JP4004083B2 - 容量結合低減のためのフローティングコイルアンテナを有する誘導結合rfプラズマリアクタ - Google Patents

容量結合低減のためのフローティングコイルアンテナを有する誘導結合rfプラズマリアクタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導結合の高周波(RF)プラズマリアクタにおいて、コイルアンテナから半導体ウエハへの容量結合を低減するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導結合RFプラズマリアクタは、典型的には、リアクタチャンバを有しており、チャンバの内部には半導体ウエハを支持するためのウエハペデスタルを有し、また、チャンバシーリング(天井部)の上方にはRFインピーダンス整合回路網を介してRF電源と接続されているコイルインダクタないしコイルアンテナを有している。リアクタチャンバの中へと導入されるガスは、コイルアンテナからリアクタチャンバの中へと結合されているRF電力によってイオン化され、ウエハの上方にプラズマを発生させる。ウエハに対してなされる様々なタイプのプラズマ処理に対して、特定のプロセスパラメータを最適化するためには、プラズマイオンエネルギーを狭い範囲に分布させることが望ましい。例えば、ウエハ上の薄い酸化物層(例えばゲート酸化物層)の上に形成されたポリシリコン層をエッチングするためのRFプラズマエッチングプロセスにおいては、エッチングプロセスは、ポリシリコンに対する高い選択性と、高い異方性とを有している必要がある。プラズマイオンエネルギーが狭い範囲の中に分布される場合に、これらの目標が満たされることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このプラズマイオンエネルギーは、ウエハペデスタルに接続されたバイアスRF電力ジェネレータによって制御される。ウエハペデスタルに印加されるバイアスRF電力はプラズマに容量結合しており、他の容量結合なしでも所望の狭いプラズマイオンエネルギー分布を与えることが可能である。ここで問題となるのは、コイルアンテナからプラズマへの漂遊する容量結合(stray capacitive coupling) がプラズマイオンエネルギー分布を広げ、その結果、RFプロセスの性能を低下させることである。
【0004】
従って、本発明の主な目的は、コイルアンテナからプラズマへの漂遊する容量結合を低減することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
RFインピーダンス整合回路網を介してRF電源に接続されている誘導コイルアンテナを有する誘導結合RFプラズマリアクタにおいて、絶縁トランスによりコイルアンテナをRF電源から絶縁することによって、アンテナからプラズマへの容量結合が低減され、コイルアンテナは浮動する電位(フローティングポテンシャル)を有することになる。RFインピーダンス整合回路網の出力は、絶縁トランスの1次巻線(primary winding) に接続ないし連絡され、フローティングコイルアンテナが絶縁トランスの2次巻線に接続ないし連絡される。容量結合が2倍以上低下したことが定量的に測定された。これは顕著な利点である。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1に示されているように、誘導結合RFプラズマリアクタは、接地されたリアクタチャンバ10を有し、このリアクタチャンバ10は、接地された側壁12とシーリング(天井部)14とを有し、これらが、処理されるべき半導体ウエハ30を支持するウエハペデスタル20を包囲している。ガス流入口40がチャンバ10内へ処理ガスを導入する。チャンバ10のシーリングの上に巻かれた誘導コイルアンテナ50からプラズマへと誘導結合されたRF電力によって、ガスはイオン化されてウエハ30の上方にプラズマが発生する。コイルアンテナ50は、RFインピーダンス整合回路網70を介してRFジェネレータ60に結合されている。ウエハ表面におけるプラズマイオンエネルギーは、ウエハペデスタル20と大地との間にバイアスRF電力ジェネレータ75を接続することにより、制御可能である。
【0007】
誘導コイルアンテナ50をRF電力ジェネレータ60から絶縁するため、整合回路網70と誘導コイルアンテナ50との間に絶縁トランス80が置かれている。具体的には、絶縁トランス80は、1次巻線82と2次巻線84とを有している。図示のような方法で整合回路網70とRFジェネレータ60とが1次巻線82に接続ないし連絡され、2次巻線84には誘導コイルアンテナが接続ないし連絡されている。
【0008】
絶縁トランス80がジェネレータ60と誘導コイルアンテナ50との間のDC電位を低減又はほぼ排除するため、コイルアンテナ50の電位はウエハペデスタル20に関して浮動する is floating 。これによる利点は、コイルアンテナ50とペデスタル20/ウエハ30との間の容量結合も低減されることである。その結果、コイルアンテナ50は、ウエハ表面におけるプラズマイオンエネルギーの影響をあまり受けなくなり、即ち、プラズマイオンエネルギー分布の広がりが少なくなる。狭いプラズマイオンエネルギー分布は、例えば、プラズマエッチングプロセスに要求されており、それは、高いエッチング選択性と高いエッチング異方性とを得るためである。
【0009】
絶縁トランス80はエアギャップを、1次巻線82と2次巻線84との間に有していてもよい。あるいは、絶縁トランス80は、フェライトコア90を有していてもよく、その周りに、1次巻線82と2次巻線84とが巻かれている。
【0010】
図2に示されているように、フェライトコア90は、円環状であってもよく、また約3〜約5インチ(約76〜約127mm)の直径を有していてもよい。1次巻線82と2次巻線84は、それぞれ、約5〜10巻きであってもよい。
【0011】
図3に示されているように、フェライトコアの代りにエアギャップを採用している場合は、1次巻線82と2次巻線84は、相互に近接していてもよい。具体的には、図3に例示されているように、1次巻線82は、2次巻線84の連なっているターン84aと84bとの間に配置された単一のターン82aを有していてもよい。具体例の1つによれば、図3の1次巻線82と2次巻線84は全て、約2インチ(約51mm)の同一の直径を有し、1次巻線のターン82aは、2次巻線のターン84aから0.5インチ(約13mm)、他方の2次巻線84bから0.5インチ(約13mm)離れている。
【0012】
【実施例】
本発明によって実現される容量結合の低減が定量的に測定された。具体的には、容量結合によって誘導される、プラズマからウエハペデスタルへのRF電流が、2倍以上低減された。
【0013】
容量結合単独によって誘導されるRF電流(誘導結合単独によって誘導される電流と区別されている)を定量的に測定する方法は、係属中の米国特許出願、標題 "METHOD OF MEASURING THE AMOUNT OF CAPACITIVE COUPLING OF RF POWER IN AN INDUCTIVELY COUPLED PLASMA" 、に記載されている。本質的には、この方法は、プラズマからウエハペデスタルへのRF電流を測定し、これを、この周波数成分は、RFジェネレータ60の基本周波数(F)の成分とその2倍の周波数(2F)の成分とを含む別々の周波数成分に分離する操作を有している。この方法は、周波数Fで基本成分の電流を測定することにより容量結合の量を測定する操作を、更に有している。
【0014】
本発明の試験を行う場合、上記に挙げた米国特許の定量測定の方法では、ウエハペデスタルから大地へ至る(バイアスRF電力ジェネレータはバイパスされる)電流をモニタする電流プローブ100と、電流プローブ100の出力側に接続されるオシロスコープ110とを用いている。この測定は、13.56MHzの基本周波数で動作しているRF電力ジェネレータ60を用いて遂行された。電流プローブ100によって測定された電流の誘導結合成分が、オシロスコープ110で27.12MHz正弦波の軌跡を発生し、他方、電流プローブ100によって測定された容量結合成分は、オシロスコープ110で13.56MHz正弦波の軌跡を発生した。後者の成分の振幅は、容量結合の量を示しており、また、ジェネレータ60のRF電力の大きな範囲にわたって観測された。
【0015】
この結果は、図4のグラフにプロットされ、このグラフでは、プローブ100を介して得られたRF電流の容量結合成分が縦軸に表され、他方、RF電力が横軸に示されている。白い四角形のカーブは本発明を用い得られた結果を例示している。比較の結果を得るために行われた第2の試験では、絶縁トランス80はバイパスされ同じ範囲でRF電力を変化させてて行われ、プローブ100を介して得られた電流の容量結合成分はオシロスコープ110によってモニタされ、その結果は図4に黒い四角形のカーブで表されている。2つのカーブを比較すれば、ウエハペデスタルへのRF電流の容量結合成分が低減されたことが明らかであり、例えば、RF電力300ワットにおいて、0.4mAから0.16mAへと下がっており、これは2倍以上の改善である。
【0016】
好適な具体例を具体的に参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明の範囲を離れることなく変更や変形を行うことが可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上詳細に説明してきたように、本発明によれば、コイルアンテナからプラズマへの漂遊する容量結合が低減される結果、例えば、プラズマイオンエネルギーを狭い範囲に分布させることが望ましいプロセスにおいては、この狭い範囲のプラズマイオンエネルギー分布が実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化したプラズマリアクタ装置の模式的な構成図である。
【図2】本発明の実施に用いられる絶縁トランスの好ましい具体例の模式的な構成図である。
【図3】本発明の実施に用いられる絶縁トランスの別の好ましい具体例の模式的な構成図である。
【図4】図1の具体例の絶縁トランスを用いた場合と用いない場合との、誘導コイルアンテナからウエハへの容量結合RF電流を例示するグラフである。
【符号の説明】
10…リアクタチャンバ、12…側壁、14…シーリング、20…ウエハペデスタル、30…半導体ウエハ、40…ガス流入口、50…コイルアンテナ、60…RFジェネレータ、70…RFインピーダンス整合回路網、75…バイアスRF電力ジェネレータ、80…絶縁トランス、82…1次巻線、84…2次巻線、90…フェライトコア、100…電流プローブ、110…オシロスコープ。

Claims (17)

  1. RF周波数Fを有するプラズマソース電力RFジェネレータを用いる誘導結合プラズマリアクタであって、
    リアクタチャンバであって、前記チャンバ内に処理ガスを収容することができ、また、前記チャンバの内部に半導体基板を支持するためのペデスタルを収容することができる、前記リアクタチャンバと、
    RF電力を誘導結合させることにより前記ガスからプラズマを発生させるための、前記チャンバに近接する誘導結合アンテナと、
    基本RF周波数Fを有する、前記アンテナに結合されるプラズマソース電力RFジェネレータと、
    一端と他端を有し、前記RFジェネレータを前記誘導結合アンテナへ結合させる絶縁トランスと、
    前記ジェネレータと前記絶縁トランスとの間に接続されるRFインピーダンス整合回路網と、
    を備え、
    前記アンテナの電位は前記ペデスタルに関して浮動している、前記プラズマリアクタ。
  2. 前記絶縁トランスが、前記一端で前記RFジェネレータに結合される1次巻線と、前記誘導結合アンテナに結合される第2の巻線とを備える請求項1に記載のプラズマリアクタ。
  3. 前記絶縁トランスが、前記他端で前記RFインピーダンス整合回路網に接続される1次巻線と、前記誘導結合アンテナに接続される第2の巻線とを備える請求項2に記載のプラズマリアクタ。
  4. 前記誘導結合アンテナが1対の端部を有するコイル導電体を備え前記コイル導電体が前記チャンバの一部の上に巻かれ、前記2次巻線が前記コイル導電体の前記端部の対に接続される請求項3に記載のプラズマリアクタ。
  5. 前記絶縁トランスが、フェライトコアを更に備え、前記フェライトコアの周囲に前記1次巻線と前記2次巻線とが巻かれている請求項2に記載のプラズマリアクタ。
  6. 前記絶縁トランスが前記1次巻線と前記2次巻線との間にエアギャップを有している請求項2に記載のプラズマリアクタ。
  7. 前記2次巻線が連なっているターンの対を備え、前記1次巻線が前記連なっているターンの対と前記2次巻線との間に配置されるターンを備える請求項6に記載のプラズマリアクタ。
  8. 前記プラズマから前記ペデスタルへの電流の容量結合成分を定量的に測定するための装置を更に備える請求項1に記載のプラズマリアクタ。
  9. 前記装置が、前記ペデスタルと大地との間に接続される導電体と、前記導電体に隣接する電流プローブと、前記基本周波数に等しい周波数で前記導電体を通る電流の成分を観測するための手段とを備える請求項8に記載のプラズマリアクタ。
  10. 前記ペデスタルと大地との間に接続されるバイアスRFジェネレータを更に備える請求項1に記載のプラズマリアクタ。
  11. RF周波数Fを有するプラズマソース電力RFジェネレータを用いる誘導結合プラズマリアクタであって、
    リアクタチャンバであって、前記チャンバ内へ処理ガスを導入するためのガス流入口と、前記チャンバの内部に半導体基板を支持するためのペデスタルとを有する、前記リアクタチャンバと、
    RF電力を誘導結合させることにより前記ガスからプラズマを発生させるための、前記チャンバに近接する誘導結合アンテナであって、前記誘導結合アンテナは前記チャンバの一部の上に巻かれるコイルアンテナを備え、前記コイルアンテナは端部の対のところで終了している、前記誘導結合アンテナと、
    基本RF周波数Fを有する、前記アンテナに結合されるプラズマソース電力RFジェネレータと、
    前記RFジェネレータの出力部に接続される入力部を有するRFインピーダンス整合回路網と、
    前記RFジェネレータを前記誘導結合アンテナへ結合させる絶縁トランスであって、前記RFインピーダンス整合回路網の出力部に接続される1次巻線と、2次巻線とを有し、前記端部の対が前記2次巻線に接続ないし連絡している、前記絶縁トランスと、
    を備え、
    前記アンテナの電位は前記ペデスタルに関して浮動している、前記プラズマリアクタ。
  12. 前記絶縁トランスが、フェライトコアを更に備え、前記フェライトコアの周囲に前記1次巻線と前記2次巻線とが巻かれている請求項11に記載のプラズマリアクタ。
  13. 前記絶縁トランスが前記1次巻線と前記2次巻線との間にエアギャップを有している請求項11に記載のプラズマリアクタ。
  14. 前記2次巻線が連なっているターンの対を備え、前記1次巻線が前記連なっているターンの対と前記2次巻線との間に配置されるターンを備える請求項11に記載のプラズマリアクタ。
  15. 前記プラズマから前記ペデスタルへの電流の容量結合成分を定量的に測定するための装置を更に備える請求項11に記載のプラズマリアクタ。
  16. 前記装置が、前記ペデスタルと大地との間に接続される導電体と、前記導電体に隣接する電流プローブと、前記基本周波数に等しい周波数で前記導電体を通る電流の成分を観測するための手段とを備える請求項15に記載のプラズマリアクタ。
  17. 前記ペデスタルと大地との間に接続されるバイアスRFジェネレータを更に備える請求項11に記載のプラズマリアクタ。
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