JP4010694B2 - 供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法 - Google Patents

供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
この発明は、供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法に関し、供用中の橋梁であってもたわみを遠隔地で自動モニタリングできるようにしたものである。
【従来の技術】
近年の交通量の増大などに伴い橋梁を安全に管理する目的で供用中の橋梁のたわみ状態を遠隔地で知る必要がある場合がある。
このような橋梁のたわみを測定する方法の1つとして基準となるレーザーを固定部から照射し、これを被検出部である橋梁に取り付けた受信部で受信し、受信結果を通信手段でコンピュータに送って処理することでたわみを求めることができるようにしたものもある。
このようなレーザーを用いることで橋梁のたわみを計測し、遠隔地でモニタリングすることができる。
【発明が解決しようとする課題】
ところが、橋梁が供用中であると、たわみの測定値が絶えず変動し、車両が通過している場合、車両が通過していない場合、車両が通過中でも大型車が連続して通過する場合、渋滞中で車両が停止している場合など種々の場合があり、橋梁の管理上どの場合の測定値が橋梁のたわみを表わすのか分からないなどの問題がある。
この発明はかかる従来技術の有する課題を解決するためになされたもので、供用中の橋梁であってもたわみを自動的にモニタリングすることができる供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法は、供用中の橋梁の被測定点にレーザーの受信位置を検知出力する受信手段を設けるとともに、固定側にレーザーを照射する発信手段を設けて橋梁のたわみを自動モニタリングするに際し、前記発信手段から一定サンプリング間隔で前記受信手段に向けてレーザーを照射し、当該受信手段から得られるサンプリング間隔ごとの受信信号の一定個数から平均受信値を求めてホストコンピュータに送り、このホストコンピュータで前記平均受信値を一定時間蓄積してたわみの最小、平均、最大の各値を演算し、これらたわみの最小、平均、最大の各値および前記平均受信値を通信手段でモニタリングコンピュータに送信できるようにしたことを特徴とするものである。
この供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法によれば、供用中の橋梁の被測定点に設けた受信手段に向けて固定側の発信手段から一定サンプリング間隔でレーザーを照射し、得られるサンプリング間隔ごとの受信信号の一定個数から平均受信値を求めてホストコンピュータに送り、この平均受信値を一定時間蓄積し、この一定時間蓄積した平均受信値からたわみの最小、平均、最大の各値を求めて通信手段でモニタリングコンピュータに送信できるようにしており、供用中の橋梁で車両の通過状態が種々変化する場合であっても、一定個数の受信信号から求めた平均受信値を一定時間蓄積し、その間の平均値から橋梁のたわみを把握するとともに、最小値から車両がまったく通過しない場合を、最大値から大型車などが連続通過する場合などのたわみが把握できるようになり、モニタリングコンピュータからデータを取り込むようにし、ホストコンピュータとモニタリングコンピュータの双方で必要なデータの保持ができるようにしている。
さらに、この発明の請求項2記載の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法は、請求項1記載の構成に加え、前記たわみの測定値がある設定値を越えたときにアラームを発するように構成したことを特徴とするものである。
この供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法によれば、平均受信値を一定時間蓄積し、その間の平均値から橋梁のたわみを把握し、このたわみの測定値がある設定値を越えたときにアラームを発するように構成してあり、アラームによって橋梁の管理が一層簡単にできるようにしている。
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この発明の供用中の橋梁のたわみ自動モニタリング方法では、たわみの自動モニタリングのため、図1に示すように、モニタリング対象である供用中の橋梁1の被測定点2にレーザーを用いてたわみを測定する装置3の受信手段を構成する電子スタッフ4が取り付けられる一方、基準となる固定側にレーザーを照射する発信手段を構成するレーザープレーナー5が設けられる。そして、受信手段としての電子スタッフ4には、図2に示すように、ケーブル6および通信ターミナル7を介して計測室8内に設置されたホストコンピュータ9が接続されている。さらに、このホストコンピュータ9には、電話回線などの通信手段10を介して遠隔地に設置された複数のモニタリングコンピュータ11,11,…が接続されている。
このようなたわみの自動モニタリングのため各機器などの取り付けは、図3(a),(b)に示すように、供用中の橋梁1に足場12を仮設し、この足場12のレーザープレーナー5の近傍に計測室8を仮設してホストコンピュータ9などを設置する一方、橋梁1の被測定点2への電子スタッフ4の取り付けは、橋梁1のブラケット13に固定する。
次に、このようなレーザーを用いる自動モニタリングのための各機器を用いたたわみの自動モニタリングについて、図4に示すフローチャートにしたがって説明する。
この供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法では、車両の通過状態などによって測定データが大きく変動することから、次のようにしてたわみを求めるようにしている。
レーザーの発信手段としてのレーザープレーナー5から一定のサンプリング間隔で受信手段としての電子スタッフ4に向けてレーザーを照射する。この一定のサンプリング間隔としては、例えば0.1秒間隔(10Hz )とする。このため、レーザープレーナー5を鉛直軸回りに600rpmで回転(水平に回転)することで0.1秒間隔の照射を行うようにしている。
なお、このサンプリング間隔は橋梁の振動(固有周期)の影響を考慮して定めたもので、橋梁の構造などによって適宜選定すれば良い。
こうしてレーザープレーナ5から一定のサンプリング間隔でレーザーが受信手段としての電子スタッフ4に照射されると、このサンプリング間隔に対応してレーザー光によるたわみの自動測定が行われ、サンプリング間隔に対応した受信信号δが発生し、例えば0.1秒間隔でレーザー光によるたわみの自動測定が行われる。
この0.1秒間隔での受信信号δは橋梁の使用状態によって大きく変動した測定値となる。
そこで、電子スタッフ4内では、一定個数の受信信号δn (n は個数)から平均受信値δmeanを求める。この一定個数としては、例えば100個(10秒間)とし、この間の受信信号δ1 〜δ100 から平均受信値δmeanが求められる。
こうして電子スタッフ4で求められた平均受信値δmeanがケーブル6および通信ターミナル7を介して計測室8内に設置されたホストコンピュータ9に送られる。
ホストコンピュータ9では、10秒間の測定値の平均である平均受信値δmeanを一定時間蓄積し、蓄積したデータ(平均受信値δmean)からたわみの最小値Δmin 、たわみの平均値Δmean、たわみの最大値Δmax の各値を演算で求める。
このホストコンピュータ9での蓄積時間は、例えば10分間とする。
こうして例えば10分間ごとにたわみの最小値Δmin 、たわみの平均値Δmean、たわみの最大値Δmax の各値を演算で求め、データを保存する。
このホストコンピュータ9に保存されたデータは、電話回線などの通信手段10を介して遠隔地に設置された複数のモニタリングコンピュータ11,11,…からデータを取り込みにいくことができるようにしてある。
ここでは、モニタリングコンピュータ11から1時間ごとにデータを取り込みに行き、このデータをホストコンピュータ9とモニタリングコンピュータ11の双方で保存することで、停電などでホストコンピュータ9またはモニタリングコンピュータ11の保存データが失われるようなことがあっても片方にはデータが保存されることになり、このデータを元に復旧後橋梁のたわみの自動モニタリングを継続できるようにしている。
また、モニタリングコンピュータ11に保存したデータは、数日分、例えば3.5日分の短期間、数か月、例えば1か月分の中期間、数年分、例えば2年分の長期間を1画面に表示できるようにしてあり、それぞれの期間の変化を把握しやすいようにしてある。
さらに、このモニタリングコンピュータ11には、アラームの設定を行い、この設定値になったときに警報を発するようにすることができる。
このアラームの設定では、例えばたわみの平均値Δmeanを監視し、この値の上限値を設定して警報を発するようにする。ここで、たわみの平均値Δmeanを監視するようにしたのは、たわみの最小値Δmin はほぼ無載荷時(車両のまったく通過しない状態)のたわみを表わし、たわみの最大値Δmax は移動荷重の大小に依存することから、橋梁の劣化とほぼ連動するであろうものが平均的なたわみ量を表わすたわみの平均値Δmeanと考えられるからである。
このような供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法を用いて、実験用の橋梁を作り、車両の走行に相当する振動荷重を加えるなどの模擬状態を作り、たわみを自動測定したモニタリング結果を図5〜図7に示した。
これらの測定結果と実験条件とは良く一致しており、供用中の橋梁のたわみの自動モニタリングを十分な精度で行うことができることを確認している。
以上のように、この供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法によれば、たわみの測定を一定サンプリング間隔、例えば0.1秒間隔毎に行い、サンプリング間隔ごとの受信信号の一定個数から平均受信値を求めるようにしているので、橋梁が走行車両によって微振動していてもその影響を除いてたわみを測定することができる。
また、平均受信値を一定時間蓄積し、例えば10分間蓄積したデータからたわみの最小値、平均値、最大値の各値を求めるようにし、これらの値を連続して保存しておくことで、個々のたわみの最小値、平均値、最大値の各値には、変動があるものの、一週間単位程度では、ほぼ一定の規則性を見出だすことができ、次のようにして供用中の橋梁のたわみを把握することができる。
▲1▼ たわみの最小値について
たわみの最小値の変動範囲のうち最小となるのは、基本的に車両無載荷の死荷重状態を示し、一週間のうちに1度は必ず最小となる状態が生じる。
この最小値の変動範囲のうち最小となる値そのものは必ずしも一定にならないのは平均受信値の蓄積時間を例えば10分間としているため、この間に幾らかの車両が載荷される状態が生じるためである。
したがって、一週間の間で最小値の変動範囲のうち最小となる値が大きくなって行くようであれば、橋梁自体の耐荷力の減少を示していると判断できる。
▲2▼ たわみの最大値について
たわみの最大値は、非常に変動が激しく、時間により渋滞が生じていることなどを知ることができ、瞬間的な上昇から、重車両の通行があることが分かる。
▲3▼ たわみの平均値について
たわみの平均値の変化は、ほぼ最小値の変化と同じ形態を示し、このたわみの平均値の変化を長期的にモニタリングすることで、橋梁自体の耐荷力の変化を知ることができる。
なお、上記実施の形態では、ホストコンピュータのデータをモニタリングコンピュータから取り込みに行く場合で説明したが、ホストコンピュータから一定時間ごとにデータを自動送信するようにすることもできる。
また、温度変化の影響を考慮する場合は、あらかじめ、たわみと温度の相関曲線を作っておき、計測されたたわみの値を相関曲線にもとづき、温度補正することにより、温度の影響を消去することができる。
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法によれば、供用中の橋梁の被測定点に設けた受信手段に向けて固定側の発信手段から一定サンプリング間隔でレーザーを照射し、得られるサンプリング間隔ごとの受信信号の一定個数から平均受信値を求めてホストコンピュータに送り、この平均受信値を一定時間蓄積し、この一定時間蓄積した平均受信値からたわみの最小、平均、最大の各値を求めて通信手段でモニタリングコンピュータに送信できるようにしたので、供用中の橋梁で車両の通過状態が種々変化する場合であっても、一定個数の受信信号から求めた平均受信値を一定時間蓄積し、その間の平均値から橋梁のたわみを把握することができるとともに、最小値から車両がまったく通過しない場合を、最大値から大型車などが連続通過する場合などのたわみを把握することができる。
また、モニタリングコンピュータからホストコンピュータにデータを取り込みに行くことで、このデータをホストコンピュータとモニタリングコンピュータの双方で保存でき、停電などでホストコンピュータまたはモニタリングコンピュータの保存データが失われるようなことがあっても片方のコンピュータにはデータが保存され、このデータを元に復旧後橋梁のたわみの自動モニタリングを継続することができる。
さらに、この発明の請求項2記載の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法によれば、平均受信値を一定時間蓄積し、その間の平均値から橋梁のたわみを把握し、このたわみの測定値がある設定値を越えたときにアラームを発するように構成したので、アラームによって橋梁の管理を一層簡単に行うことができる。
したがって、これら発明により、供用中の橋梁のたわみ状態を自動モニタリングすることが可能となり、橋梁の管理が遠隔地から容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかる測定機器の概略構成図である。
【図2】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかる受信信号処理のブロック図である。
【図3】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかる測定機器の具体的配置図である。
【図4】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかるフローチャートである。
【図5】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかるたわみ計測結果のグラフである。
【図6】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかるたわみ計測結果のグラフである。
【図7】この発明の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法の一実施の形態にかかるたわみ計測結果のグラフである。
【符号の説明】
1 橋梁
2 被測定点
3 たわみ測定装置
4 電子スタッフ(受信手段)
5 レーザープレーナー(発信手段)
8 計測室
9 ホストコンピュータ
11 モニタリングコンピュータ

Claims (2)

  1. 供用中の橋梁の被測定点にレーザーの受信位置を検知出力する受信手段を設けるとともに、固定側にレーザーを照射する発信手段を設けて橋梁のたわみを自動モニタリングするに際し、前記発信手段から一定サンプリング間隔で前記受信手段に向けてレーザーを照射し、当該受信手段から得られるサンプリング間隔ごとの受信信号の一定個数から平均受信値を求めてホストコンピュータに送り、このホストコンピュータで前記平均受信値を一定時間蓄積してたわみの最小、平均、最大の各値を演算し、これらたわみの最小、平均、最大の各値および前記平均受信値を通信手段でモニタリングコンピュータに送信できるようにしたことを特徴とする供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法。
  2. 前記たわみの測定値がある設定値を越えたときにアラームを発するように構成したことを特徴とする請求項1記載の供用中橋梁のたわみ自動モニタリング方法。
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