JP4010356B2 - 植物ウイルス由来プロモーター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物中で機能する植物ウイルス由来新規プロモーター、より詳しくはミルクベッチ・ドゥオーフ・ウイルス(Milk vetch dwarf virus:MDV)由来新規プロモーター及びその変異体、更には該プロモーターの植物における遺伝子の発現制御への利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物分子生物学の発展に伴い、病虫害抵抗性や除草剤耐性などの有用形質を備えた品種等の改変、育種において、その目的の形質を備えた遺伝子をセンス方向またはアンチセンス方向に、植物で発現可能なプロモーターに連結したキメラ遺伝子を植物に導入し、その結果、目的の遺伝子の発現を促進、抑制することが可能となってきた。例えば、Bacillus thuringiensis由来の殺虫性BT毒素遺伝子をセンス方向に植物に導入し、植物に殺虫性を付与した例(D.A.Fischhoff等, Bio/Technology, vol.232, p.738-743, 1987)や、トマト果実の過熟に関するポリガラクツロナーゼcDNA遺伝子をアンチセンス方向に導入し、トマトに日持ち効果を付与した例(C.J.Smith等, Nature, vol.334, p.724-727, 1988)等が報告されている。
【0003】
従来より、植物の形質転換に用いられるベクター系におけるプロモーターとして種々のものが開発されている。例えば、代表的なものとして、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミド由来のプロモーターや、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)の遺伝子由来のプロモーター等が開発されている。
その中で、形質転換植物を作成する場合に、プロモーターとして最も汎用されているのが、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)35Sプロモーターであり、該CaMV35Sプロモーターは、植物とその組織、そして構造遺伝子の種類を問わず非特異的に、しかも強力な構造遺伝子の転写促進作用を発揮することから、上記の植物形質転換の例を始め、実用上は専ら、このプロモーターが用いられていると言っても過言ではない。
【0004】
近年、植物中で機能する植物ウイルス由来プロモーターとして、特にマメ科の植物中で機能するシルコウイルス由来のプロモーターが開示された(特表平10−505233号公報)。シルコウイルス由来のプロモーターとして、具体的には、サブテレーニアン・クローバ・スタント・ウイルス(SCSV)由来のプロモーターの塩基配列が開示されている。該塩基配列は、セグメント1〜7と記述される少なくても7個の異なる環状SSDNA成分を含んでおり、そのセグメントの大きさは、約988ヌクレオチドから約1022ヌクレオチドの範囲にある。これらのプロモーターは、マメ科植物及び非マメ科植物に適用されるが、特にマメ科植物に好ましく適用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、遺伝子の導入により植物の形質を転換するに際し、広範囲の植物において、しかも強力に機能する植物用のプロモーターを提供すること、及び該プロモーターを用い、該プロモーターを組み込んだ植物用の遺伝子発現ベクター及び該遺伝子発現ベクターを用いて形質転換した植物を構築し、提供することにある。
更に、本発明の課題は、植物に2以上の植物発現用遺伝子を組み込んで植物の形質転換を行うに際し、それぞれの植物発現用遺伝子に異なるプロモーターを用いて遺伝子の発現を行うことを可能とするために、その植物発現用遺伝子の少なくとも一つのプロモーターとして利用することができる強力なプロモーターを提供することにある。
【0006】
即ち、植物の遺伝子発現においては、プロモーターに関して、いわゆるジーンサイレンシング現象というものが報告されている。これは、同一核内に同種のプロモーターが2以上存在すると、その転写促進作用が抑制される、という現象である。従って、2以上の遺伝子を植物の同一染色体に導入する場合には、2以上の異なったプロモーターを使用することが必要となる。例えば、2以上の遺伝子を植物の同一染色体に導入する場合に、それらの構造遺伝子にそれぞれ連結するプロモーターとして通常良く用いられるCaMV35Sプロモーターを用いた場合に、該プロモーター1種類のみを使用したのでは、このジーンサイレンシング現象が起こると考えられる。この場合にはCaMV35Sプロモーター以外のプロモーターが必要であり、かかるプロモーターはCaMV35Sプロモーターと同等程度の能力かそれ以上の能力をもつことが望ましい。
従って、上記問題点を解決するためには、広範囲の植物において、しかも強力に機能する植物用のプロモーターを開発することが必要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、広範囲の植物において、しかも強力に機能する植物用のプロモーターについて、鋭意探索の結果、レンゲ萎縮ウイルス(Milk vetch dwarf virus:MDV)から、広範囲の植物中において機能し、導入する遺伝子の種類を問わず、しかも、CaMV35Sプロモーターと同等に強力に発現するプロモーターを単離し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、植物中において強力に機能する植物用のプロモーターとして、配列表の配列番号1〜6に示すMDV(レンゲ萎縮ウイルス)由来のプロモーターを単離し、本発明をなしたものである。本発明は、更に該MDV由来のプロモーターから、植物における遺伝子プロモーター活性を有する変異体を構築し、該変異体を提供すること、及び該MDV由来のプロモーター及びその変異体からなる本発明のプロモーターを組み込んだ植物用発現ベクター、該発現ベクターに植物発現用遺伝子を組み込んで、植物に導入し、形質転換した植物を提供することよりなるものである。
【0008】
すなわち本発明は、配列表の配列番号2又は5に示される塩基配列からなることを特徴とする植物ウイルス由来プロモーター領域を含むDNA(請求項1)や、植物ウイルス由来プロモーターが、レンゲ萎縮ウイルス由来プロモーターであることを特徴とする請求項1記載の植物ウイルス由来プロモーター領域を含むDNA(請求項2)や、請求項1又は2記載のDNAにおいて、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有することを特徴とするDNA(請求項3)や、請求項1又は2記載のDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有することを特徴とするDNA(請求項4)からなる。
【0009】
また本発明は、請求項1〜4のいずれか記載のDNAからなるプロモーターを組み込んだ植物用発現ベクター(請求項5)や、請求項5記載の植物用発現ベクターに、植物発現用遺伝子を組み込んで植物に導入し、形質転換した植物(請求項6)や、植物用発現ベクターに、それぞれ異なる種類のプロモーターを連結した2以上の植物発現用遺伝子を組み込んで形質転換した植物において、それぞれ異なる種類のプロモーターの少なくとも一つが、請求項1〜4のいずれか記載のDNAから選択されたプロモーターであることを特徴とする形質転換植物(請求項7)からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、レンゲ萎縮ウイルス(Milk vetch dwarf virus:MDV)から、広範囲の植物中において機能し、しかも、強力に発現するプロモーターを単離し、植物発現用遺伝子のプロモーターとして利用することよりなる。
【0011】
本発明において、植物発現用遺伝子とは、構造遺伝子として、あるタンパクのアミノ酸配列をコードしているDNAの領域をいい、開始コドンと終始コドンに挟まれ、その内部にはエキソンとイントロンとを含んでいるような構造のものをいう。プロモーターとは、比較的短い塩基配列からなるDNAであって、これをRNAポリメラーゼが認識することによってmRNAが合成され、その下流域にある構造遺伝子の転写が開始され、遺伝子が発現するように作用するDNAの領域をいう。もっとも、遺伝子の発現には、mRNAの合成を効果的に終結を制御する、ターミネーターと呼ばれるDNA上のシグナルも必要である。通常、遺伝子を導入して植物の形質を転換しようとする場合は、構造遺伝子だけではなく、その上流に当該構造遺伝子の転写促進作用を有するプロモーターを、下流にはターミネーターを連結し、プロモーター、構造遺伝子及びターミネーターをセットして植物染色体に導入する(ただし、以下の発明においては、特に必要ない限りターミネーターについての記載を省略する。)
【0012】
以下、本発明におけるMDV由来プロモーターの単離・配列決定、及び発現調節活性の測定について、詳細に説明する。
[MDV由来プロモーターの単離・配列決定、及び発現調節活性の測定]
(1)MDVゲノムDNAの分離精製
本願発明においてMDVゲノムDNAの材料となるMDVは、特に限定されないが、例えばナンキンマメ、レンゲ、エビスグサ、ダイズ、スイートピー、アルファルファ、スイートクローバー、アズキ、インゲン、エンドウ、クリムソンクローバー、サブクローバー、ソラマメ、コモンベッチ、ヘアリーベッチ、ジュウロクサゲ、ハタササゲ、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ、Nicotiana glutinosa L.、N.rustica L.、N.tobacum L.、ホウレンソウなどのMDVに感染した植物から分離できる。MDVが感染した植物体において用いる部位は特に限定されないが、ゲノムDNAの単離の手順等を考慮すれば、当該展開葉を用いるのが望ましい。MDVゲノムDNAは例えば上記植物を液体窒素下で摩砕し、例えば、Santer等の方法(Biochem.Biophys.Research Commun., 118, p.747-752, 1984)等常法を用いて抽出することができる。この際、可能な限りDNAが物理的切断を受けないように留意して単離精製するのが望ましい。
【0013】
(2)MDVゲノムDNAライブラリーの作成
上記により得られたMDVゲノムDNAを、通常は粘着末端を与える制限酵素を用いて消化する。粘着末端を与える制限酵素としては、例えば、Sau3AI、EcoRI、BamHI等幅広く用いることができる。なお、平滑末端を与える制限酵素を用いる場合においても、消化後に合成リンカーを末端部に接合するか、平滑末端同士で接着させてゲノムDNAライブラリーの作成に供することができる。消化後、ショ糖密度勾配遠心分離法等の方法を用いて、ベクターに挿入するのに適した長さのDNA断片を分画する。このDNA断片は、通常10kb以下程度で、クローニングベクターにT4DNAリガーゼの作用で連結する。クローニングベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド等広く用いることができるが、クローニングベクターとして確立しているものが望ましい。かかるゲノムDNA用クローニングベクターとしては、例えば、ラムダファージベクターλZAP II(ストラタジーン社)やプラスミドベクターpUC19やpBluescript(ストラタジ−ン社)を挙げることができる。
【0014】
次に、上記組換えDNAを宿主に導入することが必要である。宿主としては、原核生物、酵母、真核生物を問わず、具体的には上記で用いたクローニングベクターによって規定される。原核生物としては、代表的なものとして大腸菌、枯草菌等を、真核生物としては酵母サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベやタバコ等の大量培養可能な植物細胞を用いることができる。例えば、宿主として大腸菌を用いる場合には、主に対数増殖期にある細胞を集め、マグネシウムイオンで処理したものを宿主として用いるのが好ましい。さらに、クローニングベクターの導入に関しては、電気パルスを用いる方法、例えば宿主として植物細胞を用いる場合には、M.Fromm等の方法(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol.82, p.5824, 1985)を採ることも可能である。
【0015】
(3)分離したMDVゲノム遺伝子の塩基配列の決定とプロモーター領域の推定上記(2)において得られたMDV由来のゲノムDNA断片の塩基配列は、例えばダイデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法(Smith A.J.H., Meth. Enzym., vol.65, p.560-p.580, 1980)等の方法を用いて決定することができる。決定した塩基配列から構造遺伝子をコードする領域が一般的な遺伝子解析ソフト、DNASIS-Windows(日立ソフトウェアエンジニアリング社)などを用いて特定でき、さらに通常真核生物のプロモーター領域に見られるCAATボックスやTATAボックス等の普遍的プロモーター配列の検索によって、プロモーター領域を推定できる。
【0016】
(4)発現調節活性を確認するための組換えプラスミドの構築
上記(3)によって、推定された領域が調節遺伝子であることを確認するためには、特定植物の構造遺伝子を予め組み込んだプラスミドにおいて、この構造遺伝子の上流にプロモーター領域と推定される配列を連結し、該遺伝子の発現を直接確認する方法を採用することができる。その発現を確認するために高感度で検出できるレポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−グルクロニダーゼ(GUS)や緑色蛍光タンパク(GFP)遺伝子を有する植物形質転換用ベクター、例えばpBI101(クロンテック社)等の組換えプラスミドを用いて、上記レポーター遺伝子の上流に(3)でプロモーター領域と推定された配列を連結し、発現調節活性を確認するための組換えプラスミドを構築するのが望ましい。
【0017】
(5)発現調節活性の確認
前記(4)により得られた組換えプラスミドを、アグロバクテリウム法やエレクトロポレーション法等により植物に導入し、レポーター遺伝子の発現を検出すれば、推定プロモーター領域の発現調節活性を確認することができる。
このようにして得られたMDV由来のプロモーターはMDVが生存するための構造遺伝子の発現調節を行い得ることはもちろんであるが、例えばタバコ、イネ、ポプラ等、広く他の植物遺伝子の発現を制御することが可能である。なお、発現効率の向上のために、上記遺伝子プロモーター領域の他に、MDVの構造遺伝子の一部を当該プロモーター領域の下流に連結することも有効な方法である。
【0018】
本発明MDV由来のプロモーターは、前述のようにMDVゲノムから調製できることはもちろんであるが、通常の方法、例えばホスファイトトリエステル法(M.Hunkapiller等, Nature, vol.310, p.105-110, 1984)等に従って化学合成をすることもできる。本発明のプロモーターを用いて構造遺伝子を発現させる場合には、本発明のプロモーターの下流に所望の構造遺伝子を組み込んだベクターを通常公知の方法で構築し、これをベクターの種類に応じた宿主に導入して発現を行うことができる。発現の詳細な条件は、構造遺伝子、ベクターまたは宿主の種類によって決定される。また、発現の結果得られた物質の単離・精製も常法を用いて行うことができる。
【0019】
[MDV由来プロモーターの変異体]
本発明は、更にMDVから単離したプロモーターから誘導した変異体を含むものである。すなわち、本発明は、配列表の配列番号1〜6に示される塩基配列において、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有する塩基配列を含む。本発明において、種々のDNA配列の変異は、周知の遺伝子工学的遺伝子変異手段によって、行うことができる。
また、本発明は、配列表の配列番号1〜6に示される塩基配列と、又はその一部の塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有する塩基配列を含む。
【0020】
ここで、上記本発明の塩基配列において、「塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」条件としては、例えば、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理を挙げることができる。なお、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与える要素としては、上記温度条件以外に種々の要素があり、当業者であれば、種々の要素を組み合わせて、上記例示したハイブリダイゼーションのストリンジェンシーと同等のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0021】
[MDV由来プロモーターを組み込んだ発現ベクター、形質転換植物]
本発明は、本発明のプロモーターを組み込んだ発現ベクター、及び該発現ベクターに植物発現用遺伝子を組み込んで、植物に導入し、形質転換した植物を含む。
本発明のプロモーターを組み込む発現ベクターとしては、通常、植物への遺伝子導入に用いられるベクターが使用できるが、広く植物への遺伝子導入に用いられているTiプラスミド系のベクターが、有利に利用できる。ベクターの植物体への導入方法としては、遺伝子の植物体への導入に通常用いられる方法を用いることが出来る。例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による感染による方法、エレクトロポレーション法、微粒子砲撃法、及びマイクロインジェクション法などが挙げられる。
【0022】
本発明のプロモーターは、広範囲の植物の形質転換に用いることができ、また導入する植物発現用遺伝子としても、特に制限はないが、もともとMDVの感染が行われる植物、例えば、ナンキンマメ、レンゲ、エビスグサ、ダイズ、スイートピー、アルファルファ、スイートクローバー、アズキ、インゲン、エンドウ、クリムソンクローバー、サブクローバー、ソラマメ、コモンベッチ、ヘアリーベッチ、ジュウロクサゲ、ハタササゲ、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ、Nicotiana glutinosa L.、N.rustica L.、N.tobacum L.、ホウレンソウ等のような植物における植物発現用遺伝子の発現用のプロモーターとして、特に有利に利用することができる。
【0023】
[2以上の植物発現用遺伝子を組み込んだ植物の形質転換]
本発明のプロモーターの特に有利な利用法として、2以上の植物発現用遺伝子を組み込んで植物の形質転換を行う場合の利用がある。植物に、2以上の植物発現用遺伝子を組み込んで植物の形質転換を行う場合には、既に説明したように、プロモーターに関して、いわゆるジーンサイレンシング現象というものが報告されており、2以上の植物発現用遺伝子を植物に導入する場合には、それぞれ異なる種類のプロモーターを連結することが好ましい。従来、通常良く用いられるCaMV35Sプロモーターのような1種類のみのプロモーターが用いられていたが、本発明のプロモーターは、該CaMV35Sプロモーターと同等程度の能力かそれ以上の能力をもつプロモーターとして、遜色ないことから、該プロモーターに代えて、2種以上の植物発現用遺伝子にそれぞれ異なる種類のプロモーターを連結するためのプロモーターとして有利に利用することができる。
本発明のプロモーターの中から、プロモーターを選択して、植物に導入する2以上の植物発現用遺伝子に、それぞれ異なる種類のプロモーターを連結することにより、ジーンサイレンシング現象を回避した植物発現用遺伝子の発現を行うことができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(1)MDV感染葉組織からのMDV二本鎖DNAの精製
MDVの二本鎖DNAの抽出・精製は、Santer等の方法に準じて行った。すなわち、マメアブラムシ(Aphis craccivora Koch)でMDVが安定に伝搬されたエンドウの葉10gを液体窒素下で破砕した後、20mLの100mM NaClを含む50mM Tris−HCl/pH7.8に懸濁した。さらに、20mLの0.2M NaOH‐1%SDSを加えよく混合した。さらに、15mLの酢酸カリウム/pH4.8を添加後、氷上で1時間置いた。10,000gで10分間遠心分離した後、上清をフェノール/クロロホルム(1:1)で抽出し、水層を取った。これに20mLのエタノールを加えて、10,000gで10分間遠心分離した、沈殿物を真空乾燥させた。これに10μg/mLのRNaseA(Pharmacia社)を含むTE緩衝液(10mM Tris−HCl/pH8.0、1mM EDTA)を加え、37℃、1時間反応させて、RNAを分解させた。この一部を、0.8%アガロースゲルを用い電気泳動で分画し、臭化エチジウムで染色し、DNAの存在を確認した。RNA分解後の溶液は、エタノール沈殿により、精製した。
【0025】
(2)分離したDNAクローンの塩基配列の決定
得られた二本鎖DNA標品をまず4塩基認識の制限酵素AfaI、HaeIIIとSau3AIで切断した。これらの制限酵素消化物のアガロースゲル電気泳動による泳動パターンから、生じたDNA断片の合計サイズが1kbpよりも大きいことが示された。一般にウイルスのゲノムDNAのサイズは全長1kb程度であることが知られている。従って、ここで得られたDNA断片の合計が1kbを超えたということは、MDVゲノムはサイズが1kb程度で配列の異なる複数のDNAコンポーネントから構成されると考えられる。次に、上記二本鎖DNA標品を20種以上の制限酵素で消化したところ、11種類のDNAコンポーネントC1〜C11が単離された。
【0026】
塩基配列を決定するために一般的なクローニングベクターpUC19へのこれらの挿入を試みた結果、C1はSphI、C2はXbaI、C3はKpnI、C4はHindIII、C5はSalI、C6はSacI、C7はHindIII、C8はBamHIの各制限酵素切断部位に導入できた。また、C9とC10は、Sau3AIで消化したMDVゲノムDNAライブラリーから得られた塩基配列をもとに、PCRプライマーを設計し、これを用いてPCRを行うことにより全長DNAを増幅してから、ベクターへの導入を試みた。C9にはC9(+)プライマー5’−TAATGTAATGAAGAACACTA−3’とC9(−)プライマー5’−CAGTTCAATATACACTCTAT−3’を、C10にはC10(+)プライマー5’−CATAGATGGACCTTGGGAG−3’とC10(−)プライマー5’−GCGGTTTCTTTCTTCTGGC−3’を用いて全長DNAを増幅した。増幅された約1kbpのDNA断片は制限酵素SmaI部位で切断し、ddTTPを付加したpBluescriptSK(+)(ストラタジーン社)に導入した。
塩基配列の決定はダイデオキシチェーンターミネーション法により、ABI373A(パーキンエルマー社)自動シークエンサーを用いて決定した。
【0027】
(3)塩基配列に基づいたプロモーター領域の特定
GENETYX-WIN(ソフトウェア開発株式会社)を用いて、塩基配列情報から構造遺伝子に相当する領域を推定した。図1(推定される一本鎖MDVゲノムの構造)に示すように、MDVのゲノムDNAは環状の構造であり、構造遺伝子領域は少なくとも10kDaよりも大きいタンパクをコードする領域と推定した。その結果、C1、C2、C3、C10、C11は既知ウイルスとの相同性から、複製タンパク(Rep)をコードしていると推定された。また、C4は細胞周期の制御に関わるRb結合タンパク(Rb-binding)、C8は移行タンパク(MP)、C9はコートタンパク(CP)をコードしていると推定された(Sano等, J. Gen. Virol., vol.79, p.3111-3118)。この構造遺伝子領域の3’側に−AATAAA−というmRNAの安定性に関与すると推定されるポリAシグナルが付加される領域を検出し、その領域の前(5’側)、10〜30bpあたりから、TATAボックスと推定される領域を含むATG開始コドンの直前の塩基部分をプロモーター領域と推定した。この部分を増幅できるPCRプライマーを、5’側はHindIIIまたはSalIサイトを含み、3’側はBamHIサイトを含むように設計した。
【0028】
(4)発現調節活性を確認するための組換えプラスミドの構築
図2(MDVプロモーターとGUSの融合遺伝子の構築)に示すように、推定されたMDV由来の11種類のプロモーター領域約400〜650bpの下流に、レポーター遺伝子としてβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を組み込むために、該遺伝子を有する植物形質転換用ベクターであるpBI101.3(クロンテック社製)の制限酵素HindIII又はSalIとBamHIサイトに、これら11種類のプロモーター領域を挿入した。
【0029】
(5)発現調節活性の測定
得られた組換えプラスミドを凍結融解法によりアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)LBA4404に導入した。形質転換タバコ作成の材料としてタバコNicotiana tabacum L cv. SamsunNNを用いた。上記のA. tumefaciensを抗生物質カナマイシン(50mg/L)を含むLB培地で28℃、2日間培養した。無菌状態で種子発芽から約4週間生育させたタバコの葉を5mm角に切断し、A. tumefaciensの培養液に1〜3分間浸漬させた。次に、滅菌した紙タオル等で葉片に付着している培養液を除き、シュート形成培地(MS無機塩、3% しょ糖、0.8% 寒天、0.1mg/L ナフタレン酢酸、1mg/L ベンジルアデニン)に置床し、25℃連続照明下で培養した。3日後、選抜用培地(MS無機塩、3% しょ糖、0.25% ゲランガム、0.1mg/L ナフタレン酢酸、1mg/L ベンジルアデニン、100mg/Lカナマイシン、500mg/L カルベニシリン)に移し、さらに培養を続けた。約4週間後、分化してきた不定芽を切り取り、100mg/L カナマイシンと500mg/L カルベニシリンを含むMS基本培地(MS無機塩、3% しょ糖、0.8% 寒天)の入ったプラントボックス(50×50×95mm)に移植した。さらに、約4週間後、発根した個体はクレハ園芸培土(呉羽化学社)を含むポットに植え換え24℃の温室で生育させた。このようにして、MDVプロモーター−GUS融合遺伝子を持つ形質転換タバコを作成することができた。
【0030】
(6)タバコでの発現調節活性
上記(5)で作成したMDVプロモーター−GUS融合遺伝子を持つ形質転換タバコのカルスや葉、茎、根におけるMDVプロモーターの発現調節活性をKosugiらの方法(Plant Science, vol.70, p.133-140, 1990)で測定し、比較した。その結果、C4(配列番号1)、C5(配列番号2)、C6(配列番号3)、C7(配列番号4)、C8(配列番号5)、C9(配列番号6)のプロモーターは各々形質転換カルスにおいて35Sプロモーターの2〜10倍の高い活性を示した(図3)。
また、MDVプロモーターC4〜C9は形質転換体の葉においてCaMV35Sプロモーターと同じレベルの活性を示した(図4)。また、C4、C5、C6、C7、C9のプロモーターは篩部および分裂組織で強い活性を示し、C8のプロモーターは、葉肉部においても活性を示した(表1)。
【0031】
【表1】
Figure 0004010356
【0032】
複製開始タンパクをコードするC1、C2、C3、C10、C11プロモーターは、形質転換したカルスおよび形質転換体の葉においてほとんど活性が認められなかった(図3、図4)。なお、図3は、カルスにおけるプロモーター活性の測定結果を、及び図4は、葉におけるプロモーター活性の測定結果を示す。
【0033】
【発明の効果】
本発明のプロモーターは、植物発現用遺伝子の導入により植物の形質を転換を行うに際し、プロモーターとして広範囲の植物においてその機能を発揮し、その組織、そして遺伝子の種類を問わず強力に構造遺伝子の転写促進作用を奏する。更に、このプロモーターはかかる転写促進作用を恒常的に発揮する。したがって、本発明のプロモーターは、植物の形質転換を行うに際し、実用的な機能を有するプロモーターとしての利用を可能とする。更に、本発明のプロモーターは、2以上の植物発現用遺伝子にそれぞれ異なるプロモーター連結して、植物の形質を転換を行うような場合において、その植物発現用遺伝子の少なくとも一つのプロモーターとしての利用を有利に行いうる実用的なプロモーターとしての機能を具備するものでもある。
【0034】
【配列表】
Figure 0004010356
Figure 0004010356
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Figure 0004010356

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において分離したDNAクローンの推定される一本鎖MDVゲノムの構造を示す図である。
【図2】本発明の実施例において分離した、MDV由来の11種類の推定プロモーター領域とGUS融合遺伝子の構築を示す図である。
【図3】本発明の実施例において分離した、MDV由来の11種類の推定プロモーター領域の、カルスにおけるプロモーター活性を測定した結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例において分離した、MDV由来の11種類の推定プロモーター領域の、葉におけるプロモーター活性を測定した結果を示す図である。

Claims (7)

  1. 配列表の配列番号2又は5に示される塩基配列からなることを特徴とする植物ウイルス由来プロモーター領域を含むDNA。
  2. 植物ウイルス由来プロモーターが、レンゲ萎縮ウイルス由来プロモーターであることを特徴とする請求項1記載の植物ウイルス由来プロモーター領域を含むDNA。
  3. 請求項1又は2記載のDNAにおいて、1又は複数の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列からなり、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有することを特徴とするDNA。
  4. 請求項1又は2記載のDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物における遺伝子のプロモーター活性を有することを特徴とするDNA。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載のDNAからなるプロモーターを組み込んだ植物用発現ベクター。
  6. 請求項5記載の植物用発現ベクターに、植物発現用遺伝子を組み込んで植物に導入し、形質転換した植物。
  7. 植物用発現ベクターに、それぞれ異なる種類のプロモーターを連結した2以上の植物発現用遺伝子を組み込んで形質転換した植物において、それぞれ異なる種類のプロモーターの少なくとも一つが、請求項1〜4のいずれか記載のDNAから選択されたプロモーターであることを特徴とする形質転換植物。
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