JP4007925B2 - 高分子樹脂積層体、ならびに車両用窓材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、表面の耐磨耗性の高い高分子樹脂積層体、その中でも特に、高分子樹脂基板としてポリカーボネート樹脂基板を用いた高分子樹脂積層体に関するものであり、更にこれらの高分子樹脂積層体を用いてなる各種車両用の窓材(ここで窓材とは少なくとも透視が可能であるものを示す)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子樹脂材料は耐衝撃性、軽量性、加工性等の特徴を生かして、多方面の用途で使用されている。特に近年、その軽量性、安全性を活かして各種車両の窓材の用途に、表面硬度や耐磨耗性を高めた高分子樹脂成形物を適用しようとする動きがある。このような用途ではガラス並の高度な耐磨耗性や屋外での耐候性が要求される。例えば自動車では、ワイパー作動時のすり傷防止やウインドウ昇降時のすり傷防止等において高いレベルの耐摩耗性が要求されるし、非常に高い温度や湿度の環境下での使用も前提にしなくてはならない。
【0003】
高分子樹脂成形物の表面硬度や耐磨耗性を改良する方法として、例えば高分子樹脂成形物の表面にアクリル樹脂層を湿式コーティングし、さらにその上にシロキサン系の硬化被膜を湿式コーティングする方法があり、例えばアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮合物にコロイド状シリカを添加したコーティング用組成物が記載されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、前記の湿式コーティングによる高分子樹脂積層体では、代替対象のガラス板に対比して耐磨耗性が劣るという問題があった。
【0004】
また、各種の硬化樹脂層上に二酸化珪素などの酸化物薄膜を積層することも提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。しかしながら、樹脂基板がフレキシブルなフィルムを用いているために自動車窓等の用途に用いるには機械的強度が全く不十分であることや、酸化物薄膜の厚み、硬化樹脂層の硬度、もしくは酸化物薄膜と硬化樹脂層の密着力が不十分等の理由により充分な耐磨耗性が得られないこと、などの問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−278979号公報
【特許文献2】
特開平1−306476号公報
【特許文献3】
特開2000−318106号公報
【特許文献4】
特開平10−86269号公報
【特許文献5】
特開2002−52636号公報
【特許文献6】
特開2002−238177号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的簡単な方法をもって、耐磨耗性が改良された高分子積層体を提供する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願発明は次の通りである。
1.厚みが2〜10mmの高分子樹脂基板の少なくとも一方の面に、アクリル樹脂による厚み3〜10μmの第1層と、オルガノシロキサン硬化物による厚み3〜10μmの第2層と、プラズマを併用した真空成膜プロセスにより形成される二酸化珪素による厚み0.07〜1μmの第3層がこの順に積層されてなり、最大荷重100μNの条件下でナノインデンテーション測定を行った時の弾性率が30〜250GPaの範囲にある高分子樹脂積層体。
2.前記の第3層が、真空槽内においてスパッタリングプロセスを用いて形成された層である1記載の高分子樹脂積層体。
3.前記の第2層は、
(A)粒径5〜200nmのコロイダルシリカ
(B)下記式(1)で表わされるメチルトリアルコキシシランの加水分解物
【0008】
【化3】
【0009】
(但し、式中R1は炭素数1〜4のアルキル基である)
とを少なくとも含む前駆材料液を、第1層が積層された基板上にコーティングした後に、熱的に硬化してなるオルガノシロキサン硬化物による層である1もしくは2記載の高分子樹脂積層体。
4.前記の第1層は、下記式(2)
【0010】
【化4】
【0011】
(但し、式中R2は炭素数1〜4のアルキル基である)
で示される繰り返し単位を50モル%以上含むアクリル樹脂による層である1〜3記載のいずれかの高分子樹脂積層体。
5.高分子樹脂基板が、ポリカーボネート樹脂による成形基板である1〜4のいずれかの高分子樹脂積層体。
6.1〜5のいずれかの高分子樹脂積層体を、少なくとも窓材の構成要素として含む車両用窓材。
【0012】
以下において、本願発明を更に詳しく説明する。
本発明の高分子樹脂積層体は、表面の耐磨耗性を更に向上させる目的において、スパッタリング法を用いて真空環境下で成膜、形成された二酸化珪素による第3層が積層された3層構成の高分子樹脂積層体である事が最大の特徴である。
このような3層構成の高分子樹脂積層体では、高分子樹脂基板上に前記第1層を介して、オルガノシロキサン硬化物による第2層のみを積層した2層構成の高分子樹脂積層体と比べて、顕著に表面の耐磨耗性向上が観られる。
【0013】
また更に加えて、3層構成の高分子樹脂積層体は、2層構成の高分子樹脂積層体に比べて、耐候性、例えば耐熱水性等において性能向上が観られた。
【0014】
第3層は真空成膜プロセスの1種であるスパッタリング法を用いて形成される。スパッタリング法とは以下の通りである。まず真空槽内の空間に直流もしくは交流の強い電場をかけ、この空間内に導入したアルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、その他のガス成分を励起してプラズマ空間を発生させる。このプラズマ中で発生するガスイオンは電場や磁場の作用によって原料ターゲットに高速で衝突して、ターゲット物質を分子もしくは原子状に高速で叩きだす(原料のスパッタリング)。こうして叩き出された原材料の分子や原子が基板上に堆積して膜が形成されるが、場合によっては雰囲気ガスイオンとの衝突で化学反応し、原材料と雰囲気ガスとの化合物として膜が形成される事もある。
【0015】
このようなスパッタリング法を用いて成膜を行うと、スパッタされた原材料の分子や原子が高い運動エネルギーを有しながら基板上に堆積する事に起因して、緻密性が高く、弾性率や硬度が高い層が形成しやすい。
第3層の二酸化珪素層をスパッタリング法により形成する場合、原材料ターゲットとしては、酸化珪素および珪素が好ましく用いられる。
【0016】
尚、ターゲットとして酸化珪素の酸化数(SiOxのXの値)が2である二酸化珪素を用いる場合を除いて、第3層の二酸化珪素層を形成するために、真空槽内に反応性ガスとして酸素や水蒸気等を少量導入する必要が生ずる場合が多い。またターゲットの材料として酸化数2の二酸化珪素を用いた場合には、ターゲットが絶縁物になる為に、高周波によるプラズマ励起方式が用いられる。尚、ターゲットが充分な導電性を有する場合(ターゲットの酸化数がおよそ1以下の場合)には、直流によるプラズマ励起方式も用いる事ができる。すなわち、スパッタリング法としては、ターゲットとして二酸化珪素(石英ガラス等)を用いて行う高周波スパッタリング法、一酸化珪素もしくは珪素のターゲットを用い、酸素、水蒸気等のガス共存下で行う直流反応性スパッタリング法のいずれかが利用できる。高周波スパッタリング法としては、公知の高周波マグネトロンスパッタリング法が好ましく用いられ、直流反応性スパッタリング法としては、直流マグネトロンスパッタリング法や直流ミラートロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
【0017】
またこうしたスパッタリング法を用いた場合の利点として、二酸化珪素による第3層と、オルガノシロキサン硬化物による第2層との密着性が優れたものが得られるという事が挙げられる。
【0018】
すなわち本発明者らの検討によれば、オルガノシロキサン硬化物と二酸化珪素層の良好な密着の為には、成膜中に基板上に高いエネルギーのガス粒子が衝突して基板表面の活性化が為される状況を作る事が好ましく、この観点においてプラズマを利用した各種の真空成膜プロセス、例えばPECVD(プラズマ励起化学的堆積法)、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が好ましく用いる事ができる。本発明の高分子樹脂積層体においては、その中でも特に緻密な膜が得られるスパッタリング法が最も好ましく用いられる。
【0019】
一方、プラズマを用いない真空成膜プロセス、例えば一般的な真空蒸着法(電子ビーム蒸着法)を用いた場合には、二酸化珪素による第3層の充分な密着性を得る事は難しかった。
【0020】
耐磨耗性の向上効果を十分に得る為には、二酸化珪素による第3層を積層した表面は、後述する最大荷重100μNの条件下でナノインデンテーション測定を行った際の弾性率が30〜250GPaの範囲にあることが好ましく、45〜250Gpaの範囲にあるのが更に好ましく、60〜250Gpaの範囲にあるのが最も好ましい。
【0021】
すなわち、各種の要求性能を同時に実現するための前駆材料の所定の配合比率を用いたオルガノシロキサンの硬化物による第2層を積層した表面をナノインデンテーション測定を行った場合に得られる弾性率の値はおよそ7〜15GPaの範囲にあったため耐磨耗性が不足していたのに対し、該第2層上に、真空プロセスにより形成された二酸化珪素による第3層を積層した場合には、積層体表面の弾性率の値を顕著に増加させる事ができ、それにより耐磨耗性を向上させる事が出来る。
【0022】
また第3層の膜厚は0.07〜1μmの範囲が好ましかった。これは膜厚が0.07μm未満の場合には、二酸化珪素による第3層の積層による耐磨耗性の向上効果が充分に得られず、一方、膜厚が1μmを超える場合には二酸化珪素による第3層と、オルガノシロキサン硬化物による第2層との密着性の低下が起こる場合がある為である。
【0023】
尚、本発明の高分子樹脂積層体において高い耐磨耗性を得るためには、前記の第1層上に第3層を積層しただけでは一般に不十分であり、第1層と第3層に挟持して、前記の第2層のオルガノシロキサンの硬化皮膜を積層する事が必要である。
【0024】
このようなオルガノシロキサンの硬化皮膜による第2層は、
(A)コロイダルシリカ
(B)下記式(1)で表わされるメチルトリアルコキシシランの加水分解物
【0025】
【化5】
【0026】
(但し、式中R1は炭素数1〜4のアルキル基である)
とを少なくとも含む前駆材料液を、基板上にコーティングした後に乾燥および熱硬化する事により形成される。
【0027】
ここでコロイダルシリカは、粒径が5〜200nm、好ましくは5〜40nmであるシリカの微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。該コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも使用できるが、水分散型では、シリカ微粒子の表面に多数の水酸基が存在し、これらがオルガノシロキサン成分(B成分)と強固に化学的に結合する事により、耐摩耗性に優れた積層体が得られる場合が多いので、より好ましく用いられる。
【0028】
尚、水分散型コロイダルシリカには酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型があり、両者が使用可能であるが、耐磨耗性能を安定に得る観点において、より好ましくは酸性水溶液分散型コロイダルシリカが用いられる。
【0029】
かかる酸性水溶液分散型コロイダルシリカの具体的な商品としては、日産化学工業(株)の「スノーテックスO」、触媒化成工業(株)の「カタロイドSN」等が挙げられる。
【0030】
尚、塩基性水溶液分散型コロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)の「スノーテックス30」、「スノーテックス40」、触媒化成工業(株)の「カタロイドS30」、「カタロイドS40」等が挙げられ、有機溶剤に分散させた商品としては日産化学工業(株)の「MA−ST」、「IPA−ST」、「NBA−ST」、「IBA−ST」、「EG−ST」、「XBA−ST」、「NPC−ST」、「DMAC−ST」、触媒化成工業(株)の「OSCAL1132」、「OSCAL1232」、「OSCAL1332」、「OSCAL1432」、「OSCAL1532」、「OSCAL1632」、「OSCAL1732」等が挙げられる。
【0031】
またメチルトリアルコキシシランの加水分解物は、前記式(1)のメチルトリアルコキシシランを加水分解してなるものである。
【0032】
メチルトリアルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン等が挙げられ、それらの1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では特に、メチルトリメトキシシランとメチルトリエトキシシランが反応性に優れる事から好ましく用いられる。
【0033】
これらメチルトリアルコキシシランの加水分解物は、好ましくは、コロイダルシリカ分散液中においてメチルトリアルコキシシランを加水分解する事により作成される。
【0034】
ここにおいて加水分解に必要な水分は、水分散型のコロイダルシリカ分散液を使用した場合にはここから供給されて不要となる場合もあるが、通常、加水分解に際して、メチルトリアルコキシシラン1当量に対して1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量、さらに好ましくは3〜5当量の水が用いられる。
【0035】
加水分解は酸性条件下で行う事が好ましく、一般に酸成分の混合が為される。酸成分は予めメチルトリアルコキシシランおよびまたはコロイダルシリカの分散液に添加しておいてもよいし、両者を混合した混合液に添加してもよい。また、これら酸成分の添加は1回或いは2回以上に分けることもできる。
【0036】
尚、酸性水溶液分散型コロイダルシリカを用いる場合には、同分散液中の酸が反応液を酸性条件下に保つので酸の使用は必ずしも必要ない場合もある。
【0037】
酸成分としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
【0038】
無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で混合し、有機酸を使用する場合はメチルトリアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で混合される。
【0039】
メチルトリアルコキシシランの加水分解に要する時間は、用いるトリアルコキシシランやコロイダルシリカ分散液の種類や量によって変化する為に一概には云えないが、通常、20〜40℃の温度において1時間〜数日間である。メチルトリアルコキシシランの加水分解反応は発熱反応であるが、外部からの強制冷却を用いる等の方法により、系の温度が最高でも60℃を超えないように制御することが望ましい。このような条件で十分に加水分解反応を進行させた上で、前駆材料の性能安定化の目的で、40〜80℃で1時間〜数日間縮合反応を進行させることも場合によって好ましく行われる。
【0040】
ここでメチルトリアルコキシシランは加水分解されて下記式(3)で表わされる加水分解物となる。また加水分解により生成するSi−OH基の一部は、続いて他のメチルトリメトキシシラン分子やコロイダルシリカ表面のSi−OH基と縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成する(部分縮合)。
【0041】
【化6】
【0042】
(但し、式中R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、mは1〜3の整数を意味する)
尚、加水分解、縮合反応の反応割合には最適範囲が存在し、例えば加水分解反応の進行が不十分だと熱硬化時に原料トリアルコキシシランの蒸散、急激な硬化反応の進行等によりヘアークラックが発生する事が多い。
【0043】
尚、コロイダルシリカとメチルトリアルコキシシラン加水分解物の両者の混合割合は前駆材料液の安定性や、それを用いて形成される第2層の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性、耐熱性、及びクラック発生の有無等の点から決められるが、A成分が10〜40重量%、B成分がCH3SiO3/2に換算して60〜90重量%であるような組成が好ましく、A成分が10〜30重量%、B成分がCH3SiO3/2に換算して70〜90重量%であるのがさらに好ましい。
【0044】
さて第2層形成用の前駆材料液には、必要に応じて、更に下記式(4)
【0045】
【化7】
【0046】
(但し、式中R4は炭素数1〜4のアルキル基である)
で示されるテトラアルコキシシランの加水分解物を混合することも好ましく行われる。
【0047】
テトラアルコキシシランとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシランなどが挙げられ、それらの1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では特に、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランが反応性に優れる事から好ましく用いられる。
【0048】
ここでテトラアルコキシシランの加水分解物の混合方法としては、まずコロイダルシリカ分散液中でメチルトリアルコキシシランを加水分解した後に、テトラアルコキシシランを混合し、溶液の酸性環境を用いて、テトラアルコキシシランを加水分解せしめ、混合するといった方法と、コロイダルシリカとメチルトリメトキシシランの加水分解物からなる液に、あらかじめ別途に加水分解したテトラアルコキシシランの加水分解物を後から添加する方法の2つが挙げられる。
【0049】
前者の方法の場合、テトラアルコキシシランをそのまま添加するだけでもよいし、必要であればさらに水や酸成分を添加してもよい。酸成分の添加量は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で添加し、有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で添加される事が好ましい。
【0050】
尚、加水分解に必要な水の量は、テトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜30当量である。
【0051】
加水分解に要する時間は、使用するテトラアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜40℃の場合において10分間〜数日間である。
【0052】
後者の方法を用いる場合には、まずテトラアルコキシシランを加水分解する必要がある。この加水分解は酸性条件下、テトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜20当量の水を用いて20〜40℃で1時間〜数日反応させることによって行われる。加水分解には前記同様の酸成分が使用され、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。
【0053】
本方法はコーティング用組成物中でコロイダルシリカとテトラアルコキシシラン加水分解物とが高密度に結合してゲル化する現象の抑制に効果的である。
【0054】
これらの方法により、テトラアルコキシシランは加水分解されて下記式(5)で表わされる加水分解物となる。また加水分解により生成するSi−OH基の一部は、続いて他のメチルトリメトキシシラン分子やコロイダルシリカ表面のSi−OH基と縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成する(部分縮合)。
【0055】
【化8】
【0056】
(但し、式中R5は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜4の整数を意味する。)
このように第2層形成用の前駆材料液として、コロイダルシリカ、メチルトリアルコキシシランの加水分解物、テトラアルコキシシランの加水分解物を混合してなる前駆材料を用いる場合、それらの混合割合は、コロイダルシリカが5〜45重量%、メチルトリアルコキシシランの加水分解物がCH3SiO3/2に換算して50〜80重量%、テトラアルコキシシランの加水分解物がSiO2に換算して2〜30重量%であるような組成が好ましく、より好ましくは、その比率はそれぞれ15〜35重量%、55〜75重量%、3〜20重量%である。
【0057】
尚、これらの前駆材料液には必要に応じて硬化触媒を添加しても良い。かかる硬化触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、コリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩が挙げられ、具体的には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸コリン、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましく使用される。
【0058】
硬化触媒の好ましい添加量は、オルガノシロキサンの組成、加水分解、縮合反応の進行度、熱硬化条件により変化するが、オルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して、硬化触媒を0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。含有量が0.01重量部より少ないと硬化促進の効果が少なく、10重量部より多いと液の保存安定性が低下するので好ましくない。
【0059】
また前駆材料液は必要に応じて、各種の溶媒により希釈が為される。ここで用いられる溶剤は、前記のオルガノシロキサンの加水分解物を安定に溶解できる事が必要であり、少なくとも希釈に用いる溶剤全体の20重量%以上、好ましくは50重量%以上がアルコールであることが望ましい。
【0060】
かかるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
【0061】
溶媒の混合量は、前駆材料液中の固形分100重量部に対して50〜900重量部が好ましく、より好ましくは150〜700重量部である。
【0062】
また前駆材料液は、酸成分や硬化触媒の含有量を調節することによって、そのpHの値を3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調製することが望ましい。これはオルガノシロキサン加水分解物の保存安定性を高める観点から重要である。
【0063】
またさらに前駆材料液には、コーティング時の塗膜の平滑性を向上する目的で公知のレベリング剤を配合することができる。配合量はコーティング用組成物100部に対して0.01〜0.2重量部の範囲が好ましい。
尚、前駆材料液には、この他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、染料、顔料、フィラーなどを適量であれば添加しても構わない。
【0064】
これら前駆材料液のコーティング方法としては、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法等の各種の湿式コーティング法が挙げられ、基材の形状等に応じ適宜選択することができる。
【0065】
第2層の厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜8μmである。ここで厚みが10μmを超えると、熱硬化時に発生する応力のために層にクラックが発生したり、層の密着性が低下する場合が多くなり、2μm未満では前記第3層を積層した表面の耐磨耗性が不十分になりやすいので好ましくない。
【0066】
第2層は、基板上に湿式コーティングされた後、加熱を施す事により熱硬化を進行させる。熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方が好ましい場合が多い。
【0067】
例えば高分子樹脂基板としてポリカーボネートを用いる場合を考えると、熱硬化における好ましい温度条件は110〜135℃の範囲となる。
【0068】
さてアクリル樹脂による第1層は、高分子樹脂基板とオルガノシロキサンの硬化物による第2層との密着性を高めるプライマーとしての目的と、高分子樹脂積層体の耐候性を向上させるために外部から高分子樹脂基板に入射する紫外線を吸収して遮断する目的で積層される。
【0069】
第1層の形成に用いられるアクリル樹脂は、下記式(2)
【0070】
【化9】
【0071】
(但し、式中R2は炭素数1〜4のアルキル基である。)
で示される繰り返し単位を50モル%以上含むアクリル樹脂で、具体的には50モル%以上のアルキルメタクリレートモノマーと50モル%以下のビニル系モノマーを重合して得られるポリマーが好ましく例示される。アルキルメタクリレートモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでもメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートが好ましい。
【0072】
また、他のビニル系モノマーとしてはアルキルメタクリレートモノマーと共重合可能なものであり、殊に接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体が好ましく使用される。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。また、アクリル樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0073】
かかるアクリル樹脂は、必要に応じ熱硬化型とすることも好ましく行われる。この場合、0.01モル%〜50モル%の架橋性の反応基を持つビニル系モノマーを含有することが望ましい。かかる架橋性の反応基を持つビニル系モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0074】
なかでも、架橋性の反応基をもつビニル系モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基をもつアクリルモノマーを利用し、架橋剤としてポリイソシアネート化合物もしくはその誘導体を生成するポリイソシアネート化合物前駆体を利用した熱硬化型ウレタンアクリル樹脂を好ましく使用することができる。
【0075】
上記アクリル樹脂の分子量は、重量平均分子量で20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、また、重量平均分子量で1千万以下のものが好ましく使用される。かかる分子量範囲の上記アクリル樹脂は、第1層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
【0076】
また高分子基板上への第1層の形成方法としては、アクリル樹脂、架橋剤、溶剤、後述の光安定剤や紫外線吸収剤等の各種添加物を含む塗液を、基材表面に塗布し、次いで適当な加熱処理を施すことにより行われる。
【0077】
かかる溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。かかるコーティング組成物中の塗膜樹脂からなる固形分の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
【0078】
さて第1層には高分子基材の耐候性を改良する目的で光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加したり、基板もしくは第2層との密着性向上の目的でシランカップリング剤等を適量添加することが好ましく行われる。
【0079】
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部用いられる。
【0080】
該紫外線吸収剤としては例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ブチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール等のトリアジン類、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、酸化チタン酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウムなの金属酸化物微粒子類が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部用いられる。
【0081】
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。
【0082】
これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.2〜10重量部用いられる。
【0083】
上記コーティング組成物の高分子樹脂基板への塗布方法としては、例えばバーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を適宜選択することができる。かかるコーティング組成物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去が行われ、さらに必要に応じて更に加熱を施して層の架橋を進行させる。
【0084】
第1層の厚さは、高分子樹脂基板もしくは第2層と十分な接着が得られ、また前記添加剤の必要量を保持し得るのに必要な膜厚であればよく、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは2〜10μmである。
【0085】
高分子樹脂基板としては、例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートや各種のポリオレフィイン系樹脂(例えばJSR社の商品名「アートン」、日本ゼオン社の商品名「ゼオノア」)等を成形してなる高分子樹脂基板が挙げられる。
【0086】
これらの中でも特に、耐衝撃性、透明性、成形性、軽量性等の観点からポリカーボネート樹脂を成形してなる高分子樹脂基板が最も好ましく用いられ、各種車両や建築物等の窓材の用途においては特に好ましく用いられる。
【0087】
ここでポリカーボネート樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法で反応させて得られるポリカーボネート樹脂の事を指す。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0088】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0089】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0090】
ホスゲンを使用する界面重縮合法は、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられ、溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0091】
また、ジフェニルカーボネートを用いる溶融法は、不活性ガス雰囲気下所定割合の二価フェノール成分とジフェニルカーボネートとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら完結させる。また、反応を促進するために通常のエステル交換反応用触媒を使用することもできる。
【0092】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10-4M0.83
(但しc=0.7、[η]は極限粘度)
【0093】
かかるポリカーボネート樹脂を製造する際に、必要に応じて亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の安定剤、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェノール等の難燃剤、着色剤、滑剤等を添加することができる。更に場合によっては、高分子樹脂基板のヤング率を高める効果を有する無機酸化物微粒子、層状マイカ等を適量混合する事も可能である。
【0094】
これら高分子樹脂基板の厚みはおよそ2〜10mmの範囲にある事が好ましい。
【0095】
すなわち厚みが2mm未満では車両や建築物の窓材等の用途に用いた場合の力学的強度が不十分になる場合が多く観られ、10mmを超えると重量的な増加が大きくなり、あまり好ましくない。
【0096】
また高分子樹脂基板の形状に関しては大きな限定はないが、スパッタリングによる膜形成を均一に行う場合においては、できるだけ平面に近い基板の形状が好まれる。
【0097】
高分子樹脂積層体は透視性が高いことが好ましく、具体的には積層体のヘーズ(曇値)は5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0098】
また積層体の光透過率に関しても一般的には高いことが望まれ、全光線透過率の値で50%以上である事が好ましく、より好ましくは70%以上、更に好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0099】
しかしながら用途によっては必ずしも高い光透過率が望まれない場合もあり、例えば、自動車の後部座席用の窓材においては太陽光線の直射による車内温度の上昇を抑える目的等において、高分子樹脂基板内に可視光の吸収剤(顔料、染料等)を混合する等の方法により、意図的に積層体の光透過率を低下させる場合には、前記の全光線透過率の好適範囲を逸脱していても構わない。
【0100】
尚、本発明の高分子樹脂積層体においては、スパッタリング形成した二酸化珪素層による第3層の上に更に各種の機能層の積層を行う事が可能であり、高分子樹脂積層体の用途に応じて好ましく行われる。
【0101】
このような機能層の例としては、例えば多種の薄膜誘電体およびまたは金属層の積層による反射防止層、赤外線反射層(熱線遮断層)、紫外線反射層、ならびにカラーデザイン層等や、インジウム/錫酸化物、インジウム/亜鉛酸化物、酸化錫等による透明導電層、チタン酸化物等による超親水層、後述の撥水層等が挙げられ、この他に不透明な導電層を間欠パターン形成してなる電磁遮蔽層等が挙げられる。
【0102】
窓材の用途においては、これらの中でも撥水層が特に好ましく挙げられ、スパッタリング形成した二酸化珪素層による第3層の上に積層形成する事で、表面の撥水性が高まり、また屋外使用時における各種の汚染を抑制する効果が得られる。
【0103】
具体的には、撥水層としては、例えばフルオロアルキル基およびまたはアルキル基を有するシロキサンとを有する各種の(フルオロ)アルキルシロキサンによる層が挙げられ、酸化珪素膜と充分な結合力をもって形成する事により、積層体表面の耐磨耗性の低下、ならびに磨耗に伴なう表面撥水性の低下を抑制する事が可能である。
【0104】
撥水層では、層の表面に対する水の接触角が85度以上を示す事が好ましく、より好ましくは90度以上、更に好ましくは100度以上である。尚、ここで一般的にアルキルシリコ−ンのみで90度以上の接触角を得る事は難しく、より高い接触角を得るにはフルオロアルキルシロキサンを混合もしくは単独で使用する事が好ましい。ただし撥水層の機械的強度の観点からはアルキルシリコーン、特にアルキル基がメチル基であるアルキルシリコーンがより優れている。
【0105】
撥水層の厚みは、表面が(フルオロ)アルキルシリコーンの皮膜によって完全に覆われるのに必要な層の厚みがあれば十分であるが、これより多少厚みが増しても構わない。しかしながら撥水層の機械的強度はあまり高くなく、下地に強固に化学結合が為された部分を除いては磨耗への耐性が低い。従って、たとえ撥水層に磨耗傷が生じても傷が肉眼で気にならない程度の膜厚、すなわち20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下の膜厚に形成する事が望ましい。
【0106】
(フルオロ)アルキルシロキサンによる撥水層の形成方法としては、例えば、(フルオロ)アルキルシロキサン、もしくは(フルオロ)アルキルシロキサンとアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを同時に真空槽内に所定のガス分圧で導入した後、真空槽内で高周波プラズマ処理を行う事によって、発生するラジカル活性種によりシロキサンを重縮合させ、基板表面に強固に化学結合した撥水層を形成する事ができる。フルオロアルキルシロキサンとしては、例えば、(ヘプタデカンフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−1−トリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM7803)を好適に用いる事ができる。アルキルシロキサンとしては、メチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を好ましく用いる事ができる。
【0107】
またこれらの(フルオロ)アルキルシロキサンの加水分解縮合物の湿式コーティングによっても同様に撥水層の形成が可能である。
【0108】
(フルオロ)アルキルシロキサンの加水分解縮合物は、公知の方法で、前記の(フルオロ)アルキルシリコーンを希塩酸や酢酸水溶液等により加水分解して作成が可能であるが、この他にフルオロアルキルシリコーン系コーティング液として市販されているものもあり(例えば信越化学工業株式会社製、KP801M、KP880等)、好ましく用いられる。
【0109】
これらの湿式コーティングにおいては、撥水層の極めて薄い膜厚を実現する為に、(フルオロ)アルキルシロキサンの加水分解縮合物を多量の溶剤で希釈し、少なくとも1重量%以下の固形分濃度にてコーティングを行う事が好ましい。
コーティング方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、グラビヤロール等によるロールコート法等が好適に用いられるが、場合によっては、液を染み込ませた織布、不織布等を基板表面に擦りつけるといった方法を用いても構わない。
【0110】
尚、撥水層の機械強度を高めるには、シロキサン加水分解物の縮合を充分に進める事が好ましいので、コーティングの後、室温付近で溶剤の乾燥除去を介して、110〜130℃程度の温度で熱処理を施す事が好ましい。
【0111】
さて、これらの方法により作成された高分子樹脂積層体は、更に各種の加工工程(切断、孔開け、接着、粘着、組み立て等)を施す事によって、広い用途に用いる事ができる。
【0112】
それらの中でも、本願発明の高分子樹脂積層体は、特に各種車両(自動車、トラック、バス、二輪車、飛行機、列車等)の窓材として非常に好適であり、従来のガラス板に比べて軽量性(燃費向上等の省エネルギー効果も有する)、安全性(耐衝撃性、割れにくさ)、デザイン性、その他に大きな優位性を有する。また本高分子樹脂積層体は、各種建築物の窓材、高速道路等の透明遮音板等にも好適に用いられ、更には、各種の太陽電池パネル(多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体、グレッチェル型湿式太陽電池等)等の用途にも好適に用いる事ができる。
【0113】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、得られた積層体は以下の方法によって評価した。また、実施例中の部は重量部を意味する。
(1)耐摩耗性:ASTM D1044に準拠して、Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転のテーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズ値とテーバー摩耗試験前のヘーズ値との差△Hにより評価した。
【0114】
尚、ヘーズ値は下記式により求められる値である。
H=Td/Tt×100(%)
(Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(2)外観評価:目視にて試験片のコート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
(3)密着性:コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして基材上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5400に準拠)。
(4)耐熱水性:試験片を沸騰水中に2時間、ならびに4時間浸漬した後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(5)ナノインデント弾性率
測定には、株式会社エリオニクス製のナノ・インデンテーション・テスター ENT−1100aを用いた。測定位置はサンプルの中央部(対角線の交点付近)とした。
【0115】
すなわち稜間隔115度の三角錐圧子を用い、最大荷重値を均等に250分割してステップ状に押し込み荷重を増加させていき(最大荷重100μNの場合には0.4μN/ステップとなる)、最大荷重に到達後、同様にステップ状に押し込み荷重を徐荷していく。
【0116】
測定は25℃の恒温条件下で行い、測定装置とサンプルの温度を十分に安定させた後に、最大荷重100μN、最大荷重保持時間1秒の条件で、荷重/変位曲線の測定を行い、5回の連続測定の平均値をもって測定値とした。
【0117】
尚、ナノインデンテーション測定においては、測定条件によって得られるヤング率と硬度の値が相違するので注意が必要である。特に最大荷重の条件による測定値の相違は著しく大きく、多くの場合、最大荷重を大きくする程、得られるヤング率と硬度の値がともに小さくなる。
【0118】
またナノインデンテーションの測定においては、圧子の先端摩耗等によって測定データの誤差を生じる場合があるので、各サンプルの測定を行う前には、まず市販のシリコンウエハの測定を行い、最大荷重1mNの条件下でシリコンウエハを押し込んだ時の最大変位の値が55nm±3nmの範囲内にあることを確認した後に、サンプルの測定を行う事とした。尚、最大変位の値がこの範囲を逸脱した場合には、新しい圧子に交換を行うものとした。
(第1層用組成物の調製)
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にメチルメタクリレート(以下MMAと略称する)80.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.14部及び1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、MMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(I))80部を得た。アクリル樹脂(I)8.9部および2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部および2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.5当量となるようにヘキサメチレンジイソシアネート1.1部を添加して25℃で5分間攪拌し第1層用組成物(A)を調製した。
(第2層用組成物の調整)
水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30、固形分濃度30重量%)80部に酢酸24部を加えて攪拌し、この分散液を氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン127部に加えた。この混合液を25℃で1時間半攪拌後、70℃で2時間攪拌した反応液を氷水冷却し、これに、硬化触媒として酢酸ナトリウム2部を氷水冷却下で混合し、第2層用コーティング用組成物(B)を調整した。
【0119】
[実施例1]
基板として3mm厚のビスフェノールAとジフェニルカーボネートとより合成されたポリカーボネート樹脂による成形シート(帝人化成「パンライトPC−1111」)を用い、まず第1層用組成物(A)を硬化膜厚5μmになるようにディップコートで両面塗布し120℃で1時間熱硬化した後に、第2層用組成物(B)を硬化膜厚5μmになるようにディップコートで両面塗布し、120℃で1時間熱硬化して、基板上に第1層と第2層を積層して形成した。
【0120】
次にこの基板を石英ガラスを溶融成形してなるターゲットを配したスパッタリング装置の真空槽内にセットし、真空圧力1×10-3Paまで真空排気を行った後、Ar/O2=99:1の混合ガスを導入して、真空圧力4×10-1Pa下で30分間の高周波マグネトロンスパッタ法による成膜を行い、第2層上に0.2μmの二酸化珪素による第3層を積層した。
【0121】
このようにして得られた3層の積層構成を有する高分子樹脂積層体を性能評価結果を表1に示した。
【0122】
[実施例2]
実施例1において、スパッタリング法により積層した二酸化珪素による第3層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例と全く同様にして高分子樹脂積層体を作成した。この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0123】
[実施例3]
実施例1において、スパッタリング法により積層した二酸化珪素による第3層の膜厚を0.9μmとした以外は、実施例と全く同様にして高分子樹脂積層体を作成した。この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0124】
[実施例4]
実施例1において、二酸化珪素による第3層をスパッタリング法ではなく、イオンプレーティング法を用いて積層した。
【0125】
すなわち第3層は以下のようにして形成した。
電子ビーム蒸着源と高周波コイル(アンテナ)を備えた真空装置内に、第2層を積層した基板をセットし、まず真空圧力1×10-3Paまで真空排気を行った。次に真空装置内にAr/O2=99:1の混合ガスを導入して、真空圧力を2×10-1Paとした後、高周波電源から13.56MHz、300Wの高周波電圧を高周波コイルにかけ、真空槽内にプラズマを励起させた。
【0126】
続いて、蒸着源に用いた石英ガラス(二酸化珪素)の破砕粒子(高純度化学研究所製、平均粒径2mm程度)を電子ビーム加熱して二酸化珪素を気化させ、気化した二酸化珪素が前記プラズマ空間を通過した後に基板上に堆積するイオンプレーティング成膜法により、第2層上に0.2μmの二酸化珪素による第3層を積層した。
この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0127】
[比較例1]
実施例1において、スパッタリング法により積層した二酸化珪素による第3層を積層せず、第2層まで積層した以外は、実施例と全く同様にして高分子樹脂積層体を作成した。この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0128】
[比較例2]
実施例1において、スパッタリング法により積層した二酸化珪素による第3層の膜厚を0.04μmとした以外は、実施例と全く同様にして高分子樹脂積層体を作成した。この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0129】
[比較例3]
実施例1において、二酸化珪素による第3層をスパッタリング法ではなく、真空蒸着法を用いて積層した。
【0130】
すなわち第3層は以下のようにして形成した。
第2層を積層した基板を真空装置内にセットし、真空圧力1×10-3Paまで真空排気を行った後、蒸着源として石英ガラス(二酸化珪素)の破砕粒子(高純度化学研究所製、平均粒径2mm程度)を用いて電子ビーム蒸着を行い、第2層上に0.2μmの二酸化珪素による第3層を積層した。
【0131】
尚、ここで蒸着中の真空圧力は8×10-3Pa、蒸着時間は約20秒であり、基板の強制加熱もしくは強制冷却は行わなかった。この高分子樹脂積層体の性能評価結果を表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
【発明の効果】
ポリカーボネート等の硬度や耐磨耗性の低い樹脂成形物に対して、本願発明を適用することにより、優れた耐磨耗性、表面硬度、耐候性、耐水性を有する高分子樹脂積層体を得ることができ、各種車両や建築物の窓材や透視性を必要とする構造材、その他の幅広い用途に利用することができるようになった。
Claims (6)
- 厚みが2〜10mmの高分子樹脂基板の少なくとも一方の面に、アクリル樹脂による厚み3〜10μmの第1層と、オルガノシロキサン硬化物による厚み3〜10μmの第2層と、プラズマを併用した真空成膜プロセスにより形成される二酸化珪素による厚み0.07〜1μmの第3層がこの順に積層されてなり、第3層を積層した表面の最大荷重100μNの条件下でナノインデンテーション測定を行った時の弾性率が30〜250GPaの範囲にある事を特徴とする高分子樹脂積層体。
- 第3層は、真空槽内においてスパッタリングプロセスを用いて形成された層である事を特徴とする請求項1に記載の高分子樹脂積層体。
- 高分子樹脂基板が、ポリカーボネート樹脂による成形基板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子樹脂積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子樹脂積層体を少なくとも窓材の構成要素として含む車両用窓材。
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