JP4002351B2 - 包装食品殺菌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の食品がプラスチック製の袋やトレイ等の包装容器内に密封された、いわゆる密封包装食品の高周波を利用した殺菌に適用することができる包装食品殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の食品がプラスチック製の袋やトレイ等の包装容器内に密封された、いわゆる包装食品の普及は目覚ましく、現在では包装食品が食生活における相当の部分を担っているのが現状である。従来、かかる包装食品は、所定の食品を包装容器に密封した後、加熱殺菌処理が施される。なお、食品の種類によっては加熱殺菌処理と合わせて食品の風味向上を期す加熱調理(熱熟成処理)が施される。
【0003】
このような最終段階の加熱殺菌は、従来、煮沸処理やスチーム付与によるものが一般的であったが、処理時間が長くて効率が低く、かつ、風味を損なうという問題点を有していた。そこで加熱殺菌処理の効率化を目指して、出願人は、先に、複数の包装食品を偏平な密閉容器内に装填し、加圧状態でこの容器の対向電極間に高周波電力を印加するように構成された高周波加熱装置を提案した(特願平7−329296号)。
【0004】
このような高周波加熱装置によれば、包装食品の装填された容器内は、容器の縁部に当接した対向電極によって密閉状態になるため、包装食品を密封状態の容器内(食品装填室)で100℃以上に加熱することが可能であり、これによって短時間で確実な殺菌処理を施すことが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記高周波加熱装置にあっては、容器内を加圧するための加圧手段が必要となり、特に円筒状容器内に複数の包装食品が装填されているため、加圧手段が大掛かりになり、設備コストが嵩むという問題点を有していた。また、容器内の複数の包装食品に対して高周波印加を均一に施すことは困難である。すなわち、包装食品は、容器内での装填位置によって被加熱温度がばらついて均一になり難く、温度の低い包装食品は殺菌処理が完全に行われないという問題点を有していた。中途半端な殺菌は、菌の増殖によって未殺菌と同じ結果になるのである。
【0006】
そこで、安全を見込んで包装食品により長時間の高周波印加を施すことが行われるが、このようにするとエネルギーコストが嵩んで不経済になるばかりか、過加熱によって包装食品は風味が落ちることもあるという新たな問題点が提起される。
【0007】
このような状況に鑑み、出願人は、先に、平板上の対向電極と、これら対向電極間に介設される枠体とで内部に1つの包装食品を収納する収納室の形成される加熱容器を発明した(特願平9−219601号)。この加熱容器の収容室は、包装食品の外形と略一致した内面形状に設定されている。従って、包装食品を収納室に収納した状態で対向電極で挟持して収納室の開放を規制することにより、包装食品の外面が収納室の内面に密着した状態になり、この状態で対向電極に高周波を印加して包装食品を100℃以上に加熱しても、包装食品の膨張は抑えられるため、従来のような容器内を加圧する加圧手段を採用する必要がなくなり、その分加熱容器は構造が簡単になって設備コストの低減化に寄与するとともに、一つの包装食品に高周波が印加されるため、加熱処理された包装食品間の加熱温度のばらつきが小さくなるという利点を有している。
【0008】
しかしながら、特願平9−219601号のものは、1つの加熱容器に1個の包装食品しか装填することができないため、大量の包装食品を処理するためには予め多くの加熱容器を予め用意しておかなければならず、その分設備コストが嵩むとともに、加熱処理は包装食品の1つ毎に行わなければならないため、生産性(殺菌処理効率)が劣るという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、設備コストの低減化を実現した上で殺菌処理効率の向上を図ることができる包装食品殺菌装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、高周波電力発生部を有し、この高周波電力発生部からの高周波が供給され、これによって包装食品を誘電加熱により殺菌処理する包装食品殺菌装置であって、高周波が印加される上下の対向電極と、この対向電極間に介設される枠体とからなる食品装填容器を備え、この食品装填容器は、上記包装食品を複数個装填する食品装填室を備えるものであり、上記食品装填室は、装填された各包装食品の膨張変形を阻止し得るように当該各包装食品の立体形状に合致する内面形状で上下方向に対向して形成され、かつ、上下逆転させた状態の包装食品をいの対向面が面一状態で互いに当接し得るように形状設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、包装食品は、誘電加熱による膨張が食品装填室の内壁によって阻止され、破袋は生じない。従って、従来のように破袋を防止するために食品装填室内を大掛かりに加圧する必要がなくなり、その分設備コストの低減化に寄与する。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記対向電極は、それぞれの対向面が互いに平行な平面で形成され、上記枠体には、上記包装食品の側面と略同一の内面形状が設定されていることを特徴とするものである。
【0017】
この発明によれば、食品装填容器の構造が簡単なものになる。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記対向電極の少なくとも一方の対向面に上記包装食品の外形と略一致した内面形状の凹部が設けられ、上記枠体は、上記包装食品の外面に当接するように形状設定されていることを特徴とするものである。
【0019】
この発明によれば、食品装填容器が、各種の包装食品に対応し得るものになる。
【0020】
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記枠体は、積層してなる複数の枠体からなり、各枠体は、装填される包装食品の側面と同一の内面形状が設定されていることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、一度に2個の包装食品を食品装填容器内に積層状態で装填することが可能になる。積層された第1および第2の枠体は、分離可能に構成してもよいし、一体に構成して不可分にしてもよい。
【0022】
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、上記対向電極間に作用して食品装填室を形成した状態に保持する保持手段を備えることを特徴とするものである。
【0023】
この発明によれば、保持手段によって、加熱により食品装填室内が高圧になっても蓋が開くことはなく、包装食品の破袋が防止される。
【0024】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、上記保持手段は、上記食品装填容器に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成されていることを特徴とする請求項7記載の包装食品殺菌装置。
【0025】
この発明によれば、食品装填室は、食品装填容器に付設されたロック機構によって閉止状態が維持されるため、他力方式の保持手段を設ける必要がなく、装置全体としての構造が簡単なものになる。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の包装食品殺菌装置において、上記食品装填容器を誘電加熱位置に搬送する搬送路が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
この発明によれば、食品装填容器を搬送路を通して順次誘電加熱位置に送り込むことにより、食品装填室内の包装食品は連続的にあるいは半連続的に順次殺菌処理される。
【0028】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、上記保持手段は、上記搬送路に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、保持手段が食品装填容器から独立しているため、食品装填容器の構造が簡単なものになる。
【0030】
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の包装食品殺菌装置において、上記食品装填容器と上記高周波電力発生部とは1対1で対応していることを特徴とするものである。
【0031】
この発明によれば、まず、高周波電力発生部は1台の食品装填容器を対象としたもので済ますことができ、これによって高周波発生部の小型化を達成することが可能になり、設備コストの軽減化が実現する。また、小型の高周波電力発生部を食品装填容器の1台毎に一体に装備するようにすれば、直流電源あるいは交流の商用電源からの高周波電源発生部に対する給電を導線の接触構造で賄うことが可能であり、給電構造が簡単になる。さらに、1台の高周波電力発生部からの高周波を複数の食品殺菌容器に供給する場合、高周波印加量が食品殺菌容器間でばらついて各包装食品間の均一加熱が困難になるという不都合が生じず、包装食品は常に所定時間で所定温度に昇温される。従って、上記ばらつきを見込んで加熱時間を多めに設定する必要がなくなり、その分殺菌処理効率が向上するとともに、包装食品に対して常に確実な殺菌処理が施される。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る食品殺菌装置の第1実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は、枠体23の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。また、図3は、図1に示す食品殺菌装置の断面図であり、(A)は容器が開放された状態、(B)は容器が閉止された状態をそれぞれ示している。これらの図に示すように、食品殺菌装置101は、包装食品Pを収容する食品装填容器2x、この食品装填容器2x内の包装食品Pに高周波を印加する高周波発生機(高周波電力発生部)71を備えた制御系統700、および食品装填容器2xの温度を調節する温度調節手段400を備えて形成されている。
【0039】
本実施形態においては、包装食品Pとして、図2に示すような平面視で矩形状の容器本体P1内に密封状態で所定の食品を満杯で装填したものが採用されている。容器本体P1の上縁部には外方に向かって突出した環状縁部P2が設けられ、容器本体P1内に食品を装填した後、上記環状縁部P2に合成樹脂シートP3が熱融着等によって貼着され、これによって容器本体P1内に所定の食品が密封された包装食品Pが形成されている。
【0040】
上記食品装填容器2xは、平面視で矩形状の金属製の板体からなる対向電極20、すなわち下部電極210および下部電極210に対応した上部電極220と、これら対向電極20間に介設される枠体23とを備えて形成されている。上記上部電極220上に枠体23に囲繞された食品装填室21が形成されている。因に、各電極210,220のうちのいづれか一方が本発明の第1電極であり、他方が第2電極である。上記食品装填室21に包装食品Pを収容して対向電極20で挾持し、高周波加熱を施すようになっている。高周波としては数KHz〜数百MHzの範囲が利用可能であり、食品の種類によっては、3MHz〜300MHzの範囲の高周波でもよい。
【0041】
上記枠体23は、本実施形態においては、平面視で矩形状の環状枠体2301と、この環状枠体2301の互いに対向した長辺部の中央部間に差し渡された仕切り壁2302とを備えて形成され、これによって枠体23内に仕切り壁2302を境にして2室の単位食品装填室が形成され、各単位食品装填室(以下単位食品装填室のことをも食品装填室21という)にそれぞれ包装食品Pを装填し得るようになっている。かかる枠体23は、耐熱性に優れ、かつ、極めて強靱な材料であるポリテトラフルオロエチレン製のものが採用されている。環状枠体2301の表裏面の幅方向中央部には、合成ゴム製のOリング24が設けられ、これによってOリング24が対向電極20間に挾持された状態で食品装填室21がシールされた状態になるようにしている。なお、対向電極20による枠体23の挟持である程度のシール効果が得られるのであれば、特にOリング24を設ける必要はない。
【0042】
かかる枠体23は、2つの食品装填室21の立体形状が上記トレイ状包装食品Pの立体形状に合致するようにそれぞれ寸法設定され、包装食品Pが枠体23内に装填された状態で、図3に示すように、包装食品Pの周面部が食品装填室21の内周面に密着し、これによって包装食品Pの熱膨張が阻止されるようになっている。
【0043】
そして、図3の(A)に示すように、上記下部電極210上の枠体23内に包装食品Pが装填されてから、図3の(B)に示すように、上部電極220が下降され、上部電極220が枠体23に当接した状態で包装食品Pの合成樹脂シートP3が上部電極220の天井面に当接するようになっている。これによって包装食品Pは対向電極20に所定の圧力(例えば3kg/cm2)で挾持され、上下方向への熱膨張が阻止されるようにしている。
【0044】
また、本実施形態においては、上部電極220の上面部に押圧手段(保持手段)25が設けられ、この押圧手段25による上部電極220の下方への押圧によって食品装填室21内の密封状態が確実なものになるようにしている。具体的には、上記押圧手段25は、上部電極220の上部で図略の支持枠に支持されて垂下した油圧シリンダ26と、これらの油圧シリンダ26のそれぞれから下方に突出したピストンロッド27とから構成されている。
【0045】
かかるピストンロッド27と上部電極220との間には絶縁材28が介設され、押圧手段25と上部電極220とは相互に電気的に絶縁状態で結合されている。本実施形態においては、絶縁材28はポリアセタール樹脂製のものまたはケイ素樹脂製のものが用いられている。
【0046】
上記温度調節手段400は、ボイラー等からなるスチーム発生源410、上水道等の冷却水供給源420、下部電極210の内部に蛇行状態で配設された下部電極温調配管430、および上部電極220の内部に蛇行状態で配設された上部電極温調配管440を備えて形成されている。
【0047】
また、上記スチーム発生源410は、発生したスチームを導出するスチーム供給本管410aを有している。このスチーム供給本管410aの下流端は、2本のスチーム供給支管410bに分岐され、それぞれのスチーム供給支管410bは下部電極温調配管430および上部電極温調配管440の上流端に接続されている。また、上記冷却水供給源420には、冷却水供給本管420の上流端が接続されているとともに、同下流端は2本の冷却水供給支管420bに分岐され、各冷却水供給支管420bの下流端はそれぞれ下部電極温調配管430および上部電極温調配管440に接続されている。スチーム供給支管410bおよび冷却水供給支管420bの適所には、図略の合成樹脂製のフレキシブルチューブが介設され、これによってスチーム供給支管410bおよび冷却水供給支管420bのフレキシブルチューブより上流側と対向電極20とは絶縁状態にされている。
【0048】
そして、上記スチーム供給本管410aには、制御弁450が設けられているとともに、上記冷却水供給本管420にも制御弁460が設けられ、これら制御弁450,460の開閉操作によって各温調配管430,440にスチーム発生源410からのスチームが供給されたり、冷却水供給源420からの冷却水が供給されたりし、これによって食品装填容器2xの温度、ひいては各食品装填室21内に装填されている包装食品Pの温度が調節されるようになっている。
【0049】
下部電極温調配管430および上部電極温調配管440の下流端は外部に向かって開放した開放端にされ、これら温調配管430,440に供給されたスチームおよび冷却水は食品装填容器2xの温度調節に用いられた後、開放端を通って系外に排出されるようにしている。
【0050】
なお、上記下部電極温調配管430および上部電極温調配管440の内壁面には絶縁処理が施され、これによって各電極温調配管430,440内を流通する水やスチームに電気的な悪影響が及ばないようにしている。
【0051】
図4は、本発明に係る高周波発生手段の一実施形態を示すブロック図である。この図に示すように、制御系統700は、食品殺菌装置101を統括的に制御する制御手段710、この制御手段710に種々の操業データを入力するための運転操作部120、および一対の対向電極20に高周波電力を供給する高周波発生機71を備えている。
【0052】
上記制御手段710は、運転操作部120を介して入力された操業データを基に、高周波発生機71への電力の供給を制御するようになっている。運転操作部120には、起動ボタン121、停止ボタン122等からなる操作ボタン123が設けられているとともに、包装食品Pの種類や重量等を入力するデータ入力キー124が設けられている。
【0053】
上記起動ボタン121および停止ボタン122からの操作信号は、制御手段710を介して制御信号として制御手段710に向けて出力される。そして、起動ボタン121が操作されたときには高周波発生機71の動作が開始されるとともに、停止ボタン122が操作されたときには高周波発生機71の動作が停止されるようになっている。
【0054】
上記高周波発生機71は、電源回路71a、この電源回路71aから電力を得て高周波を発生する高周波発生回路71b、およびこの高周波発生回路71bの下流側に設けられた整合回路71cを備えて形成されている。上記電源回路71aは、例えば220Vの商用電源を所定レベルの直流電源に変換する働きをするものである。また、上記高周波発生回路71bは、電源回路71aからの所定レベルの直流電圧を得て所要レベルの高周波エネルギーを発生する自励発振式の高周波発生回路である。なお、高周波発生回路71bは、自励発振式であることに限定されるものではなく、他励発振式であってもよい。さらに、上記整合回路71cは、高周波発生回路71bと一対の対向電極20間を通過する負荷(包装食品P)との整合をとる回路であり、変成器71dの他、図略の整合用コンデンサを有している。なお、整合用としては、コンデンサを用いることに限定されるものではなく、コイルを用いてもよいし、コンデンサとコイルとを併用してもよい。
【0055】
また、制御手段710は、包装食品Pの種類や量や厚みに応じて予め実験的に得られた電力供給量が設定可能になっている。この設定は上記データ入力キー124によるキーインで行うようにしており、このデータ入力キー124から入力があると、予め記憶されている演算プログラムに基づいて電源回路71aからの出力電力が設定されるようにしている。
【0056】
図5は、第1実施形態の食品殺菌装置を用いて行う加熱殺菌の一例を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は包装食品Pが食品装填容器2xに装填された状態で実行される各工程における密封包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。まず図5の(A)に示すように、誘電加熱殺菌処理は、包装食品Pを食品装填容器2xの食品装填室21に装填する装填工程X1、食品装填室21に装填された包装食品Pを加熱殺菌する殺菌工程X2、殺菌工程X2での加熱殺菌の完了した包装食品Pを取り出す取出工程X3、および取り出し後の包装食品Pを図略の貯水槽に投入して水冷する2次冷却工程X4とによって行われる。
【0057】
また、上記殺菌工程X2においては、包装食品Pを100℃以上の殺菌温度(例えば110℃〜140℃)まで昇温する昇温工程X21、この昇温工程X21で昇温された包装食品Pの殺菌温度を所定時間保持して熱熟成処理を施すとともに殺菌する加熱工程X22、および所定時間の温度保持後の加熱殺菌済み包装食品Pを略常温まで冷却する一次冷却工程X23が順次実行されるようになっている。包装食品Pは、一次冷却工程X23において、図4の(B)に示すように、最低限100℃にまで冷却され、取出工程X3で包装食品Pは図略の冷却水槽に放出され、ここで実行される2次冷却工程X4によって常温にまで冷却される。なお、包装食品Pの包装が丈夫で内圧が1気圧を少々上回っても(例えば内圧が1.1気圧前後になっても)包装食品Pが破損しないような場合には、図4の(B)に点線で示すように、100℃以上で取出工程X3を実行し、引き続き2次冷却工程X4に移行させるようにしてもよい。
【0058】
まず、上記装填工程X1において、下部電極210の食品装填室21内に包装食品Pが装填される。その後、油圧シリンダ26の駆動によってピストンロッド27が下降され、これによる上部電極220の下降によって食品装填室21の上部開口が閉止される。
【0059】
そして、食品装填室21の上部開口が閉止された状態では、図1および図3の(B)に示すように、上部電極220は、天井面が枠体23の上面を押圧した状態になり、これによって食品装填室21の密閉状態が確保された状態になる。しかもこの状態で食品装填室21内に装填された包装食品Pの表裏面が下部電極210の底面および上部電極220の天井面に当接するとともに、包装食品Pの側周面が枠体23の内周面に密着した状態になっている。なお、装填工程X1においても、制御弁450の開通状態のままにされ、スチーム発生源410からのスチームによる食品装填容器2xの加熱が継続されている。
【0060】
ついで、上記殺菌工程X2が実行される。この殺菌工程X2においては、高周波発生機71から対向電極20に高周波が供給開始される。これによる対向電極20からの包装食品Pへの高周波印加によって食品装填室21内に装填された包装食品Pが誘電加熱されて所定の温度まで昇温される昇温工程X21がまず実行される。
【0061】
そして昇温工程X21においては、包装食品Pは、図5の(B)に示すように、誘電加熱によって急激に昇温され、包装食品Pの温度が100℃を越えると、内部の食品に含まれた水分が蒸発し、これによって包装食品Pは熱膨張しようとするが、包装食品Pは、枠体23の内周面および対向電極20に密着して膨張が阻止された状態になっている。これによって包装食品Pの内部は高圧になって水の沸点が上昇し、包装食品P内には水分は蒸気にはならずに液状のままで存在した状態になっている。そして、包装食品Pが予め設定された温度(例えば110〜140℃)に到達すると、高周波発生機71の駆動が停止され、加熱工程X22に移行される。
【0062】
上記加熱工程X22においては、スチーム発生源410からのスチームの供給によってのみ包装食品Pの上記温度(例えば110〜140℃)が所定時間維持され、この所定時間の温度維持によって包装食品Pの実質的な加熱殺菌が実施される。そして、所定時間の加熱工程X22での加熱殺菌が完了すると、つぎの一次冷却工程X23が実行される。
【0063】
一次冷却工程X23においては、まず制御弁450が閉止され、これによってスチーム発生源410からの食品装填容器2xへのスチーム供給が停止される。ついで制御弁460が開通され、冷却水供給源420からの冷却水が下部電極温調配管430および上部電極温調配管440に供給され、これによって、図5の(B)に示すように、食品装填室21内の包装食品Pが100℃以下になるまで冷却される。この冷却処理によって、細菌の繁殖に適した温度が長時間に亘って維持されることが回避され、細菌の再繁殖が有効に抑止される。
【0064】
ついで一次冷却工程X23において包装食品Pが100℃以下にまで冷却されると、つぎの取出工程X3において、油圧シリンダ26の駆動によるピストンロッド27の上昇によって上部電極220が上昇され、食品装填室21は開放される。ついで開放された食品装填室21内の包装食品Pは取り出され、2次冷却工程X4に送り込まれて図略の冷却水槽に投入され、常温にまで冷却される。このような食品殺菌装置101を用いたバッチ処理による各工程が繰り返されることにより、包装食品Pに対する加熱殺菌が順次施される。
【0065】
そして、本発明においては、包装食品Pは、食品装填室21の内壁面(すなわち枠体23の内周面と対向電極20の包装食品Pへの当接面)に密着しているため、上記内壁面に阻止されて膨張せず、従って、殺菌工程X2において包装食品Pの膨張によるトレイ状包装食品Pの破損が確実に防止され、100℃以上での包装食品Pの殺菌処理を確実に行い得るようになるとともに、食品に対する熱熟成が行われ、食品の風味が増す。
【0066】
また、殺菌工程X2において包装食品Pが100℃以上に昇温されても食品に含まれる水分は蒸発せずに液体のままで存在し、しかも高圧状態は包装食品P内で速やかに伝播して包装食品P内は均圧になるため、この均圧になる過程で熱の移動も起こり、これによって包装食品P内は速やかに均一な温度になり、殺菌処理のバラツキが解消される。
【0067】
図6は、本発明に係る食品殺菌装置の第2実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、包装食品Pは第2実施形態の食品殺菌装置102を含む自動加熱殺菌設備55によって半連続的に殺菌処理されるようになっている。図6に示すように、自動加熱殺菌設備55は、第2実施形態の食品殺菌装置102と、この食品殺菌装置102の上流側(図6の左方)に設けられた容器送込み機構56と、食品殺菌装置102の下流側に設けられた容器排出機構59とを備えて構成されている。
【0068】
なお、この実施形態においては枠体23そのものが包装食品Pを収納して移動させる容器として用いられているため、以後、この実施形態では枠体23を移送容器23aという。包装食品Pは、この移送容器23aの食品装填室21内に順次装填され、容器送込み機構56を介して食品殺菌装置102に順次送られ、ここで所定の加熱殺菌処理が施された後、容器排出機構59を介して次工程に送り出されるようになっている。
【0069】
上記食品殺菌装置102は、本実施形態では、先の実施形態の対向電極20よりも大きい対向電極20aが用いられ、これによって下部電極210a上に一度に3個の移送容器23aを並列で載置し得るとともに、上部電極220aによって3個の移送容器23aの上面開口を閉止し得るようになっている。かかる対向電極20aの他の構成は、第1または第2実施形態のものと同様にしてある。
【0070】
上記容器送込み機構56は、前工程から加熱殺菌工程に移送容器23aを送り込むベルトコンベア57と、食品殺菌装置102の上流側でこのベルトコンベア57に並設された、ベルトコンベア57からの3個の移送容器23aを事前配列させる配列テーブル58とを備えて構成されている。
【0071】
上記ベルトコンベア57、配列テーブル58および下部電極210aは、各移送容器載置面はが同一高さレベルに設定され、これによって移送容器23aをベルトコンベア57の載置面から配列テーブル58の載置面へ、また配列テーブル58の載置面から下部電極210aの載置面へスライド移動させることができるようになっている。
【0072】
また、上記ベルトコンベア57の配列テーブル58と反対側の側部には、ベルトコンベア57によって移送されてきた3個の移送容器23aを配列テーブル58上にプッシュする第1プッシュ部材57aが設けられているとともに、配列テーブル58上には配列された3個の移送容器23aを下部電極210a上にプッシュする第2プッシュ部材58aが設けられている。これらのプッシュ部材57a,58aは、図略の油圧シリンダ等からなる駆動手段の駆動によって往復動するようになっている。
【0073】
上記容器排出機構59は、対向電極20aの下流側に下部電極210aに隣接して設けられた基台590と、この基台590の上面部に配設されたローラコンベア591とを備えて構成されている。上記ローラコンベア591は、複数本が移送容器23aの搬送方向に直行する軸心回りに回転可能に配設されてなり、各ローラコンベア591の駆動回転によって食品殺菌装置102からの移送容器23aを次工程に排出するように構成されている。
【0074】
そして、ベルトコンベア57は、移送容器23aの3個分の距離だけ進行したのち一時停止するという間欠駆動で運転されるとともに、ベルトコンベア57の停止時に第1プッシュ部材57aが往復動して3個の移送容器23aが配列テーブル58上に移されるようになっている。
【0075】
また、配列テーブル58上に移された移送容器23aは、第2プッシュ部材58aの搬送方向に向かうプッシュ操作で下部電極210a上に移されるようになっている。そして、下部電極210a上に移された3個の移送容器23aは、上部電極220aの下降によって上部電極220aと下部電極210aとの間に押圧挾持され、内部の包装食品Pに対する先に図5を基に説明した加熱殺菌処理が施されるようになっている。
【0076】
ついで、食品殺菌装置102による加熱殺菌処理が完了した後、上部電極220aが上昇され、第2プッシュ部材58aのプッシング操作によって下部電極210a上の3個の移送容器23aはローラコンベア591上に押し出されるようになっている。ローラコンベア591上に押し出された移送容器23aは、ローラコンベア591の回転駆動で次工程に送り出される。
【0077】
このように、ベルトコンベア57と、第1プッシュ部材57a、第2プッシュ部材58aおよび上部電極220aとの相互に連携した間欠駆動によって、ベルトコンベア57で順次送り込まれた移送容器23a内の包装食品Pは、食品殺菌装置102において順次加熱殺菌処理され、容器排出機構59によって順次排出されることになる。
【0078】
また、下部電極210aおよび上部電極220aの内部には、黒塗り矢印で示すように、加熱媒体が導入されて白抜き矢印で示すように排出され、これによって各電極210a,220a自体が加熱されて内部の包装食品Pが誘電加熱に加えて補助的に加熱され、これによって殺菌処理効率を向上させるようにしている。なお、各電極210a,220aには、誘電加熱時に加熱媒体を導入し、誘電加熱の終了後に冷却媒体を導入するようにすれば、殺菌処理後の包装食品Pが急速に冷却され、これによって細菌の繁殖に適した温度が長時間に亘るという不都合が回避される。
【0079】
また、上部電極220aを二点鎖線で示すように3分割し、それぞれに小型の専用の高周波発振機からの高周波電力を供給するようにしてもよい。こうすることによって対向電極20a間の3組(6つ)の包装食品Pに均等に高周波電力を供給することが可能になる。
【0080】
かかる自動加熱殺菌設備55によれば、人手を介することなく大量の包装食品Pを加熱殺菌することが可能であり、運転コストの低減化を図る上での効果は大きい。
【0081】
図7および図8は、本発明に係る包装食品装填容器の第1変形形態を示す斜視図であり、図7は、上蓋が開放された状態、図8は、上蓋が閉止された状態をそれぞれ示している。また図9は、図8のA−A線断面図であり、(A)は上蓋が開放された状態、(B)は上蓋が閉止された状態をそれぞれ示している。なお、以下図7および図8におけるX−X方向を幅方向というとともに、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方といい、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0082】
これらの図に示すように、食品装填容器1は、非導電性材料からなる環状の容器本体(枠体)2と、この容器本体2の下部の開口を閉止する、導電性材料からなる底板3と、上記容器本体2の上部開口を開閉自在に閉止する上蓋4とからなる基本構成を有している。
【0083】
上記容器本体2は、本変形形態においては、耐熱性に優れ、かつ、極めて強靱な材料であるポリテトラフルオロエチレンによって形成されている。かかる容器本体2は、本実施形態においては、平面視で矩形状の環状枠体2301と、この環状枠体2301の互いに対向した長辺部の中央部間に差し渡された仕切り壁2302とを備えて形成され、これによって枠体23内に仕切り壁2302を境にして2室の食品装填室21が形成され、各食品装填室21にそれぞれ包装食品Pを装填し得るようになっている。この食品装填室21は、上記上蓋4を閉止することによって密閉空間になるようにしてある。
【0084】
また、容器本体2の上縁部に合成ゴム製のOリング22が設けられ、食品装填室21が上蓋4によって閉止された状態で食品装填室21内のシール効果が確実に得られるようにしている。なお、Oリング22の装着は必須ではなく、Oリング22を装着しなくても容器本体2内の機密性が十分に確保されるのであれば、Oリング22の装着を省略することができる。
【0085】
上記包装食品Pは、本変形形態においては、図7に示すような平面視で矩形状のトレイ状を呈した容器本体P1内に所定の食品を装填したものが採用されている。容器本体P1は、上縁部に外方に向かって突出した環状縁部P2を有しており、容器本体P1内に食品を装填した後、上記環状縁部P2に合成樹脂シートP3が熱融着等によって貼着され、これによって所定の食品が容器本体P1内に密封された状態になっている。
【0086】
そして、容器本体2の内周面は、上記容器本体P1の外周面の形状に合致するように立体形状が設定され、これによって包装食品Pを食品装填室21内に装填した状態で包装食品Pの底部が底板3に当接するとともに、包装食品Pの外周面が容器本体2の内周面に当接するようになっている。また、食品装填室21内に包装食品Pが装填された状態で上蓋4を閉止することにより、上蓋4の天井面が包装食品Pの合成樹脂シートP3に当接し、これによって包装食品Pは全ての外周面が包装食品装填容器1の全内周面に当接した状態になるようにしている。
【0087】
上記底板3は、図9に示すように、左側部から突出した前後方向一対のL字形状の下部蝶番31を有しているとともに、上記上蓋4は、上記下部蝶番31に対向したL字形状の上部蝶番41を有しており、これら各蝶番31,41の先端部が積層された状態でボルトBが貫通されてナットNで締結され、これによって上蓋4はボルトB回りに回動自在に底板3に連結されている。なお、上記各蝶番31,41は、非導電体である強靱なエンジニアリングプラスチックによって形成され、これによって底板3および上蓋4間が絶縁状態にされている。
【0088】
また、底板3内には、図8および図9に示すように、内部で蛇行した下部流体通路32が設けられているとともに、上蓋4内には下部流体通路32同様の上部流体通路42が設けられている。そして、底板3の右側面には、前方に図7に示すような下部流体通路32に連通した流体導入用口金33が螺着されているとともに、後方に下部流体通路32に連通した流体排出用口金34が螺着され、流体導入用口金33から下部流体通路32内に導入された流体は、蛇行した後流体排出用口金34から導出されるようになっている。なお、上記各口金33,34、43、44にはバルブが設けられ、このバルブの開閉操作で各口金33,34,43,44と食品装填室21内との間の連通および遮断の切り換えが可能になっている。
【0089】
同様に上蓋4にも上部流体通路42に連通した流体導入用口金43および流体排出用口金44が設けられ、流体導入用口金43から導入された流体は、上部流体通路42内を通って流体排出用口金44から導出されるようになっている。
【0090】
これらの流体導入用口金33,43および流体排出用口金34,44は、後述する包装食品Pの殺菌処理工程において、誘電加熱前に熱水を各流体通路32,42内に導入して食品装填室21内の包装食品Pに伝熱による補助加熱を施すとともに、誘電加熱後に冷却水を各流体通路32,42内に導入して一旦上昇した食品装填室21内の包装食品Pの温度を降下させるべく、熱水源および冷却水源に接続されるものである。
【0091】
また、底板3の幅方向両側部には、左右に突出した一対の接続片35が設けられている。そして、等ピッチで並んだ複数の包装食品装填容器1の各接続片35が後述するコンベヤベルト13にボルトB止めで固定され、コンベヤベルト13の周回駆動によって各包装食品装填容器1が周回駆動するようになっている。そして、この周回するコンベヤベルト13によって本発明に係る包装食品装填容器1の移動路が形成されている。
【0092】
また、上蓋4の左方上縁部には、左方に向かって突出した操作突片45が設けられ、この操作突片45の先端側を下方に押圧することによって上蓋4が開放され、上記押圧を解除することによって上蓋4によって食品装填室21が閉止されるようになっている。
【0093】
第1変形形態の包装食品装填容器1によれば、包装食品Pを食品装填室21内に装填して上蓋4を閉止することにより、容器本体P1の外周面が食品装填室21の内周面に密着した状態になるとともに、底部および頂部がそれぞれ底板3および上蓋4に密着した状態になり、しかも環状縁部P2は、食品装填室21の上縁部と上蓋4とによって挟持された状態になるため、蓋部4が開かないように、例えば高周波用の対向電極によって所定の押圧力で包装食品Pを挟持し、対向電極からの高周波印加で包装食品Pを100℃以上に加熱しても、包装食品P内の水分の沸騰蒸発で容器本体P1が破損(破袋)するという不都合が回避される。
【0094】
図10および図11は、本発明に係る包装食品装填容器の第2変形形態を示す斜視図であり、図10は、上蓋が開放された状態、図11は、上蓋が閉止された状態をそれぞれ示している。また図12は、図11のB−B線断面図であり、(A)は上蓋4が開放された状態、(B)は上蓋4が閉止された状態をそれぞれ示している。なお図10および図11における方向の表記については図7および図8と同様である。
【0095】
第2変形形態の食品装填容器1aは、上蓋4の閉止状態をロックするロック手段(開放規制手段)36が設けられている点で第1変形形態の食品装填容器1と異なっており、その他の構成については、第1変形形態の食品装填容器1と同様である。
【0096】
上記ロック手段36は、底板3の幅方向の右側部に設けられている。このロック手段36は、底板3の幅方向右側面の中央部から外方に向かって突設されたブラケット37と、このブラケット37を挟持し、かつ、第1水平軸37a回りに回動自在に軸支された二股状の回動片38と、この回動片38の先端部を挟持しかつ、第2水平軸38a回りに回動自在に軸支された二股状のロック片39とを備えて構成されている。
【0097】
上記回動片38には、幅方向の右端部にロック片39の二股部分を潜って外方に向けて突設された操作片38bが突設されており、この操作片38bを操作して回動片38を第1水平軸37a回りに正逆回動させることによってロック片39が上下するようになっている。
【0098】
上記ロック片39の先端部には、第2水平軸38a回りに反時計方向に突設された係止爪39aが設けられている一方、上蓋4の幅方向の右端上縁部には上記係止爪39aに対応した部分に板状の絶縁体47が設けられ、この絶縁体47の先端側には係止爪が係合する係止突片47aが突設されている。そして、上蓋4が閉止された状態で係止爪39aを係止突片47aに係止して操作片38bを第1水平軸37a回りに時計方向に回動させることにより、絶縁体47による底板3と上蓋4との絶縁状態が保持された状態で、図11および図12の(B)に示すように、ロック片39の基端側が下降して第2水平軸38aが第1水平軸37aより幅方向の若干左方に位置したロック状態になり、これによって食品装填室21内が1気圧以上の高圧になっても高圧流体が漏洩しない密閉空間になるようにしている。
【0099】
逆に図11および図12の(B)に示す上蓋閉止のロック状態において、操作片38bを第1水平軸37a回りに反時計方向に回動させると、ロック片39が上昇して係止爪39aの係止突片47aに対する係合が外れ、これによって閉じた上蓋4のロック状態が解除されるようになっている。
【0100】
そして、ロックが解除された状態では、図10および図12の(A)に示すように、上記回動片38は、図略の付勢手段の付勢力によって水平姿勢が維持されるとともに、ロック片39は図略の付勢手段の付勢力によって垂直姿勢が維持されるように構成されており、これによってロックが解除された状態でのロック手段36の姿勢を安定させ、ロック操作の自動化を行い易くしてる。
【0101】
本実施形態においては、ロック手段36は、食品装填室21内に装填された包装食品P内の圧力が略3kg/cm2になっても耐え得るような耐圧力を有するものにしてあり、これによって誘電加熱で包装食品Pの温度が110℃〜140℃になっても包装食品Pの膨張を抑えることができるようにしてある。
【0102】
また、食品装填容器1aを移送するためのコンベヤベルトとして、裏面に噛合歯が形成された幅方向一対のタイミングベルト130が採用されている。このタイミングベルト130によって本発明に係る移動路が形成されている。そして、所定位置に移送された底板3のタイミングベルト130間の露出底面に、高周波用の接続端子が接触され、これによって底板3が対向電極の一方の電極として機能するようになされている。
【0103】
第2変形形態の食品装填容器1aによれば、食品装填室21内に包装食品Pを装填した状態で上蓋4を閉止してロック手段36によってロックすることにより、食品装填室21内を密封状態にすることができるため、食品装填室21内の包装食品Pが誘電加熱で高温になり、これによって食品装填室21内が高圧になっても上蓋4が開放されず、誘電加熱時に対向電極によって底板3および上蓋4を押圧挟持する必要がなくなり、誘電加熱部を簡素化することが可能になる。
【0104】
図13は、第1変形形態の食品装填容器1を用いた第3実施形態の食品殺菌装置103を示す斜視図である。なお、以下図13におけるX−X方向を幅方向というとともに、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方といい、往きベルトの−Y方向を前方または下流方向、+Y方向を後方または上流方向という。但し、返りベルトについては、−Y方向を上流側方向、+Y方向を下流方向という。
【0105】
図13に示すように、食品殺菌装置103は、搬送面が水平になるように配置設定され、かつ、周回駆動で食品装填容器1を運ぶベルトコンベヤ11と、このベルトコンベヤ11に沿って上流側から下流側に順次配設された包装食品装填機構5、予熱機構6、誘電加熱部7、冷却機構8および包装食品取出し機構9とを備えて構成されている。
【0106】
上記ベルトコンベヤ11は、前後方向に互いに対応して配設された一対の回転ドラム12と、これらの回転ドラム12間に張設されたコンベヤベルト13と、上記回転ドラム12を駆動する電動モータ14とからなっている。上記回転ドラム12は、前方のものが駆動ドラム12aとされているとともに、後方のものが従動ドラム12bとされ、電動モータ14の駆動による駆動ドラム12aの時計方向への駆動軸回りの回転によってコンベヤベルト13が各ドラム12a,12b間で時計方向に周回するようになっている。
【0107】
かかるベルトコンベヤ11は、誘電損失が極めて小さく、かつ、強靱な合成樹脂製の帯体が採用されている。本実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン製のものが採用されている。このようなベルトコンベヤ11の表面に、複数の食品装填容器1が、操作突片45の突出方向とコンベヤベルト13の周回方向とが直交するように等ピッチで並設されている。従って、電動モータ14の駆動によって各食品装填容器1はコンベヤベルト13に伴って回転ドラム12間を周回することになる。
【0108】
なお、以下周回するコンベヤベルト13の内、上方側の前方に移動するものを往きベルト13aといい、下方側の後方に移動するものを返りベルト13bという。
【0109】
上記包装食品装填機構5は往きベルト13aの上流側に設けられている。この包装食品装填機構5は、包装食品Pを食品装填容器1の食品装填室21内に送り込む装填装置51と、食品装填容器1の上蓋4を開閉する蓋開閉手段52とからなっている。上記装填装置51は、包装食品Pをストックする図略のストック部と、ストックされた包装食品Pを所定個数ずつ取り出して食品装填容器1の食品装填室21内に装填する装填操作部とを備えている。本実施形態においては、包装食品Pを3つの食品装填容器1のそれぞれに2個ずつで合計6個を一度に装填するようにしている。
【0110】
上記蓋開閉手段52は、ピストンロッドが下方に突出したシリンダ装置53と、上記ピストンロッドに接続された操作ロッド54とを備えて形成されている。上記操作ロッド54は、往きベルト13a上に並設された3個分の食品装填容器1に亘る長さ寸法を有しているとともに、3個の食品装填容器1の操作突片45に同時に対向するように配置設定されている。これによってピストンロッドが下降した状態では、操作ロッド54によって3つの操作突片45が同時に下方に押圧され、図13に示すように、3個の食品装填容器1の上蓋4が同時に開放されるとともに、ピストンロッドの上昇による押圧力の解除によって上蓋4が閉止されるようになっている。
【0111】
そして、電動モータ14の駆動・停止と、蓋開閉手段52の駆動による食品装填容器1の上蓋4の開閉動作と、装填装置51の駆動による包装食品Pの食品装填室21内への装填動作とが所定のタイミングで同期されるように構成されており、これによって包装食品装填位置R1に到達した食品装填容器1の食品装填室21内に包装食品Pが自動的に装填されるようになっている。
【0112】
上記予熱機構6は、図略のボイラーや送出ポンプを備えた熱水源61、この熱水源61と包装食品装填位置R1の下流側の予熱位置R2に位置した3個の食品装填容器1との間に配設された熱水配管62、およびこの熱水配管62の先端部に設けられた接続手段63とを備えて構成されている。
【0113】
上記熱水配管62は、先端側が6本の熱水支管62aに分岐されている。かかる熱水支管62aは、2本ずつがペアーになって予熱位置R2にある3個の食品装填容器1の底板3および上蓋4の各流体導入用口金33,43(図12)に対向するように配置されている。
【0114】
上記接続手段63は、熱水支管62aを対応した流体導入用口金33,43に接続するための装置であり、この装置の駆動によって熱水支管62aが流体導入用口金33,43に対して離接されるとともに、流体導入用口金33,43および流体排出用口金34,44の弁の所定の開閉操作が行われ、これによって熱水源61からの熱水が底板3の下部流体通路32および上蓋4の上部流体通路42に導入され、底板3および上蓋4を介して食品装填室21内の包装食品Pが熱水によって予熱されるようになっている。
【0115】
上記誘電加熱部7は、高周波発生機71と、この高周波発生機71からの高周波を食品装填容器1内の包装食品Pに印加する上部電極72aおよび下部電極72bからなる対向電極72と、上記上部電極72aを昇降するシリンダ装置73とからなっている。上記対向電極72は、予熱位置R2の下流側に設定された3個の食品装填容器1に対応する加熱・冷却位置R3において、往きベルト13aを挟むように設けられている。上記下部電極72bは、その上面が往きベルト13aに当接するように配置設定されている。本実施形態においては、上記対向電極が本発明に係る開放規制手段としての役割を果たしている。
【0116】
そして、上部電極72aがシリンダ装置73の駆動により上昇された状態で、予熱位置R2において予熱された3個の食品装填容器1は、電動モータ14の間欠駆動で加熱・冷却位置R3に送り込まれるようにしている。送り込まれた3個の食品装填容器1は、上部電極72aの下降で対向電極72間に押圧挟持され、この状態で高周波発生機71からの高周波が対向電極72並びに底板3および上蓋4を介して包装食品Pに印加され、これによる誘電加熱で包装食品Pが加熱殺菌処理されるようになっている。
【0117】
本実施形態においては、上部電極72aによる押圧力を、3個の食品装填容器1の食品装填室21内に装填された包装食品P内の圧力が略3kg/cm2になっても耐え得るように設定してあり、これによって誘電加熱で包装食品Pの温度が110℃〜140℃になっても包装食品Pの膨張を抑えることができるようにしてある。
【0118】
上記冷却機構8は、加熱・冷却位置R3において誘電加熱部7による加熱殺菌処理が終了した包装食品Pを同一位置で上部電極72aによる押圧操作を継続しつつ冷却するものであり、冷却水源81と、この冷却水源81と3個の食品装填容器1との間に配設された冷却水配管82と、この冷却水配管82の先端部に設けられた接続手段83とを備えて構成されている。なお、誘電加熱と同一位置で、しかも上部電極72aによる押圧状態を継続しながら包装食品Pに冷却処理を施すのは、上部電極72aによる食品装填容器1の押圧を解除することにより包装食品Pが膨張し、これによって容器本体P1が破損するという不都合を防止するためである。
【0119】
上記冷却水配管82は、先端側が6本の冷却水支管82aに分岐されている。かかる冷却水支管82aは、2本ずつがペアーになって加熱・冷却位置R3にある3個の食品装填容器1の底板3および上蓋4の各流体導入用口金33,43(図12)に対向するように配置されている。
【0120】
上記接続手段83は、冷却水支管82aを対応した流体導入用口金33,43に接続するための装置であり、この装置の駆動によって冷却水支管82aが流体導入用口金33,43に対して離接されるとともに、流体導入用口金33,43および流体排出用口金34,44の弁の所定の開閉操作が行われるようになっている。これによって冷却水源81からの冷却水が底板3の下部流体通路32および上蓋4の上部流体通路42に導入されて熱水と置換され、底板3および上蓋4を介して食品装填室21内の包装食品Pが冷却水によって冷却されるようになっている。
【0121】
上記冷却処理は、略130℃であった包装食品Pの温度が100℃以下になるまで続けられ、100℃以下になった時点で上部電極72aによる押圧が解除されるとともに、食品装填容器1は電動モータ14の駆動でつぎの包装食品取出し機構9に送られるようになっている。また、駆動ドラム12aの外方および包装食品取出し機構9に到るまでの返りベルト13bの下方には、コンベヤベルト13に平行なガイドカバー15が所定の間隔を有して設けられ、食品装填容器1が上下逆転しても上記ガイドカバー15に阻止されることによって上蓋4が開放しないようにしてある。
【0122】
上記包装食品取出し機構9は、上記冷却機構8によって冷却された包装食品Pを食品装填容器1から取り出して水冷するものであり、返りベルト13bに沿い、かつ、その下部の取出し位置R4に設けられた冷却水槽91と、この冷却水槽91内に設けられた搬出ベルト92とを備えている。上記搬出ベルト92は、図略の駆動手段の駆動によろ冷却水槽91の内外に亘って周回移動し、これによって冷却水槽91内の水中に沈んだり浮遊したりしている包装食品Pを冷却水槽91外に搬出するようになっている。
【0123】
なお、上部電極72aおよび下部電極72bの内部には、黒塗り矢印で示すように、加熱媒体を導入して白抜き矢印で示すように排出し、これによって各電極72a,72b自体が加熱されて食品装填容器1内の包装食品Pが誘電加熱に加えて加熱媒体によって補助的に加熱され、これによって殺菌処理効率を向上させるようにしてもよい。さらに、各電極72a,72bには、誘電加熱時に加熱媒体を導入し、誘電加熱の終了後に冷却媒体を導入するようにすれば、殺菌処理後の包装食品Pが急速に冷却され、これによって細菌の繁殖に適した温度が長時間に亘るという不都合が回避される。
【0124】
また、上部電極72aを3分割し、それぞれに小型の専用の高周波発振機からの高周波電力を供給するようにしてもよい。こうすることによって対向電極20a間の3つの包装食品Pに均等に高周波電力を供給することが可能になる。
【0125】
図14は、食品殺菌装置103の制御系統の一例を示すブロック図である。この図に示すように、食品殺菌装置103の制御系統700は、食品殺菌装置103の運転を全体的に制御する制御手段710と、上記誘電加熱部7と、食品殺菌装置103の運転操作に係る運転操作部120とから構成されている。
【0126】
上記制御手段710は、運転操作部120を介して入力された操業データを基に、誘電加熱部7の高周波発生機71への電力の供給を制御するとともに、包装食品装填機構5、予熱機構6および冷却機構8に所定の制御信号を出力してこれらの駆動を制御するように構成されている。
【0127】
運転操作部120には、起動ボタン121、停止ボタン122からなる操作ボタン123が設けられているとともに、包装食品Pの種類や重量、さらには電動モータ14の間欠駆動の周期、包装食品装填機構5および予熱機構6の動作の周期等を入力するデータ入力キー124が設けられている。
【0128】
上記起動ボタン121および停止ボタン122からの操作信号は、制御手段710を介して制御信号として制御手段710に向けて出力される。そして、起動ボタン121が操作されたときには高周波発生機71の動作が開始されるとともに、電動モータ14、包装食品装填機構5、予熱機構6、冷却機構8および包装食品取出し機構9が所定の駆動や動作を開始し、停止ボタン122が操作されたときには高周波発生機71の動作が停止されるとともに、上記電動モータ14等の駆動等が停止される。
【0129】
上記高周波発生機71は、電源回路71a、この電源回路71aから電力を得て高周波を発生する高周波発生回路71b、およびこの高周波発生回路71bの下流側に設けられた整合回路71cを備えて形成されている。上記電源回路71aは、例えば220Vの商用電源を所定レベルの直流電源に変換する働きをするものである。また、上記高周波発生回路71bは、電源回路71aからの所定レベルの直流電圧を得て所要レベルの高周波エネルギーを発生する自励発振式の高周波発生回路である。なお、高周波発生回路71bは、自励発振式であることに限定されるものではなく、他励発振式であってもよい。さらに、上記整合回路71cは、高周波発生回路71bと一対の対向電極72間を通過する負荷(包装食品P)との整合をとる回路であり、変性器71dの他、図略の整合用コンデンサを有している。なお、整合用としては、コンデンサを用いることに限定されるものではなく、コイルを用いてもよいし、コンデンサとコイルとを併用してもよい。
【0130】
また、制御手段710は、包装食品Pの種類や重量に応じて予め実験的に得られた電力供給量を演算し得るようにプログラミングされている。この演算は上記データ入力キー124からキーインされたデータに基づき行われ、この演算結果によって電源回路71aからの出力電力が設定されるようにしている。
【0131】
また、制御手段710からの制御信号に基づいて、所定の時間ピッチで電動モータ14が駆動され、これによってコンベヤベルト13は間欠的に周回し、1回の駆動によって食品装填容器1の3個分の距離だけ移動するように設定されている。従って、コンベヤベルト13が間欠移動する度に、包装食品装填位置R1にあった3個の食品装填容器1はつぎの予熱位置R2に移動するとともに、予熱位置R2にあったものは加熱・冷却位置R3に移動する等、それぞれ3個ずつが下流側の操作位置に移動するようになっている。
【0132】
そして、コンベヤベルト13の移動中は、包装食品装填機構5、予熱機構6および冷却機構8は食品装填容器1に対して動作しない待機状態に設定されるとともに、誘電加熱部7の上部電極72aが上昇して食品装填容器1が対向電極72間を通過し得るように設定される。これに対してコンベヤベルト13が停止しているときには、包装食品装填機構5、予熱機構6および冷却機構8は食品装填容器1に対して所定の動作を行うととともに、誘電加熱部7は、上部電極72aの下降で対向電極72間に食品装填容器1を押圧挟持した状態で高周波発生機71の駆動によって食品装填容器1内の包装食品Pを加熱処理するようになっている。なお、包装食品取出し機構9の搬出ベルト92は、起動ボタン121がオンされた状態で常に駆動されるようにしてある。
【0133】
図15は、第3実施形態の食品殺菌装置103に対応した包装食品Pの加熱殺菌処理方式を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は予熱工程Q2〜冷却工程Q5における包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。まず図15の(A)に示すように、食品殺菌装置103の操業は、包装食品Pを食品装填容器1の食品装填室21に装填する装填工程Q1、包装食品Pの装填された食品装填容器1を予熱(補助加熱)する予熱工程Q2、予熱された包装食品Pを昇温する昇温工程Q3、昇温された温度を維持して包装食品Pに殺菌処理を施す殺菌工程Q4、殺菌処理の終わった包装食品Pを冷却する冷却工程Q5、および冷却後の包装食品Pを食品装填室21から取り出す取出し工程Q6を順次経ることによって行われる。
【0134】
上記装填工程Q1は食品殺菌装置103の包装食品装填位置R1において実行され、上記予熱工程Q2は同予熱位置R2において実行され、上記昇温工程Q3、殺菌工程Q4および冷却工程Q5は同加熱・冷却位置R3において実行され、上記取出し工程Q6は同取出し位置R4において実行される。
【0135】
以下、コンベヤベルト13の間欠駆動によって周回移動する食品装填容器1の一つに注目して上記各工程について説明する。食品装填容器1が包装食品装填位置R1に到達すると上記装填工程Q1が実行される。すなわち、シリンダ装置53の駆動によって操作ロッド54が下降され、これによって停止状態の食品装填容器1の操作突片45が下方に向けて押圧されて上蓋4が開放される。ついで装填装置51の駆動によって包装食品Pが食品装填室21内に装填され、装填後にシリンダ装置53の駆動で操作ロッド54が上昇し、これによって上蓋4が閉じられ、包装食品Pが食品装填室21内に装填された状態になる。
【0136】
ついで、食品装填容器1はコンベヤベルト13の駆動により下流側に移動して予熱位置R2に到達する。到達後にコンベヤベルト13が停止され、停止状態の食品装填容器1に向かって接続手段63が動作し、これによって熱水支管62aが食品装填容器1の底板3および上蓋4の各流体導入用口金33,43(図12)に接続された状態になる。
【0137】
この状態で、熱水源61からの熱水が底板3および上蓋4の流体通路32,42内に供給され、開放された流体排出用口金34,44を通って系外に排出される。この熱水の流通によって底板3および上蓋4を介して食品装填室21内の包装食品Pが予熱される。この予熱によって図15の(B)に示すように、常温であった包装食品Pは、略40℃にまで昇温される。
【0138】
ついで、予熱工程Q2での予熱処理が完了すると、食品装填容器1は、コンベヤベルト13の駆動で加熱・冷却位置R3に移動され、コンベヤベルト13の停止と同時のシリンダ装置73の駆動による上部電極72aの下降によって対向電極72間に押圧挟持された状態になる。この状態で高周波発生機71の駆動によって予熱された包装食品Pを略130℃まで昇温する昇温工程Q3が実行され、引き続き略130℃を維持する殺菌工程Q4が実行される。昇温工程Q3での昇温処理時間は略90秒であり、殺菌工程Q4での殺菌処理時間は30秒である。
【0139】
なお、殺菌処理時間は、高周波発生機71の出力や包装食品の重量、さらには殺菌温度等によって変動するため、これらの変動要因を把握して殺菌処理時間を予め設定しておく必要がある。因に、通常の包装食品を対象とした場合、殺菌温度を130℃より10℃高い略140℃に設定すると、上記殺菌処理時間の30秒は大幅に短縮され、数秒で完全な殺菌処理の行われることがを試験の結果判明している。
【0140】
そして、昇温工程Q3の後半および殺菌工程Q4においては、食品装填室21内の包装食品Pは100℃以上に加熱されているが、包装食品Pは対向電極72によって押圧されていること、および食品装填室21の内周面は包装食品Pの外周面に密着していることによって包装食品P内の水分の沸点が上昇し、これによって上記水分の沸騰が防止され、包装食品Pの破損が阻止される。
【0141】
ついで、昇温工程Q3での殺菌処理が完了すると、対向電極72に押圧挟持された状態で包装食品Pに対して冷却工程Q5が施される。この工程では、まず、接続手段83の駆動によって冷却水支管82aが流体導入用口金33,43に接続され、ついで冷却水源81からの冷却水が流体通路32,42に導入され、これによって食品装填室21内の包装食品Pは底板3および上蓋4を介して冷却水で100℃より若干低めにまで冷却される。冷却工程Q5での冷却処理時間は120秒〜180秒である。
【0142】
ついで、冷却工程Q5での冷却処理が完了すると、シリンダ装置73の駆動で上部電極72aが上昇されると同時にコンベヤベルト13が駆動され、これによって食品装填容器1は往きベルト13aから返りベルト13bの方に反転して移動する。そして、コンベヤベルト13の間欠周回駆動で食品装填容器1がガイドカバー15(図13)を外れた時点、すなわち取出し位置R4に到達した時点に上蓋4が自重で開放され、食品装填室21内の包装食品Pは冷却水槽91内に放出される。放出された包装食品Pは、冷却水槽91内の水に浸かって略常温にまで冷却されて搬出ベルト92によって運び出されるとともに、空になった食品装填容器1はコンベヤベルト13の周回で包装食品装填位置R1に戻される。
【0143】
このように、第3実施形態の食品殺菌装置103によれば、コンベヤベルト13を間欠的に周回させることによる食品装填容器1の間欠周回移動によって、包装食品Pは、装填工程Q1で自動的に食品装填容器1内にされ、予熱工程Q2で予熱され、昇温工程Q3で昇温され、殺菌工程Q4で殺菌処理が施され、冷却工程Q5で100℃以下にまで冷却され、取出し工程Q6で略常温で取り出されるという一連の処理が自動的に順次施され、包装食品Pの殺菌処理の効率化を計る上で有効である。
【0144】
図16は、第2変形形態の包装食品装填容器1aを用いた第4実施形態の食品殺菌装置104を示す斜視図である。なお、図16におけるX−X方向を幅方向というとともに、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方といい、往きベルトの−Y方向を前方または下流方向、+Y方向を後方または上流方向という。但し、返りベルトについては、−Y方向を上流側方向、+Y方向を下流方向という。
【0145】
第4実施形態においては、上蓋4の閉蓋状態をロック可能に構成した食品装填容器1aを採用しているため、食品装填容器1aに包装食品Pを装填した状態で閉蓋ロックすることにより、誘電加熱時に上蓋4が開かないように押圧する必要がなく、従って誘電加熱部7aにおける包装食品Pへの高周波印加構造が簡単な構成になる一方、食品装填容器1aに対するロックおよびロック解除の機構が付加されている。
【0146】
本実施形態においては食品装填容器1aを周回させるベルトコンベヤ(容器移動手段)11aとして、図16に示すように、駆動ドラム12aおよび従動ドラム12b間に張設された幅方向一対のタイミングベルト130が採用されている。かかるタイミングベルト130を幅方向一対で用いることにより、底板3の底部がタイミングベルト130間で外部に露出するようにし、この露出部分に後述する高周波用の下部端子を接触させ得るようにしている。
【0147】
そして、タイミングベルト130の往きベルト130aの部分には、上流側から食品装填容器1aの3個ずつに順次対応するように装填ロック位置R11、事前加熱位置R12、および誘電加熱位置R13が設定されているとともに、返りベルト130bの部分に冷却位置R14、および取出し位置R15が設定されている。
【0148】
上記装填ロック位置R11には、第3実施形態と同様の包装食品装填機構5が設けられているとともに、上蓋4の閉蓋状態をロックするロック機構50が設けられている。そして、包装食品Pが包装食品装填機構5により食品装填容器1aの食品装填室21内に装填されて閉蓋された後に、引き続きロック機構50に所定の動作(具体的には水平姿勢に設定されたロック手段36の操作片38b(図12の(A))を第1水平軸37a回りに反時計方向に一旦回動させてロック片39の係止爪39aを上蓋4の係止突片47aに係合し、ついで操作片38bを反対方向に回して係止爪39aを係止突片47aに係止させる動作)を行わせることにより、包装食品Pの装填された食品装填容器1aの上蓋4の閉蓋状態がロックされるようにしている。
【0149】
上記事前加熱位置R12には、スチームボイラー601を有する加熱媒体発生機構60が採用されているとともに、事前加熱位置R12に位置した3つの食品装填容器1aの上蓋4に当接するように配置された伝熱板991が設けられている。上記スチームボイラー601からのスチームは、スチーム配管602を介して伝熱板991に導入されるようになっており、これによって誘電加熱位置R13での誘電加熱に先立って食品装填容器1a内の包装食品Pが事前加熱されるようになっている。
【0150】
上記誘電加熱位置R13には、誘電加熱部7aと、外部加熱機構80とが設けられている。上記誘電加熱部7aは、高周波発生機71と、この高周波発生機71からの高周波を上部電極としての上蓋4に伝える上部端子720aと、同下部電極としての底板3に伝える下部端子720bとを備えて形成されている。上記上部端子720aは、タイミングベルト130の周回方向に延びるように長尺に形成され、誘電加熱位置R13に位置した3個の食品装填容器1aの上蓋4に当接するようにしてある。また、上記下部端子720bは、上記上部端子720aに上下で対向するようにタイミングベルト130間に設けられ、誘電加熱位置R13に位置した3個の食品装填容器1aは、各底板3が下部端子720bに当接するようになされている。
【0151】
従って、タイミングベルト130の周回で誘電加熱位置R13に到達した3個の包装食品装填容器1は、上下の端子720a,720bに挟持され、これによって食品装填容器1a内の包装食品Pは、底板3および上蓋4を介して誘電加熱されるようになっている。
【0152】
上記外部加熱機構80は、水を加熱して蒸気を発生させるボイラー801と、このボイラー801からの蒸気を圧送するポンプ802と、このポンプ802から吐出された蒸気を、下流側で6つに分岐した蒸気支管803aを介して誘電加熱位置R13に位置した3個の食品装填容器1aの底板3および上蓋4内に送る蒸気配管803と、上記蒸気支管803aの下流端に設けられる接続手段804とからなっている。
【0153】
上記接続手段804は、各蒸気支管803aを3個の食品装填容器1aの流体導入用口金33および流体排出用口金34に接続して開弁するように動作し、これによって蒸気配管803からの加熱蒸気が底板3および上蓋4内に導入され、この加熱蒸気の流通によって包装食品Pが伝熱加熱されるようになっている。そして、誘電加熱位置R13での加熱殺菌処理が完了すると、接続手段804は流体導入用口金33および流体排出用口金34から外されるようになっている。
【0154】
また、食品殺菌装置104は、タイミングベルト130の下半分が浸水するように施工された冷却プール91を有している。そして、上記冷却位置R14は、冷却プール91の中央部より上流側に設定されているとともに、取出し位置R15は同中央部に設定されている。そして、食品装填容器1aは、誘電加熱位置R13での誘電加熱後にタイミングベルト130の周回によって冷却プール91内に浸水され、この冷却プール91内の冷却位置R14で冷却された後、取出し位置R15においてロック解除機構90の作動で開蓋され、包装食品取出し機構9の搬出ベルト92の駆動で系外に排出されるようになっている。
【0155】
上記ロック解除機構90は、上蓋4の閉蓋ロック状態を解除するものであり、移動してきた3個の食品装填容器1aの上蓋4に対して所定の動作(具体的には垂直姿勢に設定されたロック手段36の操作片38b(図12の(B))を第1水平軸37a回りに反時計方向に回動させてロック片39の係止爪39aを上蓋4の係止突片47aから外す動作)を行わせることによりロックを解除し、これによって包装食品Pの装填された食品装填容器1aの上蓋4を自重で開放させ、食品装填室21内の包装食品Pを下方に落下させるようにしている。
【0156】
そして、落下した包装食品Pは、冷却水槽91の水中に浸漬され、搬出ベルト92の駆動で系外に排出される一方、空になった食品装填容器1aは、タイミングベルト130の巡回移動で装填ロック位置R11に戻される。
【0157】
この包装食品殺菌装置104によれば、誘電加熱前に伝熱板991によって食品装填容器1a内の包装食品Pを事前加熱することが可能であり、これによって殺菌効率が向上するとともに、誘電加熱後の食品装填容器1aを水中に水没させて冷却することができ、冷却効率も向するため、全体的な殺菌処理効率を向上させることができる。
【0158】
図17は、食品殺菌装置104の制御系統の一例を示すブロック図である。この図に示すように、食品殺菌装置104の制御系統は、基本的には図14に示す第3実施形態の包装食品殺菌装置110のものと同様であるが、第3実施形態においては、包装食品装填容器1がロック手段36を備えたものでないため、ロック手段36の操作に関する制御が行われないのに対し、第2実施形態においては、食品装填容器1aにロック手段36が設けられており、このロック手段36のロック操作およびロック解除操作に係る制御が行われる点が第1実施形態と異なっている。
【0159】
また、第4実施形態においては、食品装填容器1aへの高周波印加は昇降しない上部端子720aおよび下部端子720bによって行われるようになっているため、第3実施形態で行われるような上部電極72aの昇降のための制御は行われない。
【0160】
そして、制御手段710からは、電動モータ14に所定ピッチでの間欠駆動の制御信号が出力され、これによるタイミングベルト130の間欠的な周回によって食品装填容器1aは間欠的に周回し、食品装填容器1aの間欠的な周回移動の停止時に同期して包装食品装填機構5、ロック機構50、加熱媒体発生機構60、誘電加熱部7a、およびロック解除機構90に向けて制御手段710からそれぞれ所定の制御信号が出力され、これによって上記包装食品装填機構5〜ロック解除機構90が所定の動作を適正に行うことによって、包装食品Pに誘電加熱による殺菌処理が自動的に順次施されるようになっている。
【0161】
なお、包装食品取出し機構9については、起動ボタン121がオンされた時点で駆動を開始し、以後タイミングベルト130の駆動・停止に拘らず駆動が継続され、停止ボタン122が操作された時点に停止するようにしてある。
【0162】
図18は、第4実施形態の食品殺菌装置における包装食品の加熱殺菌処理方式を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は予熱工程〜取出し工程における包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。まず図18の(A)に示すように、食品殺菌装置104による加熱殺菌処理の工程は、包装食品Pを包装食品装填容器1の食品装填室21に装填する装填工程Q1′、包装食品Pの装填された包装食品装填容器1aを予熱する予熱工程Q2′、予熱された包装食品Pを昇温する昇温工程Q3′、昇温された温度を維持して包装食品Pに殺菌処理を施す殺菌工程Q4′、殺菌処理の終わった包装食品Pを冷却する冷却工程Q5′、および冷却後の包装食品Pを食品装填室21から取り出す取出し工程Q6′からなっている。
【0163】
上記装填工程Q1′は食品殺菌装置104の装填ロック位置R11において実行され、上記予熱工程Q2′は事前加熱位置R12において実行され、上記昇温工程Q3′および殺菌工程Q4′は、誘電加熱位置R13において実行され、冷却工程Q5′は冷却位置R14において実行され、上記取出し工程Q6′は取出し位置R15において実行される。
【0164】
以下、タイミングベルト130の間欠駆動によって周回移動する食品装填容器1aの一つに注目して上記各工程について説明する。食品装填容器1aが装填ロック位置R11に到達すると上記装填工程Q1′が実行される。すなわち、シリンダ装置53の駆動によって操作ロッド54が下降され、これによって停止状態の食品装填容器1aの操作突片45が下方に向けて押圧されて上蓋4が開放される。ついで装填装置51の駆動によって包装食品Pが食品装填室21内に装填され、装填後にシリンダ装置53の駆動で操作ロッド54が上昇して上蓋4が閉じられ、包装食品Pが食品装填室21内に装填された状態になる。
【0165】
ついで、ロック機構50が駆動され、ロック機構50の所定の動作によって上蓋4の閉蓋状態がロックされる。この閉蓋状態のロックは、水平姿勢に設定された操作片38bに対するロック機構50の所定の動作によって行われる。具体的には水平姿勢に設定されたロック手段36の操作片38b(図12の(A))を第1水平軸37a回りに反時計方向に一旦回動させてロック片39の係止爪39aを上蓋4の係止突片47aに係合し、ついで操作片38bを反対方向に回して係止爪39aを係止突片47aに係止させる動作によって行われる。こうすることでロック手段36は、係止爪39aが係止突片47aに係合した図11に示すロック状態になり、これによって包装食品Pの装填された食品装填室21内は密閉状態になる。
【0166】
ついで、食品装填容器1aはタイミングベルト130の駆動により下流側に移動して事前加熱位置R12に到達し、到達後にタイミングベルト130が停止され、ここで予熱工程Q2′の処理が施される。すなわち、停止状態の食品装填容器1aに伝熱板991が当接され、この予熱によって図18の(B)に示すように、常温であった包装食品Pは、略40℃にまで昇温される。予熱工程Q2′での予熱処理時間は80秒〜120秒である。
【0167】
予熱工程Q2′での予熱処理が完了すると、食品装填容器1aは、タイミングベルト130の駆動で誘電加熱位置R13に移動される。タイミングベルト130が停止すると、上蓋4は上部端子720aに接続されるとともに、底板3は下部端子720bに接続された状態になり、これによって上蓋4および底板3が実質的に対向電極になる。この状態で高周波発生機71の駆動によって予熱された包装食品Pを略130℃まで昇温する昇温工程Q3′が実行され、引き続き略130℃を維持する殺菌工程Q4′が実行される。なお、本実施形態においては、殺菌工程Q4′では誘電加熱は停止され、後述する外部加熱機構80による熱供給のみで殺菌温度が維持される。上記昇温工程Q3′での昇温処理時間は60秒〜90秒であり、殺菌工程Q4′での殺菌処理時間は20秒〜30秒である。従って、誘電加熱位置R13での処理時間は、昇温工程Q3′および殺菌工程Q4′の合計で80秒〜120秒である(図18の(B))。
【0168】
また、昇温工程Q3′においては、包装食品Pには、上記誘電加熱部7aによる誘電加熱に加えて外部加熱機構80による補助加熱が施される。すなわち、食品装填容器1aが誘電加熱位置R13に到達すると、接続手段804の動作によって蒸気支管803aが底板3および上蓋4の流体導入用口金33,43に接続されて各流体通路32,42(図12)にボイラー801からの熱風が供給され、これによって食品装填容器1aは底板3および上蓋4を介して補助加熱される。この補助加熱は、殺菌工程Q4′の終了まで継続される。
【0169】
そして、昇温工程Q3′の後半および殺菌工程Q4′においては、食品装填室21内の包装食品Pは100℃以上に加熱されるが、上蓋4の閉蓋状態がロック手段36によってロックされて食品装填室21内は高圧に耐える密封状態になっているため、包装食品P内の水分の沸点が上昇し、これによって上記水分の沸騰が防止され、包装食品Pの破損が阻止される。
【0170】
ついで、昇温工程Q3′での殺菌処理が完了すると、食品装填容器1aはタイミングベルト130の周回によって冷却位置R14に到達し、冷却プール91の水中に水没することによって全体的に冷却され、これによって食品装填容器1a内の包装食品Pも100℃強にまで冷却される。冷却処理時間は80秒〜120秒である(図18の(B))。
【0171】
ついで、食品装填容器1aはタイミングベルト130の駆動で食品装填容器1aは取出し位置R15に到達する。ここでロック解除機構90の動作によってロック手段36が操作されて図12の(A)に示すようにロック解除状態とされ、食品装填容器1aの閉蓋状態の上蓋4が自重で開放し、食品装填室21内の包装食品Pが冷却プール91内に放出される。放出された包装食品Pは、冷却プール91内の水に直接浸かって100℃以下にまで冷却されて搬出ベルト92によって運び出されるとともに、空になった食品装填容器1aはタイミングベルト130の周回で装填ロック位置R11に戻される。食品装填容器1aが直接水に浸かっている時間は80〜120秒である。
【0172】
このように、第4実施形態の食品殺菌装置104によれば、タイミングベルト130を間欠的に周回させることによる食品装填容器1aの間欠周回移動によって、包装食品Pは、装填工程Q1′で自動的に食品装填容器1a内にされ、予熱工程Q2′で予熱され、昇温工程Q3′で昇温され、殺菌工程Q4′で殺菌処理が施され、冷却工程Q5′および取出し工程Q6′でで100℃以下にまで冷却されるという一連の加熱殺菌処理が自動的に順次施される。
【0173】
そして、第4実施形態においては、ロック手段36が設けられた食品装填容器1aが用いられ、上記ロック手段36によって上蓋4の閉蓋状態をロックし、これによって食品装填室21内を密封状態にすることができるとともに、包装食品Pは外面が食品装填室21の内壁面に密着しているため、昇温工程Q3′および殺菌工程Q4′において包装食品Pが100℃以上に加熱されても、包装食品Pの外形が維持され、水分の沸騰による膨張で包装食品Pが破損するという不都合が確実に防止される。
【0174】
図19は、第4実施形態の食品殺菌装置104の変形形態を示す斜視図である。この変形形態の食品殺菌装置104aにおいては、誘電加熱部7aに小型の3台の高周波発生機(第1高周波発生機711、第2高周波発生機712および第3高周波発生機713)が設けられているとともに、上部端子720aは、上流側から順次第1上部端子720a1、第2上部端子720a2および第3上部端子720a3に三分割されている。各上部端子720a1,720a2,720a3は、誘電加熱位置R13に位置した3つの食品装填容器1aの内の最上流側のものに対して第1上部端子720a1が当接し、中央部のものに対して第2上部端子720a2が当接し、最下流側のものに対して第3上部端子720a3が当接するように位置設定されている。
【0175】
そして、第1上部端子720a1に対しては第1高周波発生機711からの高周波が印加され、第2上部端子720a2に対しては第2高周波発生機712からの高周波が印加され、第3上部端子720a3に対しては第3高周波発生機713からの高周波が印加されるようになっている。その他の構成は先の第4実施形態の食品殺菌装置104と同様である。
【0176】
かかる構成によれば、誘電加熱位置R13に位置した3つの食品装填容器1aのそれぞれに対して小型の高周波発生機711,712,713からの高周波がそれぞれ別個に供給されるため、同じ端子から3つの食品装填容器1aに高周波が供給される場合にはそれぞれの食品装填容器1aに高周波が均等に印加され難くなるという不都合が生じず、誘電加熱位置R13に位置した3つの食品装填容器1a内の包装食品Pに常に均一に高周波が印加される。従って、3つの食品装填容器1a内の各包装食品Pに対して常に同一時間で殺菌処理が完了するため、安全を見込んで加熱時間を長めに設定する必要がなくなり、その分殺菌処理効率が向上する。
【0177】
図20は、第4実施形態の食品殺菌装置104における高周波電力の給電方式の他の実施形態を示す説明図である。この給電方式にあっては、包装食品装填容器1aの上蓋4に、移動方向に直交して水平方向に突出した平板状の可動電極板48が設けられている一方、この可動電極板48が隙間を非接触で通過する二股状の固定電極板74が設けられ、この固定電極板74に高周波発生機71からの高周波電力が供給されるようになっている。また底板3は、包装食品殺菌装置10aの適宜の部材を介してアースされている。
【0178】
この給電方式によれば、固定電極板74と可動電極板48とは空気の層を介したそれぞれの対向面間で容量結合されるため、高周波電極を包装食品装填容器1aに接触させることなく高周波発生機71からの高周波電力が包装食品Pに供給され、これによって給電方式が簡素化されるとともに、電極の包装食品装填容器1aへの接触状態を検査したり、調整するような面倒なメンテナンス作業を省略することができる。
【0179】
図21および図22は、本発明に係る食品殺菌装置の第5実施形態を示す斜視図であり、図21は上蓋が開放された状態、図22は上蓋が閉止された状態を示している。また、図23は、図22のC−C線断面図である。なお、以下図21および図22におけるX−X方向を幅方向というとともに、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方といい、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0180】
これらの図に示すように、食品装填容器1fは、上記の容器本体と同一の強靱な絶縁材料からなる容器本体2eと、この容器本体2eの食品装填室21の底部に設けられた底板3dと、上記容器本体2eの外周面および底面を覆った金属製のケーシング209と、上記容器本体2eの食品装填室21を開閉自在に閉止する上蓋4cと、この上蓋4cの閉止状態をロックするロック機構500とを備えた構成を有している。
【0181】
上記容器本体2eは、図21に示すように、平面視で略正方形状を呈し、その中央部に平面視で正方形状でかつ直方体状の食品装填室21が2室凹設されている。容器本体2eの上縁部には環状溝が形成され、この環状溝にOリング24が、上半分を外部に突出させた状態で装着されている。また、食品装填室21の底部中央には貫通孔250(図23)が貫設されている。
【0182】
上記底板3dは、金属製の平板によって形成され、外周縁部が内壁面に摺接状態で食品装填室21内に嵌め込まれ得るように正方形状に形状設定されている。かかる底板3dの下面側中央部には、図23に示すように、上記貫通孔250に対応し、かつ、貫通孔250の内径寸法より小さい外径寸法を備えた端子棒31dが下方に向かって突設されている。
【0183】
上記ケーシング209は、上部が開放した平面視で正方形状の箱型のケーシング本体211と、このケーシング本体211の幅方向両側部の上縁部から外方に向かって突設された幅方向一対のウイング212とを備えて形成されている。これらウイング212は、それぞれ上面が水平面になるように面設定されているとともに、先端側に向かって厚み寸法が漸減するように厚み設定されている。
【0184】
また、ケーシング本体211の底部には、上記容器本体2eの貫通孔250に対応した部分に上記貫通孔250と同一径寸法の貫通孔213が穿設され、底板3dが容器本体2eの食品装填室21内の底部に装着された状態で、上記端子棒31dは、貫通孔250に内嵌されるようになっており、これによってケーシング209とは絶縁状態で食品装填容器1fの底部から端子棒31dの先端部が突出するようになっている。そして、この端子棒31dの突出部分が高周波発生機71からの高周波を接続する接続端子32dとして利用されるようにしている。
【0185】
このようなケーシング209にも、その上縁部に環状溝が凹設されているとともに、この環状溝にOリング24が嵌め込まれ、上蓋4cが閉止された状態でその裏面が容器本体2eおよびケーシング209に設けられた2個のOリング24に当接し、これらOリング24による二重のガードで食品装填室21内の密閉状態を確実に確保することができるようになっている。
【0186】
また、ケーシング本体211の前方縁部には、食品装填室21内に熱媒体を導入するための流体導入用口金330と、食品装填室21内の用済みの熱媒体を外部に排出するための流体排出用口金340とが設けられている。これら口金330,340にはそれぞれ開閉弁が設けられ、これら開閉弁の開閉操作によっ食品装填室21内と外部との間の連通と遮断とを切り換えることができるようにしている。
【0187】
上記上蓋4cは、図22に示すように、平面視でケーシング209と同一の正方形状を呈し、かつ、前方周縁部において蝶番41cを介してケーシング209に取り付けられ、蝶番41cの水平軸回りに回動して食品装填室21に対し開閉し得るようになっている。また、上蓋4cは、図略の付勢手段の付勢力によって、普段は閉止されるとともに、食品装填室21内に対して包装食品Pを挿脱するときのみ開放されるようにしている。
【0188】
このために上蓋4cの前方縁部には操作突片45が突設されている一方、食品装填容器1fの移送経路の適所には図略の駆動手段の駆動によって出没する操作ロッド54aが設けられ、この操作ロッド54aが突出した状態で所定位置に位置した食品装填容器1fの操作突片45が押圧されることにより、図21に示すように、上蓋4cが開放されるようになっている。
【0189】
かかる上蓋4cは、裏面側が平面状に形成されているとともに、表面側の幅方向両縁部に厚み寸法が先細りに漸減する傾斜部42cを有しており、これによって上蓋4cが閉止された状態で傾斜部42cと上記傾斜部42cとで外方に向かって先細りに形成された、上記ロック機構500によってロックされる被ロック部214が形成されている。
【0190】
上記ロック機構500は、ケーシング本体211の幅方向両側部の前方寄りの部分に外方に向かって突設された幅方向一対のヒンジ510と、各ヒンジ510に垂直軸511回りに回動自在に軸支された幅方向一対のロック腕550とを備えて構成されている。上記ロック腕550は、直方体状のロック腕本体551と、このロック腕本体551の下端縁部からロック腕本体551の長手方向に延設された突出ロッド552と、上記ロック腕本体551の一側面に上記被ロック部214に対応して設けられた長手方向に延びる上下一対のロック突条553とからなっている。そして上記ロック腕550は、図略の付勢手段の付勢力によって、普段は、図21に示すように、ケーシング209から幅方向に延びるロック解除姿勢に設定されているとともに、誘電加熱が施されるときは、図22に示すように、閉止状態の上蓋4cを係止するロック状態に設定されるようしている。
【0191】
上記突出ロッド552は、その先端側が垂直軸511に軸支されることによりロック腕550が垂直軸511回りに回動し得るようになっているとともに、上記ロック突条553は、右方(左方)のロック腕550の場合、ロック腕本体551が垂直軸511回りに反時計方向(時計方向)に回動することによって、図22に示すように、上記左右の被ロック部214がそれぞれ上下一対のロック突条553によって挟持され、これによって上蓋4cの閉止状態がロックされるようになっている。
【0192】
このような突出ロッド552は、互いの対向面が上記被ロック部214の上下の傾斜面に面接触で摺接し得るように傾斜設定され、これによって被ロック部214がロック腕550によってロックされた状態で上蓋4cによる食品装填室21の閉止状態が確実に行われるようになっている。
【0193】
このような食品装填容器1fは、図21〜図22に示すように、ケーシング209の底部が食品殺菌装置105(第5実施形態)の幅方向一対のコンベヤベルト131に固定され、コンベヤベルト131の周回駆動で所定の循環経路を循環移動しつつ食品装填室21に装填された包装食品Pに誘電加熱による殺菌処理が施されるようになっている。
【0194】
ところで、本実施形態においては、上記食品殺菌装置105は、その誘電加熱域R30にコンベヤベルト131に平行に配設された幅方向複数対の押圧ローラ16が設けられている。各押圧ローラ16は、前後方向に延びる支持部材17にその垂直軸16aが支持され、これによって垂直軸16a回りに回転自在に軸支されている。幅方向で互いに対向した各一対の押圧ローラ16の間の距離は、上記ケーシング本体211の一対のヒンジ510の先端部間の距離と略同一に寸法設定されているとともに、前後方向で隣接する押圧ローラ16間の間隔は、ロック腕本体551の前後長よりも短く設定されている。
【0195】
また、食品殺菌装置105は、誘電加熱域R30においてコンベヤベルト131より下部に長手方向に向かって敷設された端子線18を有しており、この端子線18には高周波発生機71からのプラスの高周波電圧が印加されるようにしてあるとともに、押圧ローラ16を支持する支持部材17には高周波発生機71からのマイナスの高周波電圧が印加されるようにしてある。
【0196】
従って、食品装填室21内に包装食品Pが装填され、かつ、上蓋4cの閉止された食品装填容器1fがコンベヤベルト131の駆動によって前方に向かって移動し、誘電加熱域R30に到達すると、ケーシング本体211から突出してロック解除姿勢になっている幅方向一対のロック腕550がまず最上流側の一対の押圧ローラ16に当接し、食品装填容器1fの前進に伴って各ロック腕550が垂直軸511回りに後方に向かって回動する。
【0197】
そして、食品装填容器1fが誘電加熱域R30に突入した状態では、図22に示すように、上蓋4cが閉止された状態の食品装填容器1fの被ロック部214(図22)がロック腕550のロック突条553によって押圧挟持された状態になるとともに、端子棒31dの接続端子32dが端子線18に当接した状態(図22)になり、これによって高周波発生機71からの高周波電圧が底板3dから食品装填室21内の包装食品Pに印加されて包装食品Pに誘電加熱が施される。
【0198】
また、食品装填容器1fが誘電加熱域R30に位置した状態では、流体導入用口金330を介して食品装填室21内に加圧熱風が供給されて食品装填室21内が3気圧以上に昇圧され、これによって包装食品Pの破袋が阻止されるとともに、包装食品Pに対して補助加熱が施されて包装食品P内が均一な温度分布になるようにしている。
【0199】
上記食品装填容器1fによれば、食品装填容器1fの誘電加熱域R30への移動によるロック腕550の支持部材17に対する当接によって上蓋4cの閉止状態がロックされるとともに、食品装填容器1fが誘電加熱域R30を抜け出ることによってロックが解除されるように構成されているため、ロックおよびロック解除のためのロック機構500が簡単な構造になり、その分設備コストの低減化に寄与することができる。
【0200】
図24は、本発明に係る第6実施形態の食品殺菌装置106を示す説明図であり、(A)は側面断面視の図、(B)は(A)のD−D線矢視図である。この実施形態においては、食品装填容器1gは、平面視で縦横に配列された4つの食品装填室21を有する容器本体2bと、この容器本体2bの下部に積層された金属製の底板3eと、容器本体2bの上部に積層された金属製の中間板219と、この中間板219の上部に積層され、かつ、上記容器本体2bと同一の材料からなる絶縁板230と、この絶縁板230の上部に積層された金属製の上蓋4dとからなっている。
【0201】
上記容器本体2bには、包装食品Pを装填する食品装填室21,21aが設けられ、この食品装填室21,21a内に包装食品Pを装填した状態で容器本体2b上に中間板219、絶縁板230および上蓋4dが順次積層されることによって食品装填室21,21a内に密閉空間が形成されるようにしている。このような食品装填容器1gの底板3eの底面には、幅方向(図24(B)の紙面の左右方向)一対で前後方向(図24(A)の紙面の左右方向)に延びる下部ガイド溝301が凹設されているとともに、上蓋4dの上面にも同様の上部ガイド溝401が凹設されている。
【0202】
一方、本変形形態の食品装填容器1gに適用される食品殺菌装置106(第6実施形態)は、幅方向で互いに対向した複数対の下部ローラ191と、上方でこれら下部ローラ19に対向した複数対の上部ローラ192と、食品装填容器1gを誘電加熱域R31に押し込むプッシャーラム193とを備えている。上記プッシャーラム193は、図略の駆動機構の駆動によって前後方向に往復動するように構成され、往動時には食品装填容器1gを誘電加熱域R31に向けてそれを通過するまで押圧するようになっている。
【0203】
上記下部ローラ191の幅方向芯間の距離は、上記下部ガイド溝301間の芯間距離に等しく寸法設定され、これによって、図24の(B)に示すように、左右の下部ローラ191は、左右の下部ガイド溝301に嵌まり込んだ状態で食品装填容器1gを前後方向に移動可能に支持するようになっている。
【0204】
また、誘電加熱域R31においては、上記上部ローラ192の幅方向芯間の距離は、上記上部ガイド溝401間の芯間距離に等しく寸法設定され、これによって下部ローラ191に支持されて誘電加熱域R31を移動する食品装填容器1gは上部ガイド溝401に嵌まり込んだ上部ローラ192に押圧されて食品装填室21,21a内の加圧状態を維持し得るようになっている。
【0205】
また、上部ローラ192は、誘電加熱域R31より上流側(図24(A)の右方)においては、上流に向かって高さレベルが漸増するように高さ設定され、これによって誘電加熱域R31より上流側に位置した食品装填容器1gは、プッシャーラム193によって前方に向けて押圧されることにより、誘電加熱域R31に容易に入り込み得るようになっている。
【0206】
そして、食品装填容器1gが誘電加熱域R31に押し込まれた状態で、図略の高周波発生機からの高周波電圧が中間板219および底板3eを介して食品装填室21,21a内の包装食品Pに印加され、これによって包装食品Pが誘電加熱されるとともに、内壁非密着タイプの包装食品Pの場合には食品装填室21a内に加圧熱風が供給されて補助加熱が施されるとともに、包装食品Pの破袋が防止されるようになっている。
【0207】
このような食品装填容器1gによれば、食品装填容器1gに複雑な構造のロック機構を設けることなく誘電加熱域R31において食品装填室21,21a内を密封空間にすることが可能であり、食品装填容器1gの構造を簡単なものにすることができ、食品装填容器1gの製造コストの軽減化を図る上で有効である。
【0208】
図25は、本発明に係る食品装填容器の変形形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面視の断面図である。この変形形態においては、食品装填容器1hは、エポキシ樹脂等の合成樹脂からなる上下に分割可能な容器本体2fと、この容器本体2fの底部を形成する金属製の底板3eと、同天井部を形成する天板4eとを備えて構成されている。
【0209】
上記容器本体2fは、下部容器本体(単位環状枠体)20fと、この下部容器本体20fに積層される上部容器本体(単位環状枠体)21fとからなっている。そして、下部容器本体20fには、トレイ状の包装食品Pを装填する上下に貫通した貫通孔が設けられ、この貫通孔の下部を底板3eで閉止することによって下部容器本体20fの中央部に上部が開口した下部食品装填室21xが形成されている。
【0210】
そして、上記下部食品装填室21xは、内周面の立体形状が包装食品Pの外周面の立体形状に一致するように形状設定されているとともに、下部食品装填室21xの上縁部には環状縁部P2が嵌まり込む環状段差縁部261が設けられ、包装食品Pを下部食品装填室21xに装填することによってその容器本体P1の外周面が下部食品装填室21xの内周面に密着するとともに、環状縁部P2が環状段差縁部261に嵌まり込み、これによって合成樹脂シートP3からなる包装食品Pの上面が下部容器本体20fの上面と面一になるようにしている。
【0211】
上記上部容器本体21fは、厚み寸法が上記下部食品装填室21xより大きく寸法設定されているとともに、上記下部食品装填室21xを上下逆転させた立体形状より若干深めになるように下面部から凹設された凹部を有しており、これによって上部容器本体21fには天井部263が形成された状態になっている。この凹部の底(天井面)に平板状の上部電極板40を嵌め込んで固定することにより包装食品Pを装填する上部食品装填室21yが形成されている。かかる上部食品装填室21yの下部周縁部には、下部容器本体20fの環状段差縁部261に対応した環状段差縁部262が設けられ、これによって上下逆転させた状態の包装食品Pを上部食品装填室21yに装填すれば、包装食品Pの合成樹脂シートP3の下面と、上部容器本体21fの下面とが面一状態になるようにしている。
【0212】
従って、下部食品装填室21xおよび上部食品装填室21yの各食品装填室21x,21yにそれぞれ包装食品Pを装填した状態で各食品装填室21x,21yを互いに対向させて両者を合わせて押圧することにより、容器本体2f内に上下で2個の包装食品Pが密封状態で収容されることになる。
【0213】
また、上部容器本体21fの天井部263および天板4eには中央部分に貫通孔264が穿設され、この貫通孔264によって上部電極板40が外部に露出するようにしてある。そして、この貫通孔264を介して高周波電力供給用の端子が上部電極板40に接続され、これによって上部電極板40に高周波電力が供給されるようになされている。
【0214】
上記底板3eは、一方の縁部に外方に向かって突設された下部蝶番31を有している一方、上記天板4eは、下部蝶番31に対応した上部蝶番41を有しており、これら上下の蝶番31,41が水平軸回りに相対回動可能に接続されること上部容器本体21fが下部容器本体20fに対して開閉自在に接続されている。
【0215】
また、容器本体2fは、蝶番31,41が設けられた側面と反対側の側面に形成されたロック手段380を有している。このロック手段380は、底板3eの縁部に外方に向かって突設された一対のブラケット381と、これらブラケット381間に挟持されて水平軸382回りに回動自在に軸支されたロックロッド383と、このロックロッド383の下端部から分岐延設されたロッド操作片384とからなっている。
【0216】
上記ロックロッド383は、上部容器本体21fに対向した面に凹設された係止溝383aを有している。この係止溝383aは、上部容器本体21fが下部容器本体20fに重ねられた状態で天板4eの縁部に嵌まり込み得るように設置位置が設定されている。
【0217】
従って、上部容器本体21fを下部容器本体20fに重ねた状態でロッド操作片384を操作してロックロッド383を水平軸382回りに時計方向に回動させることにより、上記係止溝383aが天板4eの縁部に外嵌し、これによって容器本体2fの閉止状態が維持されたロック状態になるとともに、ロッド操作片384に操作でロックロッド383を水平軸382回りに反時計方向に回動させることにより、上記ロック状態が解除されることになる。かかるロックロッド383の回動操作は、容器本体2fの移動系路の適所に設けられた上下一対のシリンダ装置のいずれかを駆動させてピストンロッドを昇降させることによって行われる。
【0218】
かかる食品装填容器1hによれば、上部電極板40を合成樹脂製の上部容器本体21fの上部食品装填室21y内に設け、相当大きい内径を有する貫通孔264を通して高周波電力を上部電極板40に供給するようにしているため、底板3e、下部蝶番31、上部蝶番41およびロック手段380と、上部電極板40とは合成樹脂製の容器本体2fを挟んで絶縁状態になっており、従って、上下の蝶番31,41およびロック手段380を金属製にしても高周波電力が短絡することはなく、食品装填容器1hを構造上丈夫なものにすることができる。
【0219】
また、容器本体2f内に加熱むらの生じない状態で2個の包装食品Pを装填することが可能になり、包装食品Pの殺菌処理効率の向上を図ることが可能になる。
【0220】
なお、このような食品装填容器1hにおいて、特にロック手段380を設けず、その代り食品装填容器1h内の包装食品Pに高周波電力を供給するに際し、閉止された上部容器本体21fを下部容器本体20fの方向に押圧するプレスマシンを採用し、このプレスマシンによる押圧処理によって高周波加熱時の食品装填室21x,21y内の高圧に耐え得るようにしてもよい。
【0221】
図26は、本発明に係る食品装填容器の他の変形形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面視の断面図である。この変形形態の食品装填容器1iは、食品装填室内を高圧に維持し、これによって高周波加熱時の包装食品Pの膨張を抑制するタイプのものである。図26に示すように、食品装填容器1iは、金属製の上下に分割可能な平面視で円形の容器本体2gと、この容器本体2g内に装備された対向電極板(下部電極板30および上部電極板40)とからなる基本構成を有している。
【0222】
上記容器本体2gは、深鍋状の下部容器本体20gと、この下部容器本体20gに被せられる鍋蓋状の蓋体21gとからなっている。下部容器本体20gの上部周縁には、外方に向かって下部が先細りで突設された全周に亘る下部環状突条271が設けられているとともに、蓋体21gの周縁部には、上記下部環状突条271対応した上部が先細りの上部環状突条272が設けられている。そして、下部容器本体20gに蓋体21gを被せた状態で、互いに当接した下部環状突条271および上部環状突条272によって形成された断面視で楔形状の部分に、内面側に係止溝273aを有する一対の半円形状のクランプバンド273が装着されてボルト止めされ、これによって容器本体2g内を密閉状態にし得るようになっている。
【0223】
また、上記蓋体21gの中央部には嵌挿孔が穿設され、この嵌挿孔に絶縁材料からなる栓体274が嵌挿されている。そして、この栓体274を貫通して高周波電力を上部電極板40に供給する導線が容器本体2g内に引き入れられている。
【0224】
かかる容器本体2gは、上記下部容器本体20gに一体に取り付けられた下部蝶番31と、上記蓋体21gに一体に取り付けられた上部蝶番41とが水平軸回りに相対回動可能に結合されることによって形成され、これによって蓋体21gは下部容器本体20gに対して開閉自在になっている。
【0225】
上記下部電極板30は、下部容器本体20gの内底部に立設された複数本の導電体製の棒状支持部材293によって支持されている一方、上記上部電極板40は、蓋体21gの天井面から垂下された絶縁体製の複数本の棒状支持部材294に吊持されている。そして、かかる下部電極板30と上部電極板40との間に包装食品Pを装填する装填空間が形成されている。本実施形態においては、上記装填空間は、2個の包装食品Pを並べて配置し得るように上下の電極板30,40の平面寸法が設定されている。
【0226】
また、下部容器本体20gの底部には、容器本体2g内に流体を導入するための第1オートカプラー275および容器本体2g内の流体を排出するための第2オートカプラー276が設けられ、必要に応じて所定の管の各オートカプラー275,276に対する接続操作を行うことにより第1オートカプラー275を通して容器本体2g内に熱風、加圧空気、加熱蒸気あるいは冷却水等が導入され、一旦導入された流体が必要に応じて第2オートカプラー276を通して外部に排出されるようになっている。
【0227】
なお、下部電極板30と上部電極板40との間にトレー状の包装食品Pに面接触する密封部材23zを装着すれば、容器本体2g内に加圧気体を導入して加圧しなくても、包装食品Pを100℃以上に誘電加熱し得るようになる。
【0228】
第10変形形態の食品装填容器1iによれば、容器本体2gが栓体274を除いて全体的に金属製のもので形成されているため、材料コストが安価でありながら容易に耐圧構造にすることができ好都合である。
【0229】
図27は、本発明に係る食品装填容器のさらなる変形形態を示す図であり、(A)は基本型のもの、(B)は改良型のものをそれぞれ示している。この変形形態における基本型の食品装填容器1j(図27の(A))は、図25に示す変形形態と同様に、トレー状の包装食品Pを上下に重ねて容器本体2hに収納するタイプのものであるが、容器本体2hは、上下方向の中央部が絞られた食品装填室21zを有しており、この食品装填室21zに下部食品装填室21x′と上部食品装填室21y′とが形成されている。その他の構成は先の変形形態のものと略同様である。
【0230】
このような変形形態の基本型の食品装填容器1jによれば、食品装填室21zを2分割することなく食品装填室21zの上下(下部食品装填室21x′および上部食品装填室21y′)にそれぞれ1つずつの包装食品Pを装填することができる。
【0231】
また、この変形形態における改良型の食品装填容器1j′(図27の(B))は、ロックロッド383が底板3eの両端部に左右一対で設けられており、これら一対のロックロッド383で絶縁材料を介して天板4eを係止し、容器本体2hの閉蓋状態を確保するようにしている。
【0232】
かかる食品装填容器1j′によれば、各ロックロッド383による天板4eの係止を解除した状態で、天板4eおよび容器本体2hをばらばらに分離することが可能であり、これによって各食品装填室21x′,21y′に対する包装食品Pの装填操作および取り出し操作が容易になる。
【0233】
図28は、本発明に係る食品装填容器であって、対向電極20bの対向面が平面でない変形形態を示す断面視の説明図である。この実施形態の食品装填容器2zにおいては、枠体23は図2に示すものと同様のものが採用されているが、対向電極20b(下部電極210bおよび上部電極220b)には、それぞれの対向面に複数の凹部210cが形成され、この凹部210cにカップ食品等の包装食品Pの上下部を嵌め込むようにしている。その他の構成は図1に示すものと同様である。かかる食品装填容器2zによれば、上下寸法の長い包装食品Pに対しても食品装填容器2zを適用して殺菌処理を施すことが可能になる。
【0234】
図29および図30は、包装材として袋体が用いられた、いわゆるパウチ食品が包装食品Paである場合の食品装填容器を説明するための断面視の説明図である。そして、図29は、複数個の包装食品Paを並列収納する食品装填容器を示し、(A)はその基本型であり、(B)はその応用例である。また、図30は、複数個の包装食品Paを積層収納する食品装填容器を示している。
【0235】
まず、図29の(A)を基に複数個の包装食品Paを並列収納する食品装填容器について説明する。この図に示すように、食品装填容器2pは、図29に示すように、下部電極210および上部電極220からなる対向電極20と、この対向電極20間に挟持される環状枠体230とからなっている。そして、対向電極20によって挟持された状態での環状枠体230内に3つの包装食品Paを並列収納する食品装填室21が形成されるようにしている。すなわち、この食品装填室21は、単位装填室が仕切りのない状態で3室形成された状態になっているのである。
【0236】
かかる環状枠体230の内周面の形状は、3つの包装食品Pa(包装食品の集合物)を食品装填室21内に並列装填し、対向電極20によって環状枠体230を挟持した状態で、左右の包装食品Paの5面が下部電極210、上部電極220および環状枠体230に密着するとともに、中央部の包装食品Paの両側面が左右の包装食品Paの側面と対向電極20に密着し、かつ両端面(図29の紙面に平行な面)が環状枠体230に密着するように設定されている。
【0237】
従って、上部電極220を上昇させて食品装填室21を開放し、食品装填室21内に3つの包装食品Paを装填した後、上部電極220を下降させて食品装填室21を閉止して閉止状態をロックすることにより、食品装填室21内の包装食品Paは、各面が対向電極20、環状枠体230および隣の包装食品Paのいずれかに当接した状態になっているため、対向電極20に高周波を印加して包装食品Paを誘電加熱し、これによって包装食品Paの温度が100℃を越えても、包装食品Paが膨張して破袋するような不都合は起こらない。なお、食品装填室21の容量は、包装食品Pの3つ分であることに限定されるものではなく、2つ分でもよいし、4つ分以上の容量を有していてもよい。
【0238】
ついで、図29の(B)を基に複数個の包装食品Paを並列収納する食品装填容器の応用例について説明する。この応用例においては、上部電極220の上面に非導電性材料からなる第2環状枠体231が密着積層されているとともに下部電極210の両側部には水平軸回りに回動自在に軸支された左右一対のロックロッド383が設けられ、これらロックロッド383の爪片が第2環状枠体231の周縁上面を係止することによって食品装填室21の閉止状態が維持されるされようになっている。そして、下部電極210および上部電極220からなる対向電極20と、この対向電極20間に挟持された環状枠体230と、上記第2環状枠体231とによってこの応用例に係る食品装填容器2p′が形成されている。
【0239】
また、食品装填容器2p′の搬送路の加熱位置には下部電極210の底面に密着状態で当接される金属製の熱盤232が配設されている。この熱盤232には通電発熱体233が内装されており、食品装填容器2p′が加熱位置に移送されて位置設定された状態で、図略の電源からの電力が通電発熱体233に供給され、これによる通電発熱体233の発熱によって食品装填室21内の包装食品Paを補助加熱するようになっている。
【0240】
また、食品装填容器2p′が加熱位置に到達すると、図略の昇降手段の駆動によって上部熱盤234が第2環状枠体231の中央の貫通孔を通って下降され、この上部熱盤234の底面が下部電極210の上面に当接されるようになっている。かかる上部熱盤234にも通電発熱体233が内装されている。そして上部熱盤234および上記通電発熱体233には、高周波発生機71からの高周波電力が供給されるように電気的に接続されている。従って、食品装填容器2p′が加熱位置に位置した状態で、上部熱盤234を下降させることにより、対向電極20が通電発熱体233および上部熱盤234間に挟持された状態になり、この状態で高周波発生機71を駆動することによって、食品装填室21内の包装食品Paは誘電加熱されることになる。また、この誘電加熱時に、各熱盤232,234内の通電発熱体233に通電することによる発熱で食品装填室21内の包装食品Paは補助加熱されるため、食品装填室21内の包装食品Paは、誘電加熱と伝熱加熱との併用でより良好に均一加熱されることになる。
【0241】
なお、図29に示す実施形態の食品装填容器2p,2p′において、食品装填室21内における単位食品装填室間の区切り部分(食品装填容器2p,2p′内の包装食品Paの角部と環状枠体230との間、および互いに当接している包装食品Paの角部間に形成された白抜きの三角形で示された部分)に、対向電極20の対向面を対向方向に向けて膨出させ、この膨出した部分で仕切り部を設け、この仕切り部で各単位食品装填室の区分を明確に設定してもよい。また、対向電極20の対向面の膨出に代えて、絶縁材料で形成された仕切り部を設けるようにしてもよい。
【0242】
つぎに図30を基に複数個の包装食品Paを積層収納する食品装填容器について説明する。この図に示すように、包装食品Paを積層収納する食品装填容器2qは、下部電極210および上部電極220からなる対向電極20と、この対向電極20間に挟持される環状枠体230とからなっている。そして、対向電極20によって挟持された状態での環状枠体230内に2つの包装食品Paを積層収納する食品装填室21が形成されるようにしている。
【0243】
かかる環状枠体230の内周面の形状は、2つの包装食品Pa(包装食品の集合物)を食品装填室21内に積層装填し、対向電極20によって環状枠体230を挟持した状態で、下方の包装食品Paは下部電極210と環状枠体230の内周面とに密着するとともに、上方の包装食品Paは上部電極220と環状枠体230の内周面とに密着するように設定されている。また、環状枠体230の上下寸法は、包装食品Pを2つ積層した高さ寸法より僅かに短めに寸法設定されている。
【0244】
従って、上部電極220を上昇させて食品装填室21を開放し、食品装填室21内に2つの包装食品Paを積層装填した後、上部電極220を下降させて食品装填室21を閉止して閉止状態をロックすることにより、食品装填室21内の包装食品Paは、各面が対向電極20、環状枠体230および他方の包装食品Paに当接した状態になっているため、対向電極20に高周波を印加して包装食品Paを誘電加熱し、これによって包装食品Paの温度が100℃を越えても、包装食品Paが膨張して破袋するような不都合は起こらない。なお、食品装填室21の容量は、包装食品Pの2つ分であることに限定されるものではなく、3つ分以上の容量を有していてもよい。
【0245】
なお、図30に示す食品装填容器2qの場合、上層側の包装食品Paが下層側の包装食品Paより高温になる傾向があるため、加熱途中で積層状態の包装食品Paの上下を逆転させたり、下部電極210の温度を上部電極220の温度より高くなるように補助加熱を施す等、積層された上下の包装食品Paが均一に加熱されるよう温度制御することが好ましい。
【0246】
図31は、本発明に係る食品殺菌装置の第7実施形態を示す平面視の説明図である。この図に示すように、食品殺菌装置107は、平面視で正方形状の食品処理テーブル900と、この食品処理テーブル900の左右の縁部と側方(図31の紙面の下方)縁部とに沿うように配設された平面視でU字形状の補助テーブル901とを備えた基本構成を有しており、食品装填容器100は、これら食品処理テーブル900および補助テーブル901上を所定の順序で移動しながら誘電加熱による殺菌処理が施されるようになっている。
【0247】
上記食品処理テーブル900は、本実施形態においては、縦に6個、横に5個で合計36個の食品装填容器100を載置し得るように寸法設定されている。食品装填容器100としては、先に説明した全てのものを適用することが可能である。また、上記補助テーブル901は、食品処理テーブル900の側端部に平行に設けられた食品受取りテーブル902と、同上流端(左側)に隣接した待機テーブル903と、同下流端(右側)に隣接した食品取出しテーブル904とからなっている。
【0248】
そして、食品受取りテーブル902上に位置した6個の食品装填容器100は、持込みコンベヤ905によって送られてきた包装食品Pが装填された後に補助テーブル901に設けられた搬送ローラ906によって待機テーブル903に移動されるようになっている。そして、6個の食品装填容器100は、待機テーブル903上で所定時間待機した後、所定の押圧手段によって食品処理テーブル900上に一斉に送り込まれて下流側に移動しながら所定の殺菌処理が施され、食品取出しテーブル904上に排出されるようになっている。
【0249】
ついで、食品取出しテーブル904に排出された6個の食品装填容器100は、所定の開蓋手段によって上蓋が開けられ、内部の包装食品Pが所定の取出手段の駆動で食品装填容器100内から取り出されて排出コンベヤ907によって系外に送出されるようになっている。包装食品Pを排出した後の6個の食品装填容器100は、開蓋状態のまま搬送ローラ906により搬送されて補助テーブル901に戻され、ここで包装食品Pが再度装填されることになる。
【0250】
このように6個の食品装填容器100が食品受取りテーブル902、待機テーブル903、食品処理テーブル900および食品取出しテーブル904を循環することによって、持込みコンベヤ905から食品殺菌装置107に送り込まれた包装食品Pは、食品装填容器100に装填されてに所定の殺菌処理が施された後、殺菌済の包装食品Pになって排出コンベヤ907から排出されるようになっている。
【0251】
そして、上記食品処理テーブル900には、上流側から下流側に向かって予熱位置R91、誘電加熱位置R92、および冷却位置R93が順次設定され、予熱位置R91では、食品装填容器100内の包装食品Pが外部熱源によって予熱され、誘電加熱位置R92では、食品装填容器100内の包装食品Pが高周波を印加されることによって誘電加熱されて殺菌処理が施され、冷却位置R93では、冷却水等の外部の冷却源によって食品装填容器100内の包装食品Pが冷却されるようになっている。
【0252】
そして、誘電加熱位置R92においては、6つの食品装填容器100の1つ毎に小型の高周波発振機907が装着され、各食品装填容器100内の包装食品Pはそれぞれ専用の高周波発振機907によって誘電加熱されるようにしている。この高周波発振機907は、誘電加熱位置R92を通過する直前に外されるとともに、新たに誘電加熱位置R92に進入した食品装填容器100に装着されるようになっている。
【0253】
このような小型の高周波発振機907で各食品装填容器100に高周波を印加するようにすることによって、各食品装填容器100内の包装食品Pをばらつきが小さい状態で確実に誘電加熱することが可能になる。
【0254】
なお、誘電加熱位置R92で食品装填容器100に対して高周波発振機907を着脱する代わりに、全ての食品装填容器100に予め高周波発振機907を取り付けておいてもよい。また、1台の高周波発生機71からの高周波電力を各食品装填容器100に分配するようにしてもよい。
【0255】
第7実施形態の食品殺菌装置107によれば、各食品装填容器100が縦横に密集した状態で食品装填容器100内の包装食品Pに加熱殺菌処理を順次施すことが可能になり、装置の据付け面積を小さくすることが可能になり、工場敷地の有効利用を図る上で極めて有効である。
【0256】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0257】
(1)上記の実施形態においては、環状枠体の対向電極に対する当接面に合成ゴム製のOリング24が配設されているものがあるが、対向電極による枠体の挟持のみである程度のシール効果が得られるのであれば、特にOリングを設ける必要はない。
【0258】
(2)上記の実施形態においては、例えば、図29に示すように、上部電極220は金属材料で平板状に形成され、食品装填室21内に装填された複数の包装食品Paのいずれもがこの上部電極220から高周波を印加されるように上部電極220が共用されているが、本発明は、上部電極220が複数の包装食品Paに共用されることに限定されるものではなく、食品装填室21内の各包装食品Pa毎に専用の上部電極を採用してもよい。具体的には、例えば、図32に示すように、図29の上部電極220に代えて、上部電極220と同一形状の絶縁材料からなる蓋体221を採用し、この蓋体の裏面側に食品装填室21に装填された各包装食品Paに対応するように上部電極220cをそれぞれ配設すればよい。こうすることによって、各上部電極に高周波発生機71からの高周波を印加して各包装食品Paを専用の上部電極220cで誘電加熱し得るようになる。なお、各上部電極220cに専用の小型の高周波発振機からの高周波を印加するようにしてもよい。
【0259】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、高周波が印加される対向電極と、この対向電極間に介設される枠体とからなる食品装填容器を備え、この食品装填容器には、内部に包装食品を複数個装填する食品装填室を備えるようにし、食品装填室を、装填された各包装食品の膨張を阻止し得る内面形状に形状設定したため、包装食品は、誘電加熱による膨張が食品装填室の内壁によって阻止され、破袋を防止することができる。従って、従来のように破袋を防止するために食品装填室内を大掛かりに加圧する必要がなくなり、その分設備コストの低減化に寄与することができる。
【0262】
請求項記載の発明によれば、対向電極を、それぞれの対向面が互いに平行な平面で形成し、枠体には、包装食品の側面と略同一の内面形状を設定したため、食品装填容器の構造を簡単なものにすることができる。
【0263】
請求項記載の発明によれば、対向電極の少なくとも一方の対向面に包装食品の外形と略一致した内面形状の凹部を設け、枠体を、包装食品の外面に当接するように形状設定したため、食品装填容器が各種の包装食品に対応し得るものにすることができる。
【0264】
請求項記載の発明によれば、枠体を、積層してなる複数の枠体から構成し、各枠体に、装填される包装食品の側面と同一の内面形状を設定したため、一度に2個の包装食品を食品装填容器内に積層状態で装填することができる。
【0265】
請求項記載の発明によれば、対向電極間に作用して食品装填室を形成した状態に保持する保持手段を設けたため、保持手段によって、加熱により食品装填室内が高圧になっても蓋が開くことはなく、包装食品の破袋を防止することができる。
【0266】
請求項記載の発明によれば、保持手段を食品装填容器に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成したため、食品装填室は、食品装填容器に付設されたロック機構によって閉止状態が維持され、他力方式の保持手段を設ける必要がなく、装置全体としての構造を簡単なものにすることができる。
【0267】
請求項記載の発明によれば、食品装填容器を誘電加熱位置に搬送する搬送路を設けたため、食品装填容器を搬送路を通して順次誘電加熱位置に送り込むことにより、食品装填室内の包装食品に対して連続的にあるいは半連続的に順次殺菌処理を施すことができる。
【0268】
請求項記載の発明によれば、保持手段を搬送路に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成したため、食品装填容器の構造を簡単なものにすることができる。
【0272】
請求項記載の発明によれば、食品装填容器と高周波電力発生部とを1:1で対応させているため、まず、高周波電力発生部は1台の食品装填容器を対象としたもので済ますことができ、これによって高周波発生部の小型化を達成することが可能になり、設備コストの軽減化を達成することができる。
【0273】
また、小型の高周波電力発生部を食品装填容器の1台毎に一体に装備するようにすれば、直流電源あるいは交流の商用電源からの高周波電源発生部に対する給電を導線の接触構造で賄うことが可能であり、給電構造を簡単なものにすることができる。
【0274】
さらに、1台の高周波電力発生部からの高周波を複数の食品殺菌容器に供給する場合、高周波印加量が食品殺菌容器間でばらついて各包装食品間の均一加熱が困難になるという不都合が生じず、包装食品を常に所定時間で所定温度にまで昇温することができる。従って、上記ばらつきを見込んで加熱時間を多めに設定する必要がなくなり、その分殺菌処理効率を向上させることができるとともに、包装食品に対して常に確実な殺菌処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る食品殺菌装置の第1実施形態を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】枠体の一実施形態を示す一部切欠き斜視図である。
【図3】図1に示す食品殺菌装置の断面図であり、(A)は容器が開放された状態、(B)は容器が閉止された状態をそれぞれ示している。
【図4】本発明に係る高周波発生手段の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態の食品殺菌装置を用いて行う加熱殺菌の一例を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は包装食品が食品装填容器に装填された状態で実行される各工程における密封包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。
【図6】本発明に係る食品殺菌装置の第2実施形態を示す一部切欠き斜視図であ
【図7】本発明に係る包装食品装填容器の第1変形形態を示す斜視図であり、上蓋が開放された状態を示している。
【図8】本発明に係る包装食品装填容器の第1変形形態を示す斜視図であり、上蓋が閉止された状態を示している。
【図9】図8のA−A線断面図であり、(A)は上蓋が開放された状態、(B)は上蓋が閉止された状態をそれぞれ示している。
【図10】本発明に係る包装食品装填容器の第2変形形態を示す斜視図であり、上蓋が開放された状態を示している。
【図11】本発明に係る包装食品装填容器の第2変形形態を示す斜視図であり、上蓋が閉止された状態を示している。
【図12】図11のB−B線断面図であり、(A)は上蓋が開放された状態、(B)は上蓋が閉止された状態をそれぞれ示している。
【図13】第1変形形態の食品装填容器を用いた第3実施形態の食品殺菌装置を示す斜視図である。
【図14】食品殺菌装置の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図15】第3実施形態の食品殺菌装置に対応した包装食品の加熱殺菌処理方式を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は予熱工程〜冷却工程における包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。
【図16】第2変形形態の包装食品装填容器を用いた第4実施形態の食品殺菌装置を示す斜視図である。
【図17】食品殺菌装置の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図18】第4実施形態の食品殺菌装置における包装食品の加熱殺菌処理方式を示す説明図であり、(A)は工程図、(B)は予熱工程〜取出し工程における包装食品の温度の経時変化を示すグラフである。
【図19】第4実施形態の食品殺菌装置の変形形態を示す斜視図である。
【図20】第4実施形態の食品殺菌装置における高周波電力の給電方式の他の実施形態を示す説明図である。
【図21】本発明に係る食品殺菌装置の第5実施形態を示す斜視図であり、上蓋が開放された状態を示している。
【図22】本発明に係る食品殺菌装置の第5実施形態を示す斜視図であり、上蓋が閉止された状態を示している。
【図23】図21のC−C線断面図である。
【図24】本発明に係る第6実施形態の食品殺菌装置を示す説明図であり、(A)は側面断面視の図、(B)は(A)のD−D線矢視図である。
【図25】本発明に係る食品装填容器の変形形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面視の断面図である。
【図26】本発明に係る食品装填容器の他の変形形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面視の断面図である。
【図27】本発明に係る食品装填容器のさらなる変形形態を示す図であり、(A)は基本型のもの、(B)は改良型のものをそれぞれ示している。
【図28】本発明に係る食品装填容器であって、対向電極の対向面が平面でない変形形態を示す断面視の説明図である。
【図29】包装材として袋体が用いられたパウチ食品が包装食品である場合の並列収納方式の食品装填容器を説明するための断面視の説明図であり、(A)は基本型のものを示し、(B)はその応用例を示している。
【図30】包装材として袋体が用いられたパウチ食品が包装食品である場合の積層収納方式の食品装填容器を説明するための断面視の説明図である。
【図31】本発明に係る食品殺菌装置の第7実施形態を示す平面視の説明図である。
【図32】給電方式の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
101,102,103,104,105,106,107 食品殺菌装置
1,1a,2p,2q,2x,2z 食品装填容器
20 対向電極
21 食品装填室
23 枠体
3 底板
4 上蓋
71 高周波発生機
P 包装食品

Claims (9)

  1. 高周波電力発生部を有し、この高周波電力発生部からの高周波が供給され、これによって包装食品を誘電加熱により殺菌処理する包装食品殺菌装置であって、高周波が印加される上下の対向電極と、この対向電極間に介設される枠体とからなる食品装填容器を備え、この食品装填容器は、上記包装食品を複数個装填する食品装填室を備えるものであり、上記食品装填室は、装填された各包装食品の膨張変形を阻止し得るように当該各包装食品の立体形状に合致する内面形状で上下方向に対向して形成され、かつ、上下逆転させた状態の包装食品をいの対向面が面一状態で互いに当接し得るように形状設定されていることを特徴とする包装食品殺菌装置。
  2. 上記対向電極は、それぞれの対向面が互いに平行な平面で形成され、上記枠体には、上記包装食品の側面と略同一の内面形状が設定されていることを特徴とする請求項1記載の包装食品殺菌装置。
  3. 上記対向電極の少なくとも一方の対向面に上記包装食品の外形と略一致した内面形状の凹部が設けられ、上記枠体は、上記包装食品の外面に当接するように形状設定されていることを特徴とする請求項1記載の包装食品殺菌装置。
  4. 上記枠体は、積層してなる複数の枠体からなり、各枠体は、装填される包装食品の側面と同一の内面形状が設定されていることを特徴とする請求項1記載の包装食品殺菌装置。
  5. 上記対向電極間に作用して食品装填室を形成した状態に保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の包装食品殺菌装置。
  6. 上記保持手段は、上記食品装填容器に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成されていることを特徴とする請求項記載の包装食品殺菌装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の包装食品殺菌装置において、上記食品装填容器を誘電加熱位置に搬送する搬送路が設けられていることを特徴とする包装食品殺菌装置。
  8. 上記保持手段は、上記搬送路に付設された、食品装填室の閉止状態を維持するロック機構により形成されていることを特徴とする請求項記載の包装食品殺菌装置。
  9. 上記食品装填容器と上記高周波電力発生部とは1対1に対応していることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の包装食品殺菌装置。
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