JP4001647B2 - 結晶性半導体膜の作製方法 - Google Patents

結晶性半導体膜の作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、被処理基体をアニールするためのレーザー照射を行なう方法および装置に関する。また、レーザー照射による半導体膜の結晶化または結晶化の助長を行う方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、珪素膜等の半導体膜にレーザ光を照射して、結晶化や結晶化を助長する技術が知られている。
【0003】
例えば、ガラス基板等の絶縁基板上にプラズマCVD法等で非晶質や結晶性の珪素膜を成膜し、それに対してレーザー光を照射することにより、結晶性珪素膜に変成する技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
半導体膜表面に、何らかの理由で有機物が付着した状態でレーザーアニールが行われると、有機物またはそれを構成する成分が膜中に混入してしまい、膜質が低下してしまう。
【0005】
半導体膜は、極微量な不純物の混入で、その特性が大きく変化する。従って、有機物が付着した状態でレーザーアニールを行うと、有機物が付着していた領域の結晶性が低下したり、所望の膜特性が得られなかったり、膜面内において特性が不均一となるなどの問題が生じる。
【0006】
この問題に対し、レーザーアニール前に種々の洗浄工程を行うことが実施されている。しかし、洗浄によっては充分な効果を得ることができないのが現状である。
【0007】
本明細書で開示する発明は、非単結晶半導体膜に対するレーザー光の照射による結晶化やアニールの工程において、非単結晶半導体膜の表面に付着している有機物の影響を排除することを課題とする。
【0008】
具体的には、レーザー光の照射により非単結晶半導体膜を結晶化する工程において、非単結晶半導体膜の表面に付着している有機物の影響によって、得られる膜の結晶性が阻害されたり、効果の再現性が阻害されたりすることを防ぐことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明は、
非単結晶半導体膜の表面をオゾンによって処理させながらレーザー光の照射によりアニールを行うことを特徴とする。
【0010】
レーザー光の照射によるアニール効果を高めるには、100〜500℃程度の加熱を被照射面に対して行う必要がある。この際、加熱を均一なものとするために雰囲気の50%以上をヘリウムとすることが好ましい。
【0011】
またアニール対象が珪素膜の場合は、上記オゾンとヘリウムとの混合雰囲気中に水素を添加することが有効となる。これは、レーザー光の照射と同時に水素が添加された雰囲気中での加熱処理を同時に行うことができ、珪素膜の表面やその内部に存在する不対結合手を中和させることができるからである。
【0012】
珪素膜に対するレーザー光の照射をオゾン雰囲気中で行った場合、珪素膜の表面に酸化膜を形成しながらのアニールが行われる。この酸化膜は、珪素膜の表面を覆い保護する機能を有するもので、レーザー光の照射に従って、珪素膜の表面から飛翔物が飛んだり、またそれに伴う表面の荒れを抑制する役割がある。
【0013】
また、オゾンを選択的にレーザー光の被照射領域に供給できるようにすることで、その効果をさらに高めることができる。
【0014】
本明細書に開示する発明におけるレーザー光としては、連続発振レーザー、パルスレーザー等を用いることができる。特にパルス発振レーザーを用いることは好ましい。また、エキシマレーザー等のパルス発振レーザーを用いることは極めて好ましい。
【0015】
オゾン含有雰囲気としては、オゾン100%の他に、酸素やアルゴンを含有させてもよい。オゾン/酸素の混合気体と不活性ガスとの混合雰囲気であってもよい。
【0016】
オゾン含有雰囲気を形成する手段としては、一般的なオゾン生成装置を用いることができる。またレーザー処理がなされる室内またはその一部を酸素雰囲気とし、この雰囲気を構成する酸素に対して紫外光を照射することでオゾンを生成させてもよい。
【0017】
即ち、レーザー光の照射手段とは別に、オゾンを発生させるのに最適な波長を有する紫外光を発生するUVランプを配置し、レーザー光の照射と同時進行でオゾンを発生させる構成とするのである。
【0018】
このような構成とすることによって、オゾンの発生効率や供給効率を高めることができる。
【0019】
また、レーザー光の被照射面に上記紫外光が照射されるようにすることで、被照射面を活性化させることができ、オゾンによる有機物の除去効果をさらに助長することができる。
【0020】
特に上記紫外線の照射を併用する方法においては、レーザー光の波長や種類をレーザーアニールに最適な波長で選択し、紫外光をオゾンの発生に最適な波長に選択することができる。このような構成とすることで作業効率や効果を高めることはできる。
【0021】
レーザー光の照射による非単結晶半導体膜の表面に対するアニールの際に雰囲気をオゾン含有雰囲気とすることにより、
・半導体膜表面における有機物の除去
・半導体膜表面に酸化膜が形成されることによる結晶性の向上
・半導体膜表面の荒れの防止
といった効果を得、良質な結晶性半導体膜を得ることができる。
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、レーザー光の照射をオゾン雰囲気中で照射することができるレーザー照射装置について示す。
【0023】
図1に本実施例で示すレーザー照射装置の断面の概要を示す。またその上面図を図2に示す。図1において、101はレーザー照射室である。レーザー照射室101は外部から遮蔽され、減圧状態に保つこともできる構成となっている。
【0024】
レーザー光はレーザー照射装置102で発振され、光学系112により断面形状が線状に加工される。そしてミラー103で反射され、石英で構成された窓104を介して被処理基板301に照射される。
【0025】
レーザー発振装置102としては、XeClエキシマレーザー(波長308nm)を発振するものを用いる。他に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を用いることができる。
【0026】
被処理基板301は、台106上に設けられたステージ111上に配置され、台106内に設置されたヒーターによって、所定の温度(室温〜700℃、好ましくは100〜500℃)に保たれる。
【0027】
台106は、移動機構107によって、線状レーザー光の線方向に対して直角の方向に移動され、被処理基板301上面に対しレーザービームを走査しながら照射することを可能としている。
【0028】
レーザー照射室101は、真空排気ポンプ108を備えており、必要に応じて内部を減圧状態または真空状態にすることができる。
【0029】
レーザー照射室101は、オゾン生成装置109と酸素供給部110を有している。オゾン生成装置109は、酸素供給部110より供給される酸素からオゾンを生成する。そして、オゾンと酸素が混合されたオゾン含有気体がレーザー照射室101内に導入され、オゾン含有雰囲気を形成する。
【0030】
必要に応じて、酸素や他の不活性気体を導入するための別の気体供給部を設けてもよい。
【0031】
特に加熱を併用する場合には、ヘリウムを雰囲気の50%以上の割合で混合させることが有効になる。
【0032】
実験によると、ヘリウム100%雰囲気における加熱では、試料を加熱し始めてから所定の温度に安定するまでの時間が、酸素(オゾン)雰囲気である場合に比較して6割程度に短縮することが確かめられている。
【0033】
加熱温度を所定の温度に安定させるのは、レーザー照射工程全体の20%〜50%を閉めるものであり、その所要時間を短縮することは、レーザーアニール工程の短縮化に大きな寄与をする。
【0034】
レーザー照射室101は、ゲイトバルブ401を有し、他の処理室との接続を可能なものとしている。また必要に応じて、ゲイトバルブ401を介して基板(試料)の出し入れを行うことができる構成となっている。
【0035】
図1及び図2に示す装置は、雰囲気をオゾンを含有した雰囲気またはその減圧雰囲気とした状態で、基板301上の非単結晶半導体膜に対してレーザー光の照射を行うことができる。
【0036】
このような構成においては、オゾンの作用によって非単結晶半導体膜上の有機物が酸化除去され、膜中に有機物が混入することを防ぎ、かつ良好な結晶化を行うことができる。
【0037】
〔実施例2〕
本実施例は、実施例1に示したレーザー照射装置を用いてガラス基板上に薄膜トランジスタを作製する場合の例を示す。
【0038】
図3に、実施例の作製工程を示す。まず、被処理基板301として127mm角のコーニング1737ガラス基板を用意する。
【0039】
そして基板301上に下地膜としての酸化珪素膜302を2000Åの厚さに成膜する。成膜方法は、プラズマCVD法を用いる。次に図示しない非晶質珪素膜を500Åの厚さにプラズマCVD法により成膜する。
【0040】
次に10ppm程度の酢酸ニッケル水溶液をスピンコート法により、非晶質珪素膜上に塗布し、ニッケル元素が非晶質珪素膜の表面に接して保持された状態とする。このニッケルを用いた結晶化技術の詳細については、特開平6−244104号に記載されている。
【0041】
この状態において、600℃、4時間の加熱処理を水素含有雰囲気(即ち還元雰囲気)中で行う。この加熱処理により、非晶質珪素膜は結晶化し結晶性珪素膜303(図3(A))へと変成される。
【0042】
なお、最終的に膜中に残留するニッケル元素の濃度は、1×1015〜5×1019原子/cm3 の範囲内に収まることが望ましい。
【0043】
このようにして結晶性珪素膜303が得られる。次に得られた結晶性珪素膜303の結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0044】
レーザーアニールは図1に示す装置を用いて行う。レーザーアニールを行うに当たっては、オゾン雰囲気とし、大気圧下で処理を行う。大気圧以下、例えば0.02〜0.5Torrとしてもよい。
【0045】
オゾン雰囲気は、オゾン/酸素(極力純度の高いものが望ましい)、またはオゾンとヘリウムやアルゴン等の不活性ガスとの混合気体、あるいはオゾン/酸素/不活性気体の混合気体等を用いることができる。ここでは、オゾンを0.1〜20%、例えば1%(1気圧)含有する酸素によりオゾン含有雰囲気を構成する。
【0046】
また被処理基板301は、100℃〜600℃、例えば450℃の温度に加熱される。この状態において、非晶質珪素膜303の表面は、オゾン含有雰囲気320に曝される。そして有機物が酸化除去される。またオゾンの作用によって、その表面には極薄い酸化珪素膜304が、数秒〜数10秒で形成される。この酸化珪素膜304の膜厚は10〜100Å程度である。この酸化珪素膜304は、不純物がほとんど混入されない、極めて良質な膜である。
【0047】
この状態でレーザー光の照射を行う。照射される線状レーザー光は、照射面上で幅0.34mm×長さ135mmの大きさを有する。エネルギー密度は100mJ/cm2 〜500mJ/cm2 、例えば260mJ/cm2 とする。
【0048】
このレーザー光の照射は、図1の台106を2.5mm/sで一方向に移動させながら行う。こうすることで、線状レーザー光を走査させながら被照射面に照射することができる。
【0049】
レーザーの発振周波数は200Hzとする。上記の条件でレーザー光の照射を行うと、照射面の一点において10〜50ショットのレーザー光が照射されることになる。
【0050】
上記の工程においては、オゾンの作用によって、結晶性珪素膜の表面に付着していた有機物を除去した状態でレーザー光の照射を行うことができる。
【0051】
即ち、結晶性珪素膜に付着していた有機物はオゾンにより分離され、揮発性酸化物となって除去された状態でレーザー光の照射を行うことができる。
【0052】
実施例1では、図1に示すレーザー照射室101内部全体にオゾン含有雰囲気が充満する。従って、レーザー光の照射によって被処理基板から飛翔した有機物がレーザー照射室101の内壁や窓104の内側に付着しても、この付着物はオゾンによってレーザーアニール工程中に除去される。すなわちレーザーアニールと同時にレーザー照射室101内のクリーニングが同時に行われる。
【0053】
また酸化珪素膜304は極めて薄いため、複数回のパルスレーザー照射によりほとんどが飛散してしまう。飛散した後に、オゾンにより新たに極薄い酸化珪素膜が形成されることもある。
【0054】
この酸化珪素膜304の形成に際しては、その膜中に珪素膜の表面に残存している有機物が取り込まれた状態となる。従って、レーザー光の照射によって酸化珪素膜が飛散してしまうことにより、有機物が珪素膜中に取り込まれることを抑制することができる。
【0055】
また、レーザー光照射後にオゾンの作用によって形成される極薄い酸化膜は、レーザー光の照射時に膜の内部から水素等が噴出して、膜の表面に凹凸が形成されてしまうことを防ぐ役割も有している。
【0056】
レーザーアニールの終了後は、結晶性珪素膜303上面に酸化珪素膜が残ったり形成されたりし易い。そこで次の工程に移る前に、HF水溶液やHFとH22 の混合水溶液で、結晶性珪素膜303の上面を還元させ、酸化珪素膜を除去することは好ましい。
【0057】
このようにして結晶性珪素膜303に対し、レーザーアニールが施され、その結晶性が向上される。(図3(B))
【0058】
作製された結晶性珪素膜303は、結晶性、膜質の均質性、また移動度等の電気的特性いずれも優れたものとすることができる。
【0059】
次に、レーザーアニールによってその結晶性が助長された結晶性珪素膜303を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を作製する。まず結晶性珪素膜303をエッチングして、島状領域305を形成する。この島状領域305は後に薄膜トランジスタの活性層を構成することとなる。
【0060】
次に、ゲイト絶縁膜306となる酸化珪素膜をプラズマCVD法によって厚さ1200Åの厚さに成膜する。ここではこの酸化珪素膜を成膜するための原料ガスとして、TEOSおよび酸素を用いる。(図3(C))
【0061】
次に、ゲイト電極を作製する。ここではまず図示しないアルミニウム膜をスパッタ法により、6000Åの厚さに成膜する。なおアルミニウム膜中にスカンジウムまたは珪素を0.1〜2重量%含有させる。そしてこのアルミニウム膜をエッチングして、ゲイト電極307を形成する。(図3(C))
【0062】
次にソース/ドレイン領域を形成するための不純物イオンの注入を行う。ここではNチャネル型のTFTを作製するためにP(リン)イオンの注入をイオンドーピング法によって行う。
【0063】
このリンイオンの注入は、ゲイト電極307をマスクとして行われる。ドーピング条件は、ドーピングガスとして、フォスフィン(PH3 )を用い、加速電圧を80kV、ドーズ量を1×1015原子/cm2 として行う。また基板温度は室温とする。
【0064】
このドーピング工程においては、自己整合的にチャネル形成領域310と、N型の不純物領域であるソース領域308、さらにドレイン領域309が形成される。
【0065】
次に、ドーピングされた不純物を活性化するために、再び図1に示すレーザーアニール装置を用いて、線状レーザー光によりレーザーアニールを行う。ここで前記した条件のオゾン雰囲気中でレーザーアニールを行う。(図3(E))
【0066】
照射面におけるレーザー光のエネルギー密度は、100mJ/cm2 〜350mJ/cm2 の範囲で行う。ここでは160mJ/cm2 とする。
【0067】
前述したように線状レーザービームを走査させながら照射を行う。このようにして被照射物の一点において20〜40ショットのレーザービームが照射されるようにする。
【0068】
このレーザーアニールにより、不純物が活性化されると共に、先の不純物イオンの注入時における損傷がアニールされる。このレーザーアニールの終了後、窒素雰囲気中にて2時間、450℃の熱アニールを行う。(図3(E))
【0069】
次に層間絶縁膜311として酸化珪素膜をプラズマCVD法で6000Åの厚さに成膜する。
【0070】
さらに層間絶縁膜311にコンタクトホールを形成し、金属材料、例えば、チタンとアルミニウムの多層膜でもってソース電極312とドレイン電極313を形成する。
【0071】
最後に、1気圧の水素雰囲気で、200〜350℃の熱アニール処理を行い図3(F)に示す薄膜トランジスタを完成させる。
【0072】
このようにして、複数のNおよび/またはPチャネル型の結晶性TFTが形成される。これらのTFTは、Nチャネル型で70〜120cm2 /Vs、Pチャネル型で60〜90cm2 /Vsの移動度を有する優れたものとすることができる。(図3(F))
【0073】
〔比較例〕
ここでは、実施例1に示すようなオゾン含有雰囲気中でのレーザーアニールによってその結晶性が助長された結晶性珪素膜と、他の条件により得られた結晶性珪素膜との膜質の比較を示す。
【0074】
まず、オゾン含有雰囲気中ではなく、他の雰囲気中でレーザー光の照射を行った場合の例を示す。ここでは、
(A)空気
(B)酸素:窒素=20%:80%
(C)窒素100%
の3種類の雰囲気中でレーザー光の照射を行った場合の例を示す。なお雰囲気は大気圧とし、雰囲気以外の条件は実施例1と同じものとする。
【0075】
空気雰囲気中で作製された結晶性珪素膜は、オゾン雰囲気中で形成されたものに比べてやや低い結晶性を有する。また、結晶性が不均一なものとなる傾向が見られる。また移動度が低く、しかも膜面内において移動度のバラツキが大きい。さらに複数毎の基板を処理した場合、基板毎の膜特性のバラツキが大きい。
【0076】
これらの原因は、基板表面の有機物が十分に除去されず、また空気中の不純物が膜中に混入するためと思われる。
【0077】
酸素:窒素=20%:80%雰囲気では、空気雰囲気中に比較して、移動度は向上するものの、結晶性の低い領域が点在するものとなってしまう。被処理基板がレーザー照射室内に搬入されてから、結晶性珪素膜上面の酸化珪素膜304が形成されるまでに数分程度の時間を要する。
【0078】
また窒素100%雰囲気では、膜全体の結晶性が低い。また移動度や膜質の面内均質性も低いものとなってしまう。
【0079】
またオゾン含有雰囲気中および酸素/窒素雰囲気で形成された結晶性珪素膜は、他の雰囲気で作製されたものに比較して、同一エネルギー密度では高い結晶性が得られる。
【0080】
特にオゾン雰囲気を利用したものは、他の比較例に比べて膜質が高く、また工程の再現性も高いものとすることができる。
【0081】
〔実施例3〕
本実施例は、実施例1に示すレーザー照射装置をマルチチャンバー方式の装置へと発展させた構成を示す。
【0082】
図4に、本実施例におけるレーザーアニール装置の上面図を示す。ここでは、図4に示すマルチチャンバー型のレーザーアニール装置を用いる。図4におけるA−A’断面を示す図が図1に相当する。
【0083】
図4に示す装置は、ロード/アンロード室406とレーザー照射室101と予備加熱室408と徐冷室410とが、基板搬送室402を介して接続された構成となっている。
【0084】
各室は気密性を有しており、必要とする雰囲気や圧力にすることができる。また各室は、ゲイトバルブ401、411、409、401によって基板搬送室402と連結されている。
【0085】
図4に示す装置において、406はロード/アンロード室であり、処理せんとする基板(試料)の出し入れが行われる室である。処理せんとする基板は、ロード/アンロード室406に多数枚(例えば20枚)が収納されたカセット毎搬入される。
【0086】
カセット毎搬入された基板は、基板搬送室402内に配置されたロボットアーム405により、一枚づつアライメント室403に移送される。
【0087】
アライメント室403には、被処理基板404とロボットアーム405との位置関係を修正するための、アライメント機構が配置されている。アライメント室403は、ロード/アンロード室406とゲイトバルブ407を介して接続されている。
【0088】
アライメント室403において位置調整がなされた基板404は、ロボットアーム405によって予備加熱室408に移送される。移送後はゲイトバルブ409を閉鎖し気密性を維持させる。なお、装置の動作中は全ての室を同じ圧力とし、各室間における基板の移送に際して圧力調整をしないで済むようにすることが望ましい。
【0089】
予備加熱室408においては、レーザーアニールされる基板を所定の温度まで予備的に加熱する。これはレーザー照射室101において基板加熱に要する時間を短縮させ、スループットの向上を図るためである。
【0090】
また、予備的に加熱させることで膜中の水素を離脱させ、レーザー光の照射による効果を高めるためでもある。この水素を離脱させる効果はアニールする膜として非晶質珪素膜を用いる場合に顕著なものとなる。
【0091】
予備加熱室408は、その内部が円筒状の石英で構成されている。円筒状の石英はヒーターで囲まれていて、その内部を加熱できる構成となっている。
【0092】
また予備加熱室408は、石英で構成された基板ホルダーを備えている。基板ホルダーには、基板が多数枚収容可能なサセプターが備えられている。基板ホルダーは、エレベーターにより上下される。また予備加熱室408と、基板搬送室402とは、ゲイトバルブ409によって連結されている。
【0093】
予備加熱室408において、所定の時間予熱された基板は、ロボットアーム405によって基板搬送室402に引き戻され、アライメント室403にて再度アライメント調整がなされる。そしてロボットアーム405によって、レーザー照射室101に移送される。
【0094】
レーザー照射終了後、被処理基板404はロボットアーム405によって基板搬送室402に引き出され、徐冷室410に移送される。
【0095】
徐冷室410は、ゲイトバルブ411を介して、基板搬送室402と接続されており、石英製のステージ上に配置された被処理基板が、ランプ、反射板からの赤外光を浴びながら、徐々に冷却される。
【0096】
徐冷室410で徐冷された被処理基板は、ロボットアーム405によって、ロード/アンロード室406に移送され、カセット412に収納される。
【0097】
こうして、1枚の基板に対するレーザーアニール工程が実施される。このようにして、上記工程を繰り返すことにより、多数の基板に対して、連続的に一枚づつ処理が行われる。
【0098】
〔実施例4〕
本実施例は、非晶質珪素膜に対してレーザーアニールを施し、結晶性珪素膜を得る構成に関する。本実施例においても実施例1と同様に、図1に示すレーザー照射装置を用いる。
【0099】
まず、基板として127mm角、1.1mm厚のコーニング1737基板を用意する。この基板上にプラズマCVD法により酸化珪素膜を2000Åの厚さに形成し、下地膜とする。
【0100】
さらに公知のプラズマCVD法で非晶質珪素膜を500Åの厚さに形成する。その後、この基板をレーザー照射室101(図1)内に配置する。
【0101】
酸素供給部110から酸素をオゾン生成装置109に供給し、基板が置かれたレーザー照射室101に対して、オゾン生成装置109からオゾン/酸素の混合気体を導入する。レーザー照射室101内の圧力を大気圧、または減圧下例えば0.02〜0.5Torrに保つ。なお基板に加熱温度は100〜600℃例えば450℃とする。
【0102】
すると、基板上の非晶質珪素膜は、その表面が酸化され、10〜100Åの酸化珪素膜が形成される。
【0103】
同時に、非晶質珪素膜表面に付着した有機物はオゾンにより揮発性酸化物となって除去される。
【0104】
レーザー照射室101内をオゾン含有雰囲気とした状態で、台106を移動させながら、線状レーザー光を非晶質珪素膜に照射する。
【0105】
線状レーザー光は、照射面上で、幅0.34mm×長さ135mmの大きさを有する。エネルギー密度は、100mJ/cm2 〜400mJ/cm2 、例えば200mJ/cm2 とする。台106を2.5mm/sで一方向に移動させながら行うことで、線状レーザー光を走査させる。レーザーの発振周波数は200Hzとする。
【0106】
この場合、照射面の一点に注目すると、10〜50ショットのレーザー光が照射される。
【0107】
このようにして、オゾン含有雰囲気中で線状レーザー光を走査して照射することにより、非晶質珪素膜は結晶化され、結晶性珪素膜となる。
【0108】
作製された結晶性珪素膜は、清浄な膜質を有し、かつ、結晶性、膜の均質性に優れたものとすることができる。
【0109】
〔実施例5〕
本実施例は、実施例1に示す装置とはオゾン雰囲気の形成領域が異なる構成に関する。
【0110】
図5に本実施例で示すレーザー照射装置の横断面図を示す。図6には図5の上面図を示す。図5、図6において、図1および図2と同一部分を表示する場合には同符号を用いている。
【0111】
図5、6に示すように、本実施例においてはオゾン含有雰囲気が、被処理基板上方にのみ形成される。即ち、被処理基板301の移動領域上方に、フード501が設けられている。オゾン含有気体としてオゾン/酸素の混合気体はオゾン生成装置109からフード501の内部に供給され、被処理基板上面にのみオゾン含有雰囲気を形成する。
【0112】
図6に示すように、ミラー103で反射されたレーザー光は、フード501の内側の領域であるレーザー光照射位置502に照射される。なお、動作の方法については、実施例1に示したものと同じである。
【0113】
このような構成とした場合、レーザー処理の最中において、同時に照射室内の洗浄を行うという効果は低いものとなる。しかし、被処理基板上面に効果的にオゾンを供給することができるので、図1の構成に比較して、被照射面の有機物を除去するという効果は増大する。
【0114】
また実施例5では、フードにより被処理基板上面にオゾンが確実に供給されるので、レーザーアニールを大気圧下で行うならば、レーザー照射室は設けなくてもよい。
【0115】
図5、図6に示すレーザー照射室の構成において、特にオゾン含有気体を、フード501の上方から下方に向けて流れるように供給することで、レーザー照射により被処理基板から飛翔する有機物や無機物がレーザー照射窓104に付着することも防ぐことができる。
【0116】
また、フード501の下端部を、被処理基板上面まで数mmと極めて近くすると、レーザー照射により飛翔する有機物や無機物の、フードの外部への飛翔を防ぐことができる。結果として、これら飛翔物のレーザー照射室内壁への付着を防ぎ、レーザー照射室内の洗浄を不要にすることができる。
【0117】
〔実施例6〕
本実施例は、実施例5に示す構成をさらに改良し、レーザーアニールが施される被照射面に対して効果的にオゾンを供給する構成に関する。
【0118】
図7に本実施例で示すレーザー照射装置の横断面図を示す。図8には図7の上面図を示す。図7、図8において、図1および図2と同一部分を表示する場合には同符号を用いている。
【0119】
本実施例は、フード701は、線状レーザー光照射位置702の周囲近傍を囲んで設けられている。オゾン含有気体としてオゾン/酸素混合気体は、このフード701内に供給される。この構成によりオゾンは、被処理基板上のレーザー光照射位置702の近傍にのみ供給される。
【0120】
この場合、基板移動方向に対するフード701内部の大きさと台106の移動速度で、被処理基板がオゾンに曝される時間を制御できる。
【0121】
このような構成とした場合、レーザー光が照射される領域およびその近傍において効果的にオゾンを供給することができるので、被照射面の有機物を除去するという効果は最大限得ることができる。
【0122】
また、フード701内にオゾンを含まない酸素のみを供給して、紫外光であるレーザー光を照射することで、フード内の酸素をオゾン化し、被処理基板上面にオゾンを供給することも可能である。フード701の内部は、線幅が数mmの線状レーザー光の周囲を囲む程度の小さい面積であるので、レーザー照射によりフード内部の酸素は十分にオゾン化される。したがって、オゾン生成装置109を不要とすることもできる。
【0123】
また実施例6では、フードにより被処理基板上面にオゾンが確実に供給されるので、レーザーアニールを大気圧下で行うならば、レーザー照射室は設けなくてもよい。
【0124】
図7、図8に示すレーザー照射室の構成において、オゾン含有気体をフード701の上方から下方に向けて流れるように供給することで、レーザー照射により被処理基板から飛翔する有機物や無機物がレーザー照射窓104に付着することも防ぐことができる。加えて、フードの下端が被処理基板上面から数mm程度と近接していれば、有機物や無機物のフード外部への飛翔が妨げられる。したがって、レーザー照射室内の洗浄工程も不要となる。
【0125】
〔実施例7〕
これまでの実施例においては、レーザー光の照射を、被処理基板がオゾン含有雰囲気に曝されている状態で行った例を示した。他方、被処理基板をオゾンに曝す工程を実施したあとにレーザー光の照射を行ってもよい。
【0126】
例えば、レーザー照射室において、まず被処理基板をオゾン含有雰囲気に十分に曝す。その後、オゾンの供給を停止後オゾンを排気し、レーザーアニールを行う。
【0127】
この場合、被処理面に有機物が付着しないような清浄な雰囲気または高真空な雰囲気を維持する必要がある。
【0128】
また、オゾン処理室を設けて、この中で被処理基板を所定の時間オゾン含有雰囲気に曝し、その後、清浄な雰囲気を維持したまま被処理基板をレーザー照射室に搬送してレーザー照射を行ってもよい。
【0129】
オゾン含有雰囲気に曝す工程を、レーザー照射とは別の容器内で行う場合、被処理基板を外気に曝さないようにし、清浄な浄囲気を維持する機能が必要となる。
【0130】
例えば、オゾン処理室とレーザー照射室とを、ゲイトバルブを介して接続する、いわゆるマルチチャンバー構成とする必要がある。
【0131】
この場合、レーザー照射時の雰囲気を水素または水素を含有した雰囲気とすると、水素熱処理も同時に行うことができる。またこの場合は、基板を300〜600℃程度に加熱することが重要となる。
【0132】
〔実施例8〕
本実施例では、被処理基板の被照射部をオゾンに曝し、その後にレーザー光の照射を行う構成を示す。
【0133】
図9に本実施例で示す装置の断面図を示す。また図10に上面図を示す。図9、図10において、図1および図2と同一部分を表示する場合には同符号を用いている。
【0134】
図9、図10に示すように、フード901は、レーザー光が走査されて照射される位置の手前側に配置されている。即ち、フード901下部を通過した領域にレーザー光照射位置902がある構成となっている。
【0135】
このような構成とすると、まずフード901下でオゾンに曝された領域に対して、その後にレーザー光が照射されるものとすることができる。
【0136】
この場合、基板移動方向に対するフード901内部の大きさと台106の移動速度で、被処理基板がオゾンに曝される時間を制御することができる。
【0137】
また実施例8では、フードにより被処理基板上面にオゾンが確実に供給されるので、レーザーアニールを大気圧下で行うならば、レーザー照射室は設けなくてもよい。
【0138】
〔実施例9〕
実施例9では、レーザーアニール時の試料加熱方法の他の構成を示す。
図11に本実施例で示す装置の断面図を示す。また図12に図11の上面図を示す。図11、図12において、図7および図8と同一部分を表示する場合には同符号を用いている。
【0139】
実施例9では、図11、図12に示すように、試料である基板301をステージ111上のピン1101で支えることにより、基板301をステージ111上面から浮かせて配置する。すると、台106内に設けられたヒーターで基板とステージとの間の気体が加熱される。そして、加熱された気体により基板301が加熱される。
【0140】
このように、基板をヒータに対して所定の間隙を有して配置し、基板の加熱を気体を介して行う。このようにすることで、基板における熱の拡散を均一化することができ、より面内均質性の高いレーザーアニールを行うことができる。
【0141】
基板301とステージ111との間隙は、0.1〜5.0mm程度、好ましくは0.5〜2.0mm程度とする。この間隔により、加熱効率が向上する。この間隔が広くなりすぎると、加熱効率が低下するので注意が必要である。
【0142】
また、基板とステージとの間の気体として、空気、酸素、窒素などの種々のものを用いることができる。特に、ヘリウムまたはヘリウムを含有する気体は、比熱が高く、好ましい結果が得られる。
【0143】
図13に本実施例で示す装置の断面図の他の例を示す。また、図14に図13の上面図を示す。図13、図14において、図9、図10と同一部分を表示する場合には同符号を用いている。
【0144】
図13、図14も、図11、図12と同様に基板301をピン1301で支えて間隙を設け、ステージ111上面から浮いた構成とする。すると、台106内に設けられたヒーターで基板とステージとの間の気体が加熱される。そして、加熱された気体により基板301が面内において均質に加熱される。
【0145】
ここでは、基板301をピンで支える構成を図7、図8、および、図9、図10に対応する例で示したが、図1、図2、あるいは図5、図6で示す構成においても同様に実施できることは明らかである。
【0146】
【発明の効果】
レーザー光の照射による半導体膜に対するアニール工程を、オゾン雰囲気で行うことにより、レーザー光の照射による効果を高めることができる。
【0147】
具体的には、有機物を除去し、不純物が膜中に混入することを防ぐことができ、得られる膜質の向上、工程の再現性の向上、といった効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例におけるレーザー照射室を示す図。
【図2】 図1の上面図。
【図3】 実施例の作製工程を示す図。
【図4】 実施例におけるレーザーアニール装置の上面図。
【図5】 レーザー照射装置の例の横断面図。
【図6】 図5の上面図。
【図7】 レーザー照射装置の例の横断面図。
【図8】 図7の上面図。
【図9】 レーザー照射装置の例の横断面図。
【図10】図9の上面図。
【図11】レーザー照射装置の例の横断面図。
【図12】図11の上面図。
【図13】レーザー照射装置の例の横断面図。
【図14】図13の上面図。
【符号の説明】
101 レーザー照射室
102 レーザー発振装置
103 ミラー
104 窓
106 台
107 移動機構
108 真空排気ポンプ
109 オゾン生成装置
110 酸素供給部
111 ステージ
112 光学系
113 高周波発振器
301 基板
302 酸化珪素膜(下地膜)
303 結晶化珪素膜
304 酸化珪素膜
305 島状領域
306 ゲイト絶縁膜
307 ゲイト電極
308 ソース
309 ドレイン
310 チャネル形成領域
311 層間絶縁膜
312 ソース電極・配線
313 ドレイン電極・配線
320 オゾン含有雰囲気
401 ゲイトバルブ
402 基板搬送室
403 アライメント室
404 基板
405 ロボットアーム
406 ロード/アンロード室
407 ゲイトバルブ
408 予備加熱室
409 ゲイトバルブ
410 徐冷室
411 ゲイトバルブ
412 カセット
501 フード
502 レーザー照射位置
701 フード
702 レーザー光照射位置
901 フード
902 レーザー光照射位置
1101、1301 ピン

Claims (9)

  1. 基板上非単結晶半導体膜を形成し、
    ヘリウムが50%以上含まれたオゾン雰囲気で前記非単結晶半導体膜を加熱して、前記非単結晶半導体膜上に有機物を含有する第1の酸化膜を形成しながら、エネルギー密度100mJ/cm 〜500mJ/cm の線状のパルスレーザーを複数回照射する結晶性半導体膜の作製方法であって、
    前記線状レーザーによって前記有機物を含有する第1の酸化膜を除去した後、前記オゾン雰囲気での加熱によって前記非単結晶半導体膜に、前記第1の酸化膜より有機物が少ない第2の酸化膜を形成することを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法
  2. 基板上に非単結晶半導体膜を形成し、
    ヘリウムが50%以上含まれたオゾン雰囲気で前記非単結晶半導体膜を加熱して、前記非単結晶半導体膜上に有機物を含有する第1の酸化膜を形成しながら、エネルギー密度100mJ/cm 〜500mJ/cm の線状のパルスレーザーを複数回照射する結晶性半導体膜の作製方法であって、
    前記線状レーザーによって前記有機物を含有する第1の酸化膜を除去した後、前記オゾン雰囲気での加熱によって前記非単結晶半導体膜に、前記第1の酸化膜より有機物が少ない第2の酸化膜を形成し、
    前記線状レーザーの照射後、前記第2の酸化膜を除去することを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記基板は100〜500℃に加熱されていることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法
  4. 請求項において、
    前記基板の加熱は気体を介して行われることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法
  5. 請求項において、
    前記気体にはヘリウムが含有されていることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法
  6. 請求項4において、
    前記気体には酸素、又は窒素が含有されていることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一において、
    前記オゾン雰囲気には水素が含有されていることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法
  8. 請求項1乃至7のいずれか一において、
    前記非単結晶半導体膜は珪素膜であることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一において、
    前記線状のパルスレーザーは、前記非単結晶半導体膜の一点に10ショット〜50ショット照射されることを特徴とする結晶性半導体膜の作製方法。
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