JP4008800B2 - 多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造および多段伸縮式アーム作業機 - Google Patents

多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造および多段伸縮式アーム作業機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段伸縮式アームを伸縮する油圧シリンダの取付構造および多段伸縮式アーム作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル本体をベースとし、ブーム先端に多段伸縮式バケットを備えた作業機(以下、多段伸縮式アーム作業機)が知られている(例えば特許文献1参照)。これによればブームに連結されるファーストアーム(アウタアーム)、ファーストアーム内に挿入されるセカンドアーム(中間アーム)、セカンドアーム内に挿入されるサードアーム(インナアーム)からなる3段の伸縮式アーム作業機は、以下のように構成される。
【0003】
セカンドアームとサードアームを油圧シリンダを介して連結するとともに、セカンドアームの先端部に引き上げロープシーブを装着する。また、引き上げロープシーブに引き上げロープを掛け回し、その一端をファーストアームに、他端をセカンドアーム内のサードアームにそれぞれ連結する。油圧シリンダを伸縮させるとセカンドアームに対してサードアームが伸縮し、それに伴い引き上げロープシーブの位置が移動する。これにより引き上げロープシーブからファーストアームまでのロープ長さおよび引き上げロープシーブからサードアームまでのロープ長さは、それぞれ一方が増加し、他方が減少して、ファーストアームに対しセカンドアームが伸縮する。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−164594号公報(全文)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した公報記載の装置では、アーム伸縮用の油圧シリンダのロッド側およびシリンダチューブ側は、それぞれアームに回動可能にピン結合されている。しかしアーム伸縮用の油圧シリンダは長尺であるため、ピン結合により油圧シリンダを取り付けると、ピン結合部の隙間等によりシリンダに回転変位を許容し、シリンダに圧縮荷重が作用した際に座屈しやすい。
【0006】
本発明は、アーム伸縮用の油圧シリンダの座屈荷重を大きくする(座屈しにくくする)ことができる多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造および多段伸縮式アーム作業機を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による多段伸縮式アームの油圧シリンダ固定構造は、伸縮可能な複数段のアームを有する多段伸縮式アームと、シリンダロッドおよびシリンダチューブをそれぞれ異なる段のアームに結合するとともに、その少なくとも一方を回動可能にピン結合してアームを伸縮させる油圧シリンダと、油圧シリンダのピン結合部の回動を阻止する回動阻止手段とを備え、回動阻止手段は、ピン結合部近傍の油圧シリンダの一端面から油圧シリンダの回動方向に面して長手方向に突設された板部材と、前記板部材の記油圧シリンダの回動方向の変位を拘束する拘束手段とを有し、拘束手段は、板部材を両面から挟み込む一対の押さえ板と、板部材の両面に一対の押さえ板を面接触させて挟み込んだ状態で一対の押さえ板をアームに固定する固定部材とを有し、一対の押さえ板のうち、アームと板部材の間に介在する一方の押さえ板には、板部材を幅方向に位置決めして固定する段部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明による多段伸縮式アーム作業機は、走行体と、この走行体上に旋回する旋回体と、旋回体に起伏動するように設置されるブームと、このブームの先端に回動可能に設けられ、上述した油圧シリンダ取付構造を有する多段伸縮式アームとを備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図9を参照して本発明による多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造の実施の形態について説明する。
図1,2は、本発明の実施の形態に係わる油圧シリンダ取付構造を有する多段伸縮式アーム作業機の側面図である。なお、図1は作業開始前または終了後の点検姿勢を、図2は作業姿勢を示す。図1に示すように、多段伸縮式アーム作業機は、油圧ショベルをベースマシンとしている。すなわち、アーム作業機は、走行体1と、走行体1上に旋回可能に搭載された旋回体2と、旋回体2に起伏可能に軸支されたブーム3とを有する。ブーム3の先端部には伸縮可能な多段伸縮式アーム4(以下、伸縮アーム)がアームシリンダ4aを介し鉛直面内に回動可能に軸支され、さらに、ブーム3と伸縮アーム4とはアームシリンダ4aにより接続されている。ブーム3はブームシリンダ3aの伸縮によって起伏し、伸縮アーム4はアームシリンダ4aの伸縮によって回動する。図2に示すように、伸縮アーム4の先端(サードアーム43の先端)にはバケット5が装着され、バケット5の開閉動作により掘削作業を行う。以下では、図2の作業姿勢を基準にして伸縮アーム4の上下左右方向を定義する。
【0009】
伸縮アーム4の構成について説明する。図3,4は伸縮アーム4の内部構成を示す側方断面図であり、図5は図3のV-V線断面図である。なお、図3は伸縮アーム4の収縮状態を、図4は伸長状態をそれぞれ示す。図3,4に示すように、伸縮アーム4は、ファーストアーム(アウタアーム)41と、ファーストアーム41内に伸縮可能に挿入されたセカンドアーム42(中間アーム)と、セカンドアーム42内に伸縮可能に挿入されたサードアーム(インナアーム)43とを有する。各アーム41〜43はそれぞれ略矩形状断面を有する。
【0010】
ファーストアーム41の後面にはブラケット44が設けられ、このブラケット44に図2に示すようにブーム3およびアームシリンダ4aが回動可能に連結される。図3、4に示すように、サードアーム43の下端部には作業用アタッチメント装着用のブラケット43aが設けられ、このブラケット43aに図2に示すバケット5が装着されている。バケット5はバケットシリンダ5aの駆動により開閉する。ファーストアーム41の上部内側面には伸縮シリンダ45のロッド側上端部45aが取り付けられ、セカンドアーム42の上端部には伸縮シリンダ45のチューブ側上端部45bが取り付けられている。伸縮シリンダ45はセカンドアーム42およびサードアーム43の上端を貫通してこれらアーム42,43内に延設されている。伸縮シリンダ45の取付部45a,45bの詳細は後述する。
【0011】
セカンドアーム42の上端部にはファーストアーム41の上端に向かってブラケット42aが突設され、このブラケット42aにシーブ用回転軸48が設けられている。図5に示すように、回転軸48には一対の引き上げシーブ46と、この引き上げシーブ46の内側に並設された一対のホースシーブ47とがそれぞれ回転可能に支持されている。引き上げシーブ46とホースシーブ47は一体に設けられ、両者は一体となって回転する。回転軸48はファーストアーム41のほぼ中央に位置するように設けられ、セカンドアーム42とサードアーム43はファーストアーム41内の前方に寄せて配置されている。伸縮シリンダ45はセカンドアーム42とサードアーム43のほぼ中央を貫通している。
【0012】
各引き上げシーブ46にはそれぞれ引き上げロープ49が掛け回されている。図3,4に示すように、これら引き上げロープ49はファーストアーム41とセカンドアーム42の間に長手方向に配設されるとともに、シーブ46を経由し、セカンドアーム42の上端を貫通して、セカンドアーム42内の伸縮シリンダ45の前方に長手方向に配設されている。引き上げロープ49の一端はファーストアーム41の後面下部の支持部41aに連結され、他端はサードアーム43の上端部43bに連結されている。
【0013】
各ホースシーブ47には旋回体2からのバケット5aに圧油を導くための油圧ホース50がそれぞれ掛け回されている。油圧ホース50は引き上げロープ49と並んでファーストアーム41とセカンドアーム42の間に配設されるとともに、セカンドアーム42の上端を貫通し、セカンドアーム41内に配設されている。油圧ホース50の一端は支持部41aに接続され、他端はサードアーム上端部43bに接続されている。サードアーム上端部43bには図示しない油圧配管の一端が接続され、この油圧配管の他端はサードアーム43内を通過し、サードアーム下端部でバケットシリンダ5aに接続されている。なお、図示は省略するが旋回体2からブーム3に沿って油圧配管が配設され、この油圧配管は支持部41aに接続されている。これにより旋回体2からの圧油が油圧ホース50を介してバケットシリンダ5aに導かれる。また、旋回体2からの圧油は、ファーストアーム41の外側面に長手方向に配設された油圧配管(不図示)を介して伸縮シリンダ45の上端部の給排油口455a(図6参照)にも導かれる。
【0014】
セカンドアーム42の後面下端部にはブラケット42bが固設され、このブラケット42bに一対の押し込みシーブ52が回転可能に支持されている。各押し込みシーブ52には押し込みロープ53がそれぞれ掛け回され、これら押し込みロープ53の一端はファーストアーム41の後面下端部に設けられた支持部41bにそれぞれ連結されている。押し込みロープ53の他端はサードアーム43内の伸縮シリンダ45の後方を通過し、サードアーム43の上端部43cに連結されている。なお、図2に示すように伸縮アーム4(ファーストアーム41)の上端部には開口部4cが設けられ、外部からシーブ46,47、ロープ49、およびホース50を視認可能となっている。
【0015】
ここで、本実施の形態の多段伸縮式アーム作業機により掘削作業を行う場合の動作を説明する。
掘削作業を行う場合には、まず、ブームシリンダ3aおよびアームシリンダ4aを駆動し、図1の状態にある作業機を図2の状態に姿勢変化させる。次いで、伸縮シリンダ45を伸長させる。伸縮シリンダ45の伸長動に伴い引き上げシーブ46とロープ支持部41a間の距離が短くなり、引き上げロープ49が弛む。これにより、サードアーム43が自重によって落下し、ロープ49の一端がサードアーム43により引っ張られ、引き上げシーブ46に沿ってロープ49が移動する。その結果、図4に示すようにシーブ46からロープ支持部41aまでのロープ長さが短くなるとともに、その分だけシーブ46からロープ支持部43bまでのロープ長さが長くなる。このとき伸縮シリンダ45には主に引張力が作用する。
【0016】
セカンドアーム42に対してサードアーム43が伸長すると、ホースシーブ47は引き上げシーブ46と一体となって下方に移動する。そのため、引き上げロープ49と同様、油圧ホース50はホースシーブ47に沿って移動する。また、押し込みシーブ52と押し込みロープ53の支持部41b,43cとの距離も図示のように変化する。
【0017】
バケット5が掘削面に達すると、バケットシリンダ5aを駆動してバケット5を開閉し、バケット5内に土砂等をすくい取る。掘削作業時には、バケット5には地面からの掘削反力が作用し、サードアーム43は上方に押される。このサードアーム43の上方移動は押し込みロープ53によって規制されるため、サードアーム43の上方移動は阻止される。このとき伸縮シリンダ45には主に圧縮力が作用する。
【0018】
バケット5内に土砂等を収容すると、レバー操作により伸縮シリンダ45を縮退させる。これによりファーストアーム41内にセカンドアーム42が縮退するとともに、これに伴い引き上げシーブ46が上方に移動する。この移動により引き上げロープ49を介してサードアーム43が上方に引き上げられ、シリンダ45の縮退量に応じてサードアーム43がセカンドアーム42内に縮退する。このとき引き上げシーブ46と一体にホースシーブ47も上方移動し、油圧ホース50がホースシーブ47に沿って移動する。伸縮シリンダ45を縮退してバケット5を上方移動させると、ブームシリンダ3aおよびアームシリンダ4aの駆動によりバケット5を所定の排土位置に移動し、バケット5内の土砂を排出する。そして、伸縮アーム4を再び図2の状態にセットし、同様な作業を繰り返す。
【0019】
次に、伸縮シリンダ45の取付構造を説明する。図6は図2のVI部拡大図であり、図7は図6の矢視VII図、図8は図6のVIII-VIII線断面図である。伸縮シリンダ45のチューブ上端部45bは、パッド451を介してセカンドアーム上端部の左右一対のブラケット42aの間に配置されている。チューブ上端部45bには左右一対の凹部452が設けられ、凹部452にはブラケット42aおよびパッド451を貫通してピン453が挿入されている。これによりチューブ上端部45bはセカンドアーム42にピン結合されている。
【0020】
ファーストアーム41の上端部には、アーム左右内側面に直交してプレート41dが固設され、プレート41d上には左右一対のプレート41eが固設されている。伸縮シリンダ45のロッド上端部45aは、パッド454を介して左右のプレート41eの間に配置されている。なお、ロッド上端部45aの後面には給排油口455aを有する給排油ブロック455がボルト456により取り付けられている。
【0021】
ファーストアーム41の上端部にはアーム左側面の取付孔41fを貫通して左方からピン460が挿入されている。ピン460はプレート41e、パッド454、ロッド上端部45aをそれぞれ貫通し、ピン460の左端のつば部460aは、ファーストアーム41に設けたねじ座41gにボルト461により固定されている。これによりロッド上端部45aはファーストアーム41にピン結合されている。
【0022】
上述のように伸縮シリンダ45のロッド上端部45aおよびチューブ上端部45bをそれぞれアーム41,42にそれぞれピン結合した場合、シリンダ45は長手方向の2点を回転端により支持されることになる。回転端による支持は固定端による支持に比べて座屈荷重が小さいため、掘削作業時に圧縮力が作用した際にシリンダ45は座屈しやすい。また、伸縮シリンダ45は長尺であるため、座屈荷重が小さくなりやすい。
【0023】
そこで、本実施の形態では、ピン結合された伸縮シリンダ45の座屈荷重を大きくするため、すなわちロッド上端部45aの回転の自由度を拘束するため、以下のように構成する。なお、ロッド上端部45aの回転の自由度を拘束するとその分、伸縮シリンダ45の変位の自由度が減るが、伸縮アーム4のシリンダ45には主に引張力と圧縮力が作用し曲げ方向の力が作用しないため、回転の自由度を拘束することで座屈防止を優先する。
【0024】
図6〜図8に示すように、ロッド上端部45aの上端面には略矩形状の座屈防止プレート470がシリンダ45の長手方向に沿って溶接などで固設されている。座屈防止プレート470の前後には押さえ板471,472が配置され、座屈防止プレート470はこの押さえ板471,472により挾み込まれている。前側の押さえ板471は左右(幅方向)に分割して設けられるとともに、各押さえ板471にはそれぞれ段部471aが設けられ、座屈防止プレート470はこの段部471aに左右方向に隙間を設けて配置されている。
【0025】
プレート41d上には左右一対のねじ座41hが設けられ、ねじ座41hにはねじ孔475aが形成されている。ねじ孔475aには押さえ板471,472、左右一対のスペーサ473を貫通してボルト475が螺合され、スペーサ473と押さえ板471,472はねじ座41hに固定されている。段部471aの深さt1は座屈防止プレート470の板厚t2とほぼ同様、もしくはやや薄く形成されている。
【0026】
この場合、座屈防止プレート470に曲げ荷重が作用しないように、すなわち座屈防止プレート470が伸縮シリンダ45の長手方向延長線上面内に位置するように、ピン460で位置決めされたロッド上端部45aの取付位置に合わせてスペーサ473の厚さが調整されている。これにより座屈防止プレート470の取付部(溶接部)に無理な荷重がかかることなく、押さえ板471,472により座屈防止プレート471の前後方向の変位、すなわち回転が拘束される。その結果、ロッド上端部45aが固定端で支持されたのと同様に、伸縮シリンダ45の座屈荷重が大きくなり、シリンダ45は座屈しにくくなる。
【0027】
本実施の形態では、座屈防止プレート470をアーム41に直接ねじ止めしていないため、座屈防止プレート470にねじ孔を設ける必要がなく加工が容易である。この点についてさらに詳しく説明する。図9(a)は本実施の形態による座屈防止プレート470の取付構造を示し、図9(b)は座屈防止プレート470をアーム41に直接ねじ止めする場合の取付構造を示す。
【0028】
図9(b)に示すように座屈防止プレート470を貫通するボルト475により座屈防止プレート470を固定する場合には、シリンダロッド上端部45aの高さ方向(前後方向)の寸法aに合わせて座屈防止プレート470の高さ方向の寸法bを決定する必要がある。さらに、アーム41のピン取付孔41fからねじ座41hのねじ孔475aまでの寸法cに合わせて、座屈防止プレート470にねじ孔を加工する必要がある。すなわち座屈防止プレート470に曲げ荷重を作用させることなく座屈防止プレート470を取り付けるためには、高さ方向と長さ方向の寸法管理が必要となる。そのため、周辺部品の加工精度が要求され、コスト高となる。また、図示のように座屈防止プレート470をボルト475により直接固定すると、座屈防止プレート470のボルト座面部には局所荷重が作用し、座屈防止プレート470が変形するおそれがある。さらに、伸縮シリンダ45からの引張力および圧縮力がボルト475に作用し、剪断荷重によりボルト475が破損するおそれがある。
【0029】
これに対して図9(a)に示すように本実施の形態では、座屈防止プレート470を押さえ板471,472により挟み込んで固定するため、座屈防止プレート470の長手方向の位置は規制されない。したがって、高さ方向(a,b)の寸法を管理するだけでよく、この寸法管理はスペーサ473の調整によって容易に可能である。また、座屈防止プレート470は押さえ板471,472と面接触しているので、座屈防止プレート470に局所荷重が作用することもない。さらに、座屈防止プレート470は長手方向に移動可能であるため、ボルト475に剪断力が作用することもない。
【0030】
以上の実施の形態の油圧シリンダ取付構造によれば以下のような作用効果を奏する。
(1)ロッド上端部45aに長手方向に座屈防止プレート470を突設し、押さえ板471,472によりピン460を支点とした座屈防止プレート470の回転を拘束するようにしたので、シリンダ45の一端は固定端と同様に支持され、座屈荷重が増加する。これによりシリンダ形状を大幅に変更することなく、すなわち既存の油圧シリンダ45に座屈防止プレート470を設けるだけで、長尺シリンダ45の座屈を容易に防止することができる。
(2)座屈防止プレート470を押さえ板471,472により挟み込んで固定するので、座屈防止プレート取付部の長手方向の寸法精度を高める必要がなく、座屈防止プレート470およびその周辺部品の加工コストを抑えることができる。
(3)座屈防止プレート470とねじ座41hの間の押さえ板471およびスペーサ473を左右に分割して設けたので、ねじ座41hの表面から座屈防止プレート470までの距離が左右で異なったとしても、左右に異なる厚さのスペーサ473を挿入することで、座屈防止プレート470を無理なく容易に固定することができる。
(4)座屈防止プレート470を押さえ板471,472により挟み込むので、座屈防止プレート470に局所荷重が作用することを防止できる。
(5)座屈防止プレート470は長手方向に移動可能なので、ボルト475に剪断荷重が作用することを防止できる。
(6)押さえ板471に段部471aを設け、座屈防止プレート470を段部471aに配置するよにしたので、座屈防止プレート470を左右方向に位置決めして固定することができ、座屈防止プレート470の取付が容易である。
【0031】
座屈防止プレート470をロッド上端部45aの上端面に溶接するようにしたが、溶接ではなくボルトなどにより固定してもよい。上記では、ロッド上端部45aとチューブ上端部45bをアーム41,42にピン結合したが、シリンダチューブおよびシリンダロッドをそれぞれ別々のアーム41,42に固定し、その少なくとも一方をピン結合とするのであれば、上端部以外で結合してもよい。また、座屈防止プレート470によりシリンダ45の回動を阻止するようにしたが、回動阻止手段として座屈防止プレート470以外を用いてもよい。ロッド側のピン結合部に座屈防止プレート470を設けて固定端としたが、同様にチューブ側のピン結合部を固定端としてもよい。また、ロッド側およびチューブ側の両方を固定端としてもよい。
【0032】
拘束手段として押さえ板471,472により座屈防止プレート470を挟み込んで変位を拘束したが、挟み込む以外の方式により変位を拘束してもよい。ボルト475を押さえ板471,472の固定部材として用いたが、ボルト以外で押さえ板471,472を固定してもよい。押さえ板471を幅方向(左右方向)に2分割したが、分割しなくてもよく、また3分割以上としてもよい。
【0033】
上記実施の形態では、ファーストアーム41とセカンドアーム42を伸縮シリンダ45で連結したが、これに限らない。すなわち、セカンドアーム42とサードアーム43を伸縮シリンダ45で連結し、同様に座屈防止プレート470を設けるようにしてもよい。アーム41〜43をそれぞれ略矩形断面としたが、他の形状(例えば5角形、6角形や円形等)でもよい。また、3段の伸縮アーム4を用いるようにしたが、それ以上の段数があってもよい。すなわち中間アーム42を複数段備えるものでもよい。引き上げシーブ46とホースシーブ47を一体化するようにしたが、別体としてもよい。
【0034】
以上では掘削作業を行う場合について説明したが、掘削以外の他の作業を行うようにしてもよい。また、上記実施の形態は、油圧ショベルをベースマシンとして用いたが、他の作業機(例えばホイールショベルやクレーン)をベースマシーンとして用いることもできる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態に限定されない。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ピン結合されたアーム伸縮用の油圧シリンダのピン結合部の回動を阻止するようにしたので、油圧シリンダの座屈荷重を大きくすることができ、シリンダ形状を大幅に変更することなくシリンダの座屈を容易に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る多段伸縮式アームを有する作業機を示す側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る多段伸縮式アームを有する作業機による掘削作業を示す側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る多段伸縮式アームの内部構成を示す側方断面図(アームが縮退した状態を示す図)。
【図4】本発明の実施の形態に係る多段伸縮式アームの内部構成を示す側方断面図(アームが伸長した状態を示す図)。
【図5】図3のV-V線断面図。
【図6】図2のVI部拡大図。
【図7】図6の矢視VII図。
【図8】図6のVIII-VIII線断面図。
【図9】本実施の形態の効果を説明する図。
【符号の説明】
2 旋回体 3 ブーム
4 多段伸縮式アーム 41 ファーストアーム
42 セカンドアーム 43 サードアーム
45 油圧シリンダ 45a ロッド上端部
45b チューブ上端部 470 座屈防止プレート
471,472 押さえ板 475 ボルト

Claims (5)

  1. 伸縮可能な複数段のアームを有する多段伸縮式アームと、
    シリンダロッドおよびシリンダチューブをそれぞれ異なる段のアームに結合するとともに、その少なくとも一方を回動可能にピン結合して前記アームを伸縮させる油圧シリンダと、
    前記油圧シリンダのピン結合部の回動を阻止する回動阻止手段とを備え
    前記回動阻止手段は、前記ピン結合部近傍の前記油圧シリンダの一端面から前記油圧シリンダの回動方向に面して長手方向に突設された板部材と、前記板部材の前記油圧シリンダの回動方向の変位を拘束する拘束手段とを有し、
    前記拘束手段は、前記板部材を両面から挟み込む一対の押さえ板と、前記板部材の両面に前記一対の押さえ板を面接触させて挟み込んだ状態で前記一対の押さえ板を前記アームに固定する固定部材とを有し、
    前記一対の押さえ板のうち、前記アームと前記板部材の間に介在する一方の押さえ板には、前記板部材を幅方向に位置決めして固定する段部が設けられていることを特徴とする多段伸縮式アームの油圧シリンダの取付構造。
  2. 請求項1に記載の油圧シリンダの取付構造において、
    前記押さえ板の厚さ方向の位置を調整する位置調整部材をさらに備えることを特徴とする多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造。
  3. 請求項1または2に記載の油圧シリンダの取付構造において、
    前記一対の押さえ板のうち、前記一方の押さえ板は、幅方向に分割して設けられることを特徴とする多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造。
  4. 請求項3に記載の油圧シリンダの取付構造において、
    前記一対の押さえ板のうち、他方の押さえ板は、幅方向に分割することなく、前記板部材の幅方向全面を覆って設けられることを特徴とする多段伸縮式アームの油圧シリンダ取付構造。
  5. 走行体と、
    この走行体上に旋回する旋回体と、
    前記旋回体に起伏動するように設置されるブームと、
    このブームの先端に回動可能に設けられ、請求項1〜4のいずれか1項記載の油圧シリンダ取付構造を有する多段伸縮式アームとを備えることを特徴とする多段伸縮式アーム作業機。
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