JP4003648B2 - トーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造 - Google Patents
トーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両のサスペンション装置には、操縦性、乗り心地、振動特性等を考慮して種々のものが採用されており、その中の一つにトーションビーム式サスペンションがある。このトーションビーム式サスペンションは、車両の幅方向に間隔を置いて配設される左右一対のトレーリングアームと、車両の幅方向に沿って配設され、これらトレーリングアームを連結するトーションビームとをそれぞれ備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−34623号公報
【0004】
ところで、従来のトーションビーム式サスペンションには、図7および図8に示すようなブレーキ部品51が取付けられており、該ブレーキ部品51には、図示しないパーキングケーブルを取出すため、外方へ突出する凸部52が設けられている。一方、図9および図10に示す如く、トレーリングアーム53の外周部には、パネル状のキャリア54が起立状態で取付けられている。
このキャリア54は、図11に示す如く、所定形状に打ち抜かれたパネル素材54aの左右両側部および中央下部をそれぞれ同方向へほぼ直角に折り曲げることによって形成されており、ブレーキ部品51を取付ける取付面部55と、トレーリングアーム53に固定するアーム溶接部56とを備えている。したがって、キャリア54は、取付面部55の左右両側下部およびアーム溶接部56をトレーリングアーム53の外周部に重ね合わせ、この重ね合わせ部分を溶接によって接合すれば、トレーリングアーム53に取付けられることになる(図9および図10参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造では、ブレーキ部品51に設けられたパーキングケーブル取出用の凸部52や、パーキングケーブル本体(図示せず)との干渉を避けるために、図9に示す如く、キャリア54に切欠き57を設ける必要がある。このような切欠き57がキャリア54に設けられると、本来、トー、キャンバ、面剛性を高めるべきはずのキャリア54の剛性が低下してしまうという不具合が発生することになる。また、キャリア54には、その中央下部に形成したアーム溶接部56が必要となり、歩留まりが悪化するので、部品のコスト高を招くおそれがある。しかも、トレーリングアーム53に対するキャリア54の溶接箇所が増えることになるので、製品の精度も悪化してしまうおそれがあった。
なお、図12に示す如く、ブレーキ部品51には、凸部52の代わりに大きな寸法の平坦部62を突出して設け、当該平坦部62にパーキングケーブル63を取付けると共に、当該平坦部62を利用してキャリア54にブレーキ部品51を取付けることも可能であるが、ブレーキ部品51のホイールセンタ64とキャリア54の取付面部55との距離L2が増加してしまい、これによってブレーキ部品51やキャリア54などに作用するモーメントが大きくなるので、精度や剛性が低下し、設計上あまり好ましくないことが予測される。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ブレーキ部品の凸部やパーキングケーブルとの干渉を避け、トー、キャンバ、面剛性を向上させ、製品の精度向上およびコストダウンを図ることが可能なトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明においては、トレーリングアームに固定されたキャリアにブレーキ部品が取付けられるトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造において、前記キャリアは、前記ブレーキ部品を取付ける取付面部と、該取付面部の両側に設けられる側面部とによって形成されている一方、前記ブレーキ部品のケーブル取出部には凸部が形成され、前記キャリアには前記ブレーキ部品の凸部と対応する凹部が設けられている。
【0008】
また、本発明において、前記キャリアは、前記取付面部の両側で前記側面部を折り曲げることにより対称形状に形成され、前記凹部は、前記取付面部と前記側面部との境界の角部に設けられている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1〜図6は、本発明に係るトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造の実施の形態を示している。本実施形態のトーションビーム式サスペンションは、図1および図2に示す如く、車両の前後方向に沿って延び、かつ幅方向に間隔を置いて配設される左右一対のトレーリングアーム1と、車両の幅方向に沿って配設され、これらトレーリングアーム1を前後方向の中間位置で連結するトーションビーム2とをそれぞれ備え、トレーリングアーム1の外周部内側とトーションビーム2の左右両端とは、溶接によって互いに接合されている。
【0011】
トレーリングアーム1の前端には、車体側に枢支される支持部3が設けられている。また、トーションビーム2の車両後方位置で、左右一対のトレーリングアーム1の車両前後方向の中間部内側には、溶接によって接合されるほぼ水平配置のコイルブラケット4がそれぞれ設けられており、これらコイルブラケット4によって、図示しないコイルスプリングの下端部を支持するようになっている。さらに、トレーリングアーム1の後端には、車両内側へ向かってほぼ水平に延びるショックアブソーバ支持ピン5が取付けられており、該支持ピン5によって図示しないショックアブソーバの下端部を支持するようになっている。
【0012】
また、トレーリングアーム1の後端近傍の外周部には、図1および図2に示す如く、車両外方に臨んで配置するパネル状のキャリア6が起立状態で取付けられている。このキャリア6は、図5に示す如く、所定形状に打ち抜かれたパネル素材6aの所定箇所に大径のアクスルシャフト用挿入穴7と小径の4個の取付穴8を明け、左右両側部をそれぞれ同方向へほぼ直角に折り曲げることによって形成されており、ブレーキ部品9を取付ける中央位置の取付面部10と、該取付面部10の左右両側位置に設けられる側面部11とを備えている。すなわち、キャリア6は、図1〜図4に示す如く、取付面部10の左右両側で側面部11をそれぞれ折り曲げることにより、中央軸線を基準にして左右対称の断面略U字形状に形成されている。
【0013】
一方、ブレーキ部品9は、種々の機能部品を備えたブレーキアセンブリであり、キャリア6を利用して図1に示すトーションビーム式サスペンションに取付けられるものである。このブレーキ部品9には、図6に示す如く、パーキングケーブル12を外方へ取出すための一対の凸部13が設けられている。これら凸部13は、ブレーキ部品9のホイールセンタ14を中心にして両側に隣接配置され、外方へ向かって突出するなだらかな山形に形成されており、隣り合う凸部13の境界部分に位置するホイールセンタ14付近では、内方へ凹んだ谷形に形成されている。なお、パーキングケーブル12は、一方の凸部13から取出されるようになっている。
【0014】
このため、本実施形態のキャリア6には、ブレーキ部品9の凸部13との干渉を避ける構造にすべく、ブレーキ部品9の凸部13と対応する位置に一対の凹部15が設けられている。すなわち、これら凹部15は、図1〜図3、図6に示す如く、取付面部10および側面部11の一部を内方へ向かって凹ませることにより形成されており、取付面部10と側面部11との境界の角部にそれぞれ設けられている。また、凹部15は、ブレーキ部品9の凸部13が入り込める大きさで湾曲形状に形成されている。
【0015】
本発明の実施形態のブレーキ取付構造によってブレーキ部品9を取付けるには、先ず、キャリア6を左右一対のトレーリングアーム1の後端近傍の外周部にそれぞれ固定する。すなわち、所定の形状に形成され、大小径の穴7,8および凹部15が設けられたキャリア6を持ち、左右両側の側面部11の下端をトレーリングアーム1の外周部に重ね合わせ、この重ね合わせ部分を溶接にて接合することにより、キャリア6をトレーリングアーム1に取付ける(図1、図2、図4参照)。
次いで、ブレーキ部品9を持ち、凸部13をキャリア6の取付面部10側に向け、凹部15に入り込ませながら取付面部10に重ね合わせ、スクリュなどを取付穴7に挿入して締付ければ、ブレーキ部品9はキャリア6を介してトレーリングアーム1に取付けられることになる(図6参照)。
【0016】
本発明の実施形態に係るトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造では、トレーリングアーム1に固定されるキャリア6が、ブレーキ部品9を取付ける取付面部10と、該取付面部10の左右両側に設けられる側面部11とによって形成され、かつ当該キャリア6にブレーキ部品9の凸部13と対応する凹部15が設けられているため、凸部13を有するブレーキ部品9をトレーリングアーム1に取付ける場合も、ブレーキ部品9の凸部13をキャリア6の凹部15に入り込ませて当該凸部13やパーキングケーブル12とキャリア6との干渉を避けることが可能になる上、ブレーキ部品9のホイールセンタ14とキャリア6の取付面部10との距離L1を従来の距離L2よりも短くすることができ(図6および図12参照)、ブレーキ部品9やキャリア6などに作用するモーメントを小さくでき、精度や剛性の向上によって好ましい設計を行うことができる。しかも、凹部15の存在によって、アクスルのトー、キャンバ、キャリア6取付面部10の面剛性を向上させることができる。
また、本発明の実施形態のブレーキ取付構造では、トレーリングアーム1に対するキャリア6の溶接箇所が従来の取付構造と比較して削減されているため、組付工数を減らし、製品の精度を向上させることができる。それに加え、本実施形態のキャリア6には、従来例のような切欠きやアーム溶接部を設ける必要がないため、歩留まりが良くなり、部品のコストダウンを図ることができる(図5および図11参照)。
【0017】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0018】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係るトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造は、トレーリングアームに固定されたキャリアにブレーキ部品が取付けられるものにおいて、前記キャリアは、前記ブレーキ部品を取付ける取付面部と、該取付面部の両側に設けられる側面部とによって形成されている一方、前記ブレーキ部品のケーブル取出部には凸部が形成され、前記キャリアには前記ブレーキ部品の凸部と対応する凹部が設けられているので、ブレーキ部品の凸部やパーキングケーブルとの干渉を避け、トー、キャンバ、面剛性を向上させると共に、トレーリングアームに対するキャリアの溶接箇所を従来の取付構造と比べて減らし、製品の精度向上およびコストダウンを図ることができる。
【0019】
また、本発明のブレーキ取付構造において、前記キャリアが前記取付面部の両側で前記側面部を折り曲げることにより対称形状に形成され、前記凹部が前記取付面部と前記側面部との境界の角部に設けられていれば、車両の左右両側で共通のキャリア部品を使用することが可能となり、より一層のコストダウンを期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るトーションビーム式サスペンションを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るトーションビーム式サスペンションにおいて、キャリア付近を示す側面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るキャリアの加工前の展開した状態を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造によって、ブレーキ部品をキャリアに取付けた状態を示す断面図である。
【図7】車両のブレーキ部品を示す正面図である。
【図8】図7におけるC−C線断面図である。
【図9】従来のトーションビーム式サスペンションにおいて、キャリア付近を示す側面図である。
【図10】図9におけるD−D線断面図である。
【図11】従来におけるキャリアの加工前の展開した状態を示す平面図である。
【図12】他の従来におけるトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造によって、ブレーキ部品をキャリアに取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トレーリングアーム
2 トーションビーム
6 キャリア
7 挿入穴
8 取付穴
9 ブレーキ部品
10 取付面部
11 側面部
12 パーキングケーブル
13 凸部
14 ホイールセンタ
15 凹部
Claims (2)
- トレーリングアームに固定されたキャリアにブレーキ部品が取付けられるトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造において、前記キャリアは、前記ブレーキ部品を取付ける取付面部と、該取付面部の両側に設けられる側面部とによって形成されている一方、前記ブレーキ部品のケーブル取出部には凸部が形成され、前記キャリアには前記ブレーキ部品の凸部と対応する凹部が設けられていることを特徴とするトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造。
- 前記キャリアは、前記取付面部の両側で前記側面部を折り曲げることにより対称形状に形成され、前記凹部は、前記取付面部と前記側面部との境界の角部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両のトーションビーム式サスペンションのブレーキ取付構造。
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