JP4008312B2 - 石炭ガス化プラント,及び石炭ガス化プラント監視方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,石炭ガス化プラントに関し,特に,石炭ガス化プラントを監視する技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭のガス化を行うために石炭ガス化炉が使用される。石炭のガス化により生成される石炭ガスは,エネルギー源として有効に活用される。
【0003】
石炭をガス化すると,石炭ガス化炉には燃え滓としてスラグが残る。このようなスラグは,石炭ガス化炉から排出される必要がある。スラグは充分に高温であれば流動性を有するため,スラグは,一般に,石炭ガス化炉の下部に設けられたスラグホールから連続的に排出される。スラグホールの下方には,冷却水を満たしたスラグ排出塔が設けられ,スラグは,冷却水によって冷却されて固化された後,スラグ排出塔から排出される。
【0004】
石炭ガス化炉の正常運転のためには,スラグの排出状況を監視する必要がある。スラグの固体化によるスラグホールの閉塞及びスラグの流動の不安定化を回避することは,石炭ガス化炉の運転において重要である。
【0005】
スラグ排出状況を充分に把握するために,水中マイクロホンを使用してスラグの落下音を検出する技術が,特開平6−17061号公報に知られている。更に,冷却水の水面の撮像画像とスラグホールの撮像画像とから,スラグ動態を監視評価する技術が,特開2001−19975号公報に知られている。
【0006】
石炭ガス化炉からのスラグの排出状況の監視の信頼性は,一層に向上されることが望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は,スラグの排出状況の監視の信頼性を,一層に向上するための技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下に,[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて,課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は,[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されている。但し,付加された番号・符号は,[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明による石炭ガス化プラントは,スラグを排出するスラグホール(4)を有する石炭ガス化炉(2)と,前記スラグが落下される冷却水(5)を蓄積するスラグ排出塔(1)と,冷却水(5)の水面(5a)を撮像して水面監視画像を生成するカメラ(9)と,スラグが前記冷却水(5)に流下することによって発生する落下音を収集する落下音収集器(10)と,前記落下音と前記水面監視画像とに基づいて,前記スラグの排出状況を検知する監視装置(17)とを含む。 前記カメラ(9)は,スラグ排出塔(1)に設けられた水面監視窓(7b)を介して前記水面(5a)を撮像し,監視装置(17)は,前記落下音と,前記水面監視画像の輝度とに基づいて,前記水面監視窓(7b)の汚れを検知する。
【0010】
水面監視画像は,スラグの排出状況について多種多様の情報を提供するが,水面監視画像を取得する光学系は,汚れにより劣化する可能性がある。一方で,音波は,一般に,物質中における伝搬性は良好であるため,水中音を取得する落下音収集器(10)は相対的に汚れに強い。スラグの落下音による成分が水中音に含まれるか否かをスラグの排出状況の判断に使用することにより,水面監視画像によって得られる情報が信頼できるか否かを判断でき,スラグ排出状況の監視の信頼性が向上する。
【0012】
前記落下音収集器(10)は,前記冷却水(5)の水中に設けられたハイドロホンである。
【0013】
監視装置(17)は,前記落下音と前記水面監視画像とに基づいて,前記スラグの流動性を検知することが好ましい。スラグの流動性としては,前記スラグが流動しているか否か,またスラグの流動が安定化しているか否かが挙げられる。
【0014】
当該石炭ガス化プラントは,更に,スラグホール(4)を撮像してスラグホール監視画像を生成する他のカメラ(6)を含み,前記監視装置(17)は,前記落下音と,前記水面監視画像と,前記スラグホール監視画像とに基づいて,前記スラグ動態を検知することが好ましい。
【0015】
前記監視装置(17)は,前記落下音と,前記水面監視画像と,前記スラグホール監視画像とに基づいて,前記スラグの流動性を判断することが好ましい。
【0016】
前記監視装置(17)は,前記落下音と,前記水面監視画像と,前記スラグホール監視画像とに基づいて,前記スラグホール(4)の閉塞を検知することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照しながら,本発明による石炭ガス化プラントの実施の一形態を説明する。
【0020】
本発明による石炭ガス化プラントの実施の一形態では,石炭ガス化炉とともにスラグ排出塔が設けられている。そのスラグ排出塔1は,図1に示されているように,石炭ガス化炉2の下方部に設けている。石炭ガス化炉2の下部には,円錐状のスラグタップ3が設けられている。石炭ガス化炉2の中で石炭がガス化された後に生成されるスラグは,スラグタップ3に設けられた円形のスラグホール4を介して排出される。スラグホール4の縁には,180°間隔で対向する位置に,排出されるスラグの流出案内溝(図示せず)が2つ形成される。流出案内溝の断面積は,2条のスラグ流が定常的に流下するように設計されている。
【0021】
スラグ排出塔1の下方部には,冷却水5が蓄積されている。スラグホール4から排出されたスラグは,冷却水5に流下する。
【0022】
第1TVカメラ6が,スラグ排出塔1の側壁の外側に設けられている。第1TVカメラ6は,スラグ排出塔1の側壁に設けられているスラグホール監視窓7aを介してスラグホール4及びスラグホール4の周辺を撮像し,スラグホール監視画像を生成する。
【0023】
分光計8が,第1TVカメラ6と複合してスラグホール4の中心部(微少域)を視野にして,スラグ排出塔1の側壁の外側に設けられている。分光計8は,スラグホール観察窓7を通して,スラグホール4の中心部の温度を測定することができる。
【0024】
第2TVカメラ9が,スラグ排出塔1の側壁の外側に設けられている。第2TVカメラ9は,スラグ排出塔1の側壁に設けられている水面監視窓7bを介して冷却水5の水面5aを撮像し,水面監視画像を生成する。
【0025】
ハイドロホン10が,冷却水5の水中に設けられている。ハイドロホン10は,それに入力される音を電気信号に変換して出力する。
【0026】
第1TVカメラ6は,画像処理ボード11に接続されている。画像処理ボード11は,第1TVカメラ6によって取得されたスラグホール監視画像をデジタルデータ化し,スラグホール輝度分布データ21を生成する。スラグホール輝度分布データ21は,スラグホール監視画像に含まれる各画素の輝度を示すデータで構成されている。
【0027】
分光計8は,専用IFボード12に接続されている。専用IFボード12は,分光計8によって測定された,スラグホール4の中心温度を示す温度データ22を生成する。
【0028】
第2TVカメラ9は,画像処理ボード13に接続されている。画像処理ボード13は,第2TVカメラ9によって取得された水面監視画像をデジタルデータ化し,水面輝度分布データ23を生成する。水面輝度分布データ23は,水面監視画像に含まれる各画素の輝度で構成されている。
【0029】
ハイドロホン10の出力は,増幅器14の入力に接続されている。増幅器14は,ハイドロホン10が出力する電気信号を増幅する。増幅器14の出力は,バンドパスフィルター(BPF)15の入力に接続されている。BPF15は,増幅器14の出力のうち,冷却水5にスラグが流下することによって発生する落下音の帯域の成分を含む所定の監視帯域の信号を通過して出力する。BPF15の出力は,A/D変換器16の入力に接続されている。A/D変換器16は,BPF15が出力するアナログ信号をデジタル化する。A/D変換器16は,ハイドロホン10が取得する音のうち,スラグが冷却水5に流下することによって発生する音の帯域を含む所定の監視帯域の成分のデジタルデータを出力することになる。該デジタルデータは,以下,水中音監視データ24と呼ばれる。
【0030】
画像処理ボード11,専用IFボード12,画像処理ボード13,及びA/D変換器16は,スラグ流動監視・診断装置17に接続されている。スラグ流動監視・診断装置17は,スラグホール輝度分布データ21,温度データ22,水面輝度分布データ23,及び水中音監視データ24からスラグの排出状態を監視し,診断する。スラグ流動監視・診断装置17は,監視,診断の結果,必要があると判断したときには,スラグ溶融バーナ点火指令25を出力して石炭ガス化炉2に設けられているスラグ溶融バーナ(図示されない)を点火し,また,各種の警報出力26を出力する。
【0031】
図2は,スラグ流動監視・診断装置17の機能ブロック図である。スラグ流動監視・診断装置17は,スラグホール輝度分布データ21,温度データ22,水面輝度分布データ23,及び水中音監視データ24から,評価パラメータ27を得る。評価パラメータ27は,スラグ本数(1)28,スラグ幅29,ROI(1)高輝度部面積30,ROI(2)輝度レベルB1以上画素数31,スラグタップ温度32,水面監視画像の輝度変動量33,スラグ本数(2)34,スラグ落下音フラグ35を含む。
【0032】
スラグ本数(1)28とは,スラグホール4の直下におけるスラグ流の本数である。スラグ本数(1)28は,スラグホール監視画像の各画素の輝度を示すスラグホール輝度分布データ21を用いて算出される。図3(a)に示されているように,スラグホール監視画像のスラグが流下する部分は,輝度が高い筋としてスラグホール監視画像に表れる。スラグ本数(1)28は,スラグホール監視画像のうちの,スラグホール4の下方に水平方向に規定されている直線51上で,輝度を微分することによって算出される。図3(b)に示されているように,直線51上では,スラグ流に対応する2つの領域で輝度が高くなり,図3(c)に示されているように,輝度の微分は4つのピーク(極大位置)を有する。このピークの数から,スラグ本数(1)28が判断される。
【0033】
スラグ幅29は,直線51で示されている直線状領域におけるスラグ流の幅(太さ)である。スラグ流が複数である場合には,スラグ幅29は,そのスラグ流の幅の和として定義される。スラグ本数(1)28と同様に,スラグホール4の下方に定められた直線51で示されている直線状領域の輝度の微分計算によって算出され,輝度の微分値のピークの位置からスラグ幅29が算出される。
【0034】
図4(a)を参照して,ROI(1)高輝度部面積30とは,スラグ監視画像に規定された第1有効領域[Region Of Interest:ROI(1)]52のうちの,所定値よりも輝度が高い領域の面積である。ROI(1)52とは,スラグホール4及びその近傍を含み,かつ,スラグホール4から鉛直下方に延びる矩形状領域である。スラグホール監視画像を生成する第1TVカメラ6は,スラグホール4を斜めから撮像するから,スラグホール4は,スラグホール監視画像において楕円形に写されることに注意されたい。ROI(1)52には,スラグが流れ出るスラグホール4と,流れ出たスラグ流とが写されている。したがって,ROI(1)高輝度部面積30には,スラグホール4と,スラグホール4の直下のスラグ流との状態が表れる。
【0035】
ROI(2)輝度レベルB1以上画素数31とは,スラグ監視画像に規定された第2有効領域[ROI(2)]53に含まれる画素のうち,輝度が所定の基準値B1以上である画素の数である。ROI(2)53は,スラグホール4に概ね重なる矩形状領域である。ROI(2)53には,スラグホール4の状態が写される。したがって,ROI(2)輝度レベルB1以上画素数31には,スラグホール4の状態が表れる。
【0036】
スラグタップ温度32とは,スラグタップ3のうち,温度が最も高くなる部位である中心部の温度であり,分光計8及び専用IFボード12によって生成されるスラグタップ3の温度データ22から算出される。
【0037】
水面監視画像輝度変動量33とは,水面監視画像の輝度の変動量である。水面監視画像には,X−Y座標が規定されている。座標(X,Y)を有する画素の時刻Tにおける輝度をB(X,Y),該画素の時刻T+ΔTにおける輝度をA(X,Y),時刻Tにおける水面監視画像輝度変動量33をV(T)と表すと,輝度変動量V(T)は,
V(T)=ΣΣ|A(X,Y)−B(X,Y)|,
で定義される。ここでΣΣは,水面監視画像の全ての座標(X,Y)についての和を示している。
【0038】
スラグ本数(2)34とは,水面5aの直上におけるスラグ流の本数である。スラグ本数(2)34は,水面監視画像の各画素の輝度を示す水面輝度分布データ23を用いて算出される。スラグ本数(2)34は,スラグ本数(1)28と同様に,水面監視画像のうちの,水平方向に規定されている直線上で,輝度を微分することによって算出される。該直線上における輝度のピークの数からスラグ本数(2)34が判断される。
【0039】
スラグ落下音フラグ35は,スラグが冷却水5に流下することにより発生する落下音の有無を示している。スラグ落下音フラグ35は,ハイドロホン10,増幅器14,BPF15,及びA/D変換器16によって得られる水中音監視データ24から生成される。
【0040】
スラグ流動監視・診断装置17は,評価パラメータ27を入力として診断ロジック36を実行し,スラグの排出状況の診断の診断結果37を生成する。スラグの排出状況の診断は,スラグホール/水面監視による組み合わせ評価,スラグホール監視による評価,及び水面監視による評価の3つに分類される。これらの評価は,併用されることが可能であり,また,排他的に使用されることが可能である。
【0041】
図5は,スラグホール/水面監視による組み合わせ評価のロジックを示している。ROI(2)B1輝度レベル以上画素数31が,規定値以下であり,且つ,0でない状態が所定の時間だけ継続されると,診断結果37としてスラグ溶融バーナ点火38が得られる。
【0042】
更に,下記条件:
(1)ROI(2)B1輝度レベル以上画素数31が“0”
(2)ROI(2)に含まれる全画素の輝度が所定の基準値B2(<B1)以下(3)水面監視画像輝度変動量33が所定の下限値より大きいか,スラグ落下音フラグ35が落下音ありを示している
の全てを満足する状態が,所定の時間だけ継続されると,スラグホール監視窓7aが汚れていることを示すスラグホール監視窓汚れ発生39が,診断結果37として得られる。水面監視画像輝度変動量33及びスラグ落下音フラグ35によって水面5aへのスラグの流下が検知されているにもかかわらず,ROI(2)に含まれる画素の輝度が低い場合には,スラグホール監視窓7aが汚れていると判断されることになる。スラグホール監視窓7aの汚れの検出にスラグ落下音フラグ35を使用することにより,水面監視窓7bが汚れている場合でも水面5aへのスラグの流下が検知されるから,水面監視窓7bが汚れている場合でもスラグホール監視窓7aの汚れを検出することが可能になっている。
【0043】
更に,水面監視画像輝度変動量33が所定の下限値以下であり,スラグ落下音フラグ35が落下音ありを示している状態が所定の時間だけ継続されると,水面監視窓7bが汚れていることを示す水面監視窓汚れ発生40が,診断結果37として得られる。スラグ落下音フラグ35を使用することにより,水面監視窓7bの汚れの検出が可能になっている。
【0044】
更に,スラグホール4の直下のスラグ本数(1)28が0本であり,水面5aの直上のスラグ本数(2)34が0本であり,水面監視画像輝度変動量33が“0”であり,且つ,スラグ落下音フラグ35が落下音なしを示している状態が所定の時間だけ継続されると,診断結果37としてスラグ流動無41が得られる。
【0045】
更に,スラグホール4の直下のスラグ本数(1)28が0本でなく,水面5aの直上のスラグ本数(2)34が0本であり,水面監視画像輝度変動量33が“0”であり,且つ,スラグ落下音フラグ35が落下音なしを示している状態が所定の時間だけ継続されると,診断結果37として中間壁閉塞42が得られる。中間壁閉塞42とは,図6に示されているように,スラグ排出塔1の内部のスラグホール4と水面5aとの間にスラグが堆積し,堆積したスラグにより,スラグ流が冷却水5に流下しない状態をいう。
【0046】
また,図5に示されているように,水面監視画像輝度変動量33が“0”であり,スラグ落下音フラグ35が落下音なしを示し,且つ,ROI(1)高輝度部面積30が“0”である状態が所定の時間だけ継続されると,診断結果37として,スラグホール4が閉塞されていることを示すスラグホール閉塞43が得られる。
【0047】
更に,ROI(1)高輝度部面積30が規定値内であり,スラグタップ温度32が規定値内であり,スラグホール4の直下のスラグ本数(1)28が2本であり,スラグ幅29が規定値内であり,水面5aの直上のスラグ本数(2)34が2本であり,水面監視画像輝度変動量33が規定値内であり,スラグ落下音フラグ35が落下音ありを示している場合には,診断結果37として,スラグの流動が安定であることを示すスラグ流動安定44が得られ,そうでない場合には,スラグの流動が不安定であることを示すスラグ流動不安定45が,診断結果37として得られる。
【0048】
図7は,スラグホール監視による評価のロジックを示している。スラグホール4の直下のスラグ本数(1)28が0本である状態が所定の時間継続されると,診断結果37として,スラグ流動無41が得られる。
【0049】
更に,ROI(1)高輝度部面積30が規定値内であり,スラグタップ温度32が規定値内であり,スラグホール4の直下のスラグ本数(1)28が2本であり,スラグ幅29が規定値内である場合には,診断結果37として,スラグ流動安定44が得られ,そうでない場合には,スラグ流動不安定45が,診断結果37として得られる。
【0050】
図8は,水面監視による評価のロジックを示している。水面5aの直上のスラグ本数(2)34が0本であり,水面監視画像輝度変動量33が“0”であり,スラグ落下音フラグ35が落下音なしを示している場合には,診断結果37として,スラグ流動無41が得られる。
【0051】
更に,水面5aの直上のスラグ本数(2)34が2本である場合には,診断結果37としてスラグ流動安定44が得られ,そうでない場合には,診断結果37として,スラグ流動不安定45が得られる。
【0052】
図2に示されているように,診断結果37としてスラグ溶融バーナ点火38が得られた場合には,スラグ流動監視・診断装置17は,スラグ溶融バーナ点火指令25を出力し,スラグ溶融バーナを点火させる。更に,診断結果37としてスラグホール監視窓汚れ発生39,水面監視窓汚れ発生40,スラグ流動無41,中間壁閉塞42,スラグホール閉塞43,及びスラグ流動不安定45が得られた場合には,スラグ流動監視・診断装置17は,その旨を示す警報出力26を出力する。また,診断結果37としてスラグ流動安定44が得られた場合には,スラグ流動監視・診断装置17は,その旨を出力する。
【0053】
以上に説明されているように,本実施の形態の石炭ガス化プラントでは,水面5aを監視する第2TVカメラ9によって撮影される水面撮像画像に加えて,冷却水5中に設けられたハイドロホン10によって収集される水中音の情報が,スラグの排出状況の判断に使用される。水面撮像画像は,スラグの排出状況について多種多様の情報を提供するが,水面撮像画像を取得する光学系は,汚れにより劣化する可能性がある。例えば,水面監視窓7bが汚れると,水面撮像画像を用いた診断の信頼性が落ちる。一方で,音波は,一般に,物質中における伝搬性は良好であるため,水中音を取得するハイドロホン10は汚れに強い。スラグの落下音による成分が水中音に含まれるか否かをスラグの排出状況の判断に使用することにより,水面撮像画像によって得られる情報が信頼できるか否かを判断でき,スラグ排出状況の監視の信頼性が向上する。更に,水面撮像画像と冷却水5の水中音とを監視することにより,水面撮像画像の取得に使用される水面監視窓7bの汚れを検出できる。以上に説明されているように,水面撮像画像に加えて,冷却水5中に設けられたハイドロホン10によって収集される水中音の情報が,スラグの排出状況の判断に使用されることにより,スラグの排出状況の判断の信頼性が向上されている。
【0054】
【発明の効果】
本発明により,スラグの排出状況の監視の信頼性が,一層に向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,本発明による石炭ガス化プラントの実施の第1形態を示す。
【図2】図2は,スラグ流動監視・診断装置17の機能ブロック図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は,スラグ本数(1)28とスラグ幅29の検出方法を説明する図である。
【図4】図4(a)は,第1有効領域[ROI(1)]52の定義を示す図であり,図4(b)は,第2有効領域[ROI(2)]53の定義を示す図である。
【図5】図5は,スラグホール/水面監視による組み合わせ評価のロジックを示している。
【図6】図6は,中間壁閉塞42を説明する図である。
【図7】図7は,スラグホール監視による評価のロジックを示している。
【図8】図8は,水面監視による評価のロジックを示している。
【符号の説明】
1:スラグ排出塔
2:石炭ガス化炉
3:スラグタップ
4:スラグホール
5:冷却水
6:第1TVカメラ
7a:スラグホール監視窓
7b:水面観察窓
8:分光計
9:第2TVカメラ
10:ハイドロホン
11:画像処理ボード
12:専用IFボード
13:画像処理ボード
14:増幅器
15:バンドパスフィルター(BPF)
16:A/D変換器
17:スラグ流動監視・診断装置
21:スラグホール輝度分布データ
22:温度データ
23:水面輝度分布データ
24:水中音監視データ
25:スラグ溶融バーナ点火指令
26:警報出力
27:評価パラメータ
28:スラグ本数(1)
29:スラグ幅
30:ROI(1)高輝度部面積
31:ROI(2)輝度レベルB1以上画素数
32:スラグタップ温度
33:水面監視画像輝度変動量
34:スラグ本数(2)
35:スラグ落下音フラグ
36:診断ロジック
37:診断結果
38:スラグ溶融バーナ点火
39:スラグホール監視窓汚れ発生
40:水面監視窓汚れ発生
41:スラグ流動無
42:中間壁閉塞
43:スラグホール閉塞
44:スラグ流動安定
45:スラグ流動不安定
51:直線
52:第1有効領域[ROI(1)]
53:第2有効領域[ROI(2)]
Claims (4)
- スラグを排出するスラグホールを有する石炭ガス化炉と,
前記スラグが落下される冷却水を蓄積するスラグ排出塔と,
前記スラグ排出塔に設けられた水面監視窓を介して前記冷却水の水面を撮像して水面監視画像を生成するカメラと,
前記冷却水の水中に設けられて前記スラグが前記冷却水に流下することによって発生する落下音を収集するハイドロホンと,
少なくとも前記落下音と,前記水面監視画像とに基づいて,前記スラグの排出状況を検知する監視装置とを含む石炭ガス化プラントにおいて,
前記監視装置は,前記落下音と,前記水面監視画像の輝度とに基づいて,前記水面監視窓の汚れを検知することを特徴とする
石炭ガス化プラント。 - 請求項1に記載の石炭ガス化プラントにおいて,
前記監視装置は,前記水面監視画像の輝度変動量が所定の下限値以下であり,前記落下音に基づいて生成されるスラグ落下音フラグが落下音有りを示している状態が所定の時間継続されると,水面監視窓汚れ発生と診断する
石炭ガス化プラント。 - スラグを排出するスラグホールを有する石炭ガス化炉と,
前記スラグが落下される冷却水を蓄積するスラグ排出塔と,
前記スラグ排出塔に設けられたスラグホール監視窓を介して前記スラグホールを撮像してスラグホール監視画像を生成するカメラと,
前記冷却水の水中に設けられて前記スラグが前記冷却水に流下することによって発生する落下音を収集するハイドロホンと,
少なくとも前記落下音と,前記スラグホール監視画像とに基づいて,前記スラグの排出状況を検知する監視装置とを含む石炭ガス化プラントにおいて,
前記監視装置は,前記落下音と,前記スラグホール監視画像の輝度とに基づいて,前記スラグホール監視窓の汚れを検知することを特徴とする
石炭ガス化プラント。 - 請求項3に記載の石炭ガス化プラントにおいて,
前記監視装置は,下記条件(1)〜(3):
(1)前記スラグホール監視画像のスラグホールに概ね重なる領域において所定基準値以上の輝度の画素が0である
(2)前記スラグホール監視画像のスラグホールに概ね重なる領域に含まれる全画素の輝度が所定の基準値以下である
(3)前記落下音に基づいて生成されるスラグ落下音フラグが落下音ありを示している
の全てを満足する状態が,所定の時間だけ継続されると,スラグホール監視窓が汚れていると診断する
石炭ガス化プラント。
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