JP5330070B2 - プラスチック積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に乾式のハードコート層を有する、好適には透明又は半透明のプラスチック積層体及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、例えば自動車ガラスの代替として使用され、少なくとも炭素を含む有機珪素化合物のプラズマCVDによるプラズマCVD膜を外面に有するプラスチック積層体に係るものである。
例えば、透明性の高いプラスチック基板は、ガラスに比べて軽量性や耐衝撃性や加工性に優れており、これらの長所を活かしてメガネのレンズや自動車の窓等として、ガラスに代えて広く用いられている。このような光学上の用途では、透明性が高いことが重視されるため、表面に傷が付きにくいことが当然に要求される。しかし、一般に、透明なプラスチック基板の表面は、その物性から耐擦傷性がガラスに比して劣るため、その欠点を補うべく種々の表面硬化法により製造される透明プラスチック積層体が提案されている。
プラスチック成形物の耐摩耗性の改良を目的として、例えばプラスチック成形物の表面にアクリル樹脂層を湿式コーティングし、さらにその上にオルガノシロキサン系樹脂の硬化膜を湿式コーティングする方法が知られており、例えばアルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランコロイダルシリカとの縮合物にコロイダルシリカを添加したコーティング用組成物が記載されている(例えば、特許文献1〜3、5、6参照)。
しかしながら、このような湿式法による被膜は、例えば自動車ガラスの代替品とするためには、十分な硬度及び耐擦傷性を得ることは困難である。
また、電子ビーム加熱により酸化アルミニュームや酸化珪素を蒸着させ、蒸着粒子を蒸発源と基板との間に発生させたプラズマを通過させ、蒸着粒子の運動エネルギーを高めてから基板上に堆積する方法(HADプロセス)が提案されている(例えば、非特許文献1、2参照)。また、オルガノシロキサン、オルガノシランまたはシラザン等の有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスとを共存させてプラズマ重合により樹脂基板上に有機珪素系の酸化重合物を堆積する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
他方、本出願人は、特許文献7に、例えばポリカーボネート樹脂表面に上に直接、オルガノシロキサン、オルガノシラン又はシラザンの蒸気と共に酸素ガスを存在せしめてプラズマ重合させてハードコート層を形成することにより、十分な硬度及び耐擦傷性を得ることを提案し、その有効性を確認している。プラズマ重合法は、真空反応容器中において気体で存在するような蒸気圧を有する有機化合物に対して、真空反応容器中でプラズマ励起させることによって重合せしめ、ピンホールのような欠陥のない被膜が形成されることを利用するものである。また、真空反応容器中でのプラズマ重合法における反応は、常温での反応であり、プラスチックの耐用温度よりも低い温度で被膜を形成できるという利点がある。しかも、このプラズマ重合法における反応は比較的低温で行うにもかかわらず、電子温度が高いので、化学反応では高温でしか起こらないような反応を行わせることができるために、架橋度が高く、高い硬度を有する膜を形成させることができるという利点がある。
しかし、例えばポリカーボネート樹脂などのプラスチック基板は、特に自動車用途においては、紫外線に晒されて劣化を生じることがある点が大きな問題として残る。
このためのひとつの解決法は、紫外線を遮断することである。そこで、特許文献8には、ポリカーボネート樹脂表面に対して、紫外線遮断用コーティング層を形成し、その上に、耐摩耗性コーティング層を形成することを開示している。この特許文献8における耐摩耗性コーティング層としては、「特定のジオルガノジオルガノオキシラン(diorganodiorgonoxiysilane)や、特定のオルガノトリオルガノオキシラン(organotriorganoxysilane)、さらにはこれら双方から構成されている。」をプラズマ重合法によって形成できることが記載されているが、それ以上の詳しい説明はなされていない。しかも、特許文献8のものでは、その記載からすれば紫外線遮断用コーティング層と耐摩耗性コーティング層との密着性は高いものとは推測できない。
また、ポリカーボネート樹脂表面上に直接、特許文献7のような乾式ハードコート層を形成する場合、密着性を高くすることは困難である。
特開昭63−278979号公報 特開平01−306476号公報 特開2000−318106号公報 特開平08−27289号公報 特公平4−55615号公報 特開2004−35608号公報 特許第3446150号公報 特表2005−519792号公報
M.Krug、「Abrasion resistant coatings on plastic by PVD high rate deposition」、Proceedings of the 3rd−ICCG 2000、p577 鈴木 巧一 他、「表面処理技術最前線レポート▲4▼ フラウンホーファー 電子ビーム・プラズマ研究所(III)」、工業材料、Vol.49No.7 P72(2001年7月号)
したがって、本発明の主たる課題は、プラスチック基板に対して表面の乾式ハードコート層の密着性が高い透明又は半透明プラスチック積層体を得ることにある。
他の課題は、たとえば耐候性(紫外線遮断など)に関しても優れた、プラスチック基板に対して表面の乾式ハードコート層の密着性が高い透明又は半透明プラスチック積層体を得ることにある。
さらに別の課題は、以下の説明によって明らかになるであろう。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
プラスチック基板の少なくとも片面上にアクリル樹脂熱硬化膜、オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜および有機珪素化合物のプラズマCVD膜を順次積層して成り、
前記CVD膜が、酸素原子と珪素原子との存在比(O/Si比)が前記オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜との界面から傾斜的に増加する傾斜ゾーンとそれに続くほぼ一定のフラットゾーンとから成り、
前記CVD膜の傾斜ゾーンの厚みが0.1〜1μmであることを特徴とするプラスチック積層体。
(作用効果)
プラスチック基板の少なくとも片面上にアクリル樹脂熱硬化膜、オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜を湿式にて積層し、さらにCVD膜を積層する場合、CVD膜の界面近傍でO/Si比を変化させることで、湿式層とCVD層の密着に優れるものとなる。
さらにCVD層の表層は耐擦傷性を確保するために高い硬度とするために、CVD膜内O/Si比を連続的に変化させる。湿式膜とCVD膜との密着を確保する傾斜ゾーンと、CVD膜の表面に於ける硬度を達成するためのフラットゾーンを設けることで、単層内で優れた密着性、及び高い硬度の双方を達成することができる。
また、前記CVD膜のO/Si比が、湿式層との接触面から前記CVD層の外面側に向かって0.1〜1μm厚みの範囲で連続的に増加していることによって、CVD層の湿式層に対する好適な密着性を確保することが可能となる。
請求項2記載の発明>
前記CVD膜のフラットゾーンのO/Si比が1.4以上2未満であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック積層体。
(作用効果)
CVD膜の表面において、O/Si比が1.4以上2未満であることにより、充分な耐擦傷性を示す硬度を達成することが可能である。
請求項3記載の発明>
前記CVD膜がオルガノシロキサン、オルガノシランおよびシラザンから成る化合物群より選ばれる少なくとも1種類の有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスを共存下にプラズマ重合させて得られる膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック積層体。
(作用効果)
プラズマCVD層として、少なくとも1種類のオルガノシロキサン、オルガノシランおよびシラザンから成る化合物群より選ばれる少なくとも1種類の有機珪素化合物蒸気と共に酸素ガスを存在せしめてプラズマ重合させた膜であると、十分な密着性、硬度及び耐擦傷性を示すプラスチック積層体を得ることができる。
請求項4記載の発明>
前記プラスチック基板が透明または半透明樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック積層体。
(作用効果)
基板に透明または半透明樹脂を使用することにより、基板自体の優れた機械的強度や光学特性を活かし、かつ基板の耐擦傷性や耐候性を向上せしめることが出来る。
請求項5記載の発明>
プラスチック基板の少なくとも片面上に、アクリル樹脂を湿式塗工し熱硬化する工程、オルガノシロキサン系樹脂を湿式塗工し熱硬化する工程、およびオルガノシロキサン、オルガノシランおよびシラザンから成る化合物群より選ばれる少なくとも1種類の有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスを共存下にプラズマ重合させて成膜する工程を含み、
酸素原子と珪素原子との存在比(O/Si比)が前記オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜との界面から傾斜的に増加する傾斜ゾーンとそれに続くほぼ一定のフラットゾーンとから成る前記プラズマ重合膜を生成させ
前記CVD膜の傾斜ゾーンの厚みを0.1〜1μmとすることを特徴とするプラスチック積層体の製造方法。
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様な作用効果を奏する。
本発明によれば、プラスチック基板に対して表面の乾式ハードコート層の密着性が高い透明又は半透明プラスチック積層体を得ることができる。たとえば耐候性(紫外線遮断のなど)に関しても優れた、プラスチック基板に対して表面の乾式ハードコート層の密着性が高い透明又は半透明プラスチック積層体を得ることができる。
本発明の一実施形態に適用される透明又は半透明プラスチック積層体の断面図である。 プラスチック基板の表面から被膜の外表面にかけての、酸素原子と珪素原子との存在比(O/Si比)の変化を摸式的に示すグラフである。 実施例におけるプラズマ重合反応条件としての、投入RF電力、有機珪素化合物蒸気および酸素ガスの供給速度の経時変化を模式的に示すグラフである。 比較例におけるプラズマ重合反応条件としての、投入RF電力、有機珪素化合物蒸気および酸素ガスの供給速度の経時変化を模式的に示すグラフである。 本発明のプラズマCVD膜を形成するための容量結合型のプラズマ重合装置例の概略図である。
以下、本発明に係る透明又は半透明プラスチック積層体の一実施形態を、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1に示すように、本発明に係る透明又は半透明プラスチック積層体100は、プラスチック基板50の表面に、熱硬化アクリル樹脂膜60と、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70と、プラズマCVD膜80とが順に積層されることで構成されている。
<プラスチック基板50>
プラスチック基板の材料50としては、具体的にはポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。これらの樹脂は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
第1層との接着性および優れた耐摩耗性を有する基材として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法等で反応させて得られるポリカーボネート樹脂である。二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノ−ルAが好ましい。これらの二価フェノ−ルは単独または2種以上を混合して使用できる。
ポリカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメ−ト等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノ−ルの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
かかるポリカーボネート樹脂には、必要に応じて亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の安定剤、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェノール等の難燃剤、着色剤、滑剤、上述したポリエステル樹脂やABS等の他の樹脂等を添加することができる。
プラスチック基板の厚みは1〜30mmの範囲が好ましい。
<熱硬化アクリル樹脂膜60>
熱硬化アクリル樹脂膜60は、アクリル樹脂組成物を熱硬化させた膜である。アクリル樹脂組成物としては、(A)アクリル共重合体、(B)架橋剤および(C)硬化触媒を含有する。(A)〜(C)成分について詳細に説明する。
(アクリル共重合体(A))
アクリル共重合体(以下、(A)成分ということがある)は、下記式(A)で表される繰り返し単位を少なくとも70モル%含むアクリル共重合体である。
Figure 0005330070
式中、Xは、水素原子またはメチル基である。X中、水素原子の割合は30モル%以下である。Yは、メチル基、エチル基、シクロアルキル基、炭素原子数2〜5のヒドロキシアルキル基または紫外線吸収剤残基である。Y中、シクロアルキル基の割合は0〜85モル%である。紫外線吸収剤残基の割合は0〜15モル%で、メチル基とエチル基との合計割合は1〜98モル%である。
アクリル共重合体は下記式(A−1)、(A−2)、(A−3)および(A−4)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
((A−1)単位)
Figure 0005330070
式(A−1)中、Y1はメチル基またはエチル基である。式(A−1)で表される繰り返し単位は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートを重合して得られる。これらは単独でまたは両者を混合して使用できる。アクリル共重合体中の式(A−1)単位の含有量は、好ましくは1〜98モル%である。(A−1)単位の割合が1モル%より少ないと第1層の可撓性が低下し、第2層にクラックが生じやすくなる。また、基材や第2層との密着性が低下するため好ましくない。
((A−2)単位)
Figure 0005330070
式(A−2)中、X1は水素原子またはメチル基、Y2はシクロアルキル基である。式(A−2)で表される繰り返し単位は、分子内に少なくとも1つのシクロアルキル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを重合して得られる。シクロアルキル基の炭素数は5〜12であることが好ましい。具体的には、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
(A−2)で表される繰り返し単位は、対応するモノマーを共重合することにより導入できる。対応するモノマーの具体例として、シクロヘキシルアクリレート、4−メチルシクロヘキシルアクリレート、2,4−ジメチルシクロヘキシルアクリレート、2,4,6−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、アダマンチルアクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチルアクリレート、2,4−ジメチルシクロヘキシルメチルアクリレート、2,4,6−トリメチルシクロヘキシルメチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメタクリレート、2,4−ジメチルシクロヘキシルメタクリレート、2,4,6−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、2,4−ジメチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、2,4,6−トリメチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメチルメタクリレートなどの化合物が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでもシクロヘキシルメタクリレートが好ましく採用される。
アクリル共重合体中の(A−2)単位の含有量は、好ましくは1〜85モル%である。(A−2)単位の割合が、1モル%未満であるとトリアジン系紫外線吸収剤の分散性が低下し第1層が白化しやすくなり、85モル%を超えると基材や第2層との密着性が低下する。
((A−3)単位)
Figure 0005330070
式(A−3)中、X2は水素原子またはメチル基、Y3は、炭素原子数2〜5のアルキレン基である。アルキレン基としてエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。(A−3)単位は、ヒドロキシ基を有することを特徴とする。
(A−3)単位は、対応するモノマーを共重合することにより導入できる。対応するモノマーの具体例として、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく採用される。
アクリル共重合体中の(A−3)単位の含有量は、好ましくは1〜15モル%、より好ましくは5〜15モル%である。(A−3)単位の割合が上記範囲を超えると、塗膜層にクラックが発生しやすくなり好ましくない。
((A−4)単位)
Figure 0005330070
式(A−4)中、X3は水素原子またはメチル基、Y4は紫外線吸収剤残基、好ましくはトリアジン系紫外線吸収剤残基である。(A−4)単位は、紫外線吸収剤残基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーを共重合することにより導入することができる。紫外線吸収剤残基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーとしては、具体的には、下記式(A−4−a)または式(A−4−b)で表されるアクリルモノマーから誘導された繰返し単位が好ましく使用される。
Figure 0005330070
(式(A−4−a)中R11は炭素数2〜6のアルキレン基であり、R12は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表し、R13、R14は同一または互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、または炭素数1〜18のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表し、R15は炭素数1〜18のアルキル基を表し、X4は水素原子またはメチル基であり、V1は水素原子、OH基または炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
Figure 0005330070
(式(A−4−b)中R16は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表し、R17、R18は同一または互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、または炭素数1〜18のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表し、R19は炭素数1〜18のアルキル基を表し、X5は水素原子またはメチル基であり、V2は水素原子、OH基または炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
本発明において、紫外線吸収剤残基とは、紫外線吸収剤の残基であって紫外線吸収性能を有するものである。例えばトリアジン系紫外線吸収剤残基は、トリアジン化合物の末端の一部が欠落してアクリル共重合体に結合しているため、残基と、トリアジン化合物とでは厳密には分子量が相違する。しかし、欠落の重量は全体に比べ僅かであるので、本発明では便宜上、残基の重量とトリアジン化合物との重量は同じであると擬制する。
アクリル共重合体中の(A−4)単位の含有量は、好ましくは0〜15モル%、より好ましくは0〜10モル%、さらに好ましくは0〜7モル%である。(A−4)単位の割合が15モル%を超えると、基材と第1層、第1層と第2層の密着性が低下し、第2層にクラックが生じやすくなる。式(A−4)中のトリアジン系紫外線吸収剤残基と後述する(D)成分との合計含有量は好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%である。
アクリル共重合体中の式(A−1)〜(A−4)で表される繰り返し単位の合計含有量は、少なくとも70モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。アクリル共重合体は、好ましくは1〜98モル%の式(A−1)、1〜85モル%の式(A−2)、1〜15モル%の式(A−3)および0〜15モル%の式(A−4)の単位を含有する。
((A−5)単位)
アクリル共重合体は、さらに、下記式(A−5)で表される繰返し単位を含有することが好ましい。(A−5)単位を含有することで耐候性が向上する。
Figure 0005330070
式中、R10は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基またはアルコキシ基を表す。
10は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシ基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
(A−5)単位の割合は、アクリル共重合体の全繰り返し単位100モル%中、好ましくは0.1〜15モル%、より好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは1〜8モル%である。15モル%を超えると、基材や第2層との密着性が低下し易くなる。
(A−5)単位を含むことで、ラジカル捕捉能が付与することができ、耐候性をさらに向上することができる。アクリル共重合体の全繰り返し単位100モル%中、(A−1)単位〜(A−5)単位の合計は少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%である。
(他の単位)
(A−1)〜(A−5)単位を含むアクリル共重合体((A)成分)は、さらに機能性付与等のため他の繰返し単位を含んでいてもよい。他の繰返し単位は(A)成分のアクリル共重合体の全繰り返し単位100モル%に対して30モル%以下、好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。
他の繰返し単位はアクリレートまたはメタクリレートモノマーと共重合可能なビニル系モノマーを共重合することで導入できる。他のビニル系モノマーとしては、接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシプロポキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシエチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−アクリロキシエチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−アクリロキシエチル−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロイルオキシエチル)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロポキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メタクリロキシエチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メタクリロキシエチル−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエチル)ベンゾフェノン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。また、アクリル樹脂は単一組成のものを単独で使用する必要はなく、アクリル樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
(A)成分のアクリル共重合体の分子量は、重量平均分子量で2万以上が好ましく、5万以上がより好ましい。また、重量平均分子量で1000万以下のものが好ましく使用される。よって、アクリル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5万〜1000万、より好ましくは5万〜100万、さらに好ましくは5万〜50万である。かかる分子量範囲のアクリル共重合体は、第1層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
(架橋剤(B))
(B)成分の架橋剤として、ブロック化されたポリイソシアネ−ト化合物が好ましく使用される。ブロック化されたポリイソシアネ−ト化合物は、イソシアネート基にブロック化剤を反応させ遊離のイソシアネート基をほとんどなくして、反応性を持たなくしたもので、加熱によりブロック化剤が分離してイソシアネート基となり、反応性を持つに至る化合物である。
(B)成分として、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、エチルフェノール等のフェノール類に代表されるブロック化剤を付加させて得られるブロックイソシアネート化合物が挙げられる。
ブロック化剤を付加させるポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート、ポリイソシアネートと多価アルコールとの付加物、ポリイソシアネート同士の環化重合体、イソシアネート・ビュレット体等が挙げられる。ポリイソシアネートとしてはトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
(B)成分は、熱硬化反応時に初めてイソシアネート基が生成するのでコーティング組成物は、貯蔵安定性に優れ、またイソシアネート基がコーティング組成物中や空気中の水分、溶媒コーティング組成物に使用されるアルコール溶媒との副反応に消費されることが少なく、塗工環境の影響を受け難く安定した物性を有する硬化被膜を形成することができる。このブロックイソシアネートは単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。
ブロックイソシアネートのなかでも、ブロック化された脂肪族および/または脂環族ポリイソシアネート化合物が特に耐候性に優れ好ましい。ブロック化された脂肪族および/または脂環族ポリイソシアネート化合物としては、(i)2〜4個のヒドロキシ基を有するヒドロキシ化合物と脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート化合物を反応させることにより得られる、アダクト型ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたアダクト型ポリイソシアネート化合物、(ii)脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート化合物から誘導された、イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物が好ましい。その中でも、脂肪族ジイソシアネート化合物および/または脂環族ジイソシアネート化合物の炭素数が4〜20のものが好ましく、炭素数4〜15のものがより好ましい。イソシアネート化合物の炭素数をかかる範囲にすることで、耐久性に優れた塗膜が形成される。
換算イソシアネート基率とは、(B)成分を加熱しブロック化剤を分離した場合に、生成するイソシアネート基の重量を(B)成分の重量に対する百分率で表した値である。
(B)成分は、5.5〜50重量%、好ましくは6.0〜40重量%、最も好ましくは6.5〜30重量%の換算イソシアネート基率を有する。イソシアネート基率が5.5重量%未満であるとアクリル樹脂に対するブロック化されたポリイソシアネート化合物の配合量が多くなり、基材との密着性が乏しくなる。またイソシアネート基率が50重量%より多くなると塗膜層の可撓性が低下し、第2層を熱硬化する際に塗膜層にクラックが生じ、環境の変化に対する耐久性が損なわれる。イソシアネート基率(重量%)は、イソシアネート基を既知量のアミンで尿素化し、過剰のアミンを酸で滴定する方法により求められる。
(B)成分の含有量は、アクリル共重合体(A)中のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.8〜1.5当量、好ましくは0.8〜1.3当量、最も好ましくは0.9〜1.2当量となる量である。
(A)成分中のヒドロキシ基と(B)成分中のイソシアネート基とがウレタン結合による架橋を形成することにより、第1層は、基材および第2層との良好な密着性を保つことができる。また、紫外線、水、酸素等による架橋密度の低下が起こり難く、長期にわたって密着性を維持できる。また高温環境下での耐久性を維持できる。さらに耐候性にも優れる。
イソシアネート基が0.8当量より少ないと架橋が不十分となるため高温環境での耐久性が不十分になり、また、未反応のヒドロキシ基が水分子と高い親和性を示すために吸湿し、耐候性や耐沸水性も悪化する。イソシアネート基が1.5当量よりも多いと第1層はアロファネート結合を伴った非常に架橋密度が高く、硬くてもろい層となり、環境の変化に対する追従性が悪くなり、環境の変化に対する密着性に劣る。
(硬化触媒(C))
(C)成分は硬化触媒である。硬化触媒は、(B)成分の架橋剤好ましくはブロック化剤の解離を促進させるため使用される。また解離により生成したイソシアネ−ト基と、(A)成分中のヒドロキシ基とのウレタン化反応を促進させるため使用される。
(C)成分として、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、三級アミン化合物、四級アンモニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
これらの硬化触媒のなかでも有機錫化合物が好ましく使用され、特に下記式(C)で示される有機錫化合物が好ましく使用される。
20 mSn(OCOR214-m ・・・(C)
ここで、R20は炭素数1〜8の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、より好ましくは炭素数4〜8のアルキル基である。R21は炭素数1〜17の置換あるいは非置換の炭化水素基、好ましくは炭素数が1〜17の置換あるいは非置換のアルキル基である。置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。mは0〜3の整数である。
かかる硬化触媒の代表的なものとしては、有機スズ化合物では、モノブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)、ジメチルチンジネオデカノエート、ジブチルチンビス(2−エチルヘキサノエート)、モノブチルチントリス(n−ブチルプロピオネート)、ジブチルチンジラウレート、モノヘキシルチントリオクトエート、ジヘキシルチンジオクトエート、トリヘキシルチンモノオクトエート、モノヘキシルチントリス(メチルマレエート)、ジオクチルチンジアセテート、トリオクチルチンモノアセテート、ジオクチルチンビス(メチルマレエート)、モノオクチルチントリス(メチルプロピオネート)、ジオクチルチンジプロピオネート)、トリオクチルチンモノプロピオネート、モノオクチルチントリオクトエート、ジオクチルチンジオクトエート、トリオクチルチンモノオクトエートが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
有機チタン化合物の代表的なものとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラオクチルチタネート等のアルコキシチタン化合物、チタンアセチルアセトナート系、チタンエチルアセトアセテート系などのチタンキレート化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
有機ジルコニウム化合物の代表的なものとしては、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラオクトキシジルコニウム等のアルコキシジルコニウム化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネートなどのジルコニウムキレート化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
三級アミン化合物の代表的なものとしては、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ジメチルアミノエトキシエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
四級アンモニウム塩化合物の代表例としては、例えば2−ヒドロキシエチル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネ−ト、2−ヒドロキシエチル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエ−ト、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネ−ト、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエ−ト等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
(C)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して0.001〜0.4重量部、好ましくは0.002〜0.3重量部である。(C)成分の含有量が0.001重量部未満であると架橋反応を促進する作用が得られず、0.4重量部を超えると、第1層と第2層との密着性が低下し好ましくない。
(トリアジン系紫外線吸収剤(D))
(D)成分として、下記式(D)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく使用される。(D)成分は、(A)成分のアクリル共重合体中のシクロアルキル基により、分散性が向上し、紫外線吸収機能を無駄なく発揮することができる。その結果、本発明の第1層は優れた耐候性を有する。
Figure 0005330070
式中R4は、炭素数1〜18、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜8のアルキル基、−CH2CH(OH)CH2O−R8で表される置換基または−CH(CH3)C(O)O−R9で表される置換基を表す。R8は、炭素数1〜18、好ましくは3〜16、より好ましくは6〜14のアルキル基である。R9は、炭素数1〜18、好ましくは3〜16、より好ましくは6〜10のアルキル基である。R4、R8、R9のアルキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
5は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表す。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
6、R7は各々独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、または炭素数1〜18のアルキル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表す。
アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。アルコキシ基として、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。フェニル基に置換するアルキル基の炭素数は、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜8である。アルキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Vは、水素原子、OH基または炭素数1〜12のアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。アルキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
式(D)で示されるトリアジン系紫外線吸収剤として具体的には、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製の、
(1)チヌビン1577(R4はヘキシル基、R5、R6、R7およびVは水素原子)、
(2)チヌビン400(R4は−CH2CH(OH)CH2O−R8(R8はドデシル基およびトリデシル基)、R5、R6、R7およびVは水素原子)、
(3)チヌビン405(R4は−CH2CH(OH)CH2O−R8(R8はオクチル基)、R5、R6、R7およびVはメチル基)、
(4)チヌビン460(R4はブチル基、R5、R6、R7はブチルオキシ基、VはOH基)、
(5)チヌビン479(R4は−CH(CH3)C(O)O−R9(R9はオクチル基)R5は水素原子、R6およびR7はフェニル基、Vは水素原子)、等が挙げられる。
これらは単独または2種以上を混合して使用できる。好ましくは、極大吸収波長の異なるものを2種以上混合して使用することで、紫外部のより広い波長域で紫外線を吸収でき、また、一方の紫外線吸収剤の吸収の弱い波長域の紫外線を、他方が吸収することにより、紫外線吸収剤自体のUVに対する耐久性を向上させることができより好ましい。
これら(D)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して0〜40重量部、0〜30重量部である。40重量部を超えると、第1層と基材、あるいは第1層と第2層との密着性が低下する。
(溶媒)
第1層は、アクリル樹脂組成物(塗料)を基材表面に塗布して形成することができる。アクリル樹脂組成物は、さらに溶媒を含有することが好ましい。
溶媒は、基材と反応せず、且つ基材を溶解しない溶媒であることが好ましい。かかる溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエ−テル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1ープロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
アクリル樹脂組成物中の樹脂(固型分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%である。
本発明において、第1層は、アクリル樹脂組成物(塗料)を基材表面に塗布し、次いで溶媒を加熱等により除去し、さらに加熱して架橋(熱硬化)させることにより形成することができる。
塗料の基材への塗布は、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗布される基材の形状に応じて適宜選択することができる。アクリル樹脂組成物が塗布された基材は、通常、常温から基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去を行い、熱硬化させる。
熱硬化は、基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が完全には進行せず、第1層に求められる十分な架橋密度を持ったコート層にならない。かかる熱硬化の過程で、熱硬化型アクリル樹脂組成物中の架橋性基が反応してコート層の架橋密度が上がり、密着性、耐沸水性、高温環境下での耐久性に優れたコート層となる。
熱硬化温度は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。熱硬化時間は、好ましくは10分間〜3時間、より好ましくは20分間〜2時間である。加熱により架橋性基を架橋させ、第1層としてアクリル樹脂層を積層した積層体が得られる。熱硬化時間が10分以下では架橋反応が十分に進行せず、高温環境下での耐久性、耐候性に乏しい第1層になることがある。また、アクリル樹脂組成物の性能上、熱硬化時間は3時間以内で十分である。
アクリル樹脂組成物を熱硬化して第1層を形成することにより、第2層と基材との密着性が良好となり、耐摩耗性および耐候性に優れた積層体を得ることができる。第1層の膜厚は、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。膜厚が1μm未満であると、紫外線の透過率が高くなり、基材の黄変が生じ、密着性を低下させるため、耐候性が乏しくなる。膜厚が20μmを超えると、内部応力の増大のため、また熱硬化時に架橋反応が十分進行しないため、高温環境下での耐久性に乏しい層となる。また、アクリル樹脂組成物をコーティングする際における溶剤の揮発が不十分となり、溶剤が第1層中に残存し、耐沸水性、耐候性を損ねることになる。
<オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70>
オルガノシロキサン系樹脂系熱硬化膜70は、オルガノシロキサン樹脂組成物を熱硬化させた膜である。オルガノシロキサン樹脂組成物は、コロイダルシリカ(E成分)、アルコキシシランの加水分解縮合物(F成分)および所望により金属酸化物(G成分)を含有する。
(コロイダルシリカ(E))
コロイダルシリカ(E成分)として、好ましくは直径5〜200nm、より好ましくは直径5〜40nmのシリカ微粒子が、水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。
かかるコロイダルシリカとして、具体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、触媒化成工業(株)のカタロイドSN30、塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノ−テックス30、スノ−テックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST等が挙げられる。
コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも使用できるが、水分散型のものを用いるのが好ましい。水分散型のコロイダルシリカの場合、シリカ微粒子の表面に多数の水酸基が存在し、これがアルコキシシラン加水分解縮合物と強固に結合するため、より耐摩耗性に優れたプラスチック積層体が得られるものと考えられる。また、該水分散型コロイダルシリカは酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型のどちらでも使用できるが硬化触媒の選択の多様性、トリアルコキシシランの適切な加水分解、縮合状態の実現の観点から酸性水溶液分散型コロイダルシリカが好ましく使用される。
(アルコキシシランの加水分解縮合物(F))
アルコキシシランの加水分解縮合物(F成分)は、下記式(F)で表わされるアルコキシシランを加水分解縮合反応させたものである。
1 m2 nSi(OR34-m-n ・・・(F)
式中R1、R2は各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。R1、R2は各々独立に、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
3は炭素数1〜4のアルキル基、またはビニル基である。R3は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にメチル基またはエチル基が好ましい。m、nは各々独立に、0、1、2のいずれかの整数であり、m+nは0、1、2のいずれかの整数である。m、nはそれぞれ0または1が好ましい。また、m+nは1が好ましい。
アルコキシシランとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、なかでもアルキルトリアルコキシシランが好ましく、特にメチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランが好ましい。これらは単独もしくは混合して使用できる。さらに用途に応じて硬化膜に可撓性を付与するために、ジメチルジメトキシシランなどの二官能性アルコキシシランを混合して使用することも好ましく行われる。
また、特に耐摩耗性に優れた第2層を形成するオルガノシロキサン樹脂組成物として、アルコキシシラン中の70〜100重量%がメチルトリアルコキシシランであることが好ましい。
(F)成分は、アルコキシシランの一部または全部が加水分解したものおよび該加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物等の混合物であり、これらはゾルゲル反応をさせることにより得られるものである。
オルガノシロキサン樹脂組成物中の(E)成分および(F)成分の含有量は、オルガノシロキサン樹脂組成物の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性およびクラック発生の有無等の点から決められる。(E)成分と(F)成分との合計100重量%としたとき、この2成分の好ましい混合割合は(E)成分が10〜60重量%、(F)成分がR1mR2nSiO(4-m-n)/2に換算して40〜90重量%であり、より好ましくは(E)成分が10〜40重量%、(F)成分がR1mR2nSiO(4-m-n)/2に換算して60〜90重量%である。
(E)成分および(F)成分を含有するオルガノシロキサン樹脂組成物は、アルコキシシランの加水分解縮合反応を行うことにより調製できる。
アルコキシシランの加水分解反応に必要な水は、水分散型のコロイダルシリカ分散液を使用した場合はこの分散液から供給され、必要であればさらに水を加えてもよい。アルコキシシラン1当量に対して通常1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量の水が用いられる。
アルコキシシランの加水分解縮合反応は、酸性条件下で行う必要があり、かかる条件で加水分解を行なうために一般的には加水分解剤として酸が使用される。かかる酸は、予めアルコキシシランまたはコロイダルシリカ分散液に添加するか、両者を混合後に添加してもよい。また、該添加は1回或いは2回以上に分けることもできる。かかる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHのコントロ−ルの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。無機酸を使用する場合は、好ましくは0.0001〜2規定、より好ましくは0.001〜0.1規定の濃度で使用する。有機酸を使用する場合は、アルコキシシラン100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
加水分解縮合反応の条件は、使用するアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜70℃、反応時間が1時間〜数日間である。以上の方法によれば沈殿の生成がなく、より耐摩耗性に優れる第2層を得ることができる。
(金属酸化物(G))
オルガノシロキサン樹脂組成物は、金属酸化物(G)を含有することが好ましい。(G)成分により耐候性を高めることができる。(G)成分として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物が、光による分解が少なく好ましく使用される。特に酸化チタンが好ましく使用される。(G)成分の含有量は、E成分とF成分との合計100重量部に対し好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.2〜5.0重量部である。
(硬化触媒(I))
オルガノシロキサン樹脂組成物は、さらに(I)成分として硬化触媒を含有することが好ましい。かかる硬化触媒としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、コリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩が挙げられ、具体的には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸コリン、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましく使用される。硬化触媒(I)の含有量は、(E)成分と(F)成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
(溶媒)
第2層は、オルガノシロキサン樹脂組成物(塗料)を第1層上に塗布して形成される。オルガノシロキサン樹脂組成物は、溶媒を含有することが好ましい。
溶媒としては、オルガノシロキサン樹脂組成物が安定に溶解することが必要であり、そのためには少なくとも20重量%以上、好ましくは50重量%以上がアルコールである溶媒を用いることが望ましい。
かかるアルコールとしては、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。なかでも炭素数1〜4の低沸点アルコ−ルが好ましく、特に溶解性、安定性および塗工性の点で1−ブタノール、2−プロパノールが好ましい。
溶媒中には水分散型コロイダルシリカ中の水で加水分解反応に関与しない水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使用した場合にはその分散媒の有機溶媒、コーティング用オルガノシロキサン樹脂組成物のpH調節のために添加される酸も含まれる。
pH調節のために使用される酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHのコントロ−ルの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましい。
その他使用できる溶媒としては、水/アルコ−ルと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類が挙げられる。
溶媒の含有量は、(E)成分と(F)成分との合計100重量部に対して、好ましくは50〜2000重量部、より好ましくは150〜1400重量部である。固形分の濃度は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは7〜40重量%である。
オルガノシロキサン樹脂組成物は、酸および硬化触媒の含有量を調節することによりpHを好ましくは3.0〜6.0、より好ましくは4.0〜5.5にすることが望ましい。この範囲でpHを調整することにより、常温でのオルガノシロキサン樹脂組成物のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。オルガノシロキサン樹脂組成物は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な塗料になる。
オルガノシロキサン樹脂組成物は、(E)、(F)および(G)成分が溶媒に溶解及び/または分散し、(i)(F)成分の重量をR1 m2 nSiO(4-m-n)/2に換算した重量としたときに、(E)成分および(F)成分の合計量を100重量%として、(E)成分が10〜60重量%および(F)成分が40〜90重量%であり、且つ(E)成分および(F)成分の合計量100重量部に対して(G)成分が0.1〜15重量部であり、(ii)(G)成分のレーザー回折法粒度分布測定における累積50%粒径および累積90%粒径をそれぞれD50およびD90としたとき、D90が100nm以下であって、且つD90/D50が20以下であることが好ましい。
金属酸化物(G)は、酸化チタン、酸化亜鉛または酸化セリウムであることが好ましい。金属酸化物(G)は、金属酸化物を水または有機溶剤中に分散させたスラリーを平均粒径100μm以下の媒体を充填した媒体ミルにより分散処理したものであることが好ましい。(E)、(F)および(G)成分の合計量の濃度が5〜70重量%であることが好ましい。溶媒が、50重量%以上の炭素数1〜4のアルコールを含有することが好ましい。さらに、硬化触媒(I)を(E)および(F)成分の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部を含有することが好ましい。
第2層は、オルガノシロキサン樹脂組成物(塗料)を第1層上に塗布した後、熱硬化して形成することができる。第2層の形成は、第1層の形成に引き続き連続して行うことが好ましい。
塗布する方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。オルガノシロキサン樹脂組成物を塗布した後、通常、常温から基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒を乾燥、除去した後、熱硬化させる。熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が進まず、硬化被膜を得ることができない。これは、塗料中のオルガノシロキサンが部分的に縮合したものであることを意味する。かかる熱硬化の過程で、残留するSi−OHが縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成し、耐摩耗性に優れたコート層となる。
熱硬化温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは100〜140℃である。熱硬化時間は、好ましくは10分間〜4時間、より好ましくは20分間〜3時間、さらに好ましくは30分間〜2時間である。
第2層の厚みは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜8μmである。第2層の厚みがかかる範囲であると、熱硬化時に発生する応力のために第2層にクラックが発生したり、第2層と第1層との密着性が低下したりすることがなく、本発明の目的とする十分な耐摩耗性を有する第2層が得られる。
<プラズマCVD膜80>
プラズマCVD膜80としては、熱硬化アクリル樹脂膜60およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70をプラスチック基板50に積層した後、例えば、少なくとも1種類のオルガノシロキサン、オルガノシラン又はシラザンの蒸気と共に酸素ガスを存在せしめてプラズマ重合させることによってオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70の表面に積層される。その厚みは、3〜10μm、特に5〜8μmが望ましい。膜厚が薄いと所望の硬度及び耐擦傷性が得にくく、反対に10μmを超えても硬度及び耐擦傷性の効果は飽和し、経済的でないものとなる。
また、プラズマCVD膜80は、その外面側よりオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70側のO/Si比が低いのが望ましい。さらに、プラズマCVD膜80は、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面から表面に向かうに従ってO/Si比が増加しているのが望ましい。そして、プラズマCVD膜80におけるO/Si比が、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との界面から0.1〜1μmの範囲、特には、プラズマCVD膜80の外面側に向かって連続的に増加しているのが最適である。
このように、プラズマCVD膜80がオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面のO/Si比が、表面からオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面に向かうに従って連続的に変化し、あるいは界面から0.1〜1μmの範囲において、O/Si比が増加していることによって、プラズマCVD膜80におけるオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面(界面)およびその近傍湿式のオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70に対する密着性が高まる。一方、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面から表面に向かうに従ってO/Si比が変化しながら傾斜ゾーンとフラットゾーンを持つことにより、密着性を確保すると共に表面側に好適な耐擦傷性を付与することができる。
プラズマCVD膜80は化学組成が連続的に変化している状態を図2に模式的に示す。図2に示すように、O/Si比はオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70の表面近傍から表面に向かって増加する傾斜ゾーンとなり、この部分に密着面が形成される。また、この後、O/Si比はプラズマCVD膜80の表面に至るまでに、一定の比を維持しており、これに伴ってプラズマCVD膜80の表面に至るまでにその硬さも維持せしめられている。
プラズマCVD膜80を形成する際に行われるプラズマ重合は低温プラズマ重合であり、それ自体公知の方法で行われる。すなわち、プラズマ重合させる装置(以下プラズマ重合装置と記す)としては、装置内において有機珪素化合物蒸気および酸素ガスをプラズマ励起させるような装置であればよく、プラズマCVD(化学蒸着)で通常使用される装置を使用することができ、特に容量結合型の装置が好適に使用される。
容量結合型のプラズマ重合装置においては、RF(ラジオ高周波。以下同様)電極が真空反応容器外に設置された外部電極方式およびRF電極が真空反応容器内に設置された内部電極方式のいずれをも使用することができる。有機珪素化合物蒸気および酸素ガスをプラズマ励起させるには、高周波電源が使用されるが、その周波数は、電波法で工業用周波数帯として指定されている周波数であればよく、例えば、13.56メガヘルツ(MHz)、27.12MHz、40.68MHz、2.45ギガヘルツ(GHz)、5.8GHz、22.125GHzおよび10キロヘルツ(KHz)以下のものがあるが、就中、13.56MHzのものが好適に使用される。
RF電源に投入される電力(以下投入RF電力、または、投入電力と記すこともある)は使用される有機珪素化合物の種類およびプラズマ重合装置の規模などによって異なり、特定し得ないが、通常は、50〜5000W程度とされる。
投入電力を時間と共に変化させる場合、単位時間に対して投入電力を変化させる割合(以下投入電力勾配と記すこともある)は、実質的に一定に保たれるが、変化させることを妨げない。しかして、この投入電力勾配は、プラスチック基板の種類、有機珪素化合物の種類、有機珪素化合物が2種類以上使用された場合にはこれらの比、有機珪素化合物に対する酸素の割合および所望とする密着性の大きさなどによって一概に特定し得ないが、実用上、通常は、10〜500W/分程度が好ましい。また、真空反応容器の被膜形成時の真空度は、通常は、20Pa以下、実用上、好ましくは、10〜1×10-2Pa程度とされる。更に、基材を真空反応容器に設置し、被膜形成する際には、被膜形成の為の原料ガス導入前に、真空反応容器の圧力を前記の被膜形成時以下にまで下げておくことで、形成した被膜の性状(密着性など)が改善される。
このような条件でプラズマ重合を行った場合には、このプラズマ重合は低温プラズマであるため、プラズマ装置の真空反応容器内では熱の発生は実質的にないが、プラズマ発生用電源周波数や投入電力によっては、プラスチック基板の軟化点を超える温度となる場合があり、その際には基材を冷却する構造を付加すれば良い。また、処理時間は、有機珪素化合物の種類、有機珪素化合物と酸素との割合およびプラズマ重合の条件などによって異なり、一概に特定し得ないが、実用上、通常は、5〜60分程度でよい。
本発明では有機珪素化合物として炭素原子を含む珪素化合物または、炭素原子と酸素原子または窒素原子を含む珪素化合物を使用するのが望ましい。
具体的化合物としては例えば、テトラメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、デカメチルテトラシロキサン等を使用できる。
これらの有機珪素化合物は、1種類だけで使用することができるが、2種類以上を併用することもでき、耐擦傷性を良好にするための有機珪素化合物と密着性を良好にするための有機珪素化合物のそれぞれの1種類以上を併用することにより、被膜の耐擦傷性およびプラスチック基板の表面への密着性の両者をともに増大させ得る場合もある。
これらの有機珪素化合物は、酸素ガスとともに使用される。また、有機珪素化合物と酸素ガスとは、プラズマ重合装置の真空反応容器へ、予め混合して供給されてもよく、また、別々にこの真空反応容器に供給して該真空反応容器中で互いに混合させることもできる。有機珪素化合物は、通常は、気体で供給されるが、液体で供給され得る。酸素は、通常は、気体で供給される。
有機珪素化合物に対する酸素の割合は、使用される有機珪素化合物の種類および所望とする被膜の硬さなどによって異なり一概に特定し得ないが、一般に、有機珪素化合物の量に対する酸素の量の比を増大させるに伴って、被膜中の炭素比率を減少せしめ、以て、プラスチック基板表面に形成される被膜を硬くし、耐擦傷性を増大させる傾向があるが、実用上、通常は、有機珪素化合物の蒸気に対して標準状態で10〜500容量倍程度の範囲から適宜選択される。
前記したように、プラズマCVD膜80において、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70の珪素含有率が高い場合、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70との接触面から表面に向かうに従って珪素の含有率が減少せしめられているのが望ましい。この場合、含有率の変化は、連続的であるほか、ステップ的であってもよい。いずれにしても、含有率の傾斜を示すプラズマCVD膜80を形成するために、例えば、(1)プラズマ励起を発生させる投入RF電力のみを時間の経過に伴って連続的に変化させる。(2)プラズマ励起を発生させる投入RF電力を時間の経過に伴って連続的に変化させるとともに、1種以上の有機珪素化合物の蒸気および/または酸素ガスの供給速度を時間の経過に伴って連続的に変化させる、等の方法を採ることができる。
図3及び図4に、本発明に係るプラズマCVD膜80を形成させるためのプラズマ重合反応における反応条件の経時変化の具体的な態様を模式的に例示する。図3では、酸素ガス及び有機珪素化合物蒸気の供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させ、酸素ガスと有機珪素化合物の蒸気との比を時間の経過に伴って連続的に変化させ、これとともに、投入RF電力も時間の経過に伴って連続的に減少させている。一定時間経過後は、酸素ガス、及び有機珪素化合物の蒸気の供給速度と、投入RF電力とを一定に保ち続ける。
ここで、図示していないが、2種類の有機珪素化合物を併用する場合には、有機珪素化合物1と有機珪素化合物2との和を、一定に保ってもよいし、また、この和を時間の経過に伴って連続的に変化させてもよい。従って、例えば、プラズマ重合の前期には、一方の有機珪素化合物のみを使用し、プラズマ重合の後期には、他方の有機珪素化合物のみを使用することもできる。
このようにプラズマ重合において、投入RF電力を連続的に低減させるとともに、有機珪素化合物の供給速度および/または酸素の供給速度を連続的に変化させることによって、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜70の表面と、硬くて耐擦傷性の大きいプラズマCVD膜80とが強固に密着せしめられる。
図5は、本発明に係るプラズマCVD膜80の形成装置であるプラズマ重合装置の一例を示している。なお、図示例において、第1電極10、第2電極20および処理基板30は、上下方向に並んでいるが、左右方向に並置することによっても本発明の効果は実質的に同一にあらわれることを、予め断っておく。
本例におけるプラズマ処理装置においては、真空容器1内に対向して、第1電極(カソード電極)10および第2電極(アノード電極)20が配置されている。第1電極10表面上にプラスチック処理基板30が配置され、適宜のホルダーによって支持される。真空容器1内は、真空ポンプ5によって、減圧状態とされ、真空容器1内に外部から反応ガス7を導入しながら、その反応ガスのプラズマを第1電極(カソード電極)10と第2電極(アノード電極)20との間に形成するようにしてある。第2電極(アノード電極)20はアース接地してある。
本発明に係るアクリル樹脂熱硬化膜及びオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成していない、プラスチック樹脂基板上に直接的にプラズマCVD膜を形成する方法については、本出願者らが開示した特許文献3に掲げる成膜方法が好適である。
しかしながら、同方法に従って、アクリル樹脂熱硬化膜及びオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成した表面にプラズマCVD膜を形成すると、樹脂基板との密着性が悪い。そこで、基板との密着性を改良しつつ、しかも十分な硬度及び耐擦傷性を示すプラスチック積層体を得るために、鋭意研究及び種々の実験を試みた。
その一例を実施例及び比較例として以下に示す。実施例中の部は重量部を意味する。
得られたプラスチック積層体は以下の方法によって評価した。
(1)外観評価:目視にて試験片のコート層外観(クラック)の有無を確認した。
(2)密着性:コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作り、ニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”)を圧着し、垂直に強く引き剥がし、基材上に残った碁盤目の数で評価した。(JISK5400に準拠)
結果の表記は、例えば100(3)は3回試験を実施し碁盤目が100個残った事を表す。95(1)は、1回目の試験で碁盤目が95個残った事を表す。
(3)耐摩耗性:両面コート層の一面をCalibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、試験前にCalibrase社製S−11研磨紙で25回転摩耗輪表面を研磨して、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した(ASTMD1044に準拠)。(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(4)耐擦傷性:試験片の両面コート層の1面を#0000のスチールウールで擦った後、表面の傷つきの状態を目視により5段階で評価した。
1:500g荷重で10回擦っても全く傷つかない
2:500g荷重で10回擦ると僅かに傷つく
3:500g荷重で10回擦ると少し傷つく
4:500g荷重で10回擦ると傷つく
5:100g荷重で10回擦ると傷つく
(5)耐沸水性:試験片を沸騰水中に2時間浸漬した後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(6)耐熱性:試験片を恒温槽にて110℃に保持し、1000時間後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(プラスチック基板)
透明なプラスチック基板としてポリカーボネート樹脂板を使用した。
まず、アクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜に使用した材料液の調製方法を下記に示す。
[材料液の調製方法]
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート97部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート19.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.18部及び1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn − ヘキサンに添加して再沈精製し、EMA/HEMAの組成比85/15(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(A))80部を得た。該コポリマーの水酸基価は72.1mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
前記アクリル樹脂(A)5.8部および2−(2’−ヒドロキシー5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、イソプロパノール24部、および1−メトキシ−2−プロパノール3.2部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(A)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量となるように「VESTANATB1358/100」(デグサジャパン製ポリイソシアネート化合物前駆体)2.7部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.001部を添加し、25℃で5分間攪拌してアクリル樹脂膜用組成物(I)を調製した。
テトラエトキシシラン208部、0.01mol/lの塩酸81部を氷水で冷却下混合した。この混合液を25℃で3時間攪拌し、イソプロパノール11部で希釈してテトラエトキシシラン加水分解縮合物溶液(S2)300部を得た。
[実施例1]
酸性水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製「スノーテックスO40 」固形分濃度40重量%)25部、水8部に酢酸3部を加えて攪拌し、この分散液を氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン50部に加えた。この混合液を25℃で1時間半攪拌後、70℃で2時間攪拌した反応液を氷水冷却し、これに、硬化触媒として45%コリンメタノール溶液0.4部を氷水冷却下で混合し、イソブタノール20部、メチルエチルケトン20部、酢酸エチル10部で希釈して第2層用コーティング用組成物(i)を得た。
予めアクリル樹脂膜用組成物(I)を硬化膜厚4μmになるようにディップコートで両面塗布し120℃、1時間熱硬化した透明な2mm厚のポリカーボネート製基材上に、かかるコーティング用組成物(i)を硬化膜厚5μmになるようにディップコートで両面塗布し、120℃、1時間熱硬化してコート層を有する透明ポリカーボネート積層体を得た。
得られたポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を有するプラスチック形成体上に、プラズマCVD層を積層した。図5に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置の構成を使用し、図3に示すように有機珪素化合物流量、酸素ガス流量、高周波電力の成膜条件を変化させて成膜を行なった。有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、その流量を3→30sccm、酸素流量を25→1000sccmにそれぞれ変化させながら、高周波電力を3000→1000Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。得られたプラズマCVD膜の厚みは5μmであった。傾斜ゾーン厚みは1μm、フラットゾーンのO/Si比は1.5であった。得られたコート層を有するポリカーボネート積層体を評価した結果を表2に示した。
[実施例2]
実施例1と同様に、ポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成させた。
得られたポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を有するプラスチック形成体上に、プラズマCVD層を積層した。図5に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置の構成を使用し、図3に示すように有機珪素化合物流量、酸素ガス流量、高周波電力の成膜条件を変化させて成膜を行なった。有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、その流量を2→30sccm、酸素流量を25→1000sccmにそれぞれ変化させながら、高周波電力を3000→1100Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。得られたプラズマCVD膜の厚みは7μmであった。傾斜ゾーン厚みは1μm、フラットゾーンのO/Si比は1.4であった。得られたコート層を有するポリカーボネート積層体を評価した結果を表2に示した。
[比較例1]
透明なプラスチック基板としてポリカーボネート樹脂板を使用した。
実施例1と同様に、ポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成させた。
次に、図5に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置を使用して、図4に示すように、有機珪素化合物蒸気と酸素ガスとの供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させつつ、他方では投入RF電力を時間の経過に伴って連続的に増加させてプラズマ重合を行い、このプラスチック基板の表面に硬い被膜を形成させた。
有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、その流量は2→30sccm、酸素流量を40→1000sccmに変化させながら、高周波電力を50→1200Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。得られたプラズマCVD膜の厚みは7μmであった。この時の傾斜ゾーンは実施例1とは逆の傾斜を有する組成となり、傾斜ゾーン厚みは3μm、フラットゾーンのO/Si比は1.5であった。
[比較例2]
透明なプラスチック基板としてポリカーボネート樹脂板を使用した。
実施例1と同様に、ポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成させた。
次に、図5に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置を使用して、図4に示すように、有機珪素化合物蒸気の供給速度と酸素ガスの供給速度を一定に保ち、他方では投入RF電力も一定に保ちつつプラズマ重合を行い、このプラスチック基板の表面に硬い被膜を形成させた。
有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、その流量は30sccm、酸素流量を1000sccmに保持しながら、高周波電力を1200Wに保持して成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は10Paであった。得られたプラズマCVD膜の厚みは5μmであった。この場合、傾斜ゾーンはなく、フラットゾーンのO/Si比は1.8であった。
[比較例3]
実施例1と同様に、ポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を形成させた。
得られたポリカーボネート基材上にアクリル樹脂熱硬化膜およびオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を有するプラスチック形成体上に、プラズマCVD層を積層した。図5に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置の構成を使用し、図3に示すように有機珪素化合物流量、酸素ガス流量、高周波電力の成膜条件を変化させて成膜を行なった。有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用し、その流量を2→30sccm、酸素流量を25→1000sccmにそれぞれ変化させながら、高周波電力を3000→1100Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。条件は、実施例2とほぼ同一であるが、有機珪素化合物流量、酸素流量、および高周波電力を変化させるポイントを実施例2より時間的に後にずらし、傾斜ゾーン2.5μmとなるよう、調整した。得られたプラズマCVD膜の厚みは7μmであった。この時のフラットゾーンのO/Si比は1.5であった。得られたコート層を有するポリカーボネート積層体を評価した結果を表2に示した。
[比較例4]
透明なプラスチック基板としてポリカーボネート樹脂板を使用し、この上に、実施例1で記載した方法により、アクリル樹脂熱硬化膜とオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を積層した。そして、本例においては、プラズマCVD膜は形成せず、アクリル樹脂熱硬化膜とオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜の2層構造とした。ここで得られたポリカーボネート積層体を評価した結果を表2に示した。
Figure 0005330070
Figure 0005330070
表2の結果に注目すると、実施例1、2では、比較例1との対比から、プラズマCVD膜の密着性に優れることが判る。また、耐摩耗性の数値が比較例4に比べて大幅に改善されており、このため、特に窓用に利用した際のワイパーなどによる傷に対する硬度が、飛躍的に改善されていることが明確に判る。比較例2では、傾斜ゾーンがなく、比較例3では傾斜ゾーンを厚くした結果を示しているが、何れも耐沸水性、耐熱性で、実施例1、2に劣る結果を得た。
以上の結果から、容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置を使用して、酸素ガス及び有機珪素化合物蒸気の供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させつつ、他方では投入RF電力を投入電力を時間の経過に伴って連続的に減少させてプラズマ重合を行うことによってオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜に積層されたプラズマCVD膜は、耐擦傷性及び密着性に優れていることが判る。
50…プラスチック基板、60…アクリル樹脂熱硬化膜、70…オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜、80…プラズマCVD膜、100…透明又は半透明プラスチック積層体

Claims (5)

  1. プラスチック基板の少なくとも片面上にアクリル樹脂熱硬化膜、オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜および有機珪素化合物のプラズマCVD膜を順次積層して成り、
    前記CVD膜が、酸素原子と珪素原子との存在比(O/Si比)が前記オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜との界面から傾斜的に増加する傾斜ゾーンとそれに続くほぼ一定のフラットゾーンとから成り、
    前記CVD膜の傾斜ゾーンの厚みが0.1〜1μmであることを特徴とするプラスチック積層体。
  2. 前記CVD膜のフラットゾーンのO/Si比が1.4以上2未満であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック積層体。
  3. 前記CVD膜がオルガノシロキサン、オルガノシランおよびシラザンから成る化合物群より選ばれる少なくとも1種類の有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスを共存下にプラズマ重合させて得られる膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック積層体。
  4. 前記プラスチック基板が透明または半透明樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック積層体。
  5. プラスチック基板の少なくとも片面上に、アクリル樹脂を湿式塗工し熱硬化する工程、オルガノシロキサン系樹脂を湿式塗工し熱硬化する工程、およびオルガノシロキサン、オルガノシランおよびシラザンから成る化合物群より選ばれる少なくとも1種類の有機珪素化合物の蒸気と酸素ガスを共存下にプラズマ重合させて成膜する工程を含み、
    酸素原子と珪素原子との存在比(O/Si比)が前記オルガノシロキサン系樹脂の熱硬化膜との界面から傾斜的に増加する傾斜ゾーンとそれに続くほぼ一定のフラットゾーンとから成る前記プラズマ重合膜を生成させ
    前記CVD膜の傾斜ゾーンの厚みを0.1〜1μmとすることを特徴とするプラスチック積層体の製造方法。
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