JP4008309B2 - 酸濃度分析方法 - Google Patents

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属材料の酸洗デスケール、表面付着物や反応生成物除去、精密部品や電子・電気材料の洗浄、弗素化合物を利用した表面処理、酸廃液処理、フッ化物含有鉱物などの酸処理、無機および有機弗素化合物合成などにおいて使用される弗酸とこれよりも大きな酸解離定数を有する強酸との酸混合液中の強酸成分の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を主成分とする酸混合液は、金属材料の酸洗デスケールや表面のサビや付着物などの汚染物の除去、精密部品や電子・電気材料の洗浄、弗素化合物を利用した表面処理、酸廃液処理、フッ化物含有鉱物などの酸処理、無機および有機弗素化合物合成などとして広く使用されている。特に、硝酸と弗酸、あるいは弗酸と硫酸の混合液は、ステンレス鋼やチタン材料の酸洗デスケールに多用されている。しかし、デスケールなどを効率良く実施するには、金属材料や除去対象物によって定まる弗酸、硝酸、硫酸などの濃度を適切に管理・維持する必要がある。酸混合液を表面処理や化合物合成などに使用する際にも、同様であり、弗酸と強酸の濃度を制御することが大切である。
【0003】
ところで、弱酸である弗酸に関しては、錯形成反応を用いる技術(例えば、特開昭54−69526号公報など)が確立されているため、強酸分の濃度把握を如何に実施するかが酸分析法の要である。
【0004】
このような強酸の分析法としては、電位差滴定法が一般的である。電位差滴定法とは、酸混合液を水などの溶媒に希釈し、電位差(pHなどに相当)をモニターしながら目的の酸と反応する物質や塩基などを少量ずつ滴下する方法である。滴下量に対して、電位ジャンプ(pHジャンプなどに相当)を生じる点(当量点)までに加えた塩基などの量から酸濃度を計測できるというものである。しかし、水を希釈溶媒とする場合、弱酸と強酸といっても、酸解離定数が比較的近いため、強酸のみを選択的に滴定することは事実上困難である。
【0005】
このような課題を克服するため、特開平7−286985号公報には、酸液を有機溶媒で希釈し、塩基を含む有機溶媒で電位差滴定する技術が開示されている。これは、有機溶媒中では水の中とは異なり、酸塩基の解離定数が変化し、弗酸と強酸の当量点が充分離れ、強酸のみを選択的に滴定できるという非水滴定の原理に立脚したものである。
【0006】
しかし、金属材料の酸洗デスケール液などにおいては、金属イオンが溶解しているため、この影響を回避することが不可欠がある。一般に、価数の大きな金属イオンほど酸性が強く、硝酸などの強酸濃度の誤差として現れる。そこで、特開平6−66783号公報には、酸液に還元剤を添加しFe3+などを低次なFe2+に変化させることで金属イオンの酸性度を弱め、分析結果への影響を軽減する手法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、硝酸のように亜硝酸などの低い酸化状態の物質に変化しやすい酸には、この分析法は応用できない。還元剤の投入は硝酸を亜硝酸に還元してしまうため、硝酸濃度を実際より少な目に見積もる危険性が極めて高いためである。また、硫酸は硝酸よりも耐還元性は強いものの、過度に還元剤を添加すると、原子状イオウなどの還元性反応生成物が生成し、硫酸分析値に大きな影響を与える。リン酸においても、還元剤の過度の投入は、ホスホン酸やホスフィン酸への還元を完全に排除することは不可能である。
【0008】
したがって、特開平6−66783号公報に開示されている技術を利用する際には、予め酸液に含まれるFe3+などの高次金属イオンと被還元性の酸濃度を調査し、影響のない範囲で還元剤を加える必要がある。しかし、これは事実上不可能であり、還元剤の使用は現実的には大きな分析誤差を与えてしまうという問題点が存在している。したがって、酸化性の酸を還元してしまう危険性を完全に排除でき、しかも金属イオンの影響も抑制できる硝酸などの強酸の分析法の開発が望まれていた。
【0009】
さらに、Fe3+の場合には、Fe2+まで比較的容易に還元することができ、分析精度への影響を少なくすることができるが、Ti4+などの+4価イオン種やTi3+の場合には、還元により価数をTi2+に安定的に保つことは極めて困難である。さらに、Feなどを+2価まで還元できたとしても、依然として金属イオンは酸として作用するため、これらの濃度が高い場合には、大きな分析誤差を避けることは難しい。
【0010】
以上のように、金属イオンの影響を除くには還元剤のような汎用的試薬ではなく、個々のイオンごとにマスキング剤を発見するしかない。しかし、弗酸を含む溶液中において、金属イオンがF錯体を形成していて、しかも有機溶媒を希釈液とする非水滴定において、FeやTiをマスキングできる物質や手法は未だ見出されていない。
【0011】
更に、強酸を電位差滴定する際には、pHをモニターしつつ塩基を添加する中和滴定が一般的であるが、弗酸を含む酸混合液の場合には、通常のガラス製pH電極が侵食されるため、金属アンチモン電極など溶液の酸化還元電位の影響を強く受ける電極を使用するしかない。この場合、還元剤の添加は滴定の等量点での電位変化を不明瞭にし、分析誤差を与えるだけでなく、分析値の再現性を著しく低下させるという問題点もあった。
【0012】
したがって、以上のように、硝酸や硫酸だけではなく、リン酸や塩酸のように耐還元性の比較的強い強酸であっても、弗酸との酸混合液となり、そこにFeやTiのようなF錯体を形成しやすい金属イオンが含まれている際に、簡単な操作で金属イオンの影響を排除し、強酸の濃度を正確に分析できる手法は未だ開発されていない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決すべくなされたもので、金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用される酸混合液で、弗酸とこれよりも解離定数の大きな強酸を含む混合液中の強酸濃度を測定する手法方法に関する。
【0014】
本発明の主旨は、以下の通りである。
(1)金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Feを全Fe濃度にして1g/L以上を含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液とアセチルアセトンと希釈用有機溶媒の混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
(2)上記(1)の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
(3)上記(1)あるいは(2)の分析方法において、希釈用有機溶媒として比誘電率が21.0以上30.0以下の液体を使用することを特徴とする酸濃度分析方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載された分析方法において、希釈用有機溶媒としてエタノールを使用することを特徴とする酸濃度分析方法。
(5)金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Tiを全Ti濃度にして1g/L以上含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液をメタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
(6)上記(5)の分析方法であって、検液である酸混合液に過酸化水素を加え混合した後に、メタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
(7)上記(6)の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Tiモル数の10倍以上のモル数の過酸化水素を混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
(8)金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Feを全Fe濃度にして1g/L以上、Tiを全Ti濃度にして1g/L以上含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液とアセチルアセトンとメタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下し電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
(9)上記(8)の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
(10)上記(8)あるいは(9)の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Tiモル数の10倍以上のモル数の過酸化水素を混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載された分析方法において、滴下する塩基として、酢酸ナトリウムの有機溶媒溶液あるいは酢酸ナトリムと酢酸の混合有機溶媒溶液を使用することを特徴とする酸濃度分析法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の範囲の限定理由について述べる。
【0016】
本発明は、Feを全Fe濃度にして1g/L以上、あるいはTiを全Ti濃度にして1g/L以上含む弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液に適用される。ここで全Fe濃度とは、Fe2+、Fe3+、FeF2+、FeF2 +、FeF3などFeを含むあらゆる溶存種中のFe量を総計したものである。同様に、全Ti濃度とは、Ti2+、Ti3+、Ti4+、TiF3+、TiF2 2+、TiF3 +、TiF4などTiを含むあらゆる溶存種中のTi量を総計したものである。全Fe濃度が1g/L未満の場合には、弗酸よりも酸解離定数の大きな強酸の分析誤差への影響が少ないため本発明の範囲外とした。全Ti濃度に関しても、1g/L未満の場合には、分析誤差への影響が少ないため本発明の範囲外とした。
【0017】
酸の解離定数とは、酸HFを例にとった場合、以下のKで与えられる定数のことである。
HF=H+ + F-
K=[H+][F-]/[HF]
【0018】
ここで、[ ]はその種の濃度を示す記号である。この定数が大きいほど、その酸は強酸であることになる。弗酸よりも酸解離定数の大きな強酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸などがあげられる。
【0019】
本発明では、検液中の全Fe濃度が1g/L以上の場合、アセチルアセトンを含む有機溶媒で、検液である酸混合液を希釈することを必要要件としている。まず、有機溶媒での希釈は、強酸と弗酸の酸解離定数を水の場合とは異なる値に変化させて、強酸のみを優先的に滴定できるようにするために不可欠である。有機溶媒としては、どのような物を用いても水希釈に比較して良好な結果が得られるが、比誘電率が21.0以上30.0以下の物を使用する事が好適である。常温において、このような特性を有する有機溶媒としては、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、エタノール、エピクロロヒドリン、2、2’−ジクロロジエチルエーテル、o−ニトロトルエン、2−ニトロプロパンなどがある。尚、比誘電率は温度に依存して若干ではあるが変化する。本発明において重要なのは比誘電率であり、取り扱いの容易な溶媒を分析温度を制御することで、比誘電率21.0以上30.0以下に制御することも可能である。更に、2種以上の溶媒を混合し見かけ上の比誘電率を21.0以上30.0以下に制御することも可能である。
【0020】
しかし、全Fe濃度が極めて高い際には、有機溶媒希釈や有機溶媒の誘電率を選ぶだけでは所定の効果を期待できないこともある。そのような際には、希釈用有機溶媒として、エタノールを使用することがFeの誤差要因排除、強酸の分析精度向上の点においてもっとも望ましい。
【0021】
アセチルアセトンは、詳細な作用機構は不明であるが、弗酸と、これよりも酸解離定数の大きな強酸を主成分とする酸混合液の非水滴定において、Feの妨害反応を阻止する作用を有する。詳しくは、実施例で述べるが、弗酸を含まない強酸のみの液では、アセチルアセトンの添加はかえって逆効果であることから、アセチルアセトンによるFe無害化は、通常の水溶液滴定で言われているFe3+イオンとアセチルアセトンとの錯形成によるものでなく弗酸を含む酸混合液における特異現象である。今まで、アセチルアセトンがFeをマスキングできるとされてきたのは、FeがFe3+イオンとして存在している酸においてであり、アセチルアセトンはFe3+のマスキング剤として多くの文献に照会されている(例えば、日本分析化学会編「改訂4版、分析化学データブック」、p.95〜96、丸善、平成6年発行)。しかし、本発明の範囲である弗酸を含む酸液において、通常、FeはFeF2+、FeF2 +あるいはFeF3として安定なF錯体を形成している。このようなFe−F錯体のマスキング剤は今まで見出されていない。アセチルアセトンは微量添加であっても効果を発揮するが、少量の際には効果が弱い。望ましくは、有機溶媒に溶解する検液中の全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを添加する必要がある。
【0022】
酸混合液中にTiが全Ti濃度にして1g/L以上含まれる際には、特別にTiの妨害反応を抑制する手段を講じる必要がある。Tiの分析誤差を排除するには、検液である酸混合液とメタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールと希釈混合した後、これに塩基を滴下し電位差滴定を行う必要がある。検液をメタノールで希釈すると、弗酸よりも酸解離定数の大きな強酸のみを選択的に滴定できるようになるとともにTiの分析誤差を軽減することが可能となる。5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールでの希釈も同様の作用を有する。エタノールへの水の添加量が少ないと、Tiマスキングの効果が弱く、過度の添加はエタノールの有機溶媒としての上述の特性を失わせるのみならず、Tiマスキングの効果も失われる。このため水添加量の範囲を5%以上30%以下に限定した。尚、水としては、通常の塩化物イオン200ppm以下の水質であれば水道水や工業用水も使用できるが、イオン交換水や蒸留水を使用することが好ましい。
【0023】
さらに、Ti濃度が極めて高い場合には、検液である酸混合液に過酸化水素を加え混合した後に、メタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈することが有効である。過酸化水素は、非水滴定におけるTiの滴定誤差を低減する作用を有している。
【0024】
過酸化水素の添加量は少量であっても効果を発揮するが、望ましくは、希釈有機溶媒に溶解する検液中の全Tiモル数の10倍以上のモル数の過酸化水素を混合することが望ましい。尚、検液と過酸化水素との混合は、希釈有機溶媒やアセチルアセトンと混合する以前に行う必要がある。これは有機溶媒と反応させるまえに、Tiと過酸化水素を選択的に反応させておく必要があるためである。
【0025】
滴下する塩基としては、通常使用されるNaOHやKOHなどで構わない。溶媒としては水溶液でも有機溶媒でも構わない。しかし、強酸の分析精度を高めるには、酢酸ナトリウムの有機溶媒溶液もしくは酢酸ナトリウムと酢酸の混合液を有機溶媒で希釈したものを使用することが好適である。酸液をエタノールなどの有機溶媒で希釈した場合には、水溶液中で強酸であった硝酸などの酸は弱酸として、弱酸であった弗酸は微弱な酸として振る舞うようになる。これを強塩基であるNaOHなどで滴定すると誤って弗酸を強酸として滴定してしまう可能性がある。しかし、弱塩基で滴定することで、このような誤動作の可能性を排除できる。有機溶媒中で弱塩基として安定に作用し、しかも低価格で入手しやくい試薬として、酢酸ナトリウムの有機溶媒溶液もしくは酢酸ナトリウムと酢酸の混合液を有機溶媒で希釈したものの使用が好適である。
【0026】
塩基を滴下する電位差滴定で分析することとした理由は、この手法が酸として有効に機能している強酸分を直接定量できるためである。尚、本発明は電位差滴定の際にモニターする電位決定反応や電極を規制するものではないが、強酸の中和反応に伴い濃度が変化するイオンに対し感応する電極と照合電極との間の電位差をモニターする必要がある。例えば、硝酸の際には、硝酸イオンと水素イオンを対象とすることが容易であるが、水素イオン濃度を電位差として検知する方法が一般的である。検液に弗酸が含まれているため、通常のガラスpH電極に変え、金属アンチモン電極、白金電極、金電極、炭素電極、金属水素化物電極、pH感応樹脂被覆電極、耐弗酸樹脂被覆ガラスpH電極などの使用が望ましい。安定性や入手の容易性から、金属アンチモン電極が最適である。照合電極としては、通常の銀塩化銀電極、飽和カロメル電極などいずれの種類のものを使用しても構わない。
【0027】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0028】
(実施例1)
表1に組成を示す金属イオンを含む硝酸あるいは弗酸と硝酸の酸混合液を用いて試験を実施した。これらは、弗酸と硝酸などの強酸を混合した溶液に、金属Fe粉と金属Ti粉を溶解し作製したものである。濃度は、金属イオン濃度はICP発光分析法、弗酸はアセチルアセトン鉄錯体退色吸光光度法(J.P.McKaveney:「Analytical Chemisty」、第40巻、第8号、p.1276〜1279、1968年刊)、硝酸は還元蒸留中和滴定法(JIS K 0102)で決定した。硝酸以外の強酸の個々の濃度は、分析で決定することは困難である。そこで、酸混合液をNaOHで中和滴定し、酸液中の全酸濃度(当量)を求め、これからHF、HNO3、Fe、Ti濃度(当量)を差し引いて求めた。尚、Feは、+3価の際にはFe(OH)3として、+2価の際にはFe(OH)2として中和滴定されるとして酸濃度を算出した。Tiの場合も同様で、+4価の際はTi(OH)4として、+3価の際はTi(OH)3として計算した。酸混合液中のFeイオンの価数は、1,10−フェナントロリン法(+2価Feに反応し発色)とチオシアン酸塩法(+3価Feに反応発色)で決定した。Tiに関しては、酸液の色から判断した。すなわち、紫色の際には+3価Ti、無色の際には+4価Tiと判断した。尚、表1において「なし」と記入した欄は、これらの試薬を添加しなかったことを意味している。また、分析に使用した試薬類(メタノール、エタノール、アセチルアセトンなど)は、市販特級純度のものであり、特に脱水などの特別な処理は行わずに入手ままの状態で使用した。
【0029】
【表1】
Figure 0004008309
【0030】
表2に、種々の手法で計測した硝酸などの強酸濃度を示す。電位差滴定の手順は以下の通りである。まずはじめに、表2に記載された量のアセチルアセトンと希釈有機溶媒100mLを混合し、溶液記号に示す酸あるいは酸混合液をデジタルピペットで採取し、200μLを添加混合した。そして、滴定液としては、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.1mol/L酢酸ナトリウムのエタノール溶液、0.1mol/L酢酸ナトリウムと酢酸のエタノール溶液を用い、第一当量点までに消費した滴定液の量から硝酸濃度を算出した。等量点の判定には、照合電極(銀/塩化銀電極、飽和KCl内部液)に対する金属アンチモン電極の電位を使用した。
【0031】
【表2】
Figure 0004008309
【0032】
表2の番号1−1は本発明の範囲外の例である。溶液Aは弗酸を含まない硝酸にFeが溶解している酸である。分析された硝酸濃度は、誤差+0.33mol/Lである。これに対して、番号1−2は、検液に弗酸が含まれる本発明の例である。この場合、硝酸の分析誤差は僅か+0.051mol/Lであり、弗酸を含む酸に対して本発明は格段に精度が高くなることが分かる。この2例のエタノールによる酸の希釈、アセチルアセトンの添加、水酸化ナトリウム滴下による電位差滴定は本発明の条件であり、違いは検液の組成のみである。これらより、検液に弗酸が含まれていることが本発明の必要条件であることが分かる。
【0033】
次いで、番号1−3と1−4は、Feを含まない酸液に対してアセチルアセトンを加えた場合と加えない場合の分析例である。いずれの場合も概ね良好な分析精度が得られており、Feを含まない酸の際にはアセチルアセトンを必要としないことが分かる。これらは、本発明の範囲外の例である。これに対して、番号1−5と1−2は、Feを含む場合の例である。この際には、アセチルアセトンを加えない番号1−5に対して、アセチルアセトンを添加した番号1−2の方が格段に精度が高い。このことより、酸溶液にFeが1.0g/L以上含まれている溶液の際には、アセチルアセトンを加えることが必要要件であることが分かる。
【0034】
以上より、(1)弗酸を含まない酸液では、たとえFeが存在してもアセチルアセトン添加は効果がないばかりか誤差を拡大してしまうこと、(2)弗酸を含む酸では、アセチルアセトン添加によりFeによる分析誤差を解消できる、ことが分かる。これらのことは、本発明において、アセチルアセトンが従来と同じFe3+のマスキング剤としてではなく、弗酸を含む酸液中においてFeの妨害を阻止していることが理解される。
【0035】
次いで、番号1−6〜9は、アセチルアセトンの添加量の効果を示した例である。番号1−6は検液中のFeモル量に対するアセチルアセトンのモル量が1.5倍、以下同様に、番号1−7が15倍、番号1−8が150倍、番号1−9が1500倍の添加量である。番号1−7と番号1−8の間での、分析精度の向上が見られ、過度の添加は効果は飽和する傾向がある。これらのことより、酸分析精度を高める必要がある場合は、有機溶媒に溶解する検液中の全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを希釈有機溶媒に混合することが好適であること判断される。
【0036】
番号1−10〜18は希釈溶媒の影響を調査した例である。番号1−10は本発明の範囲外である水で酸混合液を希釈して滴定を行ったものである。精度がかなり悪いことが分かる。これに対して、有機溶媒を使用した番号1−11〜18では、いずれも±0.10mol/L以内である。さらに、誘電率21.0以上30.0以下の番号1−2〜5のものは精度が比較的良好であり、±0.05mol/L以内の誤差である。さらに、エタノールを使用した例が最も誤差が少なく、±0.02mol/L以内となっている。以上より、弗酸を含む酸混合液の硝酸を分析する際に、検液である酸混合液をアセチルアセトンを含む有機溶媒で希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下し電位差滴定を行うことが必要要件であることが分かる。分析精度を高めたい際には、必要に応じ、比誘電率が21.0以上30.0以下の物質を希釈溶媒として使用すること、さらに、エタノールを希釈有機溶媒とすることが望ましいことが分かる。
【0037】
次に、番号1−19〜21は滴定標準液の効果を示したものである。Fe濃度の高い酸Eを検液としての例である。Fe濃度が高くなるとエタノール希釈、アセチルアセトン添加であっても高い精度を確保することが難しくなる。±0.05mol/L以内の精度にするには、酢酸ナトリウムのエタノール希釈液の使用が、さらに±0.02mol/L以内の精度を確保するには、酢酸ナトリウムと酢酸のエタノール希釈溶液の使用が望ましいことが分かる。
【0038】
表3に、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸として、硝酸以外の例を示す。番号2−1〜2−3は硫酸の例である。番号2−1はアセチルアセトンは添加したものの水で酸混合液を希釈したもの、番号2−2はエタノールで酸混合液を希釈してはいるがアセチルアセトンを加えない例、番号2−3は希釈溶媒をエタノールとして、しかもアセチルアセトンの添加を行った例である。最後の有機溶媒(エタノール)希釈でアセチルアセトン添加の例が最も分析精度が高いことが分かる。同様に、番号2−4〜6は塩酸、番号2−7〜9はリン酸の例であるが、先の例と同じく、希釈溶媒をエタノールとして、しかもアセチルアセトンの添加を行った場合において、高い精度が得られることが分かる。
【0039】
【表3】
Figure 0004008309
【0040】
これらより、本発明の酸分析方法は、弗酸と硝酸の混合液のみならず、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸と弗酸との酸混合液における強酸分の分析法として優れていることが分かる。
【0041】
(実施例2)
次に、Tiを含む際の分析方法に関する実施例について述べる。表4は、表1に示した酸液I〜Kを分析した結果である。分析手順としては、はじめに希釈溶媒であるエタノールあるいはメタノールを樹脂製容器に100mL採取する。ここに必要に応じて、水を添加した。水としてはイオン交換水を使用した。そして、作製した希釈溶媒液に、検液である酸混合液を200μL加えた。過酸化水素と検液を混合する際には、希釈溶媒液に加える前に事前に混合した。この際も検液の量は200μLとし、ここに所定量の過酸化水素を加え混合した後に、さらに希釈溶媒を加えた。使用した過酸化水素はJIS K 8230に規定されたもので、30.0〜35.5%の濃度のものを使用した。表4に示した過酸化水素添加量とは、この試薬状態のものの添加量(事前混合量)である。そして、滴定液としては、0.1mol/L酢酸ナトリウムと酢酸のエタノール溶液を用い、第一当量点までに消費した滴定液の量から硝酸濃度を算出した。当量点の判定には、照合電極(銀/塩化銀電極、飽和KCl内部液)に対する金属アンチモン電極の電位を使用した。
【0042】
【表4】
Figure 0004008309
【0043】
番号3−1は、検液をエタノールで検液を希釈した例、番号3−2と3−3は、水を添加剤として加えた例である。番号3−2は、水を添加していない番号3−1に対して精度が向上していることが分かるが、番号3−3は精度が低下している。すなわち、少量の水添加は、Tiの分析誤差を軽減する作用があるものの過度の水添加は、検液を有機溶媒で希釈することの効果を失わせるとともにTiによる妨害反応を助長する作用があることが分かる。分析精度の向上が見られた番号3−2は20%、精度が低下した番号2−3は50%の水添加に相当していることから、水添加量の上限としては、希釈有機溶媒の量の30%以下の容量と判断される。
【0044】
番号3−4、3−5は、先の検液IよりもTiを多く含む検液Jでの例である。このTiを多く含む酸液では、検液をメタノールで希釈する手法の方が、水添加エタノール希釈よりも精度が高いことが分かる。このように、メタノールはTiの分析誤差を低減する作用を有している。
【0045】
番号3−6〜9は、先の検液JよりもさらにTiを多く含む検液Kでの例である。このような多量のTiを含む場合、検液をメタノールで希釈することに加え、検液と過酸化水素を事前混合する手法の適用が望ましいことが分かる。例えば、過酸化水素の添加量が少ない番号3−7は無添加の番号3−6に比較して顕著に精度が向上するほどではないが、添加量の多い番号3−8と3−9では格段に精度が向上している。使用した過酸化水素水の濃度が30.0%〜35.5%の範囲であるため、最低値の30.0%として計算すると、200μLの検液に含まれるTiモル数に対する過酸化水素のモル数は、番号3−7は6.0倍、番号3−8は15.0倍、番号3−9は30.1倍に相当する。これらのことから、酸分析精度を高める必要がある場合は、有機溶媒に溶解する検液中の全Tiモル数の10倍以上のモル数のアセチルアセトンを希釈有機溶媒に混合することが好適であることが分かる。
【0046】
次いで、番号3−10〜3−21に、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸として、硝酸以外の例を示す。番号3−10〜3−13は硫酸の例である。番号3−10はエタノールで酸混合液を希釈したものの水を添加していない例、番号3−11はエタノールで酸混合液を希釈して、しかも水を添加した例、番号3−12は希釈溶媒をメタノールとした例、番号3−13は酸混合液を過酸化水素と事前混合した後にメタノールで希釈した例である。硫酸と弗酸との酸混合液においても、エタノール希釈だけではTiの妨害反応を抑制することはできないこと、Tiの妨害反応を抑制するには、メタノールでの希釈、あるいは、水を含むエタノールでの希釈が必要であることが分かる。さらに高い分析精度を必要とする時は、過酸化水素と酸混合液を事前混合した上で、メタノールで希釈することが好適であることが分かる。
【0047】
同様に、番号3−14〜7は塩酸、番号3−18〜21はリン酸の例であるが、先の例と同じく、エタノール希釈だけではTiの妨害反応を抑制することはできないこと、Tiの妨害反応を抑制するには、メタノールでの希釈、あるいは、水を含むエタノールでの希釈が必要であることが分かる。さらに高い分析精度を必要とする時は、過酸化水素と酸混合液を事前混合した上で、メタノールで希釈することが好適であることが分かる。
【0048】
これらより、本発明の酸分析方法は、弗酸と硝酸の混合液のみならず、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸と弗酸との酸混合液における強酸分の分析法として優れていることが分かる。
【0049】
(実施例3)
FeとTiを共に含む酸混合液の分析方法に関する実施例について述べる。表5は、表1に示した酸液O〜Qを分析した結果である。分析手順としては、はじめに希釈溶媒であるエタノールあるいはメタノールを樹脂製容器に100mL採取する。ここに必要に応じて、アセチルアセトンあるいは水を添加した。水としてはイオン交換水を使用した。そして、作製した希釈溶媒液に、検液である酸混合液を200μL加えた。過酸化水素と検液を混合する際には、希釈溶媒液に加える前に事前に混合した。この際も検液の量は200μLとし、ここに所定量の過酸化水素を加え混合した後に、さらに希釈溶媒を加えた。使用した過酸化水素はJIS K 8230に規定されたもので、30.0〜35.5%の濃度のものを使用した。表4に示した過酸化水素添加量とは、この試薬状態のものの添加量(事前混合量)である。そして、滴定液としては、0.1mol/L酢酸ナトリウムと酢酸のエタノール溶液を用い、第一当量点までに消費した滴定液の量から硝酸濃度を算出した。当量点の判定には、照合電極(銀/塩化銀電極、飽和KCl内部液)に対する金属アンチモン電極の電位を使用した。
【0050】
【表5】
Figure 0004008309
【0051】
番号4−1〜3は、アセチルアセトンを添加剤として5mL加えた際の水添加の影響を調べた例である。水を添加していない番号4−1に対して、水を20mL加えた番号4−2は精度が高いが、50mL添加した番号4−3では精度が低下している。すなわち、少量の水添加は、FeとTiの分析誤差を軽減する作用があるものの過度の水添加は、検液を有機溶媒で希釈することの効果を失わせるとともに、FeとTiによる妨害反応を助長する作用があることが分かる。分析精度の向上が見られた番号4−2は20%、精度が低下した番号4−3は50%の水添加に相当していることから、水添加量の上限としては、希釈有機溶媒の量の30%以下の容量と判断される。
【0052】
次に、番号4−4は、エタノールで酸混合液を希釈し水を20mL添加した際のアセチルアセトン添加の効果を調べた結果である。アセチルアセトンを無添加にすると、たとえ本発明の範囲の量の水を添加しても分析精度は低い。また、番号4−5と4−6は酸混合液をメタノールで希釈した際のアセチルアセトン添加有無の影響を調査した例である。水含有エタノールでの希釈の場合と同じく、アセチルアセトンを加えることで精度が格段に向上している。
【0053】
以上より、FeとTiを共に含有する酸混合液の際には、検液である酸混合液をアセチルアセトンを含むメタノールあるいはアセチルアセトンと5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈したのち、これに塩基を滴下し電位差滴定を行うことが必要であることが分かった。
【0054】
番号4−4〜4−10は、アセチルアセトンの添加量の影響を調査したものである。アセチルアセトンの添加量が増すほど分析精度が高くなることが分かる。番号4−7は検液中のFeモル量に対するアセチルアセトンのモル量が1.5倍、以下同様に、番号4−8が15倍、番号4−9が150倍、番号4−10が1500倍の添加量である。番号4−8と番号4−9の間での、分析精度の向上が見られ、過度の添加は効果は飽和する傾向がある。これらのことより、酸分析精度を高める必要がある場合は、有機溶媒に溶解する検液中の全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを希釈有機溶媒に混合することが好適であると判断される。
【0055】
番号4−11〜4−14は、先の検液PよりもさらにTiを多く含む検液Qでの例である。このような多量のTiを含む場合、検液をメタノールで希釈することに加え、検液と過酸化水素を事前混合する手法の適用が望ましいことが分かる。例えば、添加量が少ない番号4−12は無添加の番号4−11に比較して顕著に精度が向上するほどではないが、添加量の多い番号4−13と4−14では格段に精度が向上している。使用した過酸化水素水の濃度が30.0%〜35.5%の範囲であるため、最低値の30.0%として計算すると、200μLの検液に含まれるTiモル数に対する過酸化水素のモル数は、番号4−12は6.0倍、番号4−13は15.0倍、番号4−14は30.1倍に相当する。これらのことから、酸分析精度を高める必要がある場合は、有機溶媒に溶解する検液中の全Tiモル数の10倍以上のモル数のアセチルアセトンを希釈有機溶媒に混合することが好適であることが分かる。
【0056】
次いで、表6は、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸として、硝酸以外の例を示す。番号5−1〜5−4は硫酸の例である。番号5−1はエタノールで酸混合液を希釈したものの水もアセチルアセトンも添加していない例、番号5−2はエタノールで酸混合液を希釈して、しかも水とアセチルアセトンを本発明の条件内で添加した例、番号5−3は希釈溶媒をメタノールとしアセチルアセトンを添加した例、番号5−4は酸混合液を過酸化水素と事前混合した後にメタノールで希釈しアセチルアセトンを添加した例である。以上より、検液である酸混合液をアセチルアセトンを含むメタノールあるいはアセチルアセトンと5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈したのち、これに塩基を滴下し電位差滴定を行う必要があることが分かる。さらに高い分析精度を必要とする時は、過酸化水素と酸混合液を事前混合した上で、メタノールで希釈することが好適であることが分かる。
【0057】
【表6】
Figure 0004008309
【0058】
同様に、番号5−5〜8は塩酸、番号5−9〜12はリン酸の例であるが、先の例と同じく、エタノール希釈だけではTiの妨害反応を抑制することはできないこと、Tiの妨害反応を抑制するには、メタノールでの希釈、あるいは、水を含むエタノールでの希釈が必要であることが分かる。さらに高い分析精度を必要とする時は、過酸化水素と酸混合液を事前混合した上で、メタノールで希釈することが好適であることが分かる。
【0059】
これらより、本発明の酸分析方法は、弗酸と硝酸の混合液のみならず、弗酸よりも大きな酸解離定数を有する強酸と弗酸との酸混合液における強酸分の分析法として優れていることが分かる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、金属材料の酸洗デスケール、表面付着物や反応生成物除去、精密部品や電子・電気材料の洗浄、弗素化合物を利用した表面処理、酸廃液処理、フッ化物含有鉱物などの酸処理、無機および有機弗素化合物合成などにおいて使用される弗酸とこれよりも大きな酸解離定数を有する強酸との酸混合液中の強酸成分の濃度を容易かつ正確に分析することが可能となる。

Claims (11)

  1. 金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Feを全Fe濃度にして1g/L以上を含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液とアセチルアセトンと希釈用有機溶媒の混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
  2. 請求項1記載の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
  3. 請求項1あるいは2記載の分析方法において、希釈用有機溶媒として比誘電率が21.0以上30.0以下の液体を使用することを特徴とする酸濃度分析方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された分析方法において、希釈用有機溶媒としてエタノールを使用することを特徴とする酸濃度分析方法。
  5. 金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Tiを全Ti濃度にして1g/L以上含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液をメタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
  6. 請求項5記載の分析方法であって、検液である酸混合液に過酸化水素を加え混合した後に、メタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下する電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
  7. 請求項6記載の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Tiモル数の10倍以上のモル数の過酸化水素を混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
  8. 金属材料の酸洗デスケールや表面付着物除去などに使用され、Feを全Fe濃度にして1g/L以上、Tiを全Ti濃度にして1g/L以上含み、弱酸である弗酸と、これよりも解離定数の大きな強酸を含む酸混合液中の強酸濃度を測定する手法であって、検液である酸混合液とアセチルアセトンとメタノールあるいは5%以上30%以下の容量の水分を含むエタノールで希釈した混合溶液を作製し、これに塩基を滴下し電位差滴定を行うことを特徴とする酸濃度分析方法。
  9. 請求項8記載の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Feモル数の50倍以上のモル数のアセチルアセトンを混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
  10. 請求項8あるいは9記載の分析方法において、酸混合液から持ち込まれる全Tiモル数の10倍以上のモル数の過酸化水素を混合することを特徴とする酸濃度分析方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載された分析方法において、滴下する塩基として、酢酸ナトリウムの有機溶媒溶液あるいは酢酸ナトリムと酢酸の混合有機溶媒溶液を使用することを特徴とする酸濃度分析法。
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