JP4003305B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドライエッチング等のプラズマ処理方法に関し、特に高周波誘電方式のプラズマ処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子や液晶駆動用素子の微細化に対応して、ドライエッチング技術においては高アスペクト比の加工を実現するために、またプラズマCVD技術においては高アスペクト比の埋め込みを実現するために、より高真空でプラズマ処理を行うことが求められている。
【0003】
例えば、ドライエッチングの場合においては、高真空において高密度プラズマを発生すると、被処理基板表面に形成されるイオンシース中でイオンが中性ガス粒子等と衝突する確率が小さくなるために、イオンの方向性が被処理基板に向かって揃い、また電離度が高いために被処理基板に達するイオン対中性ラジカルの入射粒子束の比が大きくなる。したがって、エッチング異方性が高められ、高アスペクト比の加工が可能となる。
【0004】
高真空において高密度プラズマを発生させることができるプラズマ処理装置の1つとして、コイルまたはアンテナに高周波電圧を印加することによって真空容器内に電磁波を導入し、プラズマを発生させる高周波誘電方式のプラズマ処理装置がある。この方式のプラズマ処理装置は真空容器内に高周波磁界を発生させ、その高周波磁界によって真空容器内に誘導磁界を発生させて電子の加速を行い、プラズマを発生させるもので、コイル電流を大きくすれば高真空においても高密度プラズマを発生することができ、十分な処理速度を得ることができる。
【0005】
高周波誘導方式のプラズマ処理装置の一例を図5に示す。図5において、真空容器1内に適当なガスを導入しつつ排気を行い、真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源2により高周波電圧を、コイル(またはアンテナ)4に印加すると、真空容器1内にプラズマが発生し、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、図5に示すように、電極5にも電極用高周波電源7により高周波電圧を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示した従来の方式では、処理を重ねていくにつれて、誘電板3に反応生成物が大量に堆積することがある。誘電板3を加熱することにより反応生成物の堆積を低減し、メンテナンスサイクルを伸ばす方法などが実施されているが、やはり頻繁に誘電板3のメンテナンスを行う必要があり、大きく重い且つ壊れやすい誘電板3を取り外し、洗浄する作業は容易ではない。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、誘電板への反応生成物の付着を低減し、誘電板のメンテナンスを容易にすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
願発明のプラズマ処理方法は高周波電源によりコイルまたはアンテナに高周波電圧を印加することにより、第1誘電板を介して真空容器内に電磁波を導入することによってプラズマを発生させ、電極上に載置された基板を処理するプラズマ処理方法において、前記第1誘電板と前記電極との間に第2誘電板を有すると共に、前記真空容器内を大気圧から排気する際は、前記真空容器内の前記電極に対向する内壁面から前記第2誘電板を離す一方、前記真空容器内を処理圧力以下に排気した後は、前記第2誘電板を前記内壁面まで移動させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、高周波電源によりコイルまたはアンテナに高周波電圧を印加することにより、第1誘電板を介して真空容器内に電磁波を導入することによってプラズマを発生させ、電極上に載置された基板を処理するプラズマ処理方法において、前記第1誘電板と前記電極との間に第2誘電板を有すると共に、前記真空容器内を大気圧から排気する際は、前記真空容器内の前記電極に対向する内壁面から前記第2誘電板を離す一方、前記真空容器内を処理圧力以下に排気した後は、前記第2誘電板を前記内壁面まで移動させることから、第2誘電板で分割された2つ以上の空間に生じる圧力差によって、第2誘電板が破壊されるのを防止する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施例1において用いたプラズマ処理装置の断面図を示す。図1において、真空容器1内に適当なガスを導入しつつ排気を行い、真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源2により高周波電圧を、コイル(またはアンテナ)4に印加すると、真空容器1内にプラズマが発生し、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、図1に示すように、電極5にも電極用高周波電源7により高周波電圧を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御することができる。なお、3は石英ガラスよりなる誘電板である。またこのとき、誘電板3と被処理基板6の間に設置された誘電板8により、放電空間9と誘電板3は分離され、反応生成物が誘電板3に付着するのを防止することができる。なお、放電空間側に配置された石英ガラスよりなる誘電板8は、その支持機構10の脱着により、瞬時に脱着することが可能で、反応生成物の堆積で使用できなくなった古い誘電板8は、極めて短い時間で新しい第2誘電板と交換が可能である。なお、誘電板8の裏面は中心線平均粗さ(Ra)50ミクロン以上であることが望ましい。
【0023】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施例2において用いたプラズマ処理装置の断面図を示す。図2において、真空容器1内に適当なガスを導入しつつ排気を行い、真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源2により高周波電圧を、コイル(またはアンテナ)4に印加すると、真空容器1内にプラズマが発生し、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、図2に示すように、電極5にも電極用高周波電源7により高周波電圧を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御することができる。なお、3は石英ガラスよりなる誘電板である。また、このとき、誘電板3と被処理基板6の間に設置された石英ガラスよりなる誘電板8により、放電空間9と誘電板3は分離され、反応生成物が誘電板3に付着するのを防止することができる。以上の構成は実施の形態1に記載のものと同じであるが、本実施形態においては誘電板8は、粘着剤11により誘電板3と接着されている点が実施形態1とは異なる。本実施形態においては、接着力の弱い粘着剤11を用いることにより、誘電板8を比較的簡単に剥離することが可能で、反応生成物の堆積で使用できなくなった誘電板8は、短い時間で新しい誘電板8と交換が可能である。
【0024】
なお、本形態においては、誘電板3と誘電板8は粘着剤11により接着されているため、真空容器1内を大気圧から排気する際に、誘電板8により分割された2つの空間に生じる圧力差によって、誘電板8が破壊するのを防止することができるという実施の形態1にはない効果を有する。
【0025】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施例3において用いたプラズマ処理装置の断面図を示す。図3において、真空容器1内に適当なガスを導入しつつ排気を行い、真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源2により高周波電圧を、コイル(またはアンテナ)4に印加すると、真空容器1内にプラズマが発生し、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、図3に示すように、電極5にも電極用高周波電源7により高周波電圧を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御することができる。なお、3は石英ガラスよりなる誘電板である。また、このとき、誘電板3と被処理基板6の間に設置された石英ガラスよりなる誘電板8により、放電空間9と誘電板3は分離され、反応生成物が誘電板3に付着するのを防止することができる。なお、誘電板8は、瞬時に脱着することが可能で、反応生成物の堆積で使用できなくなった誘電板8は、極めて短い時間で新しい誘電板8と交換が可能である。以上の構成は実施形態1、2と同じ構成である。本実施形態が実施形態1、2と異なる点は、誘電板8を昇降または移動させるための機構12が設けられている点である。本実施形態においては真空容器1内を大気圧から排気する際には、誘電板3と第2誘電板8を分離し、Aの位置に移動させ、処理圧力以下に排気した後に、第2誘電板8を所定の位置(Bの位置)へ移動させることができる。上記機構12により、真空容器1内を大気圧から排気する際に、AとBのすき間から誘電板3、8の間も真空引きされ第2電板8により分割された2つの空間に生じる圧力差によって、第2誘電板8が破壊するのを防止することができる。
【0026】
(実施の形態4)
図4は本発明の実施例4において用いたプラズマ処理装置の断面図を示す。図4において、誘電板8を石英ガラスよりなる誘電板3と被処理基板6の間に設置し、真空容器1内に適当なガスを導入しつつ排気を行い、真空容器1内を適当な圧力に保ちながら、コイルまたはアンテナ用高周波電源2により高周波電圧を、コイルまたはアンテナ4に印加すると、真空容器1内にプラズマが発生し、電極5上に載置された被処理基板6に対してエッチング、堆積、表面改質等のプラズマ処理を行うことができる。このとき、図4に示すように、電極5にも電極用高周波電源7により高周波電圧を印加することで、被処理基板6に到達するイオンエネルギーを制御することができる。またこのとき、第1誘電板3と被処理基板6の間に設置された石英ガラスよりなる誘電板8により、放電空間9と第1誘電板3は分離され、反応生成物が第1誘電板に付着するのを防止することができる。なお、第2誘電板8は、その支持機構10の脱着により、瞬時に脱着することが可能で、反応生成物の堆積で使用できなくなった第2誘電板8は、極めて短い時間で新しい第2誘電板8と交換が可能である。以上の構成は実施の形態1〜3と同様であるが、本実施形態においては、誘電板3と誘電板8の間に空間を設け、その空間を排気するためのバルブ13または開口14が設けられている点が実施形態1〜3の構成とは異なる。この構成により、真空容器1内を大気圧から排気する前または排気すると同時に、バルブ13または開口14を通して、誘電板3と誘電板8の間の空間を排気することにより、誘電板8が破壊するのを防止することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本願発明のプラズマ処理方法によれば、高周波電源によりコイルまたはアンテナに高周波電圧を印加することにより、第1誘電板を介して真空容器内に電磁波を導入することによってプラズマを発生させ、電極上に載置された基板を処理するプラズマ処理方法において、前記第1誘電板と前記電極との間に第2誘電板を有すると共に、前記真空容器内を大気圧から排気する際は、前記真空容器内の前記電極に対向する内壁面から前記第2誘電板を離す一方、前記真空容器内を処理圧力以下に排気した後は、前記第2誘電板を前記内壁面まで移動させることから、第2誘電板で分割された2つ以上の空間に生じる圧力差によって、第2誘電板が破壊されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す断面図
【図2】本発明の第2実施例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す断面図
【図3】本発明の第3実施例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す断面図
【図4】本発明の第4実施例で用いたプラズマ処理装置の構成を示す断面図
【図5】従来例のプラズマ処理装置概略構成を示す断面図
【符号の説明】
1 真空容器
2 コイルまたはアンテナ用高周波電源
3 第1誘電板
4 コイルまたはアンテナ
5 電極
6 被処理基板
7 電極用高周波電源
8 第2誘電板
9 放電空間
10 第2誘電板支持機構
11 接着剤
12 昇降または移動機構
13 バルブ
14 開口
15 排気ポンプ

Claims (1)

  1. 高周波電源によりコイルまたはアンテナに高周波電圧を印加することにより、第1誘電板を介して真空容器内に電磁波を導入することによってプラズマを発生させ、電極上に載置された基板を処理するプラズマ処理方法において、
    前記第1誘電板と前記電極との間に第2誘電板を有すると共に、前記真空容器内を大気圧から排気する際は、前記真空容器内の前記電極に対向する内壁面から前記第2誘電板を離す一方、前記真空容器内を処理圧力以下に排気した後は、前記第2誘電板を前記内壁面まで移動させること
    を特徴とするプラズマ処理方法。
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