JP4005492B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、それを用いた成形体及び複合成形体 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物、それを用いた成形体及び複合成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体に関し、特に、柔軟性、(短期および長期の)圧縮永久歪み、成形加工性に優れ、かつ軟化剤のブリードアウトを抑えた熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
【0003】
熱可塑性エラストマーの中でも、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
【0004】
また、これらのエラストマー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラストマーとして、さらに広く多用されている。
【0005】
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた熱可塑性エラストマー組成物は、未だゴム的特性、例えば、耐油性、加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があり、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜5に開示されている水添ブロック共重合体の架橋組成物は、高温時、特に100℃における圧縮永久歪みが未だに不十分であり、機械強度が低下し易いという問題があり、従来加硫ゴム用途で要求されている性能レベルに到達していないのが現状である。また押出成形では高温時の溶融張力が低いために形状保持性が悪化し、射出成形では成形サイクルが長くなるなど、成形加工面の問題点も多い。
【0007】
また、特許文献1〜5に開示された組成物はいずれも、ショアA硬さで40以上であり、軟化剤の添加量を増量することによって軟化させているが、かかる場合には、成形品表面にベタツキが発生したり、加熱応力下において軟化剤のブリードアウトを生じ、実用上好ましくないという問題点を含んでいるのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭59−6236号公報
【特許文献2】
特開昭63−57662号公報
【特許文献3】
特公平3−49927号公報
【特許文献4】
特公平3−11291号公報
【特許文献5】
特公平6−13628号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、柔軟性、(短期および長期の)圧縮永久歪み、耐油性に優れ、かつ軟化剤のブリードアウトを抑えた熱可塑性エラストマー組成物、その成形体及び複合成形体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の水素添ブロック共重合体エラストマーを、低融点かつ低溶融粘度の熱可塑性樹脂と溶融混練することにより、柔軟性、圧縮永久歪み、成形加工性に優れ、軟化剤のブリードアウトを抑えた熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
請求項1に記載の発明は、(a)芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体(a−1)及び/又は共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(a−2)100重量部、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤30〜150重量部、及び(c)DSC測定による融点が70〜140℃、かつ140℃の溶融粘度が400〜100000cpsのポリエチレンワックス3〜100重量部を含有する熱可塑性エラストマー組成物である。
請求項2に記載の発明は、(d)パーオキサイド分解型ポリオレフィン樹脂0.1〜25重量部を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする成形体である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の成形体からなることを特徴とする医療用シール部材である。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の成形体からなることを特徴とする食品用シール部材である。
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の成形体からなることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材である。
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の成形体とポリプロピレン系樹脂からなる成形体とを熱融着することを特徴とする熱融着複合成形体である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とする医療用シール部材である。
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とする食品用シール部材である。
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の構成成分、製造方法、用途等について以下に詳細に説明する。
【0021】
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(1)芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体(a−1)及び/又は共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(a−2)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体成分(a−1)は、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
【0022】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50重量%未満の任意成分例えば共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50重量%未満の任意成分例えば芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
【0023】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等が挙げられ、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、スチレンが好ましい。重合体ブロックA中の任意的な共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが挙げられ、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0024】
芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体にあって、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、その水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
【0025】
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0026】
用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
【0027】
これらの芳香族ビニル合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中の芳香族ビニル化合物又は共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード、一部ブロック状又はこれらの任意の組み合わせでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックあるいは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても、異なる構造であってもよい。
【0028】
芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0029】
(a−1)成分の芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0030】
これらの芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、公知の方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
【0031】
本発明で用いる共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(a−2)としては、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
(2)非芳香族系ゴム用軟化剤成分(b)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における非芳香族系ゴム用軟化剤成分(b)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を挙げることができる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
【0033】
本発明の成分(b)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系およびナフテン系のものがあるが、芳香族系の軟化剤は、その使用により成分(a)が可溶となり、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。本発明の成分(b)としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0034】
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜50000cSt、100℃における動的粘度が5〜1500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示すのが好ましい。さらに、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0035】
成分(b)の配合量は、成分(a)として成分(a−1)を用いる場合は、成分(a−1)100重量部に対して、30〜150重量部であり、好ましくは50〜120重量部である。配合量が30重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪くなると共に、硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。150重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物から軟化剤がブリードアウトしやすく、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。
【0036】
成分(a)として成分(a−2)を用いる場合は、成分(a−2)100重量部に対して、30〜170重量部であり、好ましくは50〜160重量部である。配合量が30重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪くなると共に、硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。170重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物から軟化剤がブリードアウトしやすく、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。
【0037】
(3)DSC測定による融点が70〜140℃、かつ140℃の溶融粘度が400〜100000cpsの熱可塑性樹脂成分(c)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における熱可塑性樹脂成分(c)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。
【0038】
成分(c)のDSC測定による融点(Tm)は、70〜140℃、好ましくは、100〜120℃の範囲のものである。Tmが上記の範囲外では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性と圧縮永久歪みと成形加工性のバランスが悪化する。かつ、成分(c)の140℃の溶融粘度は、400〜100000cps、好ましくは500〜10000cpsである。140℃の溶融粘度が400cps未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が悪化し、100000cpsを超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が低下する。
【0039】
熱可塑性樹脂成分(c)としては、無極性樹脂及び/又は極性基を有する樹脂が挙げられる。無極性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの低分子量および低融点樹脂が挙げられ、具体的にはポリエチレンワックス等を挙げることができる。また、極性基を有する樹脂としては、例えば、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、生分解性ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの低分子量および低融点樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0040】
成分(c)の好ましい例としては、無極性樹脂のポリエチレンワックスや極性基含有樹脂の生分解性ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0041】
ポリエチレンワックスとしては、枝分れ鎖単独重合体ポリエチレンが挙げられる。前記ポリエチレンワックスは、融点が101℃〜115℃、密度が0.91g/cm3〜0.93g/cm3、ブルックフィールドLVDVII+粘度計、スピンドル番号SC4−18、60rpmにより140℃で測定した粘度は、ほぼ6000cpsであり、このようなポリエチレンワックスは、例えば米国ニュージャージー州モリスタウンのアライド・シグナル(Allied Signal)社から入手が可能なA−C735ポリエチレンワックスである。
【0042】
また、生分解性ポリエステル系樹脂としては、生分解性脂肪族ポリエステル等を挙げることができ、工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として、脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるもの、さらに芳香族化合物を導入したもの、ラクチドの開環重合、乳酸の縮重合、高分子量化したポリカプロラクトン、一酸化炭素とホルマリンから合成されたポリグリコール酸等が挙げられる。
生分解性脂肪族ポリエステルの中で脂肪族−芳香族ランダムコポリエステルは、ジオール、脂肪酸、芳香族酸の共重合ポリエステル系樹脂であって、繰返し単位が、[−{(O−R1−O)a−(CO−R2−CO)b}−{(O−R3−O)c−(CO−Ar−CO)d}−]からなるポリエステル樹脂であり、更に任意成分として分岐剤(BA)xを含む[−{(O−R1−O)a−(CO−R2−CO)b}−{(O−R3−O)c−(CO−Ar−CO)d}−](BA)xの様な構造であっても良い。
【0043】
ここで、上記構造単位において、脂肪酸残基:−CO−R2−CO−は、炭素原子3〜40、好ましくは3〜12の脂肪酸の残基であって、脂肪酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸からなる群から選ばれ、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリコール酸、乳酸、及びそれらのエステル形成性誘導体のようなヒドロキシ酸もまた、これらのコポリエステルを製造するための脂肪酸成分として使用できる。
【0044】
また、芳香族酸残基:−CO−Ar−CO−は、炭素原子8〜40、好ましくは8〜14の芳香族酸の残基であって、芳香族酸としては、例えば、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフトエ酸、1,5−ナフトエ酸、それらのエステル形成性誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0045】
さらに、ジオール残基:−O−R1−O−及び−O−R3−O−は、炭素原子2〜20のジオールの残基であって、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの組合せからなる群から選ばれる。ジオール成分は同じでも異なっていてもよい。
【0046】
さらにまた、任意成分である分岐剤:(BA)x(ただし、xは分岐剤の重量%を表し0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。)は、その重量平均分子量が、好ましくは約50〜5000、より好ましくは92〜3000のであって、3〜6のヒドロキシ基を有するポリオール、3若しくは4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸又は水酸基とカルボキシル基とを合計で3〜6個有するヒドロキシ酸が挙げられる。例えば、低分子量ポリオールの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びジペンタエリスリトールが挙げられる。高分子量ポリオール(Mw:400〜3000)の例としては、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのような炭素数2〜3のアルキレンオキシドをポリオール開始剤で縮合することにより誘導されたトリオールが挙げられる。ポリカルボン酸としては、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、及び1,2,3,4,−シクロペンタンテトラカルボン酸が挙げられるが、このように酸は使用してもよいが、好ましくは、それらの低級アルキルエステル又は環状無水物が形成しうる場合にはそれらの環状無水物の形態で用いられる。ヒドロキシ酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸、ムチン酸(又は粘液酸)、トリヒドロキシグルタル酸及び4−(β−ヒドロキシエチル)フタル酸が挙げられるが、このようなヒドロキシ酸は、ヒドロキシル基とカルボキシル基とを3つまたはそれ以上組み合わせて含む。これらの中で、特に好ましい分岐剤には、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び1,2,4−ブタントリオールが挙げられる。
【0047】
本発明で好適に用いられる生分解性脂肪族系ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(コハク酸およびテレフタル酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)などが挙げられる。
【0048】
また、本発明で用いる生分解性脂肪族系ポリエステルには、生分解性の機能を損わない範囲で、機能性の改質を目的とし、イソシアネート基、ウレタン基といった反応基を構造中に導入することも可能である。さらに、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体を用いることもできる。
【0049】
本発明で用いる生分解性脂肪族系ポリエステルとしては、生分解性樹脂として一般的に市販されているものを用いることができる。例えば、商品名として、ビオノーレ(昭和高分子(株)製)、Easter Bio(Eastoman Chemicals製)、バイオポール(日本モンサント製)、Biomax(DuPont製)、Ecoflex(BASF製)などが挙げられるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。
【0050】
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、3〜100重量部であり、好ましくは10〜50重量部、更に好ましくは20〜50重量部である。配合量が3重量部未満では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪化し、剥離や変形及びフローマークが成形品に生じ易くなる。100重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形性が悪くなると共に、熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
【0051】
(4)パーオキサイド分解型ポリオレフィン樹脂成分(d)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、パーオキサイド分解型ポリオレフィン樹脂成分(d)を配合することができる。成分(d)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体のパーオキサイド分解型ポリオレフィン樹脂から成る成形体との熱融着性を著しく向上させることが出来る。
【0052】
該成分は、加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するオレフィン系の重合体又は共重合体であり、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどとの共重合体を挙げることができる。
【0053】
上記オレフィン系共重合体のホモ部分のDSC測定による融点は、好ましくは、Tmが150〜167℃、△Hmが25〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。Tm、△Hmが上記の範囲外では、得られるエラストマー組成物の耐油性や100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0054】
また、成分(d)のメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、200g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化する。
【0055】
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、0.1〜25重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。25重量部を超えると、得られたエラストマー組成物の柔軟性が悪化し、ゴム弾性も低下する。
【0056】
(5)その他の成分(e)
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(d)の合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0057】
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(c)、又は必要に応じて成分(d)〜(e)を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
【0058】
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜220℃である。
【0059】
3.熱可塑性エラストマー組成物の成形体及び複合成形体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、適度な柔軟性を有し、永久圧縮歪み、特に70℃以下の圧縮歪みに優れ、しかも得られた製品を過度な応力変形や負荷がかかる状態で使用しても、軟化剤のブリードアウトが少ないため、環境を汚染しないという特徴がある。
したがって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形加工により、医療用シール部材、食品用シール部材、電機部品材料、ボトルキャップパッキン、自動車用シール部材、ポリオレフィンまたは硬質熱可塑性エラストマーとの多色成形シール部材の成形体等に用いることができ、特に、インクジェット記録装置等におけるインク漏れシール部材等に極めて有用に用いることができる。
【0060】
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂、特にポリプロピレン系樹脂との熱融着性に優れるため、該熱可塑性エラストマー組成物からの成形体とポリプロピレン系樹脂からの成形体とを熱融着することにより容易に複合熱融着成形体を成形することができる。
【0061】
複合熱融着成形体の具体的な製品としては、例えば、医療用シール部材、食品用シール部材、電機部品材料、ボトルキャップパッキン、自動車用シール部材、多色成形シール部材の複合成形体が挙げられ、特に、インクジェット記録装置等におけるインク漏れシール部材等に極めて有用に用いることができる。
【0062】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、物性の測定は以下の方法を用いて行った。
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを用いて測定を行なった。
(2)硬度:JIS K 7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用い、デュロメータ硬さ・タイプAにて測定した。
(3)引張強さ:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(4)100%伸び応力:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(5)破断伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(6)圧縮永久歪み:JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚さプレスシートを使用した。25%変形の条件にて、70℃×22時間で測定した。
(7)耐ブリード性:成形品を70℃×168時間の環境下で25%圧縮した後の成形品について、低分子量物のブリード及びブルーミングの有無を目視により観察し、次の基準で評価した。
◎:極めて良好
○:良い
Δ:やや悪い
×:悪い
(8)耐タック性:試験片は上記1mm厚プレスシートを使用し、2枚重ね合わせ、500g/cm2荷重で24時間放置した後、プレスシートのはがれ具合を目視により観察し、次の基準で評価した。
◎:極めて良好
○:良い
Δ:やや悪い
×:悪い
(9)射出成形性:130mm×130mm×2mmのシートを射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
◎:極めて良好
○:良い
Δ:やや悪い
×:悪い
【0063】
(10)熱融着性:図1〜3に示す試験片1を用い、180度剥離強度試験により剥離強度で表した。
図1〜3において、長さ150mm、巾25mm、厚さ4mmのポリプロピレン製樹脂板3を下記の射出条件で射出成形にて作成した。樹脂板作成に使用した樹脂は次のとおりである。
ポリプロピレン樹脂:PP−BC8(日本ポリケム株式会社製)、結晶化度;Tm166℃、△Hm;82mJ/mg、MFR;1.8g/10分
(樹脂板の射出条件は、使用した樹脂メーカーの推奨射出条件に準拠した。)
射出成形機:日精樹脂工業社製 FS−120
成形温度:180〜220℃
金型温度:40℃
射出速度:55mm/秒
射出圧力:1400kg/cm2
保圧圧力:400kg/cm2
射出時間:6秒
冷却時間:45秒
【0064】
上記で得られたポリプロピレン製樹脂板3の一部に紙4を両面テープで貼り付け、金型内にインサートした後、熱可塑性エラストマー組成物を下記条件で射出して、ポリプロピレン製樹脂板3と熱可塑性エラストマー組成物板2がAの箇所で熱接着した試験片を作成した。
【0065】
射出成形機:日精樹脂工業社製FS−120
成形温度:180〜220℃
金型温度:40℃
射出速度:55mm/秒
射出圧力:1400kg/cm2
保圧圧力:0kg/cm2
射出時間:6秒
冷却時間:45秒
【0066】
次に、得られた試験片について、図3のように熱可塑性エラストマー組成物板2を折り曲げて2及び3の両端をそれぞれ矢印の方向に引張ることにより、180度剥離強さを、次の基準で判断した。
◎:材料破壊
Δ:界面破壊
×:測定開始後直ぐに剥離
【0067】
実施例及び比較例において用いた各成分は下記の通りである。
(1)水添ブロック共重合体成分(a−1;SEPS):セプトン4077(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量30重量%、数平均分子量260,000、重量平均分子量320,000、分子量分布1.23、水素添加率90%以上
(2)共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(a−2;CEBC):ダイナロン6100P(商標;ジェイエスアール株式会社製)
(3)パラフィンオイル成分(b):PW90(商標;出光石油化学株式会社製)、数平均分子量980
(4)ポリエチレンワックス成分(c):A−C735(商標;アライド・シグナル社製)、融点;110℃、比重;0.92、140℃の溶融粘度;6000cps
(5)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂成分(d):PP−BC8(ポリプロピレン(PP);日本ポリケム株式会社製)、結晶化度;Tm166℃、△Hm;82mJ/mg、MFR;1.8g/10分
(6)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤成分(e):HP2215(商標;チバスペシャリティケミカルズ社製)
【0068】
実施例1〜2及び比較例1〜8
表1〜表2に示す量の各成分を用い、L/Dが47の二軸押出機に投入して、混練温度180℃、スクリュー回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。評価結果を表1〜表2に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜2は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物である。いずれの熱可塑性エラストマー組成物も良好な性状を示した。また、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物においては、医療用部材で要求される再シール性と安全性(食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)及びポリスチレンを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装(昭和57年厚生省告示第20号)に基づく)に特に優れていた。また、実施例1にPPを成分(a−1)SEPS100重量部に対し、5重量部添加すると得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、PP成形体と良好な熱融着性を示した。
【0072】
成分(a−1)の代わりに、成分(a−2)共役ジエン化合物の水添物として、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)であるダイナロン6100P(ジェイエスアール株式会社製)を用いても同様に良好な結果が得られた。また、実施例2ではPPを添加しているため得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、PP成形体と良好な熱融着性を示した。
【0073】
比較例1〜2及び5〜6は、成分(b)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(b)が少ないと、熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり過ぎて柔軟性が失われゴム的感触の製品が得られなく射出成形性が損なわれ、成分(b)が多いと、ブリードが顕著になるばかりか、タック性と射出成形性も悪化し、また、医療用部材の安全性に劣っている。比較例3〜4及び7〜8は、成分(c)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(c)が少ないと、熱可塑性エラストマー組成物の射出成形性が悪化し、成分(c)が多いと、柔軟性が失われゴム弾性が低下するばかりか、射出成形性も悪化し、また、医療用部材の安全性に劣っている。
【0074】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤のブリードアウトが抑制され、柔軟性、圧縮永久歪みに優れ、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からの成形体は、周囲の環境汚染を引き起こさなく、特にインクジェット記録装置の弾性部材等に用いると、インクを劣化させることが無く、また、ボトルキャップパッキン等に用いると、ボトルの内容物を劣化させることが無く、さらに、医療用シール部材、食品用シール部材、電機部品材料などに代表される、ポリオレフィンまたは硬質熱可塑性エラストマーとの多色成形シール部材等の複合成形体に用いるとブリードが発生しない優れた部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剥離強度を測定するための試験片の正面図である。
【図2】剥離強度を測定するための試験片の断面図である。
【図3】剥離強度を測定するための測定方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 試験片
2 熱可塑性エラストマー組成物製板
3 ポリプロピレン樹脂製板
4 紙
A 熱融着部分
Claims (10)
- (a)芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体(a−1)及び/又は共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物(a−2)100重量部、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤30〜150重量部、及び(c)DSC測定による融点が70〜140℃、かつ140℃の溶融粘度が400〜100000cpsのポリエチレンワックス3〜100重量部を含有する熱可塑性エラストマー組成物。
- (d)パーオキサイド分解型ポリオレフィン樹脂0.1〜25重量部を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする成形体。
- 請求項3に記載の成形体からなることを特徴とする医療用シール部材。
- 請求項3に記載の成形体からなることを特徴とする食品用シール部材。
- 請求項3に記載の成形体からなることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材。
- 請求項3に記載の成形体とポリプロピレン系樹脂からなる成形体とを熱融着することを特徴とする熱融着複合成形体。
- 請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とする医療用シール部材。
- 請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とする食品用シール部材。
- 請求項7に記載の熱融着複合成形体からなることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材。
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