JP4007794B2 - 撮像装置およびその露出制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像装置およびその撮像装置における露出制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カメラの露出制御は、銀塩フィルムカメラおよびディジタルカメラを問わず、シャッタ速度と絞り値の制御の組み合わせによって行われている。この場合、スローシャッタ時には手ぶれによる画質劣化が生じやすくなることから、手ぶれ限界露光時間(手ぶれ限界シャッタ速)が規定されており、これにより露出制御で使用可能な低速側のシャッタ速度の限界が制限されている。
【0003】
例えば、ストロボ内蔵のカメラにおいては低輝度時にストロボを自動発光する機能が設けられているが、そのストロボ発光時に固定されるシャッタ速が手ぶれ限界シャッタ速である。
【0004】
画像に対する手ぶれによる影響の度合いは撮影画角によって異なり、広角撮影時に比し、画角の狭い望遠撮影の場合ほど顕在化し易くなる。このため、手ぶれ限界シャッタ速は、例えば撮影レンズの35mm版換算焦点距離fの逆数などを基準に、カメラ毎に個々に規定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ディジタルカメラの場合には、撮像素子の有効撮像エリアに割り当てる撮像画素数や、記録画素数によって記録画像の解像度が大きく異なる。この記録画像の解像度に対応してぶれの顕現性も異なることになるが、従来では、これを考慮せず、同じ焦点距離に対しては一律の手ぶれ限界シャッタ速が採用されている。このため、画像にぶれを生じたり、シャッタ速範囲が過剰に制限されるという問題があった。
【0006】
すなわち、まず、デジタルカメラで得られた画像は、パーソナルコンピュータのモニタ一杯に拡大した(すなわち引き伸ばした)状態で観察されることが多いので、サービスサイズでプリントされることの多い銀塩フィルムカメラよりもぶれが目立ち易いということが考えられる。しかし実際は高画素撮像素子を用いた高画素記録のものについてはその予想通りであるが、画素数の少ないもの(例えばVGA画像)などではむしろぶれは目立ちにくい場合もある。これは拡大観察する場合にも、情報として有効な画素数が小さいと解像度が低いため、ぶれが生じてもそれが限界解像度以下となって視認されないということであると理解される。
【0007】
従来の35ミリ銀塩写真の場合は、後述のように実質解像度はほぼ一定と見なせるから、カメラのホールディング性の違いによって値自体は機種によって異なる場合があるにせよ、1台のカメラにおいてレンズ焦点距離が同じ場合に手ぶれ限界が変化することはなく問題は生じなかった。
【0008】
これに対して(同じ焦点距離に対して)固定的な手ぶれ限界シャッタ速を採用したデジタルカメラでは、撮影モードによって解像度が大きく変化するから、より高解像度の撮影モードにおいてはぶれ画像を生じやすく、より低解像度の撮影モードにおいては、もう少し低速のシャッタ速まで許容し得るにも関わらず使用が禁止されてしまう(従って過剰制限となる)シャッタ速領域を生じやすいという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、記録画像の解像度を考慮することにより常に最適な手ぶれ限界シャッタ速を用いて露出制御を行うことが可能な撮像装置および露出制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の撮像装置は、撮像光学系を介して入力される被写体像を光電変換する撮像素子と、低速側シャッタ速度の限界基準たる手ぶれ限界露光時間を用いて、前記撮像素子の露出制御を行う露出制御手段と、前記撮像素子の所定領域に対応する有効撮像画素により得られる撮像信号から記録画像を生成する手段と、前記露出制御に用いられる前記手ぶれ限界露光時間の値を、前記記録画像の解像度に応じて切り換える切換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
この撮像装置によれば、記録画像の解像度に応じて露出制御で使用する手ぶれ限界露光時間の値が切り換えられるので、例えば、ぶれが顕在化しやすい高解像度の記録画像を得る場合には低速側のシャッタ速度の限界を十分に制限し、ぶれが顕在化しにくい低解像度の記録画像を得る場合にはより低速のシャッタ速まで許容するといった制御を実現することができる。よって、記録画像の解像度に応じた最適な手ぶれ限界シャッタ速の制限が可能となる。
【0012】
記録画像の解像度は、記録画像の記録画素数や、記録画像の生成に使用される撮像素子における有効撮像画素数によって規定することが出来るので、手ぶれ限界露光時間の切り換えは、記録画像の記録画素数に応じて、あるいは記録画像の生成に使用される撮像素子における有効撮像画素数に応じて行うことが好ましい。特に、低速のシャッタ速領域の過剰制限を防止するという観点からは、記録画像の記録画素数で規定される解像度と、記録画像の生成に使用される撮像素子における有効撮像画素数で規定される解像度のうち、より小さい方の解像度に応じて手ぶれ限界露光時間の値を切り換えることが好適である。
【0013】
手ぶれ限界露光時間の値は、記録画像の記録画素数、または記録画像の生成に使用される撮像素子における有効撮像画素数に応じた係数を、撮像光学系の焦点距離の逆数に対して乗じることによって求めることが出来る。この場合、記録画素数および有効撮像画素数それぞれ対応する画枠の一次元方向のサイズに相当する1次元画素数、例えば縦または横方向の画素数に応じた係数を使用することにより、解像度毎にそれに応じた適正な手ぶれ限界露光時間を容易に求めることができる。また、1次元画素数として、その2次元画素数の平方根として規定された値を使用することで、低解像度画像と高解像度画像との間で画枠のアスペクト比が異なる場合でも、適正な手ぶれ限界露光時間を求めることができる。
【0014】
また、撮像光学系の焦点距離を変倍するズーム手段を備える場合には、ズーム手段によって変倍される撮像光学系の焦点距離の逆数に対して乗じる変数を、記録画像の解像度に応じて切り換えることによって、適正な手ぶれ限界露光時間の切換が可能となる。
【0015】
また、解像度の異なる記録画像を得るための複数の撮影モードが用意された撮像装置においては、操作者により指定された撮影モードに対応する解像度の記録画像が生成されることになるので、指定された撮影モードに応じて手ぶれ限界露光時間の値を切り換えることが好適である。
【0016】
さらに、撮像装置に搭載される撮像素子自体の画素数に応じて手ぶれ限界露光時間の値を切り換えるという制御を採用することも可能であり、これは特に撮像素子が交換可能な撮像装置に好適であるが、固定式のものであっても取り付けられる撮像素子の画素数が製品種別毎に異なるような撮像装置においては有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係わる撮像装置の構成が示されている。ここでは、ディジタルカメラとして実現した場合を例示して説明することにする。
【0018】
図中101は撮像光学系を構成する各種レンズからなる可変焦点のズームレンズ系、102はレンズ系101を駆動するためのレンズ駆動機構、103はレンズ系101の絞り及びメカニカルシャッタを制御するための露出制御機構、104はローパス及び赤外カット用のフィルタ、105は被写体像を光電変換するためのCCDカラー撮像素子、106は撮像素子105を駆動するためのCCDドライバ、107はアナログアンプおよびA/D変換器等を含むプリプロセス回路、108は記録画像の生成のための色信号生成処理,マトリックス変換処理,その他各種のディジタル処理を行なうためのディジタルプロセス回路、109はカードインターフェース、110はメモリカード、111はLCD画像表示系を示している。
【0019】
また、図中の112は各部を統括的に制御するためのシステムコントローラ(CPU)、113は各種スイッチからなる操作スイッチ系、114は操作状態及びモード状態等を表示するための操作表示系、115はレンズ駆動機構102を制御するためのレンズドライバ、116は発光手段としてのストロボ、117は露出制御機構103及びストロボ116を制御するための露出制御ドライバ、118は各種設定情報等を記憶するための不揮発性メモリ(EEPROM)を示している。
【0020】
本実施形態のカメラにおいては、システムコントローラ112が全ての制御を統括的に行っており、露出制御機構103とCCDドライバ106によるCCD撮像素子105の駆動を制御して露光(電荷蓄積)及び信号の読み出しを行ない、それをプリプロセス回路107を介してA/D変換した後にディジタルプロセス回路108に取込み、ディジタルプロセス回路108内で各種信号処理を施した後にカードインターフェース109を介してメモリカード110に記録するようになっている。
【0021】
また、システムコントローラ112には、図示のように、撮影者によって指定された撮影モードに応じた解像度の記録画像を得るための制御を行う撮影モード制御部112aと、被写体光量に応じて撮像素子105における露出を自動調節するという自動露出制御(AE)を行うための露出制御部112bと、その露出制御で使用される手ぶれ限界露光時間(手ぶれ限界シャッタ速)を記録画像の解像度に応じて切換るための制御を行う手ぶれ限界露光時間切換制御部112cとが設けられている。
【0022】
本実施形態では、生成すべき記録画像の解像度に応じた適正な手ぶれ限界露光時間を算出するために、レンズ系101の35mm版換算焦点距離の逆数に乗じる係数kを記録画像の解像度に応じて切り換えるという制御が用いられる。
【0023】
TL=k/f [s]
ここで、TLは手ぶれ限界露光時間(手ぶれ限界シャッタ速)を示し、fはレンズ系101の35mm版換算焦点距離である。対角長11mmの撮像素子を考えると、35ミリダブルフレーム(ライカサイズ)の対角長が44mmであるので、レンズ系101の実焦点距離をf0とすると、
f=4・f0
で与えられる。
【0024】
ここで、手ぶれ限界露光時間の具体的な切換動作の説明に先立ち、まず、銀塩フィルムカメラの解像度とディジタルカメラの解像度との関係についての本発明者らによる検討結果について説明することにする。
【0025】
すなわち、銀塩フィルムカメラの場合には、フィルム自体の解像度は極めて高いが、実質解像度はフォーカスによって制限される。1眼レフカメラにおけるオートフォーカスで標準的に採用されることの多いフォーカシング許容錯乱円径30μmを等価的に1画素と考えると、所謂35ミリダブルフレーム(ライカサイズ)36×24は、1200×800画素(96万画素≒100万画素クラス)程度に相当することになる。実際には錯乱円=画素では無いこと、また撮像素子の画素数に関しては、単板撮像素子は色コーディングのため等価画素数が小さくなることなどのため、一概には言えないものの、ディジタルカメラの撮像画素数あるいは記録画素数で約100万画素と200万画素の間程度の画素数(100万画素クラス)の場合にフィルムカメラとほぼ同等の実質解像度すなわちほぼ同等のぶれ顕現性を生じると考えて良いことが判った。(なお、錯乱円については、別センサ方式である銀塩カメラとは異なり、ディジタルカメラではイメージャ信号検出方式AFを用いるため、高解像度モードの場合にはそれに対応した高い解像度(より小さな錯乱円)が得られるという事情がある。)
以上の見地から、本実施形態では、焦点距離fの逆数に乗じる係数kの値を100万画素クラスの解像度の撮影モードを基準として規定し(k=1)、それよりも高解像度の撮影モードの場合は、低速シャッタによるぶれの顕在化を十分に制限するために係数kの値を1よりも小さくし、逆に低解像度の撮影モードの場合はより低速のシャッタ速まで許容出来るようにするために係数kの値を1よりも大きくする、という制御が行われる。
【0026】
本実施形態のカメラは、“H”、“M”、“L”、“V”の4つの撮影モードを持つ。これら撮影モード“H”、“M”、“L”、“V”と記録解像度との関係は次の通りである。
【0027】
H 2400×1800(432万画素)画素数平方根≒2080
M 1600×1200(192万画素)画素数平方根≒1390
L 1200× 900(108万画素)画素数平方根≒1040
V 600× 450 (27万画素)画素数平方根≒ 520
撮像素子105自体は上記H相当の2400×1800(432万画素)の有効画素数を有している。撮影モード“H”では400万画素クラスの記録画素数の記録画像が生成され、撮影モード“M”では200万画素クラスの記録画素数の記録画像が生成され、撮影モード“L”では100万画素クラスの記録画素数の記録画像が生成され、さらに撮影モード“V”ではVGAクラスの記録画素数の記録画像が生成される。よって、100万画素クラスのモード“L”の場合に係数k=1となり、そのモード“L”との間の解像度の比率に応じて他の各モードにおける係数kの値が決定される。ここで、解像度の比率の算出に当たっては、それぞれの記録画素数に対応する画枠の一次元画素数が用いられる。上述の例では、どのモードにおいても画枠のアスペクト比は4:3であるので、縦方向の画素数同士の比率、または横方向の画素数同士の比率のどちらを使用してもよい。また、一次元画素数として2次元画素数の平方根(画枠の対角長に対応)を用いれば、アスペクト比が異なる場合でも解像度の比率を正しく求めることが出来る。
【0028】
撮影モード“H”、“M”、“L”、“V”それぞれに対応する係数kの値を図2に示す。
【0029】
図2に示されているように、撮影モード“L”(1200×900画素)における係数kの値は1である。撮影モード“H”(2400×1800画素)は撮影モード“L”の2倍の解像度であるので係数kの値は1/2(=0.5)となり、手ぶれ限界露光時間は撮影モード“L”の場合の半分に制限される。撮影モード“M”(1600×1200画素)は撮影モード“L”の4/3倍の解像度であるので係数kの値は3/4(=0.75)となり、手ぶれ限界露光時間は撮影モード“L”の場合の3/4倍に制限される。また、撮影モード“V”(600×450画素)は撮影モード“L”の1/2倍の解像度であるので係数kの値は2となり、手ぶれ限界露光時間は撮影モード“L”の場合の2倍まで許容される。
【0030】
さらに、本実施形態のカメラにおいては、撮影モード“H”、“M”、“L”、“V”それぞれについて電子ズーム(拡大)機能を併用することができ、この場合の係数kの値は、電子ズーム時において記録画像の生成に使用される撮像素子105の有効撮像画素数をも考慮して決定される。
【0031】
すなわち、撮像素子105の有効撮像画素数は上記H相当の2400×1800画素であるが、2倍の電子ズーム機能を用いる場合にはどの撮影モードにおいても撮像素子105の有効撮像画素数は1200×900画素となり、また4倍の電子ズーム機能を用いる場合にはどの撮影モードにおいても撮像素子105の有効撮像画素数は600×450画素となる。例えば、撮影モード“H”で2倍の電子ズーム機能を使用した場合には、撮像素子105の撮像信号から1200×900画素分の画枠が切れ出され、そしてそれを補間することによって2400×1800の記録画像が生成される。同様に、撮影モード“H”で4倍の電子ズーム機能を使用した場合には、撮像素子105の撮像信号から600×450画素分の画枠が切れ出され、そしてそれを補間することによって2400×1800の記録画像が生成されることになる。
【0032】
よって、これら2倍または4倍の電子ズーム機能を併用する場合には、実質的な記録画像の解像度は、記録画素数と有効撮像画素数のうちで、より小さい方の画素数によって決まることになる。このため、本実施形態では、記録画素数と有効撮像画素数のうちで、より小さい方の画素数を基に各撮影モードにおける係数kの値を決定する。2倍または4倍の電子ズーム機能を併用した場合における撮影モード“H”、“M”、“L”、“V”それぞれに対応する係数kの値を図3に示す。
【0033】
図3に示されているように、電子ズーム機能を使用しない場合(1倍、非ズーム)には、各撮影モードにおける係数kの値は図2の場合(撮像素子105の有効撮像画素数=2400×1800画素の場合)と同じになる。一方、2倍の電子ズーム機能を使用する場合には、撮影モード“H”および“M”のどちらにおいても撮像素子105の有効撮像画素数がその記録解像度よりも小さくなり、且つその時の有効撮像画素数(1200×900)は撮影モード“L”の記録画素数と同じになるので、係数kは1となる。また、4倍の電子ズーム機能を使用する場合には、撮影モード“H”および“M”のどちらにおいても記録解像度よりも有効撮像画素数が小さくなり、且つその時の有効撮像画素数(600×450)は撮影モード“L”の記録画素数の1/2と同じになるので、係数kは2となる。
【0034】
また、撮影モード“L”においては、2倍の電子ズームを使用する場合の有効撮像画素数(1200×900)は撮影モード“L”の記録画素数と同じなので2倍の電子ズーム時にも係数kは1のままであるが、4倍の電子ズームを使用する場合の有効撮像画素数(600×450)は撮影モード“L”の記録画素数の1/2と同じになるので、係数kは2となる。撮影モード“V”においては、2倍、4倍のどちらの電子ズームを使用する場合でも、その記録画素数(600×450)よりも有効撮像画素数が下回ることはないので、係数kは2のまま変化しない。
【0035】
図4には、絞り開放領域における被写体輝度Bv(Blightness Value)とシャッタ速度Tv(Time Value)との関係が示されている。
【0036】
AE制御においては、被写体輝度Bvが低くなる程シャッタ速度Tvは遅く(露光時間が長く)設定されるが、使用可能な低速側のシャッタ速度の限界値はそのときの手ぶれ限界露光時間TLの設定値(TL=TL1,TL2,TL3)で制限されることになる。手ぶれ限界露光時間TLの設定値に対応する被写体輝度Bvの値がストロボ115の発光ポイントとなる。もちろん、ストロボ115を発光する代わりに、アナログアンプのゲインをアップするといった制御を行うことも可能である。
【0037】
なお、図4では手ぶれ限界露光時間TLの切換の様子をわかりやすく説明するために絞り開放領域を例に説明したが、実際の露出制御においては、シャッタ速度Tvと絞り値Av(Aperture Value)との関係を定義したプログラム線図を用いて、被写体輝度Bvに対応する適正な露出値(シャッタ速度Tv、絞り値Av、ストロボの使用の有無など)が決定される。この場合、プログラム線図におけるシャッタ速の制御範囲は手ぶれ限界露光時間TLの設定値に応じて異なることになり、手ぶれ限界露光時間TLの設定値によって最低速シャッタ速度の値が決められる。
【0038】
次に、図5のフローチャートを参照して、システムコントローラ112によって行われる露出制御処理(露出決定処理)の手順について説明する。
【0039】
システムコントローラ112は、まず、レンズ系101の実焦点距離f0を取得する(ステップS101)。レンズ系101が固定焦点のものであれば実焦点距離f0は固定であるが、本実施形態ではズームレンズを用いているので、レンズドライバ116およびレンズ駆動機構102によるズーム駆動の結果変倍されたレンズ系101の現在の焦点距離が、実焦点距離f0として取得されることになる。レンズドライバ116およびレンズ駆動機構102によるズーム駆動は、撮影者による操作スイッチ系113の操作に基づきシステムコントローラの制御の下に行われるので、システムコントローラ112は、実焦点距離f0の取得のための特別な処理を行うことなく、変倍されたレンズ系101の現在の実焦点距離f0を認識することができる。
【0040】
次いで、システムコントローラ112は、撮影者による操作スイッチ系113の操作によって指定された撮影モード情報(上述の“H”、“M”、“L”、“V”、およびそのときの電子ズームの倍率を含む)を取得する(ステップS102)。そして、システムコントローラ112は、ステップS101で取得した実焦点距離f0とステップS102で取得した撮影モード情報とから、手ぶれ限界露光時間TLを算出する(ステップS103)。
【0041】
TL=k / 4・f0 [s]
この後、システムコントローラ112は、手ぶれ限界露光時間TLの値を考慮して、被写体輝度Bvに対応する適正な露出値を得るための、シャッタ速度Tvと絞り値Av(Aperture Value)との関係を示すプログラム線図を決定する(ステップS104)。そして、撮像素子105からの撮像信号出力を基に例えば平均測光などの方法で有効撮像画像範囲内の輝度を検出することによって被写体輝度Bvに関する測光情報を取得した後(ステップS105)、その測光情報とプログラム線図とから、露出値(シャッタ速度Tv、絞り値Av)、およびストロボの使用の有無などを決定する(ステップS106)。
【0042】
このステップS106では、図6に示すように、プログラム線図から決定されたシャッタ速度Tvと、手ぶれ限界露光時間TLとを比較する処理が行われ(ステップS111)、シャッタ速度Tvが手ぶれ限界露光時間TL以下の領域に属している場合、つまりシャッタ速度Tvが手ぶれ限界露光時間TLで規定された値に設定されている場合には(ステップS112のYES)、本撮影時のシャッタトリガに連動してストロボを発光すること(または撮像信号を増幅するためのアナログアンプのゲインをアップすること)が決定され(ステップS113)、そうでない場合には(ステップS112のNO)、ストロボの不使用(ゲインアップしないこと)が決定される(ステップS114)。
【0043】
以上のようにして、記録画像の解像度(記録画像の記録画素数、または記録画像の生成に寄与する有効撮像画素数)に応じて手ぶれ限界露光時間TLの切り換えて、常に適正な手ぶれ限界露光時間TLを使用した露出制御を行うことにより、高解像度撮影時にも手ぶれによる影響が顕在化するのを防止でき、また低解像度撮影時には手ぶれによる影響が顕在化することなくより低速シャッタ速までを許容することが可能となる。
【0044】
なお、上述の例では、記録画像の生成に寄与する撮像素子105の有効撮像画素数が変化する例として電子ズームを説明したが、撮像素子105が交換可能に構成されたカメラにおいては、電子ズームを使用しない場合でも、使用される撮像素子毎に有効撮像画素数が変化するので、使用される撮像素子毎にその画素数(有効撮像エリアの画素数)を認識し、その認識された画素数に応じて手ぶれ限界露光時間TLを切り換えるようにしてもよい。また、撮像素子が固定式のものであっても、取り付けられた出荷される撮像素子の有効撮像エリアの画素数が製品種別毎に異なるような撮像装置においては、その撮像装置に取り付けられる撮像素子の画素数に応じて手ぶれ限界露光時間TLを切り換えるという制御を適用することが出来る。
【0045】
更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録画像の解像度を考慮することにより常に最適な手ぶれ限界シャッタ速を用いて露出制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わるディジタルカメラの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態で用いられる撮影モードと係数kとの関係の一例を示す図。
【図3】同実施形態における電子ズーム使用時の撮影モードと係数kとの関係の一例を示す図。
【図4】同実施形態における被写体輝度Bv(Blightness Value)とシャッタ速度Tv(Time Value)との関係の一例を示す図。
【図5】同実施形態における露出制御処理の手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態におけるストロボ使用不使用の決定処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
101…レンズ系
102…レンズ駆動機構
103…露出制御機構
104…フィルタ系
105…CCDカラー撮像素子
106…CCDドライバ
107…プリプロセス回路
108…ディジタルプロセス回路
109…カードインターフェース
110…メモリカード
111…LCD画像表示系
112…システムコントローラ(CPU)
112a…撮影モード制御部
112b…露出制御部
112c…手ぶれ限界露光時間切換制御部
Claims (8)
- 撮像光学系を介して入力される被写体像を光電変換する撮像素子と、
低速側シャッタ速度の限界基準たる手ぶれ限界露光時間を用いて、前記撮像素子の露出制御を行う露出制御手段と、
前記撮像素子の所定領域に対応する有効撮像画素により得られる撮像信号から記録画像を生成する手段と、
前記露出制御に用いられる前記手ぶれ限界露光時間の値を、前記記録画像の解像度に応じて切り換える切換制御手段とを具備することを特徴とする撮像装置。 - 前記切換制御手段は、前記記録画像の記録画素数で規定される前記記録画像の解像度に応じて前記手ぶれ限界露光時間の値を切り換えるように構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記切換制御手段は、前記記録画像の記録画素数に応じた係数を、前記撮像光学系の焦点距離の逆数に対して乗じることにより、前記記録画像の解像度に対応する前記手ぶれ限界露光時間の値を決定するように構成されたものであり、
前記係数として使用される前記記録画素数は、それに対応する画枠の一次元方向のサイズに相当する1次元画素数に対応する値であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 前記記録画素数の前記1次元画素数は、その2次元画素数の平方根として規定された値であることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
- 前記撮像光学系の焦点距離を変倍するズーム手段をさらに具備し、
前記切換制御手段は、前記記録画像の解像度に応じた係数を、前記ズーム手段によって変倍される前記撮像光学系の焦点距離の逆数に対して乗じることによって、前記記録画像の解像度に対応する前記手ぶれ限界露光時間の値を決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 撮像光学系を介して入力される被写体像を光電変換する撮像素子と、
低速側シャッタ速度の限界基準たる手ぶれ限界露光時間を用いて、前記撮像素子の露出制御を行う露出制御手段と、
前記撮像素子の可変領域に対応する有効撮像画素により得られる撮像信号から記録画像を生成する手段と、
前記露出制御に用いられる前記手ぶれ限界露光時間の値を、前記記録画像の解像度に応じて切り換える切換制御手段とを具備し、
前記切換制御手段は、前記記録画像の記録画素数で規定される前記記録画像の解像度と、前記記録画像の生成に使用される前記撮像素子における有効撮像画素数で規定される前記記録画像の解像度のうち、より小さい方の解像度に応じて前記手ぶれ限界露光時間の値を切り換えるように構成されたものであることを特徴とする撮像装置。 - 撮像素子を用いて被写体像を撮像する撮像装置において、
前記撮像素子の所定領域に対応する有効撮像画素により得られる撮像信号から解像度の異なる記録画像を得るための複数の撮影モードを有し、操作者により指定された撮影モードに対応する解像度の記録画像を、前記撮像素子の出力信号を用いて生成する手段と、
前記指定された撮影モードに応じて、前記撮像素子の露出制御に使用される低速側シャッタ速度の限界基準たる手ぶれ限界露光時間の値を切り換える手段とを具備することを特徴とする撮像装置。 - 撮像素子を用いて被写体像を撮像する撮像装置の露出制御方法において、
前記撮像素子の所定領域に対応する有効撮像画素により得られる撮像信号から操作者の指定に応じて解像度の異なる記録画像を得るための複数の撮影モードを有し、前記指定された撮影モードに応じて、低速側シャッタ速度の限界基準たる手ぶれ限界露光時間の値を切り換え、その切り換えられた手ぶれ限界露光時間を用いて前記撮像素子の露出制御を行うことを特徴とする露出制御方法。
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