は、乾燥品に対して各々2重量%と23重量%である。また、乾燥品には糖分が48重量%含まれている。乾燥酵素原末の酵素活性は63APU/gであった。
【0052】
アルカリプロテアーゼ造粒物も本発明の製造方法により良好に製造できることが確認された。また、主剤層と白色化層という多層構造の造粒物を製造できることも明らかとなった。
【0053】
実施例4
実施例3において造粒後、さらに乾燥を行った。乾燥効率を上げるために、攪拌部材を回転数100rpm、分散部材を2000rpmで回転させ、造粒物を攪拌しながら、130℃の熱風を攪拌転動中の被攪拌物の中からその攪拌部材の回転方向の前方側に向かい噴出させることで、30分間乾燥した。造粒物の水分値を加熱乾燥重量法(105℃、2時間乾燥)により測定した結果、9%から0.8%になり、良好に乾燥操作が行なえることが判った。すなわち、同一装置内で造粒、乾燥の2工程を行なうことが可能となった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の造粒物の製造方法、特に有核造粒方法によれば、核粒子と核粒子に付着させたい粉体(粉末)の両者が、均等に攪拌転動される。さらに、物性調整用気体を多量に導入しても、従来の縦型造粒機を用いた場合と異なり、気体と被攪拌物の接触機会が減少し目的である有核造粒操作に不具合が生じることはない。つまり、本発明の方法では、気体の噴出により核粒子に付着させたい粉体が飛散し、容器の上部に滞留しても、水平方向に配置された回転軸に設けられた攪拌部材により容器の上部まで掻きあげられた核粒子が接触することが可能であり、その接触により粒子が成長していく。さらには、物性調整用気体をその攪拌部材の回転方向の前方側に向かい噴出させることで、その気体と造粒物との接触時間が長くなり、造粒中の物性調整を効率よく行うことができる。その結果、粒度分布のシャープな造粒物を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる横型造粒機の垂直方向からの断面略示図である。
【図2】図1の横型造粒機の水平方向からの一部破断断面略示図である。
【図3】図1の横型造粒機における撹拌部材4近傍の拡大略示図である。
【符号の説明】
1;横型造粒機
2;容器
3;回転軸
4;撹拌部材
6;分散部材
21;気体噴出パイプ
Claims (6)
- 造粒物の核となる粒子、結合剤及び粉体から、水平回転軸を有する攪拌造粒機により、造粒物を製造する方法であって、被攪拌物の分布領域の内部に、水平回転軸の回転方向に沿って気体を導入する造粒物の製造方法。
- 気体を被攪拌物の分布領域の内部から導入する請求項1記載の製造方法。
- 気体の導入を、被攪拌物の分布領域を貫通する気体流を供給することにより行う請求項1又は2記載の製造方法。
- 気体により造粒物の物性を調節する請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
- 造粒後、さらに造粒物を乾燥する請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
- 噴出気体が容器の下部から容器の内周部に沿って上方に向かって流動するように気体を導入する、請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法。
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