JP4010698B2 - 液晶表示装置及びその欠陥修正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)及びその欠陥修正方法に関し、特にスイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)の動作不良に起因する点欠陥の修正方法及びその修正方法を行いやすいLCDに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のLCDは、液晶を駆動する個々の画素電極と、これに電圧を印加するデータ線とをスイッチング素子であるTFTを介して接続するアクティブマトリクス型LCDが主流となっている。図3(a)は従来のアクティブマトリクス型LCDの一例を示す平面図、図3(b)はそのA−A’断面図である。第1の基板50上に、行方向に延在する複数のゲート線51が形成されている。その上に絶縁膜52を介してポリシリコン膜よりなるTFT53が形成されている。ゲート線51の一部は、TFT53のゲート電極51aとなっている。TFT53の上には絶縁膜54を介してゲート線51と直交する複数のデータ線55が形成され、コンタクトを介してTFT53のドレイン領域に接続されている。データ線55の上に絶縁膜56を介してITO(indium tin oxide)よりなる画素電極57が形成されており、コンタクトを介してTFT53のソース領域に接続されている。画素電極57の上に液晶の配向方向を制御する配向膜58が形成されている。第1の基板50に対向して設置された第2の基板60には各画素電極57を覆う共通電極61が形成されており、共通電極61の上に配向膜62が形成されている。第1、第2の基板の間には、液晶70が封入されている。液晶は、画素電極57に印加された電圧によって駆動され、光透過率が変化する。LCDは、これを利用して表示を行う。
【0003】
共通電極61には常に一定の電圧が印加されている。これに対し、画素電極57は、ゲート線51にゲート電圧が印加されている間、そのゲート線51に接続されたゲート電極のTFT53のゲートが開き、その画素電極が接続されたデータ線55の信号電圧が印加される。1本のゲート線51は1水平同期時間(1H)の間ゲート電圧が印加され、1本ずつ順次電圧が印加される。ゲート線51にゲート電圧が印加されている行のTFT53はゲートが開き、その間にその行の画素電極に印加すべき信号電圧がデータ線55によって印加される。次の1Hには、隣のゲート線51にゲート電圧が印加され、データ線55には、その行の画素電極に印加される信号電圧が印加される。そして、1垂直同期時間(1V)の間に全てのゲート線51に順に電圧印加し、再び最初のゲート線に戻る。ゲート線51にゲート電圧が印加されていない、即ちTFT53のゲートが閉じている間は、画素電極57は、直前に印加された信号電圧を保持する。言い換えて説明すると、ゲート線51には、各画素に形成されたTFT53のゲートを開くためのゲート電圧が印加されている間以外のほとんどの期間は一定電位(グランド)であり、データ線55には、いずれかの行の画素電極に印加するための表示内容に応じた電圧が印加される。
【0004】
ところで、LCDは、画素電極57に印加する電圧と液晶70の透過率の関係によってノーマリーホワイト方式と、ノーマリーブラック方式に分類される。
【0005】
ノーマリーホワイト方式は画素電極に印加する電圧が最小のとき液晶の透過率が最大、即ち白を表示し、印加電圧を増加することによって液晶の透過率が低下し、黒を表示するようになる。例えばTN(twist nematic)型やSTN(super twist nematic)型がある。TN型は正の誘電率異方性を有する液晶を用いる。正の誘電率異方性を有する液晶は電界に平行になる性質を有する。
【0006】
一方、ノーマリーブラック方式は画素電極に印加する電圧が最小のとき液晶の透過率が最低、即ち黒を表示し、印加電圧を増加することによって液晶の透過率が上昇し、白を表示するようになる。例えば負の誘電率異方性を有する液晶を用いる垂直配向型がある。
【0007】
ところで、LCDの製造は、TFT53などを始め、微細加工を要するが、画素数の増加や、大画面化、高精細化に伴い、製造工程におけるマスクずれなどによって、TFTが動作しなかったり、周辺の配線と画素電極54とが短絡するなどの不良が生じる。
【0008】
以下に従来のノーマリーホワイト方式の欠陥画素修正方法について説明する。例えばTFT53aが動作不良であった場合、まずイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザを高いエネルギーでTFT53aの画素電極57aとの接続領域81に照射し、これを切断する。次にYAGレーザを低いエネルギーでTFT53aのゲート電極と重畳している領域82に照射し、これを短絡させる。これによって、不良を生じた画素電極には、ゲート線51の電圧が常に印加されることになる。ゲート線51には水平同期時間(1H)毎に所定の電圧が印加され、それ以外のほとんどの期間はグランド電位であり、一定電圧が印加され続ける共通電極61の電位とは異なるので、ここに電位差が生じ、欠陥画素の液晶は常に駆動されて黒を表示し続けるようになる。
【0009】
黒を表示し続ける画素は黒点欠陥と呼ばれ、ほとんど目立たないので、このような黒点欠陥をいくつか有したLCDでも、良品とすることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の欠陥画素修正方法では、修正した画素は黒点欠陥となるので、常に黒色を表示し続け、例えば前面を白く表示した場合などは、目立ってしまう。
【0011】
また、ノーマリーブラック方式に於いて、従来と同様の修正方法を適用し、画素電極とゲート線とを短絡させた場合、ゲート線のほとんどの期間の電位(グランド)と、共通電極に印加されている一定の電圧とが異なるので、その画素電極と共通電極との間に常に電位差が生じてしまい、修正画素は常に白を表示する白点欠陥となってしまう。白点欠陥は、黒点欠陥に比較して、非常に目立つので、この修正を行ったLCDを良品とする事はできない。従って、従来の欠陥画素修正方法はノーマリーブラック方式においては適用することができない。ノーマリーブラック方式に於いては、効果的な欠陥画素修正方法はなかった。
【0012】
そこで本発明は、修正した後の画素がより目立たない欠陥画素修正方法を提供することを目的とする。また、特にノーマリーブラック方式の液晶表示装置における欠陥画素修正方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、互いに対向して配置された第1及び第2の基板間に液晶を封入してなり、第1の基板には互いに絶縁されたゲート線及びデータ線、データ線にスイッチング素子を介して接続された複数の画素電極が形成され、第2の基板には複数の画素電極に対向する対向電極が形成され、データ線と画素電極とは重畳して形成された液晶表示装置における欠陥を有する画素の修正方法であって、欠陥画素に接続されたスイッチング素子を切断し、欠陥画素に接続されたデータ線と欠陥画素の画素電極とを短絡させる欠陥修正方法である。
【0014】
また、データ線と画素電極を短絡させる方法は、データ線と画素電極の重畳領域にレーザを照射する。
【0015】
また、共通電極には、データ線と画素電極が重畳した位置に開口部が形成され、レーザは開口部に照射される。
【0016】
また、データ線は画素電極に重畳する位置で分岐しており、レーザは分岐した部分に照射される。
【0017】
また、液晶は、負の誘電率異方性を有しており、共通電極の開口部は液晶の配向方向を制御する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1(a)は配向制御窓を有するLCDの平面図、図1(b)はそのA−A’断面図である。第1の基板50上に、ゲート線51が形成され、これを覆ってゲート絶縁膜52が形成されている。この上には、ポリシリコン膜よりなるTFT53が形成されている。TFT53のゲート電極51aはゲート線51に接続されている。これらを覆って層間絶縁膜54が形成され、層間絶縁膜54上には、データ線1が形成されており、層間絶縁膜55に覆われている。データ線1はTFT53のソース領域に接続され、ゲート線51がオンしている画素電極57に信号電圧を印加する。データ線57に印加される信号電圧によって、液晶が直接傾斜される事を防止するため、データ線57は、画素電極57の下に重畳して形成されている。層間絶縁膜55上にはITOよりなる画素電極57が形成され、層間絶縁膜54、55に開口されたコンタクトホールを介してTFT53に接続されている。画素電極57の上には、ポリイミドのような有機系材料もしくは、シラン系材料のような無機系材料よりなる垂直配向膜11が形成されている。
【0019】
第1の基板50に対向して配置された第2の基板60には、ITO等よりなる共通電極61が複数の画素電極57を覆って形成されている。共通電極61上には、第1の基板50側と同じ垂直配向膜12が設けられている。共通電極61には、画素電極57に対応する位置に電極不在の開口部である配向制御窓6が設けられている。配向制御窓6は、共通電極が開口された電極不在の領域であり、例えば図示したように「Y」の文字を上下逆に連結した形状を有する。
【0020】
これら第1の基板50および第2の基板60の間には、液晶71が封入され、画素電極57と共通電極61の間に印加された電圧によって形成された電界強度に応じて、液晶分子の向き即ち配向が制御される。第1の基板50および第2の基板60の外側には、図示しない偏光板が、偏光軸を直交させて配置されている。これら偏光板間を通過する直線偏光は、各表示画素毎に異なる配向に制御された液晶71を通過する際に変調され、所望の透過率に制御される。
【0021】
液晶71は負の誘電率異方性を有しており、即ち、電界方向に対して倒れるように配向する性質を有している。垂直配向膜11,12は、液晶71の初期配向を垂直方向に制御する。この場合、電圧無印加時には、液晶分子は垂直配向膜11,12に垂直になっており、一方の偏光板を抜けた直線偏光は、液晶71を通過して他方の偏光板により遮断されて表示は黒として認識される。この構成で、画素電極57と共通電極61間に電圧を印加すると、電界64,65が形成され、液晶分子は傾斜する。画素電極57の端部では、電界64は、画素電極57から共通電極61側へ向かって斜めに傾いた形状になる。同様に、配向制御窓6の端部も電極が不在であるため、電界67は画素電極57に向かって傾いた形状になる。この傾いた電界に垂直になるように液晶の配向方向が制御されるため、液晶分子は画素電極57の内側方向、配向制御窓6に向かって傾斜する。この結果、一方の偏光板を抜けた直線偏光は、液晶71にて複屈折を受け、楕円偏光に変化して他方の偏光板を通過し、表示は白に近づいていく。即ち本実施形態のLCDはノーマリーブラックである。
【0022】
配向制御窓6直下は液晶71の配向方向が不連続となるいわゆるディスクリネーションラインとなるので、電圧を印加しても光は透過しない。そこで、データ線1は配向制御窓6は重畳して形成されており、透過率の低下を防止している。
【0023】
画素電極57は、ゲート線51とデータ線57が両方オンするとTFTを介して電圧が印加され、その直上の液晶を駆動する。それぞれの画素電極57に、それぞれの電圧を印加することによってLCDの表示を行う。つまり、画素電極57が形成されている領域が画素となる。
【0024】
データ線1は、画素電極57が形成されている領域に分岐線2を有する。分岐線2は、配向制御窓6の長さ程度で終端しており、隣接する画素電極57には延在していない。
【0025】
次に本構成の液晶表示装置に例えばTFT53が完全に機能しない不良画素が存在した場合の修正方法について説明する。いまTFT53aに不良が生じているとする。まず、TFT53aと画素電極57aが接続されているコンタクト上の領域4にYAGレーザを高いエネルギーで照射し、これを切断する。次に図2に図示するように、分岐線2上の領域5にYAGレーザを低いエネルギーで照射し、データ線1と画素電極57aとを溶接して接続する。図2は、図1(a)におけるB−B’断面図である。以上で修正が完了する。
【0026】
このように修正すると、不良画素の画素電極57は、データ線1と接続される。上述したように、データ線1には、常にいずれかの行の画素電極57に電圧を印加するための表示内容に応じた電圧が印加される。つまり、データ線1には1垂直同期期間の間にその列の画素に印加する電圧が順に印加される。このデータ線1と直接接続された画素電極57には、その列の画素に印加される電圧が順に印加されることになる。従って、例えば全面白で画面を表示する場合は、修正された画素も白を表示し、全面黒で表示する場合は修正画素も黒を表示することになる。中間調でも同様である。従って、常に白もしくは黒とはならず、従来の修正された画素に比較して、目立たない修正画素となる。
【0027】
本実施形態は、データ線1が画素電極57に重畳して形成されているので、データ線1と画素電極57の接続を容易に行うことができる。
【0028】
レーザの照射位置は、分岐線2ではなく、データ線1と画素電極57が重畳しているところであればどこに照射しても欠陥画素を修正することができる。しかし、溶接を行うレーザの照射時間やエネルギーは、正確な制御を必要とし、照射時間が長すぎたり、エネルギーが高すぎたりすると、データ線1を切断してしまうおそれがある。データ線1が切断されると、そのデータ線1に接続された全ての画素電極57に電圧が印加されなくなり、1列全ての画素が欠陥となる、いわゆる線欠陥となってしまう。これに対し、分岐線2に照射すれば、万が一ここを切断しても他の画素には何ら影響を及ぼさない。また、分岐線2の長さをレーザの直径の2倍以上設けておけば、一度切断してしまってももう一度修正する事ができる。また、分岐線2は、一つの画素電極57に対して2つ形成されているので、1つ目の分岐線2で失敗したとしても、もう一度修正することができる。
【0029】
また、レーザの照射によって、例えば画素電極の一部分がめくれ上がるなどして、共通電極61と短絡してしまう場合がある。画素電極57と共通電極61が短絡すると、その間の液晶70を駆動することができなくなってしまう。さらにデータ線1と共通電極61が短絡すると、共通電極に印加される一定の電圧がデータ線1にのってしまい、やはり線欠陥となってしまう。これに対し、本実施形態は、データ線1が配向制御窓6に重畳しているので、万が一画素電極57の一部分がめくれ上がっても、共通電極61と短絡するおそれがない。
【0030】
なお、本実施形態では、配向制御窓6を有する垂直配向型液晶表示装置を例示して説明したが、本発明の欠陥画素修正方法は、ノーマリーホワイト、ノーマリーブラック、TN型、垂直配向型など、いずれの方式のLCDにも適用できる。要は、画素電極にデータ線が重畳しており、その重畳している領域に開口部が形成されていれば全く同様に実施することが可能である。特にノーマリーブラックのLCDは、従来効果的な欠陥画素修正方法が存在しなかったので、より有効であるといえる。
【0031】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、欠陥画素に接続されたデータ線と欠陥画素の画素電極とを短絡させる欠陥修正方法であるので、修正した画素は白表示または黒表示に固定されず、修正した画素が目立たない。
【0032】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、共通電極には、データ線と画素電極が重畳した位置に開口部が形成され、レーザは開口部に照射されるので、修正によって画素電極と共通電極が短絡することがなく、修正を確実に行うことができる。
【0033】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、データ線は画素電極に対応する位置で分岐しており、分岐した部分が画素電極に重畳しており、レーザは分岐した部分に照射されるので、レーザの照射によってデータ線が切断されることがなく、修正を確実に行うことができる。
【0034】
また、請求項5乃至請求項7に記載の発明は、上述した修正が行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図3】従来の液晶表示装置の平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1 データ線、2 分岐、3,6 開口部、
4,5,7,8,81,82 レーザを照射する領域

Claims (3)

  1. 互いに対向して配置された第1及び第2の基板間に液晶を封入してなり、前記第1の基板には互いに絶縁されたゲート線及びデータ線、該データ線にスイッチング素子を介して接続された複数の画素電極が形成され、前記第2の基板には前記複数の画素電極に対向する対向電極が形成され、前記データ線と前記画素電極とは重畳して形成され、前記対向電極には、前記データ線と画素電極が重畳した位置に開口部が形成された液晶表示装置において、欠陥を有する画素を修正する方法であって、該欠陥画素に接続された前記スイッチング素子を前記データ線から切断し、該欠陥画素に接続された前記データ線と該欠陥画素の前記画素電極とを前記対向電極の開口部から前記データ線と画素電極の重畳領域にレーザを照射することで短絡させることを特徴とする液晶表示装置の欠陥修正方法。
  2. 前記データ線は前記画素電極に重畳する位置で分岐しており、前記レーザは該分岐した分岐線に照射されることを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置の欠陥修正方法。
  3. 前記液晶は、負の誘電率異方性を有し、前記開口部は前記液晶の配向方向を制御する配向制御窓であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の欠陥修正方法。
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