JP4003227B2 - ポリウレタンエラストマー成型物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度が高くて耐摩耗性に優れたポリウレタンエラストマー成型物に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性が要求される産業機器の部品として、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの成型物が好適に使用されている。
熱硬化性ポリウレタンエラストマーの成型物は、イソシアネート成分からなる主剤と、活性水素成分からなる硬化剤とを、注型機のミキシングヘッドで混合し、得られた混合液を型に注入し、この型内で当該混合液を加熱硬化(ウレタン化反応)させることにより製造することができる。
ここに、熱硬化性ポリウレタンエラストマーを形成するためのイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好適に用いられ、活性水素成分としては、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物が好適に用いられている。
【0003】
然るに、上記のようにして得られる成型物は、十分な機械的強度(引張強度,引裂強度)および耐摩耗性を有するものではないことから、これを産業機器の部品として使用すると、比較的短期間で、当該部品の破断、亀裂、摩耗などによる欠損が発生し、当該部品の交換が必要となる。
特に、産業機器の部品に付与される負荷(破断、亀裂、欠損などの発生原因)が最近において大幅に増大していることから、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる成型物では対応できなくなっているのが現状である。
【0004】
成型物における機械的強度(引張強度,引裂強度)の不足を補うために、当該成型物を構成するポリウレタンエラストマーにおけるハードセグメントの割合を増加させることによって、当該成型物の硬度を高く設定することも考えられる。
しかしながら、成型物の硬度を高くすると、産業機器の構成部品に要求される弾性(柔軟性)を具備することができず、また、高い硬度の成型物を構成部品として搭載するためには、産業機器の設計変更が必要となり、現実的ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物と同等の硬度を有し、かつ、従来公知の成型物よりも機械的強度が高く、耐摩耗性に優れたポリウレタンエラストマー成型物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、産業機器の部品として好適に使用することのできる、耐久性に優れたポリウレタンエラストマー成型物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ジフェニルメタンジイソシアネートをアジペート系ポリエステルポリオールにより変性して得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環含有変性体とを特定の割合で混合してウレタンプレポリマー組成物を調製し、当該ウレタンプレポリマー組成物中に特定の割合で存在しているNCO基と、水酸基含有化合物の有する当該水酸基とをウレタン化反応させることにより、従来公知のものと同等の硬度を有するものでありながら、機械的強度と耐摩耗性とが格段に向上されたポリウレタンエラストマー成型物が得られることを見出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0007】
請求項1に係るポリウレタンエラストマー成型物は、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」という。)(A1)とアジペート系ポリエステルポリオール(B1)とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、「特定のNCO基末端ウレタンプレポリマー」という。)100質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」という。)のイソシアヌレート環含有変性体(以下、「HDIイソシアヌレート環含有変性体」という。)(A2)2〜30質量部とが混合されてなり、NCO含量が6.0〜17.0質量%であるウレタンプレポリマー組成物からなる主剤(A)と;少なくとも1種の水酸基含有化合物を含有する硬化剤(B)との混合液を型内で熱硬化させて得られる、温度23℃、相対湿度60%の恒温恒湿環境下でJIS−A型硬さ計により測定される硬度が60〜80°であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係るポリウレタンエラストマー成型物は、摺動部品として用いられることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ウレタンプレポリマー組成物>
本発明のウレタンプレポリマー組成物は、熱硬化性のポリウレタンエラストマー(エラストマー成型物)を形成するための主剤として使用される。
本発明のウレタンプレポリマー組成物は、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーと、HDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)とが混合されてなる。
本発明のウレタンプレポリマー組成物中には、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーを得るために使用したMDI(A1)が含有されていてもよい。
【0012】
(1)特定のNCO基末端ウレタンプレポリマー:
本発明のウレタンプレポリマー組成物を構成する特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーは、MDI(A1)と、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)との反応生成物である。
特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーを得るために使用するアジペート系ポリエステルポリオール(B1)としては、短鎖ジオールとアジピン酸とを重縮合させることにより得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
ここに、短鎖ジオールとしては、エチレングリコール(EG)、1,2プロピレングリコール(1,2PG)、1,3プロピレングリコール(1,3PG)、1,3ブタンジオール(1,3BD)、1,4ブタンジオール(1,4BD)、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,6ヘキサメチレングリコール(1,6HG)などを例示することができ、これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせてコアジペート系ポリエステルポリオールを合成することができる。
アジペート系ポリエステルポリオール(B1)の数平均分子量としては500〜5,000であることが好ましく、更に好ましくは1,000〜3,000とされる。
【0013】
特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーは、MDI(A1)と、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)とを、所定のNCO含量を有するNCO基末端ウレタンプレポリマーになるように計算した割合で仕込み、この系を、温度50〜100℃で1〜5時間反応させることにより調製することができる。
特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーにおけるNCO含量は2.0〜20.0質量%であることが好ましい。
【0014】
(2)HDIイソシアヌレート環含有変性体:
本発明のウレタンプレポリマー組成物を構成するHDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)は、触媒および必要に応じて併用される助触媒の存在下、HDIのイソシアヌレート化反応を行うことによって調製することができる。
イソシアヌレート化反応のための触媒としては、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、並びに、これらの分岐脂肪酸のカリウム塩およびナトリウム塩を挙げることができる。触媒の使用量は、HDIに対して0.001〜0.25質量%とされる。
触媒と併用することのできる助触媒としては、フェノール性ヒドロキシ化合物(フェノール、クレゾール等)、アルコール性ヒドロキシ化合物(エタノール、シクロヘキサノール等)および第3級アミン(トリエチルアミン、メチルピペリジン等)類を用いることができる。この助触媒によって反応は容易に進行する。助触媒の使用量は、HDIに対して0.01〜0.2質量%とされる。
また、イソシアヌレート化反応の停止剤を使用することもできる。かかる停止剤としては、リン酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸メチルなどを例示することができる。停止剤の使用量は、触媒当量の0.5〜5.0倍とされる。
イソシアヌレート化反応の反応条件としては、50〜100℃で3〜7時間とされる。反応生成物中に含有されている未反応のHDIは、例えば薄膜蒸留などで除去することができる。
【0015】
(3)ウレタンプレポリマー組成物の調製方法:
本発明のウレタンプレポリマー組成物は、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、HDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)を2〜30質量部の割合で混合することにより調製される。
【0016】
特定のNCO基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対するHDIイソシアヌレート環含有変性体の混合割合が2質量部未満であると、最終的に得られるポリウレタンエラストマー成型物に対し、機械的強度および耐摩耗性の向上効果を十分に付与することができない。他方、この混合割合が30質量部を超えると、イソシアヌレート環の増加に伴って架橋密度が過大となり、最終的に得られるポリウレタンエラストマー成型物の引裂強度が著しく低下する。
【0017】
(4)ウレタンプレポリマー組成物のNCO含量:
本発明のウレタンプレポリマー組成物のNCO含量は6.0〜17.0質量%とされる。
NCO含量が6.0質量%未満であるウレタンプレポリマー組成物は、粘度が過大となり、これを含有するエラストマー形成用組成物(硬化剤との混合液)の注型時において、当該組成物の流動性が著しく低下して脱泡不良および成型不良を招来する。他方、NCO含量が17.0質量%を超えるウレタンプレポリマー組成物は、保存時および使用時において性状安定性が著しく低下して成型不良を招来する。ウレタンプレポリマー組成物のNCO含量が6.0〜17.0質量%であることにより、産業機器の部品として好適な成型物を得ることができる。
【0018】
本発明のウレタンプレポリマー組成物においては、HDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)を、NCO基末端ウレタンプレポリマーの形成用成分として使用することなく、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーとともに、ウレタンプレポリマー組成物の構成成分として含有させている点に特徴を有するものである。これにより、本発明のウレタンプレポリマー組成物は、エラストマー成型物を形成するための主剤として好適な性状(均質性)を有するものとなる。
MDI(A1)とHDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)とを混合後、当該混合物とアジベート系ポリエステルポリオール(B1)とを反応させることにより得られるNCO基末端プレポリマー中には、部分的なゲル化物が生成され、当該NCO基末端プレポリマーを、エラストマー成型物を形成するための主剤として使用することはできない。
【0019】
<ウレタンエラストマー形成用製品>
本発明のウレタンエラストマー形成用製品は、熱硬化性のポリウレタンエラストマー(エラストマー成型物)を形成するために使用される注型用の製品であり、本発明のウレタンプレポリマー組成物からなる主剤(A)と、少なくとも1種の水酸基含有化合物を含有する硬化剤(B)との2液により構成される。
【0020】
本発明のウレタンエラストマー形成用製品を構成する硬化剤(B)には、数平均分子量が300以下の短鎖ジオール(B2)と、数平均分子量が500以下の短鎖トリオール(B3)とが水酸基含有化合物として用いられていることが好ましい。
【0021】
硬化剤(B)を構成する数平均分子量が300以下の短鎖ジオール(B2)としては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,4ブタンジオール(1,4BD)、1,3ブタンジオール(1,3BD)、1,6ヘキサングリコール(1,6HG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、水素添加ビスフェノールAなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、1,4BDが特に好ましい。
【0022】
硬化剤(B)を構成する数平均分子量が500以下の短鎖トリオール(B3)としては、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、ヘキサントリオールなどをを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、TMPが特に好ましい。
【0023】
更に、セミワンショット処方として、前記短鎖ジオール(B2)および前記短鎖トリオール(B3)とともに、長鎖のポリオールを用いて硬化剤(B)を構成してもよい。
硬化剤(B)を構成する長鎖のポリオールとしては、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーの合成に供したアジペート系ポリエステルポリオール(B1)が好ましい。
【0024】
硬化剤(B)において、短鎖ジオール(B2)と短鎖トリオール(B3)との質量比率は、通常50/50〜90/10とされる。
また、短鎖ジオール(B2)および短鎖トリオール(B3)の総量と、長鎖のポリオールとの質量比率は、通常100/0〜5/95とされる。
【0025】
<ポリウレタンエラストマー成型物および製造方法>
本発明のポリウレタンエラストマー成型物は、本発明のウレタンプレポリマー組成物からなる前記主剤(A)と、前記硬化剤(B)との混合液を型内で熱硬化させることにより得られる。
本発明の製造方法は、前記主剤(A)と前記硬化剤(B)とを混合する工程と、得られた混合液を型に注入する工程と、当該混合液を型内で加熱することにより硬化させる工程とを含む。
【0026】
以下、本発明の製造方法の具体的な工程について説明する。
(1)混合工程:
この工程では、予め40〜80℃程度に保温しておいた主剤(A)と硬化剤(B)とを均一に混合し、得られる混合液を脱気処理して、混合時に巻き込まれた空気(気泡)を除去する。
主剤(A)と硬化剤(B)との混合割合としては、NCO基/水酸基のモル比が1.0〜1.2となる割合であることが好ましい。
また、主剤(A)および硬化剤(B)とともに、必要に応じて、ウレタン化触媒および添加剤を混合してもよい。
ここに、ウレタン化触媒としては、特に限定されるものではなく、従来公知の金属系触媒(例えばジブチルチンジラウレート)、アミン系触媒(例えばトリエチレンジアミン)などを挙げることができる。
また、添加剤としては、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、反応調節剤などを挙げることができる。
混合方法としては、注型機のミキシングヘッドによる混合方法を挙げることができる。
【0027】
(2)注型工程:
この工程では、主剤(A)と、硬化剤(B)との混合液を型に注入する。
混合液が注入される型は、40〜200℃程度に予熱されていることが好ましい。
(3)硬化工程:
この工程では、型内に注入された混合液をで加熱することにより、ウレタン化反応を行って硬化させる。
反応条件としては、温度60〜200℃で1〜120分間とされる。
(4)脱型工程:
この工程では、硬化により得られた成型物を型から取り出す。
【0028】
このようにして得られる成型物(本発明のポリウレタンエラストマー成型物)の硬度としては、温度23℃、相対湿度60%の恒温恒湿環境下でのJIS−A型硬さ計による測定値が60〜80°とされ、この値は、産業機器の部品として使用されている従来公知のポリウレタンエラストマー成型物の硬度と同等である。
また、後述する実施例の結果からも明らかなように、本発明に係る成型物は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物と同等の硬度を有するものでありながら、従来公知の成型物よりも機械的強度(引張強度および引裂強度)が高く、耐摩耗性に優れている。
【0029】
本発明に係る成型物は、本発明のウレタンプレポリマー組成物〔主剤(A)〕を使用することに起因する優れた特性を有するものであるから、弾性(柔軟性)が要求される産業機器の部品として好適に使用することができ、本発明に係る成型物を使用することにより、当該部品の耐久性を格段に向上させることができる。
しかも、本発明に係る成型物の硬度が、従来公知の成型物の硬度と同等であるので、産業機器自体の設計変更などを行う必要はない。
【0030】
本発明に係る成型物は、自動車のグラスラン、ロータリまたはらせん状の固体搬送装置、ベルトコンベアなどの搬送装置などに用いられて、大型の物体や粉状もしくは粒状の物体などと接触しながら動く摺動部品の用途に特に好適であり、従来公知の成型物では対応することのできない負荷の増大に対しても、十分に対応することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は、それぞれ、「質量部」および「質量%」を意味するものとする。
【0032】
〔合成例1(HDIイソシアヌレート環含有変性体の合成)〕
温度計、攪拌機、窒素シール管を備えた500mlのセパラブルフラスコに、HDIを300部仕込み、次いで、カプリン酸カリウム(触媒)0.05部と、フェノール(助触媒)0.3部とを添加し、この系を60℃に加熱してイソシアヌレート化反応を行った。4.5時間経過後、この系にリン酸(反応停止剤)0.042部を添加し、60℃で1時間にわたって停止反応を行った。次いで、得られた反応溶液から、薄膜蒸留によって未反応のHDIを除去することにより、NCO含量が22.0%であるHDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)を調製した。
【0033】
<実施例1〜5>
下記表1に示す処方に従って、MDI(A1)と、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)とを混合し、この系を75℃で3時間にわたり加熱して反応させることにより特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーを合成し、この反応生成物に、合成例1で得られたHDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)をブレンドすることにより、本発明のウレタンプレポリマー組成物(A)を調製した。
得られたウレタンプレポリマー組成物(A)の各々について、NCO含量を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0034】
他方、下記表1に示す処方に従って、1,4BD、TMP及びトリエチレンジアミン(ウレタン化触媒)を混合し、実施例3〜4にあっては、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)を更に混合することにより、触媒入りの硬化剤(B)を調製した。
次いで、下記表1に示す混合割合(質量比)に従って、ウレタンプレポリマー組成物(A)の各々と、触媒入りの硬化剤(B)の各々とを、1分間ほど均一に混合し、混合時に発生した巻き込みエアーを真空脱気によって直ちに除去した。
このようにして得られた混合液(エラストマー形成用組成物)の各々を、130℃に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、当該混合液を130℃で1時間にわたり加熱硬化させ、得られたポリウレタンエラストマー成型物を金型から取り出した。
【0035】
<比較例1〜3>
下記表1に示す処方に従って、MDI(A1)と、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)とを混合し、この系を75℃で3時間にわたり加熱して反応させることにより特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
得られた特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーの各々について、NCO含量を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0036】
他方、下記表1に示す処方に従って、1,4BD、TMP及びトリエチレンジアミン(ウレタン化触媒)を混合し、比較例3にあっては、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)を更に混合することにより、触媒入りの硬化剤(B)を調製した。
次いで、下記表1に示す混合割合(質量比)に従って、特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーの各々と、触媒入りの硬化剤(B)の各々とを、1分間ほど均一に混合し、混合時に発生した巻き込みエアーを真空脱気によって直ちに除去した。
このようにして得られた混合液(エラストマー形成用組成物)の各々を、130℃に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、当該混合液を130℃で1時間にわたり加熱硬化させ、得られたポリウレタンエラストマー成型物を金型から取り出した。
【0037】
<比較例4>
下記表1に示す処方に従って、MDI(A1)41.6部と、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)58.4部とを混合し、この系を75℃で3時間にわたり加熱して反応させることにより特定のNCO基末端ウレタンプレポリマーを合成し、この反応生成物に、合成例1で得られたHDIイソシアヌレート環含有変性体(A2)50.0部をブレンドすることにより、ウレタンプレポリマー組成物を調製した。このウレタンプレポリマー組成物は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対するHDIイソシアヌレート環含有変性体の割合が過大である比較用の組成物である。
このウレタンプレポリマー組成物について、NCO含量を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0038】
他方、下記表1に示す処方に従って、1,4BDを9.5部、TMPを1.0部、トリエチレンジアミン(ウレタン化触媒)を0.02部、及びアジペート系ポリエステルポリオール(B1)を88.5部混合することにより、触媒入りの硬化剤(B)を調製した。
次いで、下記表1に示す混合割合(質量比)に従って、ウレタンプレポリマー組成物と、触媒入りの硬化剤(B)とを1分間ほど均一に混合し、混合時に発生した巻き込みエアーを真空脱気によって直ちに除去した。
このようにして得られた混合液(エラストマー形成用組成物)を、130℃に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、当該混合液を130℃で1時間にわたり加熱硬化させ、得られたポリウレタンエラストマー成型物を金型から取り出した。
【0039】
<比較例5>
下記表1に示す処方に従って、MDI(A1)23.6部と、HDIイソシアヌレート環含有変性体15.0部とを混合してなる混合物に、アジペート系ポリエステルポリオール(B1)76.4部を添加混合し、この系を75℃で3時間にわたり加熱して反応させることによりNCO基末端ウレタンプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマーについて、NCO含量を測定した。結果を表1に併せて示す。
得られたNCO基末端ウレタンプレポリマーには、肉眼で確認できるサイズのゲル化物が多数浮遊しており、不均質なものであったため、硬化剤との混合操作および注型硬化を実施しなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において、『PEA−2000』は、EGとアジピン酸とを重縮合して得られる数平均分子量が2,000のポリエステルジオールであり、『PBA−2000』は、1,4BDとアジピン酸とを重縮合して得られる数平均分子量が2,000のポリエステルジオールであり、『PHA−2000』は、1,6HGとアジピン酸とを重縮合して得られる数平均分子量が2,000のポリエステルジオールである。
【0042】
<成型物の評価>
実施例1〜5および比較例1〜4により得られたポリウレタンエラストマー成型物の各々について、硬度(JIS−A型硬さ計による)、引張強度および引裂強度をJIS K 7312に準拠して測定した。また、ポリウレタンエラストマー成型物の各々について、テーバー摩耗試験による摩耗量をJIS K 6264に準拠して測定した〔荷重=9.8N(1000gf),回数=1000〕。
なお、これらの測定は、温度23℃、相対湿度60%の恒温恒湿環境下で実施した。これらの結果を下記表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
本発明に係る成型物は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物と同等の硬度を有するものでありながら、従来公知のポリウレタンエラストマー成型物よりも機械的強度(引張強度・引裂強度)が格段に高く、耐摩耗性にも優れている。
本発明に係る成型物は、弾性(柔軟性)が要求される産業機器の構成部品として好適に使用することができ、本発明に係る成型物を使用することにより、当該部品の耐久性を格段に向上させることができる。しかも、本発明に係る成型物の硬度が、従来公知の成型物の硬度と同等であるので、産業機器自体の設計変更などを行う必要はない。
本発明に係る成型物を産業機器の部品として使用することにより、従来公知の成型物では対応することのできない負荷に対しても十分に対応することができる。
Claims (2)
- ジフェニルメタンジイソシアネート(A1)とアジペート系ポリエステルポリオール(B1)とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー100質量部と、
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環含有変性体(A2)2〜30質量部とが混合されてなり、
NCO含量が6.0〜17.0質量%であるウレタンプレポリマー組成物からなる主剤(A)と;
少なくとも1種の水酸基含有化合物を含有する硬化剤(B)と
の混合液を型内で熱硬化させて得られる、温度23℃、相対湿度60%の恒温恒湿環境下でJIS−A型硬さ計により測定される硬度が60〜80°であることを特徴とするポリウレタンエラストマー成型物。 - 摺動部品として用いられる請求項1に記載のポリウレタンエラストマー成型物。
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