JP4006915B2 - 熱現像感光材料および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する熱現像材料およびそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題になっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターがレーザーイメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。この技術として、例えば、米国特許第3,152,904号、同3,487,075号及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials, Marcel Dekker,Inc.第48頁,1991)等に記載の方法が良く知られている。これらの感光材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、熱現像材料と呼ばれている。
【0003】
この様な熱現像材料は通常、還元可能な銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)及び還元剤を有機のバインダーマトリクス中に分散した状態で含有し、常温で安定であるが、露光後高温に加熱した場合に還元可能な銀源(酸化剤として作用する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0004】
この画像のカブリを抑制する技術として、これまで様々なハロゲン化合物を用いる方法が提案されており、例えば米国特許第3,874,946号、同4,459,350号、同5,340,712号、同4,756,999号、同5,594,143号、同5,594,143号、特開昭58−59439号、同59−46641号、同59−57233号等に開示されている。
【0005】
特に米国特許第3,874,946号、同4,459,350号、同5,340,712号には6−置換−2,4−ビス(トリハロゲノメチル)−s−トリアジンが、感光材料の保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト改良、あるいは現像後の画像安定性向上に効果を与える化合物として提案されている。
【0006】
また特開昭56−5535には、感光層の物性改良手段としてポリイソシアネート化合物が用いられ、特開平6−208193には保存時のカブリ抑制手段としてポリハロゲン化合物とイソシアネート化合物を併用した感光性エマルジョン技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記技術はかぶり防止の効果が充分でなく、あるいはかぶり防止効果が高いものは、感度低下を引き起こすなどの問題があり改善が必要であった。また感光材料を保存、経時させた際、カブリが上昇したり感度が変動する問題があった。さらに現像後、室内光やシャーカステン光に曝射した時に生じるカブリ上昇(プリントアウト)や、曝射中のプリントアウト濃度変動、プリントアウトによる色調劣化、あるいはプリントアウト後の画像の経時安定性は、まだ不十分であり、問題のないかぶり防止剤の開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度でカブリの発生が少なく、保存時のカブリ生成や感度変動が抑制された、特にプリントアウトによるカブリ濃度やその変動、色調劣化が抑制され、プリントアウト後の画像安定性が良好な熱現像写真感光材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0010】
1) 支持体上に、非感光性有機銀塩、この有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀およびバインダーを含有する熱現像感光材料において、6−アリール、6−フリルまたは6−チエニル置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【0013】
2) イソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物であることを特徴とする前記1)記載の熱現像感光材料。
【0015】
3) 6−アリール置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンの最大吸収波長λmaxが250〜370nmであることを特徴とする前記1)又は2)記載の熱現像感光材料。
【0016】
4) 感光性ハロゲン化銀が分光増感されていることを特徴とする前記1)〜3)のいずれか1項記載の熱現像感光材料。
【0017】
5) 前記1)〜4)のいずれか1項記載の熱現像感光材料をレーザー露光し、加熱現像することを特徴とする画像形成方法。
【0018】
以下に本発明を更に詳しく説明する。本発明で用いられるトリアジンは下記一般式(1)で示される。
【0019】
【化1】
【0020】
式中Rはアリール基、フリル基またはチエニル基、およびこれらの基とエーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アミノ基、スルホニル基、スルホキシル基、ホスホニル基、アミド基などの組み合わせからなる置換基である。
【0021】
好ましくは、電子供与性基、電子吸引性基など任意の置換基を有することができる。さらに好ましくはフェニル、または置換フェニルである。また最大吸収波長は250〜370nmが好ましく、370nmを超えた場合プリントアウト時の濃度変動が大きくなり、プリントアウト後の画像安定性も劣化する。
【0022】
上記トリアジンの合成法は、J.O.C. 29,1527(1964)あるいはBull.Chem.Soc.JPN. 42,2924,(1969)に示されている。
【0023】
以下、本発明に係るトリアジン化合物構造を例示する。
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
本発明に係るイソシアネート化合物としては、下記一般式(2)の化合物が挙げられる。
【0029】
一般式(2)
O=C=N−L1−(N=C=O)v
式中、vは0〜10であり、好ましくは2〜4であり、L1はアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはアルキルアリーレン基などの連結基である。
【0030】
なお、上記一般式(2)で表される化合物において、アリーレン基のアリール環は置換基を有し得る。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原子または塩素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される。
【0031】
上記イソシアネート系化合物としては、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)が好ましい。具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0032】
特に好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート類、特に環状基を有する脂肪族ポリイソシアネート類である。例えば、エタンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、2,2−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω′−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゾール−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネ−ト、トリフェニルメタン−4,4′,4′−トリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネ−ト;これらのイソシアネートの2量体又は3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど);これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同志のアダクト体;及びこれらのイソシアネートと2価又は3価のポリアルコール(好ましくは炭素数20までのポリアルコール。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ピナコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。これらの中でもヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(イソシアヌル環にヘキサメチレンイソシアネートが付加した構造)が最も好ましい。
【0033】
かかるポリイソシアネートは熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。添加量としては、感光層の全質量に対して、0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
【0034】
製造元から入手できる特定のイソシアネート化合物の例を以下に示すが、本発明がこれらに限定されると解するべきではない。この例には、脂肪族、芳香族およびポリマーイソシアネートが含まれる。
【0035】
IC−1 デスモデュ(Desmodur)N100、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−2 デスモデュN3300、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−3 モンデュー(Mondur)TD−80、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−4 モンデューM、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−5 モンデューMRS、モーベイ社、ポリマーイソシアネート
IC−6 デスモデュW、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−7 パピ(Papi)27、ダウ社、ポリマーイソシアネート
IC−8 イソシアネートT1890、ヒュルス(Huels)、脂肪族イソシアネート
IC−9 オクタデシルイソシアネート、アルドリッヒ社、脂肪族イソシアネート
次に、本発明に係る感光性ハロゲン化銀について説明する。本発明に係る感光性ハロゲン化銀は光センサーとして機能する。
【0036】
本発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を指す。またハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40以下をいう。更に好ましくは30以下であり、特に好ましくは20以下となる粒子である。
【0037】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani、J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0038】
またもう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3以上50以下である。また粒径は0.1μm以下であることが好ましく、さらに0.01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。
【0039】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0040】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、周期表の6族から11族に属する金属イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0041】
これらの金属イオンは金属錯体または金属錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの金属錯体または金属錯体イオンとしては、下記一般式で表される6配位金属錯体が好ましい。
【0042】
一般式 〔ML6〕m
式中、Mは周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0043】
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0044】
以下に、遷移金属錯体イオンの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0045】
1:〔RhCl6〕3-
2:〔RuCl6〕3-
3:〔ReCl6〕3-
4:〔RuBr6〕3-
5:〔OsCl6〕3-
6:〔IrCl6〕4-
7:〔Ru(NO)Cl5〕2-
8:〔RuBr4(H2O)〕2-
9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4〕-
10:〔RhCl5(H2O)〕2-
11:〔Re(NO)Cl5〕2-
12:〔Re(NO)(CN)5〕2-
13:〔Re(NO)Cl(CN)4〕2-
14:〔Rh(NO)2Cl4〕-
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4〕-
16:〔Ru(NO)(CN)5〕2-
17:〔Fe(CN)6〕3-
18:〔Rh(NS)Cl5〕2-
19:〔Os(NO)Cl5〕2-
20:〔Cr(NO)Cl5〕2-
21:〔Re(NO)Cl5〕-
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
23:〔Ru(NS)Cl5〕2-
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
25:〔Os(NS)Cl(SCN)4〕2-
26:〔Ir(NO)Cl5〕2-
27:〔Ir(NS)Cl5〕2-
これらの金属イオン、金属錯体または金属錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属イオン、金属錯体または金属錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。
【0046】
これらの金属を提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0047】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。
【0048】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
【0049】
粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0050】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子は粒子形成後に脱塩してもしなくてもよいが、脱塩を施す場合、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができる。
【0051】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法が適用出来る。
【0052】
硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。
【0053】
貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第2,448,060号、英国特許第618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0054】
還元増感法に用いられる具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0055】
本発明の熱現像感光材料には例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure Item 17643 IV−A項(1978年12月p.23)に記載若しくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択する事ができる。例えばアルゴンイオンレーザー光源に対しは、特開昭60−162247号、特開平2−48635号、米国特許第2,161,331号、西独特許第936,071号、特開平5−11389号等に記載のシンプルメロシアニン類、ヘリウムネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号に示された三核シアニン色素類、特開平7−287338号に記載されたメロシアニン類、LED光源及び赤外半導体レーザー光源に対しては特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号、特開昭62−284343号、特開平2−105135号に記載されたチアカルボシアニン類、赤外半導体レーザー光源に対しては特開昭59−191032号、特開昭60−80841号に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(IIIa)、(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類等が有利に選択される。更に赤外レーザー光源の波長が750nm以上更に好ましくは800nm以上である場合このような波長域のレーザーに対応する為には、特開平4−182639号、同5−341432号、特公平6−52387号、同3−10931号、米国特許第5,441,866号、特開平7−13295号等に記載されている増感色素が好ましく用いられる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、増感色素の組み合わせは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素或いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでいてもよい。
【0056】
強色増感されている場合、光感度が特に高くなるので、還元剤の失活をさせない場合、現像後のプリントアウト銀は大きくなりやすく、本発明は特に有効である。又、赤外増感されている場合には更に、赤外増感色素はハロゲン化銀や、有機銀塩を幾分かは還元できる酸化還元電位を有しているため、暗所においても前述の有機銀塩を還元できる還元剤の存在下では、カブリ銀となる銀クラスターを生成しやすい。生成した銀クラスターは又、触媒核となって、カブリを誘起したりするため、暗所において保存したとき保存性が低下したり、又、現像後に明所においた時、プリントアウト銀が大きくなる等の現象が起こる。更に赤外線感材は可視光の範囲外の熱輻射線領域まで感度がのびている為、暗所においても熱輻射線によるプリントアウト銀が多くなったりすることに対し効果がある。特に、強色増感剤により感度が高められた赤外分光増感された感光材料の場合には効果が大きい。
【0057】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はRD17643(1978年12月発行)第23頁1VのJ項、あるいは特公平9−25500号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されている。
【0058】
本発明においては、強色増感剤として下記一般式(3)で表される複素芳香族メルカプト化合物が好ましい。
【0059】
一般式(3) Ar−SM1
式中、M1は水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましい複素芳香環は、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
【0060】
なお、有機酸銀塩及び/又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するジスルフィド化合物を用いてもよい。特に、下記の一般式で表せるジスルフィド化合物が好ましい例として挙げることが出来る。
【0061】
一般式(4) Ar−S−S−Ar
式中のArは上記一般式(3)の場合と同義である。
【0062】
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0063】
メルカプト置換複素芳香族を以下に列挙する。しかしながら、本発明はこれらに限定されない。
【0064】
M−1 2−メルカプトベンズイミダゾ−ル
M−2 2−メルカプトベンズオキサゾール
M−3 2−メルカプトベンゾチアゾール
M−4 5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール
M−5 6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール
M−6 2,2′−ジチオビス(ベンゾチアゾール)
M−7 3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
M−8 4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール
M−9 2−メルカプトイミダゾール
M−10 1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール
M−11 2−メルカプトキノリン
M−12 8−メルカプトプリン
M−13 2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン
M−14 7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール
M−15 2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール
M−16 4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート
M−17 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
M−18 3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
M−19 4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン
M−20 2−メルカプトピリミジン
M−21 4,6−ジアミノ−メルカプトピリミジン
M−22 2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド
M−23 3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール
M−24 2−メルカプト−4−フェニルオキサゾール
また強色増感剤として、例えば特願2000−011733号、段落番号0047〜0065に記載されているチウロニウム化合物を好適に用いることができる。具体的化合物としては、上記特願2000−011733号、段落番号0067〜0069に記載されている4−1〜4−16を挙げることができる。
【0065】
本発明に係る強色増感剤は有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲の量が好ましい。
【0066】
本発明の感光層にはヘテロ原子を含む大環状化合物を含有させることができる。ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の少なくとも1種を含む9員環以上の大環状化合物が好ましい。更に、12〜24員環が好ましく、更に好ましいのは15〜21員環である。
【0067】
代表的な化合物としては、クラウンエーテルで下記のPedersonが1967年に合成し、その特異な報告以来、数多く合成されているものである。これらの化合物は、C.J.Pederson,Journal of American chemical society vol,86(2495),7017〜7036(1967),G.W.Gokel,S.H,Korzeniowski,“Macrocyclic polyethr synthesis”,Springer−Vergal,(1982),小田、庄野、田伏編“クラウンエーテルの化学”化学同人(1978)、田伏編“ホスト−ゲスト”共立出版(1979),佐々木、古賀“有機合成化学”Vol45(6)、571〜582(1987)等に詳細に書かれている。
【0068】
本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特にこの中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15から25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値をもつような有機又は無機の錯体も好ましい。これら好適な銀塩の例としては、Research Disclosure 第17029及び29963に記載されており、以下のものが挙げられる。
【0069】
有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩乃至錯体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸)の反応生成物の銀塩乃至錯体、チオン類の銀塩又は錯体、例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩乃至錯体、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩、サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプチド類の銀塩。これらの中、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀またはステアリン酸銀である。
【0070】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0071】
本発明においては有機銀塩は平均粒径が2μm以下であり、かつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05μm〜1.5μm、特に0.05μm〜1.0μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。
【0072】
また、本発明においては、有機銀塩は平板状粒子が全有機銀の60%以上有することが好ましい。本発明において平板状粒子は平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0073】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀をこれらの形状にするためには、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などとボールミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度の高く、かつ画像保存性に優れた感光材料が得られる。
【0074】
本発明においては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また、銀総量に対するハロゲン化銀の量は質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1%〜15%の間である。
【0075】
本発明の熱現像感光材料に用いられる還元剤としては、一般に知られているものが挙げられ、例えば、フェノール類、2個以上のフェノール基を有するポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシベンゼン類、2個以上の水酸基を有するポリヒドロキシナフタレン類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン−5−オン類、ピラゾリン類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、ハイドロキノンモノエーテル類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等があり、さらに詳しくは例えば、米国特許第3,615,533号、同第3,679,426号、同第3,672,904号、同第3,751,252号、同第3,782,949号、同第3,801,321号、同第3,794,488号、同第3,893,863号、同第3,887,376号、同第3,770,448号、同第3,819,382号、同第3,773,512号、同第3,839,048号、同第3,887,378号、同第4,009,039号、同第4,021,240号、英国特許第1,486,148号若しくはベルギー特許第786,086号各明細書及び特開昭50−36143号、同50−36110号、同50−116023号、同50−99719号、同50−140113号、同51−51933号、同51−23721号、同52−84727号若しくは特公昭51−35851号各公報に具体的に例示された還元剤があり、本発明はこのような公知の還元剤の中から適宜選択して使用することが出来る。選択方法としては、実際に熱現像感光材料をつくってみてその写真性能を評価する事により使用した還元剤の優劣を調べる方法が最も簡便である。
【0076】
上記の還元剤の中で、有機銀塩として脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合に好ましい還元剤としては、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも一つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)が置換したフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、例えば1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、6,6′−ベンジリデン−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6′−ベンジリデン−ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、6,6′−ベンジリデン−ビス(2,4−ジメチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1,5,5−テトラキス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2,4−エチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロパン等の米国特許第3,589,903号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,486,148号各明細書及び特開昭51−51933号、同50−36110号、同50−116023号、同52−84727号若しくは特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノール化合物、米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジニトロ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、4,4′−ジメトキシ−1,1′−ジヒドロキシ−2,2′−ビナフチル等、更に米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又はスルホンアミドナフトール類、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等を挙げることが出来る。
【0077】
本発明の熱現像感光材料に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。
【0078】
本発明の熱現像感光材料において、上述した各成分と共に色調剤、色調付与剤若しくは付活剤トーナーと称せられる添加剤(以下色調剤と呼ぶ)が使用される事が望ましい。色調剤は有機銀塩と還元剤の酸化還元反応に関与して、生ずる銀画像を濃色、特に黒色にする機能を有する。本発明に用いられる好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0079】
イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフタラジノン又はフタラジンである。
【0080】
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは透明又は半透明で一般に無色であり、天然ポリマーや合成ポリマー及びコポリマー、その他、フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート類、セルロースエステル類、ポリアミド等があり、親水性でも非親水性でもよい。しかしながら、これらのバインダーの中でも特に好ましいのは、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルブチラールのような非水溶性のポリマーであり、この中で特に好ましいのはポリビニルブチラールである。
【0081】
本発明においては、感光層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0082】
本発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のために、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0083】
また、支持体をはさみ感光層の反対側に非感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべり性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0084】
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0085】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0086】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0087】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤は任意の構成層中に含むことができるが、本発明の目的を達成するためには好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0088】
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0089】
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層を有している。支持体の上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を形成するのが好ましい。感光性層に透過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成してもよいし、感光性層に染料又は顔料を含有させてもよい。染料としては特開平8−201959号の化合物が好ましい。感光性層は複数層にしてもよく、又階調の調節のために高感度層、低感度層を設け、これを組み合わせてもよい。各種の添加剤は感光性層、非感光性層又はその他の形成層のいずれに添加してもよい。本発明の熱現像感光材料にはたとえば界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。
【0090】
本発明の熱現像感光材料の露光は、アルゴンイオンレーザー(488nm)、He−Neレーザー(633nm)、赤色半導体レーザー(670nm)、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)等が好ましく用いられるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザーがより好ましく用いられる。
【0091】
本発明において、感光材料の露光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光機を用いることが好ましい。
【0092】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下であることをいう。
【0093】
レーザー光が、感光材料に走査されるときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。
【0094】
なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
【0095】
また、本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
【0096】
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0097】
本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温に加熱することで現像される。加熱温度としては80℃以上200℃以下が好ましく、さらに好ましいのは100℃以上150℃以下である。加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の供給なしに進行する。
【0098】
【実施例】
実施例1
写真用支持体の作製
濃度0.170(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65にて測定)に青色着色した、厚み175μmのPETフィルムの両面に8w/m2・分のコロナ放電処理を施した。
【0099】
バック面側塗布
バック面塗布液の調製
メチルエチルケトン830gに攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(EastmanChemical社、CAB381−20)84.2g、ポリエステル樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。溶解した液に、Dye−1を3.5gを添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度でデゾルバー型ホモジナイザーにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌しバック面の塗布液を調製した。
【0100】
バック面の塗布
このように調製した、バック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布乾燥を行った。乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0101】
感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製
A1
フェニルカルバモイルゼラチン 88.3g
化合物(A)(10%メタノール溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
B1
0.67N硝酸銀水溶液 2635ml
C1
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
D1
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml
E1
0.4N臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
F1
56%酢酸水溶液 16.0ml
G1
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
化合物(A):
HO(CH2CH2O)n−[CH(CH3)CH2O]17−(CH2CH2O)mH
m+n=5〜7
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合撹拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。
【0102】
7分間経過後、溶液(B1)の残り及び溶液(D1)の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。混合中、反応溶液のpHは5.6であった。
【0103】
5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液(F1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残し上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(G1)を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加した。
【0104】
この乳剤は平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、[100]面比率92%の立方体沃臭化銀粒子であった。
【0105】
粉末有機銀塩の調製
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で撹拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。
【0106】
上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記感光性ハロゲン化銀乳剤1と純水450mlにKBrを添加し5分間撹拌した。
【0107】
次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分撹拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の伝導度が20μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、遠心脱水を実施した後、37℃にて質量減がなくなるまで温風乾燥を行い、粉末有機銀塩を得た。
【0108】
予備分散液の調製
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社製、Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、得られた前記粉末有機銀塩500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
【0109】
感光性乳剤分散液の調製
GM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて、各予備分散液を2パス分散することにより感光性乳剤分散液を調製した。尚、この際、1パス時の処理圧は27.46MPaであり、2パス時の処理圧は54.92MPaとした。
【0110】
次に感光層塗布液の調製に必要な下記の添加液を調製した。
安定剤液
安定剤1 1.00g
酢酸カリウム 0.31g
メタノール 10g
赤外増感色素液
赤外増感色素1 41.0mg
2−クロロ−安息香酸 2.0g
下記化合物1 21.0g
MEK 100g
添加液A
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−3,5,5−トリメチルヘキサン 51.0g
4−メチルフタル酸 3.40g
下記赤外染料Dye−1 0.22g
MEK 170g
【0111】
【化6】
【0112】
感光層塗布液の調製
前記感光性乳剤分散液100gおよびMEK45gを撹拌しながら25℃に保温し、かぶり防止剤1の溶液(10質量%メタノール溶液)0.65gを加え、1時間撹拌した。さらに臭化カルシウム溶液(10質量%メタノール溶液)0.84gを添加して20分撹拌した。続いて、安定剤液0.70gを添加して10分間撹拌した後、7.90gの赤外増感色素液を添加して1時間撹拌した。さらに強色増感剤1の1質量%メタノール溶液を1.50g添加し30分攪拌した後、温度を13℃まで降温してさらに30分撹拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsanto社 Butvar B−79)26gを添加して15分間後、テトラクロロフタル酸の13質量%MEK溶液2.3gを添加した。さらに撹拌を続けながら、、イソシアネート化合物NC−1の22質量%MEK溶液を4.5g、添加液Aを27.0g、前記TZ−014の6.5質量%MEK溶液を11.5g、フタラジンの7質量%MEK溶液を9.0g、順次添加し撹拌することにより感光層塗布液を得た。
【0113】
【化7】
【0114】
マット剤分散液の調製
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30分間分散しマット剤分散液を調製した。
【0115】
表面保護層塗布液の調製
MEK865gを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15):96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21):4.5g、1,1−ジビニルスルホン:1.5g、ベンゾトリアゾール:1.0g、F系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40):1.0g、を添加し溶解した。次にマット剤分散液30gを添加して撹拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0116】
感光層面側塗布
前記各感光層塗布液と表面保護層塗布液を押し出しコーターを用いて同時に重層塗布を行った。塗布は、感光層は塗布銀量1.9g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになるようにしておこなった。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い、試料No.1を作製した。
【0117】
露光及び現像処理
上記のように作製した感光材料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザーを発光源とした露光機によりレーザー走査による露光を与えた。この際に、感光材料の露光面と露光レーザー光の角度を75度として画像を形成した。
【0118】
その後ヒートドラムを有する自動現像機を用いて感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、118℃で15秒熱現像処理した。得られた画像の透過濃度を測定し、感度(未露光部分よりも1.0高い濃度を与える相対logE感度)およびカブリ濃度を評価した。また塗布乾燥後の感光材料を50℃、相対湿度75%で5日間放置した後、同様に露光現像処理し評価した。
【0119】
プリントアウトの評価
露光、現像後の感光材料を、照度10000ルクスの光源台(蛍光灯光)上で曝射し、最大20時間まで濃度変化を測定した。また透過濃度1.1±0.05の部分について下記基準で銀の色調を評価した。
【0120】
評価基準
5:純黒調で全く黄色みを感じない
4:純黒ではないが、ほとんど黄色みを感じない
3:部分的にわずかに黄色みを感じる
2:全面にわずかに黄色みを感じる
1:一見して黄色みが感じられる
さらに、20時間曝射した試料を55℃、相対湿度75%で7日放置した後のカブリ濃度を測定した。
【0121】
以下、試料No.1のカブリ防止剤およびイソシアネート化合物を表1、表2に示すように変更した試料を作製し、それぞれ試料No.1と同様な評価を行い、結果を表1、表2に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【化8】
【0125】
表1、2から、本発明の試料は、高感度でカブリの発生が少なく、保存時のカブリ生成や感度変動が抑制された、特にプリントアウトによるカブリ濃度やその変動、色調劣化が抑制され、プリントアウト後の画像安定性が良好な熱現像写真感光材料であることがわかる。
【0126】
【発明の効果】
本発明により、高感度でカブリの発生が少なく、保存時のカブリ生成や感度変動が抑制された、特にプリントアウトによるカブリ濃度やその変動、色調劣化が抑制され、プリントアウト後の画像安定性が良好な熱現像写真感光材料を提供することができた。
Claims (5)
- 支持体上に、非感光性有機銀塩、この有機銀塩の還元剤、感光性ハロゲン化銀およびバインダーを含有する熱現像感光材料において、6−アリール、6−フリルまたは6−チエニル置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン及びイソシアネート化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
- イソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1記載の熱現像感光材料。
- 6−アリール置換−2,4−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンの最大吸収波長λmaxが250〜370nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱現像感光材料。
- 感光性ハロゲン化銀が分光増感されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱現像感光材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の熱現像感光材料をレーザー露光し、加熱現像することを特徴とする画像形成方法。
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