JP4008213B2 - 吸収性製品の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
この発明は、授乳期の母親が、ブラジャー等の下着と乳房との間に介装するための母乳パッドや生理用ナプキン等の吸収性製品の改良に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、吸収性製品,例えば、母乳パッド1は、図16に示すように、側面から見るとドーム状の形状とされている。
このような母乳パッド1は、使用者の乳房の前面(図示せず)にかぶせるように密着させて使用できるように、母乳パッド1をこのような形状に製造するために、従来は、図17に示すように加工されていた。
【0004】
図17において、母乳パッド1の本体となる複数の材料を積層して形成した後に、お碗状の内面を有する雌型5上に配置する。次いで、図示するようなドーム状の凸面をもつ雄型6を下降させて雄型6及び/または雌型5にて加熱しながら押圧する。
これにより、加熱された母乳パッド1の本体は図18のようなドーム状に形成される。
【0005】
したがって、製造工程において、熱を加えてドーム状に変形する必要があるために、例えば上述の母乳パッド1の防水材は、ポリエチレンラミネート紙等の熱変形する材料を用いていた。
このため、製品である母乳パッド1は、全体として熱変形後の比較的硬い質感を持ってしまい、使用者の肌に直接接触される製品としては、肌に感じる感触が必ずしもよいものではなかった。
【0006】
また、母乳パッド1の本体は、上述のように熱変形されてドーム形状とされても、このような加工は形保持性が悪く、使用中に平らになってしまい、使用者の乳房の前面の形状と一致しなくなってフィット性が悪くなり、位置ずれを生じる。これにより、母乳が吸収されないで漏れてしまい着衣を汚してしまう。
そこで、ドーム形状もしくは、半球状の形態を得るために、上述のような熱変形工程を行わないで、例えば、ほぼ円形の本体の両側の側縁の一部に伸縮部材を収容し、その収縮力により、ドーム形状を得るようにした母乳パッドも提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造において、装着後の型保持性を考慮すると、上述した伸縮部材の収縮力を強く設定する必要がある。ところが、母乳パッドの本体内で、強い収縮力を発揮する伸縮部材を本体に対して確実に固定させるようにしないと、折角の収縮力が、本体をドーム形状とするために活かされないという問題がある。
つまり、本体内に仕込んだ伸縮部材が、本体を構成する素材に確実に固定されないと、素材を所望の方向に引っ張る力を発揮することができず、所期のドーム形状を得られなかったり、型保持性が十分でない製品となってしまう。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、本体の両側縁内に収容する伸縮部材を、本体内部で、確実に固定するための構造を備えた吸収性製品を製造する方法および製造装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明にあっては、液体を吸収する吸収体と、この吸収体より外側に配置された防水材と、前記吸収体の前記防水材が設けられる面と反対の面に配置される液体透過性の表面材とを積層して接着することにより本体を形成した吸収性製品の製造方法であって、搬送手段の搬送方向に沿って送られる、帯状に連続した前記表面材の材料の上に、前記吸収体が製品単位の形状とされて順次載置されて搬送される工程と、前記表面材の幅方向側縁を含む領域に、後段で配置される断面が平たい形状でなる伸縮部材の幅の2倍よりも広い幅で、製品単位に対応して、間欠的に接着剤が塗布される塗布工程と、次いで、前記搬送方向に延びるように、前記伸縮部材を所定のテンションで伸長しながら、前記接着剤を適用した領域の内側に配置する伸縮部材の配置工程と、さらに、前記表面材の幅方向の両側縁部を、前記伸縮部材を内側にして、それぞれ内側に折り返して、前記接着剤の塗布領域により前記伸縮部材の全周を包囲させる折り返し工程とを含む、吸収性製品の製造方法により、達成される。
【0010】
請求項1の構成によれば、伸縮部材の固定に先立って、前記表面材の幅方向側縁を含む領域に、接着剤が塗布される。この接着剤が塗布される領域の大きさは、後段で配置される断面が平たい形状でなる伸縮部材の幅の2倍よりも広い幅とされている。このとき、接着剤は前記吸収体の側縁部を含む領域に塗布されてもよい。
そして、所定のテンションで伸長された伸縮部材が前記接着剤が塗布された領域に配置される。この配置状態で、前記表面材の幅方向の両側縁部が、それぞれ内側に折り込まれる。これにより、この折り返し部の内側で、前記伸縮部材は、その全面が、前記表面材に対して接着剤により固定されており、さらに、前記伸縮部材よりも内側の領域において、前記表面材に適用された接着剤どうしが重ねられる。このため、伸縮部材は、吸収性製品の本体に対して、強固に接着固定されることなり、伸縮部材が強い収縮力を発揮しても、本体から外れることがなく、本体の形状を適切なドーム形状として、安定的に型保持することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記伸縮部材が、ほぼ180パーセントないし220パーセントの長さとなるように伸長されることを特徴とする。
請求項2の構成によれば、前記伸縮部材が、ほぼ180ないし200パーセントの長さとなるように伸長されることにより、伸縮部材がより強い収縮力を発揮することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかの構成において、前記伸縮部材の配置工程の前に前記塗布された接着剤に、温風を吹きつけることを特徴とする。
請求項3の構成によれば、前記伸縮部材の配置工程の前に前記塗布された接着剤に、温風を吹きつけることによって、特に、熱可塑性接着剤において、接着剤から熱が失われることがなく、十分な接着力を維持することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成において、前記接着剤の塗布工程の前に、少なくとも接着剤が塗布される領域に、温風を吹きつけることを特徴とする。
請求項4の構成によれば、接着剤が塗布される領域に温風を吹きつけることにより、この領域に予め熱を与えることができる。これにより、塗布された接着剤に熱を供給できるので、特に、熱可塑性接着剤において、接着剤が熱を失うことがなく、十分な接着力を維持することができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成において、前記折り返し工程の後で、少なくとも前記折り返し工程による折り返し部を、加圧する工程を有することを特徴とする。
請求項5の構成によれば、折り返し部を加圧することにより、接着した箇所を圧着し、確実に接着させることができる。これにより、伸縮部材が強固に固定される。
【0015】
上記目的は、請求項6の発明にあっては、液体を吸収する吸収体と、この吸収体より外側に配置された防水材と、前記吸収体の前記防水材が設けられる面と反対の面に配置される液体透過性の表面材とを積層して接着することにより本体を形成した吸収性製品の製造装置であって、帯状に連続した前記表面材の材料の上に、前記吸収体が製品単位の形状として順次載置し搬送する手段と、前記表面材の幅方向側縁と前記吸収体の側縁部を含むように、後段で配置される断面が平たい形状でなる伸縮部材の幅の2倍よりも広い幅で、製品単位に対応して、間欠的に接着剤を塗布する手段と、前記搬送方向に延びるように、前記伸縮部材を所定のテンションで伸長しながら、前記接着剤を適用した領域の内側に配置する手段と、前記表面材の幅方向の両側縁部を、前記伸縮部材を内側にして、それぞれ内側に折り返して、前記接着剤の塗布領域により前記伸縮部材の全周を包囲させる折り返す手段とを備える、吸収性製品の製造装置により、達成される。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6の構成において、前記伸縮部材の配置手段が、前記伸縮部材を、ほぼ180パーセントないし200パーセントの長さとなるように伸長する構成としたことを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項6または7のいずれかの構成において、前記伸縮部材の配置工程の前に前記塗布された接着剤に、温風を吹きつける手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項6ないし8のいずれかの構成において、構成において、前記接着剤の塗布工程の前に、少なくとも接着剤が塗布される領域に、温風を吹きつける手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項6ないし9のいずれかの構成において、前記折り返し工程の後で、少なくとも前記折り返し工程による折り返し部を、加圧する手段を備えることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態による吸収性製品としての母乳パッドを内側から見た概略斜視図であり、図2は、母乳パッドの内側を上にした平面図、図3は図2のD−D線断面図、図4は図2のE−E線断面図である。
これらの図を参照して、先ず母乳パッドの構造を説明する。
【0024】
図1に示す母乳パッド10の外側(図1の下面側)には、防水材11が配置されており、装着した時に使用者の肌に接する内面側(図1において上面側)には、表面材13が配置されている。
図3及び図4に示されているように、表面材13と防水材11の間には、吸収体12が配置され、吸収体12と表面材13の間には、クッション材14が配置されている。
母乳パッド10の本体18の形状を構成する防水材11と吸収体13の外形は、ほぼ円形であり、側面部は直線状になっている。
【0025】
上記防水材11は、バックシートであり、接着部11aの箇所に接着剤を適用することにより、図3の上側の部材に対して固定されている。防水材11は、液体を通さないが、好ましくは水蒸気を透過させて蒸れを防止でき、ある程度可撓性を備えている材料が選択されることが好ましい。また、防水材11は、従来用いられていた熱変形可能な防水材と比べると柔軟な素材で形成されている。このような材料としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリエチレンラミネート不織布やメルトブロー製法の不織布等が用いられる。
【0026】
上記表面材13は、直接使用者の肌と接触する部材であり、母乳等の水分を良く透過し、肌ざわりのよい素材が選択される。つまり、表面材13は、直接使用者の肌に触れるため、肌を必要以上に損なうことなく、肌触りのよい点等を考慮して、これに適した材料が選択される。好ましくはドライメッシュシート(ポリエチレン等により形成した網目状シート)や、不織布が用いられる。表面材13の特に側縁部13a,13aは、側縁部全体が延長されて、反対側(バックシート側)まで回り込むようにして、後述する吸収体12や伸縮部材17を包みこむように配置されている。
【0027】
これにより、この伸縮部材17がその長さ方向に伸縮することにより図1に示すように皺を生じたり、その側縁の端面が内向きになって、この部分が使用者の肌に接触しても、その接触箇所は不織布等の柔らかい素材で覆われているから、不快な感触や刺激をあたえないようになっている。
【0028】
また、これに関連して、図3と図4を比較すると理解されるように、本体18の中央部(図2のD−D線付近)の両側縁部は、防水材11が、折り返された表面材13の側縁部13a,13aと接着されない箇所31,31が設けられている。これにより、後述する伸縮部材17,17が作用した時に、この折り返された表面材13の側縁部13a,13aが使用者の肌に向かう方向に引っ張られた時に、防水材11の側縁部がこれに追従して、使用者の肌に接触しないようになっている。このため、表面材13と比べて固い材質でなる防水材11が肌に接触して、不快な感触を与えることを防止できるようになっている。
【0029】
吸収体12は、液体吸収性に優れた素材が選択され、例えば、パルプの繊維体や積層体,シート体等が用いられる。さらに吸収体12には、好ましくは、これらパルプ素材等に液体吸収性に優れ、液体をそのまま,あるいは半固化もしくは固化して保持する機能を備える材質の粒状物であるポリマーが混入使用されている。
このような材料としては、例えば吸水性の重合体が適しており、例えばポリアクリル酸塩系共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体、カルボキシメチルセルロース変成物等が挙げられる。
そして、吸収体12は、図3及び図4に示すように、ティシュ15に包まれている。これにより、上記粒状のポリマー等が漏れでないようになっている。
このティシュ15は、吸収体12を包んだ端部15aが、図3で示されているように本体18の中心とずれた位置で固定されている。
【0030】
吸収体12と表面材13との間に配置されるクッション材14は、例えば所定の厚さの親水性不織布により形成されており、これによって、素材に柔軟な膨らみをもたせるようになっている。
この実施形態では、クッション材14は、本体18の外周よりも小さく、中心よりにのみ設けられている。
【0031】
また、表面材13には、図1及び図2に示すように、使用者の乳首が当接される領域Cを挟んで、その両側に、伸縮部材17,17が配置された方向である矢印A方向に沿って、凹状の溝16,16が形成されている。
この凹状の溝16,16は、図3及び図4に示されているように、エンボス処理等の手法を用いて、表面材13の主面を所定の圧力にて押圧し、好ましくは、クッション材14までくいこませるようにして形成されている。これにより、表面材13と、その下に配置されたクッション材14がこの溝により固着されるので、本体18を構成する部材である表面材16,吸収体12,クッション材14が互いに位置ずれを生じにくい。
【0032】
また、各凹状溝16,16は、図3及び図4に示されているように、この箇所が曲折部となって、本体18の周縁部を矢印Bの方向に折り曲げるように作用する。これにより、後述する伸縮部材17の作用とあいまって、全体をより立体的なドーム形状に形成することができるようになっている。
これにより、本体18の中央部である領域C全体が凹所となって、その領域Cに対応した空間に、着用者の乳首(後述)を適切に収容し、不必要な圧迫を与えることがない。しかも、この領域Cのさらに中心付近では、クッション材14の作用により、厚み方向にわずかに盛り上がることによって、当該箇所は、乳首に対して柔軟にフィットすることになる。
尚、図3及び図4の断面図では、内部構造を説明する便宜のために、母乳パッドの厚みを実際よりもはるかに厚く示している。
【0033】
さらに、母乳パッド10では、本体18の両側縁部に、伸縮部材17,17が設けられている。この伸縮部材17,17は、この実施形態では、製品の上下方向(図1または図2)に沿って互いにほぼ平行に配置されており、所定の長さを有している。この場合、伸縮部材17,17は、図3から明らかなように、断面が平たい形状となるように、言い換えれば、伸縮部材17,17は、その断面において、上面と下面に所定の面積を備えた、例えば、細い帯状の部材が選択されて、これらの面に、後述する製造工程で接着剤が付着して、強固に固定されるようになっている。
【0034】
すなわち、伸縮部材17,17は、本実施形態では、特に、強い収縮力で本体18の接着された材料を引っ張ることで、本体18のドーム形状を安定的に型保持するようにされている。
この伸縮部材17,17は、図3に示されているように、表面材13の側縁を折り返した折り返し部13b,13bの内側で、このましくはティッシュ15を介して、接着部56の箇所にて吸収体12に固定されており、さらに、その反対面を表面材13の側縁部13aにて包みこまれて、接着部56の箇所にて固定されている。そして、各接着部56,56は、伸縮部材17,17の全面を包囲して、かつ、伸縮部材17,17よりも内側の領域において、表面材13に適用された接着剤どうしが重ねられた、接着重合部56b,56bを有するようにされている。尚、後述する接着工程において、表面材13に適用された接着剤どうしが重ねられて、接着重合部56b,56bが設けられることになるが、接着剤の硬化後は、この接着重合部56b,56bは一体となって、伸縮部材17の周囲の全周をとりまく状態で接着剤が硬化された状態となる。
【0035】
これにより、伸縮部材17,17は、その全面が接着剤で覆われることで、極めて強固に接着固定されるとともに、折り返し部13b,13bも、上記接着部56,56が接着重合部56b,56bを有することで、折り返し状態を強固に固定されるので、伸縮部材17,17は、折り返し部13b,13bの内側で、外れることがないように、しっかりと固定される。これにより、伸縮部材17,17が強い収縮力を発揮しても、接着対象から外れることがないから、その強い収縮力を本体18に効果的に及ぼして、適切なドーム形状をつくり、かつ型保持できる。
また、伸縮部材17の伸縮作用を受ける部材は、柔軟な表面材13や吸収体12となり、伸縮部材17は防水材11にほとんど固定されていないことから防水材11の影響を受けにくい。
【0036】
このため、伸縮部材17の作用によって、表面材13よりも固い感触の防水材11が、伸縮部材17の配置箇所に対応した本体18の周縁部18a,18aにて、皺を形成することがなく、主に皺となるのは、防水材11以外の部材,特に不織布等でなる表面材13となる。
これにより、後述するように、母乳パッド10を着用した状態で、着用者の乳房付近の敏感な肌に固い材質でなるシワ部分が接触して、不快な感触を与えることがないようになっている。
また、これとほぼ同等の作用を得るためには、表面材の側縁部13aは、吸収体12及び伸縮部材17の双方ではなく、吸収体12だけを包み込むようにしてもよい。この場合は、伸縮部材17を周縁よりやや内側に配置すれば、表面材13及び吸収体12が使用者の肌と防水材11の皺との間に介在して、直接接触しにくくすることができる。
【0037】
ここで、上記伸縮部材17は、長さ方向に伸縮する材料にて形成され、本体18のこの伸縮部材が配置された周縁部を、本体材料の長さより短くなるように引っ張る作用があるものであれば、あらゆる形態のものを採用できる。
この実施形態では、伸縮部材17,17は、例えば一方向に長い天然ゴムや、伸縮フィルム、オペロンテープ等により形成される。
この伸縮部材17,17の作用により、ほぼ円形の本体18は、その周縁部の一部が弾性的に引っ張られることによって円周全体の距離が短くなる。このため、本体18の中心部は、一方に凸になるように変形し、これによりドーム形状もしくはお碗形状となる。
ここで、上記伸縮部材17,17は、このましくは表面材13に関して、クッション材14よりも奥側(図3において下側)に位置するように配置するのが好ましい。なぜならば、たとえクッション材14と伸縮部材17との間に表面材13を介在させたとしても、伸縮部材17,17が使用者の肌に近接して配置されると、肌触りを損ない、装着感が悪くなるからである。
【0038】
また、伸縮部材17は、表面材13に近過ぎると、その弾性収縮力により周縁部を適切に短縮する作用が発揮できない場合があり、予期した機能を得られない場合がある。したがって、好ましくは、上述したように、伸縮部材17,17は、吸収体12に固定されることによって、本体18の周縁に配置されるようにする。
また、吸収体12を包むティシュ15は、その合わせ目15aが上述のように吸収体12の中央からではなく、周縁に近い箇所,例えば図示したような箇所にて重ねられて固定されるようにすると、着用者の乳首に当たらない箇所となることによって、敏感な乳首に不快な感触をあたえない。
【0039】
このような伸縮部材17の伸縮作用が本体18の周縁部に作用し、かつ上述した凹状溝16の箇所で曲折することによって、本体18は、立体的なドーム形状となって、その中心付近の領域C部分が突出することになる。
この場合、凹状溝16,16は、このましくは曲線状に形成されると、本体18をよりきれいなドーム状とすることができる。
例えば図2に示されているように、各凹状溝16の中央部16a,16aが 本体18の中心部に向かって凸になるような曲線状に設けることにより、形成されるドーム形状は、領域C側が中心付近に向かって断面積が減少するほぼ理想的な円錐状のドーム形状を得ることができる。
【0040】
また、各凹状溝16,16の曲線形状を、図2とは逆に、中央部16a,16aが 本体18の周縁側に向かって凸になるような曲線状に設けることもできる。この場合は、凹状溝16である曲折部によって形成されるドーム形状では、その内側となる領域Cの面積(容積)を比較的大きくした状態のドーム形状を得ることができる。
【0041】
さらに、本実施形態の母乳パッド10は、図2に示すように、上下に対称な形状となっており、本体18の上端及び下端付近には、上記伸縮部材17が配置されていない。 つまり、伸縮部材17は、本体18の両側縁に沿って配置され、その上下の端部は、図3と図4とを比較して理解されるように、吸収体12の設けられている領域からやや露出している。
ここで、本実施形態の母乳パッド10では、その四隅の構成は共通であるから、これらを代表して、図2の符号Fで表した箇所の周辺を図5に拡大して示し、その構造を説明する。
【0042】
この母乳パッド10は、全体としてほぼ円形の本体18を有し、その両側縁部に、伸縮部材17を設けたことにより、両側縁部は直線状となっている。このため、図5に示されているように、その上端付近では、円形の外形部と直線状の側縁部が交わる箇所には、角部32が形成されている。
【0043】
図5に示した領域では、ティシュ15を含む吸収体12は、表面材13及び防水材11の外形よりも小さく形成されている。つまり、表面材13と防水材11は同じ大きさと外形を備えており、それぞれ表裏にはりあわされている。
ティシュ15を含む吸収体12の上端15bは、表面材13及び防水材11の上端とほぼ同じ曲率の曲線となっている。そして、この上端15bは、側縁近傍で、これと逆の方向へ湾曲したより小さい曲率の箇所15cに連続し、ほぼ水平な側縁上端部15dに続いている。
【0044】
この側縁上端部15dから、伸縮部材17の端部のひとつである上端17aが突出している。つまり、伸縮部材17の上端17aは、ティシュ15を含む吸収体12の側縁上端15dから露出しているが、表面材13と防水材11の間に配置されていて外面には露出していない。そして、この伸縮部材17の上端17aはその根元の部分を除いて、後述する接着工程を行うことによって、表面材13及び防水材11を含む母乳パッドの本体18のいずれの構成部材とも接着等により固定されていないフリーの箇所となっている。この部分が伸縮部材17の余地部分17aである。
このように構成することにより、本体18の大きさを必要以上に大きくすることなく、以下の作用を発揮する余地部分を構成できるようになっている。
【0045】
これにより、以下のような作用が発揮される。
すなわち、比較のために示す図6を参照して理解されるように、伸縮部材17の上端部17aが本体18の一部である表面材13及び防水材11に対して、接着等の手段により固定されていると、図6に示すように、伸縮部材17がその機能に基づいて、矢印Gに示す方向に収縮する。これにより、伸縮部材17の上端部17aは、本体18全体をドーム形状にする作用を発揮すると同時に、はりあわされた表面材13及び防水材11の側縁上端を矢印G方向に引っ張ることになる。
このため、図6に示されているように、表面材13及び防水材11の角部32は、内側に向くこととなり、表面材13と比べると固い材質でなる防水材11の角部32が使用者の肌に向いてしまう。このため、この角部32が使用者の肌に当たって、不快な刺激を与えることになる。
【0046】
ところが、図5に示すように、伸縮部材17の上端17aが表面材13及び防水材11のはりあわされた箇所と固定されていない余地部分を有していると、防水材11に上述のような作用を及ぼさないで、その角部32が内側に向かなくなり、使用者に不快な刺激を与える事態を有効に回避することができるのである。これにより、伸縮部材17は、母乳パッドの本体18を適切にドーム形状としながら、使用者に不快な刺激を与えない。
尚、伸縮部材17は、このような機能を発揮するためには、同様の構成が各伸縮部材17の上下の端部に採用される必要があることは言うまでもない。
また、このような余地部分17aは、製造工程において、本体18を構成するための一方向に長い本体材料に対して、長く延びる伸縮部材を配置し、ティシュ15を含む吸収体12の箇所にだけほぼ限定して、この伸縮部材17を固定することにより生じるものである。このことから、伸縮部材17の端部17aは、余分であり、その本来の機能に寄与しない箇所として、この部分を切除してもよい。この場合は、端部17aが存在しない箇所,すなわち、本体18の四隅で、伸縮部材17が存在しない箇所が余地部分となる。
【0047】
ここで、本体18の大きさを、図2の場合よりも大きくすることが可能であれば、表面材13及び防水材11でなる領域を図2の場合よりも大きくし、四隅の箇所は、特にティシュ15を含む吸収体12を上述のような曲線状にすることなく、本体18の外形と同様に形状にとしても、伸縮部材17の作用が及ばない余地部分を設けることができる。
【0048】
図7は、母乳パッド10を使用者が装着した状態を説明する部分拡大断面図である。使用者の乳房25の前面は、碗を伏せたようなほぼ半球状の形状であり、その頂点付近に乳首26が突出している。
これに対して、本実施形態の母乳パッド10は、その断面形状が示すように、上述の伸縮部材17と、凹状溝16の作用によって、立体的なドーム形状となっており、使用者の乳房15の前面をほぼ覆うことができる形状とされるとともに、凹所となった領域Cに、乳首26を受容することができる。この場合、防水材11の外側に、ブラジャーに仮固定可能な仮接着部を設けてもよい。
【0049】
図8は、上記母乳パッド10を2つ収容して単位包装(個装)するための収容体60を示している。
図において、母乳パッド収容体60は、上帯状体61と、下帯状体62とからなるそれぞれ一方向に長い帯状の部材であり、これらは同じものであって、後述する製造工程において、例えば、帯状にしたポリエチレン製のフィルムとして供給されるものである。
この母乳パッド収容体(以下、「収容体」という)60では、図8に示すように、下帯状体62の上に2つの母乳パッド10,10が載置されている。この状態では、各母乳パッド10,10は、それぞれ2つ折りされており、図8にて示されているように、同じ向きにされている。例えば図において右下側に各2つ折り母乳パッド10,10の曲折部10b,10bが向くように、その向きが揃えられている。
【0050】
この状態において、上から上帯状体61が重ねられる。そして、上帯状体61と下帯状体62との間に、2つの母乳パッド10,10をはさみこむようにして、この上帯状体61の周縁61aと下帯状体62の斜線で示す周縁62aは、後述するようにして、例えばヒートシール等により接着されている。
さらに、上帯状体61にあっては、中央付近にて、幅方向に沿って開封手段としての例えばミシン目64が設けられており、このミシン目を破断することによって、収容体60から各母乳パッド10,10を取り出すことができるようになっている。
図9は、図8のA−A線断面図である。
図において、収容体60内では、2つ折りの各母乳パッド10,10は、その周縁部10a及び曲折部10bを同じ向きに揃えて、一列に収容されている。各母乳パッド10,10は、それぞれの防水材11の表面の各2箇所において、例えば接着剤を適用してなる接着部11a,11aを備えている。この接着部11a,11aには、剥離手段としての剥離紙65,65が仮固定されており、さらに、これら剥離紙65,65は、上帯状体61及び下帯状体62に対して、各接着部61b,62bによって固定されている。
【0051】
そして、この場合、接着部11a,11a(第1の接着部)と、これに対応した各接着部61b,62b(第2の接着部)とは、例えば異なる接着剤を使う等の手段により、異なる接着力を有するように構成されている。
つまり、接着部61b,62bは、接着部11a,11aよりも接着力が強くなるように形成されている。
【0052】
このため、使用者は、収容体60を破くだけで、母乳パッド10を取り出せる。つまり、この母乳パッド10は取り出される時に剥離紙65との仮固定が解除され、剥離紙は、接着部11a,11aよりも接着力の強い各接着部61b,62b側に残る。これにより、母乳パッド10では、取り出された時に、その防水材11表面に2つの接着部11a,11aが露出し、これによって、後述する図24で説明するように、下着の内側に固定することができる。
【0053】
しかも、この母乳パッド10では、下着に対する固定手段としての接着部が2箇所(11a,11a)あるため、しっかりと固定することができる。また、ひとつの接着部4が、円形の防水材の表面に偏心して存在すると、下着への装着位置との関係から方向性が生じるが、本実施形態の場合は、円形の防水材11の対称の位置に2つの接着部11a,11aが設けられているので、このような方向性がないため、その分使い勝手が向上する。
この収容体60は、図9の状態から、その仮想の中心線C−Cを境にして、矢印に示すように曲折すると、折り重ねた状態とした二つ折りの単位包装となる。
【0054】
図10及び図11は、母乳パッド10をこのような収容体60に包装する工程を示している。
母乳パッド10は、ほぼ半分に折った二つ折りの状態にて、図示のようなほぼ半円形とされて同じ方向に揃えられて、一列に順次搬送される。この時、母乳パッド10の二つ折り状態における外側,つまり、上述した防水材11の表面には、図9で説明したように、上側と下側の両方に、接着部11a,11aと、その上に剥離紙65,65が貼られた状態で送られてくる。図10及び図11では、剥離紙65,65は図示が省略されている。
【0055】
この母乳パッド10に対して、収容体60を形成するために、後述する製造工程において、上から送られてくる上帯状体61と、下から送られてくる下帯状体62とが重ねられ、母乳パッド10は、この上帯状体61と、下帯状体62との間に挟み込まれるようになっている。
【0056】
次いで、重ねられた上帯状体61と下帯状体62の各周縁部61aと62bとはヒートシール等により接着されて、図10に示す状態となる。
そして、図10に示すように、母乳パッド10,10が2個ずつ包装された個装単位(二つの母乳パッド10,10が周縁のヒートシールにより囲まれた単位)が連続した状態から、製品単位の包装となるように、切断線75に沿ってカットして、図11に示すように切り離し、包装を二つ折りする前の製品単位としての収容体60を得るようにされる。
【0057】
図12は、母乳パッド10の製造装置を概略構成を示しており、この製造装置30は、複数の材料を積層する工程を中心とする母乳パッド10の製造工程と、完成した母乳パッド10を個装収容体(収容体60)に収める個装工程を行うようになっている。
【0058】
製造装置30は、コンベヤ等の搬送手段である搬送ライン31を備えており、工程は、この搬送ライン31に沿って、全体をコントロールするための制御手段38の制御に従って、矢印方向に進行し、図の上段の終端A1は、下段のA2の位置に接続されるようになっている。
先ず、搬送ライン31の最初の部分には、供給ロール32からティシュが帯状の材料して送りだされる。搬送ライン31上のティシュには、パルプ供給手段33から粉砕されたパルプが供給され、ティシュとパルプ等により吸収体12を形成するようになっている。
【0059】
パルプが供給されたティシュは、ティシュカッター35により、製品単位の大きさにされて、供給ロール34から連続した帯状の材料として供給される表面材13の上に順次配置される。
ここで、本体における両端となる吸収体12と表面材13には、後述するようにして、例えば、熱可塑性の接着剤,例えば、ゴム系またはオレフィン系のホットメルト等の接着剤(固定用HM)が間欠的に塗布される。
ここで、供給ロール51に巻き取られている伸縮部材52が、強いテンションを付与された状態で、接着剤を適用した領域に載置され、表面材13の両側縁部が内側に折り返されて、伸縮部材52を折り返し部の内側に接着する。その後加圧してから、伸縮フィルムカッター55で伸縮部材52をカットする。この接着剤の塗布から、伸縮部材52をカットまでの工程は、接着剤の塗布工程として、後で詳しく説明する。
【0060】
次いで、吸収体12と表面材13の上に、防水材11としてのバックシートが供給ロール41から連続した帯状の材料として供給されて、重ねられる。この場合、バックシートは、吸収体12と表面材13と積層される前段において、剥離紙ロール42から供給される剥離紙25が貼られる。すなわち、剥離紙ロール42から連続した帯状の材料として供給される剥離紙25には、連続的にゴム系またはオレフィン系のホットメルト等の接着剤が適用されて、第1の接着部11aが形成され、カットされて、供給ロール41から送りだされる連続した帯状材料でなる防水材11としてのバックシートの上に、予め定められた所定間隔毎に貼りつけられる。
【0061】
そして、吸収体12及び表面材13と防水材11の材料が積層された積層体として送られて、母乳パッド10の製品外形に対応したエンドパターンプレス36によりエンドパターンが形成され、製品カッター37の切断により母乳パッド10の製品外形がカットされて、母乳パッド10が完成される。
【0062】
次に、図12の下段にA2として示す工程の最初に移動し、母乳パッド10,10を2つずつ個装収容体60に収容する個装工程に入る。
製造装置20は、個装工程に対応した各手段を備えており、具体的には、搬送ライン31を送られる完成品としての母乳パッド10は、製品の2つ折り部44で、順次2つ折りされる。これにより、母乳パッド10は、図10で示されるようなり半円形もしくは半月形のような形状とされて、向きを揃えられ、2つずつ個装収容体60に収容される。
この個装収容体60に母乳パッド10が2つずつ収容されるに先立って、製品2つ折り部44においては、各母乳パッド10が2つ折り状態で仮固定される。次いで、供給ロール45は、一方から下帯状体62を連続する帯状の材料として供給し、これに重ねるように、供給ロール46が上帯状体61を連続する帯状の材料として供給する。これらの間に2つ折り状態で仮固定された母乳パッド10は、2つずつ挟まれるように収容される。
【0063】
すなわち、図10に示すように、下帯状体62の上には、点線で示す2つ折りにした各母乳パッド10が搬送方向に沿って所定ピッチで列状にならんで順次配置される。この段階では、既に母乳パッド10の表面には、上述したように第1の接着部11aが形成されて、剥離紙25が貼られている。
また、上下の帯状体61,62の内側には、剥離紙25を固定するための第2の接着部61b,62bが予め形成されている。この上に上帯状体61が重ねられることで、上下の帯状体61,62の間に各母乳パッド10を挟み込んで、個包装シール手段46にて、上下の帯状体61,62をその周縁部61a,62a及び個装単位の境界75で接着する。
【0064】
次いで、図11に示すように、母乳パッド10,10が2個ずつ包装された個装単位(二つの母乳パッド10,10が周縁のヒートシールにより囲まれた単位)が連続した状態から、製品単位の包装となるように、個包装切断手段47によって、境界に沿った切断線75によりカットして、切り離し、個装単位としての収容体60を形成する。
以上により、製造装置30において、複数の材料を積層する工程を中心とする母乳パッド10の製造工程と、完成した母乳パッド10を個装収容体(収容体60)に収める個装工程が終了する。
【0065】
次に、図12の上段において、鎖線で区分した工程を中心とする、接着剤の塗布工程を詳しく説明する。
図13において、上述したように、表面材13の上に吸収体24が形成されており、矢印Sの方向へ送られている。吸収体24の進行方向と直交する方向の端部である両側縁部24a,24aに、接着剤としての例えばホットメルト(以下、「HM」という)が適用される。HMは、この場合、順次並んだ各吸収体24に対応して、ライン上に一定間隔を置いて、間欠的に塗布されるようになっており、その塗布領域は、後述するように正確に決められている。
接着剤供給手段53によるHMの供給に先立って、好ましくは、ライン上に設けた加温手段としての温風供給手段54a,54bから、少なくとも吸収体24の両側縁部24a,24aを含む、周辺の表面材13及び吸収体24に温風を吹きつけることで、予めこの領域を加温しておく。温風供給手段54a,54bは、例えば、温風ノズルで構成する。この温風供給手段54a,54bの温風により、後から塗布される接着剤に熱を供給できるので、接着剤が熱を失うことがなく、十分な接着力を維持することができる。
【0066】
次いで、接着剤供給手段53によって、吸収体24の両側縁部24a,24aを含む、周辺の表面材13に56,56で示すようにHMを塗布する。この接着剤の塗布領域は、図14(a)に示すように、搬送方向である矢印S方向のL1の長さが吸収体24の両側縁部24aと一致するか、これより大きく出ないようにする。これにより、図5で説明した余地部分17aの部分が接着されず、符号15d近辺よりも内側に接着剤を塗布できる。
また、接着剤の塗布部56の幅方向の大きさW2は、その上に載置される伸縮部材52(17)の幅W1の2倍を越えるように設定されている。
【0067】
そして、図13に示されているように、接着剤の塗布部56,56を形成した後で、連続する細い帯状の2本の伸縮部材52,52をそれぞれ載置する。この場合、伸縮部材52,52は、素材の長さのほぼ180パーセントから220パーセント、好ましくは、例えば、200パーセント程度となるように伸長されており、このテンションを保った状態で、接着剤の塗布部56,56の上に重ねられる。
これにより、図1で示した母乳パッド10に内蔵される伸縮部材17が強い収縮力を発揮することができる。
【0068】
次いで、好ましくは、ここでも、接着部56,56近傍に対して、温風供給手段(ノズル)54c,54dにより温風を吹きつけることで、接着剤の硬化を遅らせる。その上で、矢印S方向に搬送されて、折り加工部57の折り器等により、表面材13の両側縁は、図において上方に折られて、内側に折り返される。
これにより、図3で説明したように、伸縮部材17,17は、その全面が接着剤で覆われることで、極めて強固に接着固定されるとともに、折り返し部13b,13bも、上記接着部56,56が接着重合部56b,56bを有することで、折り返し状態を強固に固定されるので、伸縮部材17,17は、折り返し部13b,13bの内側で、外れることがないように、しっかりと固定される。これにより、伸縮部材17,17が強い収縮力を発揮しても、接着対象から外れることがないから、その強い収縮力を本体18に効果的に及ぼして、適切なドーム形状をつくり、かつ型保持でき構造を得ることができる。
【0069】
次に、図13において、加圧工程58に送られる。この加圧工程は、例えば、図15に示すように圧着ローラ58により行われる。
圧着ローラ58は、上下一対となった同形のふたつのローラ59,59で構成されており、ローラ59,59の表面には、吸収体24の形状に沿った凹部59a,59aが形成されている。ただし、この凹部59a,59aは、吸収体24の側縁部である上記接着部56に対応した折り返し部13b,13bは、凹んでいない。
これにより、表面材13上の吸収体24をふたつのローラ59,59で挟んで、矢印S方向に搬送することで、折り返し部13b,13bを圧着して加圧することにより、接着した箇所を圧着し、確実に接着させることができる。これにより、伸縮部材17,17が強固に固定される。
【0070】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば本体18の内部に、複数のクッション材を収容してもよい。
また、凹状溝16は、表面材16には設けずに、本体18の厚みを殆どの部分を占める吸収体12等だけに形成してもよい。つまり、凹状溝16は曲折箇所を形成する機能をはたせば、本体18を構成する部材の一部に部分的に設けてもよい。
【0071】
さらに、防水材11や表面材13、吸収体12は、上述の実施形態記載の材料以外の種々の材料を選択することができる。
また、本体18を構成する全ての部材がほぼ円形である必要はなく、異なる形状のものを積層して形成した全体がほぼ円形であればよい。つまり、伸縮部材を配置する部材がほぼ円形であれば、これをドーム形状に型保持することができる。
加圧手段はとしての圧着ローラ59a,59aの凹部は、少なくとも折り返し部13b,13bを加圧することができるものであれば、他の任意の形状とすることができる。
また、上述の各実施形態の各構成部分を、任意に選択して組み合わせてもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、本体の両側縁内に収容する伸縮部材を、本体内部で、確実に固定するための構造を備えた吸収性製品を製造する方法および製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による母乳パッドの実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1の母乳パッドを内側を上にして示した概略平面図である。
【図3】図2のD−D線概略断面図である。
【図4】図2のE−E線概略断面図である。
【図5】図2の符号Fで示す箇所を拡大して示す説明図である。
【図6】図5の構成との比較構造例を示す説明図である。
【図7】図1の母乳パッドを使用者が装着した状態を説明する部分拡大断面図。
【図8】図1の母乳パッドの個装収容体を示す概略斜視図である。
【図9】図8の母乳パッドの個装収容体のA−A線概略断面図である。
【図10】図8の母乳パッドの個装収容体の個装工程の一部を示す概略平面図である。
【図11】図8の母乳パッドの個装収容体の個装工程の一部を示す概略平面図である。
【図12】図1の母乳パッドの製造装置の概略構成図である。
【図13】図12の母乳パッドの製造装置の接着剤塗布工程の拡大斜視図である。
【図14】図12の母乳パッドの製造装置の接着剤塗布工程における接着部の大きさの説明図である。
【図15】図12の母乳パッドの製造装置の加圧工程の拡大斜視図である。
【図16】従来の母乳パッドの概略側面図である。
【図17】図16の母乳パッドの製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
10・・・母乳パッド、11・・・防水材、12・・・吸収体、13・・・表面材、14・・・クッション材、16・・・凹状の溝、17・・・伸縮部材。
Claims (10)
- 液体を吸収する吸収体と、この吸収体より外側に配置された防水材と、前記吸収体の前記防水材が設けられる面と反対の面に配置される液体透過性の表面材とを積層して接着することにより本体を形成した吸収性製品の製造方法であって、
搬送手段の搬送方向に沿って送られる、帯状に連続した前記表面材の材料の上に、前記吸収体が製品単位の形状とされて順次載置されて搬送される工程と、
前記表面材の幅方向側縁を含む領域に、後段で配置される断面が平たい形状でなる伸縮部材の幅の2倍よりも広い幅で、製品単位に対応して、間欠的に接着剤が塗布される塗布工程と、
次いで、前記搬送方向に延びるように、前記伸縮部材を所定のテンションで伸長しながら、前記接着剤を適用した領域の内側に配置する伸縮部材の配置工程と、
さらに、前記表面材の幅方向の両側縁部を、前記伸縮部材を内側にして、それぞれ内側に折り返して、前記接着剤の塗布領域により前記伸縮部材の全周を包囲させる折り返し工程と
を含むことを特徴とする、吸収性製品の製造方法。 - 前記伸縮部材が、ほぼ180パーセントないし220パーセントの長さとなるように伸長されることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性製品の製造方法。
- 前記伸縮部材の配置工程の前に前記塗布された接着剤に、温風を吹きつけることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性製品の製造方法。
- 前記接着剤の塗布工程の前に、少なくとも接着剤が塗布される領域に、温風を吹きつけることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性製品の製造方法。
- 前記折り返し工程の後で、少なくとも前記折り返し工程による折り返し部を、加圧する工程を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性製品の製造方法。
- 液体を吸収する吸収体と、この吸収体より外側に配置された防水材と、前記吸収体の前記防水材が設けられる面と反対の面に配置される液体透過性の表面材とを積層して接着することにより本体を形成した吸収性製品の製造装置であって、
帯状に連続した前記表面材の材料の上に、前記吸収体が製品単位の形状として順次載置し搬送する手段と、
前記表面材の幅方向側縁を含むように、後段で配置される伸縮部材の幅の2倍よりも広い幅で、製品単位に対応して、間欠的に接着剤を塗布する手段と、
前記搬送方向に延びるように、前記伸縮部材を所定のテンションで伸長しながら、前記接着剤を適用した領域の内側に配置する手段と、
前記表面材の幅方向の両側縁部を、前記伸縮部材を内側にして、それぞれ内側に折り返して、前記接着剤の塗布領域により前記伸縮部材の全周を包囲させる折り返す手段と
を備えることを特徴とする、吸収性製品の製造装置。 - 前記伸縮部材の配置手段が、前記伸縮部材を、ほぼ180パーセントないし200パーセントの長さとなるように伸長する構成としたことを特徴とする、請求項6に記載の吸収性製品の製造装置。
- 前記伸縮部材の配置工程の前に前記塗布された接着剤に、温風を吹きつける手段を備えることを特徴とする、請求項6または7に記載の吸収性製品の製造装置。
- 前記接着剤の塗布工程の前に、少なくとも接着剤が塗布される領域に、温風を吹きつける手段を備えることを特徴とする、請求項6ないし8のいずれかに記載の吸収性製品の製造装置。
- 前記折り返し工程の後で、少なくとも前記折り返し工程による折り返し部を、加圧する手段を備えることを特徴とする、請求項6ないし9のいずれかに記載の吸収性製品の製造装置。
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