JP4002102B2 - 高伸縮性染色不織布およびその製造法 - Google Patents

高伸縮性染色不織布およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、染色されたソフト、バルキーで高伸縮性を有する捲縮性不織布およびその製造方法に関する。更には風合、目付、厚み、伸縮性、色相管理が容易で、パップ剤やクラスター等の外用薬の基材、袖口の基材、簡易衣料、カバー材、包装材、合成皮革基材、中入り綿、マスクや自動車天井材などの成形用基材等に適した高品質な捲縮性不織布およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハップ剤やクラスター等に用いられる基布はそのソフトさや伸縮性からニットや嵩高性を有する短繊維不織布が一般に用いられている。短繊維不織布に用いられる短繊維は通常熱処理により捲縮性が得られ易いコンジュゲートタイプが主体的に使用される。これらの短繊維は特開平8−269855号公報に示されるようにポリエステルと熱収縮率が大きく、融点の低い変性ポリエステルとの組合わせによるサイドバイサイド型や偏芯型、偏平2層型等の形状を有し、熱収縮処理による捲縮発現が容易な潜在捲縮性構造であるのが一般的である。
【0003】
これら短繊維はウェッブ形成後、特公平8−14061号公報に記載のようにニードルパンチや特公平8−19611号公報に記載のようにウォーターパンチ等により不織布構造を形成し、更に熱収縮処理により潜在捲縮性繊維の捲縮を顕在化させる。このような不織布は原綿投入から捲縮性不織布製造まで連続工程で行われるのが一般的である。
【0004】
従来、パップ材やクラスターに用いられる基布は現反の白生地のまま使用されるのが一般的であったが、最近は肌色等染色された基布の要望が強く、上述の捲縮性原反を染色したものが使用されている。一般に不織布の染色は日本繊維機械学会不織布研究会編「不織布の基礎と応用」P179、P180に記載のように拡布状で染色できるパッドロール法によるサーモゾル染色やバッチ式染色法であるビーム染色法が利用される。特公平8−14061号公報の実施例1にはウェブを180℃で熱処理後、130℃で60分の染色が示されており、処理時間からバッチ式染色である。不織布を染色する際、ウィンス染色法や液流染色法が避けられる理由は、これらで染色された不織布はバルキーやソフト感に優れるが、染色中に生じるしわ、揉み擦れによる毛羽立ちによる品位不良、形態保持性や耐摩耗性等が不良になるためと考えられる。
【0005】
一方、ビーム染色機は擦れ摩擦による毛羽立ちがなく、耐摩耗性や形態保持性に優れ、単一成分繊維からなる伸縮性のない不織布の染色には適する。しかし、一般に伸縮性を有する捲縮性不織布には、ビームにこれら不織布を張力をかけながら捲き重ねて染色する機構から不織布のビーム捲き始めと捲き終わり、いわゆるビーム内外層の風合、目付、厚み、色相差が不可避であり、また染色バッチ間差が大きく、地薄な生地ほど染色加工管理が困難という欠点がある。解消できない欠点があり、また染色バッチ間差が大きく、地薄な生地ほど染色加工管理が困難という欠点があり、不向きである。未捲縮発現の潜在捲縮性不織布を染色と同時に捲縮を発現させる場合にはこれらの差が更に致命的に拡大されてしまう欠点がある。
【0006】
また、サーモゾ‐ル法は前掲文献に記載のようにポリエステル繊維に180℃の乾燥、キュアリングを施す例があるが、処理温度からこれは単一成分ポリエステル、または高温型低融点成分で構成された2成分紡糸型の短繊維不織布やスパンボンド等が対象と判断される。
特開平8−269855号公報の実施例1には150℃で乾燥捲縮発現され、伸長回復率が62%の不織布が示されている。また、特開平10−219572号公報には伸縮性繊維ウェブをビーム染色を含む110℃以下の染浴温度で染色することが開示されている。しかし、これらによれば未染色品は風合、伸縮性とも優れたものであっても、前掲の従来法による染色方法では未染色品に対し、近似の性能は望めなく、特にビーム染色では不織布の経方向の伸縮性が低下し、また内外層差がなく均一な風合、生地外観、目付、厚み等を有する染色不織布は望め得ない。
【0007】
また、サーモゾル法では低融点成分が溶着、または硬風合で伸縮性が消滅し、染色前品が顕在性不織布の場合は染色前品と異質の染色品になってしまう。このような理由から現実的な対応方法としてはビーム染色法を採用し、ビーム捲き込み長を制限することで染色時のビーム内外層差を軽減する方策が採られている。このため加工バッチ数が増え、高コストな染色生地になることを余儀なくされている。このように、融点差を有する2成分紡糸繊維を使用した捲縮性不織布の合理的な染色加工方法は開示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は安定した染色品位や染色堅牢性を有し、生地風合、目付、厚みが均一で、高伸縮性を有し、しかもコスト低減が可能な不織布とその製法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下のとおりである。
1.染色または印捺された不織布であり、該不織布の経方向の50%伸長時の生地回復率が30%以上であることを特徴とする高伸縮性染色不織布。
2.異なる2成分紡糸繊維からなる潜在捲縮性不織布を熱収縮処理して捲縮性不織布とし、次いで連続染色すること特徴とする高伸縮性染色不織布の製造方法。3.異なる2成分紡糸繊維からなる潜在捲縮性不織布に連続染色すると同時に捲縮を発現させることを特徴とする高伸縮性染色不織布の製造方法。
4.在捲縮性不織布不織布に熱エンボス処理後、連続染色することを特徴とする第2または第3記載の高伸縮性染色不織布の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1)本発明に用いる繊維形態
不織布形態における面積収縮率が乾熱130℃、1分間処理で4%以上を示す融点が異なる潜在捲縮性2成分紡糸繊維を用いる。これら繊維としてポリエステルと変性ポリエステル、またはポリエチレン等が好適に組合せられる。変性ポリエステルはポリエチレンテレフタレートを主体にイソフタル酸、スルフォイソフタル酸、ネオペンチルグルコース、アジピン酸、セバシン酸、ジエチレングリコール等を共重合させた繊維が好ましい。断面形状は異収縮による捲縮発現が容易なサイドバイサイド型、偏心型、偏平2層型等が採用される。変性ポリエステルの融点は120℃から180℃の範囲が好ましく、更に好ましくは140℃から160℃である。融点が低過ぎると低温で捲縮発現されるが、染色堅牢度が低下し好ましくない。逆に融点が高過ぎると捲縮発現に劣り、風合を損ねるため好ましくない。染色堅牢性から変性ポリエステルは本発明 の範囲で高融点タイプが好ましく、低融点タイプならカチオン可染タイプがより好ましい。低融点繊維としてカチオン可染繊維を使用する際には、発色、堅牢性を得るためスチーム発色処理することが効果的である。
【0011】
単糸繊度は1.0dtexから3.3dtex程度が好ましく、これら範囲外では細過ぎると2成分紡糸が困難となり、太過ぎると風合が硬化し、好ましくない。繊維に占める低融点成分は重量比で40〜60%が好ましい。カット長は38mmから51mm程度が好ましい。繊維中に抗菌消臭剤、艶消し剤、蓄熱発熱剤、吸湿剤、芳香剤や他の練り込み剤や繊維表面加工剤が付加されていてもよい。
【0012】
2)不織布形態
本発明の不織布は、短繊維不織布においては潜在捲縮性2成分短繊維単体で、または潜在捲縮性2成分紡糸繊維とポリエステルやカチオン可染ポリエステル繊維等他の繊維との混綿でウェッブ形成後、ニードルパンチ、ウォーターパンチ、ステッチボンド等の公知の方法で得ることができる。混綿の場合、潜在捲縮性2成分紡糸繊維の混率は重量で70%以上とする。70%未満では捲縮性、伸縮性、ソフト風合が得られにくくなるからである。ウェッブ形成は強度、品位の面からクロスレアー方式が望ましい。目付けにおいては、ビーム染色では染色長の制約から安価な単位長当り染色加工賃とするためには薄地に制約されるが、本発明においては特に制約はなく、20g/m2程度の薄地から300g/m2以上の厚地まで広範囲に適用される。
【0013】
本発明においては潜在捲縮性2成分紡糸長繊維によるスパンボンド、メルトブローン、フラッシュ紡糸法で長繊維不織布としてもよい。特にスパンボンド方式は短繊維不織布より安価で短納期、大量生産対応が可能であり、潜在捲縮繊維の捲縮顕在化と同時に発色を実施可能な本発明においては、好適に採用される。また、長繊維不織布ではポリエステル単体のスパンボンドと潜在捲縮性2成分紡糸によるスパンボンド、メルトブローンやフラッシュ紡糸等との重ね合わせによる多層構造体としてもよい。
【0014】
これら不織布製造工程で乾熱、または湿熱、またはこれらの併用処理による捲縮発現処理を行ってもよく、更には不織布を捲縮発現処理することなく、または強度付与の目的で軽度な捲縮発現を行い、染色工程に供することもできる。
【0015】
3)染色方法
不織布をロールから開反し染色工程へ供給する際は、積極駆動ロールの使用で生地への過張力化防止を図ることが望ましい。経方向への過張力による目付低下とそれに伴う生地品位、風合、物性等の低下、バラツキを防ぐためである。
【0016】
本発明においては捲縮発現不織布、または未捲縮発現不織布を拡布状で染色溶液に浸漬後、所望のピックアップ率となるようマングルで絞り、乾熱処理、またはスチーム処理で発色する。または印捺後、乾熱処理、またはスチーム処理で発色させる。染色溶液は染料のみでもよく、または染料溶液に溶剤、染色助剤等を併用してもよい。染色、または印捺発色後、洗浄、乾燥して紙管等に巻き取る。乾燥工程で発色温度より低温熱ロールにより不織布面を圧縮し、フラットな仕上げにしたり、セッター等で乾燥することも可能である。染色・印捺には分散染料やカチオン染料の他、顔料等を用いたインクジェットプリントも好適に採用される。
【0017】
また、捲縮発現不織布、または未捲縮発現不織布にエンボス加工を施し、生地表面に凹凸柄を付与し、染色に供してもよい。エンボス温度は低融点繊維の融点より若干高めの温度でもよく、柄効果と風合の兼合いで適宜設定すればよい。エンボス加工品をビーム染色法で染色すると本発明のような立体的、ソフトで均一性に富む不織布は得られない。
【0018】
本発明における発色温度は、不織布の乾熱温度処理、1分間におけるフリー収縮率が10%以上である温度より高温側に設定される。この収縮率が10%未満では捲縮発現が不十分であり、かつ発色性、染色堅牢度が不十分となり、好ましくない。好ましい収縮率は15%以上、更に好ましくは25%以上であり、50%未満である。50%以上では硬風合化し、伸縮性に劣るものになるためである。
【0019】
160℃以下の低温側で高収縮率を示す2成分紡糸繊維であるほどソフト、高捲縮、高伸縮性の不織布が得られ、本発明には好ましい。発色温度が低融点繊維の融点を超えるほど繊維表面の接着度合が増し、処理後の不織布の風合が硬化し、伸縮性を阻害するため、低融点繊維の融点以上での温度処理は好ましくない。発色、または捲縮発現のための熱処理時間は乾熱では1分程度、高圧スチーム処理では100℃から120℃で10分から20分間程度、高温スチーミング処理では120℃から160℃で5分から10分間程度でよいが、繊維特性、染料濃度等を考慮し、適宜設定される。
【0020】
本発明においては不織布の自重による巾方向の目付変動を防止する目的からネット式コンベアエア型、またはコンベイヤーベルト式のピンテンター等の採用が好ましい。巾出し率、フィード率は0%程度がよく、不織布の潜在熱収縮率により適宜設定される。過度の巾出しや経方向の引張りは風合を損ねる他、地薄部分が目立ち、著しく品位を損ねるので好ましくない。
【0021】
4)製品特性
本発明における染色仕上げられた不織布の伸縮性は50%伸張後の経方向の回復率が30%以上、更に好ましくは35%以上である。30%未満では不織布の風合が硬く、伸縮性に欠け、パップ剤、プラスター等高伸縮性を必要とされる用途には不適である。本発明では50%程度の伸縮性を有する不織布を容易に得ることができる。
ビーム染色ではビームの内層に巻き込まれた不織布は外層のそれに比較し、フラット化し、厚みが薄く、硬くなり伸縮性が劣ってしまう。また、生地品位、外観差が避けられない。内層部を嵩高、ソフトにするため、ビームに不織布をソフト巻きすると染色中に液流により生地が緯方向に伸ばされ、シワや巾不揃い、目付バラツキが発生する。本発明ではこのような不都合が解消でき、均斉な生地外観、品位、均一な厚み、目付、高伸縮性が容易に得られる特徴がある。
【0022】
原綿製造工程で稀に発生する膠着繊維や未延伸繊維、また不織布製造工程中で生じる他ポリエステル繊維の飛散混入等欠点が染色後、濃淡差欠点として発生する。従来のビーム染色等の吸尽染色法は競争染色であるためこれら欠点の回避は困難であるが、本発明ではこれら濃淡差欠点が激減され、生地品位改善効果が得られるという付随的効果があり、染色品歩留まり向上に大きく寄与する。
【0023】
5)測定方法
・ 50%伸長時の回復率:JIS L 1096−1990 6.14.2準拠し、定伸長引張り試験機を用い掴み間隔20cm、引 張り速度20cm/分で50%伸長し、同速で原点まで回復させた時の回復率 を求めた。
・ 厚み: JIS L1913 B法に準拠した。
・ 目付:JIS L1913に準拠した。
・ 不織布の面積収縮率:ウォーターパンチクロスレイヤで100℃乾熱乾燥して得た厚み0.6mm、目付80g/m2 の不織布を用い、JIS L1913−1998に準拠した。
・日光堅牢度:JIS L0841−1998(グレースケール)に 準拠した。
・汗堅牢度:JIS L0848−1996に準拠した。
・色泣き:JIS L0846−1996に準拠した。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例で説明するが本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリエステル(融点262℃)とポリエチレンテレフタレートにネオペンチルグリコールを含有した変性ポリエステル(融点150℃)繊維で、成分比が1:1であるサイドバイサイド型の丸断面形状、繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの潜在捲縮性繊維で構成されたウェッブを形成後、ウォーターパンチで交絡処理し、引き続き乾燥と捲縮発現を130℃、1分間行い、面積収縮率25%、50%伸長時の経方向回復率 48%、目付80g/m2の不織布を得た。次いで該不織布を分散染料1.0g/l(ダイスタージャパン社製Dianix Blue HF−G、Dianix Red HF−G、Dianix Yellow HF−4G を均等使用) と分散剤の混合溶液中に浸漬し、絞り率100%の生地とし、巾出し率とフィード率を0%、ネット式ピンテンターを使用し、発色温度135℃、70秒間の処理を行った。引き続きソーピングし、有り巾、フィード率0%、発色温度120℃で60秒間のピンテンター乾燥を行った。
その結果、嵩高で起毛スエード調ソフト風合と高伸縮性に富み、染色初めと終了部の目付け、厚み、風合差が僅少な均一な不織布が得られた。染色堅牢度も実用的であった。
【0025】
実施例2
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル(融点262℃)とポリエチレンテレフタレートにネオペンチルグリコールを実施例1より少ない量を含有する変性ポリエステル(融点170℃)繊維で、成分比が1:1であるサイドバイサイド型の丸断面形状、繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの潜在捲縮性繊維で構成されたウェッブを形成後、ウォーターパンチで交絡処理し、引き続き乾燥と捲縮発現を160℃、1分間行い、面積収縮率26%(130℃、1分処理で面積収縮率6%)、50%伸長時の経方向回復率 31%、目付80g/m2の不織布を得た。次いで発色温度のみ160℃とした以外は実施例1と同一で実施した。その結果、実施例1より幾分性能は劣るものの、比較例に比べ十分な品質の不織布が得られた。
【0026】
比較例1
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリエステル(融点262℃)とポリエチレンテレフタレートに5−スルフォイソフタル酸ナトリウムとイソフタル酸を含有した変性ポリエステル(融点180℃ )繊維で、成分比が1:1であるサイドバイサイド型の丸断面形状、繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの潜在捲縮性繊維で構成されたウェッブを形成後、ウォーターパンチで交絡処理し、引き続き乾燥と捲縮発現を180℃1分行い、面積収縮率11%(130℃処理で2%収縮率)、50%伸長時の経方向回復率 9%、目付80g/m2の不織布を得た。次いで発色温度のみ180℃とした以外は実施例1と同一で実施した。
その結果、硬風合で嵩高や伸縮性に劣り、全く新規性のない不織布であった。
【0027】
比較例2
実施例1の不織布500mを巻き張力18%でビームに巻き込み、100℃、30分間の分散染料染色(使用染料は実施例1と同一)を行い、排水後、そのままの形態で温風乾燥した。
その結果は染色前の有する残留収縮発現が抑制された、恰も湿熱でアイロン掛けされた平坦な外観を呈し、目付、厚み、色相、伸縮性等ビーム内外層差が大きな不均一な品質の染色品であった。
【0028】
比較例3
実施例1において発色温度のみ180℃とした以外は実施例1と同一で実施した。その結果は嵩高ではあるが、過大な熱収縮により、硬い風合で、かつ伸縮性に劣り、著しく実用性に欠く不織布に仕上がった。
【0029】
実施例3
ポリエステル(融点262℃)とポリエチレンテレフタレートにネオペンチルグリコールを実施例1と同等量を含有する変性ポリエステル(融点150℃)繊維で、成分比が1:1であるサイドバイサイド型の丸断面形状、1.6dtexスパンボンドを得、引き続き捲縮発現を130℃、1分間行い、面積収縮率53%、50%伸長時の経方向回復率47 %、目付30g/m2の不織布を得た。次いで実施例1と同一条件で染色布を得た。その結果、非常にソフトで繊細な風合と高伸縮性に富み、実施例1、2と同様に染色初めと終了部の目付け、厚み、風合差が僅少な均一な不織布が得られた。染色堅牢度も実用的であった。
【0030】
実施例4
実施例3で得たスパンボンドに120℃、10トンでエンボス加工を施した以外は実施例3と同一で染色布を得た。染色前エンボス品では面積収縮率39%、50%伸長時の経方向回復率38%であった。
その結果は、凹凸感が大きく、ソフト、繊細で嵩高、伸縮性に富む審美性豊かな薄地不織布が得られた。
【0031】
比較例4
比較例1で得た不織布に180℃、10トンで実施例4と同一柄のエンボス加工を施した以外は実施例1と同一で染色布を得た。染色前エンボス品では面積収縮率5%、50%伸長時の経方向回復率6%であった。
実施例4に比較し、平坦で柄効果が弱く、更に風合、伸縮性に劣り、著しく実用性に欠けるものであった。
【0032】
【表1】
Figure 0004002102
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば高伸縮性を有し、安定した染色品位や染色堅牢性、更に均一な風合、目付、厚み、伸縮性を有し、しかもコスト低減が可能な染色不織布が容易に得られる。

Claims (4)

  1. 染色または印捺された不織布であり、該不織布の経方向の50%伸長時の生地回復率が30%以上であることを特徴とする高伸縮性染色不織布。
  2. 120℃から180℃の範囲に融点を有する変性ポリエステルとポリエステルとの2成分紡糸繊維からなる潜在捲縮性不織布を熱収縮処理して捲縮性不織布とし、次いで該変性ポリエステルの融点以下の発色温度で連続染色すること特徴とする高伸縮性染色不織布の製造方法。
  3. 120℃から180℃の範囲に融点を有する変性ポリエステルとポリエステルとの2成分紡糸繊維からなる潜在捲縮性不織布を、該変性ポリエステルの融点以下の発色温度で連続染色すると同時に捲縮を発現させることを特徴とする高伸縮性染色不織布の製造方法。
  4. 潜在捲縮性不織布に熱エンボス処理後、連続染色することを特徴とする請求項2または請求項3記載の高伸縮性染色不織布の製造方法。
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