JP4010040B2 - 光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等のような情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に使用される光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生専用光ディスク、相変化型光ディスク、光磁気ディスク又は光カード等の如き情報記録媒体は、映像情報、音声情報又はコンピュータ用プログラム等のデータを保存するために、広く使用されている。そして、これらの情報記録媒体に対する高記録密度化及び大容量化の要求は、近年ますます強くなっている。
【0003】
このような情報記録媒体の記録密度を上げるには、光学ヘッドに搭載される対物レンズの開口数NAを大きくして、対物レンズによって集光される光のスポット径を小径化することが有効である。そこで、例えば、デジタル光ディスクとして比較的に初期に実用化されたCD(商標)では、対物レンズの開口数NAが0.45とされているのに対して、CDよりも高記録密度化がなされたデジタル光ディスクであるDVD(商標)では、対物レンズの開口数NAが0.6とされている。
【0004】
そして、情報記録媒体は上述したように更なる高記録密度化及び大容量化が望まれており、そのためには、開口数NAを0.6よりも更に大きくすることが望まれている。
【0005】
しかしながら、開口数NAをより大きくすることは容易ではない。例えば、従来の光学ヘッドに搭載されている対物レンズには、通常、2枚の非球面金型を用いてガラス又はプラスティックモールドによってプレス成型された非球面単玉レンズが使用されているが、このような非球面単玉レンズを十分な精度で作製できるのは開口数NAが0.7程度までである。
【0006】
なぜなら、通常、非球面金型はダイヤモンドバイトによって加工されるが、開口数NAを大きくするためにレンズ面の曲率をきつくすると、このダイヤモンドバイトによる金型加工を精度良く行うことが出来なくなってしまうからである。そのため、現在の非球面加工技術では、非球面単玉レンズで得られる開口数NAの最大値は0.7程度までであり、それ以上の開口数NAを有する非球面単玉レンズを精度良く作製することは非常に困難である。換言すれば、開口数NAを0.7以上とした非球面単玉レンズは、製造誤差に対して公差が殆どないため、実用的でない。
【0007】
このような問題に対処するために、2枚以上のレンズを組み合わせることにより、レンズ全体としての開口数NAを0.7以上とした対物レンズが考案されている。2枚以上のレンズを組み合わせた場合には、レンズ全体としての開口数NAを大きくしたとしても、各レンズ面の曲率を低く抑えることが可能となるので、現在の非球面加工技術でも、開口数NAが0.7以上のものを比較的に容易に作製することが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2枚以上のレンズを組み合わせて対物レンズを構成する場合には、それらのレンズを精度良く組み合わせることが難しいという問題が新たに生じる。
【0009】
例えば、図25に示すように、情報記録媒体100の記録面100aに光を集光するための対物レンズ101を、2枚のレンズ102,103で構成するとする。するとこのとき、図26に示すように、いわゆる間隔誤差が生じて、各レンズ102,103の間隔dが所定値からずれてしまう場合がある。また、図27に示すように、いわゆる面間ティルトが生じて、一方のレンズ102の中心軸に対して、他方のレンズ103の中心軸103aが傾いてしまう場合がある。また、図28に示すように、いわゆる偏心誤差が生じて、一方のレンズ102の中心軸に対して、他方のレンズ103の中心軸103aがずれてしまう場合がある。なお、図26乃至図28では、図25に示すように理想的に2枚のレンズ102,103が組み合わされたときの光路を鎖線で示している。
【0010】
そして、図26乃至図28に示したような製造誤差は波面収差の原因となり、この波面収差が大きいと、せっかく開口数NAを大きくしても、情報記録媒体の高記録密度化及び大容量化を実現することはできない。そこで、2枚以上のレンズを組み合わせた対物レンズにおいて、量産可能レベルの製造公差を確保しつつ、レンズ組み合わせ時の製造誤差に起因して生じる波面収差の発生を十分に抑えることができるようにすることが要求されている。
【0011】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、十分な製造公差を確保しつつ、開口数NAが大きく、しかも波面収差の発生を抑えることが可能な対物レンズを用いた光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置を提供し、情報記録媒体の更なる高記録密度化及び大容量化を可能とすることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学ヘッドは、情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に使用される光学ヘッドであり、少なくとも2枚以上のレンズから構成された、開口数NAが0.7以上、入射瞳径が直径1mm以上の対物レンズを有している。そして、記録及び/又は再生時に対物レンズの先端と情報記録媒体との間隔が、3.5μm以上、50μm以下とされることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、情報記録媒体に対して光学ヘッドを用いて記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置である。そして、この記録及び/又は再生装置の光学ヘッドは、少なくとも2枚以上のレンズから構成された対物レンズを有しており、この対物レンズは、開口数NAが0.7以上、入射瞳径が直径1mm以上とされている。そして、この記録及び/又は再生装置は、記録及び/又は再生時に対物レンズの先端と情報記録媒体との間隔が、3.5μm以上、50μm以下とされることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置においては、対物レンズが少なくとも2枚以上のレンズから構成されているので、開口数NAを0.7以上としても、レンズ面の曲率をきつくする必要が無く、製造が容易である。しかも、本発明では、対物レンズの入射瞳径の直径が1mm以上であり、且つ、記録及び/又は再生時におけるレンズ先端と情報記録媒体との間隔(以下、作動距離WDと称する。)が50μm以下とされているので、対物レンズの製造公差を十分に確保することができる。
【0016】
すなわち、一般にレンズの製造公差は、入射瞳径を小さくすればするほど、入射瞳径にほぼ比例して小さくなる傾向にあるが、本発明では、対物レンズの入射瞳径を直径1mm以上としているので、対物レンズの製造公差を大きく取ることができる。
【0017】
また、作動距離WDが大きい対物レンズは、通常、大きな高次球面収差が発生するので、軸上付近の球面収差を補正すると、最大輪帯収差が許容できない大きさの球面収差となる。そして、この高次球面収差を高次の非球面で補正しようとすると、高次の非球面係数の絶対値が大きくなり、図26乃至図28に示したような間隔誤差、面間ティルト及び偏心誤差等に対する製造公差が極めて小さくなる。換言すれば、作動距離WDが大きい対物レンズは、高次球面収差を補正するために高次の非球面係数の絶対値を大きくする必要があるので、製造公差を極めて小さく抑える必要があり、製造が非常に困難である。
【0018】
そして、従来の光学ヘッド用対物レンズにおいて、作動距離WDは通常は1mm以上であり、比較的に作動距離WDが小さく設定されたものであっても0.5mm程度であった。これに対して、本発明では、対物レンズの作動距離WDを非常に小さくして、50μm以下となるようにしている。したがって、本発明では、高次球面収差の発生量が少なく、高次の非球面係数をあまり大きくする必要がない。したがって、本発明によれば、対物レンズの製造公差を大きく取ることができる。
【0019】
なお、製造公差を大きく取るためには作動距離WDを小さくすることが有効であるが、作動距離WDを小さくし過ぎると、レンズ先端と情報記録媒体とが衝突しやすくなるという問題が生じる。しかしながら、本発明では、対物レンズの作動距離WDを3.5μm以上としているので、このような問題も回避される。
【0020】
なお、本発明に係る光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置において、対物レンズの入射瞳径は直径5mm以下であることが好ましい。製造公差を大きく取るためには、対物レンズの入射瞳径を大きくすることが有効であるが、入射瞳径を大きくし過ぎると光学系が大型化してしまう。しかしながら、対物レンズの入射瞳径が直径5mm以下であれば、実用上十分な程度に光学系を小型化することができる。すなわち、入射瞳径を5mm以下とすることにより、対物レンズ並びにその対物レンズを搭載した光学ヘッドの小型化を図ることができ、更にはその光学ヘッドを搭載した記録及び/又は再生装置の小型化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置において、対物レンズを構成する2枚以上のレンズは、それらのレンズ面のうちの少なくとも一面が非球面とされていることが好ましい。少なくとも一つのレンズ面を非球面とすることにより、球面収差をはじめとする波面収差の発生をより抑えることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
<対物レンズ>
本発明に係る光学ヘッドを構成する対物レンズの一例を図1に示す。この対物レンズ1は、再生専用光ディスク、相変化型光ディスク、光磁気ディスク又は光カード等の如き情報記録媒体2に対して記録及び/又は再生を行う際に使用される光学ヘッド用の対物レンズである。
【0024】
この対物レンズ1は、物点が無限遠方に位置することとなるいわゆる無限系のレンズであり、図示しない光源の側に配されるレンズ3(以下、物体側レンズ3と称する。)と、情報記録媒体2の側に配されるレンズ4(以下、像側レンズ4と称する。)とから構成される。
【0025】
なお、図1の例では、対物レンズ1を2枚のレンズ3,4で構成しているが、本発明に係る光学ヘッドを構成する対物レンズは、3枚以上のレンズから構成されていてもよい。また、ここでは、無限系の例を挙げるが、本発明は、有限系の場合にも適用できる。ただし、有限系の場合は、開口数NAが大きいほど取り扱いが困難になるため、実用上は無限系のほうが好ましい。
【0026】
そして、この対物レンズ1は、2枚のレンズ3,4の全体として、その開口数NAが0.7以上とされている。この対物レンズ1では、開口数NAが非常に大きいので、非常に小さなスポット径が得られる。したがって、この対物レンズ1を用いることにより、情報記録媒体2の高記録密度化及び大容量化を図ることができる。しかも、この対物レンズ1では、複数のレンズ3,4を組み合わせて構成しているので、開口数NAを0.7以上としても、各レンズ面s1,s2,s3,s4の曲率をあまりきつくする必要が無く、容易に作製することができる。なお、小スポット化という観点だけから見ると、開口数NAはより大きいほうが好ましいが、製造容易性や各種光学条件等を考慮すると、実際には0.95程度以下とすることが好ましい。
【0027】
以上のような対物レンズ1において、この対物レンズ1を構成するレンズ3,4のレンズ面s1,s2,s3,s4、すなわち、物体側レンズ3の光源側のレンズ面s1、物体側レンズ3の像側レンズ4に対向する側のレンズ面s2、像側レンズ4の物体側レンズ3に対向する側のレンズ面s3、並びに像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面s4は、それらのうちの少なくとも一つが非球面とされていることが好ましい。レンズ面s1,s2,s3,s4のうちの少なくとも一つを非球面とすることにより、球面収差をはじめとする波面収差の発生を抑えることが可能となる。
【0028】
ただし、像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面s4は、平面又は平面に極めて近い緩やかな曲面であることが好ましい。この対物レンズ1では、開口数NAを大きく設定しているため、このレンズ面s4を透過して情報記録媒体2に入射する光線の入射角は非常に大きくなる。そのため、このレンズ面s4が情報記録媒体2の側に対して大きく凸とされた形状では、情報記録媒体2に入射する光が全反射するようになってしまったり、あるいは反射率が非常に大きくなってしまったりして、フィル・コンディションが大幅に悪化してしまう。また、逆に情報記録媒体2の側に対して凹の形状では、レンズ外周部において作動距離WDが殆ど得られなくなってしまう。したがって、この対物レンズ1において、像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面s4の面形状は、平面又は平面に極めて近い緩やかな曲面であることが好ましい。なお、作動距離WDとは、上述したように、記録及び/又は再生時における対物レンズ1の先端と情報記録媒体2との間隔のことである。
【0029】
そして、この対物レンズ1を用いて情報記録媒体2に対して記録及び/又は再生を行う際は、光源からの光線が、開口絞り5を経て、物体側レンズ3に入射される。物体側レンズ3に入射した光は、物体側レンズ3によって集光された後、更に像側レンズ4によって集光されて、情報記録媒体2の記録面2aに焦点を結ぶ。なお、情報記録媒体2の記録面2aに入射した光は、当該記録面2aによって反射されて戻り光となって再び対物レンズ1に入射する。そして、この戻り光は、対物レンズ1を通過した後、後述するように光検出器によって検出されることとなる。
【0030】
ところで、このように複数のレンズ3,4で対物レンズ1を構成した場合には、図26乃至図28に示したように、間隔誤差、面間ティルト及び偏心誤差等の製造誤差が生じ、これらの製造誤差によって収差が生じる。そして、これらの製造誤差による収差のうち、特に製造精度上問題となるのは、偏心誤差によるコマ収差である。具体的には、現在のレンズ製造技術で量産可能なレベルとするには、偏心誤差(すなわち各レンズ面の中心軸のずれ量)として10μm程度の製造公差を確保することが必要である。換言すれば、複数のレンズ3,4で構成されてなる対物レンズ1では、10μm程度の偏心誤差があっても、収差の発生量が十分に抑えられるようになっていることが要求される。
【0031】
ここで、図1に示したように2枚のレンズ3,4で構成された対物レンズ1に10μmの偏心誤差があったときに発生する波面収差について、作動距離WD及び入射瞳径との関係を図2に示す。なお、図2では、開口数NAを0.85とし、10μmの偏心誤差があったときの波面収差の発生量と作動距離WDとの関係について、入射瞳の直径(以下、単に入射瞳径と称する。)が1.0mmの場合と、入射瞳径が2.0mmの場合と、入射瞳径が3.0mmの場合とを図示している。ここで、良好な結像の限界であるマレシャルのクライテリオンは0.07λrms(λは光の波長)であり、光学ヘッドに使用される対物レンズ1は、波面収差を0.07λrms以下に抑えることが必要である。
【0032】
図2に示すように、偏心誤差により生じる収差は、入射瞳径が小さいほど大きくなり、作動距離WDが大きいほど大きくなる。そして、図2から分かるように、波面収差の発生量をマレシャルのクライテリオン以下に抑えるには、入射瞳径を1.0mm以上とし、作動距離WDを50μm以下とすればよい。そこで、対物レンズ1においては、入射瞳径を1mm以上とし、作動距離WDを50μm以下とする。
【0033】
なお、ここでの入射瞳径は、物体側レンズ3に入射する光束の直径に相当するものであり、換言すれば、対物レンズ1の前段に配される開口絞り5の直径に相当する。そして、図2から分かるように、偏心誤差が生じたときに生じる収差は、入射瞳径が小さいほど、入射瞳径にほぼ比例して大きくなる。すなわち、レンズの製造公差は、入射瞳径を小さくすればするほど、入射瞳径にほぼ比例して小さくなる傾向にある。
【0034】
そして、この対物レンズ1では、入射瞳径を1mm以上としている。したがって、10μm程度までならば偏心誤差が生じたとしても、収差の発生量はマレシャルのクライテリオン以下に抑えられる。すなわち、本発明を適用した対物レンズ1では、入射瞳径を1mm以上としているので、十分な製造公差を確保することができる。
【0035】
また、ここでの作動距離WDは、記録及び/又は再生時におけるレンズ先端と情報記録媒体2との間隔のことである。そして、図2から分かるように、偏心誤差が生じたときに生じる収差は、作動距離WDが大きいほど、作動距離WDにほぼ比例して大きくなる。すなわち、レンズの製造公差は、作動距離WDを大きくすればするほど、作動距離WDにほぼ比例して小さくなる傾向にある。
【0036】
そして、対物レンズ1では、作動距離WDを50μm以下としている。したがって、10μm程度までならば偏心誤差が生じたとしても、収差の発生量はマレシャルのクライテリオン以下に抑えられる。すなわち、本発明を適用した対物レンズ1では、作動距離WDを50μm以下としているので、十分な製造公差を確保することができる。
【0037】
ところで、レンズの製造公差の観点だけから見れば、入射瞳径はより大きいほうが好ましいが、入射瞳径を大きくし過ぎると、光学系が大型化してしまうという問題が生じる。すなわち、光学ヘッド用として用いられる対物レンズ1は、当該対物レンズ1、並びにこの対物レンズ1を搭載した光学ヘッドや、当該光学ヘッドを搭載した記録及び/又は再生装置の小型化を図れるように、入射瞳径が小さいほうが好ましい。
【0038】
また、通常、対物レンズ1は、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うために、2軸アクチュエータに取り付けられるが、対物レンズ1の重量が重くなりすぎると、2軸アクチュエータを駆動して行われるこれらのサーボを高精度に行うことができなくなってしまう。したがって、サーボを高精度に行えるようにするために、対物レンズ1を小型化して、その重量を200mg程度以下に抑えることが望まれる。
【0039】
以上のような点を考慮すると、対物レンズ1の入射瞳径は、5mm程度以下であることが望ましい。対物レンズ1の入射瞳径が5mm以下であれば、レンズの製造公差を十分に確保しつつ、実用上十分な程度に光学系を小型化することができ、且つ、実用上十分な程度の高精度なサーボを行うことが可能となる。
【0040】
また、上述したように、レンズの製造公差の観点だけから見れば、作動距離WDは小さいほうが好ましいが、作動距離WDを小さくし過ぎると、レンズ先端と情報記録媒体2とが衝突しやすくなるという問題が生じる。レンズ先端と情報記録媒体2とが衝突して、レンズ先端や情報記録媒体2に傷や汚れが生じると、フォーカスサーボがはずれてしまったり、信号読み取りエラーが生じたりする。そのため、このような衝突が容易には生じない程度に、作動距離WDを十分に確保することが望ましい。
【0041】
このような衝突は主に、図3に示すように記録及び/又は再生時に情報記録媒体2が傾いてしまった場合に生じる。そして、このような傾きθの最大公差は、CDやDVD等の規格では±0.4°程度とされている。そして、このような傾きθの公差を小さくすることは、製造設備の大幅な改造を必要とするため非常に難しい。したがって、たとえ情報記録媒体2の高記録密度化や大容量化を図ったとしても、この傾きθの公差については、従来のCDやDVDと同等の公差を確保しておくことが望まれる。
【0042】
ところで、対物レンズ1において、この対物レンズ1の入射瞳径は、上述したように1mm〜5mm程度とすることが好ましい。そして、入射瞳径を1mm〜5mm程度とした場合、像側レンズ4は、その直径を1mm程度とすることが現実的である。また、本発明を適用した対物レンズ1において、像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面s4の面形状は、上述したように平面又は平面に極めて近い緩やかな曲面とすることが好ましい。
【0043】
そこで、像側レンズ4の直径t1が1mmであり、且つ、像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面s4の面形状がほぼ平面であると仮定する。そして、このときに0.4°の傾きが生じても、レンズ先端と情報記録媒体2とが衝突しないようにするためには、作動距離WDが下記式(1)を満たすようにすればよい。
【0044】
WD>(1000/2)×tan0.4°≒3.5μm ・・・(1)
上記式(1)から分かるように、作動距離WDを3.5μm以上とすることにより、十分な公差を確保しつつ、レンズ先端と情報記録媒体2との衝突を回避することができる。そこで、対物レンズ1では、作動距離WDを3.5μm以上とする。これにより、レンズ先端と情報記録媒体2の衝突の原因となる傾きθについて、デジタル光ディスクとして実績があるCDやDVD等と同程度の公差が確保される。換言すれば、本発明に係る対物レンズ1では、CDやDVD等で許容されていた程度の範囲であるならば、たとえ傾きθが生じたとしても、レンズ先端と情報記録媒体2とが衝突するようなことはない。
【0045】
ところで、図4に示すように、情報記録媒体2の表面に塵埃6が付着していると、この塵埃6がレンズ先端に衝突してしまう恐れがある。このような衝突も、フォーカスサーボはずれや信号読み取りエラーの発生要因となる。したがって、対物レンズ1を用いる場合には、例えば、情報記録媒体2をカートリッジ内に収納して、未使用状態では情報記録媒体2が外部に露呈しないようにするなど、できる限りの塵埃対策を施したほうが好ましい。
【0046】
しかしながら、情報記録媒体2をカートリッジ内に収納するなどして防塵対策を施したとしても、通常、直径1〜2μm程度以下の塵埃の進入までも防ぐことは、非常に困難である。したがって、対物レンズ1において、作動距離WDは、上述したように傾きθについての公差を確保するために3.5μm以上とするだけでなく、更に塵埃6の存在をも考慮して、5μm以上とすることが好ましい。
【0047】
<光学ヘッド>
つぎに、本発明を適用した光学ヘッドの一例を図5に示す。この光学ヘッド10は、相変化型光ディスク11に対して記録再生を行う際に使用される光学ヘッドであり、上述した対物レンズ1を備えている。
【0048】
なお、ここでは、相変化型光ディスク11に対して記録再生を行う光学ヘッド10を例に挙げるが、本発明は、対物レンズを備えた光学ヘッドに対して広く適用可能であり、記録及び/又は再生の対象となる情報記録媒体は、再生専用光ディスク、光磁気ディスク又は光カード等であってもよい。
【0049】
この光学ヘッド10によって記録再生がなされる相変化型光ディスク11は、例えば厚さt2が1.2mm又は0.6mmの基板12の上に、相変化によって情報信号を記録する層が形成されるとともに、この記録層上に、例えば厚さt3が0.1mmの保護層13が形成されてなる。そして、この相変化型光ディスク11は、基板12の側からではなく、基板12よりも遥かに膜厚が薄い保護層13の側から光を入射させて、記録再生を行うようになっている。
【0050】
このように、膜厚が薄い保護層13の側から光を入射するようにすることで、収差の発生を抑制することができ、従来のCDやDVD以上の高記録密度化及び大容量化を図ることができる。ただし、当然の事ながら本発明に係る光学ヘッドは、基板側から光を入射させて記録及び/又は再生を行うような情報記録媒体にも適用可能である。
【0051】
上記相変化型光ディスク11に対して記録再生を行う際に使用される光学ヘッド10は、図示しない光源、回折格子及びコリメータレンズを備えている。ここで、光源は、例えば、波長λが635nmの直線偏光レーザ光を出射する半導体レーザからなる。この光源は、相変化型光ディスク11から情報信号を再生する際は、一定の出力のレーザ光を出射し、相変化型光ディスク11に情報信号を記録する際は、記録する信号に応じて、出射するレーザ光の強度を変調する。
【0052】
なお、本発明において、光源から出射されるレーザ光の波長λは、特に限定されるものではない。例えば、635nmよりも短波長のレーザ光を出射する半導体レーザが実用化された場合には、より短波長のものを用いたほうが、更なる高記録密度化及び大容量化を図る上で好適である。
【0053】
そして、光源から出射されたレーザ光は、回折格子によって回折されて、0次光及び±1次光に分割され、これらの0次光及び±1次光(以下、これらをまとめて「入射レーザ光」と称する。)は、コリメータレンズによって平行光とされる。
【0054】
また、この光学ヘッド10は、図5に示すように、偏光ビームスプリッタ14と、1/4波長板15と、2軸アクチュエータ16に搭載された上記対物レンズ1と、フォーカシングレンズ17と、マルチレンズ18と、光検出器19とを備えている。そして、上述したようにコリメータレンズによって平行光とされた入射レーザ光は、偏光ビームスプリッタ14、1/4波長板15及び対物レンズ1を介して、相変化型光ディスク11の記録面11aに入射する。このとき、入射レーザ光は、1/4波長板15を透過する際に円偏光状態となされ、この円偏光光束が、対物レンズ1によって相変化型光ディスク11の記録面11aに集光される。
【0055】
相変化型光ディスク11の記録面11aに入射した入射光は、記録面11aで反射されて戻り光となる。この戻り光は、元の光路を辿って対物レンズ1を透過した後、1/4波長板15に入射する。そして、この戻り光は、1/4波長板15を透過することにより、往きの偏光方向に対して90度回転された直線偏光となり、その後、往きの偏光方向に対して90度回転された直線偏光とされた戻り光は、偏光ビームスプリッタ14によって反射される。
【0056】
偏光ビームスプリッタ14によって反射された戻り光は、フォーカシングレンズ17及びマルチレンズ18を経て、光検出器19によって検出される。ここで、マルチレンズ18は、入射面が円筒面となされ、出射面が凹面となされたレンズである。このマルチレンズ18は、入射光束に対して、いわゆる非点収差法によるフォーカスサーボ信号の検出を可能とするための非点収差を与えるものである。
【0057】
また、光検出器19は、6つのフォトダイオードを備えており、各フォトダイオードに入射した戻り光の光強度に応じた電気信号をそれぞれ出力するとともに、それらの電気信号に対して所定の演算処理を施して、フォーカスサーボ信号及びトラッキングサーボ信号等を生成し出力する。
【0058】
具体的には、光検出器19は、マルチレンズ18によって非点収差が与えられた戻り光を検出して、いわゆる非点収差法によってフォーカスサーボ信号を生成し出力する。そして、この光学ヘッド10は、このフォーカスサーボ信号に基づいて2軸アクチュエータ16を駆動することで、フォーカスサーボを行う。
【0059】
また、光検出器19は、回折格子によって回折されてなる0次光及び±1次光について、それらの戻り光をそれぞれ検出して、いわゆる3ビーム法によってトラッキングサーボ信号を生成し出力する。そして、この光学ヘッド10は、このトラッキングサーボ信号に基づいて2軸アクチュエータ16を駆動することで、トラッキングサーボを行う。
【0060】
更に、光検出器19は、相変化型光ディスク11から情報信号を再生する際に、各フォトダイオードに入射した戻り光の光強度に応じた電気信号に対して所定の演算処理を施して、相変化型光ディスク11からの再生信号を生成し出力する。
【0061】
以上のような光学ヘッド10では、対物レンズ1が2枚のレンズ3,4から構成されているので、開口数NAを0.7以上としても、レンズ面の曲率をきつくする必要が無く、製造が容易である。しかも、対物レンズ1の入射瞳径が1mm以上であり、且つ、作動距離WDが50μm以下とされているので、対物レンズ1の製造公差を十分に確保することができる。更に、対物レンズ1の作動距離WDを3.5μm以上としているので、±0.4°程度までならば、相変化型光ディスク11に傾きが生じたとしても、対物レンズ1の先端と相変化型光ディスク11とが衝突するようなことなく記録再生を行うことができる。
【0062】
<記録及び/又は再生装置>
つぎに、本発明を適用した記録再生装置の一例を図6に示す。この記録再生装置30は、上述した相変化型光ディスク11に対して記録再生を行う記録再生装置であり、上述した光学ヘッド10を備えている。
【0063】
なお、ここでは、相変化型光ディスク11に対して記録再生を行う記録再生装置30を例に挙げるが、本発明は、対物レンズを備えた光学ヘッドを搭載した記録及び/又は再生装置に対して広く適用可能であり、記録及び/又は再生の対象となる情報記録媒体は、再生専用光ディスク、光磁気ディスク又は光カード等であってもよい。
【0064】
この記録再生装置30は、相変化型光ディスク11を回転駆動させるスピンドルモータ31と、情報信号の記録再生を行う際に使用される上記光学ヘッド10と、光学ヘッド10を動かすための送りモータ32と、所定の変復調処理を行う変復調回路33と、光学ヘッド10のサーボ制御等を行うサーボ制御回路34と、システム全体の制御を行うシステムコントローラ35とを備えている。
【0065】
スピンドルモータ31は、サーボ制御回路34により駆動制御され、所定の回転数で回転駆動される。すなわち、記録再生の対象となる相変化型光ディスク11は、スピンドルモータ31にチャッキングされ、サーボ制御回路34により駆動制御されるスピンドルモータ31によって、所定の回転数で回転駆動される。
【0066】
光学ヘッド10は、情報信号の記録再生を行う際、上述したように、回転駆動される相変化型光ディスク11に対してレーザ光を照射し、その戻り光を検出する。この光学ヘッド10は、変復調回路33に接続されている。そして、情報信号の記録を行う際、外部回路36から入力され変復調回路33によって所定の変調処理が施された信号が光学ヘッド10に供給され、光学ヘッド10は、変復調回路33から供給される信号に基づいて、相変化型光ディスク11に対して、光強度変調が施されたレーザ光を照射する。また、情報信号の再生を行う際、光学ヘッド10は、回転駆動される相変化型光ディスク11に対して、一定出力のレーザ光を照射し、その戻り光から再生信号を生成し、当該再生信号を変復調回路33に供給する。
【0067】
また、この光学ヘッド10は、サーボ制御回路34にも接続されている。そして、情報信号の記録再生時に、回転駆動される相変化型光ディスク11によって反射されて戻ってきた戻り光から、上述したように、フォーカスサーボ信号及びトラッキングサーボ信号を生成し、それらのサーボ信号をサーボ制御回路34に供給する。
【0068】
変復調回路33は、システムコントローラ35及び外部回路36に接続されている。そして、この変復調回路33は、情報信号を相変化型光ディスク11に記録する際は、システムコントローラ35による制御のもとで、相変化型光ディスク11に記録する信号を外部回路36から受け取り、当該信号に対して所定の変調処理を施す。そして、変復調回路33によって変調された信号は、光学ヘッド10に供給される。また、この変復調回路33は、情報信号を相変化型光ディスク11から再生する際は、システムコントローラ35による制御のもとで、相変化型光ディスク11から再生された再生信号を光学ヘッド10から受け取り、当該再生信号に対して所定の復調処理を施す。そして、変復調回路33によって復調された信号は、変復調回路33から外部回路36へ出力される。
【0069】
送りモータ32は、情報信号の記録再生を行う際、光学ヘッド10を相変化型光ディスク11の径方向の所定の位置に送るためのものであり、サーボ制御回路34からの制御信号に基づいて駆動される。すなわち、この送りモータ32は、サーボ制御回路34に接続されており、サーボ制御回路34により制御される。
【0070】
サーボ制御回路34は、システムコントローラ35による制御のもとで、光学ヘッド10が相変化型光ディスク11に対向する所定の位置に送られるように、送りモータ32を制御する。また、サーボ制御回路34は、スピンドルモータ31にも接続されており、システムコントローラ35による制御のもとで、スピンドルモータ31の動作を制御する。すなわち、サーボ制御回路34は、情報信号の記録再生時に、相変化型光ディスク11が所定の回転数で回転駆動されるように、スピンドルモータ31を制御する。また、サーボ制御回路34は、光学ヘッド10にも接続されており、情報信号の記録再生時に、光学ヘッド10からサーボ信号を受け取り、当該サーボ信号に基づいて、光学ヘッド10に搭載された2軸アクチュエータ16によるフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの制御を行う。
【0071】
以上のような記録再生装置30では、光学ヘッド10に搭載されている対物レンズ1が2枚のレンズ3,4から構成されているので、開口数NAを0.7以上としても、レンズ面の曲率をきつくする必要が無く、製造が容易である。しかも、対物レンズ1の入射瞳径が1mm以上であり、且つ、作動距離WDが50μm以下とされているので、対物レンズ1の製造公差を十分に確保することができる。更に、対物レンズ1の作動距離WDを3.5μm以上としているので、±0.4°程度までならば、相変化型光ディスク11に傾きが生じたとしても、対物レンズ1の先端と相変化型光ディスク11とが衝突するようなことなく記録再生を行うことができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明に係る光学ヘッド等を構成する対物レンズの具体的な実施例を挙げる。なお、以下に挙げる対物レンズは、図1に示した対物レンズ1と同様に、物体側レンズ3と像側レンズ4とから構成される対物レンズである。そこで、以下の説明では、上記対物レンズ1と同様な符号を用いることとする。
【0073】
<実施例1>
本実施例の対物レンズの構成を図7に示すとともに、この対物レンズの設計値を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
なお、表1並びに後掲する表2乃至表5では、無限遠方に位置することとなる物点をOBJとし、開口絞り5をSTOとし、物体側レンズ3の光源側のレンズ面をs1とし、物体側レンズ3の像側レンズ4に対向する側のレンズ面をs2とし、像側レンズ4の物体側レンズ3に対向する側のレンズ面をs3とし、像側レンズ4の情報記録媒体2の側のレンズ面をs4とし、情報記録媒体2の表面をs5とし、情報記録媒体2の記録面をs6とし、結像面をIMGとして示している。
【0076】
この対物レンズの球面収差を図8(a)に、非点収差を図8(b)に、歪曲収差を図8(c)に、画角0.5°での横収差を図9(a)に、軸上での横収差を図9(b)に示す。
【0077】
表1に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.05mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが50μmとなっている。そして、この対物レンズは、図8及び図9から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表1に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0078】
<実施例2>
本実施例の対物レンズの構成を図10に示すとともに、この対物レンズの設計値を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
この対物レンズの球面収差を図11(a)に、非点収差を図11(b)に、歪曲収差を図11(c)に、画角0.5°での横収差を図12(a)に、軸上での横収差を図12(b)に示す。
【0081】
表2に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.03mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが30μmとなっている。そして、この対物レンズは、図11及び図12から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表2に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0082】
<実施例3>
本実施例の対物レンズの構成を図13に示すとともに、この対物レンズの設計値を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
この対物レンズの球面収差を図14(a)に、非点収差を図14(b)に、歪曲収差を図14(c)に、画角0.5°での横収差を図15(a)に、軸上での横収差を図15(b)に示す。
【0085】
表3に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.01mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが10μmとなっている。そして、この対物レンズは、図14及び図15から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表3に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0086】
<実施例4>
本実施例の対物レンズの構成を図16に示すとともに、この対物レンズの設計値を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
この対物レンズの球面収差を図17(a)に、非点収差を図17(b)に、歪曲収差を図17(c)に、画角0.5°での横収差を図18(a)に、軸上での横収差を図18(b)に示す。
【0089】
表4に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.04mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが40μmとなっている。そして、この対物レンズは、図17及び図18から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表4に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0090】
<実施例5>
本実施例の対物レンズの構成を図19に示すとともに、この対物レンズの設計値を表5に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
この対物レンズの球面収差を図20(a)に、非点収差を図20(b)に、歪曲収差を図20(c)に、画角0.5°での横収差を図21(a)に、軸上での横収差を図21(b)に示す。
【0093】
表5に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.03mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが30μmとなっている。そして、この対物レンズは、図20及び図21から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表5に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0094】
<実施例6>
本実施例の対物レンズの構成を図22に示すとともに、この対物レンズの設計値を表6に示す。
【0095】
【表6】
【0096】
この対物レンズの球面収差を図23(a)に、非点収差を図23(b)に、歪曲収差を図23(c)に、画角0.5°での横収差を図24(a)に、軸上での横収差を図24(b)に示す。
【0097】
表6に示すように、この対物レンズでは、レンズ面s4と情報記録媒体2の表面s5との間隔が0.02mmとなっている。すなわち、この対物レンズは、作動距離WDが20μmとなっている。そして、この対物レンズは、図23及び図24から分かるように、収差の少ない良好なレンズとなっている。しかも、この対物レンズは、表6に示すように、高次の非球面係数の絶対値が比較的に小さくなっており、製造が容易である。
【0098】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、十分な製造公差を確保しつつ、開口数NAが大きく、しかも波面収差の発生を抑えることが可能な対物レンズを提供することができ、更には、そのような対物レンズを用いた光学ヘッド並びに記録及び/又は再生装置を提供することができる。したがって、本発明によれば、情報記録媒体の更なる高記録密度化及び大容量化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した光学ヘッドを構成する対物レンズの一例を示す図である。
【図2】入射瞳径が1.0mm,2.0mm,3.0mmのそれぞれの場合について、波面収差と作動距離WDとの関係を示す図である。
【図3】情報記録媒体が傾くことにより、レンズ先端と情報記録媒体とが衝突した状態を示す図である。
【図4】情報記録媒体の表面に塵埃が付着している状態を示す図である。
【図5】本発明を適用した光学ヘッドの一例を示す図である。
【図6】本発明を適用した記録再生装置の一例を示す図である。
【図7】実施例1の対物レンズを示す図である。
【図8】実施例1の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図9】実施例1の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図10】実施例2の対物レンズを示す図である。
【図11】実施例2の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図12】実施例2の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図13】実施例3の対物レンズを示す図である。
【図14】実施例3の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図15】実施例3の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図16】実施例4の対物レンズを示す図である。
【図17】実施例4の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図18】実施例4の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図19】実施例5の対物レンズを示す図である。
【図20】実施例5の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図21】実施例5の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図22】実施例6の対物レンズを示す図である。
【図23】実施例6の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差を示す図である。
【図24】実施例6の対物レンズの収差を示す図であり、(a)は画角0.5度での横収差、(b)は軸上での横収差を示す図である。
【図25】2枚のレンズからなる対物レンズの一例を示す図である。
【図26】図25に示した対物レンズに間隔誤差が生じた状態を示す図である。
【図27】図25に示した対物レンズに面間ティルトが生じた状態を示す図である。
【図28】図25に示した対物レンズに偏心誤差が生じた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ、 2 情報記録媒体、 3 物体側レンズ、 4 像側レンズ、 5 開口絞り、 WD 作動距離
Claims (6)
- 情報記録媒体に対して記録及び/又は再生を行う際に使用される光学ヘッドであって、
少なくとも2枚以上のレンズから構成され、開口数NAが0.7以上、入射瞳径が直径1mm以上とされた対物レンズを有し、
記録及び/又は再生時に上記対物レンズの先端と情報記録媒体との間隔が、3.5μm以上、50μm以下とされることを特徴とする光学ヘッド。 - 上記入射瞳径が直径5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
- 上記対物レンズを構成する2枚以上のレンズは、それらのレンズ面のうちの少なくとも一面が非球面とされていることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
- 情報記録媒体に対して光学ヘッドを用いて記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置であって、
上記光学ヘッドは、少なくとも2枚以上のレンズから構成された対物レンズを有し、
上記対物レンズは、開口数NAが0.7以上、入射瞳径が直径1mm以上であり、
記録及び/又は再生時に上記対物レンズの先端と情報記録媒体との間隔が、3.5μm以上、50μm以下とされることを特徴とする記録及び/又は再生装置。 - 上記入射瞳径が直径5mm以下であることを特徴とする請求項4記載の記録及び/又は再生装置。
- 上記対物レンズを構成する2枚以上のレンズは、それらのレンズ面のうちの少なくとも一面が非球面とされていることを特徴とする請求項4記載の記録及び/又は再生装置。
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