JP4002735B2 - 光量制御装置および電磁駆動装置 - Google Patents

光量制御装置および電磁駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ビデオカメラ、スチールカメラなど各種カメラ装置等の光学機器に装備されて使用される光量制御装置および光量制御装置に用いられる電磁駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にこの種の光量制御装置は、適切な撮影光量や露光時間を得るために、光学機器の撮影レンズ部に組み込まれて使用されている。
【0003】
CCD等の撮像素子を搭載したカメラの場合、カメラ本体の電源を切った時、シャッター羽根は撮像素子の保護のために撮影光路を閉じた状態で保持されなくてはならない。しかし、カメラ本体の電源が投入され撮影をする時以外には、被写体をモニタ装置に映し出すために、シャッターは撮影光路を開いた状態で保持されなくてはならない。また、近年、特にさほどの機能を要求されない低価格のスチールカメラなどでは、1枚の絞り羽根だけを使用し、その絞り羽根の有無により開口度を非連続の大小2種類に限定したものが用いられている。この場合、絞り羽根は光量に応じて撮影光路の径を絞った状態または全開状態で保持されるようになっている。そしてこれらのいずれの保持は省電力のために、電力が供給されない、いわゆる非通電状態でこれらは行われる必要がある。
【0004】
従来このような必要性に応じて種々の方法が提案されており、その代表的なものとして、特開平10−221740号公報がある。この方法では、コイルに通電すると回転する磁石の回転力で羽根部材を駆動させて撮影光路の遮蔽と絞りを行っている。そして、磁石と一体で羽根部材と係合する出力ピンの駆動範囲を規制する強磁性材から成るピンを駆動範囲の両端にかつヨークと磁石の間に設置し、出力ピンと強磁性材のピン間に発生する磁気的な吸引力を利用して、非通電状態で光路の開閉保持および開口度保持をするようにしている。
【0005】
しかしこの方法では、部品数が増加し組立工程数もかかりコストアップとなることから問題となっていた。また近年、カメラの小型化に伴い光量制御装置および電磁駆動装置の小型化も要求され、許容スペースの問題から例えば直径が約5mmのヨーク等も使用されている。この様に小型のヨークを用いなければならない場合、上記した従来の方法では2個の強磁性体ピンを設置すること自体も困難で、また強磁性体ピンの設置位置がばらつくため安定した製品の供給が困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、部品数の増大を招くことなく組立工程数の少ない安価な光量制御装置および電磁駆動装置の提供を課題とし、さらに非通電状態で光路の開閉保持および開口度保持ができ、その保持状態のばらつきを低減する小型の光量制御装置の提供を課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を特徴としている。
まず、本発明の電磁駆動装置は、NS2極に着磁され回転軸を中心に往復回転可能な円柱状の磁石と、前記磁石を内蔵し回動自在に支持する上下に2分割されたコイル枠と、前記コイル枠の外周で、しかも前記磁石のNS2極の着磁方向に平行に巻回され、その磁石に回転力を付与する励磁用のコイルと、前記コイルが巻回された前記コイル枠の外周に設置される磁性材から成る円筒状のヨークと、前記磁石に設けられその磁石の回転で右端から左端の間を往復動する駆動伝達手段と、を備えた電磁駆動装置において、前記ヨークは、前記磁石のNS2極の作動範囲外に、前記磁石と前記ヨーク間の距離が最も小さくなる接近部を形成する平坦面を備えたD字状で、且つその平坦面に前記回転軸の軸方向にスリットとを形成して成り、前記コイルの非通電時に前記ヨークの平坦面と前記磁石の磁極間に発生する吸引力と、前記スリットを形成するヨーク端面と前記磁石の磁極間に発生する吸引力とにより、前記駆動伝達手段を右端または左端に磁気保持させるようにしたものである
【0008】
また、本発明の光量制御装置は、撮影光路中に進入可能に配置された羽根部材と、前記羽根部材を駆動する電磁駆動装置と、を備えた光量制御装置であって、前記電磁駆動装置は、NS2極に着磁され回転軸を中心に往復回転可能な円柱状の磁石と、前記磁石を内蔵し回動自在に支持する上下に2分割されたコイル枠と、前記コイル枠の外周で、しかも前記磁石のNS2極の着磁方向に平行に巻回され、その磁石に回転力を付与する励磁用のコイルと、前記コイルが巻回された前記コイル枠の外周に設置される磁性材から成る円筒状のヨークと、前記磁石に設けられその磁石の回転で右端から左端の間を往復動する駆動伝達手段と、を備えた電磁駆動装置において、前記ヨークは、前記磁石のNS2極の作動範囲外に、前記磁石と前記ヨーク間の距離が最も小さくなる接近部を形成する平坦面を備えたD字状で、且つその平坦面に前記回転軸の軸方向にスリットとを形成して成る
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図に基づいて詳述する。
図1は光量制御装置の平面図、図2は光量制御装置の分解斜視図である。
まず、光量制御装置は図2に示すように上下一対の基板1、2の間にシャッター羽根3と中間介在板4と絞り羽根5とをこの順に重ね合わせて構成され、基板1にシャッター羽根3と絞り羽根5とを個別に駆動する駆動装置(アクチュエータ)6、7が取付けられている。
【0013】
基板1には撮影光路を形成しX−Xで示す光軸を中心とする光軸開口8が設けられ、シャッター羽根3を軸承けするピン9,10と絞り羽根5を軸承けするピン11が植設してある。これ等のピン9、10及び11は基板と別体のピン部材を取付けても、また第2基板2側に設けても良く、その数と配置位置は後述のシャッター羽根3及び絞り羽根4の構成枚数によって決定される。
【0014】
さらに基板1には光軸開口8の周縁に後述する2枚構成のシャッター羽根3を案内する突起状ガイド12、13が設けている。またさらに駆動装置の伝達手段の逃げ穴17、18が設けられている。
【0015】
シャッター羽根3は2枚構成を一例として示しているが、図8(b)で示すように1枚構成でも構わない。
【0016】
図示形状の2枚のシャッター羽根31、32は、光軸開口8を2分して開閉するよう内側に円弧状の湾曲部31a、32aを有しており、この湾曲部31aおよび32aにNDフィルター(neutral
density filter)を貼り合わせることも可能である。また、湾曲部を設けず図8(a)に示すような形状でも構わない。
【0017】
各シャッター羽根31,32の基端部には前記第1基板1に植設したピン9、10に嵌合する嵌合孔33、34、後述する駆動装置の伝達手段と係合する係合孔35が形成されている。従って図1および図3に示すようにシャッター羽根3は駆動が伝達されてこのピン9、10を中心に揺動して光軸開口8を開閉するように設置されている。なお、図8(c)で示すように2枚のシャッター羽根を用い、それぞれ個別に駆動装置の伝達手段と係合させて、羽根を直線状にスライドさせて光軸開口8を開閉させるような構成でも構わない。
【0018】
なお、図3はシャッター駆動装置としてシャッター羽根を単独で用いた実施例で、図3(a)は図1と同様にシャッター羽根31、32が撮影光路中に進入し光軸開口8を遮蔽している状態を、図3(b)はシャッター羽根31、32が撮影光路外に待避し光軸開口が全開となった状態を示している。
【0019】
斯様に第1基板1にシャッター羽根3が組み込まれ、次いで絞り羽根5が組み込まれるがこれらの羽根3、5間の干渉を防止するため中間介在板4が設けてある。図示の中間介在板4はシャッター羽根3が組込まれた基板1にこの羽根と少許の間隙を形成するように第1基板に設けた突出部14a、14b、14c、14dに載置して取付けられる。また、この中間介在板4には光軸開口8が設けられ、さらに位置決め孔41、42が穿設され第1基板1に植設した位置決めピン15、16と嵌合してその位置が保証されるようになっている。また、基板1に植設したピン9、10および11に嵌合する孔43、44、45、さらに駆動装置の伝達手段の逃げ穴46、47が設けられている。
【0020】
絞り羽根5は1枚で構成され開口51、嵌合孔52、係合孔53が形成されている。なお、本実施例の絞り羽根5は光軸開口8の口径よりも小さく設定された一つの開口51を備えているが、図9に示すように光軸開口8の口径より大きい大開口Lと小さい小開口Sを備えた形状でも構わない。また、口径を連続的に変化させることができるような2枚以上の多数枚の羽根で構成されていても構わない。
【0021】
基板1に植設されたピン11が嵌合孔52と嵌合し、絞り羽根5は中間板4上に支持されている。さらに後述する駆動装置の伝達手段が係合孔53と係合することで駆動が伝達されて絞り羽根5はピン11を中心に揺動し、図1および図4に示すように光軸開口8の口径を制御するように設置されている。
【0022】
なお、図4はシャッター駆動装置としてシャッター羽根を単独で用いた場合の実施例で、図4(a)は図1と同様に絞り羽根5が撮影光路外に待避した状態を、図4(b)は絞り羽根5が撮影光路中に進入し光軸開口8を絞っている状態を示している。
【0023】
基板2は中央に光軸開口8と基板1に植設したピン9、10および11に嵌合する孔21、22、23、さらに駆動装置の伝達手段の逃げ穴25、26が形成してある。この第2基板2には、プレス加工による図2の紙面裏側に突出したタボ状の突出部24a、24b、24c、24dが前記第1基板1の突出部14a、14b、14c、14dと互いに接合する位置に形成してある。
【0024】
従って、前記中間介在板4は基板1の突出部14a、14b、14c、14dと第2基板2の突出部24a、24b、24c、24dとに挟み込まれ、両基板を固定ビス60で結合することによって中間介在板4が固定され、この中間介在板4と第1基板1の突起状ガイド12、13との間にシャッター羽根3a、3bが支持され、またこの中間介在板4と第2基板2との間に絞り羽根5が支持されて組み立てられる。
【0025】
ここでシャッター羽根3と絞り羽根5の駆動装置について説明する。
シャッター羽根用の駆動装置6と絞り羽根用の駆動装置7には同一構成のものを使用している。各駆動装置はそれぞれ図示していない基板1の裏面に設けられたピンおよび孔と駆動装置に設けられた孔およびピンをそれぞれ嵌合させて位置決めされ基板1の裏面に固定される。よって、同一番号を付して図5、図6および図10に基づき、駆動装置の実施例1として詳細に説明する。
【0026】
駆動装置実施例1
駆動装置6,7は、NS2極に磁化され孔72aを有した回転自在の円柱状磁石72、磁石72の孔72aに嵌合し磁石72と一体に取り付けられる回転軸77、回転軸77に一体に取り付けられ羽根部材に磁石72の回転力を伝える伝達手段のアーム70、磁石72の周りに設置される上コイル枠73および下コイル枠74、上コイル枠73および74にらせん状に巻かれ磁石72に回転力を付与するためのコイル75、上コイル枠73を囲むようにして設置されたヨーク76で構成されている。
【0027】
回転軸77はアーム70と磁石72の磁極方向が略垂直となるように、磁石72に設けられた孔72aに嵌め込まれ磁石72に固定される。
【0028】
上コイル枠73の裏面には図示しない位置決め用ピンが植設されており、このピンと下コイル枠74の孔88を嵌合させて上コイル枠73は下コイル枠74に固定される。そしてこの上コイル枠73と下コイル枠74の間に挟まれるようにして磁石72が設置されるが、磁石に固定された回転軸77の先端部77aおよび77bが下コイル枠74および上コイル枠73に設けられた孔(下コイル枠孔90、上コイル枠は図示せず)とそれぞれ係合し、磁石72は回転軸77を中心に回転するように設置される。
【0029】
ここで、下コイル枠74には前記磁石72を所定の作動範囲80内で回転させるように規制する規制手段の窓74 aが設けてあり、この窓74 aとアーム70の先端が係合し、アーム70の回転範囲が規制されて磁石72は図10に示すようにO−O´とQ−Q´のなす所定の作動範囲80内を往復回転可能となっている。
【0030】
さらに上コイル枠73および下コイル枠74にはそれぞれ溝85、89が設けられており、この溝にコイル75が巻かれる。
【0031】
ヨーク76は所定の長さの磁性材から成る平板をD字状の型に押し当てられてD字状に成型され、直線部81と円形部82を備えており、この直線部81の中心には平板の両端面で形成されるスリット84が長手方向全長にわたって設けられている。
【0032】
また、上コイル枠73は前記ヨーク76のスリット84を含む直線部81の内壁に沿う直線部86と、前記ヨーク72の曲線部82の内壁に沿う曲線部87を備えており、ヨーク76の直線部81の内壁と上コイル枠73の直線部86を合わせ、ヨーク76の曲線部82の内壁と上コイル枠73の曲線部87を合わせて位置決めを行い嵌合される。
【0033】
したがって、このような位置決めによって図10に示すように、ヨーク76の直線部81に設けられたスリット84は作動範囲外に設けられる。さらに後述する磁気的に最も安定する磁極方向TT´の垂直方向線PPが作動範囲80の中間位置に設けられ、磁石72がこのPPを対称に往復回転するようになり、さらにQ´―T´間とO´―T´間の距離が等しくなるようになっている。なお、本実施例のようにヨーク形状がD字状で直径が5mmなどのように小型の場合、位置決めおよび固定が困難なため図10に示すように上コイル枠73もD字状にし、溝85以外の外周面がヨーク内壁に沿うようにヨーク76に嵌合することで確実に上記のような位置関係を得ることができる。
【0034】
また、本実施例では着磁後の磁石を用いているが、電磁駆動装置の組み立て後着磁を行っても同様な位置関係は得られる。
【0035】
次に、動作について説明する。
図11(a)は磁極がQ−Q´上に位置しS極がスリット84に近づき、アーム70が規制手段の窓74 aの左端に当接して停止し、撮影光路中に羽根部材(図示せず)が進入している状態を、(b)は磁極がO−O´上に位置しN極がスリット84に近づき、アーム70が規制手段の窓74 aの左端に当接して停止し、撮影光路外に羽根部材(図示せず)が待避している状態を示している。図11(a)の状態のときコイル75に電流を供給すると、フレミングの左手の法則に基づく電磁力が発生し磁石72が反時計方向に回転し、アーム70が窓74 aの右端に当たって停止し図11(b)の状態となる。この時電流を切ってもこの状態は維持される。また図11(b)に示す状態の時、逆の電流をコイル75に供給するとフレミングの左手の法則に基づく電磁力が発生し磁石72が時計方向に回転し、アーム70が窓74 aの左端に当たって停止し図11(a)の状態となり、この時電流を切ってもこの状態は維持される。
【0036】
ここでヨークの形状とその磁気的作用について図12に基づいて説明する。
まず、磁石の作動範囲を規制する規制手段がなく、磁極が任意の場所に位置すると仮定した場合、ヨークの形状をD字状に形成し、磁石とヨーク間の距離が最も小さくなる接近部83を設けると、この接近部83で磁気集中が起こり、接近部83と近いいずれかの磁極と接近部83間に吸引力が発生し、図12(a)に示すように接近部83と近いいずれかの磁極と接近部83が対向した状態が最も磁気的に安定な状態となり、この状態となるよう磁石に回転力が働く。また、円筒状のヨークの一部にスリット84を設けると、スリット84で端面効果による磁気集中が起こり、スリット84と近いいずれかの磁極とスリットを形成しているヨークの端面間に吸引力が発生し、図12(b)に示すようにスリット84と近いいずれかの磁極とスリットが対向した状態が最も磁気的に安定な状態となり、この状態となるよう磁石に回転力が働く。さらに、ヨークをD字状に形成して接近部83を設け、その接近部83にスリット84を設けるとより大きな磁気集中が起こり、接近部83(およびスリット84)と近いいずれかの磁極とスリットを形成しているヨーク端面間により大きな吸引力が発生し、図12(c)に示すように接近部83(およびスリット84)と近いいずれかの磁極が対向した状態が最も磁気的に安定な状態となり、この状態となるよう磁石に回転力が働く。本実施例はより大きな磁気集中および吸引力が発生する図12(c)で示した磁気特性を利用した例である。
【0037】
なお図12(b)で示すような磁極とスリットが対向する位置での磁気的な安定状態は、磁石の直径、ヨークの厚さ、ヨークの直径、スリットの大きさなどの条件を選択することで得ることができる。
【0038】
したがって非通電下で図11(b)の状態の場合、磁気集中が起こるスリット84に近いN極とスリット84を形成しているヨーク端面間の吸引力によって図12(c)に示した磁気的に安定な状態になるよう(T−T´上に磁極が位置するよう)磁石72に反時計方向の回転力が働くが、アーム70が窓74 aの右端に当接することにより磁極はO−O´の位置を維持し、羽根部材は撮影光路外に待避した状態を保持させているのである。また同様に図11(a)の状態の場合、磁気集中が起こるスリット84に近いS極とスリット84を形成しているヨーク端面間の吸引力によって図12(c)に示した磁気的に安定な状態になるよう(T−T´上に磁極が位置するよう)磁石72に時計方向の回転力が働くが、アーム70が窓74 aの左端に当接することにより磁極はQ−Q´の位置を維持し、羽根部材は撮影光路内に進入した状態を保持させているのである。
【0039】
さらに、上記した位置決め手段で、磁気的に最も安定する磁極方向線TT´の直角方向線PPが作動範囲80の中間位置に設けられ、Q´―T´間とO´―T´間の距離が等しくなるように固定されているので図11(a)および図11(b)の状態で等しい回転力(保持力)が得られるようになっている。
【0040】
なお、非通電状態で作動範囲の両端で磁極を保持するためには、上記したように磁気集中の起こる接近部およびスリットの位置は作動範囲外に設けられ、そのとき磁気的に安定となる磁極方向TT´の垂直方向線PPが作動範囲内に位置し、磁石がPPをまたいで往復回転するように設置する必要がある。これは仮に上記のような位置関係にない場合、一方の磁極と接近部およびまたはスリット間に発生する吸引力が強くなり、非通電下で磁極を作動範囲の両端(O−O´上およびQ−Q´上)で保持できなくなるためである。
【0041】
また、上記のような位置関係を保ちながら、スリットおよび接近部の位置を作動範囲外で変化させ、O´−T´間とQ−T´間の距離を異ならせることでQ―Q´とO―O´での保持力のバランスを変えることができる。
【0042】
また、上記した位置決め手段を用いることでヨークの直径が例えば5mmと小さい場合にも製造工程中にこれらの位置関係にばらつきが生じることはなく安定して製品を供給することができ、さらに製品の使用中に振動などで位置関係が変化することもない。
【0043】
また、本実施例では磁気集中が起こる接近部とスリットを同位置に設けたことで、最も大きな吸引力が得られる実施の形態であるが、接近部とスリットの位置を作動範囲外で異ならせ、いずれかの磁気的な安定な位置を利用しても磁極を作動範囲の両端で保持させることはもちろん可能である。
【0044】
また、本実施例では接近部とスリットを同位置に設けてより強い吸引力を保持力として用いたが、図12(a)で示すようにヨークをD字状に成型し接近部を設け、本実施例と同様な位置関係を得ることにより、非通電状態で作動範囲の両端で磁極を保持することはもちろん可能である。さらに本実施例と同様な位置関係を維持しながら接近部の位置を作動範囲外で変化させることにより作動範囲両端での保持力を異ならせることも可能である。なお、この場合も上記した同様な位置決め手段によって同様な位置関係を安定して設けることができ、使用中にその位置が変化することもない。
【0045】
また、本実施例ではヨークをD字状に成型することで磁石とヨーク間の距離が最も小さくなり磁気集中が起こる接近部を設けたが、例えば図14に示すような形状でも問題はない。
【0046】
また、本実施例では下コイル枠に窓を設けて磁石の作動範囲を規制する手法を用いたが、図3および図4に示すように、各基板上に突起部61、62、63、64を設け、各羽根部材がこれらの突起部に衝突することで磁石の作動範囲を規制しても構わない。この手段を用いると、各羽根部材が各突起部と衝突した時に生じる衝撃が羽部材がたわむ事により吸収され反動が軽減される。
【0047】
駆動装置実施例2
次に駆動装置実施例2について図7および図13に基づき説明を行う。
【0048】
図7は駆動装置実施例2の分解斜視図で、実施例1と同じ構成部は同じ符号を付けてある。実施例1の場合と異なる点はヨーク76および上コイル枠73の形状と、ヨーク76と上コイル枠73間の位置決めの方法である。
【0049】
本実施例のヨーク76は所定長さの磁性材から成る平板を円筒状の型に押し当てられて円筒状に成型され、平板の両端面で長手方向全長にスリット84が形成されており、さらに凹部91a、91b、91c、91dが設けられている。
なお、前記スリット84は円筒状ヨークを切断することで形成しても構わない。
上コイル枠73は下側端面に凸部92a、92b、92c、92dが設けられ、ヨーク76に設けられた凹部91a、91b、91c、91dとそれぞれ嵌合し固定される。
【0050】
このような位置決めにより固定された状態を図13に示す。
図13に示されるように、スリット84は磁石の作動範囲80外に設けられ、さらに磁気的に最も安定する磁極方向線TT´の垂直方向線PPが作動範囲80の中間位置に設けられ、磁石72がこのPPを対称に往復回転するようになり、さらにQ´―T´間とO´―T´間の距離が等しくなるようになっている。よって図12(b)に基づき説明したように、スリット84を形成するヨーク端面と磁石72の磁極間に発生する吸引力により、非通電状態で作動範囲80の両端で磁極が保持され、その両端で等しい保持力が得られるようになっており、この位置は製造工程中製品ごとでばらつかず、また製品の使用中に振動などで変化することもない。
【0051】
なお、本実施例では磁気集中が起こるスリットをヨークの長手方向全長に形成したが、図15に示すようにヨークの長手方向の一部に設けても構わない。
【0052】
また実施例1と同様に、本実施例でも非通電状態で作動範囲の両端で磁極を保持するためには、上記したように磁気集中の起こるスリットの位置は作動範囲外に設けられ、そのとき磁気的に安定となるTT´の垂直方向線PPが作動範囲内に位置しPPをまたいで磁石が往復回転するように設置する必要がある。また、上記の位置関係を維持しながらスリットの位置を作動範囲外で移動させることにより両端での保持力を変化させることはもちろん可能である。
【0053】
また、本実施例では位置決め手段としてヨークに凹陥部を4箇所、上コイル枠に突起部を4箇所設け、これらを嵌合させることで位置決め手段としたが、スリットを所定の位置に固定できるように各々2箇所以上設けていれば問題はない。
【0054】
【発明の効果】
上記のように本発明は、工程数、部品数、コストを増やすことなく、ヨークを磁石との距離が最も小さくなる接近部を形成する平坦面を備えたD字状で、且つその平坦面に前記回転軸の軸方向にスリットとを形成することによって、コイルの非通電時に前記ヨークの平坦面と前記磁石の磁極間に発生する吸引力と、前記スリットを形成するヨーク端面と前記磁石の磁極間に発生する吸引力とにより、前記駆動伝達手段を右端または左端に磁気保持させることができる小型の光量制御装置および電磁駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光量制御装置の平面図である。
【図2】 図1における分解斜視図である。
【図3】 シャッター羽根のみを搭載した光量制御装置の平面図である。
【図4】 絞り羽根のみを搭載した光量制御装置の平面図である。
【図5】 駆動装置実施例1の断面図である。
【図6】 図5における分解斜視図である。
【図7】 駆動装置実施例2の分解斜視図である。
【図8】 光量制御装置に組み込むことが可能なシャッター羽根の平面図である。
【図9】 光量制御装置に組み込むことが可能な絞り羽根の平面図である。
【図10】 電磁駆動装置実施例1の平面図である。
【図11】 電磁駆動装置の動作説明図である。
【図12】 電磁駆動装置の磁気的作用説明図である。
【図13】 電磁駆動装置実施例2の平面図である。
【図14】 ヨークに設けた接近部の変形例である。
【図15】 ヨークに設けたスリットの変形例である。
【符号の説明】
1 基板1
2 基板2
3 シャッター羽根
4 中間介在板
5 絞り羽根
6 シャッター駆動装置
7 絞り駆動装置
8 光軸開口
72 磁石
73、74 コイル枠
75 コイル
76 ヨーク
70 駆動伝達手段(アーム)
80 磁石の作動範囲
83 接近部
84 スリット

Claims (2)

  1. NS2極に着磁され回転軸を中心に往復回転可能な円柱状の磁石と、
    前記磁石を内蔵し回動自在に支持する上下に2分割されたコイル枠と、
    前記コイル枠の外周で、しかも前記磁石のNS2極の着磁方向に平行に巻回され、その磁石に回転力を付与する励磁用のコイルと、
    前記コイルが巻回された前記コイル枠の外周に設置される磁性材から成る円筒状のヨークと、
    前記磁石に設けられその磁石の回転で右端から左端の間を往復動する駆動伝達手段と、
    を備えた電磁駆動装置において、
    前記ヨークは、前記磁石のNS2極の作動範囲外に、前記磁石と前記ヨーク間の距離が最も小さくなる接近部を形成する平坦面を備えたD字状で、且つその平坦面に前記回転軸の軸方向にスリットとを形成して成ることを特徴とする電磁駆動装置
  2. 撮影光路中に進入可能に配置された羽根部材と、
    前記羽根部材を駆動する電磁駆動装置と、を備えた光量制御装置であって、
    前記電磁駆動装置は、
    NS2極に着磁され回転軸を中心に往復回転可能な円柱状の磁石と、
    前記磁石を内蔵し回動自在に支持する上下に2分割されたコイル枠と、
    前記コイル枠の外周で、しかも前記磁石のNS2極の着磁方向に平行に巻回され、その磁石に回転力を付与する励磁用のコイルと、
    前記コイルが巻回された前記コイル枠の外周に設置される磁性材から成る円筒状のヨークと、
    前記磁石に設けられその磁石の回転で右端から左端の間を往復動する駆動伝達手段と、
    を備えた電磁駆動装置において、
    前記ヨークは、前記磁石のNS2極の作動範囲外に、前記磁石と前記ヨーク間の距離が最も小さくなる接近部を形成する平坦面を備えたD字状で、且つその平坦面に前記回転軸の軸方向にスリットとを形成して成ることを特徴とする光量制御装置。
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