JP3999669B2 - 絹繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、絹の連続単繊維を変成して得られる重合体からなる新規な生体吸収性材料および前記生体吸収性材料を得る方法に関する。この材料は、天然の絹あるいは絹屑、その他の絹状の原材料から出発して連続単繊維に変成したものであり、医療用の人工靱帯や人工腱などの開発に利用できる。
したがって、本発明の材料は、組織工学製品や、ヘルニア用パッチ、医用縫合糸、人工腱固定材、代用血管などの織布もしくは不織布による生体吸収性移植材の骨格材として利用することができる。また、本発明の変成絹重合体は、組織の分解が遅いという特徴により、徐放性医薬の担体としての用途もある。
「絹(silk)」は、広義には各種動物が生成する延伸された連続二重単繊維を指す。これらの単繊維はタンパク質でできている。天然の絹は、一部グースベリーハバチ(Nemetas ribesii)の作るものがコラーゲンからなるものである他は、そのほとんどがフィブロインからなる。
絹は、中国の黄帝時代以来カイコガ(Bombyx mori)の養蚕を手段として繊維原料として利用されてきた。商取引の対象となる絹は、蚕がサナギから成虫に変態する際に身を守るために形成する繭から得た繊維状の産物である。繭糸である二重単繊維は約30%の膠質セリシンタンパク質で覆われており、蚕がサナギから成虫に変態する際の防衛策として自身の周囲に繊維で強化した繭を形成するために紡ぐものである。
繊維素材として利用するためには、時期が来て蚕が繭から脱け出すまえに蚕を窒息させることで変態を停止させ、単繊維の連続性を保存する。繭の外側の層を温水で軟化膨張させたのち、繰糸工程において二組の二重単繊維を同時に数個(一般的には7粒)の繭から撚りをかけつつ巻き取る。最終的に得られた連続単繊維原糸は長さがほぼ2キロメートルあり、太さは15〜25ミクロン(繊維数7本)である。
生糸を採取した残り、すなわち一定した連続二重単繊維層を露出するために繭の外層から取り除かれた絹、最後に残され生糸としては使えない内側の部分、あるいは繭の破片などは単繊維原糸としての用途に適さず、「屑絹」と呼ばれる。最近に至るまで、屑絹は細かく刻み、羊毛状の性質を持つ絹紡糸という織物用原糸を製造する際の原料として使用されてきた。
生糸単繊維は、その固有の物理的特性と生体適合性の点から、長年にわたって医用縫合糸として利用されてきた。絹繊維はフィブロインタンパク質でできており、その分子は強い配向性を持つ。しかし、縫合糸としての天然の絹繊維は体組織内で時間の経過とともにその強度を失う。これは、絹繊維構造における無定形部分内にある反応しやすく影響を受けやすい位置が分解酵素のアタックを受けるからである。
特許文献1には、絹フィブロインとヒト繊維素源の混合物からなり、外科手術用に適した新しい接着剤が開示されている。この発明は、5〜90重量%の絹フィブロイン混合物と、その用途として表面組織に良好な接着力をもつ医療用の接着剤を記載している。絹フィブロインをまず飽和食塩水溶液に溶解し、透析によって塩分を除去する。残ったフィブロイン懸濁液とヒト繊維素源とを混合して接着剤とする。
この手法の欠点は、懸濁液の生成工程においてタンパク質の分解劣化が生じることである。その結果、生成された接着剤は、時として物理特性において要求性状を満たし得ないものとなる。
特許文献2には、同じく絹フィブロインを食塩水溶液に溶解することを含む絹繊維の紡糸方法が開示されている。蒸発またはキャスティングによって前記溶液から水分を除去したのち塩分を除去し、基本的に無定形な絹の膜を得る。この材料をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解して原料溶液としたのち、紡糸・延伸を経て変成絹繊維を得る。
上記の原料溶液を記述の方法で使用することによりフィブロインの劣化という問題は軽減できる。しかし、環境意識の高まりとともに、ヘキサフルオロイソプロパノールのような有機溶媒は、近年その使用に伴うコスト面および環境対策上の負担の点から遠ざけられる傾向にある。
現在入手可能な生体吸収性材料は、例えばポリエステルのような非吸収性材料が有するのと同程度の引張り強度と剛性が要求される用途には適さない。これは、こうした材料が人体に移稙されたのち、3から6ヶ月でその機械的機能を失うからである。
寿命に上記のような限界があることは、腱や靱帯のように荷重を支える組織の骨格材としては重大な不都合となる。すなわち、こうした骨格材は、治癒過程において自然のまたは組織工学細胞の内殖が起こり、組織の完全な修復に至るまでの1〜2年の間、その機械的強度の大部分を維持しなければならないのである。
したがって、一定期間にわたり制御された生体吸収性を提供し、少なくとも1年間は十分な強度と機械的一体性を維持できるような材料が必要とされている。加えて、このような材料は生理的媒体との適合性があり、人体が許容できるものでなければならない。また、使用後の除去に手術を必要としないために、材料は最終的に分解するものでなければならない。
米国特許第4,818,291号公報 米国特許第5,252,285号公報
本発明の目的は、人体による緩慢な吸収と十分な機械的強度の維持を達成することによって、材料を耐荷重生体吸収性繊維として機能させることにある。したがって、この材料は、組織工学による靱帯や腱、生体吸収性固定システム、生体吸収性の耐荷重縫合糸などの医療分野に用途が見出せる。
本発明の他の目的は、屑絹材料を有用な医用材料に転換することにある。本発明のさらに他の目的は、絹または屑絹から一定の生理的環境において多種多様な機械的特性と寿命を発揮する繊維材料を製造することにある。さらに、本発明は比較的低コストでこうした材料を製造することも目的とする。
本発明のさらに他の目的は、天然の蚕以外の生産源から得られた絹状のタンパク質を紡糸する方法を提供することにある。例えば、本発明の方法は、遺伝子操作された有機体、例えば遺伝子組み換えによる蚕などから得た絹に適用できる。また、本発明の方法は、標準的な遺伝子工学の技術を用いて生産したものを始めとする合成フィブロインにも適用できる。絹タンパク質の供給源としては、トマトやタバコのような遺伝子組み換え植物、遺伝子組み換えによる授乳期のヒツジ、ヤギやウシといった動物、あるいは遺伝子組み換えによるイーストやバクテリアといった微生物がある。
本発明のさらに他の目的は、薬剤の制御放出に適した無定形の支持基質を提供することにある。本発明の変成絹繊維は様々な物理的形態の担体として使用でき、これには紡糸または押出しによる製品を含む。
すなわち、本発明の一実施態様によれば、
(1)溶媒を選択し、絹を溶解して絹フィブロイン溶液を生成する工程と、
(2)前記絹フィブロイン溶液を濾過する工程と、
(3)前記濾液を凝固浴中に紡糸して押出し繊維とする工程と、
(4)前記押出し繊維を延伸する工程と、
を含むことを特徴とする、絹繊維の製造方法が提供される。
本発明によれば、上記目的を達成するとともに、従来技術の方法に伴う問題の多くを回避できる。特に、本発明は、繊維の製造に際してプロセスパラメータを注意深く制御することで、機械的特性を変更し、生理的媒体内での繊維の寿命を延ばすことができる。
溶媒としては、ジクロロ酢酸とクロロフォルムおよび/またはジクロロメタンの混合物が好ましい。また、凝固浴はアルコールを含有することが好ましい。
上記における節足動物の種類としては、遺伝子操作を受けているか否かを問わず、野蚕または家蚕(例えばカイコガ、タッサー蚕またはアナフェサン蚕)やクモ類を含み、その生成物は従来の手法で生産されたもの、節足動物の絹糸腺から直接採取したもの、あるいはその他の方法により採取したものを含む。
一実施形態においては、絹は蛾類やクモ類のような昆虫を起源としたものである。より好ましくは、カイコガ、タッサー蚕、またはアナフェサン蚕のような蛾類を起源とした絹である。異なった地域で産出された絹、また異なった種の蚕あるいはクモから生産された絹はその化学組成や分子量を異にするが、これらのすべてが本発明の方法に使用でき、代用特性を持った製品を製造できる。他の実施形態においては、絹は遺伝子操作を施した有機体を起源とするものである。
一実施形態において、本発明の方法は以下の工程を含む:
(1)必要に応じて前記絹材料を精練して清浄化する工程と、
(2)前記絹をミリメートル以下の長さに細断する工程と、
(3)前記細断絹を適当な溶媒に溶解し、前記フィブロインを無定形な状態で沈殿させる
工程と、
(4)前記絹を、ジクロロ酢酸とクロロフォルムおよび/またはジクロロメタンの混合物
からなる溶媒に再溶解して均質な絹フィブロイン溶液を生成する工程と、
(5)前記絹フィブロイン溶液を濾過および脱気する工程と、
(6)前記濾液をアルコール凝固浴中にドライジェット湿式紡糸または湿式紡糸によって
紡糸してまとまった押出し繊維とする工程と、
(7)塩素化物溶媒を除去する工程と、
(8)前記押出し繊維を延伸する工程。
延伸された繊維は洗浄し、乾燥する。上記方法においては無定形フィブロインを出発物質として使用することもでき、その場合は上記工程のうち(1)から(3)を省略することができる。
溶解の材料として用いる絹はどのような絹であってもよく、天然絹、絹屑、無定形フィルムとしてあらかじめ調製した絹材料などが含まれる。本発明者らは、原料絹が無定形フィルムとしてあらかじめ調製してあった場合、その溶解速度は絹フィブロイン繊維の溶解速度より格段に大きく、分解劣化が起こる時間がそれだけ短縮されることを見出した。この技術を使うことで分解劣化を最小限にとどめられるので、高品質の製品を得ることができる。
本発明で使用される絹はカッティング・ミルなどを用いて細断しており、この点は本発明の重要な態様をなす。したがって、本発明の他な実施態様は、原料絹をカッティング・ミルなどを用いてミリメートル以下の長さに細断することを提供する。本発明者らは、従来使用されているハンマー・ミルを用いることはフィブロイン分子の完全性を損なうため、最終製品である絹繊維にとっては有害であることを見出している。
製造方法の概要
一実施形態において、本発明の方法は以下の工程を含む:
(1)必要に応じて絹を精練してセリシンを除去する工程と、
(2)必要に応じて絹を清浄化する工程と、
(3)フィブロインを適当な物理的および/または形態的状態に変換する工程と、
(4)溶媒系を選択し、好ましくは分解劣化を最小限に止めつつ絹を溶解することによっ
て、均質な絹フィブロイン溶液を生成する工程と
(5)絹フィブロイン溶液を濾過する工程と、
(6)濾液を脱気する工程と、
(7)濾液を選択された液体の凝固浴中にドライジェット湿式紡糸または湿式紡糸によっ
て紡糸してまとまった押出し繊維とする工程と、
(8)必要に応じて押出し繊維をエージングする工程と、
(9)押出し繊維を延伸する工程と、
(10)延伸された繊維に仕上げの2段階洗浄をほどこす工程と、
(11)洗浄された繊維を乾燥させる工程。
絹を天然で未加工の状態から押出しと紡糸のための粘稠な液体に変換する準備加工においては、ある程度の絹の劣化が発生する。絹の損傷は酸化が主因となって起こるため、上述の製造工程において例えば窒素のような不活性雰囲気を用いればこの影響を軽減できる。
本発明の方法は、原料を洗浄し、セリシンを除去し、極短小な(ミリメートル以下)長さに細断し、それを適切な溶媒系に溶解して組織学的な意味での重合体を構成分子に分割することによって絹フィブロイン溶液を生成する。溶液を濾過して脱気したのち、紡糸と延伸を行う。最後に、繊維を清浄化し、乾燥する。
本発明の変成絹重合体は、天然の絹の形態をその構成分子に解体し、紡糸と延伸により単繊維に組み直したものであって、人体により緩慢な吸収を受けることができる。繊維が分解する速度、したがって引張り強度の低下速度は天然の絹のそれよりも小さくできる。
他の実施形態において、絹材料には必要に応じて加工がなされ、その手段としては分子間架橋の導入、フィブロインへのグラフト加工、または使用中に劣化が発生すると考えられる位置やその近辺でのアクセスできる範囲内のアミノ酸残基への化学的操作のいずれかが用いられる。こうした加工は出発絹材料の溶解前あるいは変成絹繊維になされてもよく、すなわち、本発明の方法の実施前または実施後に行ってもよい。
本発明の方法によって製造された変成絹に化学的加工(紡糸前または紡糸後)を加えれば、繊維の物理的または生物学的特性をある特定の医学的またはその他の目的にあわせて調節できる。したがって、例えば強度または生分解の速度を変更することができる。
上記の加工は以下に挙げる方法の一つまたは複数を用いることで達成できる。
(1)エポキシド、酸無水物によるアシル化、アルデヒド、またはエチレングリコールジ
グリシジルエーテルとの架橋、
(2)ヒドロキシエチルメタクリレート重合体を用いたタンパク質へのグラフト加工、
(3)各種気体によるガスプラズマ処理およびそれに続く改質剤との反応、
(4)繊維の紡糸または延伸に先立つ、絹のアミノ酸残基を加工することによる無定形部
分の体積の増加。
絹繊維は医学的用途に使用できる。本発明に係る物理的または生物学的特性を向上させた変成絹繊維は、強靭な繊維材料が必要とされる数多くの応用に適しており、とりわけ以下に掲げる用途のいずれについても特に好適である:
(1)人体組織内での残存時間を所望の長さに調節された、生体吸収性があり外科的に移
植が可能な材料、
(2)所望の強度または剛性を保持するように調節された、生体吸収性があり外科的に移
植が可能な材料、
(3)薬剤の放出用に好適である、生体吸収性があり外科的に移植が可能な材料、または
(4)一定の生分解性を有する繊維材料。
製造工程
変成単繊維の製造は、個別の工程を段階的に実施してもよいし、全体を連続操作として行なってもよい。
押出し:
溶媒系に溶解した絹の濃度と溶媒の組成も繊維製品に影響をあたえる。これらを変化させることによって、特定の最終用途のための生理的媒体内における繊維の強度および/または寿命を最適なものにすることができる。
繊維の製造の基本的な最初の押出し工程に用いる絹フィブロイン溶液は、40℃以下の最高温度で調製するのが好ましく、常温以下の温度で調製するのがより好ましく、保存と取扱いは可能な限り低温で行なうのが好ましい。温度が50℃近辺あるいはそれ以上になると劣化の進行が早まる。
脱気と濾過は紡糸前の必須の工程である。脱気は遠心分離によって行われる。
生成しつつある単繊維の凝固浴内の保持時間と凝固浴の温度は重要である。本発明者らは、常温あるいはそれ以下の温度においては繊維の強度は改善されるが、そのためにはより長い保持時間が必要となることを見出した。凝固浴の温度は50℃以下であることが好ましい。
ドライジェット湿式紡糸システムで用いたエアーギャップは1.0センチメートルあるいは2.0センチメートルのいずれかである。上記以外のエアーギャップ長を検討したところでは、エアーギャップを拡大すればより広いジェットストレッチ環境が利用できるものと推定された。
押出し速度は従来のパラメータの範囲内で変化させてよいが、1分間に14.5メートルの速度が特に好適であった。
他の実施形態において、凝固浴の温度と組成をそれぞれ変化させて目的の繊維の特性を調節してもよい。凝固浴内の浸漬時間の長短は最終繊維の性質に影響する可能性がある。
延伸:
さらに他の実施形態においては、延伸率を適宜選択することで最終的に得られる変成繊維の強度その他の特性を調節してもよい。延伸率を上げると繊維の強度が向上する。この場合、紡糸直後の凝固単繊維が通される延伸浴の温度が重要である。延伸温度を170℃以上にすると、配向性のより強い単繊維が製造され、単繊維はより強靭で分解作用を受け難いものとなる。一方、延伸温度を下げることによって、延伸プロセスにおける分解劣化は最小限にとどめられる。ただし、最適温度は原料と延伸浴の特性によって左右される。延伸速度の調節に加えて、あるいはその代わりに延伸浴処理の長さを変えることで繊維の特性を調節してもよい。
化学的加工:
変成絹に種々の異なった安定性を付与するためには、ジカルボン酸無水物を用いた架橋反応、または重合体のグラフト加工によるフィブロイン中のアミノ酸残基の処理が用いられる。こうした処理は清浄化した絹の溶解に先立って実施してもよいし、延伸した最終製品の変成絹単繊維に実施してもよい。
適当な雰囲気下でプラズマ放電処理を施すと、特定の化学官能基を生成するのに有用な手段となる。これにより、絹単繊維の表面に特定の化学的加工を施すことが容易になり、例えば機械的性能を失うことなく人体内での寿命を延ばすといったことが可能になる。
また、特定の合成アミノ酸重合体を単独重合体または共重合体として生成し、合成絹類似物とすることもできる。この方法によれば、結晶性のより高い、すなわちより強固で安定した製品を作り出せる。このような化学組成では酵素のアタックや生分解が最も起こりやすいアミノ酸残基の残存した部位を作らずに済むため、生体内での安定性を向上できる。
生物学的または化学的反応の起こる位置は、繊維の30%未満を占め、極性または非極性でかさばった残基が元々存在する、繊維のより低秩序の体積部分に事実上限られる。予測では上記以外の化学処理を使用することでも、フィブロインの化学的/酵素的分解劣化がもっとも起こりやすい位置をブロックするか、あるいは連鎖架橋反応を起こさせることができる。繊維製造後の架橋処理であれば、そうした位置への作用を阻害するので、製品の生物学的安定性は確実に向上する。
生分解の速度は繊維の直径を増大させる(すなわち比表面積を低下させる)ことでも減少できる。反対に比表面積を増加させる(個々の繊維を微細化する)ことにより分解は速められる。この効果の用途の一つとして、組み入れた薬剤の送達速度を目的に応じて調節することが挙げられる。
仕上げ処理:
本発明の他の実施態様においては、同じ生理学的状態の人体組織内であれば天然の絹繊維より長い寿命を保てる変性絹が得られる。
仕上げ処理として、光重合によってその場に形成された非常に薄い(厚さがせいぜい1〜2分子の)重合体の膜で絹を被覆してもよい。この処理により絹基材の劣化に対する保護障壁が提供されるが、同時にそのような重合体を創傷治癒のための促進剤を接着する拠点とするか、あるいはそうした治癒促進機能または特性を有する重合体として直接形成することもできる。そのような処理をする部位はプラズマ処理で生成あるいは形成してもよい。
本発明の方法は、以下に列挙する点において特に斬新である。
1.絹繊維を極短小な長さに細断するので、分解劣化を抑制しつつその溶解を促進することができる。この代わりに回転式蒸発装置を用いて生成した無定形な絹の膜を溶解してもよい。
2.出発絹材料の溶解に用いる溶媒の選択が本発明の方法の成否を左右する。具体的には、有機溶媒系を正しく選択することで目的の繊維素材の品質が確保され、食塩水溶液使用時に観察されるものに比して分解劣化を抑制できる。
3.紡糸工程におけるパラメータなどの製造パラメータの選択如何が繊維素材の特性に影響しうる。
4.変性繊維の直径を変化させることにより、繊維の生体内での分解速度ならびにその機械的性質を特定の用途にあわせて調節することができる。
5.絹フィブロインに、(生体吸収性を減少させるための)架橋という形での化学的加工を加えることで、引張り強度の向上や生理学的媒体内での寿命の延長といった画期的な性能が繊維素材に付与される。
6.限定され、制御された分解を施したか、あるいは(嵩張ったアミノ酸残基の導入または特定の紡糸条件の選択のいずれかの方法で)無定形部分の体積を標準的絹繊維に比して増加させたフィブロインを使用することで、分解と吸収がより速く、他の用途に適した素材が得られる。
7.多種多様な生体内分解速度を有する絹材料は、徐放性医薬の担体として用いることができる。
8.さらに、本発明の重合体は、医学分野以外にあっても生分解性を有する重合体が必要とされる用途に使用できる。
実 施 例 1
絹フィブロインを有機溶媒に溶解し、絹フィブロイン溶液とした。溶媒としては、ジクロロ酢酸並びに塩化メチレン若しくはクロロホルムを容量比で65対35とした混合物を用いた。前者の溶媒系はドライジェット湿式紡糸で用い、後者は100%の湿式紡糸で用いた。前者の方が強度と生体内安定性のより高い最終製品をもたらした。原料絹と溶媒を12%w/vの溶液として使用した。
室温の凝固浴にはメタノールまたはエタノールを用いた。両者においてはエタノールの方が、押出し後、固化しつつある個々の繊維が互いにくっ付き合うことが少なく、メタノールよりも好適であった。
延伸率についても検討を加えた結果、ドライジェット湿式紡糸によって凝固した繊維素材のためには4.5対1の延伸率が好適であることが見出された。
「ジェット比率」(初期単繊維の巻取り速度と実際の押出し速度との比)も製品の品質に影響を与えるパラメータである。ある実施例においては、初期単繊維を凝固後ただちに分離して流水中に24時間放置することによって洗浄したのち、目的繊維素材を得るための延伸工程を実施した。別のケースにおいては、繊維の押出しと延伸を単一の工程として行なった。上記すべての構成要素が一体となった単一連続操作を用いれば有利である。
実 施 例 2
カイコガからの屑絹を中国絹繊維製造者から単繊維素材または生糸屑として入手した。原料絹からは約20%強のセリシン膠質のみならず、汚染物やその他の付随的不純物/異物をすべて除去する必要があった。精練は、0.4%のセッケン浴を100℃で2時間施し、続いて炭酸ナトリウム水溶液、沸騰水、最後に20℃の蒸留水で順次洗浄することで実施した。
また、タンパク質分解酵素で処理することにより同一の目的を達成した。(表1参照)
Figure 0003999669
屑絹からのフィブロイン連続単繊維の変成方法は従来技術で述べられている通りである。本発明の操作において考えられる相違点の一つは、紡糸に先立ってフィブロイン溶液を透析する前処理を不要とする点にある。
ジクロロ酢酸(DCA)は、ポリN−カルボン酸無水物の溶媒である。DCAをベースとする溶媒(DCA65%+ジクロロメタン35%、またはDCA65%+クロロフォルム35%)を種々試したところ、フィブロイン溶液が容易に得られたばかりか、上記による溶液をそれぞれドライジェット湿式紡糸あるいは通常の湿式紡糸に用いてエタノール中に紡糸したとき、非常に有望な単繊維が前処理の透析を要することなく得られた。DCAをベースとする溶媒系は、以後のすべての作業において最適な溶媒として使用した。上記の溶媒を利用した紡糸過程の詳細を表2に示す。
約10%w/vのフィブロインを上記で選択した溶媒中に溶解し、200−500rpmで攪拌しながら15℃で数時間保ち、完全に均質な溶液とした。
各溶液は、窒素による加圧で3枚1組のステンレス製微細濾過スクリーンを通し、続いて10分間の遠心脱気処理を行なった。この処理により紡糸工程における糸切れを防止する。これ以上の濾過作用はスピナレット(紡糸口金)内で行なわれる。スピナレットは口径150ミクロンの穴を5個有するものを用いた。紡糸は通常の湿式紡糸あるいはドライジェット湿式紡糸により長さ1.2メートルのエタノール凝固浴中におこなった。
Figure 0003999669
これらの実施例においては、紡糸と延伸の一括処理は実施していない。エタノール凝固浴から出た単繊維は濡れて緩めた状態のまま一定時間、例えば24時間放置したのち、長さ80cmのエタノール浴中で延伸した。最後に、延伸した繊維をステンレス製のボビンに巻き取った。延伸率は3:1から4:5とした。
仕上げの清浄化は、延伸後のフィブロインを収めたボビンをエタノール中に10〜12時間浸漬して行なった。さらに繊維からすべての溶媒や凝固剤を確実に除去するため流水の中で丁寧に洗浄し、最後に蒸留水ですすいだのち、常温で自然乾燥させた。
機械的特性を調べるため、最終製品は繊維を20mmのゲージ長にそろえて相対湿度65%RH、温度20℃で試験を行った。試験にはInstron社製1122を用い、クロスヘッド速度を50mm/分(伸張率250%)として実施した。異なる2方式の紡糸条件から得られた単繊維の特性の比較を表3に示す。
Figure 0003999669
湿式紡糸繊維(S1)とドライジェット湿式紡糸繊維(S2)のサンプルから得たX線回折データは、天然の絹に比べると配向性は弱いが、β型プリーツシート構造の存在を強く示している。延伸率が少なくとも4:1であると、上記βコンフォメーションが強く示された。
真空下での熱重量分析(DTG)によるフィブロインの比較観察では、披験単繊維に酸化劣化のあることが認められた。両紡糸法による変成フィブロイン試片のDTG曲線は共にある程度の酸化劣化の発生があったことを示している。
変成フィブロイン単繊維の加工について検討を加えた。天然の絹との顕著な相違点として、変成単繊維は生分解速度が著しく高められていることを示した。これは、全体的秩序レベルの低下ならびに酵素の作用が起こると目されるフィブロイン長鎖中の位置への作用のしやすさの結果である。したがって、各種の加工操作方法は、安定性の水準を制御された様式で増大または減少させることにより要求されている特定の機械的性質を満たすように計画した。
変成絹繊維の加工には以下の二方法を用いた。
(a)化学的加工により、特に酵素による分解の影響を受けやすいと思われるアミノ酸残基をブロックすると同時に、可能ならばその機械的性能を改変する。一方、生物活性のある位置またはその近辺で施した、あるいは薄い皮膜として施したグラフト重合は純粋に物理的な障壁を作り、生物活性のある物質の作用を阻害する。
(b)架橋をフィブロイン分子鎖間に施すことで機械的特性を直接向上させ、劣化の可能性のある位置への作用を部分的にブロックする。
架橋処理
i)エポキシド
エポキシドによるエステル化は、主にヒスチジン(HIS)、リジン(LYS)、アルギニン(ARG)、チロシン(TYR)への作用を目的とする。実施例で用いたのは二種類のエポキシドで、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパンとエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)である。
ii)酸無水物によるアシル化
無水グルタル酸と無水コハク酸を使用した。二塩基酸無水物を使用すれば、塩基性の位置にまたがる架橋が形成される可能性がある。酸無水物処理によって感光による黄変も軽減できる。同様の可能性がイタコン酸無水物にも存在する。
iii)アルデヒド類
フィブロインは、生物安定性と機械的性質の両方を変化させる可能性を持つグルタルアルデヒドによる処理で加工した。
iv)ジフルオロクロロピリミジン誘導体からなる二官能架橋剤
この種の物質は、フィブロイン中の反応性のある位置と反応して、反応性を減少させる架橋を作る。
重合体によるグラフト加工
厚さが数分子しかない薄い重合体の膜を絹の表面に形成し、その薄膜をプラズマ処理済かあるいは未処理の絹の表面に、または紫外線を用いて絹への化学的結合によることなく架橋させることができる。
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)重合体を用いたグラフト化を行なった。この実験の詳細を表4に示す。
Figure 0003999669
変成フィブロイン単繊維の機械的特性を、2cmの長さでクロスヘッド速度250%を用いて測定した。それぞれの加工処理の後に見られた強度と破壊伸張率における相対的変化を確認する比較目的のためだけのデータを表5に示す。このデータにおいては、行なった処理あるいは加工の程度の違いを考察していない。
加工によって生じた変化は複雑であり、おそらくは化学的、形態的、組織学的要素が関係する。
Figure 0003999669
生分解
本発明の目的が達成せられたどうかを調べるには、37℃(体温)での模擬生理学的環境における実際的試験が必要である。加速した、すなわち37℃以上での試験条件は望ましくないと考えられた。ありうることだが、仮に1種類以上の分解作用が発生した場合、最適である37℃から隔たった温度ではその挙動に歪曲された結果を与えることが予想された。
具体的な酵素/酵素群の選択は、例えば結合組織においてはロイシンアミノペプチダーゼおよびエステラーゼ、歯科の領域ではα−アミラーゼ、薬物の送達に関してはその目的の部位で存在するものというように、形成した基質の性能が用途上の目的である部位において支配的な特定の環境を再現する必要性を考慮して行なう。
以上に関わらず、簡易な略式の生体外生分解試験を個別のタンパク質分解酵素であるパパインおよびα−キモトリプシンを用いて行い、加工が生分解速度に及ぼす影響を調べた。
生体外生分解試験で観察した項目は機械的特性の変化、重量損失、および分子構成である。本実施例においては機械的特性と重量損失を生分解の評価項目とした。
本実施例において各タンパク質分解酵素はその最適pHにおいて37℃で使用したが、その濃度はより最終的な評価で用いられるであろう水準よりは過大に設定した。酵素の活動を維持し、同時に生分解物に付随する二次的作用を避けるため、分解環境は試験期間の10日間を通じて24時間ごとに取り換えた。
α‐キモトリプシン(pH7.8)は、フェニルアラニン(PHE)、チロシン(TYR)、ロイシン(LEU)およびトリプトファン(TRP)に隣接したペプチド結合を活発に分解する。これに比しパパイン(pH5‐7.5)は、ヒスチジン(HIS)およびリジン(LYS)に隣接したペプチド結合を切断する。表6は上記の酵素環境下での分解の条件および重量減と強度低下の典型的な観察例を示す。変成絹に対する酵素の作用は同素材を緩衝液のみに曝露した場合と比較して評価した。試験対象の基質は10日間の培養を終えたあと完全に洗浄し乾燥したのち、重量減を測定した。このように状態を調えた試験片を、20mmのゲージ長で、Instron社製1122を用い、既述の要領で機械的試験に供した。
Figure 0003999669
縫合糸材料として積極的な生分解性を付与した絹フィブロインにあっては、従来天然の繊維素材に知られる生分解特性による不具合があった。現在では屑絹というものが比較的低価格で容易に入手できる。本発明は、長さと直径を異にするこうした原料あるいは市販の絹単繊維を変換して、生分解性を改良し、機械的性能を向上した変成連続単繊維製品とすることに成功した。
変成フィブロインの化学的加工またはそれへのグラフト加工により、機械的性能の顕著な損失を伴うことなく生分解性を向上できることが示された。製品の品質は基本的製造条件と後続する処理とで制御することが可能であり、多種多様な生分解性/安定性を持つ製品が提供できる。
以上

Claims (10)

  1. 節足動物の少なくとも1つの種の生産物から絹繊維を製造する方法であって、
    (1)ジクロロ酢酸とクロロフォルムおよび/またはジクロロメタンの混合物である溶剤 を準備する工程と、
    絹材料を前記溶剤に溶解させて絹フィブロイン溶液を生成する工程と、
    )絹フィブロイン溶液を濾過する工程と、
    )前記濾液を凝固浴中に紡糸して、押出し繊維を得る工程と、
    )前記押出し繊維を延伸する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記凝固浴がアルコールを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記絹が昆虫を起源とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 溶解される出発物質として使用される前記絹が、天然の絹、絹屑、紡がれて繭を形成する前に昆虫から直接採取した絹フィブロイン、遺伝子操作を施した有機体から得た絹、または無定形の膜としてあらかじめ調製された絹のうちの少なくとも1つからなる、請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載の方法。
  5. (1)必要に応じて前記絹材料を精練し、清浄化する工程と、
    (2)前記絹をミリメートル以下の長さに細断する工程と、
    (3)前記細断絹を前記溶媒に溶解し、前記フィブロインを無定形の状態で沈殿させる 工程と、
    (4)前記細断絹を前記溶媒に再溶解し、前記フィブロインを無定形な状態で沈殿させ る工程と、
    (5)前記絹フィブロイン溶液を濾過および脱気する工程と、
    (6)前記濾液をアルコール凝固浴中にドライジェット湿式紡糸または湿式紡糸によって 紡糸し、まとまった押出し繊維を形成する工程と、
    (7)塩素系溶媒を除去する工程と、
    (8)前記押出し繊維を延伸する工程と、
    を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかの請求項に記載の方法。
  6. (1)前記絹材料を必要に応じて精練してセリシンを除去する工程と、
    (2)前記絹を必要に応じて清浄化する工程と、
    (3)前記フィブロインを適当な物理的および/または形態的状態に変換する工程と、
    (4)好ましくは分解劣化を最小限に止めながら前記絹を溶解することによって均質な絹 フィブロイン溶液を生成する工程と、
    (5)前記絹フィブロイン溶液を濾過する工程と、
    (6)前記濾液を脱気する工程と、
    (7)前記濾液を、選択された液体凝固浴中にドライジェット湿式紡糸または湿式紡糸に よって紡糸し、まとまった押出し繊維を形成する工程と、
    を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかの請求項に記載の方法。
  7. 前記方法の実施前または実施後に前記絹を化学的に加工する、請求項1ないし請求項6のいずれかの請求項に記載の方法。
  8. 前記化学的加工が、
    (1)エポキシド、酸無水物によるアシル化、アルデヒド、またはエチレングリコールジ グリシジルエーテルによる架橋、
    (2)ヒドロキシエチルメタクリレート重合体を用いたタンパク質へのグラフト加工、
    (3)各種気体によるガスプラズマ処理およびそれに続く改質剤との反応、
    (4)繊維の紡糸または延伸前に行われる、絹のアミノ酸残基を加工することによる無定 形部分の体積の増加、
    の少なくとも1つである、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかの請求項に記載の方法によって製造された絹繊維の医学的用途での使用。
  10. 前記変成絹繊維が、
    (1)人体内での残存時間が所望の長さに調節された、生体吸収性があり外科的に移植が 可能な材料、
    (2)所望の強度または剛性を保持するように調節された、生体吸収性があり外科的に移 植が可能な材料、
    (3)薬剤の放出用に好適である、生体吸収性があり外科的に移植が可能な材料、または(4)一定の生分解性を有する繊維材料、
    として使用される、請求項9に記載の使用。
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