JP4009763B2 - ベンジルアセテートの精製方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、ベンジルアセテートの精製方法に関するものである。更に詳しくは、芳香族基を有する酢酸エステル、フェノール誘導体、及びカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含む粗ベンジルアセテートから該不純物を経済的に除去するベンジルアセテートの精製方法に関するものである。
【0002】
ベンジルアセテートは各種の香料成分、アルキッド樹脂やセルロース系樹脂の溶剤として有用であり、ベンジルアルコールの原料にもなる重要な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
ベンジルアセテートの主な製造方法としては、▲1▼ベンジルアルコールのアセチル化法、▲2▼トルエンの酸化アセトキシル化法が知られている。特に▲2▼の方法で得られるベンジルアセテートは、不純物としてクレシルアセテート等のフェニルアセテート誘導体やクレゾール等のフェノール誘導体を含み、これらの不純物が特異な臭気を有することから特に高度に分離除去することが望まれているが、これらの不純物は表1に示すようにベンジルアセテートと沸点が近接しているため、蒸留分離が困難である。
【0004】
【表1】
【0005】
酢酸エステルを精製する方法としては、例えば、Purificationof Laboratory Chemicals,第2版,1980年,380頁、D.D.Perrinら著、Pergamon Pressには炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、蒸留する方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、上記の方法では、ベンジルアセテートに不純物として含まれているクレシルアセテート、フェニルアセテート等の芳香族基を有する酢酸エステル類及びクレゾール等のフェノール誘導体はほとんど除去されないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、クレシルアセテート等のフェニルアセテート誘導体、クレゾール等のフェノール誘導体及びカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含む粗ベンジルアセテートから高純度のベンジルアセテートを製造するベンジルアセテートの経済的精製方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、効率よくベンジルアセテートを精製する方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち本発明は、粗ベンジルアセテートをアルカリ金属化合物の存在下蒸留することを特徴とするベンジルアセテートの精製方法に関するものである。
【0010】
本発明において、粗ベンジルアセテートに含有される不純物としては、例えば、フェニルアセテート、o−クレシルアセテート、m−クレシルアセテート、p−クレシルアセテート、{2−(アセトキシメチル)フェニル}アセテート、{3−(アセトキシメチル)フェニル}アセテート、{4−(アセトキシメチル)フェニル}アセテート、o−アセチルサリチルアルデヒド、m−アセチルサリチルアルデヒド、p−アセチルサリチルアルデヒド等の炭素数8〜12の芳香族基を有するエステル;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−ヒドロキシメチルフェノール、m−ヒドロキシメチルフェノール、p−ヒドロキシメチルフェノール、o−サリチルアルデヒド、m−サリチルアルデヒド、p−サリチルアルデヒド等の炭素数6〜8のフェノール誘導体;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、o−サリチル酸、m−サリチル酸、p−サリチル酸等の炭素数1〜8のカルボン酸等を挙げることができる。本発明の方法によれば、これらの不純物がベンジルアセテート中に1種類又は複数種存在していても何ら問題なく処理することができる。これら不純物は総量として0.01〜10重量%程度ベンジルアセテート中に存在していて良い。なお、これらの不純物とは別にベンジルアルコールが0.05〜2重量%程度ベンジルアセテート中に存在していても良い。
【0011】
本発明で使用されるアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属化合物に属するものであればいかなるものも用いることが可能であり、特に限定するものではない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム等の水酸化物、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、ナトリウムt−ブトキサイド、ナトリウムベンジルオキサイド、カリウムメトキサイド等のアルコキサイド類、ナトリウムアミド、カリウムアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアミド類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化物等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができ、本発明においては、入手が容易でベンジルアセテートの精製効率に優れることからアルコキサイドが好ましく、特に好ましくはナトリウムメトキサイドである。これらアルカリ金属化合物の使用量は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて特に限定するものではないが、ベンジルアセテートの精製効率に優れることから、粗ベンジルアセテートに含まれる上述した不純物のモル数の和に対して通常0.8〜300当量の範囲、好ましくは0.9〜200当量の範囲で使用することが好ましい。これらのアルカリ金属化合物は固体又は溶液のいずれの形態であっても問題なく使用することができる。溶液として使用する場合、溶媒としては、水;メタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物等が使用される。これら溶媒の使用量はベンジルアセテートに対して5重量%以内で好適に使用されることができる。
【0012】
本発明において、粗ベンジルアセテートをアルカリ金属化合物の存在下で蒸留を行う条件については、アルカリ金属化合物の存在下でベンジルアセテートの蒸留を行うことが可能であればいかなる制限も受けることはない。例えば、蒸留のボトムの温度は通常20〜300℃の範囲、特に好ましくは30〜200℃の範囲であり、減圧度は通常760〜0.01mmHgの範囲、特に好ましくは100〜0.1mmHgの範囲である。不純物はアルカリ金属化合物によりアルカリ塩を形成させることにより、蒸留の残渣として分離される。したがって、蒸留装置としては特に制限はなく、蒸発器のようなものであっても問題なく使用することができる。蒸留を開始する前に、粗ベンジルアセテートとアルカリ金属化合物の混合物を熟成させる時間を取ることも可能であるが、この場合熟成時間としては1分〜1時間の範囲内で充分である。また、蒸留は求められる不純物量に対応して何回行ってもよい。具体的には最初の蒸留の留出液にアルカリ金属化合物を投入して再度蒸留し、さらにそれを繰り返す方法をとることもできる。同じアルカリ金属化合物の量を使用する場合、全量用いて1回で蒸留するよりも、例えば半量ずつ用い2回蒸留した方が不純物の除去効率は良い。
【0013】
本発明のベンジルアセテートをアルカリ金属化合物の存在下で蒸留を行った後は、ベンジルアセテート中の不純物は1〜1000ppmの範囲に減少させることができる。
【0014】
本発明では蒸留により精製されたベンジルアセテートが得られ、不純物はアルカリ金属塩として残渣に除かれるが、留分と残渣の物質の重量比率(以後これを蒸発率と言う)が高いほどベンジルアセテートの回収量は向上する。しかし、不純物のアルカリ金属塩は蒸発率が高いと温度によっては固化する場合があり、装置の運転上固化する前で蒸留を終えたほうが好ましい時もある。従って、蒸留後の留分と残渣の重量の比率は75:25〜99:1、好ましくは85:15〜98:2となるように蒸留するのがよい。該残渣には、不純物のアルカリ金属塩以外に使用するアルカリ金属化合物量によってその量は変わるが、ナトリウムベンジルアルコキサイドが含まれる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、クレシルアセテート等のフェニルアセテート誘導体、クレゾール等のフェノール誘導体及びカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含む粗ベンジルアセテートを、アルカリ金属化合物と共に加熱蒸留処理することによって、高純度のベンジルアセテートを製造するベンジルアセテートの経済的精製方法の提供するものであり、工業的に極めて有意義である。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
実施例1
マグネチックスターラー、窒素導入用3方コック、温度計、留出液冷却用リービッヒ管を備え付けた100ml三口フラスコに、ベンジルアセテート99.4重量%、クレシルアセテート0.6重量%(オルソ:メタ:パラ比=17:53:30)からなる粗ベンジルアセテート液63.88g(クレシルアセテート;0.382g,2.56mmol)及びナトリウムメトキサイド0.276g(5.11mmol、不純物の総モル数の2.0倍当量)を加え、60℃に加熱した。60℃で30分間熟成した後、1.4mmHgの減圧下蒸留を行った。61℃から62℃の留出分61.97gを得、残渣は1.44gであった(留分と残渣の重量比=97.7:2.3)。留出液をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、クレシルアセテート5ppm、クレゾール10ppmであった。
ガスクロマトグラフィー条件;
カラム : FFAP−CB 25m×0.32mmID
キャリヤー : N2 0.95ml/min
インジェクション温度 : 280℃
ディテクター温度(FID): 280℃
カラム温度 : 65℃/3分間→昇温15℃/分→230℃/15分間。
【0018】
実施例2〜実施例4
ナトリウムメトキサイドの当量及び蒸留条件を表2に示した数値を用いた以外は実施例1と同じ操作を繰り返した。これらの結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
実施例5、実施例6
表3に示したアルカリ金属化合物およびその当量以外は実施例1と同じ操作を繰り返した。これらの結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
比較例1
10重量%炭酸ナトリウム水(5.0倍当量)を用い、実施例1で用いた粗ベンジルアセテート液52.85gを分液ロート中で混合し、洗浄を行った後、分相し、有機相を1.4mmHgの減圧下蒸留を行った(沸点61〜62℃、留分と残渣の重量比=95.5:4.5)。留出液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、クレシルアセテート0.3重量%、クレゾール0.2重量%が含まれており、ほとんど除去することができなかった。
Claims (2)
- トルエンの酸化アセトキシル化反応により得られた粗ベンジルアセテートをアルカリ金属化合物の存在下蒸留することを特徴とするベンジルアセテートの精製方法。
- アルカリ金属化合物がナトリウムメトキサイドであることを特徴とする請求項1に記載のベンジルアセテートの精製方法。
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JP26571497A JP4009763B2 (ja) | 1997-09-30 | 1997-09-30 | ベンジルアセテートの精製方法 |
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