JP2004035614A - 被覆ポリカーボネート板状成形体 - Google Patents

被覆ポリカーボネート板状成形体 Download PDF

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Takatsugu Shigetomi
重冨  孝嗣
Toshio Kida
喜田 稔男
Yoshihiko Imanaka
今中 嘉彦
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Abstract

【課題】硬化被膜で表面を保護され、環境変化および高温環境に対しての耐久性が著しく改善された、密着性、耐摩耗性、耐熱水性、耐候性にも優れた性能を有する被覆ポリカーボネート板状成形体を提供する。
【解決手段】ポリカーボネートの板状成形体、その少なくとも片面の上に設けたプライマー層、さらにその上に設けたハードコート層からなる被覆ポリカーボネート板状成形体であって、プライマー層の熱膨張係数がポリカーボネート板状成形体の熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数の中間の特定の値であることを特徴とする被覆ポリカーボネート板状成形体。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被覆ポリカーボネート板状成形体に関し、さらに詳しくはポリカーボネートの板状成形体、その少なくとも片面に設けたプライマー層、さらにその上に設けたハードコート層からなる被覆ポリカーボネート板状成形体であって、密着性、耐久性(特に環境変化および高温環境に対する耐久性)、耐摩耗性、耐熱性に優れた被覆ポリカーボネート板状成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐衝撃性、軽量性、加工性等に優れていることから、広い用途で用いられている。特に、透明な板状成形体は無機ガラスの欠点を改善するもの(有機ガラス)として利用され、その量も増加している。しかし、ポリカーボネートの板状成形体はそれ自体では耐摩耗性も乏しく、成形体の表面が傷つきやすく、また溶剤に侵されやすい等の欠点を有している。また、該成形体はそれ単独では耐候性が十分とはいえず、例えば成形体を屋外で長期使用すると、ポリマーの分解・劣化が進むため物性、外観が損なわれることが知られている。
【0003】
近年、その軽量性、耐衝撃性、安全性を活かして窓ガラス、殊に自動車の窓ガラスにポリカーボネートの板状成形体を適用しようとする動きがある。しかし、この用途では優れた耐摩耗性が要求され、例えば前面ガラスではワイパー作動時のすり傷発生を防止する必要があり、サイドウィンドーではウィンドー昇降時のすり傷発生を防止する必要があり、高いレベルの耐摩耗性が要求される。さらに、サンルーフは真夏の炎天下ではかなりの高温になることが予想され、これに適用する成形体には環境の変化および高温環境下においてより強い耐久性が要求される。また、前記板状成形体には無機ガラス並の高度な耐候性が要求される。
【0004】
上述した要求を満足させる特性を板状成形体に付与する目的で、従来から、該成形体の表面に熱硬化型アクリル樹脂層を設け、さらにその上にシロキサン系の硬化被膜を被覆することにより耐候性、耐久性、耐摩耗性を改良する数多くの提案がなされてきている。
【0005】
例えば、耐摩耗性を改良する提案として、特開昭51−2736号公報および特開昭55−94971号公報にトリヒドロキシシラン部分縮合物とコロイダルシリカからなるコーティング用組成物が記載されている。特開昭48−26822号公報および特開昭51−33128号公報にはアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの部分縮合物を主成分とするコーティング用組成物が記載されている。また、特開昭63−278979号公報および特開平1−306476号公報にはアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮合物にコロイド状シリカを添加したコーティング用組成物が記載されている。
【0006】
一方、特開2000−318106号公報には前記熱硬化型アクリル樹脂層に特定構造の紫外線吸収剤を添加することで耐候性が改良されることが提案されている。
【0007】
しかしながら、本発明者の検討結果によると、これらのコーティング用組成物から得られる硬化被膜を透明なポリカーボネート板状成形体に積層した場合、ある程度の耐摩耗性は得られるが、環境変化および高温環境下での耐久性については自動車窓ガラスとして使用するには十分でない、ことが明らかになった。例えば、前記板状成形体は、耐摩耗性のみならず、環境の変化に対して特に高温環境下では基材の板状成形体とオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる被膜の熱膨張係数との違いにより、オルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる被膜が引張られて該被膜にクラックが生じる場合があり、この為、より高度な耐久性、密着性を有するものが求められる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被膜の環境変化および高温環境に対する耐久性、密着性が著しく改善され、かつ耐摩耗性、耐熱水性、耐候性にも優れた性能を有する被覆ポリカーボネート板状成形体を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、この目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネートからなる板状成形体の少なくとも片面に特定の熱膨張係数を有するプライマー層、特に特定組成の熱硬化型アクリル樹脂からなるプライマー層を、さらにその上に特定の熱膨張係数を有するハードコート層、特にコロイダルシリカ及びトリアルコキシシラン加水分解縮合物を含む成分を熱硬化してなるハードコート層を順次積層することにより、高いレベルの耐摩耗性を付与し、かつ環境の変化や高温環境下での十分な耐久性をも併せ持つ硬化被膜で表面の保護された被覆ポリカーボネート板状成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリカーボネートの板状成形体、その少なくとも片面に設けられたプライマー層、さらにその上に設けられたハードコート層からなる被覆ポリカーボネート成形体であって、プライマー層の熱膨張係数がポリカーボネート板状成形体の熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数に対して以下の式を満たすことを特徴とする被覆ポリカーボネート板状成形体である。
【0011】
【数2】
Figure 2004035614
【0012】
本発明におけるポリカーボネートは二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法(溶融重縮合法)で反応させて得られるポリカーボネート樹脂である。
【0013】
前記二価フェノールの代表的な具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができ、好ましくはビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5―トリメチル−シクロヘキサン 及び  α,α‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
前記カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等を例示でき、さらに具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等を例示できる。
【0015】
前記の二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させるに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用することができる。また、ポリカーボネートは三官能以上の多官能性芳香族化合物成分を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸成分を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0016】
ホスゲンを使用する界面重縮合法は、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。この酸結合剤としては例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物を用いることができ、溶媒としては例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素を用いルことができる。また、反応促進のために例えば、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0017】
また、ジフェニルカーボネートを用いる溶融法は、不活性ガス雰囲気下所定割合の二価フェノール成分とジフェニルカーボネートとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら完結させる。また、反応を促進するために通常のエステル交換反応用触媒を使用することもできる。
【0018】
前記ポリカーボネートの分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネートは十分な強度が得られ、また成形時の溶融流動性も良好であり、好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めるものである。
【0019】
【数3】
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
(但し、[η]は極限粘度、c=0.7)
かかるポリカーボネートを製造する際、必要に応じて亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の安定剤、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェノール等の難燃剤、着色剤、滑剤等を添加することができる。
【0020】
本発明におけるポリカーボネート板状成形体は前記したポリカーボネートを溶融成形法、その他の方法で板状に成形したものであり、ヘーズ値が10%以下のものが好ましい。また、板状成形体の厚みは2〜8mm、更には3〜6mmであることが好ましい。さらに、本発明に用いられる板状成形体の熱膨張係数は、60×10−6〜70×10−6cm/cm・℃ある。
【0021】
本発明におけるプライマー層はポリカーボネート板状成形体とハードコート層との密着性に優れているものであれば、組成的には特に制約は無いが、熱膨張係数がポリカーボネート板状成形体の熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数との中間の値をとるものであることを要する。さらに詳しくは、ハードコート層の膜厚とプライマー層の膜厚の比に関連して、前記中間の値のさらに特定の範囲のものを用いることで一層優れた被覆ポリカーボネート板状成型体を得る事ができる。
かかる点から、前記プライマー層は、
(A)下記式(1)
【0022】
【化6】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
および下記式(2)
【0023】
【化7】
Figure 2004035614
(但し、式中Xは水素原子もしくはメチル基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)
で表わされる繰返し単位を50モル%以上含む共重合アクリル樹脂であり、且つ前記式(1)で表わされる繰返し単位と前記式(2)で表わされる繰返し単位のモル比が95:5〜60:40である共重合アクリル樹脂[(A)成分]及び
(B) (A)成分のヒドロキシ基1当量に対して換算イソシアネート基の総量で0.7〜5当量の、換算イソシアネート基含有率が5.0〜60重量%であるポリイソシアネート化合物類[(B)成分]
からなる成分を含むプライマー塗液を塗布し、熱硬化させた層であることが好ましい。
【0024】
ここで「換算イソシアネート基」とは、初期イソシアネート基即ち最初からイソシアネート基として存在するものと、後で加熱されたりしてイソシアネート基を生成する基とを意味している。また「イソシアネート化合物類」とは、イソシアネート化合物とイソシアネート化合物前駆体とを意味する。
【0025】
前記プライマー層は、さらに、耐候性向上の点から(C)成分として、(A)成分および(B)成分からなる硬化樹脂100重量部に対して10〜50重量部の紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
【0026】
前記(A)の共重合アクリル樹脂は前記式(1)および前記式(2)で示される繰返し単位からなる共重合体であり、対応するアルキルメタクリレートモノマーとヒドロキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーを共重合して得られるヒドロキシ基を有するアクリル樹脂である。
【0027】
前記アルキルメタクリレートモノマーとしては、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等を例示することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。中でもメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートが好ましい。
【0028】
また、ヒドロキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等を例示することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。中でも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0029】
前記ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂は、機能性付与等のため、さらに他の繰返し単位を含んでいても良い。他の繰返し単位はアクリレートまたはメタクリレートモノマーと共重合可能なビニル系モノマーを重合させることで導入できる。
【0030】
前記他のビニル系モノマーとしては、接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体が好ましく使用される。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等を例示することができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。また、共重合アクリル樹脂は単一組成のものを単独で使用する必要はなく、共重合アクリル樹脂を2種以上混合して使用しても良い。
【0031】
前記共重合アクリル樹脂の分子量は、重量平均分子量で20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましい。また、重量平均分子量で1千万以下のものがより好ましく使用される。かかる分子量範囲の共重合アクリル樹脂は、プライマー層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され、好ましい。
【0032】
前記式(1)で表わされる繰返し単位と前記式(2)で表わされる繰返し単位のモル比は95:5〜60:40の範囲であり、好ましくは92:8〜65:35の範囲である。また、共重合アクリル樹脂の80重量%以上が前記式(1)で表わされる繰返し単位および前記式(2)で表わされる繰返し単位であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、典型的には共重合アクリル樹脂が実質的に前記式(1)で表わされる繰返し単位および前記式(2)で表わされる繰返し単位からなる共重合体であることが好ましい。
【0033】
前記(B)におけるポリイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはこれらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂との付加物、あるいは上記したポリイソシアネート化合物同士の環化重合体、さらにはイソシアネート・ビュレット体等を挙げることができる。中でもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物や脂肪族ポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂との付加物、脂肪族ポリイソシアネート化合物同士の環化重合体などは、特に優れた耐候性を奏する点で好ましい。
【0034】
またポリイソシアネート化合物前駆体としては、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基にアセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、エチルフェノール等のフェノール類に代表されるブロック化剤を付加させ、熱分解によりポリイソシアネート化合物を生成するブロックイソシアネート化合物を挙げることができる。このブロックイソシアネートは熱硬化反応時に初めてイソシアネート基が生成するのでコーティング液の貯蔵安定性に優れ、またイソシアネート基が副反応に消費されることが少なく、特に好ましく使用される。これらポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物前駆体は単独もしくは2種類以上を混合して使用することができる。
【0035】
また、前記ポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物前駆体の換算イソシアネート基の含有率は5.0〜60重量%、好ましくは6.0〜55重量%、最も好ましくは6.0〜50重量%である。換算イソシアネート基含有率が5.0重量%未満であると、共重合アクリル樹脂に対するポリイソシアネート化合物類の配合量が多くなり、塗膜樹脂中の前記式(1)で表される繰返し単位の割合が低下するため、ポリカーボネート板状成形体との密着性が乏しくなる。また、60重量%より多くなると、塗膜の可撓性が低下し、ハードコート層を熱硬化する際に塗膜にクラックが発生し、環境の変化に対する耐久性を損なうため、好ましくない。
【0036】
前記ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂とポリイソシアネート化合物類との混合量比は(A)成分の共重合アクリル樹脂のヒドロキシ基1当量に対して、(B)成分の換算イソシアネート基が0.7〜5当量、好ましくは0.75〜3当量、最も好ましくは0.8〜2当量である。このような組成に調整することで、プライマー層はポリカーボネート板状成形体およびハードコート層であるオルガノシロキサン樹脂熱硬化層との良好な密着性を保つことができ、また、高水準の架橋密度を持つので紫外線や水、酸素による架橋密度の低下を引き起こしにくく、長期にわたる密着性、環境変化および高温環境下での耐久性を維持でき、耐候性に優れる。換算イソシアネート基が0.7当量より少ないと、架橋が不十分となるため高温環境での耐久性が不十分になり、また未反応のヒドロキシ基が水分子と高い親和性を示すために塗膜層が吸湿し、このため耐候性や耐熱水性も低くなる。一方、換算イソシアネート基が5当量よりも多いと、塗膜はアロファネート結合を伴った非常に架橋密度が高く、硬くてもろい層となり、環境の変化に対する追従性が悪くなり、環境の変化に対する密着性に劣り、好ましくない。
【0037】
前記(C)の紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ブチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール等のトリアジン類、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、酸化チタン酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウムなの金属酸化物微粒子類を挙げることができる。これらは単独使用もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜45重量部用いられる。紫外線吸収剤の量が5重量部未満であると、紫外線の透過率が高くなり、板状成形体の黄変が生じたり密着性を低下させるため、耐候性が乏しくなる。一方、50重量部を超えると、密着性が低下し、好ましくない。
【0038】
前記プライマー層の厚みは2〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。この層の厚が2μm未満であると、紫外線の透過率が高くなり、板状成形体の黄変が生じ密着性を低下させるため、耐候性が乏しくなる。一方、この層の厚が10μmより厚くなると、熱硬化時の架橋反応が十分進行せず、高温環境下での耐久性に乏しい塗膜になる。また、後述する(A)〜(C)成分を溶解するために使用する溶剤の揮発が不十分となり、塗膜中に残存し、耐熱水性、耐候性を損ねるため、好ましくない。
【0039】
本発明におけるプライマー層を形成する方法としては、(A)〜(C)成分を、ポリカーボネート板状成形体と反応したり、該成形体を溶解したりしない揮発性の溶媒に溶解してコーティング液を調製し、該液を板状成形体の表面に塗布し、次いで該溶媒を加熱等により除去し、さらに加熱してヒドロキシ基と初期および/または加熱により生成するイソシアネート基を反応させ架橋させる方法を用いるのが好ましい。
【0040】
この溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
前記ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂とポリイソシアネート化合物からなる組成物の溶媒にアルコールを用いる場合、ポリイソシアネート化合物と溶媒中のアルコールが反応して熱硬化アクリル樹脂が期待の性能を発揮できないことが予想されるが、溶媒に用いるアルコールを主として上記のような殊に沸点130℃以下の2級または3級アルコールとすると、溶媒中のアルコールは系中のポリイソシアネート化合物と反応する前に揮発除去され、本発明の熱硬化型アクリル樹脂からなるプライマー層の性能に問題を起こさない。
【0042】
前記(A)〜(C)からなる成分を含むコーティング液中の塗膜樹脂からなる固形分の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
【0043】
前記(A)〜(C)からなる成分を含むコーティング液のポリカーボネート板状成形体への塗布は、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗布される板状成形体の形状に応じて適宜選択することで行うことができる。コーティング液の塗布は、ポリカーボネート板状成形体の用途にもよるが、該板状成形体の片面又は両面に行う。このコーティング液が塗布された板状成形体は、通常、常温から該成形体の熱変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去が行われ、加熱硬化する。この熱硬化は板状成形体の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ、好ましい。なお、常温では、熱硬化が完全には進行せず、プライマー層に求められる十分な架橋密度を持った被膜にならない。かかる熱硬化の過程で、熱硬化型アクリル樹脂組成物中の架橋性基が反応して被膜の架橋密度が上がり、密着性、耐熱水性、高温環境下での耐久性に優れたプライマー層となる。熱硬化は、好ましくは80〜160℃の範囲、より好ましくは100〜140℃の範囲、最も好ましくは110〜130℃の範囲で、好ましくは10分間〜3時間、より好ましくは20分間〜2時間、最も好ましくは30分間から1時間30分間加熱して架橋性基を架橋させ、プライマー層として上記塗膜樹脂を積層した板状成形体が得られる。熱硬化時間が10分以下では架橋反応が十分に進行せず、高温環境下での耐久性、耐候性に乏しい塗膜層になることがある。一方、塗膜の性能上熱硬化時間は3時間以内で十分である。
【0044】
前記コーティング液には、必要に応じ、硬化触媒、光安定剤、シランカップリング剤等を添加することができる。
【0045】
前記硬化触媒としては、例えばジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫アセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクタノエート、ジ−n−ブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジメチルヒドロキシ錫オレエート、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、n−ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)等の有機錫化合物、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類等を挙げることができる。これらは単独使用もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.001〜3.0重量部、より好ましくは0.002〜2.0重量部用いられる。硬化触媒が0.001重量部未満であると、架橋反応を促進する作用が得られず、一方3.0重量部を超えると、該アクリル樹脂層とハードコート層との密着性が低下し、好ましくない。
【0046】
前記光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体を挙げることができる。これらは単独使用もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.05〜10重量部用いられる。
【0047】
前記シランカップリング剤としては、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができ、またこれらシランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、板状成形体とプライマー層およびプライマー層とハードコート層の密着力が長期にわたり持続される。これらは単独使用もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.2〜10重量部用いられる。
【0048】
前記共重合アクリル樹脂を主とする塗膜樹脂からなるプライマー層を形成することにより、ハードコート層と板状成形体との密着性が良好となり、耐摩耗性および耐久性に優れた被覆ポリカーボネート板状成形体を得ることができる。
【0049】
本発明におけるプライマー層の熱膨張係数は、上述したように、ポリカーボネートの熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数の間であることを要するが、具体的にはハードコート層膜厚とプライマー層膜厚の比に関連する下記範囲である。
【0050】
【数4】
Figure 2004035614
【0051】
本発明において、前記プライマー層の上に積層されるハードコート層は、プライマー層との密着性、耐久性に優れているものであれば、組成的には特に制約は無いが、上述したように、プライマー層の熱膨張係数がポリカーボネート板状成形体の熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数との中間の値をとるものであることを要する。通常、ハードコート層の熱膨張係数は3×10−6〜20×10−6cm/cm・℃ である。
【0052】
前記ハードコート層は、好ましくは(D)コロイダルシリカ及び(E)下記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物
【0053】
【化8】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
からなる成分を含むコーティング液を塗布し、熱硬化させてなる被膜である。
【0054】
前記ハードコート層は、好適には(D)コロイダルシリカおよび(E)トリアルコキシシランの加水分解縮合物からなるオルガノシロキサン樹脂固形分、酸、硬化触媒並びに溶媒からなるコーティング液を用いて形成される。
【0055】
前記(D)成分のコロイダルシリカとしては、直径が5〜200nm、好ましくは5〜40nmのシリカ微粒子を水または有機溶媒中にコロイド状に分散させたものが用いられる。このコロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも良いが、水分散型のものがより好ましい。このコロイダルシリカとしては、具体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、触媒化成工業(株)のカタロイドSN30、塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST等を例示することができる。
【0056】
前記(E)成分であるトリアルコキシシランの加水分解縮合物は、前記式(3)のトリアルコキシシランを加水分解縮合反応させたものである。
【0057】
このトリアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらは単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0058】
また、特に耐摩耗性に優れたハードコート層を形成するコーティング組成物を得るためには70重量%以上がメチルトリアルコキシシランであることが好ましく、実質的に全量がメチルトリアルコキシシランであることがさらに好ましい。ただし、密着性の改善、親水性、撥水性等の機能発現を目的として少量のメチルトリアルコキシシラン以外の上記トリアルコキシシラン類を添加することがある。
【0059】
前記(E)成分は、トリアルコキシシランの一部または全部が加水分解したもの及び該加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物等の混合物であり、これらはゾルゲル反応をさせることにより得ることができる。
【0060】
前記オルガノシロキサン樹脂固形分である(D)成分および(E)成分の混合割合はコーティング液の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及びクラック発生の有無等の点から決められ、好ましくは(D)成分が10〜40重量%、(E)成分がRSiO3/2に換算して60〜90重量%であり、さらに好ましくは(D)成分が15〜35重量%、(E)成分がRSiO3/2に換算して65〜85重量%である。
【0061】
前記した(D)成分および(E)成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分は、以下のプロセスを経て調製することが、沈殿の生成がなく、より耐摩耗性に優れるコート層を得ることができ、好ましく採用される。
【0062】
プロセス(1):コロイダルシリカ分散液中で前記式(3)のトリアルコキシシランを酸性条件下加水分解縮合反応させる。
【0063】
ここで、トリアルコキシシランの加水分解反応に必要な水は、水分散型のコロイダルシリカ分散液を使用した場合はこの分散液から供給され、必要であればさらに水を加えてもよい。トリアルコキシシラン1当量に対して通常1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量、さらに好ましくは3〜5当量の水が用いられる。
【0064】
このトリアルコキシシランの加水分解縮合反応は、酸性条件下で行うのが好ましく、この条件下で加水分解を行うために一般的には加水分解剤として酸が使用される。この酸は、予めトリアルコキシシランまたはコロイダルシリカ分散液に添加するか、両者を混合後に添加してもよい。また、この添加は1回或いは2回以上に分けることもできる。この酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸を挙げることができ、pHコントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0065】
前記酸として無機酸を使用する場合は、0.0001〜2規定、更には0.001〜0.1規定の濃度で使用するのが好ましく、また有機酸を使用する場合はトリアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、更には1〜30重量部の範囲で用いるのが好ましい。
【0066】
本発明におけるハードコート塗液は、さらに、
(D)コロイダルシリカ、
(F)下記式(4)で表わされるメチルトリアルコキシシランの加水分解縮合物
【0067】
【化9】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
及び
(H)硬化触媒
からなる成分を含む塗液であって、該塗液は測定溶媒として重メタノール(CDOD)を用い、観測周波数400MHz、45°パルス5.4μs、繰り返し時間30秒、ブロードニングファクター0.12Hzの条件でプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定したとき、塗液のシリルメチル基プロトンのケミカルシフトが、テトラメチルシランのメチル基プロトンを0ppmとして、0.05ppmから0.25ppmの範囲のすべてのピークの積分値を[S]、該ピーク積分値中で0.20ppmから0.25ppmの範囲のピーク積分値を[X]、0.10ppmから0.20ppmの範囲のピーク積分値を[Y]、0.05ppmから0.10ppmの範囲のピーク積分値を[Z]とすると、0.850≦[Y]/[S]≦0.990であり、かつ0.005≦[X]/[S]≦0.090であり、かつ0.001≦[Z]/[S]≦0.090であることが好ましい。
【0068】
トリアルコキシシラン、特にメチルトリアルコキシシランの加水分解、縮合反応の条件は使用するトリアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜40℃、反応時間が1時間〜数日間である。トリアルコキシシラン、特にメチルトリアルコキシシランの加水分解反応は発熱反応だが、系の温度は最高でも60℃を超えないことが望ましい。このような条件で十分に加水分解反応を進行させた上で、コート剤の安定化のため40〜80℃で1時間〜数日間縮合反応を進行させることも好ましく行われる。上述の条件で加水分解反応を十分に行うことで、0.850≦[Y]/[S]≦0.990、および0.001≦[Z]/[S]≦0.090を実現することができる。[X]/[S]≧0.090の場合はオルガノシロキサン樹脂は縮合反応が進行しすぎているため、塗膜層に十分な耐摩耗性をだすことができない。また、[Z]/[S]≧0.090の場合は加水分解、縮合反応の進行が不十分なため塗膜熱硬化時にクラックが発生する。[Y]/[S]≦0.850では熱硬化時にクラックが発生する、および(または)塗膜の耐摩耗性が不十分になる。一方、[Y]/[S]≧0.990、[X]/[S]≦0.005、[Z]/[S]≦0.001を他の条件を満たした上で実現するのは技術上困難である。
【0069】
この反応で、例えば前記式(4)のメチルトリアルコキシシランは加水分解されて下記式(6)
【0070】
【化10】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜3の整数を意味する。)
で表わされる加水分解物となり、生成したSi−OHはコロイダルシリカ中のSi−OHや、この分子とは別のトリアルコキシシラン加水分解物分子のSi−OHと縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成し、生成した縮合物もまた別のSi−OHと縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成する。この加水分解反応及び縮合反応は完全ではなく部分的に進行する。
【0071】
反応液をプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定すると、オルガノシロキサン樹脂組成物のシリルメチル基プロトンのケミカルシフトが、テトラメチルシランのメチル基プロトンを0ppmとして、メチルトリアルコキシシランのメチル基プロトンピークで0.07〜0.08ppmにメチルヒドロキシジアルコキシシランのメチル基プロトンピークで0.09〜0.1ppm、メチルジヒドロキシアルコキシシランのメチル基プロトンピークで0.1〜0.11ppm、メチルトリヒドロキシシランのメチル基プロトンピークで0.12ppmになる。またこれらのヒドロキシシランが縮合反応を起こした縮合物のメチル基プロトンピークはこれより低磁場の0.1〜0.25ppmになる。縮合反応が進行するほどにピークは低磁場側に移動し、またピークの幅が広くなる。大別すると0.05〜0.10ppmの高磁場領域に原料トリアルコキシシランおよび低加水分解物メチル基由来のピークが、0.10〜0.20ppmの中磁場領域に高加水分解、低縮合物メチル基由来のピークが、0.20〜0.25ppmの低磁場領域に高縮合物メチル基由来のピークおよびピークの袖が確認できる。
【0072】
オルガノシロキサン樹脂組成物には適切な加水分解、縮合割合が存在し、加水分解反応の進行が不十分だと熱硬化時に原料トリアルコキシシランの蒸散、急激な硬化反応の進行等の原因でヘアークラックが発生する。一方、縮合反応が進行しすぎるとゾル中の粒子径が大きくなりすぎ、適切な架橋反応が不可能になるため耐摩耗性が低下する。
【0073】
前記ハードコート層には、さらに高いレベルの耐摩耗性を実現するために、下記式(5)で表わされるテトラアルコキシシランを(F)成分として含有させることができる。
【0074】
【化11】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
前記テトラアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシランなどが挙げられ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。これらのテトラアルコキシシランは単独もしくは2種以上を混合して使用できる。
【0075】
前記テトラアルコキシシランの添加は、(i)上記プロセス(1)の反応で得られた反応液に前記式(5)のテトラアルコキシシランを添加し、加水分解縮合反応せしめる方法、(ii)上記プロセス(1)の反応で得られた反応液と、予め前記式(5)のテトラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混合する方法で行うことができる。ただし、添加方法はこれらに限定されるものではない。
【0076】
(i)上記プロセス(1)の反応で得られた反応液にテトラアルコキシシランを添加し加水分解縮合反応せしめる場合、この加水分解縮合反応は酸性条件下で行われる。上記プロセス(1)の反応で得られた反応液は通常、酸性で水を含んでいるのでテトラアルコキシシランはそのまま添加するだけでもよいし、必要であればさらに水、酸を添加してもよい。この酸としては前記した酸と同様のものが使用され、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。この酸として無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.1規定の濃度で使用し、また有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で用いられる。
【0077】
加水分解反応に必要な水はテトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜30当量の水が用いられる。
【0078】
前記テトラアルコキシシランの加水分解、縮合反応の条件は使用するテトラアルコキシシラン化合物の種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜40℃、反応時間が10分間〜数日間である。
この反応で前記式(5)のテトラアルコキシシランはまず加水分解反応して下記式(7)
【0079】
【化12】
Figure 2004035614
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、pは1〜4の整数を意味する。)
で表わされる加水分解物になり、次いでトリアルコキシシラン加水分解(縮合)物が縮合したコロイダルシリカ中のSi−OH、トリアルコキシシラン加水分解(縮合)物中のSi−OH、さらにテトラアルコキシシラン加水分解(縮合)物中のSi−OHと縮合反応してSi−O−Si結合を形成する。この加水分解反応及び縮合反応は完全ではなく部分的に進行する。
【0080】
一方、(ii)上記プロセス(1)の反応で得られた反応液と、予め前記式(5)のテトラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混合する場合は、まずテトラアルコキシシランを加水分解縮合させる必要がある。この加水分解縮合反応は酸性条件下、テトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜20当量の水を用いて20〜40℃で1時間〜数日反応させることによって行われる。この加水分解縮合反応には酸が使用される。この酸としては前記した酸と同様のものを挙げることができ、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。この酸は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.1規定の濃度で用い、有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で用いられる。
【0081】
この反応でテトラアルコキシシランはまず加水分解されて前記式(7)で表わされる加水分解物となり、次いでかかる加水分解物のSi−OH同士が縮合反応してSi−O−Si結合を形成する。この加水分解反応及び縮合反応は完全ではなく部分的に進行する。
【0082】
さらに、プロセス(1)の反応で得られた反応液と、前記テトラアルコキシシランを加水分解縮合反応させた反応液とを混合すると、テトラアルコキシシラン加水分解(縮合)物がトリアルコキシシラン加水分解(縮合)物が縮合したコロイダルシリカ中のSi−OH、トリアルコキシシラン加水分解(縮合)物中のSi−OH、他のテトラアルコキシシラン加水分解(縮合)物中のSi−OHと縮合反応してSi−O−Si結合を形成する。この縮合反応も完全ではなく部分的に進行する。
【0083】
この方法でオルガノシロキサン樹脂固形分を調製することにより、コーティング液中でシリカ微粒子とテトラアルコキシシラン加水分解部分縮合物とが直接強固に結合して沈殿が生成するのを防ぐことができる。一方、コロイダルシリカ中にトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランを混合し、該アルコキシシランを並行して加水分解縮合反応させるような方法では、沈殿が発生したり、十分な耐摩耗性が得られない。
【0084】
前記ハードコート塗液の調製にテトラアルコキシシラン又はそのの加水分解物を用いた場合、得られるハードコート塗液は前記した方法でプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定したときの[S]、[X]、[Y]、[Z]の関係が0.850≦[Y]/[S]≦0.990であり、かつ0.005≦[X]/[S]≦0.090であり、かつ0.001≦[Z]/[S]≦0.090であることを満足することが好ましい。
【0085】
前記オルガノシロキサン樹脂固形分である(D)〜(G)成分の混合割合はコーティング液の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及びクラック発生の有無等の点から決められ、好ましい混合割合は(D)成分が5〜45重量%、(E)成分又は(F)成分がRSiO3/2に換算して50〜80重量%、(G)成分がSiOに換算して2〜30重量%であり、好ましくは(D)成分が15〜35重量%、(E)成分又は(F)成分がRSiO3/2に換算して55〜75重量%、(G)成分がSiOに換算して3〜20重量%である。
【0086】
前記ハードコート塗液は、通常、さらに硬化触媒を含有する。この触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、コリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。この硬化触媒は(D)および(E)成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0087】
前記ハードコート塗液に用いられる溶媒としては、前記オルガノシロキサン樹脂固形分が安定に溶解することが必要であり、そのためには少なくとも20重量%以上、好ましくは50重量%以上がアルコールであることが望ましい。このアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等を挙げることができ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。この溶媒中には水分散型コロイダルシリカ中の水で該加水分解反応に関与しない水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使用した場合にはその分散媒の有機溶媒、コーティング液のpH調節のために添加される酸も含まれる。pH調節のために使用される酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸を挙げることができ、pHコントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましい。その他の溶媒としては水/アルコールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類が挙げられる。溶媒は(D)ないし(F)成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して好ましくは50〜900重量部、より好ましくは150〜700重量部である。
【0088】
ハードコート塗液は、酸及び硬化触媒の含有量を調節することによりpHを3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調整することが望ましい。これにより、常温での塗液のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。この塗液は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な組成物になる。
【0089】
前記ハードコート層には、さらに前述した紫外線吸収剤を含有させることによりさらに耐候性を高めることができる。この紫外線吸収剤はオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対し0.1〜6.0重量部、好ましくは0.2〜5.0重量部用いられる。
【0090】
ハードコート塗液は、ポリカーボネート板状成形体上に形成されたプライマー層の上にコーティングされ、加熱硬化することにより硬化樹脂被膜のハードコート層を形成する。ハードコート層の形成はプライマー層の形成に引き続き連続して行うことが好ましい。塗布方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗布される成形体の形状に応じて適宜選択することができる。この塗液が塗布された板状成形体は、通常常温から該成形体の熱変形温度以下の温度下で溶媒を乾燥、除去した後、加熱硬化する。かかる熱硬化は成形体の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が進まず、硬化被膜を得ることができない。これは、コーティング液のオルガノシロキサン樹脂固形分が部分的に縮合したものであることを意味する。この熱硬化の過程で、残留するSi−OHが縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成し、耐摩耗性に優れたコート層となる。熱硬化は好ましくは50℃〜200℃の範囲、より好ましくは80℃〜160℃の範囲、さらに好ましくは100℃〜140℃の範囲で、好ましくは10分間〜4時間、より好ましくは20分間〜3時間、さらに好ましくは30分間〜2時間加熱硬化する。
【0091】
前記ハードコート層の厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜8μmである。さらに好ましい膜厚は、通常十分な耐磨耗性を有する4〜6μmである。 さらに、本発明のプライマー層およびハードコート層の上記コーティング液には、塗工性並びに得られる塗膜の平滑性を向上する目的で、公知のレベリング剤を配合することができる。この剤としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)のシリコーン化合物SH200−100cs、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST83PA、ST80PA、ST97PA、ST86PA、SH21PA、信越化学工業(株)のシリコーン化合物KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、大日本インキ化学工業(株)のフッ素系界面活性剤F−179、F−812A、F−815等を挙げることができる。これらは単独使用もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.0001〜2.0重量部、より好ましくは0.0005〜1.0重量部用いられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で染料、顔料、フィラーなどを添加してもよい。
【0092】
かくして得られる本発明の被覆ポリカーボネート板状成形体は、特定の熱膨張係数を有する熱硬化型アクリル樹脂層を主とするプライマー層並びにコロイダルシリカ、トリアルコキシシラン加水分解縮合物からなるオルガノポリシロキサン樹脂を熱硬化してなるハードコート層を有することにより、従来にない高いレベルの耐候性、耐摩耗性を持ち、高温環境下で十分な耐久性を持つ成形体となる。
【0093】
本発明の被覆ポリカーボネート板状成形体は、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、建設機械の窓ガラス、ビル、家、温室などの窓ガラス、ガレージ、アーケードの屋根、前照灯レンズ、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、カーブミラー、バイクの風防、銘板、その他各種シート等に好適に使用することができる。
【0094】
また、本発明の被覆ポリカーボネート板状成形体の耐磨耗性は、Calibrase社製CS−10F摩耗輪を使用し、荷重500g下1000回転のテーバー摩耗試験を行い、その試験前後のヘーズ値の変化が6%以下であるものが好ましい。
【0095】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、得られた被覆ポリカーボネート板状成形体は以下の方法によって評価した。また、実施例中の部および%は重量部および重量%を意味する。(1) 熱膨張係数
塗料をテフロンシートに測定対象の実施例又は比較例と同様に塗布し、加熱乾燥を行ない、フィルム状の硬化塗膜を形成し、それを剥離して測定試料とし、TMA(熱機械的分析)法を用いて測定した。
真空理工社製 熱機械分析装置TMッ3000を恒温恒湿槽内に置き測定を行う。このときの原サンプル寸法は、長さ15mm、幅5mmとした。
荷重        :5.0g/5mm幅
温度範囲    : RT→80℃
昇温速度    : 2℃/min
【0096】
(2) プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
測定溶媒として重メタノール(CDOD)を用い、観測周波数400MHz、45°パルス5.4μs、繰り返し時間30秒、ブロードニングファクター0.12Hzの条件でプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定した。
【0097】
(3)外観評価
目視にて試験片のコート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
【0098】
(4)密着性
コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして基材上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5400に準拠)。
【0099】
(5)耐擦傷性
試験片を#0000のスチールウールで擦った後、表面の傷つきの状態を目視により5段階で評価した。
1:500g荷重で10回擦っても全く傷つかない
2:500g荷重で10回擦ると僅かに傷つく
3:500g荷重で10回擦ると少し傷つく
4:500g荷重で10回擦ると傷つく
5:100g荷重で10回擦ると傷つく
【0100】
(6)耐摩耗性
JIS K6735に準じて、磨耗輪はCalibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した。但し、磨耗輪のリフェースは研磨紙AA−400に代えて研磨紙S−11を用いて25回転で行なった。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
【0101】
(7)耐熱水性
試験片を沸騰水中に浸漬し、コート層にクラックや剥膜離など外観変化や、密着性低下などが始まるまでの時間を測定した。
【0102】
(8)環境サイクルテスト
試験片を80℃で80%RH環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間、−15℃環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間放置するサイクルを1サイクルとし、このようなサイクルを繰り返し外観変化や、密着性低下を起こすサイクル数を評価した。
【0103】
(9)高温環境耐久性
試験片を105℃環境下で処理し、外観変化、密着性の低下起こすまでの時間を評価した。
【0104】
(10)耐侯性
スガ試験機製造(株)スーパーキセノン(UV照射強度180W/m、ブラックパネル温度63℃、120分中18分スプレー)にて暴露を行い、試験片を取り出して外観変化、密着性の低下起こすまでの時間を評価した。
【0105】
(11)膜厚
干渉膜厚計(大塚電子 MCPD1000)をもちいて、屈折率をプライマーは1.49、ハードコートは1.43 として測定した。
【0106】
(アクリル樹脂(I)〜(VI)の合成)
[参考例1]
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にメチルメタクリレート(以下MMAと略称する)80.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.14部及び1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、MMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(I))80部を得た。該コポリマーの水酸基価は54.3mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で180000であった。
【0107】
[参考例2]
MMA80.1部、HEMA26部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/HEMAの組成比80/20(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(II))90部を得た。該コポリマーの水酸基価は101.8mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0108】
[参考例3]
エチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、HEMA13部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例3と同様にしてEMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(III))100部を得た。該コポリマーの水酸基価は46.7mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0109】
[参考例4]
EMA97部、HEMA19.5部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例3と同様にしてEMA/HEMAの組成比85/15(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(IV))100部を得た。該コポリマーの水酸基価は72.1mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0110】
[実施例1]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(I)8.9部および2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.5部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部および2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.5当量となるようにヘキサメチレンジイソシアネート1.1部を添加して25℃で5分間攪拌しコーティング用組成物(i−1)を調製した。
【0111】
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水2部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム2部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−1)を得た。
【0112】
透明な3mm厚のポリカーボネート樹脂(以下PC樹脂と略称する)製シート上に、コーティング用組成物(i−1)をワイヤバー #20で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。同時にテフロンシートに塗装したプライマー膜の熱膨張係数を測定すると 55×10−6であった。
【0113】
次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をワイヤバー#25で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmだった。同時にテフロンシートに塗装したハードコート膜の熱膨張係数を測定すると 15×10−6であった。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0114】
[比較例1]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(II)8.3部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン2部をメチルエチルケトン30部、メチルイソブチルケトン30部および2−メチル−2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.5当量となるようにイソホロンジイソシアネート0.85部を添加して25℃で5分間攪拌し、コーティング用組成物(i−2)を調製した。
【0115】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−2)をワイヤバー#20で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。実施例1と同様に熱膨張係数を測定すると15×10−6 であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第層のハードコートを塗布した。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0116】
[比較例2]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(III)7.7部および2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、イソプロパノール24部、および1−メトキシ−2−プロパノール3.2部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が6当量となるようにVESTANATB1358/100(デグサジャパン製ポリイソシアネート化合物前駆体)13.8部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.001部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−3)を調製した。
【0117】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−3)をワイヤバー#20で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。実施例1と同様にして測定した熱膨張係数は20×10−6であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第2層のハードコートを塗装した。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0118】
[実施例2]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(IV)5.8部および2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール2.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(IV)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.2当量となるようにタケネートXB−72−H6(三井武田ケミカル製ポリイソシアネート化合物前駆体)4.0部、APZ−6633(日本ユニカー製シランカップリング剤)0.1部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−4)を調製した。
【0119】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−4)をワイヤバー#10で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は2.0μmだった。 実施例1と同様に熱膨張係数を測定すると45×10−6であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第2層のハードコートを塗装した。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0120】
[比較例3]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(III)6.4部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン1.8部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(III)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.5当量となるようにデュラネートMF20−B(旭化成製ポリイソシアネート化合物前駆体)2.0部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−5)を調製した。
【0121】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−5)をワイヤバー#10で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は2.0μmだった。このプライマー層の熱膨張係数は55×10−6であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第2層のハードコートを塗装した。
【0122】
[実施例3]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(II)5.4部および2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.6部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量となるようにタケネートXB−72−H6(三井武田ケミカル製ポリイソシアネート化合物前駆体)4.6部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−6)を調製した。
【0123】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−6)をワイヤバー#40で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は8.0μmだった。このプライマー層の熱膨張係数は63×10−6であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第2層のハードコートを塗装した。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0124】
[比較例4]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(IV)9部および2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール2.2部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(IV)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が7当量となるようにトリレンジイソシアネート7部、APZ−6633(日本ユニカー製シランカップリング剤)0.1部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−7)を調製した。
【0125】
3mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−7)をワイヤバーで塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は8.0μmだった。熱膨張係数は20×10−6であった。
次いで、該シートの被膜表面上に実施例1と同様に第2層のハードコートを塗装した。
得られたPC樹脂成形体の評価結果を表1に示した。
【0126】
【表1】
Figure 2004035614
【0127】
【発明の効果】
本発明の被覆ポリカーボネート板状成形体は、外観、耐熱水性、密着性、耐摩耗性が良好で、高いレベルの耐候性を有し、環境の変化や高温環境に対する耐久性に優れ、殊に両面を保護された被覆ポリカーボネート板状成形体は自動車用窓ガラスやサンルーフに好適に使用され、その奏する工業的効果は格別である。

Claims (8)

  1. ポリカーボネートの板状成形体、その少なくとも片面の上に設けられたプライマー層、さらにその上に設けられたハードコート層からなる被覆ポリカーボネート板状成形体であって、プライマー層の熱膨張係数がポリカーボネート板状成形体の熱膨張係数とハードコート層の熱膨張係数に対して以下の式を満たすことを特徴とする被覆ポリカーボネート板状成形体。
    Figure 2004035614
  2. ポリカーボネートが2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを主たるビスフェノール成分とするポリカーボネートである請求項1記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  3. ポリカーボネートが1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5―トリメチル−シクロヘキサン又はα,α‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンをビスフェノール成分中に10モル%以上含有するポリカーボネートである請求項1記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  4. プライマー層が、
    (A) 下記式(1)
    Figure 2004035614
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    および下記式(2)
    Figure 2004035614
    (但し、式中Xは水素原子もしくはメチル基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)
    で表わされる繰返し単位を50モル%以上含む共重合アクリル樹脂であり、且つ前記式(1)で表わされる繰返し単位と前記式(2)で表わされる繰返し単位のモル比が95:5〜60:40である共重合アクリル樹脂[(A)成分]及び
    (B) (A)成分のヒドロキシ基1当量に対して換算イソシアネート基の総量で0.7〜5当量の、換算イソシアネート基含有率が5.0〜60重量%であるポリイソシアネート化合物類[(B)成分]
    からなる成分を含むプライマー塗液を塗布し、熱硬化させた被膜である請求項1記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  5. ハードコート層が、
    (D)コロイダルシリカ 及び
    (E)下記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物
    Figure 2004035614
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    からなる成分を含むハードコート塗液を塗布し、熱硬化させた被膜である請求項1記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  6. ハードコート塗液が、
    (D)コロイダルシリカ、
    (F)下記式(4)で表わされるメチルトリアルコキシシランの加水分解縮合物
    Figure 2004035614
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    及び
    (H)硬化触媒
    からなる成分を含む塗液であって、該塗液は測定溶媒として重メタノール(CDOD)を用い、観測周波数400MHz、45°パルス5.4μs、繰り返し時間30秒、ブロードニングファクター0.12Hzの条件でプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定したとき、塗液のシリルメチル基プロトンのケミカルシフトが、テトラメチルシランのメチル基プロトンを0ppmとして、0.05ppmから0.25ppmの範囲のすべてのピークの積分値を[S]、該ピーク積分値中で0.20ppmから0.25ppmの範囲のピーク積分値を[X]、0.10ppmから0.20ppmの範囲のピーク積分値を[Y]、0.05ppmから0.10ppmの範囲のピーク積分値を[Z]とすると、0.850≦[Y]/[S]≦0.990であり、かつ0.005≦[X]/[S]≦0.090であり、かつ0.001≦[Z]/[S]≦0.090である請求項5記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  7. ハードコート層が、
    (D)コロイダルシリカ、
    (E)前記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物及び
    (G)下記式(5)で表わされるテトラアルコキシシランの加水分解縮合物
    Figure 2004035614
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    からなる成分を含むハードコート塗液を塗布し、熱硬化させた被膜である請求項1記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
  8. ハードコート塗液が、(D)コロイダルシリカ、(F)前記式(4)で表わされるメチルトリアルコキシシランの加水分解縮合物、(G)前記式(5)で表わされるテトラアルコキシシランの加水分解縮合物及び(H)硬化触媒からなる成分を含む塗液であって、該塗液は測定溶媒として重メタノール(CDOD)を用い、観測周波数400MHz、45°パルス5.4μs、繰り返し時間30秒、ブロードニングファクター0.12Hzの条件でプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)測定したとき、オルガノシロキサン樹脂組成物のシリルメチル基プロトンのケミカルシフトが、テトラメチルシランのメチル基プロトンを0ppmとして、0.05ppmから0.25ppmの範囲のすべてのピークの積分値を[S]、該ピーク積分値中で0.20ppmから0.25ppmの範囲のピーク積分値を[X]、0.10ppmから0.20ppmの範囲のピーク積分値を[Y]、0.05ppmから0.10ppmの範囲のピーク積分値を[Z]とすると、0.850≦[Y]/[S]≦0.990であり、かつ0.005≦[X]/[S]≦0.090であり、かつ0.001≦[Z]/[S]≦0.090である請求項7記載の被覆ポリカーボネート板状成形体。
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