JP4007081B2 - フラットケーブルの製造方法およびそれにより得られたフラットケーブル - Google Patents
フラットケーブルの製造方法およびそれにより得られたフラットケーブル Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気、電子機器あるいは自動車等の電気配線部分に用いられるフラットケーブルの製造方法およびそれにより得られたフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電気、電子機器あるいは自動車等の電気配線部分のフラットケーブルの構成材料として、電線を被覆して保護絶縁する絶縁テープが用いられている。この絶縁テープ1は、図1に示すようにテープの基材となる絶縁性のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)2上にアンカーコート層3が形成され、このアンカーコート層3の上に接着剤層4を設けた構成になっている。そして、前記絶縁テープ1の接着剤層4同士を対向させ、その間に導体5を平行に配列したのち、絶縁テープ1の接着剤層4を熱ロールで加熱・加圧することによりフラットケーブル6が製造されている。このようにして得られたフラットケーブル6を図2に示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、フラットケーブルの基材であるPETフィルムは厚みが12〜25μm程度の比較的薄いものが用いられていた。このようなPETフィルムは剛性が低いため、PET材料自体に内部歪があっても、得られるフラットケーブルはねじれの少ないフラットなものであった。
【0004】
近年、フラットケーブルはインクジェットプリンターのプリンターヘッド部と本体との配線の用途にも使用されるようになっており、このような用途においては、動きのあるプリンターヘッド部と機器本体とをつなぐため、屈曲性能や配線の取り廻し性等の特殊な機能が要求されるようになっている。
【0005】
しかし、インクジェットプリンターのプリンターヘッド部と本体との配線のような絶縁長(絶縁テープで被覆された絶縁部分)の長いフラットケーブルにおいては、ねじれによる取り付け性の低下、ケーシングとのこすれなどの問題が発生しており、ねじれのないフラットケーブルが求められている。
【0006】
一方、フラットケーブルの静電気に対する耐性を高めるために、PETフィルムの厚みを厚く(50μm程度)することが行われており、その結果、PETフィルム自体の剛性、さらにはこのPETフィルムを用いたフラットケーブルの剛性もまた高くなっている。そして、このようなPETフィルムの厚みを厚くしたフラットケーブルでは剛性が高くなり、一層ねじれが発生しやすくなり、ねじれによる取り付け性の低下、ケーシングとのこすれなどの問題が発生している。この原因としては、PETフィルム自体に内在する歪やポリマーの配向などがフラットケーブルに影響を及ぼし、ねじれが発生するものと考えられる。
【0007】
この発明はこのような事情に鑑みなされたもので、絶縁長の長い用途に用いてもねじれが発生しないフラットケーブルの製造方法およびそれにより得られたフラットケーブルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、PETフィルムに接着剤層を設けた2枚の絶縁テープの接着剤層を対向させ、その間に導体を配列したのち、接着剤層を貼り合わせるフラットケーブルの製造方法において、数メートルの生産幅で延伸して製造されるPETフィルムに生じるポリマー配向をあらかじめ測定して、その測定した配向軸を合わせた状態で前記絶縁テープの2枚のPETフィルムを対向させて貼り合わせることを特徴とするフラットケーブルの製造方法を第1の要旨とし、上記フラットケーブルの製造方法により得られたフラットケーブルを第2の要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明のフラットケーブルに用いられる絶縁テープは、基材であるPETフィルムとその上に設けられた接着剤層から構成されている。
【0011】
絶縁テープの接着剤層形成材料としては、飽和共重合ポリエステル等の熱可塑型ポリエステル接着剤、熱硬化型ポリエステル系接着剤、熱可塑型ウレタン系接着剤、熱硬化型ウレタン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤等が用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
【0012】
上記接着剤層には難燃性を付与するために、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤等の難燃剤や三酸化アンチモン、硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム等の難燃助剤を含有させることもできる。
【0013】
基材であるPETフィルムと接着剤層の間にアンカーコート層を設けることもできる。このアンカーコート層としては、特に限定はなく、例えば、溶剤可溶型の共重合ポリエステルとイソシアネート系硬化剤からなる2液型の芳香族エステル系のウレタン系接着剤等が挙げられる。
【0014】
PETフィルムは、通常、数メートルの生産幅で、縦延伸・横延伸をして製造されるために、製造される幅方向で、ポリマー配向にずれが生じる。製造時の真中部分は配向軸のずれはなく、幅方向に離れるにしたがってずれが大きくなる。
【0015】
本発明のフラットケーブルの製造方法では、PETフィルムに接着剤層を設けた絶縁テープを、2枚のPETフィルムの配向軸を合わせた状態で接着剤層を対向して貼り合わせ、熱融着一体化して製造される。
【0016】
本発明においてはPETフィルムの配向軸を合わせる方法として2つの方法がある。
【0017】
第1の方法は、製造時に配向軸のずれが少ない真中部分で製造されたPETフィルムを使用することが挙げられる。ここで、配向軸のずれが少ないPETフィルムとは、2軸延伸フィルムの主軸角が−5°〜5°程度のものをいう。
【0018】
そして、上記配向軸のずれが少ない2枚のPETフィルムに接着剤層を設けた絶縁フィルムの接着剤層同士を対向させて、その間に導体を平行に配列したのち、接着剤層を熱ロールで加熱、加圧することにより、フラットケーブルが得られる。上記配向軸のずれが少ない2枚のPETフィルムの組合せを図4に示す。
なお、配向軸のずれが少ない2枚のPETフィルムを組み合わせる場合は、PETフィルムの配向方向を考えることなく、単に2枚の絶縁テープの接着剤層を対向させて、貼り合わせるだけで、ねじれが発生しないフラットケーブルを得ることができる。
【0019】
第2の方法は、製造時に配分軸のずれの大きい部分で製造されたPETフィルムを組み合わせて使用する方法である。
【0020】
すなわち、上記配向軸のずれの大きいPETフィルムに接着剤層を設けた絶縁テープの中から、PETフィルムの配向軸のずれが近い2枚の絶縁テープを選ぶ。ついで、PETフィルムの配向軸を合わせた状態で2枚の絶縁テープの接着剤層を対向させて、その間に導体を平行に配列したのち、接着剤層を熱ロールで加熱、加圧することによりフラットケーブルを製造する。そして、このようにしてもねじれが発生しないフラットケーブルを得ることができる。なお、上記配向軸を合わせた2枚のPETフィルムの組合せの例を図5に示す。
【0021】
つぎに実施例について比較例と併せて説明する。
【0022】
まず、実施例および比較例に先立ち、PETフィルム、アンカーコート剤、接着剤層形成材料として下記に示す材料を準備した。
【0023】
PETフィルム:東レ社製、ルミラーS−10 (厚み 50μm)
アンカーコート剤:ポリエステル系ポリウレタン
接着剤層形成材料:ポリエステル系ホットメルト接着剤
【0024】
最初に使用するPETフィルムから試料をサンプリングしておき、ソニックシートテスタ(野村商事社製)を用いてあらかじめ主軸角(配向軸のずれ角度)を測定しておく。
【0025】
ついで、熱寸法変化の大きさを小さくするために、PETフィルムにアニーリングを行う。
【0026】
つぎに、PETフィルムの表面にグラビアコーティングによりアンカーコート剤を塗布し、乾燥して厚み0.5〜1.5μmアンカーコート層を形成する。さらに上記アンカーコート層上に接着剤層形成材料をコンマコーターにより積層一体化することにより厚み30μmの接着剤層を形成する。ついで、長さ400mm、幅30.5mmのフラットケーブルが作製しやすい幅にスリット・切断することにより、PETフィルム面上にアンカーコート層が形成され、このアンカーコート層上に接着剤層が形成された絶縁テープを作製した。
【0027】
上記絶縁テープの接着剤層を対向させ、その間にスズ系のメッキ処理を施した軟鋼製の平角胴体を平行に配列したのち、接着剤層を熱ロールで加熱、加圧することにより、芯数が30芯、ピッチ1.0mm、絶縁長400mmのフラットケーブルを作製した。
【0028】
このようにして得られたフラットケーケーブルについて下記に示す方法によりねじれ性を評価した。このとき、あらかじめソニックシートテスタを用いて測定しておいたPETフィルムの配向軸のずれ角度を作製しておいたフラットケーブルごとに記録しておく。
【0029】
〔ねじれ性の評価〕
フラットケーブルの一方の端部をクランプで止め、フラットケーブルを垂直に保持する。つぎに、クランプで止めたフラットケーブルの一方の端部と他方の端部(下端)のねじれ角度を、上部からの写真撮影により測定した。そして、ねじれ角度が30度未満のものを○、30度以上45度未満のものを△、45度以上のものを×として評価を行った。
【0030】
表1に2枚の絶縁テープのPETフィルムの配向角のずれと得られたフラットケーブルのねじれ性について行った試験の結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
上記の結果からPETフィルムの配向角のずれが5度以内の場合にはねじれ角が28度以下と良好であり、PETフィルムの配向角のずれが15度の場合にはねじれ角が65度とねじれ性が悪くなることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフラットケーブルの製造方法は、数メートルの生産幅で延伸して製造されるポリエチレンテレフタレートフィルムに生じるポリマー配向をあらかじめ測定して、その測定した配向軸を合わせた状態で前記絶縁テープの2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを対向させて貼り合わせるため、得られたフラットケーブルは絶縁長の長い用途に用いてもねじれが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】絶縁テープの断面図である。
【図2】フラットケーブルの断面図である。
【図3】フラットケーブルの製造方法を示す図である。
【図4】配向軸のずれの少ないPETフィルムの組合せを示す図である。
【図5】配向軸のずれの大きいPETフィルムの組合せを示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁テープ
2 PETフィルム
3 アンカーコート層
4 接着剤層
5 導体
6 フラットケーブル
Claims (4)
- ポリエチレンテレフタレートフィルムに接着剤層を設けた2枚の絶縁テープの接着剤層同士を対向させ、その間に導体を配列したのち、接着剤層を貼り合わせるフラットケーブルの製造方法において、数メートルの生産幅で延伸して製造されるポリエチレンテレフタレートフィルムに生じるポリマー配向をあらかじめ測定して、その測定した配向軸を合わせた状態で前記絶縁テープの2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを対向させて貼り合わせることを特徴とするフラットケーブルの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートフィルムの配向軸のずれがない2枚の絶縁テープを用いた請求項1記載のフラットケーブルの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートフィルムの配向軸のずれが10°以内の2枚の絶縁テープを組み合わせた請求項1記載のフラットケーブルの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレートフィルムの配向軸のずれが5°以内の2枚の絶縁テープを組み合わせた請求項3記載のフラットケーブルの製造方法。
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