JP3757162B2 - 熱可塑性ゲル状組成物およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ゲル状組成物およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物に関し、特に、オイルブリードがなく、かつ優れた機械強度および耐摩耗性を有する熱可塑性ゲル状組成物およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系樹脂組成物またはエチレン−プロピレン系樹脂組成物に軟化剤としてオイル、樹脂成分としてオレフィン系樹脂等を添加することにより所定の硬度を有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られており、オイルとしてパラフィンオイルがよく用いられている。しかし、オイル添加により、低硬度化は可能となるが、他の樹脂成分に比べて分子量の低いものが使用されるため、耐熱性、耐候性、機械強度、耐摩耗性等の低下が発生する。
【0003】
また、非常に軟らかい熱可塑性樹脂組成物を得る場合には、従来の未架橋のオイルを使用すると、成形品表面にオイルブリードが発生するという問題があり、満足のいく熱可塑性樹脂組成物を得ることができない。すなわち、一般に、熱可塑性樹脂組成物が吸収できるオイル量は、オイル量/熱可塑性樹脂組成物量=3倍強という上限があり、それ以上のオイルを添加した場合、オイルのブリードが発生する。
さらに、熱可塑性樹脂組成物にオイルを配合する場合は、オイル以外の成分が固体であるのに対して、オイルは液状であるため、取り扱いが面倒となり、オイルを配合するためにポンプ等の専用設備が必要であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、取り扱いが容易な熱可塑性樹脂への配合用軟化剤及びオイルブリードがなく、非常に軟らかい弾性体である熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定量の非芳香族系ゴム用軟化剤に特定量のスチレン系水添ブロック共重合体及び非晶質性ポリオレフィンを配合し加熱処理することにより単独でもゼリー状の軟化剤となり、取扱いが非常に容易になることを見出し、さらに、該ゼリー状の軟化剤を少量の熱可塑性樹脂とブレンドすることにより、オイルブリードの無い、非常に軟らかい弾性体である熱可塑性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明は、(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部、
(b)水添共役ジエン系共重合体3〜50重量部、及び
(c)非晶質性ポリオレフィン3〜50重量部
を含む混合物を熱処理してなることを特徴とする熱可塑性ゲル状組成物である。
【0007】
また、本発明の第2の発明は、混合物が、さらに、(d)軟化点が80〜170℃、および溶融粘度が10ポイズになる温度が120〜250℃である石油系炭化水素樹脂3〜50重量部を含むことを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0008】
また、本発明の第3の発明は、混合物が、さらに、(e)DSC測定による融点が70〜140℃、かつ140℃の溶融粘度が400〜100000cpsの熱可塑性樹脂3〜50重量部を含むことを特徴とする第1又は2の発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0009】
また、本発明の第4の発明は、混合物が、さらに、(f)有機パーオキサイド0.01〜3重量部を含むことを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0010】
また、本発明の第5の発明は、混合物が、さらに、(g)エステル系架橋助剤0.01〜10重量部を含むことを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0011】
また、本発明の第6の発明は、成分(a)が、炭素数4〜155の直鎖状飽和炭化水素及び/又は分岐状飽和炭化水素の混合物であることを特徴とする第1〜5のいずれかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0012】
また、本発明の第7の発明は、成分(a)が、室温で液状であることを特徴とする第1〜6の何れかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0013】
また、本発明の第8の発明は、アセトン溶媒での抽出残査が10重量%以上であることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物である。
【0014】
また、本発明の第9の発明は、第1〜8のいずれかの発明に記載の熱可塑性ゲル状組成物100重量部、及び
(h)熱可塑性樹脂0.1〜1500重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0015】
また、本発明の第10の発明は、成分(h)の量が100〜1500重量部であることを特徴とする第9の発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
【0016】
また、本発明の第11の発明は、成分(h)が、共役ジエン系共重合体、水添共役ジエン系共重合体、オレフィン系樹脂、及びオレフィン系共重合体ゴムからなる群から選択される少なくとも1種類の熱可塑性樹脂であることを特徴とする第9又は10の発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
【0017】
また、本発明の第12の発明は、有機パーオキサイドの存在下で熱処理して得られることを特徴とする第9〜11のいずれかの発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
【0018】
また、本発明の第13の発明は、有機パーオキサイド及び架橋助剤の存在下で熱処理して得られることを特徴とする第9〜11のいずれかの発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
【0019】
また、本発明の第14の発明は、有機パーオキサイドと架橋助剤の重量比(有機パーオキサイド/架橋助剤)が1以下であることを特徴とする第13の発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
【0020】
【発明の実施の形態】
1.熱可塑性ゲル状組成物の構成成分
(1)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤成分(a)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物に用いる非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤成分(a)は、非芳香族系の鉱物油又は液状、若しくは、低分子量の合成軟化剤が挙げられる。一般にゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖を組み合わせた混合物であって、飽和炭化水素鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明で用いられるゴム用鉱物油軟化剤は、上記のパラフィン系及びナフテン系が好ましい。芳香族系の軟化剤は、分散性が悪く好ましくない。
非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤として、パラフィン系の鉱物油軟化剤が特に好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0021】
パラフィン系軟化剤を構成している化合物としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
【0022】
室温で液状であるパラフィン系軟化剤の市販品としては、出光興産社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
【0023】
また、非芳香族系炭化水素軟化剤には、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
【0024】
(2)水添共役ジエン系共重合体成分(b)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物に用いる水添共役ジエン系共重合体成分(b)は、共役ジエン系共重合体中の共役ジエン系部分を水素添加または一部水素添加して得られる共重合体であって、以下の(b−1)〜(b−3)成分が挙げられる。
【0025】
(b−1)芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体の水素添加物
本発明で用いる芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体の水素添加物成分(b−1)としては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合体であって、数平均分子量が好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜350,000であり、多分散度(Mw/Mn)の値が10以下であり、且つ、その共役ジエン部の1,2結合あるいは3,4結合などのビニル結合含有量が5%以上であり、好ましくは20〜90%である。5%未満では得られる成形品の感触が硬くなり、本発明の目的に添わない。
ここで、成分(b−1)を構成する芳香族ビニル化合物の含有量は、50重量%以下、好ましくは、5〜35重量%である。50重量%を超えると得られる成形品の感触が硬くなり、本発明の目的に添わない。
【0026】
成分(b−1)における芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0027】
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物は、ランダムに結合しており、コルソフ[I.M.Kolthoff,J.Polymer Sci.,Vol 1 p.429 (1946)]の方法によりブロック状の芳香族ビニル化合物含量が全結合芳香族ビニル化合物中10重量%以下、好ましくは5重量%以下であるのが好ましい。また、該共重合体は、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0028】
成分(b−1)の具体例としては、水素添加スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)を挙げることができる。本発明においては、該芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ランダム共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
(b−2)芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物
芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物成分(b−2)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加して得られるものである。
【0030】
上記水添共役ジエン系共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
【0031】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50重量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50重量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
【0032】
成分(b−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0033】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ構造は、任意に選ぶことができる。ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が下限は1%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、上限は95%以下、好ましくは80%以下、更に好ましくは75%以下である。
【0034】
また、成分(b−2)の水添共重合体における水添率は、任意に選択することができ、未水添ブロック共重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には、共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を下限は3%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは7以上、より更に好ましくは9%以上、上限は85%未満、好ましくは80%未満、更に好ましくは75%未満、より更に好ましくは60%未満水添することが好ましい。また、水添後の1,2−ビニル結合が0.5〜12%が好ましく、より好ましくは10%未満、更に好ましくは5%以下、より更に好ましくは3%以下である。また、耐熱劣化性及び耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%以上水添することが推奨される。
【0035】
また、ポリイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0036】
上記の構造を有する水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましく50,000〜400,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0037】
なお、本発明における分子量はGPCにより、分子量が既知であるポリスチレンを基準として求めた値である。従って、該値は相対的な値であり、絶対値ではなく、さらに、基準サンプル、装置、データ処理方法等GPCの各条件により±30%程度のばらつきが有り得る。
【0038】
水添ブロック重合体成分(b−2)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)等を挙げることができる。本発明においては、該芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
これらの水添ブロック共重合体の製造方法としては、数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報等に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得られたブロック共重合体を公知の方法により水素添加触媒の存在下に水添して得られる。
【0040】
(b−3)共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物
成分(b−3)共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、該共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、3〜50重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。配合量が3重量部未満では、得られる熱可塑性ゲル状組成物のオイルブリードが顕著になり、流動しすぎてゲル特性が悪化する。配合量が50重量部を超えると、得られる熱可塑性ゲル状組成物の硬さが硬くなりすぎゲル特性が悪化する。
【0042】
(3)非晶質性ポリオレフィン成分(c)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物で用いる非晶質ポリオレフィン成分(c)は、得られる熱可塑性ゲル状組成物の粘性を改良すると共に、硬度の調整に効果を有するものである。(c)成分は、190℃における溶融粘度が250〜50,000mPa・s、好ましくは10,000〜25,000mPa・sのプロピレンを主成分とする非晶質共重合体からなり、X線回析により測定した結晶化度が50%以下、好ましくは20%以下である比較的低分子量の重合体である。また、該非晶質ポリオレフィンのガラス転移温度は−33〜−23℃が好ましく、軟化点は120〜135℃が好ましい。
【0043】
非晶質ポリオレフィンの具体例としては、非晶質単独重合体のアタクチックポリプロピレン、プロピレンを主体とする他のオレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)との非晶質共重合体等を挙げることができる。これらの非晶質ポリオレフィンのうち、アタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン非晶質共重合体、プロピレン/1−ブテン非晶質共重合体が好ましい。前記非晶質ポリオレフィンは、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ブロック共重合体の場合、プロピレン単位の結合様式はアタクチック構造である必要がある。また、非晶質共重合体がプロピレンとエチレンとの共重合体である場合、該プロピレン単位の含有量は、50モル%以上が好ましく、特に60〜100モル%が好ましい。
【0044】
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、3〜50重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。配合量が3重量部未満では、得られる熱可塑性ゲル状組成物の粘性が発現せず、ちぎれ易くなる。配合量が50重量部を超えると、得られる熱可塑性ゲル状組成物の製造性が悪化する。また、得られる熱可塑性ゲル状組成物の硬さが硬くなりすぎゲル特性が悪化する。
【0045】
(4)石油系炭化水素樹脂成分(d)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物においては、必要に応じて、石油系炭化水素樹脂成分(d)を配合することができる。成分(d)は、得られる熱可塑性ゲル状組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。石油系炭化水素樹脂は、石油類のスチームクラッキングで副生するC5留分を主に原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主に原料とする芳香族系石油樹脂、両者を共重合するC5C9共重合樹脂等があるが、下記に述べる範囲の軟化点及び溶融粘度を有する石油系炭化水素樹脂であれば、特に限定されないが、芳香族類を含有する共重合体系樹脂であることが好ましい。
【0046】
成分(d)の軟化点は、80〜170℃であり、好ましくは110〜160℃の範囲のものである。軟化点が上記の範囲外では、得られる熱可塑性ゲル状組成物の柔軟性とゲル特性のバランスが悪化する。
【0047】
また、成分(d)の溶融粘度が10ポイズになる温度は、120〜250℃であり、好ましくは150〜240℃である。溶融粘度が10ポイズになる温度が120℃未満では、得られる熱可塑性ゲル状組成物のゴム弾性が悪化し、250℃を超えると、得られる熱可塑性ゲル状組成物の成形性が低下する。
【0048】
成分(d)の好ましい例の市販品としては、芳香族系樹脂が挙げられ、特に芳香族モノマーとの共重合体であるEndex155(Eastman Chemical社製)やα−メチルスチレンとスチレンの共重合体であるKriatalex5140(Eastman Chemical社製)が挙げられる。
【0049】
成分(d)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、3〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜30重量部である。配合量が3重量部未満では、得られる熱可塑性ゲル状組成物の粘性が発現せず、ちぎれ易くなる。50重量部を超えると、得られるエラストマー組成物の製造性が悪化する。また、得られるエラストマー組成物の硬さが硬くなりすぎゲル特性が悪化する。
【0050】
(5)熱可塑性樹脂成分(e)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物においては、必要に応じて、熱可塑性樹脂成分(e)を配合することができる。成分(e)は、得られる熱可塑性ゲル状組成物の耐熱性を低下させずに塑性変形を改良する効果を有する。
【0051】
成分(e)のDSC測定による融点(Tm)は、70〜140℃であり、好ましくは100〜120℃である。Tmが上記の範囲外では、得られる熱可塑性ゲル状組成物の柔軟性と圧縮永久歪みと成形加工性のバランスが悪化する。かつ、成分(e)の140℃の溶融粘度は、400〜100000cpsであり、好ましくは500〜10000cpsである。140℃の溶融粘度が400cps未満では、得られる熱可塑性ゲル状組成物のゴム弾性が悪化し、100000cpsを超えると、得られる熱可塑性ゲル状組成物の成形性が低下する。
【0052】
熱可塑性樹脂成分(e)としては、無極性樹脂及び/又は極性基を有する樹脂が挙げられる。無極性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンの低分子量および低融点樹脂が挙げられ、具体的にはポリエチレンワックス等を挙げることができる。また、極性基を有する樹脂としては、例えば、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、生分解性ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの低分子量および低融点樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0053】
成分(e)の好ましい例としては、無極性樹脂のポリエチレンワックスや極性基含有樹脂の生分解性ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0054】
ポリエチレンワックスとしては、枝分れ鎖単独重合体ポリエチレンが挙げられる。前記ポリエチレンワックスは、融点が101〜115℃、密度が0.91〜0.93g/cm3、ブルックフィールドLVDVII+粘度計、スピンドル番号SC4−18、60rpmにより140℃で測定した粘度は、ほぼ6000cpsであり、このようなポリエチレンワックスは、米国ニュージャージー州モリスタウンのアライド・シグナル(Allied Signal)社から入手が可能なA−C735ポリエチレンワックスである。
【0055】
また、生分解性ポリエステル系樹脂としては、生分解性脂肪族ポリエステル等を挙げることができ、工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として、脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるもの、さらに芳香族化合物を導入したもの、ラクチドの開環重合、乳酸の縮重合、高分子量化したポリカプロラクトン、一酸化炭素とホルマリンから合成されたポリグリコール酸等が挙げられる。
生分解性脂肪族ポリエステルの中で脂肪族−芳香族ランダムコポリエステルは、ジオール、脂肪酸、芳香族酸の共重合ポリエステル系樹脂であって、繰返し単位が、[−{(O−R1−O)a−(CO−R2−CO)b}−{(O−R3−O)c−(CO−Ar−CO)d}−]からなるポリエステル樹脂であり、更に任意成分として分岐剤(BA)xを含む[−{(O−R1−O)a−(CO−R2−CO)b}−{(O−R3−O)c−(CO−Ar−CO)d}−](BA)xの様な構造であっても良い。
【0056】
ここで、上記構造単位において、脂肪酸残基:−CO−R2−CO−は、炭素原子3〜40、好ましくは3〜12の脂肪酸の残基であって、脂肪酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸からなる群から選ばれ、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリコール酸、乳酸、及びそれらのエステル形成性誘導体のようなヒドロキシ酸もまた、これらのコポリエステルを製造するための脂肪酸成分として使用できる。
【0057】
また、芳香族酸残基:−CO−Ar−CO−は、炭素原子8〜40、好ましくは8〜14の芳香族酸の残基であって、芳香族酸としては、例えば、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフトエ酸、1,5−ナフトエ酸、それらのエステル形成性誘導体及びそれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0058】
さらに、ジオール残基:−O−R1−O−及び−O−R3−O−は、炭素原子2〜20のジオールの残基であって、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの組合せからなる群から選ばれる。ジオール成分は同じでも異なっていてもよい。
【0059】
さらにまた、任意成分である分岐剤:(BA)x(ただし、xは分岐剤の重量%を表し0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。)は、その重量平均分子量が、好ましくは約50〜5000、より好ましくは92〜3000のであって、3〜6のヒドロキシ基を有するポリオール、3若しくは4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸又は水酸基とカルボキシル基とを合計で3〜6個有するヒドロキシ酸が挙げられる。例えば、低分子量ポリオールの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート及びジペンタエリスリトールが挙げられる。高分子量ポリオール(Mw:400〜3000)の例としては、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのような炭素数2〜3のアルキレンオキシドをポリオール開始剤で縮合することにより誘導されたトリオールが挙げられる。ポリカルボン酸としては、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、及び1,2,3,4,−シクロペンタンテトラカルボン酸が挙げられるが、このように酸は使用してもよいが、好ましくは、それらの低級アルキルエステル又は環状無水物が形成しうる場合にはそれらの環状無水物の形態で用いられる。ヒドロキシ酸としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸、ムチン酸(又は粘液酸)、トリヒドロキシグルタル酸及び4−(β−ヒドロキシエチル)フタル酸が挙げられるが、このようなヒドロキシ酸は、ヒドロキシル基とカルボキシル基とを3つまたはそれ以上組み合わせて含む。これらの中で、特に好ましい分岐剤には、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び1,2,4−ブタントリオールが挙げられる。
【0060】
本発明で好適に用いられる生分解性脂肪族系ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(コハク酸およびテレフタル酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)などが挙げられる。
【0061】
また、本発明で用いる生分解性脂肪族系ポリエステルには、生分解性の機能を損わない範囲で、機能性の改質を目的とし、イソシアネート基、ウレタン基といった反応基を構造中に導入することも可能である。さらに、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体を用いることもできる。
【0062】
本発明で用いる生分解性脂肪族系ポリエステルとしては、生分解性樹脂として一般的に市販されているものを用いることができる。例えば、商品名として、ビオノーレ(昭和高分子(株)製)、Easter Bio(Eastoman Chemicals製)、バイオポール(日本モンサント製)、Biomax(DuPont製)、Ecoflex(BASF製)などが挙げられるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。
【0063】
成分(e)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、3〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜30重量部である。配合量が3重量部未満では、添加効果がなく、50重量部を超えると、得られる熱可塑性ゲル状組成物の製造性が悪化する。また、得られる熱可塑性ゲル状組成物の硬さが硬くなりすぎゲル特性が悪化する。
【0064】
(6)有機パーオキサイド成分(f)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物においては、必要に応じて、有機パーオキサイド成分(f)を配合することができる。成分(f)は、得られる熱可塑性ゲル状組成物中の成分(a)と成分(b)を架橋することにより、常温では塑性変形しにくくなり、高温でのオイルブリードを改善する効果を有する。
【0065】
成分(f)としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
【0066】
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
【0067】
成分(f)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、上限値は3重量部が好ましく、より好ましくは1重量部であり、下限値は0.01重量部が好ましい。上限値を超えると有機パーオキサイドによる分解反応が優先され、臭気も激しくなり、得られる熱可塑性ゲル状組成物が取り扱いに優れた良いゲル状にならない。
【0068】
(7)エステル系架橋助剤成分(g)
本発明の熱可塑性ゲル状組成物においては、必要に応じて、エステル系架橋助剤成分(g)を配合することができる。成分(g)は、上記の有機パーオキサイド成分(f)による架橋処理に際して、均一かつ効率的な架橋反応を行わせる効果を有する。成分(g)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し単位数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートのような多官能性メタクリレート化合物、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレートのような多官能性アクリレート化合物、ビニルブチラート、ビニルステアレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビニル化合物を挙げることができる。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いても良い。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
【0069】
上記の架橋助剤のうち、多官能性メタクリレート化合物および多官能性アクリレート化合物が好ましく、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが特に好ましい。
【0070】
成分(g)の配合量は、配合する場合は、成分(a)100重量部に対して、上限値は、10重量部、好ましくは、4重量部であり、下限値は、0.01重量部である。下限未満では添加の効果が認められず、上限を超えては組成物の架橋が進みすぎて架橋助剤が部分的に分散せず、製造出来るものの外観が悪く、ゲル特性も悪くなる。
【0071】
(8)その他の成分
なお、本発明の熱可塑性ゲル状組成物においては、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(g)の合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0072】
2.熱可塑性ゲル状組成物の製造
本発明の熱可塑性ゲル状組成物は、上記成分(a)〜(c)、必要に応じて(d)〜(g)を配合し、オートクレーブなどの加温が可能な反応容器内に投入し、反応温度120〜200℃、好ましくは140〜170℃で10分間以上反応させることにより得られる。
反応温度が120℃未満では、熱可塑性樹脂の溶融不良が発生し、必要に応じて添加する有機パーオキサイドの分解反応が起こらず、架橋反応が生じない。また、200℃を超えては、熱可塑性樹脂の劣化や有機パーオキサイドの急激な分解反応が起きるため、均一な溶融混練または架橋反応を行うことができない。
【0073】
上記のようにして得られた組成物はゲル状であり、室温でアセトン溶媒に48時間浸漬後の抽出残査が10重量%以上であるものが好ましい。抽出残査が10重量%未満であると液状状態になり、固体としての取り扱いが困難になる。
【0074】
本発明の熱可塑性ゲル状組成物は、ゲル状であるため、他の熱可塑性樹脂とブレンドして熱可塑性樹脂組成物を得る際、固形物に準じる取り扱いが可能である。また、本発明の熱可塑性ゲル状組成物は、ゼリー状であるため、単独で、衝撃吸収性材、制振材、消音材等への応用が可能である。
【0075】
3.熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記で得られた熱可塑性ゲル状組成物に熱可塑性樹脂成分(h)を配合した組成物である。
【0076】
(1)熱可塑性樹脂成分(h)
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−共役ジエンランダム共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、ブタジエンブロック共重合体等の共役ジエン系共重合体、水添スチレン−共役ジエンランダム共重合体、水添スチレン−共役ジエンブロック共重合体、部分水添スチレン−共役ジエンブロック共重合体(SBBS等)、水添ブタジエンブロック共重合体(CEBC)等の水添共役ジエン系共重合体、オレフィン系樹脂、及びオレフィン系共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR))、ブタジエンゴム(BR)、ポリブタジエン(シンジオタックチク1,2−ポリブタジエン)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、オレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体ゴム、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、熱可塑性アミド系エラストマー等が挙げられ、単独で、又は、任意の2種類以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中では、共役ジエン系共重合体、水添共役ジエン系共重合体、オレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体ゴムが好ましく、以下に詳細に説明する。
【0077】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることのできるスチレン系−共役ジエン系ブロック共重合体、水添スチレン系−共役ジエン系ブロック共重合体成分(以下、両者を(水添)ブロック共重合体という。)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、及び/又は、これらの水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0078】
上記(水添)ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。
【0079】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみから成るか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と(水素添加された)共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物、及び/又は、水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。
【0080】
(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは好ましくは、(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成るか、または(水素添加された)共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0081】
これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中の芳香族ビニル化合物または(水素添加された)共役ジエン化合物の分布は、ランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せであっていてもよい。
【0082】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAあるいは(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0083】
(水添)ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択され、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0084】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ結合は任意に選ぶことができる。
【0085】
ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が下限は1%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、上限は95%以下、好ましくは80%以下、更に好ましくは75%以下である。
【0086】
また、熱可塑性樹脂成分(h)の水添ブロック共重合体における水添率は、任意に選択することができ、未水添ブロック共重合体の特性を維持しながら耐熱劣化性等を向上させる場合には、共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を下限は3%以上、好ましくは5%以上、更に好ましくは7以上、より更に好ましくは9%以上、上限は85%未満、好ましくは80%未満、更に好ましくは75%未満、より更に好ましくは60%未満水添することが好ましい。また、水添後の1,2−ビニル結合は0.5〜12%が好ましく、より好ましくは10%未満、更に好ましくは5%以下、より更に好ましくは3%以下である。また、耐熱劣化性及び耐候性を向上させる場合には80%以上、好ましくは90%以上水添することが推奨される。
【0087】
また、イソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100重量%が1,4−ミクロ結合を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0088】
上記の構造を有する水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましく50,000〜400,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは、2以下である。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0089】
ブロック共重合体の溶液粘度(5%トルエン溶液、77°F、ASTM D−2196)の範囲は、5〜500cpsが好ましく、より好ましくは20〜300cpsである。
【0090】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0091】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)等を挙げることができる。
【0092】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることのできるオレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体ゴムとしては、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、パーオキサイド分解型オレフィン系共重合体ゴム、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂、パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムが挙げられる。
【0093】
パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂及、パーオキサイド分解型オレフィン系共重合体ゴムは、得られる組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。該成分は、パーオキサイドの存在下に加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するオレフィン系の重合体又は共重合体であり、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどとの共重合体を挙げることができる。
【0094】
パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂、パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムは、パーオキサイドの存在下で加熱処理することによって主として架橋反応を起こし、その流動性が低下するものである。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンの如く、ポリマー密度が0.88〜0.94g/cm3の範囲内にあるポリエチレン、あるいはエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等の、オレフィンを主成分とする無定ランダム共重合体の弾性体である。このうちポリエチレンあるいはエチレン・プロピレン共重合体ゴムが好ましく、中でも、直鎖状低密度ポリエチレンは適度な架橋構造が得られる点で特に好ましい。
【0095】
オレフィン系樹脂及びオレフィン系共重合体ゴムの重量平均分子量は50,000〜1,000,000、さらには70,000〜500,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が50,000未満のパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂及び/又はパーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムを用いた場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物は、ゴム的特性が劣る。また、重量平均分子量が1,000,000を超えるものを用いると、成形加工性が悪くなり特に成形品の外観が悪化する。また、MFR(230℃、2.16kg荷重で測定)は、0.05〜200g/10分が好ましく、さらに好ましくは0.1〜50g/10分である。
【0096】
成分(h)の配合量は、本発明の熱可塑性ゲル状組成物100重量部に対して、上限値が1500重量部であり、下限値が0.1重量部、好ましくは1.0重量部である。50重量部以下の熱可塑性樹脂を配合すると、極めて軟らかい熱可塑性樹脂組成物(弾性体)を得ることができる。また、100重量部以上、300重量部以下の熱可塑性樹脂を配合すると、JIS K7215に示されるA硬度を有する軟らかい熱可塑性樹脂組成物がオイルのブリードアウトを生じることなく得られる。300重量部を超えると、JIS K7215に示されるD硬度を有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。より硬い熱可塑性樹脂組成物を得たい場合には、熱可塑性樹脂組成物を400重量部以上加えることが好ましい。さらに硬い熱可塑性樹脂組成物を得たい場合には、熱可塑性樹脂組成物を600重量部以上加えることが好ましい。上限値を超えると、樹脂組成物の硬度が高くなりすぎ、柔軟性が失われてゴム的触感の製品が得られず、成形加工性が悪化する。
【0097】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の熱可塑性ゲル状組成物、熱可塑性樹脂成分の他に、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑材、着色剤、増粘材、老化防止剤、充填剤等を添加することが出来る。なお、上記添加剤等は、熱可塑性ゲル状組成物又は熱可塑性樹脂組成物を得る際に添加することができるが、好ましくは熱可塑性樹脂組成物を得る際に添加すると均一に分散するので良い。
【0098】
4.熱可塑性樹脂組成物の製造法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性ゲル状組成物と成分(h)とをブレンドした後、混練装置を用いて混練することにより得られる。
例えば、まず、本発明の熱可塑性ゲル状組成物に成分(h)を配合し、160〜230℃の混練温度で、混練装置にて溶融混練し、目的の熱可塑性樹脂組成物を得る。または、混練機能を持った押出成形機、射出成形機で成形品を成形することもできる。
【0099】
本発明で使用する混練装置としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機等を使用することが出来る。好ましくは、加圧ニーダー、バンバリー等のバッチ式混練装置で混練する方法が良い。連続的に行う場合には、バッチ式混練装置と押出機とが組み合わされた、例えば、加圧ニーダーと押出機が組合わさった装置(バッチ供給型連続押出装置)で混練する方法が良い。
【0100】
なお、上記配合の際、本発明の軟化剤組成物に比較的少量の成分(h)を配合すると、硬度の調節が容易にでき、従来の熱可塑性樹脂組成物に比べて非常に軟らかい熱可塑性樹脂組成物(弾性体)を得ることができる。
【0101】
さらに、耐油性、耐熱性を得ようとする場合には、熱可塑性樹脂組成物に、本発明の熱可塑性ゲル状組成物において、必要に応じて配合した成分(f)有機パーオキサイド及び成分(g)架橋助剤をさらに添加して、加熱溶融混練をすることで、耐油性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0102】
この際、成分(f)有機パーオキサイド、成分(g)架橋助剤のそれぞれの添加量は、上記熱可塑性ゲル状組成物の製造の際に用いた(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤成分100重量部に対して、下限値が0.1重量部であり、上限値は、10重量部、好ましくは8.0重量部である。上限値を超えると有機パーオキサイドが均一に分散せず、部分的に架橋してしまい、製造できるものの、外観が悪く、圧縮永久歪みや耐油性が悪くなる。下限値未満では、添加の効果が認められず、圧縮永久歪みや、耐熱性が改善されない。
また、成分(f)有機パーオキサイドと成分(g)架橋助剤の重量比(成分(f)/成分(g))が1以下であることが好ましい。成分(f)/成分(g)の重量比が1を超えると未反応過酸化物のブリードが顕著になり、臭気も激しくなる。
【0104】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における評価方法及び使用した原料を以下に示す。
【0105】
1.評価方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、試験片はゲル状または固体サンプルを用いて測定を行なった。
(2)熱可塑性ゲル状組成物のオイルブリード:室温(23℃)で168時間放置後の熱可塑性ゲル状組成物表面からオイルブリードの有無を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:目視及び触感でオイルブリードを感じない
×:目視及び触感で僅かでもオイルブリードを感じる
(3)熱可塑性ゲル状組成物の状態:室温(23℃)での熱可塑性ゲル状組成物の性状を目視で、液体、ゲル状(固形物に準じる取扱いが可能なもの)、固体を判断した。
(4)熱可塑性ゲル状組成物の抽出残査:得られた熱可塑性ゲル状組成物を室温でアセトン溶媒に48時間浸漬した後の抽出残査を測定した(重量%)。
(5)熱可塑性樹脂組成物のオイルブリード:プレスにて1mmのシートを作製後、50℃にて放置し、オイルのブリードが認められるまでの時間で、次の基準で評価した。
○:1週間以上
△:3日以上、1週間未満
×:3日未満
(6)熱可塑性樹脂組成物の引張強度:JISK6251に準拠し、JIS3号ダンベルにて評価した。なお、引張速度は、500mm/分とした。
【0106】
2.原料
(1)非芳香族系ゴム用軟化剤成分(a):ネオチオゾール (三光化学工業(株)製)比重:0.761、種類:正パラフィン系プロセスオイル
(2)水添ブロック共重合体成分(b):セプトン4077(SEPS)(商標;クラレ株式会社製)、スチレン含有量30重量%、数平均分子量260,000、重量平均分子量320,000、分子量分布1.23、水素添加率90%以上
(3)非晶質ポリオレフィン成分(c):E−1200(イーストマンケミカル社製)、溶融粘度(190℃)=16500mPa・s
(4)石油系炭化水素樹脂成分(d):Endex155(商標;Eastman chemical社製芳香族系モノマーの共重合体)、融点;151〜155℃、比重;1.05、235℃の溶融粘度;10ポイズ
(5)熱可塑性樹脂成分(e):A−C735(商標;アライド・シグナル社製ポリエチレンワックス)、融点;110℃、比重;0.92、140℃の溶融粘度;6000cps
(6)有機パーオキサイド成分(f):Perhexa25B(日本油脂(株)製)種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン
(7)架橋助剤成分(g):TMPT(Trimethylol Propane Trimethacrylate;新中村化学株式会社製)分子量:338
(8)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤成分(i):HP2215(商標;チバスペチャリティケミカルズ社製)
(9)エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR):EP961SP(JSR(株)製)
(10)エチレン−オクテン共重合体(Engage):Engage8150(ダウケミカル日本(株)製)
(11)直鎖状低密度ポリエチレン(PE):NUC DFDA1137(日本ユニカー株)製)
(12)スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS):クレイトンG1651(クレイトンポリマージャパン(株)製)
(13)スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS):SIS5002(JSR(株)製)
(14)オレフィン系熱可塑性エラストマー:Santoprene 111−73;硬さ73A、比重0.96(AES社製)
(15)n−パラフィン系プロセスオイル:PW−90(出光興産(株)製)
(16)イソパラフィン系プロセスオイル:IP−ソルベント(出光興産(株)製)
(17)架橋助剤:NK ESTER IND:2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートの混合物(新中村化学(株)製)
【0107】
実施例1〜4および比較例1〜4
表1に示した各成分を所定の配合量に従って、配合し、160℃に加熱ししたオートクレーブ(TEM−D1500M型メタルリアクター:耐圧硝子工業(株)社製)内で溶融ブレンドまたは架橋させて、本発明の熱可塑性ゲル状組成物を得た。得られた組成物の評価結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例5〜10および比較例5〜7
実施例3で得られた熱可塑性ゲル状組成物に、熱可塑性樹脂成分(h)として、水添ブロック共重合体(SEPS)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−オクテン共重合体(Engage)、直鎖状低密度ポリエチレン(PE)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)およびスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)を表2に示した配合量使用し、ブレンドした後、加圧ニーダー(ニーダー温度160〜230℃)を用いて混練を行って、軟らかい熱可塑性樹脂組成物を製造した。比較例5〜7では、実施例3で得られた熱可塑性ゲル状組成物の代わりに、n−パラフィンオイル(PW−90)を使用した。得られた組成物の評価結果を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
表2から明らかなように、本発明の熱可塑性ゲル状組成物に熱可塑性樹脂を少量添加することにより、固形状の弾性体を得ることができることが分かる。従来の未架橋のオイルを使用した比較例では、液状のままである。
【0112】
実施例11〜13および比較例8〜9
実施例11〜12では、成分(h)としてSEPS、EPR、Engage、PP、PSの1種類以上を使用し、これを、表3に示した配合量に従って、実施例3で得た本発明の熱可塑性ゲル状組成物とブレンドした後、2軸押出機を用いて混練を行って(シリンダー温度200℃)、熱可塑性樹脂組成物を製造した。実施例13は、実施例12で得られた熱可塑性樹脂組成物を有機パーオキサイドの存在下で熱処理したものである。比較例8および9では、実施例3で得た本発明の熱可塑性ゲル状組成物の代わりに、従来のn−パラフィンオイル(PW−90)及びイソパラフィンオイル(IP−ソルベント)を使用した。
【0113】
【表3】
【0114】
表3から、JIS K7215に示されるA硬度を有する熱可塑性樹脂組成物の製造において本発明の熱可塑性ゲル状組成物を使用すると、得られる熱可塑性樹脂組成物は、オイルブリードが抑制され、かつ機械強度も向上することが分かる。
【0115】
実施例14〜18
表4に記載の配合量に従って成分(a)〜(c)、(f)、(h)、必要に応じて(g)を配合し、加圧ニーダーを用いて混練して(ニーダー温度160〜230℃)熱可塑性樹脂組成物を得た。その結果、表4に示す硬度(JISK7215に従って測定)を有する熱可塑性樹脂組成物が、ブリードアウトを生じることなく得られた。
【0116】
【表4】
【0117】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性ゲル状組成物はゲル状であり、熱可塑性樹脂組成物の製造における取扱いが非常に容易である。また、本発明の熱可塑性ゲル状組成物を使用すると、オイルブリードのない、非常に軟らかな熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。さらに、従来の所定の硬度を有する熱可塑性樹脂組成物の製造においても、本発明の熱可塑性ゲル状組成物は、オイルブリードの抑制効果を発揮し、かつ樹脂組成物の機械強度を向上させる。
Claims (14)
- (a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部、
(b)水添共役ジエン系共重合体3〜50重量部、及び
(c)非晶質性ポリオレフィン3〜50重量部
を含む混合物を熱処理してなることを特徴とする熱可塑性ゲル状組成物。 - 混合物が、さらに、(d)軟化点が80〜170℃、および溶融粘度が10ポイズになる温度が120〜250℃である石油系炭化水素樹脂3〜50重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 混合物が、さらに、(e)DSC測定による融点が70〜140℃、かつ140℃の溶融粘度が400〜100000cpsの熱可塑性樹脂3〜50重量部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 混合物が、さらに、(f)有機パーオキサイド0.01〜3重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 混合物が、さらに、(g)エステル系架橋助剤0.01〜10重量部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 成分(a)が、炭素数4〜155の直鎖状飽和炭化水素及び/又は分岐状飽和炭化水素の混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 成分(a)が、室温で液状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- アセトン溶媒での抽出残査が10重量%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性ゲル状組成物100重量部、及び
(h)熱可塑性樹脂0.1〜1500重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 成分(h)の量が100〜1500重量部であることを特徴とする請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 成分(h)が、共役ジエン系共重合体、水添共役ジエン系共重合体、オレフィン系樹脂、及びオレフィン系共重合体ゴムからなる群から選択される少なくとも1種類の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項9又は10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機パーオキサイドの存在下で熱処理して得られることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機パーオキサイド及び架橋助剤の存在下で熱処理して得られることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 有機パーオキサイドと架橋助剤の重量比(有機パーオキサイド/架橋助剤)が1以下であることを特徴とする請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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