従来、印字媒体であるテープに文字等を印字するテープ印字装置には、かかるテープを切断刃等で切断するカット機能が備えられている。例えば、図4に示すテープ印字装置1においては、切断刃と連動するカットレバー20を本体2に備えており、かかるカットレバー20を押下することにより、本体2から排出されたテープ3を切断することができる。ここで、かかるテープ印字装置1のカット機能を具現化した構造(以下、「カット構造」という)を、テープカセット4(図5参照)の装着やカットレバー20の押下の操作を通じて詳しく説明する。尚、図4に示すテープ印字装置1の本体2は、上蓋2A(図5参照)、上部下蓋であるカセットカバー2B(図6参照)、下部下蓋2C(図5参照)から形成されている。
先ず、テープカセット4(図5参照)を装着させるため、図4のテープ印字装置1を裏返してカセットカバー2B(図6参照)を上蓋2Aから取り外し、上蓋2A内に設けられたテープ装着部を露出させる。その後において、かかるテープ装着部にテープカセット4を装着させる。このときのテープ装着部周辺の概略を図5に示す。図5に示すように、上蓋2Aのテープ装着部の周辺には、プラテンホルダ8、サーマルヘッド5を支持する支持板6、位置固定部材7、カットレバー20、保持部材30等が設けられている。
プラテンホルダ8は、定点Pを中心として回動するものであり、また、図示しない弾性部材等で位置固定部材7側に常に付勢されており、カセットカバー2B(図6参照)を上蓋2Aから取り外した状態(すなわち、図5に示す状態)においては、位置固定部材7に当接する位置で固定される(以下、かかる位置を「待機位置」という)。また、図6に示すように、カセットカバー2Bには、プラテンホルダ8をテープカセット4側に回動させる係合部9が設けられており、カセットカバー2Bを上蓋2Aに取り付けた状態においては、係合部9がプラテンホルダ8と位置固定部材7との間に介在することによって、プラテンホルダ8をテープカセット4側に回動させことができる。また、図7に示すように、係合部9はその先端部が傾斜しており、プラテンホルダ8と位置固定部材7との間に、係合部9を容易に介在させることができる。
かかる係合部9は、テープカセット4のテープ3の一部がサーマルヘッド5に押しつけられる位置まで、プラテンホルダ8をテープカセット4側に回動させて固定する(以下、かかる位置を「動作位置」という)。従って、動作位置にあるプラテンホルダ8のプラテンローラ8A等が回転すれば、テープカセット4のテープ3が搬送されて本体2から排出することができる。
このようにして、プラテンホルダ8は、カセットカバー2Bの脱着に連動して、待機位置と動作位置と間を移動することができる。また、実開平3−6966号に記載された印刷装置等を用いて、待機位置に該当するリリース位置と動作位置に該当する印刷位置との間を移動させてもよい。
カットレバー20と保持部材30は、上述した「カット構造」の主要部分をなすものである。図8にカットレバー20の斜視図を、図9に保持部材30の分解斜視図を示す。図8に示すように、カットレバー20には、保持部材30の保持板32(図9参照)を押圧
する押圧片21や、ボス部22等が設けられている。尚、カットレバー20の内部は中空になっている。また、図9に示すように、保持部材30には、上述したカットレバー20のボス部22と同軸線上に配置されるボス部35が設けられている。かかるボス部35周辺には、図5に示すように、弾性部材である戻りばね11が遊嵌される。また、図9に示すように、保持部材30には、後述する保持板32が摺動するとともにその広幅面を覆う案内溝31が上下一対に形成されている。かかる案内溝31は上下に分かれ、その間から保持板32が露出しているので、カットレバー20の押圧片21が保持板32の後方部37に接触して押圧することが可能となる。
また、保持板32には、取付用突起33や係止孔34等が設けられている。かかる取付用突起33に、切断刃10の丸孔10Aを嵌めることにより、切断刃10を保持板32に取り付けることができる。切断刃10が取り付けられる保持板32は、その広幅面を案内溝31に覆われると同時に摺動することができるので、保持部材30は切断刃10を包囲しつつ摺動可能に保持することができる。尚、切断刃10が保持部材32に取り付けられたときに、取付用突起33を中心に切断刃10が回動することを防止するため、係止部36が保持部材32に設けられている。
上述した保持部材30は、テープカセット4に向かって案内溝31が開放されるように上蓋2Aに固定される。また、上述したカットレバー20は、保持部材30のボス部35に嵌められた支持軸37を、カットレバー20のボス部22にも嵌めることにより、上蓋2Aに取り付けられる。従って、カットレバー20は、支持軸37を中心(以下、その中心点を「回動中心Q」という)として回動することができる。さらに、保持部材30のボス部35周辺に遊嵌された戻りばね11の一端は保持板32の係止孔34に係止され、その他端は保持部材30の一部に係止される。これにより、保持板32は保持部材30内に常に後退付勢させられ、保持板32に取り付けられた切断刃10は保持部材30内に存置される。このときの切断刃10の位置が切断刃10の待機位置である。
しかし、カットレバー20を押下すれば、かかるカットレバー20がテープ印字装置1内側に向かって回動し、保持部材30の案内溝31の上下間において、カットレバー20の押圧片21が保持部材30の保持板32を押圧する。これにより、保持板32に取り付けられた切断刃10を、案内溝31に沿いながらテープカセット4に向かって移動させることができる。さらに、カットレバー20を押下すると、切断刃10が保持部材30から突出してテープカセット4の一部と当接し、かかるテープカセット4と保持部材30の間に位置するテープ3を切断することができる。このときの切断刃10の位置が切断刃10の切断位置である。
また、切断刃10は保持部材30内に常に後退付勢されているので、カットレバー20の押下を解除すれば、切断刃10は保持部材30内に自動的に存置される。すなわち、カットレバー20を作動させない通常の状態においては、切断刃10は保持部材30内に存置されるので、使用者が誤って切断刃10に触れる危険をほぼ無くすことができる。
しかしながら、上述したテープ印字装置1においては、カセットカバー2Bの脱着に拘らず、カットレバー20を押下することができるので、テープ装着部にテープカセット5を装着していない場合に、カセットカバー2Bを上蓋2Aから取り外してカットレバー20を押下したときには、図10から図11のようになって、保持部材30から切断刃10が突出してしまい、かかる切断刃10に使用者が容易に触れることが可能になり大変に危険である。
かかる問題点に対しては、例えば、特開平7−52479号に記載されたブレード保護装置により、第1の位置におけるブレード保護部材によってブレードの運動を阻止し、適切なカセットが挿入されたときには、ブレード保護部材が第2の位置に移動してブレードの運動を許容することより、カセットが挿入されていないときのブレードの安全性を確保して解決することも可能であるが、テープ印字装置1にブレード保護装置を取り付けるスペースを新たに確保しなければならず設計上好ましくない。また、テープ印字装置1の部品点数が増加して生産上好ましくない。さらに、ブレード保護部材はブレードの刃先と係合してブレードの運動を阻止するので、ブレードの刃先を傷め、ブレードの切断能力を弱めると共にブレードの寿命を短くするという問題がある。
一方、テープ印字装置1の既存の部品に改良を加えて、カットレバー20の連動に伴う切断刃10の危険性を防止することができれば、スペースを確保する必要も部品点数の増加もないので、設計上も生産上も大変に有効である。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、既存の部品に改良を加えることによって、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、また、切断刃を傷めることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止したテープ印字装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために成された請求項1に係るテープ印字装置は、カセットカバーの開閉に連動して動作位置と待機位置との間を移動するプラテン機構と、動作位置にある前記プラテン機構が搬送したテープをカットする切断刃と、前記切断刃を包囲しつつ摺動自在に保持する保持部材と、前記切断刃を前記保持部材内に後退付勢させる弾性部材と、前記切断刃を押圧して前記保持部材から突出させるカットレバーとを有するテープ印字装置において、前記プラテン機構が待機位置にある際に、前記カットレバーと当接するストッパ部を前記プラテン機構に備え、前記カセットカバーを開けることより前記プラテン機構を待機位置に移動させると、前記切断刃が前記保持部材内に存置されたロックモードに設定されるとともにロックモードが解除される際には前記ストッパ部が前記カットレバーの内部に入り込み、前記プラテン機構は定点を中心として回動するものであって、前記カットレバーが当接する前記ストッパ部の当接面と、そのストッパ部先端と前記定点とを結ぶ直線とのなす角が、ほぼ90度または90度以下であることを特徴とする。
このような構成を有するテープ印字装置において、カセットカバーを閉じてプラテン機構を動作位置に移動させた場合には、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、プラテン機構が搬送したテープをかかる切断刃でカットすることができる。一方、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に移動させた場合には、カットレバーがプラテン機構のストッパ部と当接するので、切断刃を保持部材から突出させるまでカットレバーを作動させることができず、さらに、切断刃は弾性部材で保持部材内に後退付勢されているので、切断刃が保持部材内に存置された状態が維持される。
すなわち、カセットカバーを開けることよりロックモードに設定することができる。かかるロックモードに設定されると、カットレバーを誤って作動させても切断刃が保持部材から突出することはないので、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れても、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテン機構にストッパ部を備えるだけで、カセットカバーの開閉によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止することができる。さらに、切断刃は弾性部材で保持部材内に後退付勢されており、切断刃の刃先に当接することなく、切断刃が保持部材内に存置する状態を維持することができ、その結果、切断刃の刃先を傷めることがないので、切断刃の切断能力を弱めることなく、切断刃の寿命を短くすることもない。
このような構成を有するテープ印字装置においては、カセットカバーを開けると、プラテン機構が定点を中心に回動して動作位置から待機位置に移動する。かかる待機位置にプラテン機構があるときに、カットレバーを作動させれば、カットレバーはプラテン機構のストッパ部と当接することができる。そして、カットレバーが当接する当接面と、ストッパ部先端と前記定点とを結ぶ直線とのなす角がほぼ90度または90度以下になるように、プラテン機構のストッパ部の当接面が設けられているので、かかる当接点に作用するカットレバーの力は、常にプラテン機構を待機位置側へ付勢するか、あるいは、その位置を保持させるように作用し、プラテン機構を動作位置側に回動させることはない。すなわち、カセットカバーを開けることより設定されたロックモードは、カットレバーを作動させることより解除されることはない。
よって、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に回動させた場合には、カットレバーを誤って作動させても切断刃が保持部材から突出することはなく、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れても、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテン機構にかかる当接面をもったストッパ部を備えるだけで、カセットカバーの開閉によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止することができる。
また、請求項2に係るテープ印字装置は、請求項1に記載のテープ印字装置であって、テープ印字装置のテープ装着部に装着されたテープカセットに押圧され、待機位置にある前記プラテン機構を動作位置の方向に偏移させる突起部を前記プラテン機構に備え、前記カセットカバーを開けて前記テープ装着部にテープカセットを装着すると、前記プラテン機構の偏移に伴い前記ストッパ部が追動して、前記ロックモードが解除されることを特徴とする。
このような構成を有するテープ印字装置において、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に移動させた場合に、テープカセットをテープ装着部に装着したときは、待機位置にあるプラテン機構の突起部をテープカセットが押圧し、プラテン機構を待機位置から動作位置の方向に偏移させる。これにより、カットレバーがプラテン機構のストッパ部と当接することはなく、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、かかる切断刃でテープカセットのテープをカットすることができる。
すなわち、カセットカバーを開けてロックモードに設定されても、テープ装着部にテープカセットを装着すればロックモードを解除することができる。このようにロックモードが解除されたときには、テープ装着部にテープカセットが装着されているので、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れることができず、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。言い換えれば、カセットカバーが開いていても、テープ装着部にテープカセットが装着されていれば、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、テープ装着部に装着されたテープカセットのテープを切断することができる。また、既存のプラテン機構に突起部を備えるだけで、カセットカバーを開けることにより設定されたロックモードを、テープ装着部にテープカセットを装着することより解除することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることはない。
また、請求項3に係るテープ印字装置は、請求項2に記載するテープ印字装置であって、前記カセットカバーを閉じることより前記プラテン機構を動作位置に移動させると、前記プラテン機構の突起部とテープカセットとの間に隙間が形成されることを特徴とする。
このような構成を有するテープ印字装置において、カセットカバーを開じてプラテン機構を動作位置に移動させた場合には、テープ装着部に装着されたテープカセットとプラテン機構の突起部との間に隙間が形成されるので、動作位置にあるプラテン機構がテープを搬送する際に受ける反力は、プラテン機構の突起部を介してテープカセットに伝わることがなく、テープカセットを保護することが可能である。また、プラテン機構の突起部を介し、テープカセットでプラテン機構を待機位置から動作位置にまで移動させる必要はなく、プラテン機構を待機位置から動作位置の方向に僅かに移動させれば、かかる隙間を形成させることができるので、テープ装着部にテープカセットを装着する際にテープカセットを押し込むような力を必要としない。
請求項1に係るテープ印字装置において、カセットカバーを閉じてプラテン機構を動作位置に移動させた場合には、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、プラテン機構が搬送したテープをかかる切断刃でカットすることができる。一方、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に移動させた場合には、カットレバーがプラテン機構のストッパ部と当接するので、切断刃を保持部材から突出させるまでカットレバーを作動させることができず、さらに、切断刃は弾性部材で保持部材内に後退付勢されているので、切断刃が保持部材内に存置された状態が維持される。
すなわち、カセットカバーを開けることよりロックモードに設定することができる。かかるロックモードに設定されると、カットレバーを誤って作動させても切断刃が保持部材から突出することはないので、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れても、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテン機構にストッパ部を備えるだけで、カセットカバーの開閉によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止することができる。
また、請求項1に係るテープ印字装置においては、カセットカバーを開けると、プラテン機構が第2定点を中心に回動して動作位置から待機位置に移動する。かかる待機位置にプラテン機構があるときに、カットレバーを作動させれば、カットレバーはプラテン機構のストッパ部と当接することができる。その当接面と、ストッパ部先端と定点とを結ぶ直線とのなす角がほぼ90度または90度以下になるように、プラテン機構のストッパ部の
当接面が設けられているので、かかる当接点に作用するカットレバーの力は、常にプラテン機構を待機位置側へ付勢するか、あるいは、その位置を保持させるように作用し、プラテン機構を動作位置側に回動させることはない。すなわち、カセットカバーを開けることより設定されたロックモードは、カットレバーを作動させることより解除されることはない。
よって、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に回動させた場合には、カットレバーを誤って作動させても切断刃が保持部材から突出することはなく、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れても、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテン機構にかかる当接面をもったストッパ部を備えるだけで、カセットカバーの開閉によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止することができる。
また、請求項2に係るテープ印字装置において、カセットカバーを開けてプラテン機構を待機位置に移動させた場合に、カセットをテープ装着部に装着したときは、待機位置にあるプラテン機構の突起部をテープカセットが押圧し、プラテン機構を待機位置から動作位置の方向に偏移させる。これにより、カットレバーがプラテン機構のストッパ部と当接することはなく、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、かかる切断刃でテープカセットのテープをカットすることができる。
すなわち、カセットカバーを開けてロックモードに設定されても、テープ装着部にテープカセットを装着すればロックモードを解除することができる。このようにロックモードが解除されたときには、テープ装着部にテープカセットが装着されているので、カセットカバーが開いた状態で使用者が保持部材に触れることができず、切断刃で使用者が傷つく危険性はない。言い換えれば、カセットカバーが開いていても、テープ装着部にテープカセットが装着されていれば、カットレバーの作動により切断刃を保持部材から突出させることができるので、テープ装着部に装着されたテープカセットのテープを切断することができる。また、既存のプラテン機構に突起部を備えるだけで、カセットカバーを開けることにより設定されたロックモードを、テープ装着部にテープカセットを装着することより解除することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることはない。
また、請求項3に係るテープ印字装置において、カセットカバーを開じてプラテン機構を動作位置に移動させた場合には、テープ装着部に装着されたテープカセットとプラテン機構の突起部との間に隙間が形成されるので、動作位置にあるプラテン機構がテープを搬送する際に受ける反力は、プラテン機構の突起部を介してテープカセットに伝わることがなく、テープカセットを保護することが可能である。また、プラテン機構の突起部を介し、テープカセットでプラテン機構を待機位置から動作位置にまで移動させる必要はなく、プラテン機構を待機位置から動作位置の方向に僅かに移動させれば、かかる隙間を形成させることができるので、テープ装着部にテープカセットを装着する際にテープカセットを押し込むような力を必要としない。
以上説明した通り、本発明は、既存の部品に改良を加えることによって、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバーの連動に伴う切断刃の危険性を防止したテープ印字装置を提供することができる。また、切断刃の刃先を傷めることもないので、切断刃の切断能力を弱めることなく、切断刃の寿命を短くすることもない。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本発明に係るテープ印字装置は、従来技術の欄で説明したテープ印字装置1のプラテンホルダ8に改良を加えたものである。従って、本発明に係るテープ印字装置の主な概要は、従来技術の欄で説明したテープ印字装置1のものと同じであるので、その詳細な説明は省略する。また、従来技術の欄で使用した図4〜図11の符号は、本欄の説明においても使用するものとする。
本発明のプラテン機構又は作動部材を構成する本実施の形態のプラテンホルダ8には、図3に示すように、ストッパ部12が設けられている。かかるストッパ部12は、カセットカバー2Bを上蓋2Aから取り外してプラテンホルダ8を待機位置に回動させたときに(図3の状態)、その当接面12Aが押下されたカットレバー20の係合面20Aと当接するように、プラテンホルダ8に設けられている。すなわち、カットレバー20がストッ
パ部12に当接すれば、カットレバー20を回動中心Qを中心にプラテンホルダ8側(図3では時計回り)に回動させることはできないので、カットレバー20の押圧片21が保持板32を押圧することができず、保持板32に取り付けられた切断刃10が保持部材30から突出することはない。さらに、切断刃10が取り付けられた保持板32は、戻りばね11で後退付勢されているので、カットレバー20が押下されたか否かに拘らず、図3の状態においては、切断刃10が保持部材30内に存置されたロックモードに設定することができる。
また、図3に示すように、ストッパ部12がカットレバー20と当接する際に(図3の状態)、その当接面12Aとその先端Rと定点Pとを結ぶ直線PRとのなす角αが90度以下になるように、ストッパ部12の当接面12Aが設けられている。すなわち、図3の状態において、カットレバー20を押下してストッパ部12と当接させたときは、カットレバー20からプラテンホルダ8に作用する力は、プラテンホルダ8を定点Pを中心に位置固定部材7側(図3では時計回り)に回動するように作用するので、カットレバー20の押下によりプラテンホルダ8が待機位置から動作位置に回動することはない。
尚、上記角αは、ストッパ部12やカットレバー20の材質、摩擦係数、寸法誤差等により95度以下であっても良い。すなわち、この角αは、カットレバー20がストッパ部12に当接している状態でカットレバー20を押下してもプラテンホルダ8が動作位置に回動しない角度に設定すればよい。
また、プラテンホルダ8には突起部13が設けられている。かかる突起部13は、図2に示すように、テープ装着部にテープカセット4が装着されたときは、テープカセット4に押圧されて、待機位置にあるプラテンホルダ8(図3の状態)を、定点Pを中心にテープカセット4側(図2では反時計回りであって動作位置の方向である)に僅かに回動させる(図2の状態)。このとき、プラテンホルダ8のストッパ部12も追動して位置が変化し、カットレバー20が押下されても、ストッパ部12はカットレバー20の内部(図8参照)に入り込んで当接することはないので、ロックモードは解除される。従って、図2の状態においては、プラテンホルダ8のプラテンローラ8Aの回転によって搬送されたテープカセット4のテープ3を、カットレバー20の押下に伴い保持部材30から突出する切断刃10で切断することができる。
また、図1に示すように、テープ装着部にテープカセット4が装着された後に、カセットカバー2Bを上蓋2Aに取り付け、プラテンホルダ8を動作位置に回動させたときも、同様にして、プラテンホルダ8のストッパ部12も追動して位置が変化し、カットレバー20が押下されても、ストッパ部12はカットレバー20の内部(図8参照)に入り込んで当接することはないので、ロックモードは解除される。従って、図1の状態においては、プラテンホルダ8のプラテンローラ8Aの回転によって搬送されたテープカセット4のテープ3を、カットレバー20の押下に伴い保持部材30から突出する切断刃10で切断することができる。
また、図1の状態においては、プラテンホルダ8の突起部13とテープカセット4との間に隙間Vが形成される。このとき、動作位置にあるプラテンローラ8Aは、テープカセット4のテープ3の一部をサーマルヘッド5に押しつけているので、動作位置にあるプラテンホルダ8には反力が作用するが、隙間Vが形成されることよりテープカセット4にその反力は伝わらない。
以上詳細に説明したように、カセットカバー2Bを取り付けてプラテンホルダ8を動作位置に回動させた場合には(図1参照)、カットレバー20の押下により切断刃10を保持部材30から突出させることができるので、プラテンローラ8Aが搬送したテープ3を
かかる切断刃10でカットすることができる。一方、カセットカバー2Bを取り外してプラテンホルダ8を待機位置に回動させた場合には(図3参照)、カットレバー20がプラテンホルダ8のストッパ部12と当接するので、切断刃10を保持部材30から突出させるまでカットレバー20を押下することができず、さらに、切断刃10は戻りばね11で保持部材30内に後退付勢されているので、切断刃10が保持部材30内に存置された状態が維持される。
すなわち、カセットカバー2Bを取り外すことよりロックモードに設定することができる。かかるロックモードに設定されると、カットレバー20を誤って押下しても切断刃10が保持部材30から突出することはないので、取り外したカセットカバー2Bを介して使用者が保持部材30に触れても、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテンホルダ8にストッパ部12を備えるだけで、カセットカバー2Bの脱着によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバー20の連動に伴う切断刃10の危険性を防止することができる。
また、カセットカバー2Bを取り外すと、プラテンホルダ8が定点Pを中心に回動して動作位置から待機位置に移動する。かかる待機位置にプラテンホルダ8があるときに、回動中心Qを中心に回動するカットレバー20を押下すれば、カットレバー20はプラテンホルダ8のストッパ部12と当接することができる。その当接面12Aと、ストッパ部12の先端Rと定点Pとを結ぶ直線PRとのなす角αがほぼ90度または90度以下になるように、プラテンホルダ8のストッパ部12の当接面12Aが設けられているので、かかる当接点に作用するカットレバー20の力は、常にプラテンホルダ8を待機位置側へ付勢するように作用し、プラテンホルダ8を動作位置側に回動させることはない。すなわち、カセットカバー2Bを取り外すことより設定されたロックモードは、カットレバー20を押下することより解除されることはない。
よって、カセットカバー2Bを取り外してプラテンホルダ8を待機位置に回動させた場合には、カットレバー20を誤って押下しても切断刃10が保持部材30から突出することはなく、取り外したカセットカバー2Bを介して使用者が保持部材30に触れても、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。また、既存のプラテンホルダ8にかかる当接面12Aをもったストッパ部12を備えるだけで、カセットカバー2Bの脱着によりロックモードに設定することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることなく、カットレバー20の連動に伴う切断刃10の危険性を防止することができる。
また、カセットカバー2Bを取り外してプラテンホルダ8を待機位置に回動させた場合に、テープカセット4を上蓋2Aのテープ装着部に装着したときは、待機位置にあるプラテンホルダ8の突起部13をテープカセット4が押圧し、プラテンホルダ8を待機位置から動作位置の方向に偏移させる(図2参照)。これにより、カットレバー20がプラテンホルダ8のストッパ部12と当接することはなく、カットレバー20の押下により切断刃10を保持部材30から突出させることができるので、かかる切断刃10でテープカセット4のテープ3をカットすることができる。
すなわち、カセットカバー2Bを取り外してロックモードに設定されても、上蓋2Aのテープ装着部にテープカセット4を装着すればロックモードを解除することができる。このようにロックモードが解除されたときには、上蓋2Aのテープ装着部にテープカセット4が装着されているので、取り外したカセットカバー2Bを介して使用者が保持部材30に触れることができず、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。言い換えれば、カセットカバー2Bが取り外されていても、上蓋2Aのテープ装着部にテープカセット4が装着されていれば、カットレバー20の押下により切断刃10を保持部材30から突出させ
ることができるので、上蓋2Aのテープ装着部に装着されたテープカセット4のテープ3を切断することができる。また、既存のプラテンホルダ8に突起部13を備えるだけで、カセットカバー2Bを取り外すことにより設定されたロックモードを、上蓋2Aのテープ装着部にテープカセット4を装着することより解除することができるので、新たなスペースを確保したり部品点数を増加させることはない。
また、カセットカバー2Bを取り外してプラテンホルダ8を動作位置に回動させた場合には、上蓋2Aのテープ装着部に装着されたテープカセット4とプラテンホルダ8の突起部13との間に隙間Vが形成されるので、動作位置にあるプラテンローラ8Aがテープ3を搬送する際に受ける反力は、プラテンホルダ8の突起部13を介してテープカセット4に伝わることがなく、テープカセット4を保護することが可能である。また、プラテンホルダ8の突起部13を介し、テープカセット4でプラテンホルダ8を待機位置から動作位置にまで回動させる必要はなく、プラテンホルダ8を待機位置から動作位置の方向に僅かに回動させれば、かかる隙間Vを形成させることができるので、上蓋2Aのテープ装着部にテープカセット4を装着する際にテープカセット4を押し込むような力を必要としない。
また、テープカセット4を上蓋2Aのテープ装着部に装着した場合には、カットレバー20の操作が許容されて切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができるので、サーマルヘッド5が印字したテープ3をかかる切断刃10でカットすることができる。一方、テープカセット4を上蓋2Aのテープ装着部から外した場合には、カットレバー20の操作が規制されるので、切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができない。
すなわち、テープカセット4を上蓋2Aのテープ装着部から外した場合に、カットレバー20を誤って操作させても切断刃10が待機位置から切断位置へ移動することはないので、テープカセット4が上蓋2Aのテープ装着部から外れた状態では、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。また、切断刃10の刃先に当接することなく、切断刃10が待機位置にある状態を維持することができ、その結果、切断刃10の刃先を傷めることがないので、切断刃10の切断能力を弱めることなく、切断刃10の寿命を短くすることもない。
また、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部に装着した場合には、プラテンホルダ8を介して、カットレバー20の操作が許容されて切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができるので、サーマルヘッド5が印字したテープ3をかかる切断刃10でカットすることができる。一方、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部から外した場合には、プラテンホルダ8を介して、カットレバー20の操作が規制されるので、切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができない。
すなわち、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部から外した場合に、カットレバー20を誤って操作させても、プラテンホルダ8を介して、切断刃10が待機位置から切断位置へ移動することはないので、カセットカバー2Bが上蓋2Aのテープ装着部から外れた状態では、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。また、切断刃10の刃先に当接することなく、切断刃10が待機位置にある状態を維持することができ、その結果、切断刃10の刃先を傷めることがないので、切断刃10の切断能力を弱めることなく、切断刃10の寿命を短くすることもない。
また、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部に装着した場合には、カットレバー20の操作が許容されて切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができるので、サーマルヘッド5が印字したテープ3をかかる切断刃10でカットすることができ
る。一方、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部から外した場合には、カットレバー20の操作が規制されるので、切断刃10を待機位置から切断位置へ移動させることができない。
すなわち、カセットカバー2Bを上蓋2Aのテープ装着部から外した場合に、カットレバー20を誤って操作させても切断刃10が待機位置から切断位置へ移動することはないので、カセットカバー2Bが上蓋2Aのテープ装着部から外れた状態では、切断刃10で使用者が傷つく危険性はない。また、切断刃10の刃先に当接することなく、切断刃10が待機位置にある状態を維持することができ、その結果、切断刃10の刃先を傷めることがないので、切断刃10の切断能力を弱めることなく、切断刃10の寿命を短くすることもない。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態のテープ印字装置1のカセットカバー2Bは、上蓋2Aに対して脱着するものであったが、プラテンホルダ8が連動して動作位置と待機位置を移動することができるならば、上蓋2Aに支えられて開閉するものでもよい。