図1は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置の概略構成を示した正面図であり、図2は、図1で示したII−IIラインの断面図であり、図3は、図1で示したIII−IIIラインの断面図である。
これらの図を参照して、昇降装置1は、収納ケース3と、収納ケース3の内部に格納された昇降棚2と、収納ケース3の前面を覆うスライド扉構造体19とから主として構成されている。
収納ケース3は、前面が開放された箱形形状を有し、その一対の支持板9a及び9bは、側面視において、前方側の端縁部分が、中央部が突き出るような円弧状となるように形成されている。収納ケース3の内部には、支持板9a及び9bの各々の内方面を水平方向に架け渡すように棚板8が取付けられ、内部の空間が上方区画88と下方区画89とに区画されている。上方区画88には、支持板9a及び9bの各々の内方面と棚板8の上面とに接した状態で、一対の機構ボックス10a及び10bが固定されている。これらの機構ボックス10a及び10bは、図18及び図19で示した従来例と同様に、昇降棚2の収納に要する力を軽減すると共に、昇降棚2の急激な移動を緩衝するために取付けられているものである。
昇降棚2は、前面が開放された箱形形状を有し、収納ケース3内部の上方区画88に収納され、一対の平行支持リンクを介して収納ケース3に接続されている。昇降装置1の左側部分に配置された前支持リンク4aの上方端部は、軸11aを介して昇降棚2の側板44aに回動自在に取付けられ、その下方端部は、機構ボックス10aに挿通された回動軸13aに固定されている。尚、前支持リンク4aの支持板9aの内方面側の面には、ほぼ鎌形の連動ブロック21が固定されているが、これは、後述する扉開閉機構20の移動手段を前方へと押圧するためのものである。また、後支持リンク5aの上方端部は、軸12aを介して昇降棚2の側板44aに回動自在に取付けられ、その下方部は、機構ボックス10aに挿通された回動軸14aに固定されている。
昇降装置1の右側部分についても同様に構成されており、前支持リンク4b及び後支持リンク5bの上方端部が軸11b及び12bを介して昇降棚2の側板44bに回動自在に取付けられ、これらの下方部がそれぞれ機構ボックス10bに挿通された回動軸13b及び14bに固定されている。
このように昇降棚2と収納ケース3とが接続されているため、昇降棚2を水平状態に保持したまま収納ケース3の上方区画88から前下方に引き出し自在に移動することが可能である。
昇降棚2の前方には、正面から見たときに下方区画89へと突出するように取手15が取付けられている。この取手15は、使用時に昇降棚2を掴みやすくするために取付けられているものである。
スライド扉構造体19は、収納ケース3の上方区画88を覆う上扉6と、下方区画89を覆う下扉7とを備えている。これらの上扉6及び下扉7はそれぞれ、支持板9a及び9bと平行な面での断面が、支持板9a及び9bの前方端縁に沿う円弧状に形成されており、全体としてほぼ円柱側壁の一部の形状を有している。スライド扉構造体19は、下扉7を上扉6に重なるように上方にスライドさせた後、上扉6と下扉7とが一体となった状態でヒンジ42を中心に下方から上方に持ち上げられるように開閉することができるが、この点についての詳細は後述する。
また、収納ケース3の支持板9a及び9bの内方面上には、扉開閉機構20a及び20bがそれぞれ取付けられている。これらの扉開閉機構20a及び20bは、昇降棚2の昇降と連動して、スライド扉構造体19を開閉させるために取付けられているものであるが、この点についても詳細は後述する。
尚、機構ボックス10aの側面パネル53には長孔17が形成されているが、この長孔17は、後支持リンク5aの下方端部と機構ボックス10a内部に取付けられたオイルダンパー等の緩衝手段とを接続するダンパー取付軸18が、後支持リンク5aの回転に伴って移動することができるように形成されているものである。また、側面パネル53上には、ストッパー16が固定されているが、これは、昇降棚2の収納時及び引き出し時に後支持リンク5aの移動を停止させるためのものである。
ここでまず、昇降装置の前面を覆うスライド扉構造体の構成と動作について説明する。
図4は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置におけるスライド扉構造体の概略構成を示した一部破断図であり、図5は、図4で示したV−Vラインの端面図であり、図6は、図4で示したVI−VIラインの断面図である。
これらの図を参照して、スライド扉構造体19は、収納ケース3の上方区画を覆う上扉6と、収納ケース3の下方区画を覆い上方区画を覆う位置へとスライド自在の下扉7と、下扉7を付勢する付勢手段とを備えている。
上扉6は、収納ケース3の支持板9a及び9bの各々の前方端縁に沿って円弧状に延びる一対の枠体57a及び57bと、枠体57a及び57bに固定されたパネル56とから主として構成されている。上扉6は左右対称に構成されているので、ここでは、左側部分についてのみ説明する。
収納ケース3の支持板9aに沿う位置に配置された枠体57aは、断面の外郭がほぼコ字型状に形成され、コ字型の開いた部分が他方の枠体57bと対向する向きに配置されている。この枠体57aのコ字型内部は更に仕切られ、断面において支持板9aの前方端縁側に位置するレール部60と、レール部60の外方側に位置する支持部58とが形成されている。支持部58は対向する一対の支持板59a及び59bを備え、これらの支持板59a及び59bの間には、パネル56がその幅方向の端縁部分が挟まれた状態で取付けられている。尚、レール部60の間隔は、後述する下扉7の端縁部85aの厚みより若干大きく設定されている。
このように構成された上扉6は、その上辺部分においてヒンジ42を中心として、下方から上方に持ち上げられるように開閉自在に収納ケース3に取付けられている。また、上扉6の背面には扉金具41が取付けられ、扉金具41におけるヒンジ42から所定距離離れた部分と、後述する扉開閉機構20の連動アーム33とが、ピン25を介して回動自在に取付けられている。
下扉7は、垂直方向の断面が支持板9a及び9bの前方端縁に沿う円弧形状に形成され、全体として円柱側壁の一部の形状を有するパネル61よりなる。パネル61の左側の端縁から所定範囲の両面には、上下に延びる帯状の補強板62a及び62bが取付けられて端縁部85aが形成されている。尚、パネル61の右側についても同様に補強板が取付けられ端縁部85bが形成されている。
このように構成された下扉7は、その端縁部85aが、上扉6の枠体57aの内部に形成されたレール部60の内部を摺動自在となるように枠体57aに支持されている。他方の端縁部85bについても同様に枠体57bにより支持されている。よって、下扉7は、枠体57a及び57bで挟まれる空間を、端縁部85a及び85bが枠体57a及び57bの円弧形状に沿った状態でスライド自在に移動することが可能である。このとき、下扉7のパネル61全体が円柱側壁の一部の形状に形成されているため、下扉7の形状と移動軌跡とが一致して、見た目にもすっきりした状態となる。また、パネル61全体を円柱側壁の一部の形状に形成しているので、その一対の端縁の円弧形状をそのまま端縁部85a及び85bとして利用することができ、下扉7の構成がシンプルになっている。
また、収納ケース3の支持板9a及び9bの前方端縁のうちのほぼ下半分(下方区画にほぼ対応する部分)にはそれぞれ、断面コ字状の部分を有するレール65a及び65bが固定されている。レール65a及び65bは、各々の断面コ字型の部分の内部が、枠体57a及び57b内部のレール部と連続した円弧形状を構成するように形成されている。そのため、下扉7の端縁部85a及び85bは、上扉6の枠体57a及び57bのレール部の内部と、レール65a及び65bの内部とを連続して摺動自在に移動することが可能である。すなわち、下扉7は、枠体57a及び57bとレール65a及び65bとでガイドされながら、収納ケース3の上方区画を覆う位置(上扉6のパネル56の背面側の位置)と、下方区画の前面を覆う位置との間を、支持板9a及び9bの前方端縁に沿って上下にスライド自在に移動することが可能である。
更に、上扉6の上方部分には、下扉7を付勢するための付勢手段が細長い箱形形状の枠体66内部に構成されている。この付勢手段は、枠体57a及び57b同志を架け渡すように配置された回動軸68を中心に構成されており、回動軸68の両端には一対の巻き取りドラム67a及び67bが固定されている。巻き取りドラム67a及び67bにはそれぞれ、ワイヤー69a及び69bが引き出し自在に巻回されている。これらのワイヤー69a及び69bの一方端部の各々は巻き取りドラム67a及び67bに固定され、他方端部の各々は、下扉7の上部の両端位置に接続されている。更に、回動軸68のほぼ中央部分には、回動軸68の周囲を囲うようにコイルばね70が取付けられている。コイルばね70の一方の端部72aは、回動軸68を貫通した状態で回動軸68に固定され、他方の端部72bは、ばねブロック71を介して枠体66に固定されている。このコイルばね70の巻き方向は、ワイヤー69a及び69bの巻き取りドラム67a及び67bからの引き出しによって生じる回動軸68の回転方向とは反対の方向へと回動軸68を付勢するように設定されている。
このように付勢手段が構成されているため、下扉7は、ワイヤー69a及び69bを介して、枠体57a及び57bで挟まれた空間、すなわち、収納ケース3の上方区画を覆う位置へと向かって付勢されている。ワイヤー69a及び69bの引き出し量が増加すると、コイルばね70のねじれが大きくなるため、この付勢手段による付勢力は、下扉7が枠体57a及び57bから外方に離れるにつれて大きくなる。したがって、枠体57a及び57bからの下扉7の引き出し距離に応じて、下扉7を上方に移動するのに要する力が効率的に軽減されている。
図7は、図6で示した”Y”部分の拡大図である。
図を参照して、下扉7には、パネル61の下方端縁から所定部分を挟み込んだ状態で、取付部材74が取付けられている。取付部材74の背面側(図における右側)には、パネル61の下方端縁に沿う位置に断面が矩形形状の溝80が形成され、更に溝80に沿う位置に断面がほぼ円形の溝90が、断面においてパネルの下端及び溝80と上下に整列するように形成されている。上方側の溝80の内部には、例えば発砲ウレタンやゴム等の圧縮により弾性力を発揮する材料で形成された弾性体75が取付けられている。この弾性体75は、下方側の溝90を介して取付けられた取手部材63を軸部76を中心として付勢するためのものであるが、この点については後述する。
取手部材63は、例えばアルミ合金の押し出し成型品よりなり、軸部76、突起部86、係合部73及び取手部87とから構成されている。軸部76は、断面形状が、取付部材74の溝90より僅かに小さな径を有するほぼ円形に形成され、取付部材74の溝90に嵌合した状態で取付けられている。突起部86は、軸部76から上方の溝80に向かって延び、その上端部が溝80内部に固定された弾性体75に常に当接するように配置されている。係合部73は、軸部76から下扉7の背面側に延びるように配置され、上扉6の枠体57aに撓み自在に取付けられた係合片64と係合自在となるように形成されている。また、取手部87は、軸部76から取付部材74の下方を通過して前方に延びるように配置されている。このように構成された取手部材63は、軸部76を中心として、上扉6に近づく位置(図の実線で示した位置)と上扉6から離れる位置(図の二点鎖線で示した位置)との間を自在に移動することが可能である。このとき、取手部材63を実線で示した位置から二点鎖線で示した位置へ向かって移動させると、突起部86によって弾性体75が圧縮されて弾性力を発揮するため、取手部材63は実線で示した位置に戻るように付勢される。
ここで、スライド扉構造体のストッパー機構の係合と解除の状態について説明する。
取手部材63が図の実線で示した位置にあるときは、取手部材63の係合部73と上扉6の係合片64とが係合している。これによって、下扉7が上扉6に固定された状態となり、下扉7の下方への移動が停止している。
この状態から、下扉7を上扉6から下方に引き出す際には、弾性体75による付勢力に抗して、取手部87を下扉7の移動方向(図における下方)へと二点鎖線の位置まで移動させる。すると、係合部73と上扉6の係合片64との係合が解除されるため、下扉7全体の上扉6に対する固定状態が解除され、下扉7を下方へとスライドすることが可能となる。
一方、下扉7が下方にスライドした状態となっているときに、上扉6に固定する場合には、下扉7の取手部87を持って上扉6の内部へとスライドさせる。すると、係合部73の先端と上扉6の係合片64とが当接した後、係合片64がいったん背面側へと撓み、最終的に図に示すように係合部73と係合片64とが係合した状態となる。これによって、下扉7の上扉6への固定が完了する。
このように、下扉7の上扉6への固定を解除するときは、取手部材63を持って下扉7を引き出す方向に移動させるだけで、ストッパー機構の係合状態の解除と下扉7のスライドとを意識せず連続的に行うことが可能となり、使い勝手が良い。また、下扉7を固定するときは、下扉7を上扉6側へとスライドするだけでストッパー機構が係合状態となるため、容易に下扉7を固定できると共に下扉7の固定状態も安定する。尚、下扉7を上扉6に固定した後は、上扉6と下扉と7とは一体となって、上扉6の上辺部分を中心に開閉自在となる。
図8は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体において、扉と付勢力との関係を示した模式図であり、図9は、図8で示した”Z”部分の拡大図である。
これらの図を参照して、下扉7及び枠体57aの断面が円弧形状に形成されていることによる利点について説明する。
まず、図8の(1)を参照して、下扉7の移動方向における下扉7及び枠体57aの断面が共に円弧形状に形成されている場合、付勢手段による付勢力は、ワイヤー69aを介して図に示した矢印の向きに下扉7に加わるため、付勢力の向き(直線方向)と下扉7の移動方向(円弧に沿う方向)とが常に不一致となる。
このとき、図9に示すように、ワイヤー69aを介して下扉7に加わる付勢力をFとする。すると、付勢力Fは、下扉7の移動方向の分力Faと、下扉7の移動方向と直交する方向の分力Fbとに分解することが可能である。下扉7は分力Fbによって枠体57aへと押しつけられているため、下扉7の停止時には、下扉7の端縁部85aと枠体57aとの間には分力Fbに応じた大きさの静摩擦力が発生することになる。すなわち、この静摩擦力が付勢手段による付勢力に対する抵抗として作用するため、静止摩擦力を付勢力より大きくなるように設定しておけば、下扉7をワイヤー69aを介した付勢力に抗して、下方にスライドさせた状態で停止させることが可能となる。
一方、図8の(2)に戻って、下扉7及び枠体57aが共に直線状に形成されている場合は、ワイヤー69aを介して下扉7に矢印方向に加わる付勢力の向き(直線方向)と、下扉7の移動方向(直線方向)とが平行となる。このとき、下扉7を枠体57aへと押しつける方向に付勢力の分力が加わらないため、図8の(1)及び図9で示した場合とは異なって、付勢力に対する抵抗が下扉7に発生することはない。したがって、付勢力に抗して下扉7を停止させることは困難となる。
このように、下扉7の移動方向における下扉7及び枠体57aの断面を円弧形状に形成することにより、発生した静摩擦力による下扉7の移動を停止させるような抵抗を、下扉7に付与することが可能となる。したがって、下扉7の上扉6側への移動時には、付勢手段による付勢力により移動に要する力が軽減されて下扉7の移動が容易となり、かつ、下扉7の停止時には、付勢力が加わるにもかかわらず、下扉7を安定して停止させることが可能となる。
また、下扉7に付与される抵抗は、下扉7の移動方向と直交する方向の分力(図9におけるFb)の大きさに応じて変化するため、下扉7及び枠体57aの曲率や、これらの接触面の平滑度、ワイヤー69aの延びる方向等の相関関係に基づいて、抵抗の大きさを調整することが可能となる。
更に、下扉7の幅方向の両端縁に一対の端縁部が形成されており、端縁部の全体が上扉6の一対の枠体の内部を摺動自在に移動することができるように構成されている。このため、上扉6に対する下扉7の位置にかかわらず、下扉7の端縁部と上扉6の枠体とはいずれかの部分において接することができる。またこのとき、下扉7と上扉6とが接するいずれかの部分では、下扉7の移動方向(円弧に沿う方向)と、ワイヤーを介した付勢力の向き(直線方向)とが不一致となる。よって、下扉7にはその位置にかかわらず、移動方向と直交する方向への分力が加わり、この分力に応じた抵抗が付与されるため、所望の位置で下扉を停止させることが可能となる。また、下扉7には、幅方向の両端縁部分においてバランス良く抵抗が付与されるため、下扉7の停止状態がより安定して発揮されることになる。
次に、昇降装置の内部に取付けられた扉開閉機構の構成について詳細に説明する。
図10は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置における扉開閉機構の概略構成を示した図であり、図11は、図10で示したXI−XIラインの断面図であり、図12は、図10で示したXII−XIIラインの断面図である。扉開閉機構は、収納ケースの一対の支持板のそれぞれに左右対称に構成されているので、ここでは、左側の支持板9aの内方面上に構成された扉開閉機構20aについてのみ説明する。
これらの図を参照して、扉開閉機構20aは、収納ケース3の支持板9aの内方面上に固定された取付板22上を中心に配置されている。この扉開閉機構20aは、移動手段を構成する連動アーム33及び作動アーム34と、移動手段を付勢するための渦巻きばね35と、移動手段を停止させるためのストッパー機構45とから、主として構成されている。以下、これらの各部分毎にその構成を説明する。
移動手段を構成する連動アーム33は、その一方端部が、ヒンジ42から所定距離離れた位置に配置された扉金具41にピン25を介して回動自在に取付けられると共に、その他方端部が上扉6が完全に閉じた状態で後下方へと延びるように配置されている。一方、連動アーム33と共に移動手段を構成する作動アーム34は、連動アーム33の他方端部にピン26を介して回動自在に接続されると共に後上方に延び、ピン27を介して取付板22に回動自在に取付けられている。連動アーム33と作動アーム34との接続部分におけるピン26にはローラー40が取付けられている。このローラー40は、連動アーム33及び作動アーム34からなる移動手段が、前支持リンク4aに固定された連動ブロック21から外力を受ける部分であって、支持板9aと直交する方向の位置は、前支持リンク4aの移動に伴う連動ブロック21の移動範囲に含まれるように設定されている。尚、作動アーム34の後方側の端部には切欠78が形成されているが、これは後述するストッパー機構45と係合するために設けられているものである。このストッパー機構45との関係については後述する。
渦巻きばね35は、ばねスイングアーム36と共に付勢手段を構成し、作動アーム34より後方側に配置されている。渦巻きばね35の外方端部は、作動アーム34の後方端部にピン28を介して取付けられると共に、その内方端部は、ばねスイングアーム39の下方端部の軸52に固定されている。尚、ばねスイングアーム39の上方端部は、ピン29を介して取付板22に回動自在に取付けられており、渦巻きばね35と一体となってピン29を中心に移動することが可能である。
ストッパー機構45は、ストッパー板37とストッパーアーム38とからなり、作動アーム34より後方側に配置されている。ストッパー板37は、その下方端部がピン32を介して取付板22に回動自在に取付けられ、ねじりばね43によってピン32を中心として図における反時計回り(作動アーム34の方向)に付勢されている。ストッパー板37の前方側の端縁部分は、例えば折り曲げ加工によって、前方側に屈曲したかぎ状の係合部46が形成されている。
ストッパーアーム38は、その前方端部がストッパー板37の上方端部にピン31を介して回動自在に接続され、後方側へと延びるようにほぼ水平方向に配置されている。そして、ストッパーアーム38の後方端部にはローラー39が回動自在に取付けられている。支持板9aに直交する方向におけるローラー39の取付け位置は、後支持リンク5aの移動範囲に含まれる位置となるように設定されている。そのため、昇降棚の収納時に後支持リンク5aが図に示した二点鎖線の位置へ移動する過程において、ローラー39は後支持リンク5aの後方端縁54と当接することが可能である。また、ストッパーアーム38には、その軸方向と平行な方向に延びる長孔48が形成されており、長孔48を貫通するピン30を介して、ストッパーアーム38は取付板22に取付けられている。この長孔48の幅方向の寸法は、ピン30の径より僅かに大きく設定されているので、ピン30が長孔48の内部に沿った状態でストッパーアーム38及びローラー39は前後にスライド自在に移動することが可能である。
尚、取付板22の前上方部分には、オイルダンパー23が取付けられている。オイルダンパー23の前方端部はピン24を介して取付板22に回動自在に取付けられ、その後方端部はピン28を介して作動アーム34の後方端部に回動自在に取付けられている。このオイルダンパー23は、作動アーム34の移動を緩衝するために取付けられているものである。
次に、上述した扉開閉機構の各部の動作について詳細に説明する。
図13は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置において、扉開閉機構による扉の開閉過程を示した概略図である。尚、この図においては、既に下扉は上扉と一体的に移動可能な状態となっており、下扉の記載については省略している。
図を参照して、上扉6が完全に閉じた状態では、前支持リンク4a、連動アーム33及び作動アーム34は図の実線で示した位置にある。この状態から昇降棚の引き出しに伴って前支持リンク4aが図の矢印の方向へと移動すると、前支持リンク4aに固定された連動ブロック21の外周壁55と、連動アーム33のローラー40とが当接する。前支持リンク4aが矢印の方向に図の破線で示した位置まで移動するのに伴って、ローラー40は連動ブロック21の外周壁55上を転がりながら前上方へと押し上げられるように移動する。このとき、作動アーム34は、ピン27を中心に図における時計回りに回転して破線で示した位置まで移動する。また、連動アーム33は、上扉6を矢印の方向へと下方から上方へと押し上げるように開きながら破線で示した位置まで移動する。これによって、上扉6は、破線で示した位置まで移動し、所定量開いた状態となる。
昇降棚の更なる引き出しに伴って、連動ブロック21が更に図の二点鎖線で示した位置まで移動すると、ローラー40もまた連動ブロック21の外周壁55上をその先端近くまで転がりながら前上方へと押し上げられるように移動する。このとき、作動アーム34はピン27を中心に二点鎖線で示した位置まで移動し、連動アーム33は上扉6を更に矢印の方向に押し開きながら二点鎖線の位置まで移動する。これによって、上扉6は二点鎖線で示した位置まで移動し、完全に開いた状態となる。
尚、図示しない取付板と作動アーム34とを接続するように取付けられたオイルダンパー23は、作動アーム34の後方端部がピン27を中心として移動するのに伴って、図の実線で示した位置と図の二点鎖線で示した位置との間を伸展しながら移動し、作動アーム34の移動を緩衝する。そのため、昇降棚の引き出しに伴う上扉6の急激な移動が抑制されている。
図14は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置において、扉開閉機構の付勢手段の状態を示した概略図であって、付勢手段と移動手段との関係を示したものである。尚、図において、その(1)は上扉が完全に閉じた状態(図13における実線の位置に対応)を示し、その(2)は上扉が所定量開いた状態(図13における破線の位置に対応)を示し、その(3)は上扉が所定量を超えて完全に開いた状態(図13における二点鎖線の位置に対応)を示している。
図14と先に示した図13とを併せて参照して、昇降棚が完全に収納され上扉が完全に閉じた状態では、図14の(1)に示すように、渦巻きばね35による付勢力が作動アーム34に対して矢印77の方向へと加わるように、渦巻きばね35の取付け位置が設定されている。このとき、作動アーム34は、矢印77の方向への付勢力を受けて、ピン27を中心に反時計回りに付勢されている。この状態から昇降棚を引き出すと、作動アーム34は、渦巻きばね35による付勢力に抗してピン27を中心に時計回りに移動する。このとき、渦巻きばね35の外方端部50の移動に従って、渦巻きばね35とばねスイングアーム36とが一体となって、ピン29を中心に図における反時計回りに移動する。そして、上扉6が所定量開いた状態(図13の破線で示した位置)に到達すると、作動アーム34及び渦巻きばね35は、図14の(2)に示した位置関係となる。
このように、作動アーム34の位置が、図14の(1)の位置と図14の(2)の位置との間にあるときには、作動アーム34は渦巻きばね35によって、図14の(1)の位置へと付勢されている。すなわち、上扉6が完全に閉じた状態から所定量開いた状態までの範囲にあるときは、上扉6は作動アーム34及び連動アーム33を介して閉じる方向に付勢されている。このため、上扉6を所定量より閉じた状態まで移動させると、渦巻きばね35の付勢力によって、上扉6が完全に閉じた状態まで移動する。また上扉6が閉じた後も、ぴったりと閉じた状態が安定して維持される。
図14の(2)を参照して、この位置関係での渦巻きばね35による付勢力は、図の矢印77で示す方向、すなわち、作動アーム34のピン27へと向かう方向へと加わっている。よって、作動アーム34はピン27を中心とするいずれの回転方向にも付勢されておらず、中立状態となっている。よって、上扉6は、渦巻きばね35によっては、図13の破線で示した位置からいずれの方向にも付勢されない状態となる。
図14の(2)で示した状態から更に昇降棚を引き出して、作動アーム34がピン27を中心に図における時計回りに回転すると、渦巻きばね35及びばねスイングアーム36は、外方端部50の移動に従ってピン29を中心に図における反時計回りに移動し、図14の(3)に示した位置関係となる。この過程では、渦巻きばね35による付勢力は、図14の(3)の矢印77と同様の方向に加わるため、作動アーム34はピン27を中心に図における時計回りに付勢されている。
このように、作動アーム34の位置が、図14の(2)の位置と図14の(3)の位置との間にあるときには、作動アーム34は図14の(3)の位置へと付勢されている。すなわち、上扉6が所定量開いた状態から完全に閉じた状態までの範囲にあるときには、上扉6は作動アーム34を介して開く方向に付勢されている。このため、上扉6を所定量を超えて開いた後は、扉を更に開く方向へと移動するために要する力が軽減され、上扉6を開く操作が容易となる。
また、この範囲における渦巻きばね35による付勢力の大きさは、スライド扉構造体19の自重によって生じる閉じる方向への分力より小さく設定されている。そのため、上扉6が所定量を超えて開いたときに上扉6に加わる外力(例えば、連動ブロック21による前方への押圧)が除去されると、スライド扉構造体19はその自重により生じる分力に従って閉じる方向へと移動する。これにより、上扉6を自動的に閉じるように構成することが可能となり、上扉6の開閉が更にしやすくなる。
以上のように、渦巻きばね35による作動アーム34に対する付勢の方向は、図14の(2)に示した中立状態を境として、作動アーム34の位置に応じて変化する。したがって、上扉6に対する付勢力の向きが変化する位置(上扉6が所定量開いた位置)は、作動アーム34を中心として設定することができ、上扉6の重量や完全に開いた位置等に応じて上扉6に対する付勢方向の調整を容易に行うことができる。
図15は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置において、扉開閉機構のストッパー手段が係合または解除される過程を示した概略図である。尚、図において、その(1)は作動アームとストッパー機構との係合の過程を示し、その(2)は作動アームとストッパー機構との係合状態を示し、その(3)はストッパー機構による係合の解除の過程を示している。
まず、ストッパー機構45と作動アーム34との係合について説明する。図15の(1)を参照して、昇降棚が収納ケース内に収納された状態においては、ストッパー機構45、後支持リンク5a及び作動アーム34は、図の実線で示した位置にある。上述したように、ストッパー板37は、ねじりばね43によってピン32を中心に図における反時計回りに付勢されているが、ローラー39と後支持リンク5aの後方端縁54とが当接するため、ストッパーアーム38及びストッパー板37は、前方へ向かう移動が阻止されている。
この状態から、昇降棚の引き出しに伴って後支持リンク5aが矢印の方向へと移動すると、ローラー39は同時に後支持リンク5aの後方端縁に沿って転がりながら、ねじりばね43の付勢力に従って前方へと移動する。また、上述したように前支持リンクからの押圧を受けて、作動アーム34も同時にピン27を中心に図における時計回りに回転する。そして、後支持リンク5aが図の破線で示した位置まで移動すると、ねじりばね43による付勢力によってストッパーアーム38及びストッパー板37は二点鎖線で示した位置まで移動し、長孔48の端部49とピン30とが当接することにより前方へのスライドが停止する。
更に昇降棚を引き出すと、作動アーム34は図の二点鎖線で示した位置までピン27を中心に移動し、作動アーム34の後方端部に形成された斜辺部79と、既に二点鎖線の位置にあるストッパー板37の係合部46とが当接する。この状態から更に昇降棚を引き出すと、作動アーム34は、ストッパー板を後方(実線で示した位置に向かう方向)へと押しながら、ピン27を中心に矢印の方向へと移動する。
そして、最終的に、上扉が完全に開いて作動アーム34が図15の(2)に示した位置に到達すると、係合部46は斜辺部79から後方にいったん外れた後、ねじりばね43の付勢力によって、再度実線で示した位置まで復帰し、作動アーム34の切欠78と係合する。このとき、上扉は完全に開いた状態でその移動が完全に停止するため、上扉はその自重によって閉じることがない。
次に、ストッパー機構45の解除について説明する。図15の(3)を参照して、昇降棚の収納に伴って後支持リンク5aが図の破線で示した位置まで移動すると、後支持リンクの後方端縁54とローラー39とが当接する。後支持リンク5aが矢印の方向へと二点鎖線で示した位置まで移動するのに従って、ローラー39は後支持リンク5aの後方端縁54上を転がりながら二点鎖線で示した位置まで移動する。すると、ストッパーアーム38に接続されたストッパー板37も、ねじりばね43の付勢力に抗して二点鎖線で示した位置まで移動するため、ストッパー板37の係合部46が作動アーム34の切欠78から外れた状態となる。これにより、作動アーム34は、矢印で示した方向へと移動することが可能となるため、上扉の停止状態が解除される。そして、停止状態が解除された後は、上扉はその自重によって閉じる方向に移動することが可能となる。
このように、ストッパー機構45は、上扉が完全に開いたときに上扉を固定状態とし、昇降棚が収納ケース内に収納されるのに伴って上扉の固定状態を解除するように構成されている。よって、昇降棚の昇降操作のみで、自動的に上扉の固定状態を切り替えることができ、使用時に上扉の固定とその解除とを意識する必要がなくなり使い勝手が向上する。
以下では、上述したスライド扉構造体及び扉開閉機構を備えた昇降装置全体について詳細に説明する。
図16は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置における昇降棚の昇降過程の概略を示した断面図であり、図17は、この発明の第1の実施の形態による昇降装置における昇降棚の昇降過程の概略を示した断面図であって、図16に続く部分を示したものである。尚、これらの図は、先に示した図3と対応するものである。
まず、図16の(1)を参照して、昇降棚2が収納ケース3の上方区画88に格納されると共に、下扉7が収納ケース3の下方区画89を覆うように閉じられている。このように、昇降装置1を使用しないときには、上扉6及び下扉7により収納ケース3の前面全体が覆われているため、昇降棚2の内部へと埃等が侵入してしまうことが防止でき、収納時の見た目もすっきりした状態となる。
この状態から昇降棚2を使用するためには、まず、下扉7を矢印の方向へとスライドさせる。上述したように、スライド扉構造体19の図示しない付勢手段によって、下扉7が上方へと付勢されているため、下扉7の引き上げに要する力が軽減されている。下扉7を二点鎖線で示した位置までいったん移動させた後は、上述したスライド扉構造体19のストッパー機構により、下扉7が上扉6に固定され、その固定状態も安定して維持されるため、下扉7が自重で降下せず後続の操作や収納作業がしやすくなる。また、昇降棚2の取手15は、下扉7の内方面と対向する位置、すなわち、収納ケース3の上方区画88から棚板8の前方を通過して下方区画89へと突出するように構成されている。よって、下扉7を開くとすぐに取手15が露出して、昇降棚2の一部を掴みやすくなるので、昇降棚2の引き出し操作を迅速に行うことが可能である。更に、この昇降装置1においては、収納ケース3の下方区画89を昇降棚2とは独立した収納スペースとして積極的に使用することができるように構成されている。この実施の形態による昇降装置1では、下方区画89のみ使用する場合でも、昇降棚2を引き出すことなく、下扉7の開閉だけで被収納物を出し入れすることが可能であるので、使い勝手が良い。尚、下扉7を開いた段階では、扉開閉機構20aによって、上扉6は閉じる方向に付勢されているため、上扉6の閉じた状態が安定して維持されている。
次に、下扉7を完全に開いた状態から取手15を持って昇降棚2を前下方へと引き出すように移動させると、上述した扉開閉機構20aの移動手段によって、図16の(2)に示すように、上扉6が所定量開いた状態となる。この引き出しの過程では、渦巻きばね35により、連動アーム33及び作動アーム34を介して上扉6は閉じる方向に付勢されているが、上扉6が所定量開くと、渦巻きばね35は中立状態となり、上扉6は渦巻きばね35によってはいずれの方向にも付勢されていない。
更に、取手15を持って昇降棚2を前下方に引き出すと、扉開閉機構20aにより、図17の(1)に示すように、上扉6は完全に開いた状態となる。このように、下扉7を開いて昇降棚2を移動するだけで上扉6を完全に開いた状態まで開くことができるため、昇降棚2の昇降操作や収納作業がよりしやすくなる。また、上扉6を所定量を超えて開いた状態では、作動アーム34及び連動アーム33を介して渦巻きばね35により、上扉6は開く方向に付勢されている。したがって、上扉6及び下扉7を開くのに要する力が軽減されるため、昇降棚2の引き出しと上扉6の開閉とを連動させても、昇降棚2の引き出し操作を容易に行うことができ使い勝手が良い。尚、この渦巻きばね35による付勢力は、上扉6及び下扉7の自重により生じる閉じる方向への分力より小さくなるように設定されているため、昇降棚2の移動に伴わずに上扉6が開いてしまうことはない。
上扉6が完全に開いた状態となると、扉開閉機構20aのストッパー機構45により、作動アーム34が固定されるため、上扉6及び下扉7は完全に開いた位置でその移動が停止する。このように、扉開閉機構20aによって、上扉6は昇降棚2の引き出しに伴って自動的に固定される。また、上扉6がいったん完全に開いた後は、後述する昇降棚の収納段階までその固定状態が維持されるので、上扉6を意識することなく、昇降棚2の昇降操作や昇降棚2への被収納物の出し入れを行うことが可能となる。
次に、昇降棚2に被収納物を出し入れするために、昇降棚2を収納ケース3の下方区画89の前方の位置まで引き出すように移動させる。そして、昇降棚2への収納が完了すると、今度は昇降棚2を収納ケース3の上方区画88へと持ち上げて収納する。この収納の過程において、機構ボックス10a内部に格納された付勢手段により昇降棚2の収納に要する力が軽減される点については、図18及び図19で示した従来例と同様である。また、昇降棚2の昇降時には、機構ボックス10a内部に格納された緩衝手段により急激な移動が抑制されている点についても、従来例と同様である。
昇降棚2が完全に上方区画88に収納されると、図17の(2)に示すように後支持リンク5aの後方端縁54により、ローラー39及びストッパーアーム38が後方にスライドした状態となる。これにより、ストッパー板37と作動アーム34との係合が解除され、上扉6が移動可能となる。このとき、上扉6が完全に開いた状態(図の実線で示した位置)と所定量開いた状態(図の破線で示した位置)との間では、上扉6は開く方向へと付勢されているが、渦巻きばね35による付勢力は、上述したように上扉6及び下扉7の自重により生じる閉じる方向への分力より小さく設定されている。よって、渦巻きばね35による上扉6を開く方向への付勢力に抗して、上扉6及び下扉7はその自重によって閉じる方向へと、破線で示した位置まで移動する。この際、オイルダンパー23によって作動アーム34の移動が緩衝されているため、上扉6及び下扉7は、破線で示した位置までゆっくりと移動する。
上扉6及び下扉7がその自重により、所定量開いた状態(図の破線で示した位置)より更に閉じる方向に移動すると、自重による閉じる方向への分力に加えて、渦巻きばね35による閉じる方向への付勢力が上扉6に加わる。そのため、上扉6及び下扉7は、図17の(2)の破線で示した位置から二点鎖線で示した位置まで自動的に閉じる方向に移動する。この際も、オイルダンパー23により緩衝されるため、上扉6及び下扉7はゆっくりと二点鎖線で示した位置まで移動する。
このように、昇降棚を収納ケース内部に完全に収納したときに、ストッパー手段が解除されて自動的にゆっくりと上扉6が閉じるため、別途上扉6を閉じる操作が不要となり使い勝手が良い。また、上扉6が二点鎖線の位置まで移動した後も、渦巻きばね35により閉じる方向へ付勢されているため、上扉6が上方区画88をぴったりと覆った状態が安定する。
そして、下扉7を最下端までとスライドさせると、上述したように、下扉7は下方区画89を覆った状態で安定して停止する。これにより、再び収納ケース3の前面全体が覆われた状態となる。
以上のようにして昇降装置1は構成され、スライド扉構造体19によって収納ケース3内への埃等の侵入が防止されると共に、昇降棚2の出し入れだけで容易に扉の開閉を行うことが可能となるので、使用時の操作がしやすく使い勝手が向上する。
尚、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、上扉及び下扉の全体が断面円弧状となるように形成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、例えば、ガイド手段である上扉の枠体及び下扉の端縁部だけを円弧状に形成し、下扉の端縁部以外の部分を例えば平坦状のような他の形状に形成しても良い。
また、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、上扉及び下扉の全体が断面円弧状となるように形成されているが、上扉の枠体、下扉のパネル及び端縁部をそれぞれストレート状に形成して、下扉を移動させないように、下扉に所定の抵抗を付与する構成とすることも可能である。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、上扉の円弧状の一対の枠体をガイド手段として用いることにより、扉本体である下扉に抵抗を発生させているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、付勢力に抗して扉本体を移動させない大きさの抵抗を付与することができれば他の手段でも良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体においては、下扉の端縁部と枠体との接触部分の静摩擦係数がより大きな材料を使用して、下扉の停止状態の安定性をより一層高めることも可能である。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、下扉の幅方向の一対の端縁部を一対の枠体で支持するように構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、下扉のいずれか一方側のみを枠体で支持し、一方の端縁部のみに抵抗を付与するように構成することも可能である。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、下扉の全体が円柱側壁の一部の形状に形成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、端縁部以外の部分を別の形状に形成しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、下扉の上扉への固定状態を安定させるためにストッパー手段を備えているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、ストッパー手段はなくても良い。また、必ずしも下扉の取手をストッパー手段と兼用する必要はなく、取手とは別個のストッパー手段を取付けても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置のスライド扉構造体では、下扉と上扉との両方にパネルが含まれているが、上扉のパネルは必ずしも必要なものではない。
更に、上記の実施の形態では、扉本体である下扉は、そのほぼ全体が上扉の枠体の内部に含まれる状態と含まれない状態との間を移動自在に構成されているが、枠体と下扉との位置関係にかかわらず、下扉は少なくとも二つの状態の間をスライド自在であれば良い。
更に、上記の実施の形態では、使用時に下扉を上扉の枠体の内部へとスライドさせるスライド扉構造体を構成しているが、使用前の下扉と枠体との位置関係にかかわらず、下扉を付勢力に抗して配置しておけば、同様に使用時の下扉の移動に要する力が軽減されて使い勝手の良いスライド扉構造体を構成することが可能である。
更に、上記の実施の形態では、下扉が一対の枠体から下方向へとスライド自在となるように構成されているが、枠体から上方向や横方向にスライド自在となるように構成しても良い。
更に、上記の実施の形態では、スライド扉構造体を昇降装置に適用しているが、必ずしも昇降装置に限らず、他の収納装置やキャビネット等に適用しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置の扉開閉機構では、付勢手段は渦巻きばねを用いて構成されているが、これに代えてガススプリングや押しばねを使用しても良く、また、配置を換えて引っ張りばねを使用しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置の扉開閉機構では、移動手段は昇降棚を引き出す力を外力として受けて上扉を押し開くように構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、昇降棚の移動とは別の外力によって扉を移動させるように移動手段を構成しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置の扉開閉機構では、扉を開いた状態で停止させるためにストッパー手段が構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、ストッパー手段はなくても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置の扉開閉機構では、昇降棚の収納ケースへの収納に伴って作動アームの停止状態を解除する解除手段を備えているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、昇降棚の収納とは関係なく作動アームの停止状態を解除することができる解除手段を構成しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置の扉開閉機構では、移動手段は連動アームと作動アームとから構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、外力を受けて扉を移動させることができる手段であれば良い。
更に、上記の実施の形態では、扉開閉機構は上扉を下方から上方へと持ち上げるように開くように取付けられているが、上方から下方への方向や水平方向等に開閉自在な扉に取付けても良い。
更に、上記の実施の形態では、扉開閉機構は昇降棚を昇降する昇降装置に適用されているが、他の収納装置等に適用しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、扉本体としてスライド扉構造体を備えているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、上方扉と上方扉に重なる方向に移動自在な下方扉とを備え、下方から上方へと持ち上げるように開閉自在に収納ケースに接続されていれば、他の構成でも良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、扉開閉機構に含まれる連動アーム及び作動アームを中心とする移動手段を備えているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、上扉を開く方向に移動できるものであれば他の構成でも良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、下方扉を完全に移動させた状態で扉本体が開くように構成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、下方扉を完全には移動させない状態において扉本体を開かせるように構成することも可能である。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、扉開閉機構に含まれるストッパー手段によって上扉の移動が停止状態となるが、必ずしもこのように構成する必要はなく、ストッパー手段はなくても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、扉開閉機構に含まれる付勢手段によって上扉が開く方向に付勢されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、付勢手段はなくても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、開閉機構に含まれる付勢手段によって、上扉が所定量より閉じたときには上扉を閉じる方向へと付勢されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、付勢手段はなくても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、昇降棚の取手は下扉の背面と対向する位置に形成されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、昇降棚の他の部分に取手を取付けても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、下扉が昇降棚の下方区画の前面を覆うことができる位置に配置されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、下扉が下方区画より大きな範囲を覆うように構成しても良い。
更に、上記の実施の形態による昇降装置では、収納ケースが棚板によって上方区画と下方区画とに二分されているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、棚板はなくても良い。
更に、上記の実施の形態では、台所で使用する昇降装置に適用しているが、例えば玄関の靴箱等、昇降自在な昇降棚を備える他の収納装置にも同様に適用することが可能である。