JP4000102B2 - ロール用溶射装置及びロールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロールの表面に溶射する際に、特定の部位への溶射皮膜の形成を防ぐマスキング機構を設けた溶射装置、該溶射装置により表面に、溶射材料の種類、皮膜の表面粗度、形状などを制御した溶射皮膜を形成したロールの製造方法に関する。
被溶射材の特定の部位への溶射皮膜の形成を防ぐ一般的な方法の一つにマスキングという手法がある。これは、テープ状のマスキング材を被溶射材の表面に貼り付けたり、スリット状のマスキング材を溶射範囲に設けて、被溶射材の表面への溶射粒子の付着を遮る方法である。このマスキングによって、限定された部分のみに溶射皮膜を形成することが可能であり、更にその後、同様にして、溶射皮膜が形成されていない部分に異なった溶射条件で溶射皮膜を形成することもできる。
マスキングを行う際には、マスキング材に溶射粒子が堆積して溶射領域の寸法精度が低下するという問題があり、これに対して、溶射範囲にベルト状のマスキング材を走行させ、マスキング材に堆積した溶射粒子を除去しながら、連続して溶射を行う方法が提案されている(例えば特許文献1、2)。更に、溝の幅やピッチが小さい場合には、ワイヤ状のマスキング材を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献3〜6)。
しかし、これらの方法では、装置が大きく、複雑になり、製造コストも高くなる。そのため、溶射領域を簡易かつ高精度に限定でき、装置が簡便で安価な溶射装置及び溶射方法が望まれていた。このように、性状の異なる溶射皮膜を特定の部位に高精度で形成することができれば、マスキングの適用範囲を広げることも可能である。
例えば、金属板材の通板ロールは、通板時のスリップ、蛇行、ビルドアップを抑制するために、表面粗度を精度良く制御することが望ましい。このような問題に対して、ダル加工を行ったロールに溶射皮膜を形成する方法(例えば特許文献7)、更に溶射皮膜を研磨する方法(例えば特許文献8)が提案されている。しかし、これらの方法ではロール凹部の表面粗度が粗くなり、ビルドアップの抑制効果が不十分であった。
また、ロールの表面に溝を設けたロール、特に、溶融亜鉛メッキライン用の溶融亜鉛浴中ロール(以下シンクロールという)にも同様な問題があり、シンクロールの表面には、使用中に溶融亜鉛が合金化して付着し、鋼板の表面の亜鉛メッキ層に付着物の形状が転写されたり、ロール表面に設けた溝が埋められて鋼板がスリップし、亜鉛メッキ層の厚さの均一性が損われる。したがって、表面に溝を設けたシンクロールでは、溝の凸部の粗度を大きくして鋼板のスリップを抑制し、溝の凹部では粗度を小さくして合金の付着を抑制することが必要である。このような溝の凹部と凸部に異なる性状の溶射皮膜を形成するには、高精度で安価なマスキング機構を有する溶射装置が好適である。
特開平10−8233号公報 特開平10−273768号公報 特開2000−54103号公報 特開2000−104155号公報 特開2000−104156号公報 特開2000−104157号公報 特開平8−247136号公報 特開平7−39918号公報
本発明は、被溶射材の表面の特定の部位に溶射皮膜を高精度で形成することができる簡便なマスキング機構を設けた溶射装置を提供し、表面の特定の部位の溶射皮膜の性状を制御したロール、特に、表面に設けられた微細な溝の凹部と凸部のそれぞれの部位に表面粗度の異なる溶射皮膜を精度良く形成するロールの製造方法を提供するものである。
本発明は、溶射装置のマスキング機構として、回転円盤を設けることを提案するものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 溶射ガンから噴射された溶射粒子が飛行する溶射範囲内に少なくとも1枚の回転円盤を溶射方向と平行に設け、前記回転円盤の回転中心軸が溶射方向に垂直であり、回転円盤の回転中心軸と溶射ガンとの相対位置を一定に保つ支持アームを前記回転円盤と前記溶射ガンとの間に設けたことを特徴とするロール用溶射装置。
) 回転円盤の回転中心軸を溶射範囲外に設けたことを特徴とする()記載のロール用溶射装置。
) 3枚以上の回転円盤を等間隔で設けたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のロール用溶射装置。
) 回転円盤の回転中心軸を通る断面において、前記回転円盤の外周部の頂角が5°〜30°であることを特徴とする(1)〜()の何れか1項に記載のロール用溶射装置。
) 回転円盤及び回転中心軸に付着した溶射粒子を除去するスクレーパを支持アームに設けたことを特徴とする()〜()の何れか1項に記載のロール用溶射装置。
) (1)〜()の何れか1項に記載の溶射装置の回転円盤の回転中心軸をロールの軸方向に対して0〜90°傾けて設置し、前記ロールの回転及び/又は前記ロールの軸方向への溶射ガンの移動を行いながら、溶射することを特徴とするロールの製造方法。
) 回転円盤をロールの表面に接触させて、前記回転円盤を回転させることを特徴とする()記載のロールの製造方法。
) 溶射後、ロールの回転及び/又はロールの軸方向への溶射ガンの移動により溶射皮膜を形成する位置を変更し、更に前記ロールの表面に溶射することを特徴とする()又は()記載のロールの製造方法。
) ()〜()の何れか1項に記載の溶射装置の回転円盤の間隔と等しいピッチの溝をロール表面に設け、前記溝の凹部又は凸部に円盤の先端を位置させて溶射することを特徴とする()〜()の何れか1項に記載のロールの製造方法。
10) 溶射後、溶射部位を変更する際に、溶射材料粉末のサイズ、溶射材料粉末の種類、溶射ガン、溶射距離、燃焼温度、噴射ガス流量のいずれか1又は2以上を変え、更にロールの表面に溶射することを特徴とする()又は()記載のロールの製造方法。
11) 溶射ガンのロールの軸方向への移動距離が回転円盤の間隔の半分の奇数倍であることを特徴とする()〜(10)の何れか1項に記載のロールの製造方法。
本発明によれば、ロールの表面の特定の部位に、種類、表面粗度、形状等を精度良く制御した溶射皮膜を形成することが可能になり、例えば、溶融亜鉛メッキラインの耐合金付着性に優れたシンクロールの提供によって、溶融亜鉛ポット内のシンクロールの交換周期を大幅に延長して、溶融亜鉛メッキラインの休止時間を短縮し、また、メッキ鋼鈑の品質、歩留まりが改善されるなど、産業上の果が極めて顕著である。
図1〜は本発明の溶射装置をロールの軸方向に垂直に配置した例を示す模式図であり、図5〜7はスクレーパを設けた本発明の溶射装置の説明図であり、はロール表面に溶射皮膜を形成する場合の溶射装置とロールの相対的な位置関係を示す模式図であり、ロールの回転と、溶射装置のロールの軸方向への移動を矢印で示している。
図1は、ロール1の軸方向及び溶射装置の回転円盤3の回転中心軸9に垂直な方向から見た溶射装置及びロールの側面図である。図1に示したように、溶射ガン2は、溶射方向がロール1の軸方向と垂直な方向になるように設置されており、溶射粒子は溶射粉体供給管4から供給され、溶射ガン2より噴射されて、溶射範囲12を飛行し、ロール1の表面に到達する。この溶射範囲12には、回転円盤3が溶射方向と平行に配置されており、回転中心軸9は溶射方向に垂直に、溶射ガン2と回転円盤3との相対位置が一定になるように、支持アーム8と軸受け10によって設置されている。
溶射ガン2は、高速フレーム溶射、高速ガス溶射(High Velocity Oxygen−Fuel Thermal Spraying Process、HVOFという)、爆発溶射(Detonation Gun Process、D−gunという)、プラズマ溶射など、通常、溶射皮膜の形成に用いられる方式の溶射ガンを用いれば良い。
また、溶射装置は、移動装置(トラバーサー)7により一定速度でロール1の軸方向に移動することが可能である。移動装置7は、一方向に一定速度で移動できれば良いが、両方向の移動速度を制御できることが好ましく、移動方向の逆転や、移動速度の制御が高精度かつ容易で、ロール1が長尺であっても対応できるように、ボールスクリュー方式やラック・アンド・ピニオン方式が好適である。
図2及び図3は、表面に溝を設けたロール1と回転円盤3の拡大図であり、図2は鉛直方向、図3は水平方向を示している。図2は、複数の回転円盤3をロール1の表面の凹部に合わせて等間隔に配置した例であり、溶射皮膜形成領域13内のロール1の表面の溝の凸部14に溶射皮膜が形成される。回転円盤3を回転する機構として、必要に応じてモーターなどを設けても良い。
また、回転中心軸9は溶射範囲12外に設けることによって、回転中心軸9への溶射粒子の堆積を抑制することができる。具体的には図4に示したように、回転円盤3の上端が溶射範囲12の上端よりも上方に位置するように、回転円盤3の直径と回転中心軸軸受け10の位置を溶射範囲12に応じて設定し、回転中心軸軸受け10を溶射範囲12の下端よりも下方に設ければ良い。
なお、図2に示した例では、3枚の回転円盤3が1つの回転中心軸9に固定されており、回転円盤3を一定の圧力でロール1に押し付けることにより、ロール1と回転円盤3との間の摩擦によって、全てが同時に回転する。このような簡便な構造にすれば、回転円盤3を回転させるモータなどを省略でき、コストを低減することができる。また、直径が異なる回転円盤3を設ける場合などには、個々の回転円盤3ごとに独立した回転中心軸9を設けても良い。この場合には、個々の回転円盤3を独立に回転させることになる。
回転円盤3は、図2に示したように、回転中心軸9を通る断面において、中心部よりも円周部が細くなるように傾斜させると、回転円盤3への溶射粒子の付着を抑制することができる。この場合、回転円盤3の円周部の頂角θが5°より小さいと、回転円盤3の中心部の厚みが薄くなって、マスキングの範囲が狭くなり、又は、回転円盤3の中心部の厚みを確保するには、回転円盤3の直径が大きくなり、溶射距離が長くなる。一方、回転円盤3の円周部の頂角θが30°より大きくなると、回転円盤3に溶射粒子が付着し易くなり、堆積した溶射粒子を頻繁に除去しなければならない。したがって、回転円盤3の円周部の頂角θは、5°〜30°であることが好ましい。
また、回転円盤3を回転させることにより、溶射粒子の付着量を、静止している場合よりも少なくすることができるが、堆積を完全に防止することは困難である。特に、図2、3に示したように回転中心軸9を溶射範囲12内に設けた場合には、回転中心軸9は溶射方向に垂直であるため、溶射粒子が堆積し易い。この場合、回転円盤3及び回転中心軸9に堆積した溶射粒子によって、マスキングの範囲の精度が損なわれることがある。この堆積した溶射粒子を除去するためには、図5〜7に示したように、スクレーパ11を設けることが好ましい。
図5〜7は、スクレーパ11を支持アーム8に設け、回転機構を有する溶射装置の一例であり、一定時間毎に堆積物を除去する方法を示すものである。スクレーパ11は、溶射中には図6及び図7の2点鎖線に示した位置に待機させる。回転円盤3及び/又は回転中心軸9への粒子付着が顕著になった時点で、図5及び図7の実線で示した位置に回転させて移動し、スクレーパ11の先端を回転中心軸9の堆積物に接触させれば、堆積物を除去することができる。なお、スクレーパ11を、一定時間毎に回転させて、定期的に堆積物を除去しても良い。
次に、ロールの表面に溶射皮膜を設ける製造方法について説明する。
本発明のロールの製造方法は、図8に一例を示したように、溶射ガン2から噴出した溶射粒子が飛行する溶射領域12内に回転円盤3を溶射方向と平行に、回転中心軸9の軸方向をロール1の軸方向に平行に設置し、ロール1及び回転円盤3を回転させながら溶射を行うものである。これにより、ロール1の表面に周方向に同心円状の溶射皮膜を形成することができる。ロール1を少なくとも1周以上回転させれば、ロール1の周方向の全面に溶射皮膜を設けることができる。また、表面の溶射皮膜がある程度の厚みを必要とする場合には、ロール1を2周以上回転させても良い。一方、ロール1の周方向の特定の範囲のみに溶射皮膜を形成させる場合には、溶射範囲が所定の範囲内になるようにロール1の回転と反転を繰り返し行っても良い。
更に、溶射装置を固定し、ロール1を回転させて溶射を行った後、溶射を停止し、移動装置7によってロール1の軸方向に溶射装置を移動させて、再びロール1を回転させて溶射を行い、これを繰り返せば、ロール1の所定の部位又はロール1の全面に溶射皮膜を同心円上に形成することができる。
また、ロール1を回転させながら、移動装置7によって溶射装置をロール1の軸方向に移動させれば、ロール1の表面に螺旋状の溶射皮膜を形成させることができる。この場合、ロール1の一端から他の一端まで螺旋状の溶射皮膜を形成することが可能である。なお、回転円盤3の回転中心軸9とロール1の軸との角度は平行でも良いが、溶射皮膜を形成するロール表面の螺旋軌道に応じて、角度を傾斜させることが好ましい。溶射装置を停止後、溶射開始位置まで移動させて、溶射皮膜が形成されていない部位に溶射できるように軸方向の位置を調整し、再び同条件で溶射し、これを繰り返せば、ロール1の所定の部位又はロール1全面に螺旋状の溶射皮膜を形成させることができる。
なお、回転円盤3がロール1の軸方向に平行になるように、回転中心軸9とロール1の軸方向との角度を90°にし、溶射装置を移動装置7によってロール1の軸方向に移動させながら溶射を行えば、ロール1に軸方向に平行な溶射皮膜を形成することができる。この場合は、溶射を行った後、溶射を停止して、ロール1を回転させて、再び、同様に溶射を行い、これを繰り返せば、ロール1の所定の部位又はロール1の全面に溶射皮膜を軸方向と平行に形成することができる。
回転中心軸9の角度を変更するためには、溶射装置全体を傾けて設置しても良いが、支持アームに角度調整機構を設けることが好ましい。
これらの製造方法によって、ロールに溶射皮膜を形成する場合、溶射後、溶射皮膜が形成した部位に回転円盤3を相対させて、溶射材料の種類、サイズ、溶射条件を変化させて溶射し、これを繰り返せば性状の異なる溶射皮膜を交互に形成することができる。2つの溶射装置ロールを挟んで対峙させて、異なる条件で溶射しても良い。
なお、この製造方法は、周方向に縞状、螺旋状の溝を同一ピッチで設けたロールにも適用することができる。ロール1の表面への溝の形成は、例えば、金属板材の搬送ロールに適用すれば、金属板材の蛇行などの防止に有効である。この場合には、溝の幅、ピッチを微細にすることが好ましい。したがって、図2に示したように、溝のピッチは溶射皮膜形成領域13よりも小さく、複数の溝が溶射皮膜形成領域13内に存在している。
この場合、回転円盤3をロール1の溝の凹部に位置するように配置し、ロール1を軸方向に回転させながら溶射すれば、溝の凹部がマスキングされ、凸部に溶射皮膜14を形成することができる。更に、ロール1を、所定の回数、回転させた後に溶射を停止させ、移動装置7により溶射装置をロールの軸方向に、回転円盤3の間隔の半分の奇数倍を移動させれば、回転円盤3がロール1の溝の凸部に相対する。この状態で、再び、ロール1を軸方向に回転させながら溶射すれば、凹部に溶射皮膜が形成される。
また、ロール1の表面の溝が螺旋状である場合には、溝の形状に合わせて、ロールの回転と溶射装置のロール1の軸方向への移動を制御すれば良い。例えば、溝の凹部に回転円盤3を相対させ、ロールの回転と溶射装置のロール1の軸方向への移動を溝の螺旋形状に合わせて制御しながら溶射すれば、凸部に溶射皮膜を形成することができる。その後、溶射装置をロール1の軸方向に、回転円盤3の間隔の半分の距離を移動させて、溝の凸部に回転円盤3を合わせて、ロール1の回転方向及び溶射装置の移動方向が逆になるように制御すれば、螺旋状の溝の凹部に溶射皮膜を形成することができる。また、溶射後、溶射装置をロール1の溶射開始位置に移動させ、かつ、溶射開始位置から回転円盤3の間隔の半分の奇数倍の距離をずらせば、ロールの回転と溶射装置の移動を同様の条件で行うことが可能である。
溶射装置のロール1の軸方向の位置を調整する前後で、溶射材料粉末の種類、粒子のサイズ、溶射条件を変化させれば、凸部と凹部に異なる性状の溶射皮膜を形成することができる。また、溶射装置のロール1の軸方向への移動を溶射範囲内で行えば、同一箇所に複数の溶射皮膜の層を設けることができる。したがって、溶射装置のロール1の軸方向への移動距離は、溶射装置の性能と必要な溶射皮膜の厚さから適宜決定すれば良い。
このようにして、周方向に同心円状又は螺旋状であり、かつ、異なる性状の溶射皮膜を縞状に形成する場合、例えば、溶射条件のうち、溶射材料粉末の粒子のサイズを変更すれば、形成される溶射皮膜の表面粗度を調整することができる。溝の凹部の粗度が小さく、溝の凸部の粗度が大きいロールを製造するには、凹部には粒子のサイズが小さい溶射材料粉末を用い、凸部には粒子のサイズが大きい溶射材料粉末を用いて溶射すれば良い。なお、ロールの溝の凹部と凸部で明確に異なる粗度を得るためには、溶射材料粉末の粒子の平均径の差が1μm以上であることが好ましい。
溶射材料粉末の粒子のサイズが極端に異なる場合、又は、溶射材料粉末の種類、即ち、成分又は組成が極端に異なる場合には、溶射ガン2を変更することも可能である。また、溶射ガン2を変更する必要がない場合でも、溶射条件のうち、溶射距離、燃焼温度、噴射ガス流量を、適宜調整して、溶射皮膜の性状を制御することが好ましい。
また、本装置の回転円盤を用いずにロールの全面に溶射皮膜を形成した後、回転円盤を用いて溶射を行い、ロール表面に凸部を設けても良い。
溶射装置は、HVOF溶射ガンに支持アームを取り付け、高Cr鋳鉄からなる直径50mmの回転円盤を3枚、溶射方向及び鉛直方向に平行に、回転中心軸を同一にして4mm間隔で固定した。溶射ガンと反対側の回転円盤の端部における溶射範囲、即ち、溶射皮膜形成領域は約15mmの円であった。また、回転円盤及び回転中心軸に堆積した溶射材料粉末の粒子を除去する、マルテンサイト系ステンレス鋼製のスクレーパを、手動の回転機構を設けて、支持アームに取り付けた。また、溶射装置には、ラック・アンド・ピニオン方式の移動装置を設けた。
次に、直径800mmのロールの表面に、高さ2mm、ピッチ4mm、凹部及び凸部の断面形状がV形状であり、頂部の内角が45°、曲半径が1mmの溝を、機械加工によって、周方向に螺旋状に設けた。溝のピッチは、溶射装置の回転円盤と誤差範囲内で同等である。
図2に示したように、溶射装置をロールの溝の凹部に回転円盤が相対するように配置し、溝の凸部に溶射皮膜を形成した。なお、回転円盤をロールの溝の凹部に合わせ状態を保持したまま、図8に示したように、ロールの回転及び溶射装置の移動を制御して溶射した。具体的には、ロールの回転数は5rpm、溶射装置の移動速度は、20mm/minとした。溶射材料粉末は、サーメット、具体的にはWC−12Coを用い、1パスで形成する溶射皮膜の膜厚を20μmとして、2パスの溶射を行い、凸部に計40μmの溶射皮膜を形成した。なお、溶射皮膜の表面粗度Raが10〜20μmとなるように、溶射条件、即ち、溶射原料粉粒度,溶射距離,燃焼ガス条件を選定した。なお、溶射条件は、予め平板状に種々の条件で溶射皮膜を形成して表面粗度を測定して決定した。
次に、溶射材料粉末の成分組成は、凸部の溶射皮膜と同じWC−12Coとし、溶射後の粗度がRaで5μm未満となる溶射条件で凹部に溶射皮膜を形成した。溶射材料粉末の粒子のサイズが微小であるため、溶射ガンノズル近傍の粒子付着を防止するためのガイド噴流機能を設けた、凸部の溶射に用いた溶射ガンとは別の、HVOF溶射ガンを使用した。溶射条件は、予め、平板に溶射皮膜を種々の条件で溶射して、表面粗度が適正範囲になるように調整した。
溶射装置の回転円盤をロールの表面の溝の凸部に合わせて、凸部への溶射と同様にして、凹部に溶射皮膜を形成した。ただし、1パスの溶射で形成する膜厚は5μmであり、合計3パスの溶射を行って、計15μmの溶射皮膜を形成した。また、凹部及び凸部への溶射時には、回転円盤をロールに10Nの力で押し付け、ロール表面との摩擦力でロールとともに回転させた。更に、溶射中に回転円盤及び回転中心軸に付着した堆積物が目視で確認できるようになった時点で、スクレーパを手動にて回転させ、堆積物を除去した。
このようにして製造したロールを、溶融亜鉛メッキラインのシンクロールとして用い、ロール寿命を、WC−CoをRa10〜20μmの範囲でほぼ均質に溶射した従来の溝付きロールと比較した。結果を表1に示す。表1に示したように、従来ロールでは30日後にはロールの表面に合金が付着し、メッキ品質不良を生じて、ロールの交換を必要としたが、本発明の製造方法によるロールは、120日間使用後も表面に合金が生成しなかった。
Figure 0004000102
本発明は、表面に溶射皮膜を設け、耐磨耗性、耐食性を向上させた摺動部材、例えば、金属板材を通板する製造設備の搬送ロールへの付着物の堆積を防止することができる。特に、溶融金属メッキライン等の溶融金属浴中ロール表面の耐合金付着性を改善する溶射皮膜の形成に好適である。
本発明の溶射装置の全体構成を示す図である。 本発明の溶射装置の回転円盤の詳細図(平面図)である。 本発明の溶射装置の回転円盤の詳細図(側面図)である。 溶射範囲外に回転中心軸を設けた本発明の溶射装置の一例である。 スクレーパを設けた本発明の溶射装置の詳細図(平面図)である。 本発明の溶射装置のスクレーパの動作を説明する図(平面図)である。 本発明の溶射装置のスクレーパの動作を説明する図(側面図)である。 本発明の溶射装置の全体構成及び溶射方法の模式図(立体図)である。
符号の説明
1 ロール
2 溶射ガン
3 回転円盤
4 溶射材料粉末供給管
5 燃料ガス供給管
6 支燃ガス供給管
7 移動装置
8 支持アーム
9 回転中心軸
10 回転中心軸軸受け
11 スクレーパ
12 溶射範囲
13 溶射皮膜形成領域
14 ロールの表面の溝の凸部
15 ロール回転機構

Claims (11)

  1. 溶射ガンから噴射された溶射粒子が飛行する溶射範囲内に少なくとも1枚の回転円盤を溶射方向と平行に設け、前記回転円盤の回転中心軸が溶射方向に垂直であり、回転円盤の回転中心軸と溶射ガンとの相対位置を一定に保つ支持アームを前記回転円盤と前記溶射ガンとの間に設けたことを特徴とするロール用溶射装置。
  2. 回転円盤の回転中心軸を溶射範囲外に設けたことを特徴とする請求項1記載のロール用溶射装置。
  3. 3枚以上の回転円盤を等間隔で設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のロール用溶射装置。
  4. 回転円盤の回転中心軸を通る断面において、前記回転円盤の外周部の頂角が5°〜30°であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のロール用溶射装置。
  5. 回転円盤及び回転中心軸に付着した溶射粒子を除去するスクレーパを支持アームに設けたことを特徴とする請求項の何れか1項に記載のロール用溶射装置。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の溶射装置の回転円盤の回転中心軸をロールの軸方向に対して0〜90°傾けて設置し、前記ロールの回転及び/又は前記ロールの軸方向への溶射ガンの移動を行いながら、溶射することを特徴とするロールの製造方法。
  7. 回転円盤をロールの表面に接触させて、前記回転円盤を回転させることを特徴とする請求項記載のロールの製造方法。
  8. 溶射後、ロールの回転及び/又はロールの軸方向への溶射ガンの移動により溶射皮膜を形成する位置を変更し、更に前記ロールの表面に溶射することを特徴とする請求項又は記載のロールの製造方法。
  9. 請求項の何れか1項に記載の溶射装置の回転円盤の間隔と等しいピッチの溝をロール表面に設け、前記溝の凹部又は凸部に円盤の先端を位置させて溶射することを特徴とする請求項の何れか1項に記載のロールの製造方法。
  10. 溶射後、溶射部位を変更する際に、溶射材料粉末のサイズ、溶射材料粉末の種類、溶射ガン、溶射距離、燃焼温度、噴射ガス流量のいずれか1又は2以上を変え、更にロールの表面に溶射することを特徴とする請求項又は記載のロールの製造方法。
  11. 溶射ガンのロールの軸方向への移動距離が回転円盤の間隔の半分の奇数倍であることを特徴とする請求項10の何れか1項に記載のロールの製造方法。
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