JP4000285B2 - 火花点火式エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、火花点火式エンジンとして、回転軸にロータを取り付け、このロータに周方向に並ぶ点火指示部を設け、ロータに検出センサを臨ませ、この検出センサを点火コントローラを介して点火回路に連携させ、検出センサで点火指示部を検出したことに基づいて、点火コントローラが点火回路に点火指示信号を発信するようにしたものがある。
しかし、この種のエンジンでは、検出センサの位置が調節不能であるか、或いは、検出センサの位置調節を直線的にしか行うことができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、次の問題がある。
《問題1》 点火時期の調節が困難である。
検出センサの位置が調節不能である場合、検出センサやロータの組み付け誤差により、検出時期にずれが生じても、このずれを機械的に調節することができず、点火時期の調節が困難である。
【0004】
《問題2》 点火時期の調節幅が狭い。
検出センサの位置調節を直線的にしか行うことができない場合には、検出センサの調節幅が大きくなると、検出センサから点火指示部までの検出距離が大きく変化するため、検出センサの調節幅が小さく制限され、点火時期の調節幅が狭い。
本発明の課題は、上記問題点を解決できる火花点火式エンジンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
主要な請求項1の発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2に示すように、回転軸(1)にロータ(2)を取り付け、このロータ(2)に周方向に並ぶ点火指示部(3)(4)を設け、点火指示部(3)(4)の通過位置に検出センサ(5)を臨ませ、この検出センサ(5)を点火コントローラ(6)を介して点火回路(7)に連携させ、検出センサ(5)で点火指示部(3)(4)を検出したことに基づいて、点火コントローラ(6)が点火回路(7)に点火指示信号を発信するようにした、火花点火式エンジンにおいて、
図1に示すように、検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できるようにし、
クランク軸 ( 9 ) にロータ ( 2 ) を支持させ、ロータ ( 2 ) をクランク軸中心軸線 ( 10 ) を中心とする円環状に形成し、点火指示部 ( 3 )( 4 ) をロータ ( 2 ) の周縁から突出する複数の突起で形成し、この複数の突起を複数の短突起 ( 4a ) と単一の長突起 ( 3a ) とで形成し、長突起 ( 3a ) の周長を短突起 ( 4a ) の周長よりも長くするに当たり、
クランク軸中心軸線 ( 10 ) と平行な向きに見て、長突起 ( 3a ) と隣の短突起 ( 4a ) との間のロータ幅を長突起側ロータ幅 ( 11 ) とし、クランク軸中心軸線 ( 10 ) を間に挟んで、長突起 ( 3a ) と反対側に位置する短突起 ( 4a )( 4a ) 間のロータ幅を短突起側ロータ幅 ( 12 ) として、短突起側ロータ幅 ( 12 ) を長突起側ロータ幅 ( 11 ) よりも大きくした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
【0006】
【発明の効果】
(請求項1の発明)
請求項1の発明は、次の効果を奏する。
《効果1》 点火時期の調節が容易である。
検出センサ(5)の位置を移動調節できるため、検出センサ(5)やロータ(2)の組み付け誤差のより、検出時期にずれが生じる場合には、検出センサ(5)の位置を調節するだけで、そのずれを機械的に調節することができ、点火時期の調節が容易である。
【0007】
《効果2》 点火時期の調節幅が広い。
検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できるため、検出センサ(5)の位置の調節幅が大きくなっても、検出センサ(5)から点火指示部(3)(4)までの検出距離が変化しないため、検出センサ(5)の位置の調節幅が制限されず、点火時期の調節幅が広い。
《効果3》 長突起の形成による重量バランスの不均衡を防止することができる。
図1 ( B ) に示すように、短突起側ロータ幅 ( 12 ) を長突起側ロータ幅 ( 11 ) よりも大きくしたため、長突起 ( 3a ) の形成によるクランク軸 ( 9 ) の重量バランスの不均衡を抑制することができ、エンジンの振動が抑制される。
【0008】
(請求項2の発明)
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果4》 ロータの外周外側への検出センサの張り出しがない。
図1または図4に示すように、検出センサ(5)を回転軸(1)の軸長方向と平行な姿勢とし、検出センサ(5)の検出用端面(8)を点火指示部(3)(4)の通過位置に臨ませたため、図1(B)または図4(A)に示すように、回転軸(1)と平行な向きに見て、ロータ(2)の外周外側への検出センサ(5)の張り出しがない。これにより、エンジンのコンパクト化を図ることができる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は本発明の実施形態に係る火花点火式エンジンを説明する図である。このエンジンは、3気筒の縦形ガスエンジンであり、その概要は、次の通りである。
図3に示すように、シリンダブロック(20)の後部にリアプレート(21)を取り付け、このリアプレート(21)に臨む位置にフライホイル(15)を配置している。フライホイル(15)にはスタータのピニオンギヤ(図外)と噛み合うリングギヤ(22)を取り付けている。
【0013】
このエンジンの制御機構は、次の通りである。
図2に示すように、燃焼室(23)から導出した吸気通路(24)にスロットル弁(25)を設け、その上流にガスミキサ(26)を設け、ガスミキサ(26)にガス供給通路(27)を連通させ、このガス供給通路(27)にガス調量弁(28)を設け、このガス調量弁(28)の駆動モータ(29)をモータコントローラ(31)を介してエンジンコントローラ(30)に連携させている。吸気通路(24)には吸気量センサ(32)を設け、これをエンジンコントローラ(30)に連携させている。また、リングギヤ(22)に回転数センサ(33)を臨ませ、この回転数センサ(33)と回転数設定手段(34)とをガバナコントローラ(35)を介してガバナアクチュエータ(36)に連携させ、このガバナアクチュエータ(36)でスロットル弁(25)の開度を調節できるようにしている。また、クランク軸(9)にロータ(2)を支持させ、このロータ(2)に周方向に並ぶ点火指示部(3)(4)を設け、点火指示部(3)(4)の通過位置に検出センサ(5)を臨ませ、この検出センサ(5)を点火コントローラ(6)を介して点火回路(7)を連携させ、検出センサ(5)で点火指示部(3)(4)を検出したことに基づいて、点火コントローラ(6)が点火回路(7)に点火指示信号を発信するようにしている。点火回路(7)には点火プラグ(37)を連携させている。
【0014】
このエンジンの制御機構の機能は、次の通りである。
エンジンコントローラ(30)は、吸気量センサ(32)で検出した吸気量に応じてガス調量弁(28)の開度を調節し、混合気の空燃比を調節する。ガバナコントローラ(35)は、回転数設定手段(34)で設定された目標回転数と回転数センサ(33)で検出した実回転数とを比較し、これを一致させるべく、ガバナアクチュエータ(36)を制御して、スロットル弁(25)の開度を調節する。点火コントローラ(6)は、点火回路(7)に点火指示信号を発信し、点火プラグ(37)から所定のタイミングでスパークを飛ばす。
【0015】
ロータ(2)の構成は、次の通りである。
図1(B)に示すように、ロータ(2)をクランク軸中心軸線(10)を中心とする円環状に形成し、点火指示部(3)(4)をロータ(2)の周縁から突出する複数の突起で形成し、この複数の突起を5個の短突起(4a)と単一の長突起(3a)とで形成し、長突起(3a)の周長を短突起(4a)の周長よりも長くしている。図1(B)に示すように、クランク軸中心軸線(10)と平行な向きに見て、長突起(3a)と隣の短突起(4a)との間のロータ幅を長突起側ロータ幅(11)とし、クランク軸中心軸線(10)を間に挟んで、長突起(3a)と反対側に位置する短突起(4a)(4a)間のロータ幅を短突起側ロータ幅(12)として、短突起側ロータ幅(12)を長突起側ロータ幅(11)よりも大きくしている。
【0016】
点火コントローラ(6)の機能は、次の通りである。
点火コントローラ(6)は、検出センサ(5)による突起検出時間の差異により、長突起(3a)と短突起(4a)とを識別し、長突起(3a)の検出を起点とした検出順序により各短突起(4a)を識別する。エンジン回転数の変動が大きいエンジン始動時には、所定の突起を検出してから所定時間経過後にスパークを飛ばすようにしても、スパークのタイミングを制御することができないため、6個の突起を隣り合う2個を1組とする3組に分け、各組の前の突起を検出した時にスパークを飛ばす準備をし、後の突起を検出した時にスパークを飛ばし、各気筒の点火を順に行う。エンジン回転数の変動が少ないエンジン運転中には、前の突起を検出した時にスパークを飛ばす準備をし、負荷等の相違に応じて設定された所定時間経過後にスパーク飛ばし、各気筒の点火を順に行う。
【0017】
ロータ(2)と検出センサ(5)の取り付け構造は、次の通りである。
図1(A)に示すように、ロータ(2)をフライホイル(15)の前面に取り付けている。検出センサ(5)を、ホルダ(40)を介してリアプレート(21)に取り付け、クランク軸(1)の軸長方向と平行な姿勢とし、検出センサ(5)の検出用端面(8)を点火指示部(3)(4)の通過位置に臨ませている。図1(C)に示すように、ホルダ(40)はクランク軸中心軸線(10)を曲率中心とする円弧状の長孔(41)を貫通させた取り付けボルト(42)でリアプレート(21)に取り付けられている。このため、検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できる。図1(D)に示すように、ホルダ(40)はタンパボルト(43)によってもリアプレート(21)に固定されている。タンパボルト(43)は、円柱形のボルト頭部(44)を備え、ボルト頭部(44)にはホルダ(40)に廻り止めした有底円筒形のキャップ(45)を外嵌している。ボルト頭部(44)には工具係合孔(46)を設け、ここにプラグ(47)を打ち込んでいる。エンジン出荷時に、検出センサ(5)の位置を調節した後、このタンパボルト(43)でホルダ( 40 )を固定し、工具係合孔( 46 )にプラグ(47)を打ち込むと、出荷後の不正な調節が防止される。
【0018】
図4は本発明の第1参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、次の点が実施形態と相違する。
クランク軸(9)から連動される連動軸(48)に取り付けたギヤ(13)をロータ(2)として用い、ギヤ(13)の端面にその周方向に沿って複数の円弧形凹部(14)(14)を形成し、隣合う円弧形凹部(14)(14)間に点火指示部(3)(4)を形成している。ギヤケース(49)にギヤ(13)と対向する蓋(55)を回転自在に取り付け、この蓋(55)に検出センサ(5)を取り付け、蓋(55)の回転により、検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できるようにしている。検出センサ(5)の位置調節後、この蓋(55)はタンパボルト(43)で固定される。このタンパボルト(43)の構成と機能は、実施形態のものと同じである。
この第1参考形態では、図4に示すように、ギヤ ( 13 ) をロータ ( 2 ) として用い、ギヤ ( 13 ) の端面にその周方向に沿って複数の円弧形凹部 ( 14 )( 14 ) を形成し、隣合う円弧形凹部 ( 14 )( 14 ) 間に点火指示部 ( 3 )( 4 ) を形成したため、部品点数の増加を抑制することができる。
【0019】
図5は本発明の第2参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図、図6は本発明の第3参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、次の点が実施形態と相違する。
図5、図6いずれのものも、フライホイル(15)をロータ(2)として用い、フライホイル(15)の周面に沿って複数の円弧形凹溝(16)(16)を形成し、隣り合う円弧形凹溝(16)(16)間に点火指示部(3)(4)を形成している。図5のものは、円弧形凹溝(16)がフライホイル(15)の周面の中央部に形成されているのに対し、図6のものはフライホイル(15)の周面の端部に形成されている。図5、図6いずれのものも、検出センサ(5)を、ホルダ(40)を介してシリンダブロック(20)に取り付け、クランク軸( 9 )の軸長方向と直交する姿勢とし、検出センサ(5)の検出用端面(8)を点火指示部(3)(4)の通過位置に臨ませている。図5(B)、図6(B)に示すように、ホルダ(40)はクランク軸中心軸線(10)を曲率中心とする円弧状の長孔(41)を貫通させた取り付けボルト(42)及びタンパボルト(43)でシリンダブロック(20)に取り付けられている。このため、検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できる。このタンパボルト(43)の構成と機能は、実施形態のものと同じである。
この第2実施形態と第3実施形態では、図5または図6に示すように、フライホイル ( 15 ) をロータ ( 2 ) として用い、フライホイル ( 15 ) の周面に沿って複数の円弧形凹溝 ( 16 )( 16 ) を形成し、隣り合う円弧形凹溝 ( 16 )( 16 ) 間に点火指示部 ( 3 )( 4 ) を形成したため、部品点数の増加を抑制することができる。
【0020】
図7、図8は本発明の第4参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、次の点が実施形態と異なる。
図8に示すように、シリンダブロック(20)の横に軸ケース(58)を張り出し、図7に示すように、この軸ケース(58)内にクランク軸(9)から連動される連動軸(48)を収容し、この軸ケース(58)の後壁(57)から連動軸(48)の後端部を突出させ、ここにロータ(2)を取り付け、このロータ(2)のロータカバー(56)を軸ケース(58)の後壁(57)に回転自在に取り付け、このロータカバー(56)に検出センサ(5)を取り付け、ロータカバー(56)の回転により、検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できるようにしている。検出センサ(5)の位置調節後、このロータカバー(56)はタンパボルトで固定される。このタンパボルトの構成と機能は、実施形態のものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、図1(A)は要部縦断側面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図、図1(C)は図1(A)の要部C方向矢視図、図1(D)は図1(C)のD−D線拡大断面図である。
【図2】 図1のエンジンの制御の模式図である。
【図3】 図1のエンジンの側面図である。
【図4】 本発明の第1参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、図4(A)はギヤケースを取り外した要部正面図、図4(B)は図4(A)のB−B線断面図である。
【図5】 本発明の第2参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、図5(A)は要部縦断側面図、図5(B)は図5(A)の要部B方向矢視図、図5(C)は図5(B)の要部C方向矢視図、図5(D)は図5(B)のD−D線断面拡大図である。
【図6】 本発明の第3参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、図6(A)は要部縦断側面図、図6(B)は図6(A)の要部B方向矢視図、図6(C)は図6(B)の要部C方向矢視図、図6(D)は図6(B)のD−D線断面拡大図である。
【図7】 本発明の第4参考形態に係る火花点火式エンジンを説明する図で、図7(A)は要部縦断面図、図7(B)は図7(A)のB方向矢視縦断面図、図7(C)は図7(B)のC−C線断面図である。
【図8】 図7のエンジンの側面図である。
【符号の説明】
(1)…回転軸、(2)…ロータ、(3)(4)…点火指示部、(3a)…長突起、(4a) …短突起、(5)…検出センサ、(6)…点火コントローラ、(7)…点火回路、(8)…検出用端面、(9)…クランク軸、(10)…クランク軸中心軸線、(11)…長突起側ロータ幅、(12)…短突起側ロータ幅。
Claims (2)
- 回転軸(1)にロータ(2)を取り付け、このロータ(2)に周方向に並ぶ点火指示部(3)(4)を設け、点火指示部(3)(4)の通過位置に検出センサ(5)を臨ませ、この検出センサ(5)を点火コントローラ(6)を介して点火回路(7)に連携させ、検出センサ(5)で点火指示部(3)(4)を検出したことに基づいて、点火コントローラ(6)が点火回路(7)に点火指示信号を発信するようにした、火花点火式エンジンにおいて、
検出センサ(5)の位置をロータ(2)の周方向に沿って移動調節できるようにし、
クランク軸 ( 9 ) にロータ ( 2 ) を支持させ、ロータ ( 2 ) をクランク軸中心軸線 ( 10 ) を中心とする円環状に形成し、点火指示部 ( 3 )( 4 ) をロータ ( 2 ) の周縁から突出する複数の突起で形成し、この複数の突起を複数の短突起 ( 4a ) と単一の長突起 ( 3a ) とで形成し、長突起 ( 3a ) の周長を短突起 ( 4a ) の周長よりも長くするに当たり、
クランク軸中心軸線 ( 10 ) と平行な向きに見て、長突起 ( 3a ) と隣の短突起 ( 4a ) との間のロータ幅を長突起側ロータ幅 ( 11 ) とし、クランク軸中心軸線 ( 10 ) を間に挟んで、長突起 ( 3a ) と反対側に位置する短突起 ( 4a )( 4a ) 間のロータ幅を短突起側ロータ幅 ( 12 ) として、短突起側ロータ幅 ( 12 ) を長突起側ロータ幅 ( 11 ) よりも大きくした、ことを特徴とする火花点火式エンジン。 - 請求項1に記載した火花点火式エンジンにおいて、
検出センサ(5)を回転軸(1)の軸長方向と平行な姿勢とし、検出センサ(5)の検出用端面(8)を点火指示部(3)(4)の通過位置に臨ませた、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
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