JP4001199B2 - ヒドロピリジン誘導体酸付加塩 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた経口吸収性、代謝活性化及び血小板凝集抑制作用を有し、血栓又は塞栓によって引き起こされる疾病の治療薬又は予防薬として有用な、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩(特に、塩酸又はマレイン酸塩)を含有する医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
血小板凝集抑制作用を有するヒドロピリジン誘導体として、例えば、EP−542411号公報(特開平6-411239号公報)に、アデノシン二リン酸(以下、ADPと省略する)受容体拮抗剤である、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン及びその類縁体が、優れた血小板凝集抑制作用等を有し、抗血栓剤又は抗塞栓剤として有用であることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、優れた血小板凝集抑制作用を有する化合物の開発を目指し、種々のヒドロピリジン誘導体の薬理活性について、長年に亘り、鋭意研究を行った結果、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン酸付加塩(特に、塩酸又はマレイン酸塩)が優れた経口吸収性、代謝活性化及び血小板凝集抑制作用を有し、毒性が弱く、更に、優れた保存及び取扱安定性を有するため、医薬[好適には、血栓又は塞栓によって引き起こされる疾病(更に好適には、血栓症又は塞栓症)の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)]として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
本発明は、優れた血小板凝集抑制作用を有する、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩(特に、塩酸又はマレイン酸塩)、それらの製法、及び、それらを含有する医薬[好適には、血栓又は塞栓によって引き起こされる疾病の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)、更に好適には、血栓症又は塞栓症の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)]を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩(塩酸又はマレイン酸塩)に関し、また、本発明の医薬は、有効成分として、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩(塩酸又はマレイン酸塩)を含有する。
【0006】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩の酸部分は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸のような無機酸又は、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸のような有機酸であり得、好適には、塩酸又はマレイン酸である。
【0007】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの塩酸塩は、下記構造を有する化合物である。
【0008】
【化1】
【0009】
また、本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩は、下記構造を有する化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩は、分子内に不斉炭素原子を有し、R配位、S配位である立体異性体が存在するが、その各々、或はそれらの任意の割合の化合物のいずれも本発明に包含される。そのような立体異性体は、例えば、光学分割された原料化合物を用いて合成するか又は合成した2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩を、所望により通常の光学分割又は分離法を用いて光学分割することができる。
【0012】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩は、大気中に放置したり、又は再結晶することにより、水分を吸収し、吸着水がついたり、水和物になる場合が有るが、そのような水を含む酸付加塩も本発明に包含される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩は、EP−542411号公報(特開平6−41139号公報)に記載された方法に従って、合成される2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを、不活性溶媒中又は溶媒不存在下(好適には、不活性溶媒中)、酸[好適には、塩酸、塩化水素(ガス)又はマレイン酸、更に好適には、濃塩酸又はマレイン酸、最も好適には、濃塩酸]に加えるか、または、酸[好適には、塩酸、塩化水素(ガス)又はマレイン酸、更に好適には、濃塩酸又はマレイン酸、最も好適には、濃塩酸]を、不活性溶媒中又は溶媒不存在下(好適には、不活性溶媒中)、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンに、一度に又は二乃至数度に分けて滴下若しくは添加し、反応させることにより、製造される。本方法において、必要に応じて、種晶を添加することができる。
【0014】
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、リグロイン又は石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン又はキシレンのような芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン又はジエチルケトンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸ブチルのようなエステル類;酢酸又はプロピオン酸のようなカルボン酸類;或いは、アセトニトリル又はプロピオニトリルのようなニトリル類であり得、塩酸塩の場合、好適には、エーテル類、ケトン類、エステル類、カルボン酸類又はニトリル類であり、更に好適には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸又はアセトニトリルであり、特に好適には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸又はアセトンであり、最も好適には、アセトンである。他方、マレイン酸塩の場合、好適には、エーテル類、ケトン類、エステル類又はニトリル類であり、更に好適には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル又はアセトニトリルであり、特に好適には、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はアセトンであり、最も好適には、アセトンである。
【0015】
反応温度は、試薬又は溶媒等によって変化するが、通常−20℃乃至100℃であり、好適には0℃乃至70℃である。また、塩酸塩の場合、更に好適には、30℃乃至60℃であり、最も好適には、40℃乃至55℃である。
【0016】
反応時間は、試薬、溶媒又は反応温度等によって変化するが、通常5分間乃至10時間であり、好適には10分間乃至5時間である。
【0017】
マレイン酸塩の製造方法において、好適な態様は、マレイン酸をアセトンに溶解させ、0乃至70℃で、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを添加して、同温度で、1時間乃至3時間反応させる方法である。
【0018】
また、塩酸塩の製造方法において、好適な態様は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンをアセトンに溶解させ、0乃至70℃(好適には、35℃乃至60℃)で、濃塩酸の必要量(通常、チエノピリジン体に対して、等モル)の半分を2分間乃至10分間かけて滴下し、必要に応じて、種晶を添加し、同温度で、30分間乃至2時間反応させ、さらに、濃塩酸の残りの必要量を30分間乃至2時間かけて滴下し、同温度で、1時間乃至3時間反応させる方法である。
【0019】
反応終了後、本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩は、常法に従って反応混合物から採取される。例えば、反応終了後、析出した結晶を濾取するか、又は、反応終了後、溶媒を留去することにより目的化合物が得られる。得られた目的化合物は必要ならば、常法、例えば再結晶、再沈澱又はクロマトグラフィー等によって更に精製することができる。
【0020】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩は、優れた経口吸収性、代謝活性化及び血小板凝集抑制作用を有し、毒性が弱く、更に、優れた保存及び取扱安定性を有するため、医薬[好適には、血栓又は塞栓によって引き起こされる疾病の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)、更に好適には、血栓症又は塞栓症の予防薬又は治療薬(特に治療薬)]として有用である。また、上記医薬は、好適には、温血動物用であり、更に好適には、ヒト用である。
【0021】
本発明の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの酸付加塩を、上記疾患の治療薬又は予防薬として使用する場合には、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等による経口的又は注射剤若しくは坐剤等による非経口的に投与することができる。
【0022】
これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦形剤;及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;ビーズワックス、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体を挙げることができる。)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された澱粉・セルロース類;上記澱粉誘導体を挙げることができる。)、乳化剤(例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸を挙げることができる。)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。)、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0023】
その使用量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、1回当り下限0.1mg(好適には、1mg)、上限1000mg(好適には、500mg)を、静脈内投与の場合には、1回当り下限0.01mg(好適には、0.1mg)、上限500mg(好適には、250mg)を成人に対して、1日当り1乃至7回症状に応じて投与することができる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例、参考例、試験例及び製剤例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
実施例1
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩(A結晶)
参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(10g)を、アセトン(150ml)に溶解させ、室温(25℃)で攪拌下、36%濃塩酸(2.71g)を滴下し、少量の種晶(別途製造したA結晶)を加えた後、同温度で90分間攪拌した。析出した結晶を濾取し、少量のアセトンで洗浄した後、減圧下、50℃で4時間乾燥させ、標記化合物(8.1g,収率74%)を白色結晶(A結晶)として得た。
【0025】
融点:133 - 136 ℃。
【0026】
1H NMR スペクトル,δppm (CDCl3) : 0.92 - 0.99 (1H, m), 1.05 - 1.16 (2H, m), 1.23 - 1.34 (1H, m), 1.84 - 1.95 (1H, m), 2.26 (3H, s), 3.07 - 3.23 (2H, m), 3.57 - 4.39 (4H, m), 6.04 (1H, s), 6.45 (1H, brs), 7.37 - 7.57 (3H, m), 7.66 - 7.75 (1H, m)。
【0027】
マススペクトル,(CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0028】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1762, 1720。
実施例2
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩
マレイン酸(4.43g)をアセトン(60ml)に溶解させ、次いで、参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(15.0g)を加え、室温(25℃)で2時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、少量のアセトンで洗浄した後、減圧下、50℃で4時間乾燥させ、標記化合物(17.1g,収率92%)を白色結晶として得た。
【0029】
融点:171 - 172 ℃。
【0030】
1H NMRスペクトル,δppm(CD3OD) : 0.89 - 0.97 (1H, m), 1.02 - 1.09 (2H, m), 1.14 - 1.23 (1H, m), 1.94 - 2.03 (1H, m), 2.25 (3H, s), 3.00 - 3.09 (2H, m), 3.33 - 3.50 (2H, m), 3.88 (1H, d, J=14.9Hz), 4.05 (1H, d, J=14.9Hz), 5.70
(1H, s), 6.25 (2H, s), 6.40 (1H, s), 7.30 - 7.42 (2H, m), 7.45 - 7.52 (1H, m), 7.56 - 7.66 (1H, m)。
【0031】
マススペクトル, (CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0032】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1782, 1713。
実施例3
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩(B1結晶)
参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(10g)を、アセトン(100ml)に溶解させ、40℃で攪拌下、36%濃塩酸(2.71g)を1分間で滴下し、同温で60分間攪拌した(濃塩酸滴下後、約10分より結晶が析出し始めた。)。析出した結晶を濾取し、アセトン(20ml)で洗浄した後、減圧下、60℃で2時間乾燥させ、標記化合物(9.72g,収率89%)を白色結晶(B1結晶)として得た。本B1結晶は、実施例1で得られたA結晶よりも、さらに優れた保存安定性を示した。
【0033】
融点:166 - 174 ℃。
【0034】
マススペクトル,(CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0035】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1758, 1690。
実施例4
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩(B2結晶)
参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(50g)を、アセトン(750ml)に溶解させ、40℃で攪拌下、36%濃塩酸(6.78g)を5分間で滴下し、実施例3で得られたB1結晶(0.1g)を種晶として加え、同温度で60分間攪拌した。さらに36%濃塩酸(6.10g)を60分間で滴下し、同温度で120分間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン(100ml)で洗浄した後、減圧下、70℃で3時間乾燥させ、標記化合物(47.8g,収率92%)を白色結晶(B2結晶)として得た。本B2結晶は、実施例3で得られたB1結晶よりも、さらに優れた保存安定性を示した。
【0036】
融点:165 - 178 ℃。
【0037】
マススペクトル,(CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0038】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1758, 1690。
実施例5
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩
マレイン酸(932g)をアセトン(15L)に溶解させ、次いで、40℃に加温した。次いで、参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(3000g)を加え、室温で2時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン(4L)で洗浄した後、減圧下、60℃で8時間乾燥させ、標記化合物(3538g,収率90%)を白色結晶として得た。
【0039】
融点:172 - 173 ℃。
【0040】
マススペクトル, (CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0041】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1782, 1713。
実施例6
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩(B2結晶)
参考例1で得られた2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(50g)を、アセトン(750ml)に溶解させ、55℃で攪拌下、36%濃塩酸(6.78g)を5分間で滴下し、実施例3で得られたB1結晶(0.1g)を種晶として加え、同温度で60分間攪拌した。さらに36%濃塩酸(6.08g)を60分間で滴下し、同温度で120分間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン(100ml)で洗浄した後、減圧下、70℃で3時間乾燥させ、標記化合物(46.2g,収率89%)を白色結晶(B2結晶)として得た。
【0042】
融点:164 - 178 ℃。
【0043】
マススペクトル,(CI, m/z) : 374 (M++1)。
【0044】
IR スペクトル,νmaxcm-1(KBr): 1758, 1690。
参考例1
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン
(a)シクロプロピル 2−フルオロベンジル ケトン
金属マグネシウム(7.2g)に、無水ジエチルエーテル(60ml)を加え、撹拌しながら、2 −フルオロベンジルブロマイド(30ml)のジエチルエーテル(30ml) 溶液を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液を、シクロプロピルシアニド(18.2ml)のジエチルエーテル(120ml)溶液に、100分間かけて滴下し、室温で30分間撹拌した後、更に還流下で1時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)を用いて精製することにより、標記化合物(23g,溶媒を含む)を黄色液体として得た。
【0045】
1H NMR スペクトル,δppm(CDCl3) : 0.82 - 0.98 (2H, m), 1.03 - 1.17 (2H, m), 1.92 - 2.06 (1H, m), 3.86 (2H, s), 7.10 - 7.30 (4H, m)。
【0046】
マススペクトル, (CI, m/z) : 179 (M++1)。
【0047】
(b)5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン
上記(a)で得られたシクロプロピル 2 −フルオロベンジル ケトン(8.7g)を、四塩化炭素(80ml)に溶解させ、N−ブロムコハク酸イミド(9.6g)及び過酸化ベンゾイル(0.5g)を加えた後、還流下で6時間撹拌した。反応終了後、反応液にトルエンを加え、析出した固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)を用いて精製し、α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジルブロマイド(8.5g)を黄色液体として得た。
【0048】
次いで、得られたα−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジルブロマイド(6.0g)を、ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解させ、EP−192535号公報(特開昭61−246186号公報)に記載の方法に従い合成された2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン塩酸塩(4.8g)及び炭酸水素カリウム(7.0g)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル=3/1)を用いて精製した後、ジイソプロピルエーテルを用いて結晶化させることにより、標記化合物(2.6g,収率35%)を、淡褐色結晶として得た。
【0049】
融点:123 - 125 ℃。
【0050】
1H NMRスペクトル,δppm (CDCl3) : 0.75 - 0.96 (2H, m), 0.99 - 1.14 (2H, m), 1.83 - 2.01 (1H, m), 2.02 - 2.17 (1H, m), 2.25 - 2.45及び2.47 - 2.62 (計2H, 各m), 2.85及び3.10 (計2H, 各d, J=12.0Hz), 3.88 - 4.01及び4.03 - 4.16 (計2H, 各m), 4.85及び4.89 (計1H, 各s), 6.03及び6.06 (計1H, 各s), 7.10 - 7.45 (4H, m)。
【0051】
マススペクトル, (CI, m/z) : 332 (M++1), 262。
【0052】
元素分析,C18H18FNO2Sとして,計算値 : C,65.23 ; H,5.48 ; N,4.23;
実測値 : C,65.09 ; H,5.55 ; N,4.20。
【0053】
(c)2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン
上記(b)で得られた5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(2.6g)を、ジメチルホルムアミド(10ml)及び無水酢酸(5ml)の混合溶媒に溶解させ、氷冷攪拌下、水素化ナトリウム(60%鉱油分散,0.35g)を加え、同温で30分間撹拌した後、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:トルエン/酢酸エチル=3/1)を用いて精製した後、ジイソプロピルエーテルより結晶化することにより、標記化合物(1.88g,収率65%)を、白色結晶として得た。
【0054】
融点:120 - 122 ℃。
【0055】
1H NMRスペクトル,δppm (CDCl3) : 0.80 - 0.95 (2H, m), 0.99 - 1.16 (2H, m), 2.27 (3H, s), 2.21 - 2.34 (1H, m), 2.70 - 2.95 (4H, m), 3.47 (1H, d, J=15.0Hz), 3.57 (1H, d, J=15.0Hz), 4.83 (1H, s), 6.27 (1H, s), 7.10 - 7.55 (4H, m)。
【0056】
IRスペクトル,νmaxcm-1 (KBr): 1758, 1704。
【0057】
マススペクトル,(CI, m/z) : 374 (M++1), 304。
【0058】
元素分析,C20H20FNO3Sとして,計算値 : C,64.32 ; H,5.40 ; N,3.75,
実測値 : C,64.46 ; H,5.39 ; N,3.73。
試験例1
イヌ血漿中代謝物濃度
被験化合物を、雄性ビーグル犬(体重約10kg、加商および日本農産工業株式会社)に経口投与した後、血漿中代謝物濃度を測定した。なお、比較対照の代謝物は、(2Z)−[1−[α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル]−4−メチルチオ−3−ピペリジニリデン]酢酸(以下、S−メチル体と省略する。)とした。S−メチル体は、ヒト、イヌ及びラットにおける2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの血漿中主代謝物であり、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの薬理活性代謝物からさらに一過程代謝を受けて生成するため、活性代謝物生成量の指標になることが、既に報告されている[三共研究所年報,第51巻,第1頁(1999年)[Annu. Rep. Sankyo Res. Lab., 51, 1 (1999)]]。
【0059】
イヌに摂餌30分後に、ゼラチンカプセルに充填した被験化合物(10mg/kg)を経口投与した。投与後15、30、45、60、90及び120分に、上腕伏在静脈よりヘパリン処理した注射筒を用いて、1回あたり3mlを採血した。得られた全血を直ちに遠心分離し、血漿を得、得られた血漿を測定まで−30℃で凍結保存した。解凍した血漿(0.5ml)に、内部標準物質として1μg/ml濃度の2−ヒドロキシアセトフェノン(0.25ml)、10mMリン酸カリウム緩衝液(pH4.5,0.25ml)及びメタノール(0.5ml)を加え、20±3℃で攪拌した。これにイソプロピルアルコール/クロロホルム(1/9)混液(8ml)を加えた後、振盪し、S−メチル体及び内部標準物質を溶媒相に抽出した。抽出液を低速遠心(1500g、15分間)により水相と溶媒相に分離させ、下層の溶媒相の適当量を、窒素ガスを用いて乾固させた。これをHPLC移動相(0.25ml)に再溶解させた。別に、既知量のS−メチル体をイヌコントロール血漿に加え、同様に抽出操作を行った。この試料中のS−メチル体と内部標準物質の面積比をy軸に、添加したS−メチル体濃度をx軸にして検量線を作成した。試料中S−メチル体濃度をこの検量線から算出し定量した。
【0060】
HPLC条件
カラム:YMC A302(4.6 x 150 mm)。
【0061】
移動相:アセトニトリル/イソプロピルアルコール/水/トリフルオロ酢酸(10/12/78/0.01)。
【0062】
流速 :1.0 ml/min。
【0063】
検出 :UV 220nm。
【0064】
注入量:30 μl。
【0065】
結果を表1に示す。なお、表中、薬物速度論的パラメータとして、生体内生成量の指標となる血漿中濃度−時間曲線下面積値をAUC、最高血漿中濃度をCmaxと、各々省略した。また、表中、「塩酸塩」は、実施例1の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩を示し、「フリー体」は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを示す。
【0066】
【表1】
上記結果は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを塩酸塩にすることにより、AUC及びCmaxが何れも向上することを示している。
試験例2
血小板凝集抑制作用(給餌)
試験には、雄性ビーグル犬(体重約10kg、加商および日本農産工業株式会社)を1群5又は6頭として用いた。血小板凝集は、ザ・ジャーナル・オブ・フィジオロジー,第168巻,第178頁(1963年)[J. Physiol., 168, 178 (1963)]に記載のBornらの方法を一部修正し、自動血小板凝集測定装置(PAM−6C、メバニクス株式会社)を用いて測定した。
【0067】
給餌2.5及び4.5時間後に、イヌの橈側皮静脈より血液5.4mlを、3.8%(w/v)クエン酸ナトリウム(0.6ml)を抗凝固剤として採血した。得られたクエン酸加血液を遠心し(240g、20分間)、多血小板血漿(platelet-rich plasma、以下、PRPと省略する。)及び乏血小板血漿(platelet-poor plasma、以下、PPPと省略する。)を分離した。PRP中の血小板数を、自動血球測定装置(K-1000、シスメックス株式会社)で測定した後、PPP添加によって3x108/mlに調整した。キュベットに分注したPRP(240μl)を、自動血小板測定装置にセットし、1分間の予備加温(37℃)後、10μlのADP(終濃度20μM)を添加し、血小板凝集を惹起した。血小板凝集を10分間測定し、最大凝集率を求め、投与前値とした。
【0068】
翌日、給餌30分後に、ゼラチンカプセルに充填した被験化合物をイヌに経口投与した。投与2及び4時間後に採血し、PRPを用いて血小板凝集を測定し、最大凝集率を求めた。被験化合物の凝集抑制率(%)は、投与前値との比較から算出した。結果を表2及び表3に示す。
【0069】
なお、表中、「塩酸塩」は、実施例1の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩を示し、「フリー体」は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを示し、「マレイン酸塩」は、実施例2の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン
マレイン酸塩を示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
試験例3
血小板凝集抑制作用(絶食)
試験には、雄性ビーグル犬(体重約10kg、加商および日本農産工業株式会社)を1群3頭として用いた。血小板凝集は、ザ・ジャーナル・オブ・フィジオロジー,第168巻,第178頁(1963年)[J. Physiol., 168, 178 (1963)]に記載のBornらの方法を一部修正し、自動血小板凝集測定装置(PAM−6C、メバニクス株式会社)を用いて測定した。
【0072】
一晩絶食させたイヌの橈側皮静脈より血液5.4mlを、3.8%(w/v)クエン酸ナトリウム(0.6ml)を抗凝固剤として採血した。得られたクエン酸加血液を遠心し(240g、20分間)、多血小板血漿(platelet-rich plasma、以下、PRPと省略する。)及び乏血小板血漿(platelet-poor plasma、以下、PPPと省略する。)を分離した。PRP中の血小板数を、自動血球測定装置(K-1000、シスメックス株式会社)で測定した後、PPP添加によって3x108/mlに調整した。キュベットに分注したPRP(240μl)を、自動血小板測定装置にセットし、1分間の予備加温(37℃)後、10μlのADP(終濃度20μM)を添加し、血小板凝集を惹起した。血小板凝集を10分間測定し、最大凝集率を求め、投与前値とした。
【0073】
翌日、ゼラチンカプセルに充填した被験化合物をイヌに経口投与した。投与2時間及び4時間後に採血し、PRPを用いて血小板凝集を測定し、最大凝集率を求めた。被験化合物の凝集抑制率(%)は、投与前値との比較から算出した。結果を表4に示す。
【0074】
なお、表中、「マレイン酸塩」は、実施例2の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩を示し、「フリー体」は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを示す。
【0075】
【表4】
試験例2及び試験例3の結果は、ADP惹起血小板凝集に対する抑制作用は、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩及びマレイン酸塩の方が、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンよりも強く、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩及びマレイン酸塩が、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンよりも、更に優れた薬理活性を有することを示している。
製剤例1
ハードカプセル剤
50mgの粉末状の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩、128.7mgのラクトース、70mgのセルロース及び1.3mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、60メッシュのふるいを通した後、この粉末を250mgの3号ゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とする。
製剤例2
錠剤
50mgの粉末状の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン 塩酸塩、124mgのラクトース、25mgのセルロース及び1mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機により打錠して、1錠200mgの錠剤とする。この錠剤は必要に応じてコーティングを施すことができる。
製剤例3
ハードカプセル剤
50mgの粉末状の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩、128.7mgのラクトース、70mgのセルロース及び1.3mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、60メッシュのふるいを通した後、この粉末を250mgの3号ゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とする。
製剤例4
錠剤
50mgの粉末状の2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン マレイン酸塩、124mgのラクトース、25mgのセルロース及び1mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機により打錠して、1錠200mgの錠剤とする。この錠剤は必要に応じてコーティングを施すことができる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンのピリジン酸付加塩(特に、塩酸又はマレイン酸塩)が優れた経口吸収性、代謝活性化及び血小板凝集抑制作用を有し、毒性が弱く、更に、優れた保存及び取扱安定性を有するため、医薬[好適には、血栓又は塞栓によって引き起こされる疾病(更に好適には、血栓症又は塞栓症)の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)]として有用である。
Claims (14)
- 2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの塩酸塩又はマレイン酸塩。
- 2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの塩酸塩。
- 2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンのマレイン酸塩。
- マレイン酸を不活性溶媒に溶解させ、2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを加え、必要に応じて、種晶を添加して、反応することによる2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンのマレイン酸塩の製法。
- 不活性溶媒がアセトンである請求項4のマレイン酸塩の製法。
- 2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを不活性溶媒に溶解させ、濃塩酸を一度に又は二乃至数度に分けて滴下若しくは添加し、必要に応じて、種晶を添加して、反応させることによる2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの塩酸塩の製法。
- 不活性溶媒がアセトンである請求項6の塩酸塩の製法。
- 2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンを不活性溶剤に溶解させ、加温して、濃塩酸の必要量の半分を滴下し、必要に応じて、種晶を添加して同温度で、反応させ、さらに、濃塩酸の残りの必要量を滴下し、同温度で、さらに反応させることによる2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジンの塩酸塩の製法。
- 加温温度が35乃至60℃である請求項8に記載の塩酸塩の製法。
- 加温温度が40乃至55℃である請求項8に記載の塩酸塩の製法。
- 濃塩酸の必要量の半分の滴下時間が2分間乃至10分間である請求項8乃至10の一に記載の塩酸塩の製法。
- 濃塩酸の必要量の半分の滴下後の反応時間が30分間乃至2時間である請求項8乃至11の一に記載の塩酸塩の製法。
- 濃塩酸の残りの必要量の滴下時間が15分間乃至2時間である請求項8乃至12の一に記載の塩酸塩の製法。
- 濃塩酸の残りの必要量の滴下後の反応時間が1時間乃至3時間である請求項8乃至13の一に記載の塩酸塩の製法。
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