JP4005106B1 - 基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッド - Google Patents

基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】 スプライン構造により、拡大翼を徐々に拡径する形式の掘削機について、掘削性に優れ、根固め拡大球根部の品質を確保でき、引き上げ時における排土量を抑えることができる基礎杭施工用掘削機の掘削ヘッドを提供する。
【解決手段】 掘削ヘッド1は、中空の駆動軸2と、その内側に軸方向に相対移動可能に収容される掘削軸3とを有し、これら相対移動を利用して、駆動軸2側にピン接合された拡大翼4を、掘削軸3側の拡径板5を介して拡縮する。駆動軸2の内面側のコ字状のキー溝6と掘削軸3の外面側のキー7によりスプラインを形成する。キー溝6は、縦方向のガイド部6aと、拡大翼4の縮径状態で駆動軸2を正転させるときにキー7が周方向に係合される第1の係止ロック部6bと、拡大翼4の拡径状態で駆動軸2を正転させるときにキー7が周方向に係合される第2の係止ロック部6cとからコ字状に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中掘り工法などで根固め拡大球根部を造成する場合に使用される基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドの構造に関するものである。
基礎杭の先端支持力を確保するため、根固め拡大球根部を造成することがよく行われており、そのための拡径掘削装置として、拡大球根部を造成の際、掘削ヘッドに設けられた拡大翼を広げて拡径させ、引き上げの際に、再び縮径させるものが種々開発されている。
拡大翼の拡縮の原理としては、油圧装置の操作により拡縮させるもの、その他機械的に拡縮させるもの、地盤からの抵抗を利用するものなどがある。
このような拡径掘削装置として、例えば特許文献1、2には、拡径時に地盤からの急激な抵抗を受けることを防止しつつ、拡径量を大きく設定可能な基礎杭施工用の掘削治具として、駆動軸と、該駆動軸にスプライン結合する掘削軸と、掘削軸の先端部に設けられた軸掘り用刃物と、上記駆動軸及び掘削軸に支持されて拡径可能となっていると共に拡大掘削用刃物が取り付けられた拡大翼と、を備える基礎杭施工用の掘削治具であって、上記駆動軸と掘削軸とは、上下方向に相対変位可能にスプライン結合し、上記拡大翼の上端部が駆動軸に対し上下方向に回動可能に連結し、該拡大翼の下端部若しくは延在方向途中位置が補助リンクの上端部に上下方向に回動可能に連結し、該補助リンクの下端部が上記掘削軸に対し上下方向に回動可能に連結することを特徴とする基礎杭施工用の掘削治具が記載されている。
すなわち、特許文献1、2記載の発明では、駆動軸と先端の掘削軸とがスプラインを構成するキー溝とキーを介して軸方向に相対移動可能となっており、駆動軸側に設けられた拡大翼と掘削軸をつなぐ補助リンクを介して拡大翼が拡縮するようになっている。
その他の背景技術として、特許文献3には拡大球根部を造成の状況を把握するためのデータ収集・管路システム、特許文献4、5にはキー溝とキーからなるスプラインを利用した伸縮の構造、特許文献6には水平な補助拡径板と主拡径板を利用した拡大翼の拡径手段が記載されている。
特開2003−106082号公報 特開2005−023561号公報 特開2005−240284号公報 特公昭56−047355号公報 特許第3330850号公報 特開2004−076384号公報
従来の根固め拡大球根部を造成する拡径掘削装置においては、駆動軸を正転(先端のスクリューが回転することで地盤にねじ込む方向)で掘削し、根固め拡大球根部で逆転させることにより拡大翼を拡径し、そのまま逆転で拡大球根部の掘削を行う装置がほとんどであった。
特に、スプライン構造により、拡大翼を徐々に拡径する装置では、スプラインの形状が図4の左側(従来例としての特許文献1、2に記載のものに対応)に示すようなZ型であったことから、逆転で掘削せざるを得なかった。
すなわち、図4の左側に従来例として示したように、中掘り工法などにおいて拡大翼を縮径して正転させながら掘削しているとき(状態A)は、キーが図ではZ型のキー溝の上部の係止部にロックされた状態にあり、拡大球根部で拡径を開始するとき(状態B)は、逆転させることで、キーのロック状態が解除され、逆転のままキーがロック位置と反対側のテーパー面に沿って移動しながら拡大翼が徐々に開き拡径されて行く(状態C)。
その状態から拡径が完了すると、逆転のまま、キーがZ型のキー溝の下部の係止部にロックされ、掘削ヘッドを上下させながら拡大球根部の造成が行われる(状態D)。その際、拡大球根部には駆動軸および掘削軸の内側に設けられている配管を通じてセメントミルクなどの硬化性充填材が注入され、土砂と混合される。
拡大球根部の造成が完了したのちは、正転でキーのロック状態が解除され、正転で引き上げられる(図示省略)。
なお、図4の左側の従来例ではキー溝が駆動軸側、キーが掘削軸側にある場合であるが、その逆の場合(図4の右側の本発明の例は逆の場合である。)には、キー溝とキーに関する上下左右の関係が逆になる。
このような、正転掘削(状態A)、逆転拡径(状態B、C)、逆転根固め拡大球根部掘削(状態D)、正転引き上げという手順の施工には、次のような課題がある。
(1) 掘削機の先端部には、通常、スクリュー状の掘削翼がついており、正転で推進するねじ方向に切ってあるため、正転で回転していれば、土を上方に押し上げながら掘削して行くことができるが、逆転の場合には掘削が困難になる。
(2) 掘削土砂が球根部下端に堆積することがあり、その場合、逆転での掘進は容易でないため、一度掘削した地盤までの再掘削が困難になり、根固め下端部の根固め液との攪拌混合が不十分となることで、均一な拡大球根部の造成が困難になる恐れがある。
(3) 中掘り工法における上部スクリューに堆積した土砂が鋼管内に圧密され、オーガーに過大な負荷がかかる。また、スクリュー上部に堆積していた土砂が根固め拡大球根部内に落ち、根固めの品質に悪い影響を及ぼす恐れがある。
(4) 掘削ヘッドの引き上げ時は正転になるため、負圧がかかり根固め拡大球根部のセメントミルクなどの根固め液を引き上げてしまう可能性がある。また、土を上げる方向に回転しながらヘッドを引き上げるので排土量も増える場合がある。
(5) Z型のスプライン形状では、キーが拡大翼縮径時のロックから外れた後の回転方向が1方向のため、拡大翼の拡径過程において、図4の左側3段目(状態C)に黒丸で示した位置で、キーが角当りをし、キーに損傷を及ぼす恐れがある。
本発明は、スプライン構造により、拡大翼を徐々に拡径する形式の掘削機について、スプラインの形状を工夫することで、掘削性に優れ、根固め拡大球根部の品質を確保でき、引き上げ時における排土量を抑えることができ、さらにスプライン内に密封した潤滑油によりスプラインの外部から土の引き込みが起こらないようにすることができる基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドを提供することを目的としたものである。
本願の請求項1に係る発明は、掘削ヘッドを構成する中空の駆動軸と、前記駆動軸の内側に軸方向に相対移動可能に収容される掘削軸とを有し、前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を利用して、一端が前記駆動軸側に回動自在に軸支された拡大翼を、前記掘削軸側に設けられた拡径手段を介して拡縮可能とした基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドにおいて、前記駆動軸と掘削軸の一方に設けられたキーが他方に設けられたキー溝内を掘削ヘッドの軸方向および周方向に相対移動可能となっており、前記キー溝は前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を誘導する縦方向のガイド部と、前記ガイド部から周方向に延び前記拡大翼の縮径状態で前記駆動軸を正転させるときに前記キーが周方向に係合される第1の係止ロック部と、前記ガイド部から周方向に延び前記拡大翼の拡径状態で前記駆動軸を正転させるときに前記キーが周方向に係合される第2の係止ロック部とを有し、前記キー溝内に潤滑油を入れ、前記駆動軸内面と掘削軸外面との間に前記キー溝とキーで構成されるスプライン内に密封する前記潤滑油の量が、該スプライン内の体積の50〜80%であることを特徴とするものである。
駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を利用して、一端が前記駆動軸側に回動自在に軸支された拡大翼を、掘削軸側に設けられた拡径手段を介して拡縮可能とする点は、従来のスプライン構造を利用したものと同様である。この場合、掘削時における駆動軸の回転方向と掘削軸の回転方向は同じ方向である。
特許文献1、2に記載の発明におけるスプライン形状がZ型であるのに対し、本発明ではスプライン形状、すなわちキー溝の形状を縦方向のガイド部の上下に、駆動軸の正転時にキーが周方向に係合される第1および第2の係止ロック部を有するコ字型とすることで、駆動軸の逆転により拡大翼を拡径させた後、正転で根固め拡大球根部を造成することができる。
そのため、発明が解決しようとする課題の項で述べたような、根固め拡大球根部を駆動軸の逆転により掘削し、造成する場合の問題が解消され、掘削性に優れ、根固め拡大球根部の品質が確保され、引き上げ時における排土量も抑えることができる。
さらに、スプライン内を潤滑油が移動することでバキュームを防ぎ、スプラインの外部から土の引き込みが起こらないようにすることができる。また、潤滑油がキー溝内の全域に行き渡ることで、キーが傷つき難くなる。
スプライン内に密封する潤滑油の量は、上下の第1および第2の係止ロック部の体積程度、すなわちスプライン内の体積の70%前後、50〜80%程度が望ましい。
潤滑油の量を変えて行った試験では、スプライン内の体積の100%近く潤滑油を入れるとキーが動かなくなり、70%程度であればキーがスムーズに動き、負圧も発生しなかった。
請求項2は、請求項1に係る基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドにおいて、前記キー溝のガイド部の、前記駆動軸の逆転時に前記キーが当接する側にテーパーが設けられていることを特徴とするものである。
テーパーの向きは、駆動軸の逆転時に、拡大翼を拡径する際、キーとテーパーを設けたキー溝との間に作用する力の鉛直方向分力が駆動軸と掘削軸を軸方向へ引き寄せる方向とする。
キー溝が駆動軸側に設けられ、キーが掘削軸の外面側に設けられている場合には、駆動軸の逆転により、下側に位置する第1の係止ロック部からキーが抜け出し、反対側に位置するテーパーに沿って、ガイド部を上方へ移動し、拡大翼の拡径後、駆動軸の正転により上側に位置する第2の係止ロック部に係合され、その状態で正転により根固め拡大球根部の掘削、造成が行われる。
キー溝が掘削軸の外面側に設けられ、キーが駆動軸の内面側に設けられている場合には、上下左右が逆の関係となる。
請求項は、請求項1または2に係る拡径掘削装置の基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドにおいて、前記拡径手段が、前記掘削軸の外周に設けられた水平またはほぼ水平な拡径板からなり、前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動により、前記拡大翼の下面が前記拡径板の外周部に当接し、拡大翼が前記軸支部分を中心に拡縮するようにしたものであることを特徴とするものである。
駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を利用する拡大翼の拡径手段は、特許文献1、2のようにリンクを用いるもの、特許文献6のように水平方向の拡径板を用いるものなど種々の構造が考えられるが、拡径板を用いるものは構造が簡単で、動作不良の問題も生じ難い。
なお、拡大翼については、拡大時に翼と駆動軸側の受け部材との間に土が入ると翼が開き難くなるという問題があるが、これに対しては拡大翼と軸支のピンおよびピンと受け部材の部分に余裕を持たせたフリーな構造とすることで、土の入り込みによる動作不良を生じ難くすることができる。
本発明では、スプライン内を潤滑油が移動することでバキュームを防ぎ、スプラインの外部から土の引き込みが起こらないようにすることができる。
また、掘削ヘッドのスプライン形状をZ型からコ字型に変えることで、正転で掘削し、逆転で拡大翼の拡径、拡径し終わったら正転に変え、掘削および根固め拡大球根部の攪拌を正転ですることを可能にした。
その場合、根固め拡大掘削時は正転であるため、土は上方に押し上げられる力が作用し、拡大球根部下端に掘削土砂の堆積は少なく、掘削性が向上する。
また、掘削ヘッド引き上げ時は、逆回転になるため、拡大球根部の根固め液を引き上げてしまうことはなく、逆回転で土を下に置いてくることになるため、排土量も抑えることができる。
さらに、スプラインの形状をコ字型にしたことで、拡大翼が拡径する過程では、キーを設けるのが掘削軸側か駆動軸側かに応じて、斜め最上部まで上がり切り、または最下部まで下がり切り、正転しロックする過程でキーはキー溝部上部または下部に沿って回転するため、角あたりせず、キーの損傷を抑えることができる。
図1は、本発明の一実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までのキー溝内におけるキーの位置と拡大翼の位置関係を示したものである。
掘削ヘッド1は、中空の駆動軸2と、その内側に軸方向に相対移動可能に収容される掘削軸3とを有し、この例では駆動軸2と掘削軸3の軸方向の相対移動を利用して、一端が駆動軸2側にピン接合により上下方向回動自在に軸支された拡大翼4を、掘削軸3側に設けられた補助拡径板5aおよび主拡径板5bを介して拡縮可能としている。
図中、駆動軸2の上部に突出している部分は掘削機上部との接続部8であり、通常、この部分には、外周にスパイラル翼を有するロッドが接続される。
この例で、外表面からは見えないが、駆動軸2の内面側にはコ字状(図中では左右反対のコ字状)のキー溝6が形成されており、一方、掘削軸3の外面側にはキー溝6に対し、キー7が突出し、スプラインを形成している。このスプライン部分は、土砂の引き込みなどを防止するため、駆動軸2の内面と掘削軸3の外面との間で必要に応じパッキンなどを介在させて水密状態とし、内部にスプラインの体積の70%程度の量の潤滑剤を密封するとよい。
駆動軸2の内面側に形成されたキー溝6は、駆動軸2と掘削軸3の軸方向の相対移動を誘導する縦方向のガイド部6aと、このガイド部6aの下端から周方向に延び拡大翼4の縮径状態で駆動軸2を正転させるときにキー7が周方向に係合される第1の係止ロック部6bと、ガイド部6aから周方向に延び拡大翼4の拡径状態で駆動軸2を正転させるときにキー7が周方向に係合される第2の係止ロック部6cとからコ字状(この例では紙面裏から見てコ字状となる)に形成されている。
図1の(a)は、拡大翼4を縮径状態で駆動軸2を正転させて掘削して行く状態であり、このときキー7はキー溝6の下端の第1の係止ロック部6bに係合した状態で、駆動軸2の回転が掘削軸3に伝達される。
(b)は、掘削ヘッド1が所定深度の拡大球根部造成位置に達し、駆動軸2を逆転させることで拡大翼4の拡径を開始する状態であり、逆転によりキー7は第1の係止ロック部6bと反対側の面に当接する。
このとき、掘削軸3にはこの当接部分で逆方向の回転が伝達される。また、この例では掘削軸3に径が徐々に大きくなる補助拡径板5aが水平に設けられており、掘削軸3の逆回転により、拡大翼4が補助拡径板5aの外縁に沿って摺動しながら開いて行く。
(c)は、駆動軸2を逆転させた状態で、キー7がキー溝6のガイド部6aを上方に移動し、ガイド部6aの上端まで来た状態を示したものである。
ガイド部6aにはテーパーが設けられており、駆動軸2を逆転により、キー溝6のガイド部6aからキー7に作用する力の鉛直分力が、キー7を上方へ押し上げる機能を有する。このとき、拡大翼4は軸方向の相対変位により補助拡径板5aによって上方に押し上げられる。
この状態から、今度は駆動軸2を正転させることで、(d)のようにキー7が第2の係止ロック部6cに入り込んで係合する。
その際、拡大翼4は駆動軸2側の下端に位置する主拡径板5bに乗り上げる形でほぼ水平な拡大状態となり、正転の間その状態が維持される。
掘削ヘッド1の下端にはスパイラル翼9が取り付けられており(図1の(b)、(c)についてはこの部分の図示を省略)、スパイラル翼9の下端には複数の掘削刃10が取り付けられている。本発明では、拡大翼4を拡径させた状態で正転により拡大球根部の掘削、攪拌を行うため、正転用のスパイラル翼9および正転の向きに取り付けられる掘削刃10の機能を最大限に利用することができる。
また、通常、拡大翼4の下面側の掘削刃11も正転で機能するように取り付けられるが、図示した例では拡大翼4の上面側にも掘削刃12を取り付け、上向きにも掘削できるようにしている。
図2は、本発明の他の実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までの拡大翼と拡径板との位置関係を示したものである。なお、(b)〜(d)では、先端のスパイラル翼9の図示を省略している。
基本的な構造や機能は、図1の場合と同様であるが、補助拡径板5aの断面を極力抑えて、抵抗を小さくしている。また、補助拡径板5aの外周部にリブ5cを設けており、直接的にはリブ5cの上部が拡大翼4の下面に接し、拡大翼4を押し上げる構造としている。このリブ5cの上部に傾斜を設けることによっても拡大翼4を押し上げがスムーズになる。
さらに図2の(d)〜(e)に至る拡大翼4の拡径の過程では、駆動軸2の回転が正転に変わる際、拡大翼4が拡径板5から外れて縮径してしまわないように、リブ5cの端部と拡大翼4の基部が係合するようになっている((d)のA−A断面参照)。
図3は、本発明の他の実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までの拡大翼と掘削水または硬化性充填材を注入するための流路との位置関係を示したものである。
本発明のように、根固め拡大球根部を造成する拡径掘削機において、拡大翼の拡径を確認するためには、従来、ロッドに二重管を使用し、油圧や水圧を利用し確認する方法はあるが二重管を使用するため大変なコストがかかることになる。
また、翼が拡大する際の電磁波等を利用して地上で確認する方法等もあるが、電磁波が他に流れ、確実に確認できないことがある。
一方、この種の拡径掘削機では内部を貫通する管路を通じて、掘削水やセメントミルクなどの硬化性充填材を注入しながら施工を行うことが一般的であり、図3の実施形態は拡大翼4の拡径状態を確認するために、駆動軸2および掘削軸3の内側に設けられた掘削水やセメントミルクを注入するための管路について、駆動軸2および掘削軸3の相対移動に伴う(管路の流体抵抗の変化に伴う)流体注入圧の増減から拡大翼4の拡径状態を確認するようにしたものである。
より具体的には、図3において、拡大翼4の拡径時に掘削ヘッド1が伸縮することを利用し、(a)〜(c)の過程では上下の管路22、23の間に空間21が生じており、抵抗の少ない状態で掘削水やセメントミルクが注入される状態から、(d)のように逆転状態での軸方向の相対変位により拡大翼4が大きく拡径する段階では掘削ヘッド1の縮小で空間21がなくなり、かつ駆動軸2側の管路22と掘削軸3側の管路23とがずれて接することで流路が狭くなって抵抗が増し(同A視拡大参照)、拡大後、(e)の正転状態では駆動軸2側の管路22が掘削軸3側の管路23の開口内に納まり(同A視拡大参照)、流路がもとの広さになって抵抗が小さくなる構造としている。
この他、掘削時の流路面積を抑えておき、拡大するときには流路が広くなる構造も考えられる。
このようにして、掘削水やセメントミルクの圧の上昇もしくは減少により、拡大翼4が拡径していることを確認することが可能である。
図4は、従来のZ型のスプラインと本発明におけるコ字型のスプラインの場合について、縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までのキー溝内におけるキーの位置と拡大翼の位置関係を対比して示したものである。
従来のZ型のスプラインの場合については、発明が解決しようとする課題の項で説明した通りであり、簡潔に言えば、状態Aが正転掘削時、状態B、Cが逆転拡径時、状態Dが逆転根固め拡大球根部掘削時である。
状態A、Bでは大きな違いはないが、従来のZ型のスプライン形状の場合では、状態CからDに至る過程において回転方向が同一であり、キーとキー溝の当接する面(図4中のキーの右側面)も不変のままでキーが当接面側に位置する第2の係止ロック部に係合されようとするため、一時的に接触面積が減少する状態が発生する。このため、キーの角当りによる損傷の問題が発生する。これに対し、本発明では、状態CからDの過程において、回転を逆転から正転に切り替えることでキーをキー溝の第2の係止部に係合させるため、キーの当接面が左右逆転し、接触面積が減少することはなく、角当たりの問題がない。
また、状態Dにおいても、従来のZ型のスプライン形状の場合では、拡大球根部の掘削、攪拌が逆転によってなされることで、掘削性の問題や、排土の問題、掘削土砂の堆積などによる根固め拡大球根部の品質の問題などがあるのに対し、本発明の掘削ヘッドでは正転での施工となるため、これらの問題が全て解決される。
図5〜図8は、拡大球根部掘削時における正転掘削および逆転掘削による影響を従来技術と本発明について対比して示したものである。
図5において、(a)の従来例では拡大掘削時の掘削ヘッド1の回転が逆転であるのに対し、(b)の本発明では正転となる。
そのため、図6において、(a)の従来例では掘削ヘッド1の上部に接続されたロッド31のスクリューに堆積した土砂を矢印のように下方に落とす力が作用するのに対し、(b)の本発明では正転であるため掘削土砂は上部方向に押し上げられる力が作用し、拡大球根部下端への土砂の堆積は少ない。
また、図7において、(a)の従来例では掘削土砂が拡大球根部下端に堆積することがあるため、前述のように一度掘削した地盤までの再掘削が困難になり、根固め拡大球根部下端の根固め液との攪拌混合が不十分なため、均一な根固め拡大球根部の造成が困難になる可能性がある。また、掘削ヘッド1の上部に接続されたロッド31のスクリュー32に堆積した土砂が鋼管内部に圧密され、オーガーに過大な負圧がかかる恐れがある。これに対し、(b)の本発明では掘削土砂の堆積が少ないため、再度掘削することも容易である。
図8において、(a)の従来例では掘削ヘッド1の回収時は正転となるため負圧がかかり、根固め拡大球根部の根固め液を引き上げてしまう可能性があり、排土量も増える。これに対し、(b)の本発明では掘削ヘッド1の回収時は逆転となるため、根固め拡大球根部の根固め液を引き上げてしまう可能性はなく、健全な拡大球根部の造成が可能であり、排土量も抑えることができる。
本発明の一実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までのキー溝内におけるキーの位置と拡大翼の位置関係を示した正面図および水平断面図である。 本発明の他の実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までの拡大翼と拡径板との位置関係を示した正面図および水平断面図である。 本発明の他の実施形態における縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までの拡大翼と掘削水または硬化性充填材を注入するための流路との位置関係を示した正面図および水平断面図である。 従来のZ型のスプラインと本発明におけるコ字型のスプラインの場合について、縮径状態での正転による掘削開始から、拡径状態での正転による拡大球根部の掘削、攪拌までのキー溝内におけるキーの位置と拡大翼の位置関係を対比して示した正面図およびスプライン部分の展開図である。 拡大球根部掘削時における正転掘削および逆転掘削による影響を従来技術と本発明について対比して示した鉛直断面図である。 拡大球根部掘削、攪拌時における正転掘削および逆転掘削による影響を従来技術と本発明について対比して示した鉛直断面図である。 拡大球根部掘削、攪拌時における正転掘削および逆転掘削による影響を従来技術と本発明について対比して示した鉛直断面図である。 掘削ヘッドの引き上げ時における正転掘削および逆転掘削による影響を従来技術と本発明について対比して示した鉛直断面図である。
符号の説明
1…掘削ヘッド、2…駆動軸、3…掘削軸、4…拡大翼、5a…補助拡径板、5b…主拡径板、6…キー溝、6a…ガイド部、6b…第1の係止ロック部、6c…第2の係止ロック部、7…キー、8…接続部、9…スパイラル翼、10、11、12…掘削刃、21…空間、22、23…配管、31…ロッド、32…スクリュー、41…拡大球根部

Claims (3)

  1. 掘削ヘッドを構成する中空の駆動軸と、前記駆動軸の内側に軸方向に相対移動可能に収容される掘削軸とを有し、前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を利用して、一端が前記駆動軸側に回動自在に軸支された拡大翼を、前記掘削軸側に設けられた拡径手段を介して拡縮可能とした基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッドにおいて、前記駆動軸と掘削軸の一方に設けられたキーが他方に設けられたキー溝内を掘削ヘッドの軸方向および周方向に相対移動可能となっており、前記キー溝は前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動を誘導する縦方向のガイド部と、前記ガイド部から周方向に延び前記拡大翼の縮径状態で前記駆動軸を正転させるときに前記キーが周方向に係合される第1の係止ロック部と、前記ガイド部から周方向に延び前記拡大翼の拡径状態で前記駆動軸を正転させるときに前記キーが周方向に係合される第2の係止ロック部とを有し、前記キー溝内に潤滑油を入れ、前記駆動軸内面と掘削軸外面との間に前記キー溝とキーで構成されるスプライン内に密封する前記潤滑油の量が、該スプライン内の体積の50〜80%であることを特徴とする基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッド。
  2. 前記キー溝のガイド部の、前記駆動軸の逆転時に前記キーが当接する側にテーパーが設けられていることを特徴とする請求項1記載の基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッド。
  3. 前記拡径手段は、前記掘削軸の外周に設けられた水平またはほぼ水平な拡径板からなり、前記駆動軸と掘削軸の軸方向の相対移動により、前記拡大翼の下面が前記拡径板の外周部に当接し、拡大翼が前記軸支部分を中心に拡縮するようにしたものであることを特徴とする請求項1または2記載の基礎杭施工用拡径掘削機の掘削ヘッド。
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