JP4000211B2 - ホース用口金具のブランク素材及びホース用口金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はホース用口金具のブランク素材及びホース用口金具に係り、特に、めがねタイプのホース用口金具を製造するためのブランク素材及びこのブランク素材から製造されたホース用口金具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、油圧機器とホースとを接続するために、ホース用口金具が使用されている。自動車用油圧式ブレーキにおいては、図1(A)、(B)に示すめがねタイプのホース用口金具が使用されている。このホース用口金具は、ゴムホースが挿入可能でかつ底面に貫通孔が穿設された有底円筒状のホース挿入部(ソケット部)10と、ホース挿入部10の底面に穿設された貫通孔と連通するようにホース挿入部10内に設けられた円筒細管である円筒内管(ニップル)12と、中空部が円筒内管12の中空部に連通するように設けられた中空円筒状の軸部(首部)14を介して設けられると共に油圧機器に接続される、シール座面Sを備えた目玉状の頭部(ユニオンボルト取り付け部)16と、から構成されている。
【0003】
このホース用口金具は、ゴムホース内に円筒内管12が挿入するようにゴムホースの一端がホース挿入部10に挿入され、ホース挿入部10をかしめることによりゴムホースと接続される。
【0004】
一般に、このホース用口金具のホース挿入部10は外径13.5mm、長さ22mm、軸部14の外径は7mm、頭部16の外径は17mmであり、頭部16の中心からホース挿入部10と軸部14との境界までの長さは23mmである。
【0005】
従来、このホース用口金具は、図2(A)に示す、外径13.5mm、長さ22mmの有底円筒状のホース挿入部10を一端に備えると共に、他端に頭部16を形成するための外径7mmの円柱状頭部粗材部18を備えた半塑性品から順次複数の工程を経て製造されている。この半塑性品は、冷間鍛造により成形される。
【0006】
以下、上記の半塑性品からホース用口金具を製造する工程について説明する。半塑性品から塑性完成品を製造する工程では、円柱状頭部粗材部18を割型ダイスを使用して据え込み加工し、頭部として加工される外径17mmの球状頭部粗材部22を成形して、図2(B)に示す塑性完成品を成形する。なお、この塑性完成品において球状頭部粗材部22の中心は、ホース挿入部12の底面側端部から23mmの距離離れた位置に位置しており、球状頭部粗材部22とホース挿入部10との間には軸部14が形成される。
【0007】
次の切削加工工程では、図2(C)に示すように、球状頭部粗材部22にシール座面Sを所定寸法に切削すると共に、球状頭部粗材部22の中心にユニオンボルト挿入孔24を切削加工により形成し、頭部16を形成する。また、ホース挿入部10の底面から頭部16の内面まで貫通した貫通孔26を穿設し、中空円筒状の軸部14を形成する。
【0008】
次の組み付け工程では、円筒内管12を別に切削加工で形成し、この円筒内管12を図2(C)に示す切削加工品のホース挿入部12の底面に挿入して図2(D)に示すように組み付ける。
【0009】
最終のろう付け工程では、図2(D)の組み付け品を炉中でCuによりろう付け溶接して図2(E)に示すホース用口金具を製造する。
【0010】
従来の半塑性品から塑性完成品を加工する据え込み加工では、予備据え込み加工を行って球状頭部粗材部22を成形しているが、円柱状頭部粗材部18から球状頭部粗材部22を加工する加工率は、一般的に20%〜25%程度となっている。上記の例では、塑性完成品の球状頭部粗材部の体積は2,570mm3 、この体積と同等の半塑性品の円柱状頭部粗材部の長さは66.8mmであるので、加工率は22.5%となる。
【0011】
しかしながら、一般的な据え込み加工率は、25%〜30%が加工限界とされており、上記従来のホース用口金具製造方法では、加工するためのダイス等の工具寿命が短く、また製造中に材料割れが発生する等の問題が生じている。
【0012】
また、円柱状頭部粗材部を球状頭部粗材部に加工する際の加工荷重が大きいことから半塑性品の段階でホース挿入部に円筒内管を形成して円柱状頭部粗材部を据え込み加工すると、円筒内管が変形することから、円筒内管を別に製造し、切削加工後に円筒内管を組み付けてろう付け溶接しているため、多くの工程が必要になる、という問題がある。
【0013】
さらに、円筒内管のろう付け部分の液密性を保証するために液密性試験を行う必要があり、このため品質試験に多大な工程がかかり、コスト高になる、という問題がある。
【0014】
本発明は、上記問題点を解消するために成されたもので、ホース用口金具を少ない工程で製造することができるホース用口金具のブランク素材、及びこのブランク素材から製造したホース用口金具を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明の、ゴムホースが挿入されるホース挿入部と、該ホース挿入部内に設けられた円筒内管と、油圧機器に接続される頭部と、を備え、ゴムホース内に前記円筒内管が挿入するようにゴムホースの一端が前記ホース挿入部に挿入され、ホース挿入部がかしめられてゴムホースと接続されるホース用口金具を製造するためのホース用口金具のブランク素材は、一端に前記頭部として加工される球状頭部粗材部を備え、かつ他端に円柱状粗材部を備えた半塑性品の前記円柱状粗材部を据え込み加工して、前記ホース挿入部及び前記円筒内管として加工されるホース挿入部粗材部を外径が前記球状頭部粗材部より小さい略円柱状に成形して構成されている。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において前記ホース挿入部粗材部を塑性加工することにより、内部に前記円筒内管として加工される円筒内管粗材部を備えた前記ホース挿入部を成形したものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明において前記円筒内管粗材部を塑性加工することにより前記円筒内管を成形したものである。
【0018】
そして、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項のホース用口金具のブランク素材から製造されている。
【0019】
本発明のホース用口金具のブランク素材のホース挿入部粗材部の外径は、球状頭部粗材部の外径より小さいので、円柱状粗材部からホース挿入部粗材部を加工する際の加工荷重は、従来の円柱状頭部粗材部から球状頭部粗材部を加工する際の加工荷重より小くなり、これにより容易にホース挿入部粗材部を加工することができる。
【0020】
また、ホース挿入部粗材部を塑性加工することにより内部に円筒内管粗材部を備えたホース挿入部を成形し、円筒内管粗材部を塑性加工することにより円筒内管を成形することができる。
【0021】
これにより、従来の円筒内管組み付け工程とろう付け工程と削減でき、またろう付けを行っていないので液密性試験の工程を省略することができ、少ない工程でホース用口金具を製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
まず、半塑性品加工工程では、円柱状の材料を加工することにより、一端に頭部として加工される球状頭部粗材部30を備えると共に、他端にホース挿入部及び円筒内管として加工される円柱状粗材部32を備えた図3(A)に示す半塑性品を成形する。この球状頭部粗材部30は、円柱状の材料を据え込み加工することにより成形され、円柱状粗材部32は円柱状の材料を絞り加工することにより成形される。
【0024】
次の塑性完成品を製造する工程では、上記の半塑性品を割型ダイスを使用して、円柱状粗材部32を据え込み加工し、ホース挿入部粗材部36を成形する。
【0025】
この据え込み加工について詳細に説明すると、まず、円柱状粗材部32の球状頭部粗材部30成形部分と反対の部分を予備据え込み加工することにより、図3(B)に示すように、予備ホース挿入部粗材部34を成形する。なお、この予備ホース挿入部粗材部34の形状は任意の形状でよい。また、球状頭部粗材部30と予備ホース挿入部粗材部34との間の部分は、軸部粗材部38として残存する。
【0026】
次に、予備ホース挿入部粗材部34を据え込み加工して、図3(C)に示すように、外径が球状頭部粗材部30の外径より小さい円柱状のホース挿入部粗材部36を成形する。このとき、軸部粗材部38は、図3(B)の状態のままである。
【0027】
次に、ホース挿入部粗材部36を押し出し加工することにより、図3(D)に示すように、ホース挿入部10を成形すると共に、ホース挿入部10内部にホース挿入部10の底面からホース挿入部10の軸方向に延びかつ円筒内管として加工される円筒内管粗材部40を成形する。
【0028】
次に、円筒内管粗材部40を押し出し加工することにより、図3(E)に示すように、内部に孔が形成された円筒内管12を成形する。
【0029】
上記図3(C)〜(E)の各工程におけるブランク素材は、本発明のホース用口金具のブランク素材に相当する。また、上記図3(B)〜(E)の各工程は、単独プレスで個々に加工してもよいし、一連のトランサープレスで加工してもよい。
【0030】
そして、上記従来の工程で説明したように、球状頭部粗材部30のシール面を所定寸法に切削すると共に、球状頭部粗材部30の中心にユニオンボルト挿入孔を切削加工により形成し、頭部を形成する。また、ホース挿入部10の底面から頭部16の内面まで貫通した貫通孔を穿設し、中空円筒状の軸部を形成する。これにより、ゴムホースが挿入されるホース挿入部と、ホース挿入部内に設けられた円筒内管と、油圧機器に接続されかつ外径がホース挿入部の外径より大きい頭部と、を備え、ゴムホース内に円筒内管が挿入するようにゴムホースの一端がホース挿入部に挿入され、ホース挿入部がかしめられてゴムホースと接続されるホース用口金具が製造される。
【0031】
上記ホース挿入部粗材部36の外径は、球状頭部粗材部30の外径より小さいので、円柱状粗材部32からホース挿入部粗材部36を成形し、ホース挿入部粗材部36からホース挿入部及び円筒内管を加工する際の加工荷重は、従来の外径17mmの頭部粗材部を加工する際の加工荷重より小さく、また外径17mmの頭部粗材部を割型ダイスで保持できるため、容易にホース挿入部及び円筒内管を加工することができる。
【0032】
そして、上記のように押し出し加工によりホース挿入部及び円筒内管を成形することができるので、従来の円筒内管組み付け工程とろう付け工程が削減でき、これによりホース用口金具を製造する際の製造工程を削減することができる。また、ろう付けを行っていないので液密性の信頼性を向上することができ、これにより液密性試験の工程を省略することができる。
【0033】
以下、本実施の形態を具体的な寸法のホース用口金具について更に説明する。上記図3(A)に示したブランク素材の球状頭部粗材部30の外径は17mm、円柱状粗材部32の外径は7mm、球状頭部粗材部30の中心から円柱状粗材部32の先端までの長さは61.6mmであり、円柱状粗材部32の先端から38.5mmの部分がホース挿入部粗材部に成形される。また、このブランク素材を成形するための材料の外径は10mmである。
【0034】
材料の外径が10mmであるので、球状頭部粗材部30を据え込み加工する際の加工率は45.7%、円柱状粗材部32を絞り加工する際の加工率は70%になり、製造上問題のない加工率にすることができる。
【0035】
図3(C)のホース挿入部粗材部36の外径は13.4mm、長さは10.5mmになるように成形され、この結果球状頭部粗材部30の中心からホース挿入部粗材部36の先端までの長さは33.5mmになる。このため、ホース挿入部粗材部36の体積は約1,480mm3 となり、同等の体積の外径7mmの円柱状粗材部32の長さは38.5mmであるので、加工率は27.5%と向上させることができる。
【0036】
また、押し出し加工により成形されるホース挿入部は外径13.5mm、内径11mm、外形長さ22mmであり、内部底面から開口側先端までの長さは18mmである。また、このとき成形される円筒内管粗材部は外径3.5mm、長さ9.5mmである。また、円筒内管粗材部より成形される円筒内管の内径は2.3mm、長さは18mmである。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ホース挿入部粗材部を加工するときの加工率を30%弱まで向上させることにより、工具寿命及び材料割れを防止することができる、という効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1〜4の発明によれば、ホース挿入部及び円筒内管として加工される円柱状粗材部を備えた素材の円柱状粗材部を据え込み加工してホース挿入部粗材部を成形し、このホース挿入部粗材部からホース挿入部及び円筒内管を製造することが可能になるので、製造工程を削減することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はホース用口金具を示す部分断面図である。
【図2】(A)〜(E)はホース用口金具の従来の製造方法を説明するための部分断面図である。
【図3】(A)〜(E)は本実施の形態のホース用口金具の製造方法を説明するための部分断面図である。
【符号の説明】
10 ホース挿入部
12 内部内管
14 軸部
Claims (4)
- ゴムホースが挿入されるホース挿入部と、該ホース挿入部内に設けられた円筒内管と、油圧機器に接続される頭部と、を備え、ゴムホース内に前記円筒内管が挿入するようにゴムホースの一端が前記ホース挿入部に挿入され、ホース挿入部がかしめられてゴムホースと接続されるホース用口金具を製造するためのホース用口金具のブランク素材であって、
一端に前記頭部として加工される球状頭部粗材部を備え、かつ他端に円柱状粗材部を備えた半塑性品の前記円柱状粗材部を据え込み加工して、前記ホース挿入部及び前記円筒内管として加工されるホース挿入部粗材部を外径が前記球状頭部粗材部より小さい略円柱状に成形したホース用口金具のブランク素材。 - 前記ホース挿入部粗材部を塑性加工することにより、内部に前記円筒内管として加工される円筒内管粗材部を備えた前記ホース挿入部を成形した請求項1のホース用口金具のブランク素材。
- 前記円筒内管粗材部を塑性加工することにより前記円筒内管を成形した請求項1のホース用口金具のブランク素材。
- 請求項1〜3のいずれか1項のホース用口金具のブランク素材から製造されたホース用口金具。
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JP00554298A JP4000211B2 (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | ホース用口金具のブランク素材及びホース用口金具 |
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JPH11201350A JPH11201350A (ja) | 1999-07-30 |
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