JP2004025470A - オルガノシロキサン樹脂組成物で表面が保護された透明プラスチック成形体 - Google Patents

オルガノシロキサン樹脂組成物で表面が保護された透明プラスチック成形体 Download PDF

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Toshio Kida
喜田 稔男
Yoshihiko Imanaka
今中 嘉彦
Takehiro Suga
菅 武宏
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

【課題】高い耐候性を付与しうる硬化被膜で表面を保護された環境変化および高温環境に対しての耐久性が著しく改善された、耐摩耗性、耐熱水性にも優れた性能を有する透明プラスチック成形体を提供する。
【解決手段】透明プラスチック基材表面の少なくとも片面に、第1層として、(A)特定化学式を含む共重合アクリル樹脂、(B)ポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体および(C)(A)および(B)からなる塗膜樹脂100重量部に対して10〜50重量部の紫外線吸収剤、を含有してなる塗料組成物を熱硬化させてなるアクリル樹脂層が積層され、その第1層上に第2層として(D)コロイダルシリカおよび(E)特定化学式で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物の熱硬化塗膜層が積層された、表面を保護された透明プラスチック成形体。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面を保護された透明プラスチック成形体に関する。さらに詳しくは透明プラスチック基材に特定組成の熱硬化型アクリル塗料組成物を熱硬化させた層とオルガノシロキサンの硬化物層とを順次積層することにより、耐候性、環境変化および高温環境に対しての耐久性が著しく改善された、耐摩耗性、耐熱水性、耐湿熱性に優れたプラスチック成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック材料は、耐衝撃性、軽量性、加工性等の特長を生かして、多方面の用途で使用されている。特に、透明プラスチックであるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂等はガラスの代替として幅広く利用されている。しかし、これらの樹脂は耐候性が十分ではなく、長期の屋外の使用において分解・劣化するため物性、外観が損われることが知られている。またこれらの樹脂は耐摩耗性も乏しく表面が傷つきやすく、また溶剤に侵されやすい等の欠点を有している。
【0003】
近年、その軽量性、安全性を活かして窓ガラス、殊に自動車の窓ガラスに有機ガラスとして透明プラスチックシートを適用しようとする動きがある。このような用途に透明プラスチックシートを適用する場合、ガラス並の高度な耐候性が要求される。また、前面ガラスではワイパー作動時のすり傷発生を防止する必要があり、サイドウィンドーではウィンドー昇降時のすり傷発生を防止する必要がある。このような用途では高いレベルの耐摩耗性が要求される。さらに、サンルーフは真夏の炎天下ではかなりの高温になることが予想され、この用途に使用されるプラスチック成形体は、環境の変化および高温環境下においてより強い耐久性が要求されている。
【0004】
これらの欠点を改良する目的で、従来からプラスチック表面に熱硬化型アクリル樹脂層を設け、さらにその上にシロキサン系の硬化被膜を被覆することにより耐候性、耐久性、耐摩耗性を改良する数多くの提案がなされてきている。
【0005】
例えば、本発明者らは特開2000−318106号公報で、熱硬化型アクリル樹脂層に特定構造の紫外線吸収剤を添加することで耐候性が改良されることを示したが、屋外での長期の使用に耐えうる十分な耐候性が得られていない。
【0006】
一方で耐摩耗性を改良する数多くの提案もなされている。例えば特開昭51−2736号公報および特開昭55−94971号公報にはトリヒドロキシシラン部分縮合物とコロイダルシリカからなるコーティング用組成物が記載されている。また、特開昭48−26822号公報および特開昭51−33128号公報にはアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの部分縮合物を主成分とするコーティング用組成物が記載されている。さらに特開昭63−278979号公報および特開平1−306476号公報にはアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮合物にコロイド状シリカを添加したコーティング用組成物が記載されている。
【0007】
しかしながら、これらのコーティング用組成物から得られる硬化被膜を透明プラスチック基材に積層したものはある程度の優れた耐摩耗性を有するが、環境変化および高温環境下での耐久性において自動車窓ガラスとして使用するに十分ではない。前記プラスチック成形体は、耐候性、耐摩耗性のみならず、環境の変化に対して特に高温環境下では基材のプラスチックとオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる層の熱膨張率の違いにより、オルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる層が引張られコート層にクラックが生じる場合があり、より高度な耐久性を有するものが求められている。
【0008】
これらを改善する目的で特開昭62−169832号公報において、アクリルポリオールとイソシアネート化合物からなる熱硬化型アクリル樹脂層を第1層として用いることで環境変化、特に温度変化に対する耐久性を改善する提案がなされているが、自動車窓ガラスとして使用するのに十分な耐久性を有していない。
【0009】
また塗膜中に残存したイソシアネート基が、使用中に大気中の水分や塗膜中の水分と反応し、アミンや尿素結合を生成し、塗膜物性が変化するため長期にわたり、環境変化に対する耐久性や、高温環境下での耐久性が維持できないという欠点を有する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は高い耐候性を付与しうる硬化被膜で表面を保護された環境変化および高温環境に対しての耐久性が著しく改善された、耐摩耗性、耐熱水性にも優れた性能を有するプラスチック成形体を提供することにある。
【0011】
本発明者らは、この目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、透明プラスチック基材の少なくとも片面に特定組成の熱硬化型アクリル樹脂層で、且つ該塗膜層の赤外吸収スペクトルにおいて、そのCO(1720cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIおよびNCO(2260cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIで表したとき、I/Iが0.3以下となる塗膜層を第1層とし、コロイダルシリカ、トリアルコキシシラン加水分解縮合物からなるオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる第2層を第1層から順次積層することにより、高いレベルの耐候性、耐摩耗性を付与し、かつ環境の変化や高温環境下での十分な耐久性をも併せ持つ硬化被膜で表面を保護された透明プラスチック成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、透明プラスチック基材表面の少なくとも片面に、
第1層として、
(A)下記式(1)
【0013】
【化5】
Figure 2004025470
【0014】
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
および下記式(2)
【0015】
【化6】
Figure 2004025470
【0016】
(但し、式中Xは水素原子もしくはメチル基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)
で示される繰り返し単位を50モル%以上含む共重合アクリル樹脂であり、且つ前記式(1)で示される繰り返し単位と前記式(2)で示される繰り返し単位のモル比が95:5〜60:40であるアクリル樹脂、
(B)初期および/または生成するイソシアネート基含有率が5.0〜60重量%であり、かつ(A)のヒドロキシ基1当量に対して初期および生成するイソシアネート基の総量で0.6〜2.0当量であるポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体および
(C)(A)および(B)からなる塗膜樹脂100重量部に対して10〜50重量部の紫外線吸収剤
を含有してなる塗料組成物を2〜10μmの膜厚に熱硬化させてなるアクリル樹脂層が積層され、その第1層上に第2層として
(D)コロイダルシリカ(a成分)および
(E)下記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)
【0017】
【化7】
Figure 2004025470
【0018】
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物の熱硬化塗膜層が積層された、表面を保護された透明プラスチック成形体において、該アクリル樹脂層の赤外線吸収スペクトルを測定し、そのCO(1720cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIおよびNCO(2260cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIで表したとき、I/Iが0.3以下であることを特徴とする表面が保護された透明プラスチック成形体が提供される。
【0019】
本発明において、第1層として透明プラスチック基材表面に積層される塗膜樹脂は、(A)前記式(1)および前記式(2)で示される繰り返し単位を50モル%以上含む共重合アクリル樹脂であり、且つ前記式(1)で示される繰り返し単位と前記式(2)で示される繰り返し単位のモル比が95:5〜60:40であるアクリル樹脂、および(B)初期および/または生成するイソシアネート基含有率が5.0〜60重量%であり、かつ(A)のヒドロキシ基1当量に対して初期および生成するイソシアネート基の総量で0.6〜2.0当量であるポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体および(C)(A)および(B)からなる塗膜樹脂100重量部に対して10〜50重量部の紫外線吸収剤を含んでなる塗料組成物を2〜10μmの膜厚に熱硬化させてなるアクリル樹脂層である。
【0020】
(A)のアクリル樹脂は前記式(1)および前記式(2)で示される繰り返し単位からなる共重合体であり、対応するアルキルメタクリレートモノマーとヒドロキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーを共重合して得られるヒドロキシ基を有するアクリル樹脂である。
【0021】
アルキルメタクリレートモノマーとしては、具体的にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでもメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートが好ましい。
【0022】
また、ヒドロキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく採用される。
【0023】
上記ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂は機能性付与等のためさらに他の繰り返し単位を含んでいても良い。他の繰り返し単位はアクリレートまたはメタクリレートモノマーと共重合可能なビニル系モノマーを重合させることで導入できる。他のビニル系モノマーとしては、接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体が好ましく使用される。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(2′−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。また、アクリル樹脂は単一組成のものを単独で使用する必要はなく、アクリル樹脂を2種以上混合して使用しても良い。
【0024】
上記アクリル樹脂の分子量は、重量平均分子量で20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、また、重量平均分子量で1千万以下のものが好ましく使用される。かかる分子量範囲の上記アクリル樹脂は、第1層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
【0025】
前記式(1)で示される繰り返し単位と前記式(2)で示される繰り返し単位のモル比は95:5〜60:40の範囲であり、好ましくは92:8〜65:35の範囲である。また、アクリル樹脂の80重量%以上が前記式(1)で示される繰り返し単位および前記式(2)で示される繰り返し単位であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、典型的にはアクリル樹脂が実質的に前記式(1)で示される繰り返し単位および前記式(2)で示される繰り返し単位からなる共重合体であることが好ましい。上記範囲を外れると、塗膜層にクラックが発生しやすくなり好ましくない。
【0026】
(B)のポリイソシアネート化合物としては例えばトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはこれらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂との付加物、あるいは上記したポリイソシアネート化合物同士の環化重合体、さらにはイソシアネート・ビュレット体等が挙げられ、なかでもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族および脂環族のポリイソシアネート化合物や脂肪族および/または脂環族ポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂との付加物、脂肪族ポリイソシアネート化合物同志の環化重合体などが特に耐候性が優れ好ましい。
【0027】
ポリイソシアネート化合物前駆体としては、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基にアセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、エチルフェノール等のフェノール類に代表されるブロック化剤を付加させ、熱分解によりポリイソシアネート化合物を生成するブロックイソシアネート化合物が挙げられる。このブロックイソシアネートは熱硬化反応時に初めてイソシアネート基が生成するので塗料組成物の貯蔵安定性に優れ、またイソシアネート基が副反応に消費されることが少なく、特に好ましく使用される。上記ポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物前駆体は単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。
【0028】
またポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体の初期および/または生成するイソシアネート基の含有率は5.0〜60重量%、好ましくは6.0〜55重量%、最も好ましくは6.0〜50重量%である。イソシアネート基含有率が5.0重量%未満であるとアクリル樹脂に対するポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体の配合量が多くなり、塗膜樹脂中の前記式(1)で表される繰返し単位の割合が低下するため、プラスチック基材との密着性が乏しくなる。また60重量%より多くなると塗膜層の可撓性が低下し、第2層を熱硬化する際に塗膜層にクラックが生じたり、環境の変化に対する耐久性を損うため好ましくない。
【0029】
本発明でいう初期イソシアネート基とは、例えば上記で例示したポリイソシアネート化合物の如く分子末端にフリーに存在しているイソシアネート基であり、また生成するイソシアネート基とは、例えばブロック化剤でイソシアネート基がブロックされているブロックイソシアネート化合物の如くブロックが熱分解し、その時生成されるポリイソシアネート化合物のイソシアネート基である。
【0030】
前記ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂と前記ポリイソシアネート化合物もしくはその誘導体またはポリイソシアネート化合物前駆体との混合量比は(A)のアクリル樹脂のヒドロキシ基1当量に対して、(B)の初期および生成するイソシアネート基の総量が0.6〜2.0当量、好ましくは0.7〜1.75当量、最も好ましくは0.8〜1.5当量である。このような組成に調製することで、かかるアクリル樹脂からなる層は透明プラスチック基材および第2層のオルガノシロキサン樹脂熱硬化層との良好な密着性を保つことができ、また、高水準の架橋密度を持つので紫外線や水、酸素による架橋密度の低下を引き起こしにくく、長期にわたる密着性、環境変化および高温環境下での耐久性を維持でき耐候性に優れる。
【0031】
イソシアネート基が0.6当量より少ないと架橋が不十分となるため高温環境での耐久性が不十分になり、また、未反応のヒドロキシ基が水分子と高い親和性を示すために塗膜層が吸湿し、このため耐候性や耐熱水性も低くなる。イソシアネート基が2.0当量よりも多いと塗膜層はアロファネート結合を伴った非常に架橋密度が高く、硬くてもろい層となり、環境の変化に対する追従性が悪くなり、環境の変化に対する密着性に劣り好ましくない。また後述する熱硬化塗膜層中の残存イソシアネート基が多くなり、耐熱水性の低下や塗膜物性の経時変化が生じやすくなるので好ましくない。
【0032】
(C)の紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ブチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール等のトリアジン類、2−(2′−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、2−(2′−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、酸化チタン酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウムなの金属酸化物微粒子類が挙げられ、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類が好ましい。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して10〜50重量部、好ましくは15〜45重量部用いられる。該紫外線吸収剤は10重量部未満であると、紫外線の透過率が高くなり基材の黄変が生じたり密着性を低下させるため耐候性が乏しくなる。また50重量部を超えると密着性が低下し好ましくない。
【0033】
上記(A)〜(C)からなるコーティング組成物を熱硬化させてなるアクリル樹脂層の膜厚は2〜10μm、好ましくは2〜8μmである。膜厚が2μm未満であると紫外線の透過率が高くなり基材の黄変が生じたり密着性を低下させるため耐候性が乏しくなる。膜厚が10μm以上であると熱硬化時の架橋反応が十分進行せず、高温環境下での耐久性に乏しい塗膜層になる。また、後述する(A)〜(C)成分を溶解するために使用する溶剤の揮発が不十分となり塗膜中に残存し、耐熱水性、耐候性を損ねるため好ましくない。
【0034】
本発明に用いるアクリル樹脂層(第1層)を形成する方法としては、(A)〜(C)成分を、基材である透明プラスチックと反応したり該透明プラスチックを溶解したりしない揮発性の溶媒に溶解して、このコーティング組成物を透明プラスチック基材表面に塗布し、次いで該溶媒を加熱等により除去し、さらに加熱してヒドロキシ基と初期および/または加熱により生成するイソシアネート基を反応させ架橋させることにより形成される。
【0035】
かかる溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂とポリイソシアネート化合物からなる組成物の溶剤にアルコールを用いる場合、ポリイソシアネート化合物と溶剤中のアルコールが反応して熱硬化アクリル樹脂が期待の性能を発揮できないことが予想されるが、溶剤系に用いるアルコールを主として上記のような殊に沸点130℃以下の2級または3級アルコールとすると、溶剤中のアルコールは系中のポリイソシアネート化合物と反応する前に揮発除去され、本発明の熱硬化型アクリル樹脂からなる第1層の性能に問題を起こさない。
【0037】
上記(A)〜(C)からなるコーティング組成物中の塗膜樹脂からなる固形分の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
【0038】
上記(A)〜(C)からなるコーティング組成物のプラスチック基材への塗布はバーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。かかるコーティング組成物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去が行われ、加熱硬化する。かかる熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が完全には進行せず、第1層に求められる十分な架橋密度を持ったコート層にならない。かかる熱硬化の過程で、熱硬化型アクリル樹脂組成物中の架橋性基が反応してコート層の架橋密度が上がり、密着性、耐熱水性、高温環境下での耐久性に優れたコート層となる。熱硬化は好ましくは80〜160℃の範囲、より好ましくは100〜140℃の範囲、最も好ましくは110〜130℃の範囲で、好ましくは10分間〜3時間、より好ましくは20分間〜2時間、最も好ましくは30分間から1時間30分間加熱して架橋性基を架橋させ、第1層として上記塗膜樹脂を積層した透明プラスチック基材が得られる。熱硬化時間が10分以下では架橋反応が十分に進行せず、高温環境下での耐久性、耐候性に乏しい塗膜層になることがある。また、塗膜の性能上熱硬化時間は3時間以内で十分である。
【0039】
(A)〜(C)成分を含んでなる塗料組成物を上記条件で熱硬化させてなる塗膜層は赤外吸収スペクトルを測定した時、そのスペクトルにおけるCO(1720cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIおよびNCO(2260cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIで表したとき、I/Iが0.3以下であることで長期にわたり高度な耐久性が維持される。より好ましくはI/Iが0.20以下、最も好ましくは0.15以下となる熱硬化アクリル樹脂層が使用される。
/Iがかかる値より大きくなると塗膜中に残存したイソシアネート基が、長期間使用する間に大気中の水分や塗膜中の水分と反応しアミンや尿素結合が形成され塗膜物性の変化が生じて第2層のオルガノシロキサン樹脂組成物層にクラックが生じたり、耐熱水性が低下するため好ましくない。
【0040】
第一層に用いるコーティング組成物には必要に応じ硬化触媒、光安定剤、シランカップリング剤を添加することができる。特に硬化触媒を用いると適度な架橋が進み好ましい。
【0041】
硬化触媒としては、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫アセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクタノエート、ジ−n−ブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジメチルヒドロキシ錫オレエート、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、n−ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)等の有機錫化合物、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類等が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.001〜0.4重量部、より好ましくは0.002〜0.3重量部用いられる。硬化触媒が0.001重量部未満であると架橋反応を促進する作用が得られず、0.4重量部を超えると、該アクリル樹脂層と第二層との密着性が低下し好ましくない。
【0042】
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.05〜10重量部用いられる。
【0043】
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、透明プラスチック基材と第一層および第一層と第二層の密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.2〜10重量部用いられる。
【0044】
前記アクリル樹脂を主とする塗膜樹脂からなる第1層を形成することにより、第2層と透明プラスチック基材との密着性が良好となり、耐摩耗性および耐候性に優れた透明プラスチック成形体を得ることができる。
【0045】
本発明において、上記第1層の上に次いで積層される第2層は、コロイダルシリカ(a成分)、前記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)からなるオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる塗膜層である。
【0046】
第2層は、好適には上記コロイダルシリカ、トリアルコキシシランの加水分解縮合物からなるオルガノシロキサン樹脂固形分、酸、硬化触媒および溶媒からなるコーティング用組成物を用いて形成される。
【0047】
a成分のコロイダルシリカとしては直径5〜200nm、好ましくは5〜40nmのシリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。該コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも使用できるが、水分散型のものを用いるのが好ましい。かかるコロイダルシリカとして、具体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、触媒化成工業(株)のカタロイドSN30、塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST等が挙げられる。
【0048】
b成分であるトリアルコキシシランの加水分解縮合物は、前記式(3)のトリアルコキシシランを加水分解縮合反応させたものである。
【0049】
かかるトリアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独もしくは混合して使用できる。
【0050】
また、特に耐摩耗性に優れたコート層を形成するコーティング用組成物を得るためには70重量%以上がメチルトリアルコキシシランであることが好ましく、実質的に全量がメチルトリアルコキシシランであることがさらに好ましい。ただし密着性の改善、親水性、撥水性等の機能発現を目的として少量のメチルトリアルコキシシラン以外の上記トリアルコキシシラン類を添加することがある。
【0051】
b成分は、該アルコキシシランの一部または全部が加水分解したものおよび該加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物等の混合物であり、これらはゾルゲル反応をさせることにより得られるものである。
【0052】
aおよびb成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分は、以下プロセスを経て調製することが、沈殿の生成がなく、より耐摩耗性に優れるコート層を得ることができ好ましく採用される。
【0053】
コロイダルシリカ分散液中で前記式(3)のトリアルコキシシランを酸性条件下加水分解縮合反応させる。
【0054】
ここで、トリアルコキシシランの加水分解反応に必要な水は水分散型のコロイダルシリカ分散液を使用した場合はこの分散液から供給され、必要であればさらに水を加えてもよい。トリアルコキシシラン1当量に対して通常1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量、さらに好ましくは3〜5当量の水が用いられる。
【0055】
前述のようにトリアルコキシシランの加水分解縮合反応は、酸性条件下で行う必要があり、かかる条件で加水分解を行なうために一般的には加水分解剤として酸が使用される。かかる酸は、予めトリアルコキシシランまたはコロイダルシリカ分散液に添加するか、両者を混合後に添加してもよい。また、該添加は1回或いは2回以上に分けることもできる。かかる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHのコントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0056】
かかる酸として無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で使用し、有機酸を使用する場合はトリアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0057】
トリアルコキシシランの加水分解、縮合反応の条件は使用するトリアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜70℃、反応時間が1時間〜数日間である。
【0058】
前記オルガノシロキサン樹脂固形分であるaおよびb成分の各成分の混合割合はコーティング用組成物溶液の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及びクラック発生の有無等の点から決められ、a成分とb成分の合計100重量%とした時、好ましくはa成分が10〜40重量%、b成分がRSiO3/2に換算して60〜90重量%で用いられ、さらに好ましくは該a成分が15〜35重量%、該b成分がRSiO3/2に換算して65〜85重量%である。
【0059】
上記第2層に使用されるコーティング組成物において、さらに高いレベルの耐摩耗性を実現するために下記式(4)で示されるテトラアルコキシシランをc成分として添加することができる。
【0060】
【化8】
Figure 2004025470
【0061】
(但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
かかるテトラアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシランなどが挙げられ、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。これらのテトラアルコキシシランは単独もしくは混合して使用できる。
【0062】
該テトラアルコキシシランの添加は(i)上記プロセスの反応で得られた反応液に前記式(4)のテトラアルコキシシランを添加し、加水分解縮合反応せしめる、(ii)上記プロセスの反応で得られた反応液と、予め前記式(4)のテトラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混合する、方法で行うことができる。ただし、添加方法はこれらに限定されるものではない。
【0063】
(i)上記プロセスの反応で得られた反応液にテトラアルコキシシランを添加し加水分解縮合反応せしめる場合、この加水分解縮合反応は酸性条件下で行われる。上記プロセスの反応で得られた反応液は通常、酸性で水を含んでいるのでテトラアルコキシシランはそのまま添加するだけでもよいし、必要であればさらに水、酸を添加してもよい。かかる酸としては前記した酸と同様のものが使用され、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。該酸は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で使用し、有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0064】
加水分解反応に必要な水はテトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜30当量の水が用いられる。
【0065】
テトラアルコキシシランの加水分解、縮合反応の条件は使用するテトラアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜70℃、反応時間が10分間〜数日間である。
【0066】
一方、(ii)上記プロセスの反応で得られた反応液と、予め前記式(4)のテトラアルコキシシランを加水分解縮合反応せしめておいた反応液とを混合する場合は、まずテトラアルコキシシランを加水分解縮合させる必要がある。この加水分解縮合反応は酸性条件下、テトラアルコキシシラン1当量に対して通常1〜100当量、好ましくは2〜50当量、さらに好ましくは4〜20当量の水を用いて20〜70℃で1時間〜数日反応させることによって行われる。該加水分解縮合反応には酸が使用され、かかる酸としては前記した酸と同様のものが挙げられ、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。該酸は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で使用し、有機酸を使用する場合はテトラアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
【0067】
前記オルガノシロキサン樹脂固形分であるa〜c成分の各成分の混合割合はコーティング用組成物溶液の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及びクラック発生の有無等の点から決められ、a成分、b成分およびc成分の合計100重量%とした時、好ましい混合割合はa成分が5〜45重量%、b成分がRSiO3/2に換算して50〜80重量%、c成分がSiOに換算して2〜30重量%で用いられ、好ましくはa成分が15〜35重量%、b成分がRSiO3/2に換算して55〜75重量%、c成分がSiOに換算して3〜20重量%である。
【0068】
第二層用コーティング用組成物は通常さらに硬化触媒を含有する。かかる触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、コリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩が挙げられる。かかる硬化触媒はaおよびb成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0069】
前記第2層のコーティング用組成物に用いられる溶媒としては前記オルガノシロキサン樹脂固形分が安定に溶解することが必要であり、そのためには少なくとも20重量%以上、好ましくは50重量%以上がアルコールであることが望ましい。かかるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。該溶媒中には水分散型コロイダルシリカ中の水で該加水分解反応に関与しない水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使用した場合にはその分散媒の有機溶媒、コーティング用組成物のpH調節のために添加される酸も含まれる。pH調節のために使用される酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHのコントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましい。その他の溶媒としては水/アルコールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類が挙げられる。溶媒はaおよびb成分からなるオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して好ましくは50〜900重量部、より好ましくは150〜700重量部である。
【0070】
第2層のコーティング用組成物は、酸及び硬化触媒の含有量を調節することによりpHを3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調製することが望ましい。これにより、常温でのコーティング用組成物のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。該コーティング用組成物は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な組成物になる。
【0071】
第2層のコーティング用組成物には、さらに前述した紫外線吸収剤を添加することによりさらに耐候性を高めることができる。該紫外線吸収剤はオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対し0.1〜6.0重量部、好ましくは0.2〜5.0重量部用いられる。
【0072】
第2層のコーティング用組成物は、透明プラスチック基材上に形成された第1層上にコーティングされ、加熱硬化することにより第2層が形成される。第2層の形成は第1層の形成に引き続き連続して行うことが好ましい。コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。かかる組成物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒を乾燥、除去した後、加熱硬化する。かかる熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が進まず、硬化被膜を得ることができない。これは、コーティング用組成物中のオルガノシロキサン樹脂固形分が部分的に縮合したものであることを意味する。かかる熱硬化の過程で、残留するSi−OHが縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成し、耐摩耗性に優れたコート層となる。熱硬化は好ましくは50℃〜200℃の範囲、より好ましくは80℃〜160℃の範囲、さらに好ましくは100℃〜140℃の範囲で、好ましくは10分間〜4時間、より好ましくは20分間〜3時間、さらに好ましくは30分間〜2時間加熱硬化する。
【0073】
第2層の厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜8μmである。コート層の厚みがかかる範囲であると、熱硬化時に発生する応力のためにコート層にクラックが発生したり、コート層と基材との密着性が低下したりすることがなく、本発明の目的とする十分な耐摩耗性を有するコート層が得られることとなる。
【0074】
さらに、本発明の第1層および第2層の上記コーティング用組成物には塗工性並びに得られる塗膜の平滑性を向上する目的で公知のレベリング剤を配合することができる。かかる剤としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)のシリコーン化合物SH200−100cs、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST83PA、ST80PA、ST97PA、ST86PA、SH21PA、信越化学工業(株)のシリコーン化合物KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、大日本インキ化学工業(株)のフッ素系界面活性剤F−179、F−812A、F−815等が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、塗膜樹脂100重量部に対して好ましくは0.0001〜2.0重量部、より好ましくは0.0005〜1.0重量部用いられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で染料、顔料、フィラーなどを添加してもよい。
【0075】
本発明で用いられる透明プラスチック基材としては、ヘーズ値が10%以下のものであり、具体的にはポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。第1層との接着性および優れた耐摩耗性を有する基材としての有用性等によりポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0076】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法で反応させて得られるポリカーボネート樹脂である。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0077】
ポリカーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0078】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0079】
ホスゲンを使用する界面重縮合法は、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられ、溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
また、ジフェニルカーボネートを用いる溶融法は、不活性ガス雰囲気下所定割合の二価フェノール成分とジフェニルカーボネートとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら完結させる。また、反応を促進するために通常のエステル交換反応用触媒を使用することもできる。
【0080】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−40.83
(但し、c=0.7、[η]は極限粘度)
【0081】
かかるポリカーボネート樹脂を製造する際に、必要に応じて亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の安定剤、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェノール等の難燃剤、着色剤、滑剤等を添加することができる。
【0082】
かくして得られる本発明の表面を保護された透明プラスチック成形体は、熱硬化型アクリル樹脂層を主とする第1層並びにコロイダルシリカ、トリアルコキシシラン加水分解縮合物からなるオルガノポリシロキサン樹脂を熱硬化してなる第2層を有することにより、従来にない高いレベルの耐候性、耐摩耗性を持ち、高温環境下で十分な耐久性を持つ成形体となる。
【0083】
かかる透明プラスチック成形体は、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、建設機械の窓ガラス、ビル、家、温室などの窓ガラス、ガレージ、アーケードの屋根、前照灯レンズ、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、カーブミラー、バイクの風防、銘板、その他各種シート、フィルム等に好適に使用することができる。
【0084】
また、本発明で得られる透明プラスチック成形体は、Calibrase社製CS−10F摩耗輪を使用し、荷重500g下1000回転のテーバー摩耗試験(ASTM D1044)を行い、その試験前後のヘーズ値の変化が6%以下が好ましい。
【0085】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、得られた第1層の残存イソシアネート基の分析および透明プラスチック成形体は以下の方法によって評価した。また、実施例中の部および%は重量部および重量%を意味する。
【0086】
(1)残存イソシアネート基量;透明プラスチック基材上に第1層用塗料組成物を塗布、熱硬化処理した試験片を作成し、両面コート層の1面についてZnSe結晶板を用いて全反射法で赤外線吸収スペクトルを測定(日本電子データ(株)製JIR−6500フーリエ変換分光光度計)した。この赤外線吸収スペクトルのイソシアネート基由来の吸収ピーク(2260cm−1近傍)の吸光度IとCO基由来の吸収ピーク(1720cm−1近傍)の吸光度Iとの比を求めた。なお、吸光度はベースライン法で求めた。
(2)外観評価:目視にて試験片の両面コート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
(3)密着性:両面コート層の1面のコート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして基材上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5400に準拠)。
(4)耐擦傷性:試験片の両面コート層の1面を#0000のスチールウールで擦った後、表面の傷つきの状態を目視により5段階で評価した。
1:500g荷重で10回擦っても全く傷つかない
2:500g荷重で10回擦ると僅かに傷つく
3:500g荷重で10回擦ると少し傷つく
4:500g荷重で10回擦ると傷つく
5:100g荷重で10回擦ると傷つく
(5)耐摩耗性:両面コート層の1面をCalibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した(ASTM D1044に準拠)。
(6)耐熱水性:試験片を沸騰水中に8時間浸漬した後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(7)環境サイクルテスト:試験片を80℃で80%RH環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間、−15℃環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間放置するサイクルを1サイクルとし、このようなサイクルを30回繰り返した後で試験片を取り出して外観、密着性を評価した。
(8)高温環境耐久性:試験片を105℃環境下で100時間放置し、試験片を取り出して外観、密着性を評価した。
(9)耐侯性:試験片を紫外線照射面を変更することなくスガ試験機製(株)スーパーキセノンウェザーメーターSX−75を用いて、UV照射強度180W/m、ブラックパネル温度63℃、120分中18分降雨条件下で2000時間暴露試験し、試験片を取り出して、紫外線照射面の黄色度(YI)、密着性を評価した。
(10)ヒドロキシル基
アクリル樹脂の50mg/mlCDCl溶液にてH NMR(400MHz,日本電子データム製JNM−AL400 FT NMR装置)を測定してアクリル樹脂の組成を分析し、この結果からアクリル樹脂1g中に含まれる水酸基のモル数(mol/g)を求め、得られた値に56100(56.1x1000、KOHの分子量56.1)を掛けて水酸基価とした。このデータに基づき製造したアクリル樹脂のヒドロキシル基を求めた。
【0087】
(アクリル樹脂(I)〜(V)の合成)
[参考例1]
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.18部及び1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(I))80部を得た。該コポリマーの水酸基価は46.7mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で80000であった。
【0088】
[参考例2]
EMA91.2部、HEMA13部、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール(以下MEBTと略称する)32.3部を用いる以外は参考例1と同様にしてEMA/HEMA/MEBTの組成比80/10/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(II))108部を得た。該コポリマーの水酸基価は41.3mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0089】
[参考例3]
メタクリル酸メチル(以下MMAと略称する)80.1部、HEMA26部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/HEMAの組成比80/20(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(III))90部を得た。該コポリマーの水酸基価は104.9mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0090】
[参考例4]
MMA10.0部、EMA91.3部、HEMA13.0部、AIBN0.25部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/EMA/HEMA=10/80/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(IV))92部を得た。該コポリマーの水酸基価は49.1mgKOH/g、重量平均分子量は78000であった。
【0091】
[参考例5]
MMA55.1部、HEMA58.6部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/HEMAの組成比55/45(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(V))87部を得た。該コポリマーの水酸基価は221.8mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
【0092】
【表1】
Figure 2004025470
【0093】
(オルガノシロキサン樹脂溶液の調製)
[参考例6]
テトラエトキシシラン208部、0.01N塩酸81部を氷水で冷却下混合した。この混合液を25℃で3時間攪拌し、イソプロパノール11部で希釈してテトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)300部を得た。
【0094】
[参考例7]
水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水2部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム2部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−1)を得た。
【0095】
[参考例8]
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン134部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、参考例24で得られたテトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)20部および硬化触媒として酢酸ナトリウム1部を加えイソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−2)を調製した。
【0096】
【表2】
Figure 2004025470
【0097】
なお、表2において、
(1)S−30;水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%、平均粒子径20nm)
(2)SN30;水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%、平均粒子径10nm)
を表し、トリアルコキシシランの重量部はRSiO3/2に換算した値を示し、テトラアルコキシシランの重量部はSiOに換算した値を示す。
【0098】
[実施例1]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(I)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.6部をメチルイソブチルケトン30部およびメチルエチルケトン10部および2−ブタノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量となるようにVESTANAT B1358/100(デグサジャパン製ポリイソシアネート化合物前駆体)2.8部を添加し、さらにn−ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)0.003部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−1)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のポリカーボネート樹脂(以下PC樹脂と略称する)製シート上に、コーティング用組成物(i−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.05(I=0.700、I=0.035)であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0099】
[実施例2]
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、前記実施例1で得られたコーティング用組成物(i−1)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.07であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−2)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0100】
[実施例3]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(II)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.9部をメチルイソブチルケトン35部および2−ブタノール30部およびキシレン10部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.5当量となるようにVESTANAT B1358/100 4.3部を添加し、さらにジブチルチンジラウレート0.005部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−2)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−2)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.12であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0101】
[実施例4]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(II)10部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン1.8部をメチルイソブチルケトン45部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量となるようにVESTANAT B1358/100 2.5部を添加し、さらにモノブトルチントリス(2−エチルヘキサノエート)0.005部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−3)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−3)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.06であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0102】
[実施例5]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(I)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.7部をメチルイソブチルケトン48部および2−ブタノール24部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.9当量となるようにVESTANAT B1358/100 2.6部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−4)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−4)を熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.18であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−2)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0103】
[実施例6]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(III)10部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン2.4部をメチルイソブチルケトン44部および2−ブタノール22部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(III)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量となるようにイソホロンジイソシアネート 2.10部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−5)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−5)を熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.22であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−2)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0104】
[実施例7]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(IV)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.60部をメチルイソブチルケトン45部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(IV)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量となるようにVESTANAT B1358/100 3.00部を添加し、さらにn−ブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)0.001部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−6)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−6)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.05であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0105】
[比較例1]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(I)10部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン3.4部をメチルイソブチルケトン60部および2−ブタノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が2.5当量となるようにVESTANAT B1358/100 7.1部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−7)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−7)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.41であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0106】
[比較例2]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(I)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.1部をメチルイソブチルケトン30部およびメチルエチルケトン5部および2−ブタノール25部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.5当量となるようにイソホロンジイソシアネート 0.5部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−8)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−8)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.02であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−2)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0107】
[比較例3]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(V)10部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン3.1部をメチルイソブチルケトン40部および2−ブタノール28部およびキシレン10部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(V)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.2当量となるようイソホロンジイソシアネート 5.3部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−9)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−9)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.71であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0108】
[比較例4]
(第1層用組成物)
前記アクリル樹脂(III)10部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.6部をメチルイソブチルケトン35部およびメチルエチルケトン10部および2−ブタノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(III)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.5当量となるようイソホロンジイソシアネート 3.1部を添加して25℃で30分間攪拌しコーティング用組成物(i−10)を調製した。
(透明プラスチック成形体)
透明な5.0mm厚のPC樹脂製シート上に、コーティング用組成物(i−10)を熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃で1時間熱硬化させた。また該熱硬化塗膜層の赤外吸収スペクトルを測定したところI/Iが0.34であった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−2)を熱硬化後の膜厚が4.5μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表4に示した。
【0109】
【表3】
Figure 2004025470
【0110】
なお、表3において
(3)MIBK;メチルイソブチルケトン
(4)MEK;メチルエチルケトン
(5)2−BuOH;2−ブタノール
(6)VESTANAT;デグサジャパン製ポリイソシアネート化合物前駆体VESTANAT B1358/100
(7)IPDI;イソホロンジイソシアネート
(8)BTEHT;モノブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)
(9)DBTDL;ジブチルチンジラウレート
また、紫外線吸収剤の種類としては、
▲1▼UV−1;2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
▲2▼UV−2;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
を示す。
【0111】
【表4】
Figure 2004025470
【0112】
【発明の効果】
本発明の透明プラスチック成形体は、高い耐候性を付与しうる硬化被膜で表面を保護された環境変化および高温環境に対しての耐久性が著しく改善された、耐摩耗性、耐熱水性にも優れた性能を有するプラスチック成形体を提供する。特に、この透明プラスチック表面の片面または両面にコート(両面コートが好ましい)したものは自動車用窓ガラスやサンルーフに好適に使用され、その奏する工業的効果は格別である。

Claims (5)

  1. 透明プラスチック基材表面の少なくとも片面に、
    第1層として、
    (A)下記式(1)
    Figure 2004025470
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    および下記式(2)
    Figure 2004025470
    (但し、式中Xは水素原子もしくはメチル基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)
    で示される繰り返し単位を50モル%以上含む共重合アクリル樹脂であり、且つ前記式(1)で示される繰り返し単位と前記式(2)で示される繰り返し単位のモル比が95:5〜60:40であるアクリル樹脂、
    (B)初期および/または生成するイソシアネート基含有率が5.0〜60重量%であり、かつ(A)のヒドロキシ基1当量に対して初期および生成するイソシアネート基の総量で0.6〜2.0当量であるポリイソシアネート化合物および/またはポリイソシアネート化合物前駆体および
    (C)(A)および(B)からなる塗膜樹脂100重量部に対して10〜50重量部の紫外線吸収剤
    を含有してなる塗料組成物を2〜10μmの膜厚に熱硬化させてなるアクリル樹脂層が積層され、その第1層上に第2層として
    (D)コロイダルシリカ(a成分)および
    (E)下記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)
    Figure 2004025470
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物の熱硬化塗膜層が積層された、表面を保護された透明プラスチック成形体において、該アクリル樹脂層の赤外線吸収スペクトルを測定し、そのCO(1720cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIおよびNCO(2260cm−1近傍の吸収ピーク)の吸光度をIで表したとき、I/Iが0.3以下であることを特徴とする表面が保護された透明プラスチック成形体。
  2. 第2層が、
    (D)コロイダルシリカ(a成分)および
    (E)前記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)
    を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物であって、a成分が10〜40重量%、b成分がRSiO3/2に換算して60〜90重量%であるオルガノシロキサン樹脂を熱硬化させた塗膜層である請求項1記載の表面を保護された透明プラスチック成形体。
  3. 第2層が、
    (D)コロイダルシリカ(a成分)、
    (E)前記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)および
    (F)下記式(4)で表されるテトラアルコキシシランの加水分解縮合物(c成分)
    Figure 2004025470
    (但し、式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
    を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物を熱硬化させた塗膜層である請求項1記載の表面を保護された透明プラスチック成形体。
  4. 第2層が、
    (D)コロイダルシリカ(a成分)、
    (E)前記式(3)で表わされるトリアルコキシシランの加水分解縮合物(b成分)および
    (F)前記式(4)で表されるテトラアルコキシシランの加水分解縮合物(c成分)
    を含有してなるオルガノシロキサン樹脂組成物であって、a成分が5〜45重量%、b成分がRSiO3/2に換算して50〜80重量%、c成分がSiOに換算して2〜30重量%であるオルガノシロキサン樹脂組成物を熱硬化させた塗膜層である請求項1記載の表面を保護された透明プラスチック成形体。
  5. 透明プラスチック基材がポリカーボネート樹脂である請求項1記載の表面を保護された透明プラスチック成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100742A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Shin-Etsu Chemical Co Ltd プライマー組成物及び被覆物品
JP2011213000A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及びこれを用いた化粧板
JP2014237120A (ja) * 2013-05-08 2014-12-18 トヨタ自動車株式会社 塗膜形成方法

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